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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162863
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】紙折り装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 45/14 20060101AFI20231101BHJP
   B65H 45/16 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
B65H45/14
B65H45/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073553
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138014
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 香織
(72)【発明者】
【氏名】宮本 力
(72)【発明者】
【氏名】大橋 政信
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108AA01
3F108AB01
3F108AC10
3F108BA03
3F108BA08
3F108CC01
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、構造の複雑化を招くことなく、簡易で安価に構成でき、しかも、操作者が予め用紙の種類(厚さ)を入力する必要のない、操作性の良い紙折り装置を提供することである。又、用紙の種類にかかわらず当たり音の発生を防ぐことができるようにすることである。
【解決手段】第一の案内位置に配置された切替ゲート板によって、搬送される用紙の先端部を、上向きに案内していき、少なくとも、用紙の先端端部が上側ローラの上部表面に突き当たる前に、一旦、切替ゲート板を離反位置に配置する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の用紙を、用紙搬送面に沿って搬送しながら折り曲げ加工する紙折り装置であって、用紙搬送方向上流側に配置された第一の搬送ローラ対と、用紙搬送方向下流側に配置された第二の搬送ローラ対と、両ローラ対の間の用紙搬送面に設置された切替ゲート板と、前記切替ゲート板の上方に配置された折り板と、装置全体の作動を制御する制御手段を備えており、
前記切替ゲート板は、搬送される用紙に干渉して、前記用紙の先端部が前記第二の搬送ローラ対の上側ローラの上部表面を通過するように上向きに案内する第一の案内位置と、前記用紙の先端部が前記上側ローラの上部表面より上方へ離れるように、上向きに案内する離反位置と、前記第二の搬送ローラ対のニップ部に向けて用紙搬送面に沿って案内する第二の案内位置と、の間で切り替え可能となっており、
前記折り板は、略水平状態のまま、上下方向に移動可能に構成され、前記第二の案内位置に配置する前記切替ゲート板に当接又は近接する折りたたみ位置と、前記切替ゲート板から所定の間隔を置いて退避する退避位置との間で切り替え可能となっており、
前記制御手段は、前記第一の案内位置に配置された前記切替ゲート板によって、搬送される前記用紙の先端部を、前記上向きに案内していき、少なくとも、前記用紙の先端端部が前記上側ローラの上部表面に突き当たる前に、一旦、切替ゲート板を離反位置に配置することにより、前記用紙の先端端部が前記上側ローラの上部表面に突き当たるのを回避した後、前記第一の案内位置に戻し、前記用紙の先端部が、前記上側ローラの上部表面を所定量だけ通過するように案内した後、前記切替ゲート板を前記第二の案内位置に切り替え、その後、前記切替ゲート板上の用紙を挟み込むように、前記退避位置に配置されている前記折り板を略水平状態で折りたたみ位置に下降させることによって、前記用紙の先端部を前記上側ローラの表面に沿って折り返すように制御する、ことを特徴とする紙折り装置。
【請求項2】
前記切替ゲート板を前記離反位置から前記第一の案内位置に戻すタイミングは、前記用紙の先端部を前記離反位置にて上向きに案内していく途上において、仮に、前記切替ゲート板を前記離反位置から前記第一の案内位置に戻したと想定した場合に、前記第一の案内位置に戻した前記用紙の先端端部の位置が、少なくとも、前記切替ゲート板上面の仮想延長線と、前記上側ローラの上部表面とが交差する交点の位置を越えたタイミングである、ことを特徴とする請求項1に記載の紙折り装置。
【請求項3】
前記第一の案内位置における前記切替ゲート板の傾斜角度は、前記切替ゲート板上を上向きに案内される用紙の種類が薄紙であっても座屈しない程度の角度に設定されている、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の紙折り装置。
【請求項4】
当たり音対策として、前記用紙の種類が厚紙であっても、前記切替ゲート板を前記第一の案内位置から前記離反位置に切り替えることにより、前記用紙の先端端部が前記上側ローラの上部表面に突き当たるのを回避して当たり音の発生を防いだ、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の紙折り装置。
【請求項5】
前記折り板の下降により前記用紙の先端部を折り返した後、前記制御手段は、さらに、前記第一の搬送ローラ対により、前記用紙の先端部を折り返した後の用紙先端折り返し部を、前記第二の搬送ローラ対のニップ部に向けて搬送し、前記第二の搬送ローラ対のニップ部で前記用紙の先端折り返し部を挟み込んで搬送することにより、前記用紙先端折り返し部を押圧して折り込むように制御する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の紙折り装置。
【請求項6】
前記第一の搬送ローラ対の用紙搬送方向上流側に、さらに、クリース加工部を備えており、前記クリース加工部は、前記平面状の用紙を折り曲げ加工する際の折り目に、予め、クリースを形成するようになっている、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の紙折り装置。
【請求項7】
前記第二の案内位置に配置された前記切替ゲート板と、前記折りたたみ位置に配置された前記折り板との近接する距離は、少なくとも、前記折り板と前記切替ゲート板との間を、前記用紙が搬送できるだけの隙間が確保されるように構成する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の紙折り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙折り装置に関する。詳しくは、封筒を製作する製袋機に好適な紙折り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙等の媒体を折り畳む紙折り装置(例えば、特許文献1)は、用紙を搬送して用紙先端側を用紙挿入空間(分流経路)内に挿入し、用紙先端が、用紙挿入空間に設けたストッパに当接して進行が阻止された後も、用紙後端側の搬送を継続することにより、用紙挿入空間の外側で用紙をたわませて湾曲部分を形成し、この湾曲部分がローラ対の間に挟まって引き込まれ、用紙が折り重ねられることにより媒体を折り畳むように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-312939号公報
【特許文献2】特開2021-84730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の特許文献1に開示される技術のようなストッパを設けている紙折り装置は、種々の折り仕様に合わせてストッパ位置を調整する必要があり、ストッパ位置の調整に際しては、そのストッパ位置を操作者が手動で調整するか、又は、装置にストッパの自動移動機構を設ける必要がある。ストッパ位置を操作者が手動で調整する場合には、操作が煩雑で使い勝手が良くない。又、装置にストッパの自動移動機構を設ける場合は、操作性は良いがコスト高となる。
【0005】
そこで、本願出願人は、以上説明したような従来の技術における種々の問題点を解決する発明として、特許文献2に示すような新規な構成の紙折り装置を備えた製袋機を提案している。以上によれば、紙折り機構として、用紙挿入空間(分流経路)及び、ストッパを設ける必要がない為、構造の複雑化を招くことなく、簡易で安価に構成できる。又、制御手段により、種々の折り仕様に合わせて折り位置を自動的に調整する為、操作性の良い紙折り装置を提供することができる。
【0006】
しかしながら、本願出願人は紙折り装置の研究開発をさらに進める中で、本願出願人の提案(特許文献2)による新規な構成の紙折り装置について新たな課題を発見し、この課題を解決することで紙折り装置の性能をさらに改善する余地があることを見いだすに至った。
【0007】
すなわち、本願出願における図9(a)に示すように、第一の案内位置(傾斜角度θ1)に配置された切替ゲート板によって、搬送される前記用紙の先端部を上向きに案内していく際、用紙の種類によっては(特に、厚紙)、用紙の先端端部が上側ローラの上部表面871aに突き当たって音鳴りする当たり音が発生する場合があり、操作者にとって不快である。前記当たり音の対策として、本願出願における図9(b)に示すように、切替ゲート板の傾斜角度を大きくして(傾斜角度θ2)、用紙の先端端部が上側ローラの上部表面に突き当たらないような角度に設定すると、当たり音の発生は防ぐことができるが、そのままの傾斜角度で、特に薄紙を用いた場合には、切替ゲート板の傾斜を安定して上って行けずに座屈するという別の問題が発生する。前述のような双方の問題を解決するには、切替ゲート板の傾斜角度は、厚紙を用いる場合は、傾斜角度を大きくし(傾斜角度θ2)、薄紙を用いる場合は、傾斜角度を小さくする(傾斜角度θ1)必要があり、用紙の種類(厚紙、薄紙)にかかわらず、双方の問題をまとめて解決できる共通の傾斜角度の幅はほとんどない。
【0008】
本発明は、このような新たに発見された新規な技術的課題に鑑みてなされたものであり、
本発明の目的は、上記従来の用紙折り装置における問題に鑑み、構造の複雑化を招くことなく、簡易で安価に構成でき、しかも、操作者が予め用紙の種類(厚さ)を入力する必要のない、操作性の良い紙折り装置を提供することである。又、用紙の種類にかかわらず当たり音の発生を防ぐことができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、平面状の用紙を、用紙搬送面に沿って搬送しながら折り曲げ加工する紙折り装置であって、用紙搬送方向上流側に配置された第一の搬送ローラ対と、用紙搬送方向下流側に配置された第二の搬送ローラ対と、両ローラ対の間の用紙搬送面に設置された切替ゲート板と、前記切替ゲート板の上方に配置された折り板と、装置全体の作動を制御する制御手段を備えており、前記切替ゲート板は、搬送される用紙に干渉して、前記用紙の先端部が前記第二の搬送ローラ対の上側ローラの上部表面を通過するように上向きに案内する第一の案内位置と、前記用紙の先端部が前記上側ローラの上部表面より上方へ離れるように、上向きに案内する離反位置と、前記第二の搬送ローラ対のニップ部に向けて用紙搬送面に沿って案内する第二の案内位置と、の間で切り替え可能となっており、前記折り板は、略水平状態のまま、上下方向に移動可能に構成され、前記第二の案内位置に配置する前記切替ゲート板に当接又は近接する折りたたみ位置と、前記切替ゲート板から所定の間隔を置いて退避する退避位置との間で切り替え可能となっており、前記制御手段は、前記第一の案内位置に配置された前記切替ゲート板によって、搬送される前記用紙の先端部を、前記上向きに案内していき、少なくとも、前記用紙の先端端部が前記上側ローラの上部表面に突き当たる前に、一旦、切替ゲート板を離反位置に配置することにより、前記用紙の先端端部が前記上側ローラの上部表面に突き当たるのを回避した後、前記第一の案内位置に戻し、前記用紙の先端部が、前記上側ローラの上部表面を所定量だけ通過するように案内した後、前記切替ゲート板を前記第二の案内位置に切り替え、その後、前記切替ゲート板上の用紙を挟み込むように、前記退避位置に配置されている前記折り板を略水平状態で折りたたみ位置に下降させることによって、前記用紙の先端部を前記上側ローラの表面に沿って折り返すように制御する、ことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の紙折り装置において、前記切替ゲート板を前記離反位置から前記第一の案内位置に戻すタイミングは、前記用紙の先端部を前記離反位置にて上向きに案内していく途上において、仮に、前記切替ゲート板を前記離反位置から前記第一の案内位置に戻したと想定した場合に、前記第一の案内位置に戻した前記用紙の先端端部の位置が、少なくとも、前記切替ゲート板上面の仮想延長線と、前記上側ローラの上部表面とが交差する交点の位置を越えたタイミングである、ことを特徴とするものである。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の紙折り装置において、前記第一の案内位置における前記切替ゲート板の傾斜角度は、前記切替ゲート板上を上向きに案内される用紙の種類が薄紙であっても座屈しない程度の角度に設定されている、ことを特徴とするものである。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の紙折り装置において、当たり音対策として、前記用紙の種類が厚紙であっても、前記切替ゲート板を前記第一の案内位置から前記離反位置に切り替えることにより、前記用紙の先端端部が前記上側ローラの上部表面に突き当たるのを回避して当たり音の発生を防いだ、ことを特徴とするものである。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の紙折り装置において、前記折り板の下降により前記用紙の先端部を折り返した後、前記制御手段は、さらに、前記第一の搬送ローラ対により、前記用紙の先端部を折り返した後の用紙先端折り返し部を、前記第二の搬送ローラ対のニップ部に向けて搬送し、前記第二の搬送ローラ対のニップ部で前記用紙の先端折り返し部を挟み込んで搬送することにより、前記用紙先端折り返し部を押圧して折り込むように制御する、ことを特徴とするものである。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の紙折り装置において、前記第一の搬送ローラ対の用紙搬送方向上流側に、さらに、クリース加工部を備えており、前記クリース加工部は、前記平面状の用紙を折り曲げ加工する際の折り目に、予め、クリースを形成するようになっている、ことを特徴とするものである。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の紙折り装置において、前記第二の案内位置に配置された前記切替ゲート板と、前記折りたたみ位置に配置された前記折り板との近接する距離は、少なくとも、前記折り板と前記切替ゲート板との間を、前記用紙が搬送できるだけの隙間が確保されるように構成する、ことを特徴とする製袋機。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、制御手段は、第一の案内位置に配置された切替ゲート板によって、搬送される用紙の先端部を、上向きに案内していき、少なくとも、用紙の先端端部が上側ローラの上部表面に突き当たる前に、一旦、切替ゲート板を離反位置に配置することにより、用紙の先端端部が上側ローラの上部表面に突き当たるのを回避した後、第一の案内位置に戻す為、厚紙を用いた場合であっても、用紙の先端端部が上側ローラの上部表面に突き当たって音鳴りする当たり音の発生を、効果的に防ぐことができる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、切替ゲート板を離反位置から第一の案内位置に戻すタイミングは、用紙の先端部を離反位置にて上向きに案内していく途上において、仮に、切替ゲート板を離反位置から第一の案内位置に戻したと想定した場合に、第一の案内位置に戻した用紙の先端端部の位置が、少なくとも、切替ゲート板上面の仮想延長線と、上側ローラの上部表面とが交差する交点の位置を越えたタイミングとすることにより、厚紙を用いた場合であっても、用紙の先端端部が上側ローラの上部表面に突き当たって音鳴りする当たり音の発生を、確実に防ぐことができる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、第一の案内位置における切替ゲート板の傾斜角度は、切替ゲート板上を上向きに案内される用紙の種類が薄紙であっても座屈しない程度の角度に設定されている為、操作者が予め用紙の種類(厚さ)を入力する必要がなく、操作性の良い、紙折り装置を提供することができる。又、用紙の種類にかかわらず当たり音の発生も防ぐことができる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、当たり音対策として、用紙の種類が厚紙であっても、切替ゲート板を第一の案内位置から前記離反位置に切り替えるようにした為、用紙の先端端部が上側ローラの上部表面に突き当たるのを回避して当たり音の発生を防ぐことができる。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、折り板の下降により用紙の先端部を折り返した後、
折り返した後の用紙先端折り返し部を、第二の搬送ローラ対のニップ部で押圧して折り込むように制御する為、用紙に確実に折り癖を付けることができる。
【0021】
請求項6記載の発明によれば、第一の搬送ローラ対の用紙搬送方向上流側に、さらに、クリース加工部を備えており、前記クリース加工部は、前記平面状の用紙を折り曲げ加工する際の折り目に、予め、クリースを形成して折り起点を作るようになっている為、きれいに精度よく折ることができる。又、用紙の折り曲げ加工時に発生する印刷割れを抑制することができる。
【0022】
請求項7記載の発明によれば、折り板の下降により用紙の先端部を折り返した後、折り返した後の用紙先端折り返し部を、近接する切替ゲート板と折り板との隙間にてガイドしながら搬送する為、皺等が発生することなく確実に、次段の搬送ローラ対のニップ部による押圧加工部に受け渡すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第一実施形態の製袋機の概略全体構成図である。
図2図1の製袋機で加工される用紙の状態を示す平面図である。
図3図2の用紙が折り加工された状態を示す平面図である。
図4】洋式封筒の製作途中の状態を示す斜視図である。
図5】第2折り部における用紙の加工の様子を示す図である。
図6図5に続く用紙の加工の様子を示す図である。
図7図6に続く用紙の加工の様子を示す図である。
図8図7に続く用紙の加工の様子を示す図である。
図9】第2折り部における用紙の加工の様子を示す図である。
図10】第2折り部における用紙の加工の様子を示す図である。
図11】第2折り部における用紙の加工の様子を示す図である。
図12】第1折り部におけるフラップを折り返す前後の状態を示す図である。
図13】第2折り部における折り板の駆動機構を示す図である。
図14】第2折り部における折り板の駆動機構を示す図である。
図15】第2折り部における切替ゲート板の駆動機構を示す図である。
図16】第2折り部における切替ゲート板の駆動機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の紙折り装置(第2折り部6)を採用した一実施形態の製袋機10を示している。図1は、製袋機10の全体構成図である。製袋機10は、搬送方向上流側から順に、給紙部1、第1クリース加工部2、第2クリース加工部4、第1折り部3、糊塗布部5、第2折り部6、及び排紙部7を、装置本体10Aに備えている。
【0025】
一般的形態の「洋式封筒」は、横長の長方形を有しており且つ封じ口が長辺に形成されている。製袋機10にて洋式封筒を製作する際には、例えば、図4に示されるように、用紙100の後方面部102の両側の折り返した片部103に糊を塗布し、前方面部101を折り返して片部103に圧着させている。
【0026】
具体的には、製袋機10は、図2(a)に示されている平面状の用紙100を、F方向に搬送しながら図2(b)及び図2(c)に示されるように加工することによって、洋式封筒90を製作するようになっている。
【0027】
用紙100は、前方面部101と、後方面部102と、後方面部102の両側に張り出した糊代用片部103と、最後方面部104と、からなっている。用紙100は、図2(b)に示されるように、後方面部102と片部103との境界線である第1折り目111で、折り加工され、更に、図2(c)に示されるように、前方面部101と後方面部102との境界線である第2折り目112で、折り加工されるようになっている。第1折り目111で折り返された片部103の表面には、糊が塗布される。そして、第2折り目112で折り返された前方面部101は、その両縁部が片部103に接合される。なお、第1折り目111は、搬送方向に沿っている。第2折り目112は、搬送方向に対して直交した方向(すなわち幅方向)に沿っている。
【0028】
成果物としては、図2(c)の洋式封筒90でもよいが、図2(c)に示される洋式封筒90を、F´方向に搬送しながら図3に示されるように加工することによって、最後方面部104が、後方面部102と最後方面部104との境界線である第3折り目113で、更に折り加工されるように構成してもよい。前記構成によれば、封筒に内容物を挿入した後、テープや糊を用いて封をする際、折り癖がついている為、最後方面部104を折り返した前方面部101にきれいに封緘することができる。
【0029】
[給紙部1]
給紙部1は、エア吸引ベルト式のエア給紙ユニット12と、用紙積載量に応じて上昇、下降するエレベータ式の給紙トレイ11と、エア給紙ユニット12により送り出された用紙をさらに搬送方向下流側に搬送する搬送ローラ81と、を有している。又、前記エア給紙ユニット12には、給紙トレイ11上に積載される用紙の最上面の用紙がエア給紙ユニット12の下面に吸着されたことを検出するセンサ22と、給紙トレイ11上に積載される用紙の最上面の上限位置を検出するセンサ21が配置されている。
【0030】
なお、製袋機10では、搬送ローラ81の他に、7つの搬送ローラ対82、83、84、85、86、87、88を備えている。7つの搬送ローラ対は、用紙100が搬送される搬送面200を構成しており、搬送面200は、エア給紙ユニット12から搬送ローラ対88に至るまで、同一平面である。又、前記用紙が搬送される搬送面200上には、各位置における用紙の通過を検出(重送を検出)するセンサ23、センサ24、センサ25、センサ26、センサ27、センサ28が配置されている。各センサは、例えば、光学式の透過センサを用いる。
【0031】
[第1クリース加工部2]
第1クリース加工部2は、図1に示すように、上部が凸状の上型と、下部が凹状の下型で構成され、用紙100の第2折り目112、第3折り目113として、用紙搬送方向と直角方向に横クリースを形成するようになっている。クリース加工部2としては、公知の機構を採用できる。
[第2クリース加工部4]
第2クリース加工部4は、図1に示すように、クリース刃が丸刃状で外周部に凸部が形成された上刃と、丸刃状で外周部に凹部が形成された下刃で構成され、搬送方向と直角方向の幅方向2箇所に設置され、用紙100の第1折り目111(2箇所)に用紙搬送方向に沿って縦クリースを形成するようになっている。第1クリース加工部4としては、公知の機構を採用できる。
【0032】
[第1折り部3]
第1折り部3は、用紙搬送方向と直角方向の幅方向両側に対向して配置された1対の折り装置3a、3bからなっている。各折り装置3a、3bは、搬送方向に沿った回転軸31の回りを回動するフラップ32板を有しており、図12(a)のように、幅方向外側に位置している状態のフラップ板32上に載せられた用紙100の片部103を、図12(b)のように、フラップ板32を回動させることによって、後方面部102の表面に合わせるように、内側に折り返すことができる。
【0033】
[糊塗布部5]
糊塗布部5は、幅方向両側に対向して配置された1対の塗布装置5a、5bからなっている。なお、塗布装置5aと塗布装置5bとは、左右対称の構成を有している。
【0034】
塗布装置5a、5bは、ノズル部と、位置設定機構と、上下駆動機構と、を有している(不図示)。ノズル部は、搬送される用紙に所定のタイミングで糊を塗布できるようになっている。
【0035】
[第2折り部6]
第2折り部6は、平面状の用紙100を、搬送面200に沿って搬送しながら折り曲げ加工する紙折り装置であって、用紙搬送方向上流側に配置された第一の搬送ローラ対86と、用紙搬送方向下流側に配置された第二の搬送ローラ対87と、両ローラ対の間に設置された切替ゲート板63と、切替ゲート板63の上方に配置された折り板62と、を備えている。
【0036】
切替ゲート板63は、搬送される用紙100に干渉して、用紙100の先端部を第二の搬送ローラ対87の上ローラ871の上部表面を通過するように上向きに案内する第一の案内位置と、第二の搬送ローラ対87のニップ部873に向けて略水平方向に案内する第二の案内位置との間で切り替え可能となっており、折り板62は、略水平状態のまま、上下方向に移動可能に構成され、前記第二の案内位置に配置する前記切替ゲート板63に近接する折りたたみ位置と、前記切替ゲート板から所定の間隔を置いて退避する退避位置との間で切り替え可能となっている。
【0037】
切替ゲート板63と折り板62について、その駆動機構64、65をそれぞれ説明する。
【0038】
切替ゲート板63は、図15図16に示されるように、上述の第一の案内位置と第二の案内位置とに選択的に配置される。図15は、切替ゲート板63が第二の案内位置、図16は、切替ゲート板63が第一の案内位置に配置された状態を示している。
【0039】
図15において、図15(a)は、用紙搬送方向正面から見た正面図であり、図15(b)は、図15(a)のC方向から見た断面図である。又、図16において、図16(a)は、用紙搬送方向正面から見た正面図であり、図16(b)は、図16(a)のD方向から見た断面図である。
【0040】
図15図16に示されるように、切替ゲート板63の駆動機構64は、次のように作動するようになっている。すなわち、モータ641が作動すると、第1プーリー642及び伝達ベルト643を経て、第2プーリー644が回転する。第2プーリー644には、切替ゲート板63の支持軸631が連結されているので、第2プーリー644が回転すると、切替ゲート板63が回転する。尚、切替ゲート板63の回転角度については、切替ゲート板63の支持軸631に取付けられた遮光板66の両エッジを第一の検出手段67により検出することにより、切替ゲート板63を第一の案内位置と第二の案内位置とに選択的に配置させることができる。
【0041】
尚、切替ゲート板63の配置位置としては、前記第一の案内位置と第二の案内位置以外に、離反位置(図11(a)の63b参照)を有する。前記離反位置は、厚紙を用いた場合であっても、用紙100の先端端部が第二搬送ローラ対の上側ローラ871の上部表面に突き当たって音鳴りする当たり音の発生を防ぐ為の当たり音対策として用いられる。
離反位置における切替ゲート板63の回転角度については、例えば、遮光板66の一方のエッジを第一の検出手段67により検出後、モータ641(スッテッピングモータ)の所定のステップ数をカウントすることにより切替ゲート板63を離反位置に選択的に配置させることができる。前記当たり音対策の詳細については後述する。
【0042】
折り板62は、図13図14に示されるように、上述の折りたたみ位置と退避位置とに選択的に配置される。図13は、折り板62が退避位置、図14は、折り板62が折りたたみ位置に配置された状態を示している。
【0043】
図13において、図13(a)は、用紙搬送方向正面から見た正面図であり、図13(b)は、図13(a)のA方向から見た断面図である。又、図14において、図14(a)は、用紙搬送方向正面から見た正面図であり、図14(b)は、図14(a)のB方向から見た断面図である。
【0044】
図13図14に示されるように、折り板62の駆動機構65は、次のように作動するようになっている。すなわち、モータ651が作動すると、モータ651の駆動軸に取付けられている駆動ギヤ(不図示)が回転し、駆動ギヤに係合した連動ギヤ655が回転する。連動ギヤ655の回転軸には、第2リンク部材654が基部を固定されて回転できるようになっており、その自由端には第1リンク部材653の一端部が取付けてある。この第1リンク部材653の他端部にはピニオン652が取付けられ、ピニオン652は不動状態にあるラック656に噛み合っている。したがって、第1リンク部材653は、第2リンク部材654の回転運動を、ラック656上でピニオン652の直線運動(往復動)に変換する。ピニオン652の回転軸には、折り板62が取付けられ、折り板62は、ピニオン652の直線運動(往復動)と一体的に長穴657に沿って上下動(往復動)する。
尚、折り板62の上下位置については、連動ギヤ655の回転軸に取付けられた遮光板(不図示)の両エッジを第二の検出手段68により検出することにより、折り板62を折りたたみ位置と退避位置とに選択的に配置させることができる。
【0045】
[加圧部8]
加圧部8は、上下動可能な上型8aと、不動の下型8bで構成され、第2折り部6にて折り曲げ加工された用紙100の折り部に対して、上型、下型により挟み込むことによって、さらに圧力を加えて、折り部を強固なものとする。
【0046】
[排紙部7]
排紙部7は、搬送ローラ対88と排紙トレイ71とを有している。搬送ローラ対88は、排出ローラとして作動するように設けられている。具体的には、搬送ローラ対88は、図1に示されるように、第2折り部6の第二搬送ローラ対87の近傍且つ搬送方向下流に、配置されている。排紙トレイ71は、搬送面200よりも下方の位置から斜め上方に向けて且つ搬送方向下流に向けて、傾斜している。
【0047】
次に、前記構成の製袋機10の作動について説明する。
【0048】
まず、図2に示されている用紙100を給紙トレイ11上に載置する。このとき、前方面部101は搬送方向下流側に位置している。そして、スイッチ(図示せず)をオンして、作動を開始する。
【0049】
(1)給紙トレイ11上の最上面の用紙100は、エア給紙ユニット12におけるエア吸引ベルトに吸着されながら搬送ローラ対81に向けて送り出され、搬送ローラ対81に用紙100が受け渡された後、搬送ローラ対81により、さらに搬送方向下流側に搬送される。その後、第1クリース加工部2を通過する。その際、第1クリース加工部2が作動して、用紙100の第2折り目112、第3折り目113にクリースが形成される。これにより、前方面部101は、後方面部102側へ折り返しやすくなる。又、最後方面部104は、折り返された前方面部101側へ折り返しやすくなる。
【0050】
(2)第1クリース加工部2より搬送されて来た用紙100は、第2クリース加工部4を通過する。このとき、用紙100の第1折り目111(幅方向左右2箇所)は、搬送方向と直角方向の幅方向2箇所に設置された第2クリース加工部4のクリース刃(丸刃)の直下にそれぞれ位置している。そして、第2クリース加工部4が作動して、第1折り目111にクリースが形成される。これにより、片部103(幅方向左右2箇所)は、内側へ折り返しやすくなる。
【0051】
(3)第2クリース加工部4によりクリースが形成された用紙100は、第1折り部3において停止する。このとき、第1折り部3の両折り装置3a、3bのフラップ板32は、用紙100の幅方向外側に位置しており、用紙100の両側の片部103は、フラップ板32上に載っている(図12(a))。尚、図12において用紙100は、図面上、手前から奥側に向かって搬送される。次いで、フラップ板32が内側の下ガイド板33向けて回動し、これにより、片部103がクリース加工済の第1折り目111にて内側へ折り返されて後方面部102の表面に合わされる(図12(b))。その後、フラップ板32は、外側の下ガイド板33から離れる方向に回動する。そして、搬送ローラ対85によって、片部103が折り返された用紙100が搬送方向下流へ搬送される。外側に回動したフラップ板32は、次の用紙100が来るまで、その状態に維持される。なお、フラップ板32が内側に回動した状態で、片部103が折り返された用紙100が搬送方向下流へ搬送され、次の用紙100が搬送されて来る前に、フラップ板32が外側へ回動するように作動してもよい。
【0052】
(4)片部103が折り返された用紙100は、搬送ローラ対85によって搬送方向下流へ搬送され、糊塗布部5を通過する。糊塗布部5においては、用紙100の折り返された両側の片部103の通過が開始する時に、搬送方向と直角方向の幅方向2箇所に設置されたノズル部5a、5bが下方に移動して、片部103の表面に当接し、片部103の通過が終了する時に、ノズル部5a、5bが上方へ移動して、片部103の表面からノズル部5a、5bが離れる。これにより、折り返された片部103の表面に糊が塗布される。なお、折り返された片部103は、ノズル部5a、5bの搬送方向上流に位置している搬送ローラ対85によって、押圧された状態で、又は、押圧された後に、ノズル部5a、5bを通過する。よって、ノズル部5a、5bによる糊塗布作業を、安定して行うことができる。
【0053】
(第2折り部6における用紙の加工)
第2折り部6は、平面状の用紙100を、搬送面200に沿って搬送しながら折り曲げ加工する紙折り装置であって、用紙搬送方向上流側に配置された第一の搬送ローラ対86と、用紙搬送方向下流側に配置された第二の搬送ローラ対87と、両ローラ対の間の用紙搬送面200に設置された切替ゲート板63と、切替ゲート板63に対向して配置された折り板62と、装置全体の作動を制御する制御手段(不図示)を備えており、
【0054】
切替ゲート板63は、搬送される用紙100に干渉して、用紙搬送方向を用紙搬送面200から外に曲げ、用紙100の先端部を第二の搬送ローラ対87の一方のローラ表面に向けて案内する第一の案内位置と、第二の搬送ローラ対87のニップ部873に向けて用紙搬送面200に沿って案内する第二の案内位置との間で切り替え可能となっており、
【0055】
折り板62は、略水平状態のまま、切替ゲート板63に向けて移動可能に構成され、第二の案内位置に配置する切替ゲート板63に近接する折りたたみ位置と、切替ゲート板63から所定の間隔を置いて退避する退避位置との間で切り替え可能となっており、
【0056】
制御手段は、前記第一の案内位置に配置された切替ゲート板63によって、搬送される用紙100の先端部を、第二の搬送ローラ対87の一方のローラ表面に向けて所定量だけ通過するように案内した後、切替ゲート板63を第二の案内位置に切り替え、その後、切替ゲート板63上の用紙100を挟み込むように、退避位置に配置されている折り板62を略水平状態で折りたたみ位置に下降させることによって、用紙100の先端部を第二の搬送ローラ対87の一方のローラ表面に沿って折り返すように制御するようになっている。
【0057】
具体的には、一実施例として、以下(5-1)から(5-4)に示すように、順次加工する。
【0058】
(5-1)片部103に糊が塗布された用紙100は、搬送ローラ対85によって第2折り部6へ(F方向に)搬送される。このとき、切替ゲート板63は、第一の案内位置として第二の搬送ローラ対87に向けて上向きに設定されている。それ故、図5に示すように、用紙100は、切替ゲート板63によって用紙100の先端部を第二の搬送ローラ対87の上ローラ871の上部表面を通過するように上向きに案内され、用紙100の第2折り目112の位置が折り位置(折り板62の端部621の直下の位置)に到達した時に搬送を一旦停止する。又は、用紙100の先端部が、上側ローラ871の上部表面を所定量だけ通過した時に搬送を一旦停止するように構成してもよい。尚、図5においては、用紙100と上ローラ871に隙間があるように表現されているが、通常、用紙100の下面は上ローラ871の上部表面を擦りながら停止位置まで通過している。又、この間、折り板62は待避位置を維持している。
【0059】
尚、第一搬送ローラ対86の上ローラ861は、片部103の表面に接触しない幅寸法に設定されているので、前述の糊塗布部5にて、用紙100の片部103に塗布された糊が第一搬送ローラ対86に付着することはない。
【0060】
(5-2)次に、図6に示すように、折り板62は待避位置を維持したまま、切替ゲート板63を第二の案内位置(略水平位置)に移動する。
【0061】
(5-3)次に、図7に示すように、切替ゲート板63上の用紙100を挟み込むように、前記退避位置に配置されている折り板62を略水平状態で折りたたみ位置に下降させることによって、用紙100の前方面部101を前記第二の搬送ローラ対87の上側ローラ871表面に沿って第2折り目112から折り返す。この時、切替ゲート板63と下降後の折り板62が近接する距離は、少なくとも、折り板62と前記切替ゲート板63との間を、前記用紙が搬送できるだけの隙間が確保されるように構成する。例えば、約1mmの隙間が確保される。
【0062】
以上によれば、紙折り機構として、用紙挿入空間(分流経路)及び、ストッパを設ける必要がない為、構造の複雑化を招くことなく、簡易で安価に構成できる。又、制御手段により、種々の折り仕様に合わせて折り位置を自動的に調整する為、操作性の良い紙折り装置を提供することができる。さらに、折り返された片部にしわができるのを防止すると共に、折り加工する場合においても、ストッパ等の折り機構内部に糊が付着して成果物の品質に悪影響を及ぼすことがない。
【0063】
(5-4)次に、図8に示すように、折り板62の下降により前記用紙100の前方面部101を折り返した後、さらに、第一の搬送ローラ対86により、用紙の先端部を折り返した後の用紙先端折り返し部105を、第二の搬送ローラ対87のニップ部873に向けて搬送し、第二の搬送ローラ対87のニップ部873で用紙の先端折り返し部105を挟み込んでF方向に搬送することにより、用紙先端折り返し部105を押圧して折り込む。そして、前方面部101全体が折り返されて後方面部102の表面に合わされていき、その際、前方面部101の両縁部が片部103に接合される。これにより、洋式封筒90が得られる。尚、F方向への搬送は、用紙100の最後方面部104が所定量だけ第一の搬送ローラ対86のニップ部863を抜けるまで搬送する。このとき、用紙100は、折り板62と切替ゲート板63との隙間を通して(両板にガイドされながら)搬送される。これによれば、皺等が発生することなく確実に、次段の第二搬送ローラ対87のニップ部873による押圧加工部に受け渡すことができる。
【0064】
以上によれば、折り板の下降により用紙の先端部を折り返した後、折り返した後の用紙先端折り返し部を、第二の搬送ローラ対87のニップ部873で押圧して折り込むように制御する為、用紙に確実に折り癖を付けることができる。
【0065】
又、第一の搬送ローラ対86の用紙搬送方向上流側に、クリース加工部2を備えており、前記クリース加工部2は、前記平面状の用紙100を折り曲げ加工する際の折り目(第2折り目112、第3折り目113)に、予め、クリースを形成して折り起点を作るようになっている為、きれいに精度よく折ることができる。又、用紙の折り曲げ加工時に発生する印刷割れを抑制することができる。
【0066】
(第2折り部6における用紙100の座屈、当たり音対策)
次に、第2折り部6における用紙100の座屈、当たり音対策について説明する。第2折り部6における用紙100の加工順序についての大きな流れは、上記(5-1)から(5―4)にて説明した通りであるが、以下の説明は、用紙100の座屈、当たり音対策として(5-1)の動作をさらに展開するものである。
【0067】
図9(a)に示すように、第一の案内位置63a(傾斜角度θ1)に配置された切替ゲート板63によって、搬送される前記用紙100の先端部を上向きに案内していく際、用紙100の種類によっては(特に、厚紙)、用紙100の先端端部100´が上側ローラ871の上部表面871aに突き当たって音鳴りする当たり音が発生する場合があり、操作者にとって不快である。前記当たり音の対策として、図9(b)に示すように、離反位置63bとして切替ゲート板の傾斜角度を大きくして(傾斜角度θ2)、用紙100の先端端部100´が上側ローラ871の上部表面871aに突き当たらないような角度に設定すると、当たり音の発生は防ぐことができるが、そのままの傾斜角度で、特に薄紙を用いた場合には、切替ゲート板の傾斜を安定して上って行けずに座屈するという別の問題が発生する。
【0068】
前述のような双方の問題を解決するには、切替ゲート板の傾斜角度は、厚紙を用いる場合は、当たり音対策として傾斜角度を大きくし(傾斜角度θ2)、薄紙を用いる場合は、座屈対策として傾斜角度を小さくする(傾斜角度θ1)必要があり、用紙100の種類(厚紙、薄紙)にかかわらず、双方の問題をまとめて解決できる共通の傾斜角度の幅はほとんどない。
【0069】
そこで、次のように制御すれば、操作者により予め用紙の種類(厚さ)を入力することなく、共通の制御で用紙100の座屈及び当たり音の発生を防ぐことができる。
基本的な切替ゲート板63の配置位置を第一の案内位置63aとし、第一の案内位置63aにおける切替ゲート板63の傾斜角度は、切替ゲート板63上を上向きに案内される用紙100の種類が薄紙であっても座屈しない程度の角度に設定されている(図10(a)におけるθ1)。又、当たり音対策として、用紙100の種類が厚紙であっても、切替ゲート板63を前記第一の案内位置63aから離反位置63b(図10(b)におけるθ2)に、一時的に切り替えることにより、用紙100の先端端部100´が上側ローラの上部表面871aに突き当たるのを回避して当たり音の発生を防ぐことができる。
【0070】
詳細には、製袋機10は、装置全体の作動を制御する制御手段を備え、制御手段は、図11(a)に示すように、第一の案内位置63aに配置された切替ゲート板63によって、搬送される用紙100の先端部を、上向きに案内していき、少なくとも、用紙100の先端端部100´が上側ローラ871の上部表面871aに突き当たる前に、一旦、切替ゲート板63を離反位置63bに配置することにより、用紙100の先端端部100´が上側ローラの上部表面871aに突き当たるのを回避した後、第一の案内位置63aに戻すように制御する。その後は、前述(5-2)から(5―4)に記載のように、用紙100の先端部が、上側ローラ871の上部表面を所定量だけ通過するように案内した後、切替ゲート板63を第二の案内位置(図6参照)に切り替え、その後、切替ゲート板63上の用紙100を挟み込むように、退避位置に配置されている折り板62を略水平状態で折りたたみ位置に下降させることによって、用紙100の先端部を上側ローラ871の表面に沿って折り返すように制御する。
【0071】
これによれば、厚紙を用いた場合であっても、用紙100の先端端部100´が上側ローラ871の上部表面871aに突き当たって音鳴りする当たり音の発生を、効果的に防ぐことができる。尚、当たり音対策として、切替ゲート板63を第一の案内位置63aから離反位置63bに切り替える際においても用紙100の搬送は停止することなく継続する。したがって、処理速度には影響しない。
【0072】
前記切替ゲート板63を離反位置63bから第一の案内位置63aに戻すタイミングは、具体的には、用紙の先端部を離反位置63b(図11(a)の63b)にて上向きに案内していく途上において、仮に、切替ゲート板63を離反位置63bから第一の案内位置63aに戻したと想定した場合に、第一の案内位置63aに戻した用紙100(図11(b)の一点鎖線)の先端端部100´の位置が、少なくとも、切替ゲート板63上面の仮想延長線(図11(b)の破線)と、上側ローラ871の上部表面とが交差する交点871aの位置(傾斜角度θ1)を越えたタイミング(例えば、図11(b)の871b)である。
【0073】
これによれば、厚紙を用いた場合であっても、用紙100の先端端部100´が上側ローラ871の上部表面871aに突き当たって音鳴りする当たり音の発生を確実に防ぐことができる。すなわち、図11(b)の一点鎖線に示すように、用紙100の先端部が上側ローラ871の上部表面に対して一定以上傾斜しており(傾斜角度θ3)、上側ローラ871の上部表面に対する用紙100の先端端部100´の直接の突き当りを回避できる為に、当たり音の発生を確実に防ぐことができる。
【0074】
(6)次に、第2折り部6から加圧部8に搬送された洋封筒90は、折り部105、106が加圧部8の上型8aと下型8bの間で、順次、挟み込まれ加圧される。したがって、折り部105、106が強固なものとなる。加圧後の洋封筒90は搬送ローラ対88により、排紙部7に向けて搬送され、排紙トレイ71上に排紙される。
【0075】
本発明における紙折り装置(第2折り部6)は、一実施形態として、洋封筒を製作する製袋機10に紙折り機構として採用する場合について説明したが、単に用紙を折り畳む紙折り機(紙折り装置)としても実施可能である。
【0076】
尚、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0077】
F 搬送方向
F´ 搬送方向
θ1 傾斜角度
θ2 傾斜角度
2 第1クリース加工部
3 第1折り部
4 第2クリース加工部
5 糊塗布部
6 第2折り部
7 排紙部
8 加圧部
10 製袋機
10A 装置本体
62 折り板
63 切替ゲート板
63a 第1の案内位置
63b 離反位置
64 駆動機構
65 駆動機構
86 第1の搬送ローラ対
87 第2の搬送ローラ対
100 用紙
100´ 用紙
101 前方面部
102 後方面部
103 糊代用片部
104 最後方面部
105 折り返し部
106 折り返し部
111 第1折り目
112 第2折り目
113 第3折り目
631 支持軸
871 上側ローラ
871a 上部表面(当接箇所)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16