(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162866
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】部品ストック装置および部品装着装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20231101BHJP
【FI】
H05K13/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073559
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 智昭
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353GG01
5E353HH52
5E353HH55
5E353HH56
5E353JJ21
5E353JJ48
5E353QQ01
(57)【要約】
【課題】マガジンが不完全に挿入される状態の発生を抑制し、マガジンの完全な挿入後に稼働を開始できる。
【解決手段】部品ストック装置は、マガジンを内部空間の所定位置に収容するストッカと、ストッカに形成された開口を通じてストッカの外部へ進出および後退することにより、外部と内部空間との間でマガジンを移動するマガジン搬送手段と、マガジンが所定位置に位置する場合にマガジン搬送手段との間に隙間を有して開口を閉鎖する扉と、開口を閉鎖したときの扉を検出する開口閉止検出部と、マガジンが所定位置よりも開口側の位置である規制位置に位置する場合にマガジンの所定位置への搬送を規制する規制手段と、規制手段の規制を解除してマガジンの所定位置への移動を許可するとともに、マガジンが所定位置に到達したときのマガジン搬送手段の移動をロックする切換え手段と、を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を格納する部品収納体を抜き差し可能に有するマガジンを内部空間の所定位置に収容するストッカと、
前記ストッカに形成された開口を通じて前記ストッカの外部へ進出および後退することにより、前記外部と前記内部空間との間で前記マガジンを移動するマガジン搬送手段と、
前記マガジンが前記所定位置に位置する場合に前記マガジン搬送手段との間に隙間を有して前記開口を閉鎖する扉と、
前記開口を閉鎖したときの前記扉を検出する開口閉止検出部と、
前記マガジンが前記所定位置よりも前記開口側の位置である規制位置に位置する場合に前記マガジンの前記所定位置への搬送を規制する規制手段と、
前記規制手段の規制を解除して前記マガジンの前記所定位置への移動を許可するとともに、前記マガジンが前記所定位置に到達したときの前記マガジン搬送手段の移動をロックする切換え手段と、を備える、
部品ストック装置。
【請求項2】
前記マガジン搬送手段は、前記マガジンを載置する載置部を備え、
前記規制手段は、前記載置部の下方に設けられ下方に向かって突出する第1係合部と、前記内部空間に設けられ前記載置部に向かって上方に突出して前記第1係合部と係合する第2係合部と、を含み、
前記切換え手段は、前記第1係合部が前記第2係合部と前記開口側で係合する第1の位置と、前記第1係合部が前記第2係合部と前記開口側で係合しない第2の位置との間で前記第1係合部を移動させ、前記第1係合部が前記第2の位置に位置している場合、前記マガジンが前記規制位置から前記所定位置へ搬送されることを許可する、
請求項1に記載の部品ストック装置。
【請求項3】
前記マガジンの搬送方向と交差する方向を揺動中心として揺動可能であって、一方の端部が前記揺動中心を中心に揺動するとともに他方の端部も揺動するロックレバーと、をさらに有し、
前記第1係合部は、前記ロックレバーの前記他方の端部に設けられ、
前記切換え手段は、前記一方の端部の揺動によって前記他方の端部を揺動させて前記第1係合部が前記第2係合部と前記開口側で係合しない前記第2の位置に移動させる前記ロックレバーにより構成される、
請求項2に記載の部品ストック装置。
【請求項4】
前記マガジンが前記規制位置にある場合には、前記開口に対する前記扉の閉止が、前記扉に当接する前記ロックレバーによって妨げられる、
請求項3に記載の部品ストック装置。
【請求項5】
前記第1係合部と前記第2係合部とは、前記外部から前記内部空間への前記マガジンの搬送方向の長さ合計が、前記隙間の距離よりも大きい、
請求項4に記載の部品ストック装置。
【請求項6】
前記第2係合部は、前記外部から前記内部空間への前記マガジンの搬送方向とは逆の方向に付勢される、
請求項2から5のうちいずれか一項に記載の部品ストック装置。
【請求項7】
前記所定位置にある前記マガジンをほぼ水平に付勢し、前記第1係合部を、前記外部から前記内部空間への前記マガジンの搬送方向とは逆の方向で前記第2係合部に押し当てる付勢部材をさらに有する、
請求項2から5のうちいずれか一項に記載の部品ストック装置。
【請求項8】
請求項1から5のうちいずれか一項に記載の部品ストック装置と、
前記部品ストック装置の前記内部空間に収容された前記マガジンから前記部品収納体を引き出す部品収納体引出し部と、
前記部品収納体引出し部により引き出された前記部品収納体から前記部品をピックアップして基板に前記部品を装着する装着ヘッドと、を備える、
部品装着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部品ストック装置および部品装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、部品を整列収容したトレイを上下に分離して複数収納するマガジンを、扉を持ったマガジン出し入れ口を通じてキャビネット内の昇降台に受載する部品供給装置を開示している。この部品供給装置は、その受載位置に押え具で押えてマガジンを固定し、昇降台の昇降によって受載しているマガジン内の所定のトレイをキャビネットのトレイ出し入れ位置に位置決めし、そのトレイの引き出しにより収容している部品を使用に供する。また、部品供給装置は、扉が閉じ位置にあることを検出手段が検出しているときに部品供給動作を行う。扉は、押え具が押え位置にないとき押え具に邪魔されて閉じられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような部品供給装置は、扉開閉機構上、閉扉時に、扉と部品供給装置自体のキャビネット内に挿入されるべきマガジンとの間に隙間を確保する必要がある。このため、押え具が押え位置に至る途中位置の半ロック状態(すなわち、マガジンが不完全な挿入状態)であっても、扉が閉まってしまうことがあった。この場合、検出手段は、扉の閉止を検出するため、部品供給装置が不完全に挿入されてしまったマガジンに対して稼働(例えばマガジン内のトレイを部品実装装置側に供給する処理)を開始してしまう可能性があった。
【0005】
本開示は、上述した従来の状況に鑑みて案出され、マガジンが不完全に挿入される状態の発生を抑制し、マガジンの完全な挿入後に稼働を開始できる部品ストック装置および部品装着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、部品を格納する部品収納体を抜き差し可能に有するマガジンを内部空間の所定位置に収容するストッカと、前記ストッカに形成された開口を通じて前記ストッカの外部へ進出および後退することにより、前記外部と前記内部空間との間で前記マガジンを移動するマガジン搬送手段と、前記マガジンが前記所定位置に位置する場合に前記マガジン搬送手段との間に隙間を有して前記開口を閉鎖する扉と、前記開口を閉鎖したときの前記扉を検出する開口閉止検出部と、前記マガジンが前記所定位置よりも前記開口側の位置である規制位置に位置する場合に前記マガジンの前記所定位置への搬送を規制する規制手段と、前記規制手段の規制を解除して前記マガジンの前記所定位置への移動を許可するとともに、前記所定位置に位置する前記マガジンの前記マガジン搬送手段の移動をロックする切換え手段と、を備える、部品ストック装置を提供する。
【0007】
本開示は、部品ストック装置と、前記部品ストック装置の前記内部空間に収容された前記マガジンから前記部品収納体を引き出す部品収納体引出し部と、前記部品収納体引出し部により引き出された前記部品収納体から前記部品をピックアップして基板に前記部品を装着する装着ヘッドと、を備える、部品装着装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、マガジンが不完全に挿入される状態の発生を抑制でき、マガジンの完全な挿入後に稼働を開始できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】部品装着装置が備える部品ストック装置の透視斜視図
【
図4】(a)および(b)部品ストック装置が備えるマガジンの斜視図
【
図6】(a)および(b)部品ストック装置の動作説明図
【
図7】部品装着装置の部品ストック装置が備えるストッカの透視側面図
【
図8】内部空間の所定位置にマガジンが位置決めされたときの規制手段および切換え手段の要部拡大図
【
図9】マガジンの未挿入状態でマガジン搬送手段が規制手段によって規制された、部品ストック装置の要部拡大図
【
図12】第1係合部が第1の位置となったときの動作説明図
【
図13】ロックレバーが揺動されたときの動作説明図
【
図14】第1係合部が第2係合部を乗り越える途中の動作説明図
【
図15】第1係合部が第2係合部を乗り越えた直後の動作説明図
【
図16】第1係合部がマガジン出入口と反対側の内部空間側から第2係合部に当接してマガジンが所定位置にロックされたときの動作説明図
【
図17】マガジンが所定位置に配置されたときの扉の閉止状態を表す、比較例に係る部品ストック装置の要部拡大図
【
図18】マガジンが不完全な挿入状態となったときの扉の閉止状態を表す、比較例に係る部品ストック装置の要部拡大図
【
図19】挿入が不完全な状態でマガジンに押し戻し方向の付勢力が作用した、実施の形態1に係る部品ストック装置の要部拡大図
【
図20】挿入が不完全な状態でマガジンが押し戻されて第1係合部が第1の位置となった、実施の形態1に係る部品ストック装置の要部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る部品ストック装置および部品装着装置を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0011】
図1は、部品装着装置11の側面図である。部品装着装置11は、本開示に係る部品装着装置の一例であり、所定の部品供給位置に供給されたトレイTRから部品BHをピックアップして基板KBに装着することによって実装基板を生産する装置である。部品装着装置11は、基台13のほか、搬送コンベア15、部品ストック装置17、装着ヘッド19、ヘッド移動機構21等の各装置を備える。以下の説明では、
図1において作業者OPから見た左右方向をX軸方向とし、作業者OPから見た前後方向をY軸方向とする。また、X軸方向およびY軸方向の両方に直交する上下方向をZ軸方向とする。更に、Y軸方向のうち、作業者OPから見た奥側を前方、手前側を後方とする。
【0012】
搬送コンベア15は、基台13の上面に設けられており、基板KBをX軸方向に搬送して所定の作業位置に位置決めする。部品ストック装置17は、部品装着装置11へ部品BHを供給するための部品供給装置である。部品ストック装置17は、部品供給用のトレイTRを保持した複数の部品収納体(例えばパレットPL)を収納したマガジン23を上下方向に収納するとともに、必要なパレットPLを引き出して所定の部品供給高さに位置させることにより部品BHを供給する。
【0013】
図1において、装着ヘッド19は、下端に部品BHを吸着する吸着ノズル25を備える。装着ヘッド19は、各吸着ノズル25の下端にトレイTR内の部品BHを吸着させる力を発生できる。ヘッド移動機構21は、部品ストック装置17によって部品供給高さに位置されたパレットPLと搬送コンベア15によって位置決めされた基板KBのとの間で装着ヘッド19を移動させる。
【0014】
図2は、部品装着装置11が備える部品ストック装置17の透視斜視図である。
図3は、部品ストック装置17の透視側面図である。部品ストック装置17は、部品装着装置11の一部を構成する装置として設けられてもよいし、部品装着装置11とは別体の装置として設けられてもよい。以下では、部品ストック装置17は、部品装着装置11の一部を構成する装置として設けられるとして説明する。
【0015】
図2および
図3において、部品ストック装置17は、台車27と、ストッカ29と、マガジン23と、部品収納体引出し部(パレット引出部31)と、昇降機構33とを備える。台車27は、複数のキャスタ35によって床面上を移動自在であり、作業者OPによって移動される。部品装着装置11の稼働時には、部品ストック装置17は、基台13の後方位置に設置される(
図1参照)。
【0016】
図2および
図3に示すように、ストッカ29は、台車27の後部に取り付けられている。ストッカ29の内部空間37には、上下に配置された複数のマガジン設置棚39が設けられている。各マガジン設置棚39には、マガジン23がひとつずつ所定位置で設置される。
【0017】
図2において、ストッカ29の一方の側面には開口(例えばマガジン出入口41)が形成されている。マガジン出入口41は、マガジン23をマガジン設置棚39に設置する際の出入口となる。パレット引出部31は、ストッカ29の前方に位置している。パレット引出部31は、昇降機構33によって昇降自在となっている。
【0018】
図4(a)および(b)は、部品ストック装置17が備えるマガジン23の斜視図である。マガジン23は、
図4(a)および(b)に示すように、X軸方向に対向して配置された左右の側板43、天板45および底板47を備え、全体として前後それぞれに開口した箱形状を有している。マガジン23は、内部に上下方向に並んだ複数のスロット49を備え(
図4(a)参照)、各スロット49にパレットPLが1枚ずつ水平姿勢に挿入されて収納されている。このため各パレットPLは、マガジン23に対して水平方向に挿抜することができる。マガジン23の下面側(底板47の下面)の四隅それぞれには、マガジン23を容易に移動できるようにするための車輪51が設けられている。
【0019】
図5は、部品ストック装置17の一部の斜視図である。
図4(b)および
図5において、パレットPLは皿形状を有し、トレイTRはパレットPLの上面に載置されている。トレイTRにはマトリクス状に複数のポケットPKが設けられており(
図5参照)、各ポケットPKに部品BHがひとつずつ収納されている。トレイTRはパレットPLの上面に磁石等の固定具KGによって固定されることで位置決めされている。パレットPLの前縁には、左右方向(X軸方向)に対向して配置された一対の被係合ブロックBLが設けられている。
【0020】
図5において、パレット引出部31は、テーブル部53、係止具55および一対のパレットガイド57を有している。係止具55はX軸方向に延びたロッド状の部材であり、テーブル部53上をY軸方向に移動自在に設けられている(
図5の矢印A参照)。一対のパレットガイド57は、テーブル部53の上面の係止具55をX軸方向に挟む位置に設けられており、それぞれY軸方向に延びた形状を有している。
【0021】
図6(a)および(b)は、部品ストック装置17の動作説明図である。パレット引出部31は、マガジン23の内方に収納されているパレットPLを引き出す場合には、テーブル部53で係止具55を後方に移動させ(
図5→
図6(a))、係止具55の両端部をパレットPLの一対の被係合ブロックBLに係合させた後(
図6(a))、係止具55を前方に移動させる(
図6(a)→
図6(b))。これにより、パレットPLは、マガジン23から引き出されてテーブル部53の上に移動する。このときパレットPLは、左右のパレットガイド57によって両側面がガイドされるので、テーブル部53に対して傾くこと無く正しい姿勢でテーブル部53の上に載置される。
【0022】
図2および
図3において、昇降機構33は、台車27から上方に延びて設けられた前後のガイド柱59と、Z軸方向に延びたボール螺子61と、ボール螺子61をZ軸回りに回転駆動する昇降モータ63を備えている。ボール螺子61は、パレット引出部31のテーブル部53の後部に設けられたナット部65に螺合している。昇降モータ63は、ボール螺子61をZ軸回りに回転させることで、ナット部65を介してテーブル部53を(すなわちパレット引出部31を)昇降させる(
図3の矢印B参照)。このときガイド柱59は、テーブル部53のZ軸方向の移動のガイドとして機能する。
【0023】
図1において、部品装着装置11が備える制御装置67は、部品装着装置11の各部の作動制御を統括的に制御しながら行う。具体的には、制御装置67は、搬送コンベア15による基板KBの搬送および作業位置への位置決め動作の制御を行う。また、制御装置67は、部品ストック装置17による部品BHの供給動作の制御を行う。詳細には、制御装置67は、昇降機構33によるパレット引出部31の昇降動作の制御と、パレット引出部31によるマガジン23からのパレットPLの挿抜動作の制御を行う。また、制御装置67は、装着ヘッド19による部品BHの吸着動作の制御と、ヘッド移動機構21による装着ヘッド19の移動制御を行う。
【0024】
部品装着装置11が基板KBに対する部品BHの装着作業を行う場合には、制御装置67は先ず、搬送コンベア15を作動させて、上流工程側から供給された基板KBを受け取って所定の位置に位置決めする。制御装置67は、基板KBを位置決めしたら、昇降モータ63を作動させて、引き出そうとするパレットPLが収納されているスロット49の高さにパレット引出部31を移動させる。そして、テーブル部53の上面がスロット49の高さに位置したら、制御装置67は、係止具55を後方(マガジン23の側)に移動させて、その左右の両端部を、パレットPLが備える一対の被係合ブロックBLに係合させる(
図5→
図6(a)参照)。
【0025】
係止具55の左右の端部がパレットPLの被係合ブロックBLに係合したら、制御装置67は、係止具55を前方に移動させて、パレットPLをテーブル部53の上面に載せる(
図6(a)→
図6(b)参照)。パレットPLがテーブル部53の上面に載ったら、制御装置67は、昇降モータ63を作動させて、テーブル部53を部品供給高さに位置させる(
図1および
図2参照)。テーブル部53が部品供給高さに位置したら、制御装置67は、パレットPLに収納された部品BHを装着ヘッド19によりピックアップすることが可能となる。
【0026】
パレットPLに収納された部品BHを装着ヘッド19によりピックアップすることが可能となったら、制御装置67は、装着ヘッド19を移動させて、ピックアップ動作と部品装着動作からなる装着ターンを繰り返し実行する。ここで、ピックアップ動作は、部品ストック装置17が供給する部品BHを吸着ノズル25に吸着させる動作であり、部品装着動作は、ピックアップ動作で吸着ノズル25に吸着させた部品BHを基板KBに装着する動作である。制御装置67は、装着ターンを繰り返し実行することによって基板KBに装着するべき部品BHを全て基板KBに装着したら、搬送コンベア15を作動させて、基板KBを下流工程側に搬出する。これにより、基板KBの1枚あたりの部品装着作業が終了する。
【0027】
図7は、部品装着装置11の部品ストック装置17が備えるストッカ29の透視側面図である。ストッカ29に設けられたそれぞれのマガジン設置棚39には、レール部69が取り付けられている。各マガジン設置棚39には、このレール部69を介してマガジン23がひとつずつ設置される。レール部69は、ストッカ29の一方の側面に形成されているマガジン出入口41から、外部71へ進出可能となる。レール部69は、ストッカ29の内部空間37からマガジン出入口41を介し、外部71に対して進退可能となっている。
【0028】
レール部69は、ストッカ29の内部空間37をX軸方向に延びて設けられている。レール部69は、Y軸方向に並んで配置された一対の入れ子式のレール(伸縮レール)からなり、ストッカ29に固定されたベースレール73と、ベースレール73に対してスライドするスライドレール75とを有している。
【0029】
ベースレール73は、その全部がストッカ29の内部空間37に収納されている。スライドレール75は、その全部がストッカ29の内部空間37に収納される位置と、マガジン出入口41を通じてストッカ29の外部71へ進出する位置との間で移動(スライド)することができる。
【0030】
一対のスライドレール75の上には、マガジン23の載置部であるマガジン載置部77が横方向(X軸方向。ほぼ水平方向)にスライド自在に設けられている。レール部69とマガジン載置部77とは、マガジン搬送手段79を構成する。マガジン載置部77は、レール部69がマガジン出入口41を介して進退することで、ストッカ29の内部空間37に収容された位置と、ストッカ29の外部71に引き出された位置との間で移動できる。
【0031】
マガジン載置部77の上面には、Y軸方向に延びた保持部81がX軸方向に2つ並んで配置される。2つの保持部81は、マガジン23の下面と側面とが交わる角部を載置する段部を有する。これら2つの保持部81は、段部を対向させる向きで配置されることにより、マガジン23をX軸方向から挟んで保持する。保持部81は、マガジン載置部77に載置されたマガジン23の移動を規制する移動規制部となっている。
【0032】
ストッカ29の一部である壁部83には、載置部ストッパ85の基端部が取り付けられている。載置部ストッパ85は、先端部をマガジン出入口41に向けている。載置部ストッパ85はX軸方向に移動自在であり、戻しばね87によってマガジン出入口41に向かって付勢されている。このため、載置部ストッパ85は、レール部69の後退によりマガジン載置部77からの押圧力を受けた場合には、戻しばね87を押し縮めながら、設定された移動限界に至るまでマガジン出入口41から離反する方向(壁部83に接近する方向)に移動する。
【0033】
載置部ストッパ85より上方の壁部83には、付勢部材であるマガジン付勢ばね89の基端側が取り付けられている。マガジン付勢ばね89は、先端(自由端)側をマガジン出入口41に向けている。マガジン付勢ばね89は、圧縮ばねからなっている。マガジン23は、ストッカ29の内部空間37に押し込まれる途中で、マガジン付勢ばね89の先端(自由端)に当接し、マガジン付勢ばね89を押し縮める。これにより、マガジン付勢ばね89には、マガジン23をマガジン出入口41に向かう方向へ押圧する(押し戻す)付勢力が生じる。マガジン付勢ばね89に押し戻されたマガジン23は、マガジン出入口41の側の保持部81に当接することで、マガジン載置部77に対してX方向のがたつきが規制される。
【0034】
載置部ストッパ85とマガジン設置棚39との間の壁部83には、ブラケット91の基端側が固定されている。ブラケット91は、各レール部69に沿って延在し、先端側がマガジン出入口41に向かって突出している。このブラケット91の突出方向の先端と、マガジン載置部77における進出方向の先端とには、両者に亘って規制手段93が設けられている。また、マガジン載置部77における進出方向の先端には、切換え手段95が設けられている。
【0035】
図8は、内部空間37の所定位置にマガジン23が位置決めされたときの規制手段93および切換え手段95の要部拡大図である。ストッカ29の一部である外殻部97には、マガジン23を挟んで壁部83と反対側に、上述のマガジン出入口41が形成されている。外殻部97には、マガジン出入口41を開閉自在とする扉99が取り付けられている。扉99は、外殻部97に取り付けられた戸当り部101に当接することでマガジン出入口41を閉鎖し、最終閉止位置Cとなる。
【0036】
内部空間37には、外殻部97に固定されたセンサブラケット103がマガジン出入口41の近傍に配置されている。センサブラケット103には、マガジン出入口41を閉止した扉99を検出する開口閉止検出部105が取り付けられている。開口閉止検出部105は、マガジン出入口41を閉じて、最終閉止位置Cとなった扉99を検出する。開口閉止検出部105は、例えば溝内に一対の離間接点(不図示)を有し、扉99に設けられた導体キーKEが溝内に挿入されることで一対の離間接点を閉じ、扉99が最終閉止位置Cとなったことを検出する。なお、開口閉止検出部105の構成は、閉止した扉99を検出できれば、これに限定されない。
【0037】
図9は、マガジン23の未挿入状態でマガジン搬送手段79が規制手段93によって規制された、部品ストック装置17の要部拡大図である。規制手段93は、マガジン23が所定位置よりも開口側の位置である規制位置において、マガジン23が所定位置へ搬送されるのを規制する。規制手段93は、第1係合部107と、第2係合部109と、を含む。第1係合部107は、載置部の下方に配置され、下方に向かって突出する。第2係合部109は、ブラケット91の突出先端に配置され、マガジン載置部77に向かって上方に突出して第1係合部107と係合する。
【0038】
本実施の形態では、切換え手段95は、例えばロックレバー111である。ロックレバー111は、マガジン載置部77に沿ってX軸方向に延在し、マガジン23の搬送方向と交差する水平方向(つまりY軸方向)の揺動軸113を揺動中心として揺動可能となる。ロックレバー111は、揺動軸113を挟む一方の端部(マガジン出入口側の端)が揺動軸113を中心に揺動するとともに他方の端部も揺動する。
【0039】
ロックレバー111は、一方の端部に、摘み部115を有する。摘み部115の下方には、マガジン載置部77から延出したハンドル部117が離間して配置される。ロックレバー111は、例えば作業者OPが片手でハンドル部117を把持しながら、指で摘み部115を押下することにより、揺動が可能となる。ロックレバー111は、他方の端部が、レバー付勢ばね119により
図9の下向きに付勢される。つまり、ロックレバー111は、揺動軸113を中心に時計回りに付勢される。レバー付勢ばね119により付勢されたロックレバー111は、図示しないレバーストッパにより、水平位置で停止する。従って、ロックレバー111は、摘み部115が押下されると、レバー付勢ばね119の付勢力に抗して反時計回りに揺動する。
【0040】
ロックレバー111は、他方の端部に、第1係合部107が下向きに突出して設けられている。ロックレバー111は、第1係合部107が第2係合部109と開口側で係合する第1の位置と、第1係合部107が第2係合部109と開口側で係合しない第2の位置との2つの位置間で第1係合部107を移動させることができる。つまり、ロックレバー111は、摘み部115の揺動によって、第1係合部107が第2係合部109と開口側で係合しない第2の位置に移動させることができる。ロックレバー111は、第1係合部107が第2の位置に位置していれば、マガジン23が規制位置から所定位置へ搬送されることを許可する。
【0041】
部品ストック装置17は、マガジン23が、
図9に示す規制位置にある場合には、マガジン出入口41に対する扉99の閉止が、扉99の内側に当接するロックレバー111(摘み部若しくはハンドル部117)によって妨げられる。
【0042】
摘み部115の揺動によって、移動が許可されたマガジン搬送手段79は、ハンドル部117によって押し込まれることにより内部空間37の奥側へ移動される。ロックレバー111は、マガジン23が所定位置に到達したとき、摘み部115から手指が離されることで、レバー付勢ばね119の付勢力により
図8の時計回りに揺動され、第1係合部107が、マガジン出入口41の反対側から第2係合部109に当接する。
【0043】
この状態で、マガジン23は、マガジン付勢ばね89によりほぼ水平に付勢される。第1係合部107は、外部71から内部空間37へのマガジン23の搬送方向とは逆の方向で第2係合部109に押し当てられる。これにより、部品ストック装置17は、
図8に示すように、マガジン搬送手段79の移動が、ロックレバー111によってロックされる(位置決めされる)。
【0044】
図10は、規制手段93および切換え手段95の要部拡大図である。第1係合部107と第2係合部109とは、外部71(例えば
図7参照)から内部空間37へのマガジン23の搬送方向(X軸方向)におけるそれぞれの距離(長さ若しくは幅)であるTとUの合計(T+U)が、隙間Sの距離よりも大きい(S<T+U)。これにより、切換え手段95は、
図9に示すように、第1係合部107が、マガジン出入口41の側から第2係合部109に当接すると、扉99の閉止を不能に規制することができる。
【0045】
図11は、第2係合部109の付勢構造を表す要部斜視図である。第2係合部109は、外部71から内部空間37へのマガジン23の搬送方向とは逆の方向に付勢される。第2係合部109は、Y軸方向に沿う軸部材121(
図10参照)を有する。この軸部材121の外周には、第1係合部107と接触する外筒部材123が回転自在に外挿されている。つまり、第2係合部109は、第1係合部107との係合または係合解除時に、外筒部材123が回転して低摩擦での接触を可能としている。軸部材121の両端は、一対の平行な支持板125を起立させた支持金具127に支持されている。支持金具127は、ブラケット91に固定される。それぞれの支持板125には、X軸方向に長い長穴129が形成される。第2係合部109の軸部材121は、両端が長穴129を貫通して、長穴129の長手方向に移動自在に支持されている。第2係合部109は、軸部材121に外挿された外筒部材123が、一対の支持板125の間に、軸方向の移動が規制されて配置される。
【0046】
長穴129を貫通した軸部材121の両端には、可動側L字金具131が固定される。それぞれの可動側L字金具131には、長穴129の長手方向(X軸方向)に延在するガイド軸133が摺動自在に貫通する。ガイド軸133は、それぞれの支持板125に固定された固定側L字金具135に支持される。ガイド軸133には、可動側L字金具131と固定側L字金具135との間に、コイル状のストッパ付勢ばね137が外挿されている。ストッパ付勢ばね137は、可動側L字金具131をマガジン出入口側に付勢することで、第2係合部109を同方向に付勢している。X軸方向に付勢された第2係合部109は、軸部材121が長穴129の端に当たることで停止する。第2係合部109は、この停止位置に、第1係合部107がマガジン出入口41と反対の側から係合することにより、マガジン搬送手段79のX軸方向の移動を規制し、マガジン23を所定位置に位置決めする。
【0047】
次に、部品ストック装置17の動作を説明する。
【0048】
図12は、第1係合部107が第1の位置となったときの動作説明図である。マガジン搬送手段79の後退により、ロックレバー111が揺動されずに内部空間37に進入すると、ロックレバー111の他方の端部に設けられている第1係合部107は、第2係合部109に当接する第1の位置となる。このとき、マガジン23は、規制位置となる。第1係合部107が第1の位置となったロックレバー111は、一方の端部(摘み部115等)がマガジン出入口41よりも外部71へ突出するので、閉止されようとする扉99に干渉し、扉99によるマガジン出入口41の閉止が妨げられる。このため、マガジン23が規制位置であるときには、開口閉止検出部105がONとなることがない。
【0049】
図13は、ロックレバー111が揺動されたときの動作説明図である。第1係合部107が第1の位置となったロックレバー111は、一方の端部にある摘み部115が操作されると、第1係合部107が第2係合部109と開口側で係合しない第2の位置となる。ロックレバー111は、第1係合部107が第2の位置に位置している場合には、マガジン23が規制位置から所定位置へ搬送されることを許可する。
【0050】
図14は、第1係合部107が第2係合部109を乗り越える途中の動作説明図である。ロックレバー111の第1係合部107が第2の位置となったマガジン搬送手段79は、内部空間37へさらに押し込まれると、第1係合部107が外筒部材123(
図9参照)に摺接しながら第2係合部109を乗り越える。この際、ロックレバー111を
図14の時計回りに付勢しているレバー付勢ばね119は、圧縮されて弾性復元力が蓄積される。
【0051】
図15は、第1係合部107が第2係合部109を乗り越えた直後の動作説明図である。ロックレバー111は、マガジン23が所定位置まで押し込まれると、ロックレバー111の第1係合部107が第2係合部109を通過する。すると、ロックレバー111は、蓄積されたレバー付勢ばね119の弾性復元力により
図15の時計回りに揺動される。揺動されたロックレバー111は、第1係合部107が、マガジン出入口41と反対側の内部空間側から第2係合部109に当接する位置へと下降する。
【0052】
図16は、第1係合部107がマガジン出入口41と反対側の内部空間側から第2係合部109に当接してマガジン23が所定位置にロックされたときの動作説明図である。ロックレバー111は、第1係合部107が下降すると、内部空間側から第2係合部109に当接する。この状態で、マガジン搬送手段79のマガジン載置部77は、載置部ストッパ85の戻しばね87によりマガジン出入口側に付勢される。また、マガジン23もマガジン付勢ばね89によりマガジン出入口側に付勢される。
【0053】
これにより、マガジン搬送手段79は、第1係合部107が第2係合部109に当接することで、マガジン載置部77が位置決めされる。そして、マガジン23は、位置決めされたマガジン載置部77の保持部81に対して位置決めされて、所定位置にロックが完了する。部品ストック装置17は、マガジン23がこの所定位置となった状態で、扉99の閉止が妨げられなくなるので、扉99が戸当り部101に当たって閉鎖されることになる。その結果、部品ストック装置17は、開口閉止検出部105の溝に導体キーKEが入り込み、開口閉止検出部105がONとなって、マガジン23が正常に挿入されたことを設備側へ通知する。
【0054】
次に、部品ストック装置17の作用を説明する。
【0055】
部品ストック装置17は、部品BHを格納する部品収納体(例えばパレットPL)を抜き差し可能に有するマガジン23を内部空間37の所定位置に収容するストッカ29と、内部空間37に設けられてストッカ29に形成された開口(例えばマガジン出入口41)を通じてストッカ29の外部71へ進出および後退することにより、外部71と内部空間37との間でマガジン23を移動するマガジン搬送手段79と、マガジン23が所定位置に位置する場合にマガジン搬送手段79との間に隙間Sを有して開口を閉鎖するストッカ29に設けられる扉99と、開口を閉鎖したときの扉99を検出する開口閉止検出部105と、マガジン23が所定位置よりも開口側の位置である規制位置に位置する場合にマガジン23の所定位置への搬送を規制する規制手段93と、規制手段93の規制を解除してマガジン23の所定位置への移動を許可するとともに、マガジン23が所定位置に到達したときのマガジン搬送手段79の移動をロックする切換え手段95と、を備える。
【0056】
部品ストック装置17では、ストッカ29の内部空間37に設けられているマガジン搬送手段79によって、ストッカ29の内部空間37とストッカ29の外部71との間で、マガジン23の移動が可能となる。マガジン搬送手段79は、ストッカ29に形成された開口(例えばマガジン出入口41)を通じて外部71へ進出および内部空間37へ後退する。ストッカ29には、このマガジン出入口41を開閉する扉99が設けられている。
【0057】
扉99は、マガジン23が内部空間37の所定位置となったときに、マガジン搬送手段79との間に隙間Sを有して、マガジン出入口41を閉鎖する。部品ストック装置17は、各部品の製造公差や組立て公差により、マガジン23を所定位置に配置したマガジン搬送手段79がマガジン出入口41に僅かに突出する場合がある。この場合、扉99は、突出したマガジン搬送手段79に干渉すると、閉止不能となる可能性がある。そこで、部品ストック装置17は、上述の隙間Sを確保することで、マガジン23が所定位置に配置された際、公差により位置ずれしたマガジン搬送手段79が扉99に干渉することで、扉99が無用な閉止不能状態となることを回避している。
【0058】
ここで、部品ストック装置17における主な作用の説明に先立ち、比較例に係る部品ストック装置139の作用を説明する。
図17は、マガジン23が所定位置に配置されたときの扉99の閉止状態を表す、比較例に係る部品ストック装置139の要部拡大図である。
【0059】
部品ストック装置139は、マガジン23が所定位置に配置されると、マガジン搬送手段79に設けられているストッパ141に対して、ブラケット91に揺動自在となって支持されたレバー143が係止する。この際、マガジン23は、マガジン付勢ばね89によってマガジン出入口側に付勢されている。同様に、マガジン搬送手段79も、載置部ストッパ85の戻しばね87(
図7参照)によってマガジン出入口側に付勢されている。これにより、マガジン23は、X方向の移動が規制されたロック状態となって所定位置に位置決めされた状態となる。
【0060】
このとき、比較例に係る部品ストック装置139においても、マガジン搬送手段79と扉99との間には隙間Sが確保された状態で扉99が閉鎖される。閉鎖された扉99は、戸当り部101に当接することにより、それ以上閉めることはできない。つまり、扉99は、最終閉止位置Cとなる。このため、扉99を介してマガジン23を押し込むことはできない。この閉止状態で、扉99は、開口閉止検出部105によって閉止されたことが検出される。
【0061】
図18は、マガジン23が不完全な挿入状態となったときの扉99の閉止状態を表す比較例に係る部品ストック装置139の要部拡大図である。ところが、比較例に係る部品ストック装置139では、隙間Sが原因となってレバー143が半ロック状態となることがある。すなわち、レバー143がストッパ141に完全に係止していない半ロック状態であっても、扉99を無理に閉じた際には、マガジン23が不完全な挿入状態となったまま隙間Sの影響により、扉99が閉まってしまう。つまり、扉99は、最終閉止位置Cとなる。扉99が閉まってしまえば、開口閉止検出部105が扉99の閉止を検知してしまい、マガジン23が不完全な挿入状態であるにもかかわらず、設備がそのまま稼働を開始してしまう可能性が生じる。
【0062】
そこで、本実施の形態に係る部品ストック装置17では、ストッカ29に、規制手段93が設けられている。規制手段93は、マガジン23が所定位置に到達する前の開口側の位置(すなわち、マガジン23の未挿入状態)で
図9に示したように、マガジン搬送手段79の移動を規制する。つまり、マガジン23は、積極的に未挿入状態となる。ストッカ29は、このマガジン23の未挿入状態において、規制手段93によりマガジン搬送手段79の移動が規制され、マガジン搬送手段79が開口側に出っ張る。これにより、扉99は、マガジン搬送手段79と干渉して、閉鎖することができなくなる。そのため、開口閉止検出部105は、扉99が閉鎖されないので、扉99の閉止を検出することがない(ONとならない)。
【0063】
また、ストッカ29には、切換え手段95が設けられている。切換え手段95は、規制手段93の規制を解除し、未挿入状態となっているマガジン23の所定位置への移動を許可する。これに加え、切換え手段95は、マガジン23が所定位置に到達したとき、マガジン搬送手段79の移動をロックする。
【0064】
従って、部品ストック装置17では、マガジン23が所定位置に到達する前の未挿入状態で、マガジン搬送手段79の移動が規制手段93により規制されるので、扉99が閉まってしまうことがない。このため、マガジン23が不完全な挿入状態になることを未然に防ぐことができる。その結果、部品ストック装置17では、マガジン23が不完全な挿入状態のまま、開口閉止検出部105がONとなって、設備が稼働を開始してしまうことをしっかりと抑制できる。つまり、部品ストック装置17は、マガジン23が不完全に挿入される状態の発生を抑制し、マガジン23の完全な挿入後に稼働を開始できる。
【0065】
また、部品ストック装置17において、マガジン搬送手段79は、マガジン23を載置する載置部(例えばマガジン載置部77)を備える。規制手段93は、載置部の下方に設けられ下方に向かって突出する第1係合部107と、内部空間37に設けられ載置部に向かって上方に突出して第1係合部107と係合する第2係合部109と、を含む。切換え手段95は、第1係合部107が第2係合部109と開口側で係合する第1の位置と、第1係合部107が第2係合部109と開口側で係合しない第2の位置との2つの位置間で第1係合部107を移動させ、第1係合部107が第2の位置に位置している場合には、マガジン23が規制位置から所定位置へ搬送されることを許可する。
【0066】
この部品ストック装置17では、マガジン搬送手段79が、マガジン載置部77を備える。規制手段93は、第1係合部107と、第2係合部109と、を含む。第1係合部107は、載置部の下方に設けられ、下方に向かって突出される。第2係合部109は、内部空間37に設けられ、マガジン載置部77に向かって上方に突出される。
【0067】
切換え手段95は、第1係合部107を、第1の位置と第2の位置との2つの位置間で移動させる。第1係合部107は、第1の位置で、第2係合部109と開口側で係合する。第1係合部107は、第2の位置で、第2係合部109と開口側で係合しない。そして、切換え手段95は、第1係合部107が第2の位置に位置している場合には、マガジン23を規制位置から所定位置へ搬送されることを許可する。すなわち、切換え手段95は、マガジン23が規制位置から所定位置へ搬送されるよう、マガジン搬送手段79の移動規制を解除することができる。
【0068】
また、部品ストック装置17は、載置部に設けられマガジン23の搬送方向と交差する方向を揺動中心として揺動可能であって、一方の端部が揺動中心を中心に揺動するとともに他方の端部も揺動するロックレバー111と、をさらに有する。第1係合部107は、ロックレバー111の他方の端部に設けられる。切換え手段は、一方の端部の揺動によって他方の端部を揺動させて第1係合部107が第2係合部109と開口側で係合しない第2の位置に移動させるロックレバー111により構成される。
【0069】
この部品ストック装置17では、切換え手段95が、ロックレバー111とされる。ロックレバー111は、マガジン載置部77の下方に設けられ、下方に向かって突出される。ロックレバー111は、マガジン23の搬送方向に沿って延在し、延在方向の中央が、マガジン23の搬送方向に交差する水平な揺動中心で揺動可能となっている。
【0070】
ロックレバー111は、マガジン出入口側となる一方の端部が、揺動中心を中心に揺動されると、他方の端部も揺動される。つまり、ロックレバー111は、一方の端部を、操作側の摘み部115とすることができる。第1係合部107は、このロックレバー111の他方の端部に設けられる。ロックレバー111は、摘み部115が揺動されることによって、第1係合部107が揺動され、第1係合部107が第2係合部109と開口側で係合しない第2の位置に移動が可能となる。
【0071】
これにより、マガジン搬送手段79は、マガジン23が所定位置に到達する前の未挿入状態での移動規制が解除される。移動規制が解除されたマガジン搬送手段79は、マガジン23の所定位置への挿入が可能となる。マガジン搬送手段79は、マガジン23が所定位置へ到達すると、第1係合部107が第2係合部109を乗り越え、第1係合部107が第2係合部109を挟んで第1の位置と反対側のロック位置へ配置される。マガジン搬送手段79は、第1係合部107がロック位置へ配置されることで、マガジン23を所定位置に位置決めした状態で移動がロックされる。
【0072】
また、部品ストック装置17において、マガジン23が規制位置にある場合には、開口に対する扉99の閉止が、扉99に当接するロックレバー111によって妨げられる。
【0073】
この部品ストック装置17では、マガジン23が規制位置にある場合、マガジン搬送手段79がマガジン出入口側に出っ張る。マガジン搬送手段79のマガジン出入口側には、ロックレバー111が設けられている。マガジン23が規制位置にある場合、ロックレバー111に設けられた第1係合部107は、内部空間37に設けられ第2係合部109に、マガジン出入口側で係合する。つまり、ロックレバー111は、一方の端部に設けられる摘み部115が、マガジン23の挿入方向に沿う第1係合部107および第2係合部109の距離分、マガジン出入口側に出っ張ることになる。その結果、扉99は、
図18に示したように、移動規制されているマガジン搬送手段79に設けられたロックレバー111に当接し、マガジン出入口41への閉止が妨げられることになる。
【0074】
また、部品ストック装置17において、第1係合部107と第2係合部109とは、外部71から内部空間37へのマガジン23の搬送方向におけるそれぞれの長さの合計が、隙間の距離よりも大きい。
【0075】
この部品ストック装置17では、マガジン23を所定位置に配置させたマガジン搬送手段79と、扉99との間の隙間は、第1係合部107および第2係合部109の寸法と所定の大小関係を有している。すなわち、第1係合部107と第2係合部109とは、外部71から内部空間37へのマガジン23の搬送方向におけるそれぞれの距離の合計が、隙間の距離よりも大きくなるように設定されている。より具体的には、第1係合部107のマガジン搬送方向における距離(長さ若しくは幅)をT、第2係合部109のマガジン搬送方向における距離(長さ若しくは幅)をU、隙間をSとしたとき、S<T+Uとなっている。
【0076】
これにより、部品ストック装置17は、隙間Sが確保されていることで、マガジン23が所定位置となった際、公差により位置ずれしたマガジン搬送手段79が扉99に干渉して、扉99が無用な閉止不能状態となることを抑制できる。これに加え、マガジン23が所定位置に到達する前の未挿入状態では、マガジン搬送手段79の移動を第1係合部107と第2係合部109とにより規制し、扉99が閉まってしまうことを抑制できる。このため、マガジン23が不完全な挿入状態になることをしっかりと防ぐことができる。
【0077】
また、部品ストック装置17において、第2係合部109は、外部71から内部空間37へのマガジン23の搬送方向とは逆の方向に付勢される。
【0078】
この部品ストック装置17では、第2係合部109が、外部71から内部空間37へのマガジン23の搬送方向とは逆の方向に付勢されている。マガジン23を載置したマガジン搬送手段79は、切換え手段95が揺動されていない通常状態で内部空間37へ押し込まれると、切換え手段95に設けられた第1係合部107が、内部空間37に設けられている第2係合部109に当接する。
【0079】
このため、マガジン搬送手段79は、勢いよく内部空間37へ押し込まれると、第1係合部107が第2係合部109に衝接する。この際、第2係合部109は、マガジン23の搬送方向とは逆方向に付勢されているので、この付勢力に抗してマガジン23の搬送方向に移動され、衝撃エネルギーの一部を吸収して第1係合部107が第2係合部109から受ける反力を緩和することができる。
【0080】
これにより、マガジン搬送手段79は、第1係合部107が第2係合部109に衝接し、切換え手段95、マガジン載置部77を介してマガジン23に作用する衝撃が緩和される。その結果、部品ストック装置17は、マガジン23の押し込み時に、第2係合部109から受ける衝撃でマガジン内の部品がばらけることを抑制できる。
【0081】
また、部品ストック装置17は、内部空間37に設けられ所定位置にあるマガジン23をほぼ水平に付勢し第1係合部107を、外部71から内部空間37へのマガジン23の搬送方向とは逆の方向で第2係合部109に押し当てる付勢部材(マガジン付勢ばね89)をさらに有する。
【0082】
この部品ストック装置17では、内部空間37に設けられた付勢部材(マガジン付勢ばね89)により、所定位置にあるマガジン23がほぼ水平に付勢される。このマガジン付勢ばね89によるほぼ水平な付勢方向は、外部71から内部空間37へのマガジン23の搬送方向とは逆の方向となる。
【0083】
マガジン付勢ばね89によりマガジン23が、マガジン搬送方向と逆方向に付勢されることで、マガジン23を介してマガジン搬送手段79が同方向へ付勢される。すなわち、マガジン搬送手段79は、マガジン23を介してマガジン載置部77が同方向に付勢されることで、マガジン載置部77に設けられている切換え手段95の第1係合部107が、マガジン出入口41と反対側から第2係合部109に押し当てられる(
図8参照)。
【0084】
これにより、マガジン搬送手段79は、マガジン載置部77が、第1係合部107の当接する第2係合部109の位置を基準に片寄せられて位置決めされる。これに加え、マガジン23も、位置決めされたマガジン載置部77の保持部81に対し、マガジン出入口側に押し当てられて位置決めされる。その結果、マガジン23は、第2係合部109を基準にして、所定位置に位置決めされることになる。
【0085】
図19は、挿入が不完全な状態でマガジン23に押し戻し方向の付勢力が作用した実施の形態1に係る部品ストック装置17の要部拡大図である。また、部品ストック装置17では、挿入が不完全な状態(例えば半ロック状態)ではマガジン23がマガジン付勢ばね89で矢印D方向に押し戻される。半ロック状態では、第1係合部107が、第2係合部109に乗り上げた状態となっている。この際、ロックレバー111は、レバー付勢ばね119により、第1係合部107が上方から円筒状の第2係合部109を押下する方向に付勢されている。
【0086】
この状態で摘み部115およびハンドル部117から手が離され、扉99が閉められようとすると、押し込み力の加えられなくなったマガジン搬送手段79は、マガジン付勢ばね89で付勢されるマガジン23を介して矢印D方向に押し戻される。
【0087】
図20は、挿入が不完全な状態でマガジン23が押し戻されて第1係合部107が第1の位置となった実施の形態1に係る部品ストック装置17の要部拡大図である。マガジン搬送手段79は、押し戻されると、第2係合部109に乗り上げていた第1係合部107がマガジン出入口側に移動する。すると、ロックレバー111は、レバー付勢ばね119の付勢力により矢印E方向に押し下げられ、第1係合部107が、マガジン出入口側で第2係合部109に当接する第1の位置となる。
【0088】
このため、
図9に示したように、扉99は、第1係合部107が第2係合部109に当たり、閉止が不能となる。すなわち、実施の形態1に係る部品ストック装置17では、
図18に示した比較例の部品ストック装置139のように、半ロック状態のまま、扉99が閉められてしまう(扉99を無理に閉じた際に不完全挿入状態が生じる)ことをしっかりと抑制できる。
【0089】
また、実施の形態1に係る部品装着装置11は、部品ストック装置17と、部品ストック装置17の内部空間37に収容されたマガジン23から部品収納体を引き出す部品収納体引出し部と、部品収納体引出し部により引き出された部品収納体から部品をピックアップして基板に部品を装着する装着ヘッド19と、を備える。
【0090】
実施の形態1に係る部品装着装置11では、部品ストック装置17を備える。部品装着装置11は、部品収納体引出し部(パレット引出部31)が、部品ストック装置17の内部空間37に収容されたマガジン23を引き出し、引き出された部品収納体から装着ヘッド19が部品をピックアップして基板に装着する。
【0091】
この際、部品ストック装置17は、規制手段93および切換え手段95を備えていることにより、マガジン23が所定位置に到達する前の開口側の位置(すなわち、マガジン23の未挿入状態)でマガジン搬送手段79の移動を規制する。部品ストック装置17は、マガジン搬送手段79の移動が規制されることにより、扉99の閉鎖が不能となり、扉99が正常に閉鎖されたときに動作する開口閉止検出部105が作動しない。
【0092】
そのため、部品装着装置11は、マガジン23が不完全な挿入状態のまま、開口閉止検出部105がONとなって、設備の稼働を開始させてしまうことがない。
【0093】
これにより、部品装着装置11は、部品ストック装置17のマガジン23が、所定位置に至る途中位置の半ロック状態で、パレット引出部31が作動することを抑制できるので、所定位置にないマガジン23に収容されたパレットPLの被係合ブロックBLに対し、パレット引出部31の係止具55が引き出し動作を行って、係止エラーを発生させてしまうことがない。そのため、部品装着装置11では、不要なエラー停止時間を発生させずに済み、生産性を向上させることができる。
【0094】
従って、実施の形態1に係る部品ストック装置17によれば、マガジン23が不完全な挿入状態で、開口閉止検出部105がONとなって、設備が稼働することを抑制できる。
【0095】
また、実施の形態1に係る部品装着装置11によれば、マガジン23が不完全な挿入状態で、設備が稼働し、動作エラーの発生することを回避できるので、不要なエラー停止時間を削減して生産性を向上させることができる。
【0096】
以上、添付図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本開示は、マガジンが不完全に挿入される状態の発生を抑制し、マガジンの完全な挿入後に稼働を開始できる部品ストック装置および部品装着装置として有用である。
【符号の説明】
【0098】
11 部品装着装置
17 部品ストック装置
19 装着ヘッド
23 マガジン
29 ストッカ
31 パレット引出部(部品収納体引出し部)
37 内部空間
41 マガジン出入口(開口)
71 外部
77 マガジン載置部(載置部)
79 マガジン搬送手段
89 マガジン付勢ばね(付勢部材)
93 規制手段
95 切換え手段
99 扉
105 開口閉止検出部
107 第1係合部
109 第2係合部
111 ロックレバー
113 揺動軸(揺動中心)
KB 基板
S 隙間
PL パレット(部品収納体)
BH 部品