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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162874
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】車両用サンバイザモジュール
(51)【国際特許分類】
   B60Q 3/252 20170101AFI20231101BHJP
   B60J 3/02 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
B60Q3/252
B60J3/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073569
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】599041329
【氏名又は名称】共和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】原口 貴史
【テーマコード(参考)】
3K040
【Fターム(参考)】
3K040AA02
3K040CA05
3K040GA04
3K040GC01
3K040GC03
3K040GC04
3K040GC12
(57)【要約】
【課題】ミラーに映る自分の顔が見やすくなる車両用サンバイザモジュールを提供すること。
【解決手段】照射面37は、使用位置に位置するバイザ本体21の上方であって、且つ、乗員16の顔面16aに対して斜め上前方から乗員16の顔面16aに向けて間接光を照射する。したがって、乗員16がミラー22を見る際に、照射面37から照射される光によって眩しさを感じることが抑制される。また、照射面37から照射される光によって、乗員16の顔面16aの鼻の下等に影が生じ難くなる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の天井の少なくとも一部を構成する天井部と、
前記天井部に隣接して配置される車両用サンバイザと、
前記天井部に設けられるとともに車室内の乗員に向けて光を照射する照明装置と、を備え、
前記車両用サンバイザは、
前記天井部に対して使用位置と格納位置との間で回動可能であるバイザ本体と、
前記バイザ本体に取り付けられるミラーと、を有している車両用サンバイザモジュールであって、
前記照明装置は、
光源と、
前記光源からの光を反射させて間接光を形成する間接光形成部と、
前記間接光形成部により形成された間接光を前記乗員の顔面に向けて照射する照射面と、を備え、
前記照射面は、前記使用位置に位置する前記バイザ本体の上方であって、且つ、前記乗員の顔面に対して斜め上前方から前記乗員の顔面に向けて前記間接光を照射することを特徴とする車両用サンバイザモジュール。
【請求項2】
前記照射面は、前記使用位置に位置する前記バイザ本体の直上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用サンバイザモジュール。
【請求項3】
前記照明装置は、前記バイザ本体が前記使用位置に位置するときの前記ミラーと前記乗員の顔面とを最短で結ぶ直線と、前記顔面と前記照射面とを最短で結ぶ直線とのなす角度が20度から30度までの範囲内となるように、前記天井部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用サンバイザモジュール。
【請求項4】
前記照明装置は、前記バイザ本体が前記使用位置に位置するときの前記ミラーと前記乗員の顔面とを最短で結ぶ直線と、前記顔面と前記照射面とを最短で結ぶ直線とのなす角度が25度となるように、前記天井部に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の車両用サンバイザモジュール。
【請求項5】
前記バイザ本体が前記使用位置に位置するときの前記ミラーと前記乗員の顔面とを最短で結ぶ直線の長さは、150mmから200mmまでの範囲内であることを特徴とする請求項3に記載の車両用サンバイザモジュール。
【請求項6】
前記バイザ本体が前記使用位置に位置するときの前記ミラーと前記乗員の顔面とを最短で結ぶ直線の長さは、200mmであることを特徴とする請求項5に記載の車両用サンバイザモジュール。
【請求項7】
前記照射面から照射される間接光の輝度は、3000cd/m以下であることを特徴とする請求項1に記載の車両用サンバイザモジュール。
【請求項8】
前記照射面から照射される間接光の輝度は、3000cd/mよりも大きく、且つ、4600cd/m以下であることを特徴とする請求項4に記載の車両用サンバイザモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用サンバイザモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両の天井前方には、車両用サンバイザが取り付けられている。車両用サンバイザは、車外からの光が車室内の乗員の目に直射することを防ぐために用いられる。車両用サンバイザは、車両の天井の少なくとも一部を構成する天井部に隣接して配置されている場合がある。この場合、車両用サンバイザは、天井部に対して使用位置と格納位置との間で回動可能であるバイザ本体を有している。
【0003】
また、バイザ本体には、乗員が化粧鏡として利用するミラーが取り付けられている場合がある。このような場合、ミラーを夜間でも使用可能とするために、例えば特許文献1のように、車室内の乗員に向けて光を照射する照明装置が車両用サンバイザに設けられているものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2017/136321号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、車両用サンバイザに照明装置が設けられている場合、乗員がミラーを見る際に、照明装置から照射される光が乗員の目に直接入り易い。したがって、乗員が、照明装置から照射される光によって眩しさを感じるため、ミラーに映る自分の顔が見づらくなってしまう。
【0006】
一方で、照明装置から照射される光が乗員の目に直接入り難いようにするために、天井部における乗員の直上の位置に照明装置を設けることが考えられる。しかし、天井部における乗員の直上の位置に照明装置を設けると、照明装置から照射される光によって、乗員の顔面の鼻の下等に影が生じ易くなるため、ミラーに映る自分の顔が見づらくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する車両用サンバイザモジュールは、車両の天井の少なくとも一部を構成する天井部と、前記天井部に隣接して配置される車両用サンバイザと、前記天井部に設けられるとともに車室内の乗員に向けて光を照射する照明装置と、を備え、前記車両用サンバイザは、前記天井部に対して使用位置と格納位置との間で回動可能であるバイザ本体と、前記バイザ本体に取り付けられるミラーと、を有している車両用サンバイザモジュールであって、前記照明装置は、光源と、前記光源からの光を反射させて間接光を形成する間接光形成部と、前記間接光形成部により形成された間接光を前記乗員の顔面に向けて照射する照射面と、を備え、前記照射面は、前記使用位置に位置する前記バイザ本体の上方であって、且つ、前記乗員の顔面に対して斜め上前方から前記乗員の顔面に向けて前記間接光を照射する。
【0008】
これによれば、間接光形成部により形成された間接光が照射面から乗員の顔面に向けて照射される。したがって、例えば、光源からの光が直接光として照射面から乗員の顔面に向けて照射される場合に比べると、乗員が、照明装置から照射される光によって眩しさを感じることが抑制される。また、照射面は、使用位置に位置するバイザ本体の上方であって、且つ、乗員の顔面に対して斜め上前方から乗員の顔面に向けて間接光を照射する。したがって、例えば、照射面がバイザ本体に設けられている場合に比べると、乗員がミラーを見る際に、照射面から照射される光によって眩しさを感じることが抑制される。さらには、例えば、照射面が天井部における乗員の直上の位置に設けられている場合に比べると、照射面から照射される光によって、乗員の顔面の鼻の下等に影が生じ難くなる。以上により、ミラーに映る自分の顔が見やすくなる車両用サンバイザモジュールを提供することができる。
【0009】
上記車両用サンバイザモジュールにおいて、前記照射面は、前記使用位置に位置する前記バイザ本体の直上に配置されているとよい。
使用位置に位置するバイザ本体の直上は、照射面が、使用位置に位置するバイザ本体の上方であって、且つ、乗員の顔面に対して斜め上前方から乗員の顔面に向けて間接光を照射する位置として好適である。
【0010】
上記車両用サンバイザモジュールにおいて、前記照明装置は、前記バイザ本体が前記使用位置に位置するときの前記ミラーと前記乗員の顔面とを最短で結ぶ直線と、前記顔面と前記照射面とを最短で結ぶ直線とのなす角度が20度から30度までの範囲内となるように、前記天井部に設けられているとよい。
【0011】
このような構成は、乗員がミラーを見る際に、照射面から照射される光によって眩しさを感じることが無く、さらには、照射面から照射される光によって、乗員の顔面の鼻の下等に影が生じ難くなる構成として好適である。
【0012】
上記車両用サンバイザモジュールにおいて、前記照明装置は、前記バイザ本体が前記使用位置に位置するときの前記ミラーと前記乗員の顔面とを最短で結ぶ直線と、前記顔面と前記照射面とを最短で結ぶ直線とのなす角度が25度となるように、前記天井部に設けられているとよい。
【0013】
このような構成は、乗員がミラーを見る際に、照射面から照射される光によって眩しさを感じることが無く、さらには、照射面から照射される光によって、乗員の顔面の鼻の下等に影が生じ難くなる構成として最適である。
【0014】
上記車両用サンバイザモジュールにおいて、前記バイザ本体が前記使用位置に位置するときの前記ミラーと前記乗員の顔面とを最短で結ぶ直線の長さは、150mmから200mmまでの範囲内であるとよい。これによれば、乗員がミラーを見たとき、ミラーに映る自分の顔を精度良く確認することができる。
【0015】
上記車両用サンバイザモジュールにおいて、前記バイザ本体が前記使用位置に位置するときの前記ミラーと前記乗員の顔面とを最短で結ぶ直線の長さは、200mmであるとよい。これによれば、乗員がミラーを見たとき、ミラーに映る自分の顔をはっきりと確認することができる。
【0016】
上記車両用サンバイザモジュールにおいて、前記照射面から照射される間接光の輝度は、3000cd/m以下であるとよい。これによれば、乗員が、照明装置から照射される光によって眩しさを感じることを回避することができる。
【0017】
上記車両用サンバイザモジュールにおいて、前記照射面から照射される間接光の輝度は、3000cd/mよりも大きく、且つ、4600cd/m以下であるとよい。これによれば、ミラーに映る自分の顔が見やすくなる車両用サンバイザモジュールを提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、ミラーに映る自分の顔が見やすくなる車両用サンバイザモジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態における車両用サンバイザモジュールを説明するための図である。
図2】バイザ本体がガーニッシュ部に対して使用位置に位置している状態を模式的に示す図である。
図3】照明装置を説明するための模式図である。
図4】実験によって得られた眩しさ及び影の評価点を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、車両用サンバイザモジュールを具体化した一実施形態を図1図4にしたがって説明する。
<車両用サンバイザモジュール10>
図1及び図2に示すように、車両用サンバイザモジュール10は、天井部であるガーニッシュ部11と、車両用サンバイザ20と、照明装置30と、を備えている。車両用サンバイザ20は、車外からの光が車室15内の乗員16の目に直射することを防ぐために用いられる。車両用サンバイザモジュール10は、ガーニッシュ部11が、例えば、ボルト等の締結部材によって車両1の天井本体2に固定されることにより、車両1の天井本体2前方に取り付けられている。車両用サンバイザ20は、ガーニッシュ部11に隣接して配置されている。
【0021】
ガーニッシュ部11は、ガーニッシュ本体12を有している。ガーニッシュ本体12は、樹脂材料製である。ガーニッシュ本体12は、車両1の天井3の一部を構成する板状である。したがって、ガーニッシュ部11は、車両1の天井3の一部を構成している。ガーニッシュ部11は、フック13を有している。フック13は、ガーニッシュ本体12から下方へ突出している。フック13は、樹脂材料製である。
【0022】
<車両用サンバイザ20>
車両用サンバイザ20は、バイザ本体21と、ミラー22と、蓋体23と、有している。なお、図2では、車両用サンバイザ20の構成を模式的に示している。バイザ本体21は、樹脂材料製である。バイザ本体21は、一対のシェル状の半割体を重ね合わせて接合されることにより構成されている。バイザ本体21は、扁平板状である。バイザ本体21は、平面視すると、長四角形状である。バイザ本体21は、バイザ本体21の長手方向が車幅方向に一致するようにガーニッシュ部11に対して配置されている。
【0023】
車両用サンバイザ20は、アーム24を有している。アーム24は、略L字状に屈曲された円柱状である。アーム24の一端は、ブラケット25を介してガーニッシュ部11に支持されている。アーム24の他端は、バイザ本体21の図示しない軸受部に挿し込まれている。
【0024】
図2に示すように、バイザ本体21は、アーム24を回動中心としてガーニッシュ部11に対して回動可能である。バイザ本体21は、ガーニッシュ部11に対して使用位置と格納位置との間で回動可能である。なお、図2では、バイザ本体21が使用位置に位置している状態を実線で示し、バイザ本体21が格納位置に位置している状態を二点鎖線で示している。そして、バイザ本体21が使用位置に位置すると、バイザ本体21は、車外からの光が車室15内の乗員16の目に直射することを防ぐ。
【0025】
図1に示すように、バイザ本体21の縁部には、切欠21aが形成されている。また、車両用サンバイザ20は、円柱状の係止部26を有している。係止部26は、切欠21aの内縁におけるバイザ本体21の長手方向の両側に位置する部位を架け渡すようにバイザ本体21に対して設けられている。係止部26は、フック13に係止可能である。バイザ本体21は、係止部26がフック13に係止された状態で、アーム24を回動中心としてガーニッシュ部11に対して回動可能になっている。
【0026】
図1及び図2に示すように、バイザ本体21には、矩形状の開口21hが形成されている。開口21hは、平面視すると、略四角孔状である。また、バイザ本体21には、開口21hに連通するスライド機構27を有している。スライド機構27は、例えば、開口21hからバイザ本体21の長手方向に延びるレール等により構成されている。スライド機構27は、バイザ本体21の内部に設けられている。
【0027】
ミラー22は、バイザ本体21に取り付けられている。ミラー22は、平板状である。ミラー22は、ミラー22の厚み方向がバイザ本体21の厚み方向と一致した状態で、バイザ本体21に取り付けられている。ミラー22は、開口21hに嵌め込まれた状態でバイザ本体21に取り付けられている。
【0028】
蓋体23は、略長四角板状である。蓋体23は、樹脂材料製である。蓋体23は、スライド機構27に対してスライド移動可能に設けられている。蓋体23は、スライド機構27に沿って移動可能であり、開口21hに対して出没可能である。蓋体23は、スライド機構27によって開口21hに突出することにより、ミラー22を覆う。また、蓋体23は、スライド機構27によって開口21hからバイザ本体21の内部に没入することにより、ミラー22を露出させる。したがって、蓋体23は、ミラー22を露出させる開位置とミラー22を覆う閉位置とにバイザ本体21に対して移動可能である。図1及び図2では、蓋体23が開位置に位置している状態を示している。なお、スライド機構27は、蓋体23を開位置と閉位置とにそれぞれ保持可能な構成になっている。
【0029】
<照明装置30>
図2及び図3に示すように、照明装置30は、ガーニッシュ部11に設けられている。照明装置30は、車室15内の乗員16に向けて光を照射する。照明装置30は、光源31を備えている。光源31は、例えば、LEDチップやLEDチップの駆動を制御する制御基板などから構成されるLEDライトモジュールである。光源31は、蓋体23が開位置となると点灯するとともに、蓋体23が閉位置となると消灯するように制御基板によって駆動が制御されるようになっている。
【0030】
図3に示すように、照明装置30は、リフレクタ32と、導光板33と、レンズ34と、を備えている。リフレクタ32は、例えば、長三角箱状である。リフレクタ32は、光反射率の高い材料により形成されている。リフレクタ32は、白色系の樹脂材料製である。リフレクタ32は、入射口35と、出射口36と、を有している。
【0031】
導光板33は、透明の板状である。導光板33は、光透過性を有する材質により形成されている。導光板33は、例えば、アクリル板やガラス板である。導光板33は、リフレクタ32の内部に収容されている。
【0032】
レンズ34は、リフレクタ32に取り付けられている。レンズ34は、出射口36を閉塞した状態でリフレクタ32に取り付けられている。レンズ34は、照射面37を有している。レンズ34は、照射面37から照射される光を拡散させる。
【0033】
そして、光源31からの光は、入射口35を介してリフレクタ32の内部に入射される。入射口35を介してリフレクタ32の内部に入射した光源31からの光は、導光板33を通過するとともにリフレクタ32の内面で出射口36に向けて反射する。リフレクタ32の内面で反射した光は、導光板33を通過するとともに出射口36を介してレンズ34に入射する。レンズ34に入射した光は、レンズ34を通過するとともに照射面37から照射される。リフレクタ32は、光源31からの光を反射させて間接光を形成する間接光形成部として機能している。
【0034】
リフレクタ32は、光源31からの光を反射させることにより、輝度が3000cd/m以下となる間接光を形成している。したがって、照射面37から照射される間接光の輝度は、3000cd/m以下である。
【0035】
図2に示すように、照射面37は、リフレクタ32により形成された間接光を乗員16の顔面16aに向けて照射する。照射面37は、使用位置に位置するバイザ本体21の上方であって、且つ、乗員16の顔面16aに対して斜め上前方から乗員16の顔面16aに向けて間接光を照射する。具体的には、照射面37は、使用位置に位置するバイザ本体21の直上に配置されている。このように、照明装置30は、使用位置に位置するバイザ本体21の上方であって、且つ、乗員16の顔面16aに対して斜め上前方から乗員16の顔面16aに向けて照射面37から間接光が照射されるように、ガーニッシュ部11に設けられている。なお、照明装置30は、ガーニッシュ部11における車室15内とは反対側の面に対して、例えば、ボルトなどの締結部材によって取り付けられている。したがって、照明装置30は、ガーニッシュ部11に一体化されている。
【0036】
ここで、バイザ本体21が使用位置に位置するときのミラー22と乗員16の顔面16aとを最短で結ぶ直線を第1直線L1とする。なお、図2では、バイザ本体21が使用位置に位置するときのミラー22と乗員16の目とを最短で結ぶ直線を第1直線L1として示している。乗員16は、ミラー22に映る自分の顔を見るときには、第1直線L1の長さが200mmとなる位置まで、自分の顔をミラー22に近付ける。乗員16は、ミラー22に映る自分の顔を見るときには、第1直線L1の長さが150mmから200mmまでの範囲内となる位置まで、自分の顔をミラー22に近付ける。例えば、第1直線L1の長さが、150mmよりも短くなると、乗員16は、自分の顔をミラー22に近付け過ぎることになるため、ミラー22に映る自分の顔が見づらくなる。一方で、例えば、第1直線L1の長さが、200mmよりも長くなると、乗員16は、自分の顔がミラー22から離れ過ぎることになるため、ミラー22に映る自分の顔が見づらくなる。
【0037】
ここで、乗員16が、第1直線L1の長さが200mmとなる位置まで、自分の顔をミラー22に近付けた状態において、顔面16aと照射面37とを最短で結ぶ直線を第2直線L2とする。このように、第1直線L1の長さが、200mmである場合、照明装置30は、第1直線L1と第2直線L2とのなす角度θが25度となるように、ガーニッシュ部11に設けられている。したがって、第1直線L1の長さは、150mmから200mmまでの範囲内である。そして、照明装置30は、第1直線L1と第2直線L2とのなす角度θが20度から30度までの範囲内となるように、ガーニッシュ部11に設けられている。
【0038】
[実施形態の作用]
次に、本実施形態の作用について説明する。
リフレクタ32により形成された間接光が照射面37から乗員16の顔面16aに向けて照射される。したがって、例えば、光源31からの光が直接光として照射面37から乗員16の顔面16aに向けて照射される場合に比べると、乗員16が、照明装置30から照射される光によって眩しさを感じることが抑制されている。また、照射面37は、使用位置に位置するバイザ本体21の上方であって、且つ乗員16の顔面16aに対して斜め上前方から乗員16の顔面16aに向けて間接光を照射する。したがって、例えば、照射面37がバイザ本体21に設けられている場合に比べると、乗員16がミラー22を見る際に、照射面37から照射される光によって眩しさを感じることが抑制されている。さらには、例えば、照射面37が天井本体2における乗員16の直上の位置に設けられている場合に比べると、照射面37から照射される光によって、乗員16の顔面16aの鼻の下等に影が生じ難くなる。
【0039】
<眩しさ及び影の評価>
図4に示すように、本発明者らは、照射面37から照射される間接光の輝度を3000cd/m以下とし、第1直線L1と第2直線L2とのなす角度θを変化させたときの「眩しさ」及び「影」を被験者に評価してもらった。図4は、「眩しさ」及び「影」の評価をまとめた表である。「眩しさ」及び「影」それぞれの最高評価は「5」である。そして、「眩しさ」及び「影」の合計得点が「9」以上である場合、商品価値を満たすことが分かった。
【0040】
第1直線L1と第2直線L2とのなす角度θが25度である場合、「眩しさ」及び「影」の評価が共に最高評価の「5」であり、合計得点は、「10」であった。続いて、第1直線L1と第2直線L2とのなす角度θが20~24度である場合、「影」の評価は、最高評価の「5」であったが、「眩しさ」の評価は「4」であり、合計得点は「9」であった。さらに、第1直線L1と第2直線L2とのなす角度θが15~19度である場合、「影」の評価は、最高評価の「5」であったが、「眩しさ」の評価は「3」であり、合計得点は「8」であった。このように、第1直線L1と第2直線L2とのなす角度θが25度から小さくなるにつれて、「眩しさ」の評価が下がっていくことが分かった。
【0041】
一方で、第1直線L1と第2直線L2とのなす角度θが26~30度である場合、「眩しさ」の評価は、最高評価の「5」であったが、「影」の評価は「4」であり、合計得点は「9」であった。さらに、第1直線L1と第2直線L2とのなす角度θが31~35度である場合、「眩しさ」の評価は、最高評価の「5」であったが、「影」の評価は「3」であり、合計得点は「8」であった。このように、第1直線L1と第2直線L2とのなす角度θが25度から大きくなるにつれて、「影」の評価が下がっていくことが分かった。
【0042】
したがって、照射面37から照射される間接光の輝度が3000cd/m以下であって、且つ、第1直線L1と第2直線L2とのなす角度θが25度である場合が、最も評価が高いことが分かった。そして、照射面37から照射される間接光の輝度が3000cd/m以下であって、且つ、第1直線L1と第2直線L2とのなす角度θが20度から30度までの範囲内であれば、商品価値を満たすことが分かった。
【0043】
ちなみに、照射面37から照射される光の輝度が3000cd/mよりも大きく、且つ、4600cd/m以下である場合、第1直線L1と第2直線L2とのなす角度θが25度であっても、「眩しさ」の評価は「4」であった。よって、第1直線L1と第2直線L2とのなす角度θが25度であっても、照射面37から照射される光が、輝度が3000cd/m以下である間接光でないと、「眩しさ」の評価は「5」にはならず、商品価値が低下することが分かった。しかし、この場合であっても、「眩しさ」及び「影」の合計得点が「9」であった。このため、照射面37から照射される光の輝度が3000cd/mよりも大きく、且つ、4600cd/m以下であっても、第1直線L1と第2直線L2とのなす角度θが25度であれば、商品価値を満たすことが分かった。
【0044】
[実施形態の効果]
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)リフレクタ32により形成された間接光が照射面37から乗員16の顔面16aに向けて照射される。したがって、例えば、光源31からの光が直接光として照射面37から乗員16の顔面16aに向けて照射される場合に比べると、乗員16が、照明装置30から照射される光によって眩しさを感じることが抑制される。また、照射面37は、使用位置に位置するバイザ本体21の上方であって、且つ、乗員16の顔面16aに対して斜め上前方から乗員16の顔面16aに向けて間接光を照射する。したがって、例えば、照射面37がバイザ本体21に設けられている場合に比べると、乗員16がミラー22を見る際に、照射面37から照射される光によって眩しさを感じることが抑制される。さらには、例えば、照射面37が天井本体2における乗員16の直上の位置に設けられている場合に比べると、照射面37から照射される光によって、乗員16の顔面16aの鼻の下等に影が生じ難くなる。以上により、ミラー22に映る自分の顔が見やすくなる車両用サンバイザモジュール10を提供することができる。
【0045】
(2)使用位置に位置するバイザ本体21の直上は、照射面37が、使用位置に位置するバイザ本体21の上方であって、且つ、乗員16の顔面16aに対して斜め上前方から乗員16の顔面16aに向けて間接光を照射する位置として好適である。
【0046】
(3)照明装置30は、第1直線L1と第2直線L2とのなす角度θが20度から30度までの範囲内となるように、ガーニッシュ部11に設けられている。このような構成は、乗員16がミラー22を見る際に、照射面37から照射される光によって眩しさを感じることが無く、さらには、照射面37から照射される光によって、乗員16の顔面16aの鼻の下等に影が生じ難くなる構成として好適である。
【0047】
(4)照明装置30は、第1直線L1と第2直線L2とのなす角度θが25度となるように、ガーニッシュ部11に設けられている。このような構成は、乗員16がミラー22を見る際に、照射面37から照射される光によって眩しさを感じることが無く、さらには、照射面37から照射される光によって、乗員16の顔面16aの鼻の下等に影が生じ難くなる構成として最適である。
【0048】
(5)第1直線L1の長さは、150mmから200mmまでの範囲内である。これによれば、乗員16がミラー22を見たとき、ミラー22に映る自分の顔を精度良く確認することができる。
【0049】
(6)第1直線L1の長さは、200mmである。これによれば、乗員16がミラー22を見たとき、ミラー22に映る自分の顔をはっきりと確認することができる。
(7)照射面37から照射される間接光の輝度は、3000cd/m以下である。これによれば、乗員16が、照明装置30から照射される光によって眩しさを感じることを回避することができる。
【0050】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0051】
・実施形態において、照射面37は、使用位置に位置するバイザ本体21の直上に対してずれた位置に配置されていてもよい。要は、照射面37は、使用位置に位置するバイザ本体21の上方であって、且つ、乗員16の顔面16aに対して斜め上前方から乗員16の顔面16aに向けて間接光を照射することができれば、配置位置は特に限定されるものではない。
【0052】
・実施形態において、照明装置30は、第1直線L1の長さが150mm以上であって、且つ200mmよりも短いいずれかの長さであるときに、第1直線L1と第2直線L2とのなす角度θが25度となるように、ガーニッシュ部11に設けられていてもよい。要は、第1直線L1の長さが、150mmから200mmまでの範囲内である場合、照明装置30は、第1直線L1と第2直線L2とのなす角度θが20度から30度までの範囲内となるように、ガーニッシュ部11に設けられていればよい。
【0053】
・実施形態において、照射面37から照射される光の輝度が3000cd/mよりも大きく、且つ、4600cd/m以下であってもよい。この場合、第1直線L1と第2直線L2とのなす角度θは25度である。これによれば、ミラー22に映る自分の顔が見やすくなる車両用サンバイザモジュール10を提供することができる。
【0054】
・実施形態において、照明装置30は、導光板33を備えていなくてもよい。
・実施形態において、照明装置30は、レンズ34に代えて、例えば、拡散シートを備えていてもよい。
【0055】
・実施形態において、光源31は、バイザ本体21が使用位置に位置すると点灯するとともに、バイザ本体21が格納位置に位置すると消灯するように制御基板によって駆動が制御されるようになっていてもよい。
【0056】
・実施形態において、ミラー22の形状を適宜変更してもよい。この場合、ミラー22の形状に応じて、蓋体23の形状も適宜変更される。
・実施形態において、バイザ本体21の形状を適宜変更してもよい。
【0057】
・実施形態において、バイザ本体21の材質は適宜変更可能である。
・実施形態において、蓋体23は、スライド機構27にスライド移動可能に設けられていなくてもよく、例えば、バイザ本体21に対して回動可能にバイザ本体21に設けられていてもよい。そして、蓋体23がバイザ本体21に対して回動することで、蓋体23は、ミラー22を露出させる開位置とミラー22を覆う閉位置とにバイザ本体21に対して移動可能であってもよい。
【0058】
・実施形態において、車両用サンバイザモジュール10は、ガーニッシュ部11を備えていない構成であってもよい。要は、車両1の天井3の少なくとも一部を構成する天井部に照明装置30が設けられていればよい。この場合、天井部は、例えば、天井3の全体を構成する天井ルーフであってもよい。例えば、天井部として、天井ルーフを適用する場合、天井ルーフは、車両用サンバイザモジュール10の一部を構成する。
【符号の説明】
【0059】
1…車両
3…天井
10…車両用サンバイザモジュール
11…ガーニッシュ部(天井部)
15…車室
16…乗員
16a…顔面
20…車両用サンバイザ
21…バイザ本体
22…ミラー
30…照明装置
31…光源
32…リフレクタ(間接光形成部)
37…照射面
図1
図2
図3
図4