(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162876
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】半導体製造装置及びその半導体製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 9/00 20060101AFI20231101BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
G03F9/00 H
H01L21/68 N
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073575
(22)【出願日】2022-04-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】512167426
【氏名又は名称】華邦電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Winbond Electronics Corp.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100213333
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿山 昌代
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 一宏
(72)【発明者】
【氏名】田中 勲
【テーマコード(参考)】
2H197
5F131
【Fターム(参考)】
2H197DA02
2H197EA11
2H197EB16
2H197HA03
2H197JA18
2H197JA23
5F131AA02
5F131BA13
5F131CA32
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA02
5F131FA17
5F131FA32
5F131KA14
5F131KA72
5F131KB07
5F131KB12
5F131KB32
5F131KB46
5F131KB53
(57)【要約】
【課題】半導体製造装置及びその半導体製造方法を提供する。
【解決手段】ウェーハのアライメントマーク位置誤差と第1の閾値に基づき、ウェーハを第1のウェーハグループ及び第2のウェーハグループにグループ化し、ここで第1のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差は第1の閾値より大きく、第2のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差は第1の閾値以下である。第1のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差と基準誤差値の差に基づいて、フィードフォワード位置補正値を算出する。フィードフォワード位置補正値に基づき、ウェーハにリソグラフィ工程を実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ裝置と、
複数のウェーハのアライメントマーク位置誤差を測定する測定装置と、
前記リソグラフィ裝置と前記測定装置に結合され、前記ウェーハのアライメントマーク位置誤差と第1の閾値に基づき、複数の前記ウェーハを一第1のウェーハグループ及び一第2のウェーハグループにグループ化し、前記第1のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差と基準誤差値の差に基づき、フィードフォワード位置補正値を算出し、前記フィードフォワード位置補正値に基づき、前記リソグラフィ裝置を制御して、リソグラフィ工程を実行するプロセッサと、
を備え、
前記第1のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差は前記第1の閾値より大きく、前記第2のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差は前記第1の閾値以下である、半導体製造装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記第2のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差に基づき、前記基準誤差値を算出する、
請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記第2のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差が第2の閾値より大きい場合、前記第2のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差に基づき、前記フィードフォワード位置補正値を補正する、
請求項2に記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記基準誤差値は、以前のロットのウェーハにおけるアライメントマーク位置誤差が前記第1の閾値以下であるウェーハの過去の履歴アライメントマーク位置誤差に基づき得られる、
請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項5】
前記プロセッサに結合されたオーバーレイ測定装置をさらに備え、
前記オーバーレイ測定装置は、複数の前記ウェーハのオーバーレイ誤差を測定し、前記プロセッサは、複数の前記ウェーハのオーバーレイ誤差、前記フィードフォワード位置補正値及び前記リソグラフィ裝置が以前のウェーハに前記リソグラフィ工程を実行した際に使用した位置補正値に基づき、最適化された位置補正値を算出し、前記最適化された位置補正値に基づき、前記リソグラフィ裝置を制御して、リソグラフィ工程を実行する、
請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項6】
前記プロセッサに結合されたオーバーレイ測定装置をさらに備え、
前記オーバーレイ測定装置は、前記プロセッサは、前記複数のウェーハのオーバーレイ誤差及び前記リソグラフィ裝置が以前のウェーハに前記リソグラフィ工程を実行した際に使用した位置補正値に基づき、最適化された位置補正値を算出し、前記最適化された位置補正値に基づき、前記リソグラフィ裝置を制御して、リソグラフィ工程を実行する、
請求項1に記載の半導體製造裝置。
【請求項7】
複数のウェーハのアライメントマーク位置誤差を測定することと、
複数の前記ウェーハのアライメントマーク位置誤差と第1の閾値に基づき、複数の前記ウェーハを第1のウェーハグループ及び第2のウェーハグループをグループ化することと、
前記第1のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差と基準誤差値の差に基づき、フィードフォワード位置補正値を算出することと、
前記フィードフォワード位置補正値に基づき、リソグラフィ工程を実行することと、
を備え、
前記第1のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差は前記第1の閾値より大きく、前記第2のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差は前記第1の閾値以下である、
半導体製造装置の半導体製造方法。
【請求項8】
前記第2のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差に基づき、前記基準誤差値を算出することを備える、
請求項7に記載の半導体製造装置の半導体製造方法。
【請求項9】
前記第2のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差が第2の閾値より大きい場合、前記第2のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差に基づき、前記フィードフォワード位置補正値を補正することを備える、
請求項8に記載の半導体製造装置の半導体製造方法。
【請求項10】
前記基準誤差値は、以前のロットのウェーハにおけるアライメントマーク位置誤差が前記第1の閾値以下であるウェーハの過去の履歴アライメントマーク位置誤差に基づき得られる、
請求項7に記載の半導体製造装置の半導体製造方法。
【請求項11】
複数の前記ウェーハのオーバーレイ誤差を測定することと、
複数の前記ウェーハのオーバーレイ誤差、前記フィードフォワード位置補正値及び以前のウェーハに前記リソグラフィ工程を実行した際に使用した位置補正値に基づき、最適化された位置補正値を算出することと、
前記最適化された位置補正値に基づき、リソグラフィ工程を実行することと、
を備える請求項7に記載の半導体製造装置の半導体製造方法。
【請求項12】
前記複数のウェーハのオーバーレイ誤差を測定することと、
前記複数のウェーハのオーバーレイ誤差及び以前のウェーハに前記リソグラフィ工程を実行した際に使用した位置補正値に基づき、最適化された位置補正値を算出することと、
前記最適化された位置補正値に基づき、リソグラフィ工程を実行することと、
を備える請求項7に記載の半導体製造装置の半導体製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造装置に関し、特に半導体製造装置の半導体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程では、ウェーハ上にアライメントマークを形成し、前層と後層間のアライメント具合を検査することができる。一般的には、リソグラフィ工程を実行する前に、測定装置によりウェーハのアライメントマーク位置を測定し、測定結果に基づき得られた位置補正量をリソグラフィ裝置に送信し、リソグラフィ裝置は、位置補正に基づきリソグラフィ位置補償を行い、オーバーレイ誤差を許容範囲に制御することができる。しかしながら、測定装置とリソグラフィ裝置の装置性能または構造上の差異(例えば、測定装置とリソグラフィ裝置の製造メーカーが異なる場合)に起因するAPC(Advanced Process Control, APC)ノイズは、オーバーレイ誤差制御を困難にし、それにより、半導体工程の歩留まりと生産性に影響を与えることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、オーバーレイ誤差制御を有効に改善し、それにより、半導体工程の歩留まりと生産性を向上させることのできる、半導体製造装置の半導体製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の半導体製造装置は、リソグラフィ裝置、測定装置及びプロセッサを備える。測定装置は、複数のウェーハのアライメントマーク位置誤差を測定する。プロセッサは、リソグラフィ裝置と前記測定装置に結合され、ウェーハのアライメントマーク位置誤差と第1の閾値に基づき、ウェーハを第1のウェーハグループ及び第2のウェーハグループにグループ化し、第1のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差と基準誤差値の差に基づいて、フィードフォワード位置補正値を算出し、フィードフォワード位置補正値に基づき、リソグラフィ裝置を制御して、リソグラフィ工程を実行し、ここで第1のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差は第1の閾値より大きく、第2のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差は第1の閾値以下である。
【0005】
本発明は、さらに以下の工程を備える半導体製造装置の半導体製造方法を提供する。複数のウェーハのアライメントマーク位置誤差を測定する。ウェーハのアライメントマーク位置誤差と第1の閾値に基づき、ウェーハを第1のウェーハグループ及び第2のウェーハグループにグループ化し、ここで第1のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差は第1の閾値より大きく、第2のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差は第1の閾値以下である。第1のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差と基準誤差値の差に基づいて、フィードフォワード位置補正値を算出する。フィードフォワード位置補正値に基づき、ウェーハにリソグラフィ工程を実行する。
【発明の効果】
【0006】
以上により、本発明の実施例は、複数のウェーハのアライメントマーク位置を測定し、ウェーハのアライメントマーク位置誤差と第1の閾値に基づき、ウェーハを第1のウェーハグループ及び第2のウェーハグループにグループ化し、第1のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差と基準誤差値の差に基づき、フィードフォワード位置補正値を算出するとともに、フィードフォワード位置補正値に基づき、リソグラフィ裝置を制御して、リソグラフィ工程を実行することができる。このようにして、第1のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差と基準誤差値の差を算出して得られたフィードフォワード位置補正値に基づき、リソグラフィ裝置を制御して、リソグラフィ工程を実行する。従来技術のように、直接、測定されたアライメントマーク位置誤差に基づき、リソグラフィ工程を実行しないため、測定装置とリソグラフィ裝置の装置性能または構造上の差異(例えば、ウェーハチャックの差異)に起因するAPCノイズを有効に軽減し、オーバーレイ誤差制御を改善し、半導体工程の歩留まりと生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施例に基づき図示される半導体製造装置の概略図である。
【
図2】本発明の一実施例に基づき図示される半導体製造装置の半導体製造方法のフロー図である。
【
図3】本発明の一実施例に基づき図示されるフィードフォワード位置補正値を生成する方法のフロー図である。
【
図4】本発明の別の実施例に基づき図示されるフィードフォワード位置補正値を生成する方法のフロー図である。
【
図5】本発明の一実施例に基づき図示される最適化された位置補正値を生成する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【実施方式】
【0008】
本発明の内容をより理解しやすくするために、本発明を実際に実施することができる例として、以下の特定の実施形態を取り上げる。さらに、可能な範囲において、図面及び実施形態において同一の符号を使用する部材/構成要素/工程は、同一または類似の部分を表す。
【0009】
以下、
図1を参照すると、
図1は、本発明の一実施例に基づき図示される半導体製造装置の概略図である。半導体製造装置は、測定装置102、プロセッサ104、リソグラフィ裝置106及びオーバーレイ測定装置108を備えても良く、プロセッサ104は、測定装置102、リソグラフィ裝置106及びオーバーレイ測定装置108に結合される。測定装置102は、例えば、自立型プリアライナー(Stand-Alone Pre-Aligner)であって良いが、これに限られない。測定装置102は、ウェーハ上のアライメントマークと基準位置間の偏差を測定し、アライメントマーク位置誤差を得ることができる。リソグラフィ裝置106は、ウェーハにリソグラフィ工程を実行するのに用い、リソグラフィ裝置106は、例えば、走査型露光機であって良いが、これに限られない。
【0010】
図2に示されるように、プロセッサ104は、測定装置102を制御して、ウェーハにアライメントマーク位置誤差の測定を行い(工程S202)、その後、測定装置102の測定結果に基づき、フィードフォワード位置補正値を算出するのに用いる測定データを選別し、例えば、アライメントマーク位置誤差が過大の測定データを除外し(例えば、アライメントマーク位置誤差が所定の臨界値より大きい測定データを除去し)、選別後の測定データに基づき、フィードフォワード位置補正値を算出し(工程S204)、その後、さらにリソグラフィ裝置106を制御して、ウェーハにリソグラフィ工程を実行する(工程S206)とともに、オーバーレイ測定装置108を制御して、ウェーハのオーバーレイ誤差を測定する(工程S208)ことができ、ここでリソグラフィ工程は、例えば、レジスト塗布、露光及び現像等の工程を含んでも良いが、これに限られない。また、プロセッサ104は、さらに工程S210で生成された最適化された位置補正値に基づきリソグラフィ工程を実行することができ、ここで、工程S210では、工程S204で生成されたフィードフォワード位置補正値及び工程S208からのフィードバック値(オーバーレイ測定装置108がウェーハを測定して得られたオーバーレイ誤差)に基づき、最適化された位置補正値を生成することができる。工程S212では、工程S208で測定されたオーバーレイ誤差が所定のオーバーレイ誤差より小さいかどうかを判断し、オーバーレイ誤差が所定のオーバーレイ誤差より小さい場合は、終了工程に移り、オーバーレイ誤差が所定のオーバーレイ誤差より小さくない場合は、オーバーレイ誤差が所定のオーバーレイ誤差より小さくなるまで、工程S206に戻り作業をやり直す。
【0011】
より詳細に言えば、工程S204の実施の詳細は、例えば、
図3に示される通りであって良い。プロセッサ104は、測定装置102が測定した複数のウェーハのアライメントマーク位置誤差に基づき、複数のウェーハをグループ化することができ、例えば、各ウェーハのアライメントマーク位置誤差と第1の閾値を比較して(工程S302)、アライメントマーク位置誤差が第1の閾値より大きいウェーハを第1のウェーハグループとし、アライメントマーク位置誤差が第1の閾値より大きくないウェーハを第2のウェーハグループとする(工程S304)。その後、プロセッサ104は、さらに第1のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差と基準誤差値の差に基づき、フィードフォワード位置補正値を算出する(工程S306)。
【0012】
ここで、ウェーハのアライメントマーク位置誤差は、例えば、多項式からなるモデル公式を用いて近似計算を行うことができ、プロセッサ104は、測定されたアライメントマーク位置誤差に基づき、最小二乗法等の統計演算を用いて、位置座標とアライメントマーク位置座標の誤差の関係を表すモデル公式の係数を求めることができ、アライメントマーク位置誤差のモデル公式は、例えば、下記式で表されても良い。
【0013】
ここで、MX、MYは、ウェーハの原点を中心とする座標系のX軸方向とY軸方向上の誤差であり、wx、wyは、ウェーハの原点を中心とする座標系の位置座標であり、fx、fyは、照射(shot)領域の原点を中心とする座標系の位置座標である。係数wk1~wk20及びsk1~sk6は、例えば、測定装置102が測定したウェーハ上のアライメントマーク位置と設計の基準アライメントマーク位置の差に基づき、最小二乗法を用いて算出し得ることができるが、これに限られず、一部の実施例においては、平均値、中央値、最大値、最小値、3Sigma、M+3Sigma等の方法を用いて算出し得ることもできる。前記第1の閾値は、例えば、係数wk1~wk20及びsk1~sk6と対応する複数の閾値を含んでも良く、例えば、係数wk1~wk20及びsk1~sk6のいずれかが対応する閾値より大きい場合、ウェーハは第1のウェーハグループにグループ化され、そうでない場合には、第2のウェーハグループにグループ化される。
【0014】
また、基準誤差値は、例えば、第2のウェーハグループのウェーハのアライメントマーク位置誤差に基づき得ることができ、例えば、第2のウェーハグループのウェーハのアライメントマーク位置誤差の平均値を算出して基準誤差値とすることができ、例えば、第2のウェーハグループの各ウェーハのアライメントマーク位置誤差の係数wk1の平均値を算出し、残りの係数wk2~wk20及びsk1~sk6の平均値も同様の方法で算出するとともに、各係数の平均値を前記多項式からなるモデル公式の係数として、多項式からなるモデル公式で表される基準誤差値を得ることができるが、これに限られず、第2のウェーハグループのウェーハのアライメントマーク位置誤差の中央値を算出して基準誤差値とすることもでき、例えば、第2のウェーハグループのウェーハのアライメントマーク位置誤差の各係数の中央値を、前記多項式からなるモデル公式の係数として、多項式からなるモデル公式で表される基準誤差値を得ることもできる。一部の実施例においては、基準誤差値は、過去の履歴データに基づき設定することもでき、例えば、以前のロットのウェーハにおいてアライメントマーク位置誤差が第1の閾値以下であるウェーハのアライメントマーク位置誤差に基づき取得することができ、例えば、Nロット前のウェーハの第2のウェーハグループのウェーハのアライメントマーク位置誤差の平均値を基準誤差値とすることができ、ここでNは正の整数である。
【0015】
フィードフォワード位置補正値を算出した後、プロセッサ104は、フィードフォワード位置補正値に基づき、リソグラフィ裝置106を制御して、ウェーハにリソグラフィ工程を実行することができる。このようにして、第1のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差と基準誤差値の差を算出して得られたフィードフォワード位置補正値に基づき、リソグラフィ裝置106を制御して、リソグラフィ工程を実行する。従来技術のように、直接、測定されたアライメントマーク位置誤差に基づき、リソグラフィ工程を実行するのではないため、測定装置102とリソグラフィ裝置106の装置性能または構造上の差異(例えば、ウェーハチャックの差異)に起因するAPCノイズを有効に軽減して、オーバーレイ誤差制御を改善し、半導体工程の歩留まりと生産性を向上させることができる。ここで、フィードフォワード位置補正値は、多項式からなるモデル公式として表すこともでき、つまり、第1のウェーハグループの各ウェーハのアライメントマーク位置誤差の各係数と基準誤差値を表すモデル公式に対応する係数を減算し、減算後の各係数を前記多項式からなるモデル公式の係数として、多項式からなるモデル公式で表されるフィードフォワード位置補正値を得ることができる。
【0016】
図4は、本発明の別の実施例に基づき図示されるフィードフォワード位置補正値を生成する方法のフロー図である。本実施例において、プロセッサ104は、工程S306の後に、さらに第2のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差と第2の閾値を比較することができ(工程S402)、第2のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差と第2の閾値を比較する方法は、第1のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差と第1の閾値を比較する方法に類似しているため、ここでは記載を省略する。第2のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差が第2の閾値より大きくない場合、終了工程に移ることができる。第2のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差が第2の閾値より大きい場合、さらに第2のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差補正に基づきフィードフォワード位置補正値を補正することができ(工程S404)、例えば、工程S306において算出して得られたフィードフォワード位置補正値の各係数と第2のウェーハグループのウェーハのアライメントマーク位置誤差を表すモデル公式において対応する係数を減算し、減算後の各係数を前記多項式からなるモデル公式の係数として、多項式からなるモデル公式で表される補正後のフィードフォワード位置補正値を得ることができる。ここで、フィードフォワード位置補正値を補正するのに用いられる第2のウェーハグループのウェーハのアライメントマーク位置誤差は、例えば、第2のウェーハグループ内の全てのウェーハのアライメントマーク位置誤差の平均値であって良いが、これに限られず、例えば、第2のウェーハグループのウェーハのアライメントマーク位置誤差の中央値であっても良い。
【0017】
図5は、本発明の一実施例に基づき図示される最適化された位置補正値を生成する方法のフロー図である。より詳細に言えば、工程S210の実施の詳細は、例えば、
図5に示される通りであって良い。プロセッサは、オーバーレイ測定装置108がウェーハを測定して得られたオーバーレイ誤差を受信することができ(工程S502)、ここでオーバーレイ誤差を算出する際に使用するモデル公式は、例えば、アライメントマーク位置誤差を算出する際と同様に、多項式からなるモデル公式を用いて近似計算を行なっても良いが、ここでは記載を省略する。プロセッサ104は、オーバーレイ測定装置108がウェーハを測定して得られたオーバーレイ誤差、プロセッサ104が算出したフィードフォワード位置補正値及びリソグラフィ裝置106が、以前、ウェーハにリソグラフィ工程を実行する際に使用した位置補正値に基づき、最適化された位置補正値を算出することができる(工程S504)。例えば、現在、リソグラフィ工程を行おうとするウェーハが第N個目のウェーハであると仮定すると、リソグラフィ裝置106が、以前、ウェーハにリソグラフィ工程を実行する際に使用した位置補正値を第N-1個目のウェーハにリソグラフィ工程を実行する際に使用する最適化された位置補正値とする。プロセッサ104は、リソグラフィ裝置106が第N-1個目のウェーハにリソグラフィ工程を実行する際に使用する位置補正値から、測定装置102が提供する第N個目のウェーハのフィードフォワード位置補正値及びオーバーレイ測定装置108が第N-1個目のウェーハを測定して得られたオーバーレイ誤差を減算して、現在、リソグラフィ工程を行おうとする第Nのウェーハの最適化された位置補正値を得ることができ、このようにして、フィードフォワード位置補正値が次のウェーハの最適化された位置補正値に影響することを回避することができる。ここで、最適化された位置補正値は、例えば、前記多項式からなるモデル公式として表すこともできる。
【0018】
また、以前、ウェーハにリソグラフィ工程を実行する際にフィードフォワード位置補正値を使用していない場合、プロセッサ104は、オーバーレイ測定装置108がウェーハを測定して得られたオーバーレイ誤差及びリソグラフィ裝置106が、以前、ウェーハにリソグラフィ工程を実行する際に使用した位置補正値に基づき、最適化された位置補正値を算出することができ(工程S506)、例えば、リソグラフィ裝置106が第N-1個目のウェーハにリソグラフィ工程を実行する際に使用した位置補正値から、オーバーレイ測定装置108が第N-1個目のウェーハを測定して得られたオーバーレイ誤差を減算して、現在、リソグラフィ工程を行おうとする第N個目のウェーハの最適化された位置補正値を得ることができる。
【0019】
以上をまとめ、本発明の実施例は、複数のウェーハのアライメントマーク位置を測定し、ウェーハのアライメントマーク位置誤差と第1の閾値に基づき、ウェーハを第1のウェーハグループ及び第2のウェーハグループにグループ化し、第1のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差と基準誤差値の差に基づき、フィードフォワード位置補正値を算出するとともに、フィードフォワード位置補正値に基づき、リソグラフィ裝置を制御して、リソグラフィ工程を実行する。このようにして、第1のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差と基準誤差値の差を算出して得られたフィードフォワード位置補正値に基づき、リソグラフィ裝置を制御して、リソグラフィ工程を実行する。従来技術のように、直接、測定されたアライメントマーク位置誤差に基づき、リソグラフィ工程を実行するのではないため、測定装置とリソグラフィ裝置の装置性能または構造上の差異に起因するAPCノイズを有効に軽減し、オーバーレイ誤差制御を改善し、半導体工程の歩留まりと生産性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0020】
102:測定装置
104:プロセッサ
106:リソグラフィ裝置
108:オーバーレイ測定装置
S202~S212:半導体製造装置の半導体製造方法
S302~S306、S402~S404:フィードフォワード位置補正値を生成する方法工程
S502~S506:最適化された位置補正値を生成する方法
【手続補正書】
【提出日】2023-06-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ裝置と、
複数のウェーハのアライメントマーク位置誤差を測定する測定装置と、
前記リソグラフィ裝置と前記測定装置に結合され、前記ウェーハのアライメントマーク位置誤差と第1の閾値に基づき、複数の前記ウェーハを第1のウェーハグループ及び第2のウェーハグループにグループ化し、前記第1のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差と基準誤差値の差に基づき、フィードフォワード位置補正値を算出し、前記フィードフォワード位置補正値に基づき、前記リソグラフィ裝置を制御して、リソグラフィ工程を実行するプロセッサと、
を備え、
前記第1のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差は前記第1の閾値より大きく、前記第2のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差は前記第1の閾値以下である、半導体製造装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記第2のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差に基づき、前記基準誤差値を算出する、
請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記第2のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差が第2の閾値より大きい場合、前記第2のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差に基づき、前記フィードフォワード位置補正値を補正する、
請求項2に記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記基準誤差値は、以前のロットのウェーハにおけるアライメントマーク位置誤差が前記第1の閾値以下であるウェーハの過去の履歴アライメントマーク位置誤差に基づき得られる、
請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項5】
前記プロセッサに結合されたオーバーレイ測定装置をさらに備え、
前記オーバーレイ測定装置は、複数の前記ウェーハのオーバーレイ誤差を測定し、前記プロセッサは、複数の前記ウェーハのオーバーレイ誤差、前記フィードフォワード位置補正値及び前記リソグラフィ裝置が以前のウェーハに前記リソグラフィ工程を実行した際に使用した位置補正値に基づき、最適化された位置補正値を算出し、前記最適化された位置補正値に基づき、前記リソグラフィ裝置を制御して、リソグラフィ工程を実行する、
請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項6】
前記プロセッサに結合されたオーバーレイ測定装置をさらに備え、
前記オーバーレイ測定装置は、前記プロセッサは、前記複数のウェーハのオーバーレイ誤差及び前記リソグラフィ裝置が以前のウェーハに前記リソグラフィ工程を実行した際に使用した位置補正値に基づき、最適化された位置補正値を算出し、前記最適化された位置補正値に基づき、前記リソグラフィ裝置を制御して、リソグラフィ工程を実行する、
請求項1に記載の半導體製造裝置。
【請求項7】
複数のウェーハのアライメントマーク位置誤差を測定することと、
複数の前記ウェーハのアライメントマーク位置誤差と第1の閾値に基づき、複数の前記ウェーハを第1のウェーハグループ及び第2のウェーハグループをグループ化することと、
前記第1のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差と基準誤差値の差に基づき、フィードフォワード位置補正値を算出することと、
前記フィードフォワード位置補正値に基づき、リソグラフィ工程を実行することと、
を備え、
前記第1のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差は前記第1の閾値より大きく、前記第2のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差は前記第1の閾値以下である、
半導体製造装置の半導体製造方法。
【請求項8】
前記第2のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差に基づき、前記基準誤差値を算出することを備える、
請求項7に記載の半導体製造装置の半導体製造方法。
【請求項9】
前記第2のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差が第2の閾値より大きい場合、前記第2のウェーハグループのアライメントマーク位置誤差に基づき、前記フィードフォワード位置補正値を補正することを備える、
請求項8に記載の半導体製造装置の半導体製造方法。
【請求項10】
前記基準誤差値は、以前のロットのウェーハにおけるアライメントマーク位置誤差が前記第1の閾値以下であるウェーハの過去の履歴アライメントマーク位置誤差に基づき得られる、
請求項7に記載の半導体製造装置の半導体製造方法。
【請求項11】
複数の前記ウェーハのオーバーレイ誤差を測定することと、
複数の前記ウェーハのオーバーレイ誤差、前記フィードフォワード位置補正値及び以前のウェーハに前記リソグラフィ工程を実行した際に使用した位置補正値に基づき、最適化された位置補正値を算出することと、
前記最適化された位置補正値に基づき、リソグラフィ工程を実行することと、
を備える請求項7に記載の半導体製造装置の半導体製造方法。
【請求項12】
前記複数のウェーハのオーバーレイ誤差を測定することと、
前記複数のウェーハのオーバーレイ誤差及び以前のウェーハに前記リソグラフィ工程を実行した際に使用した位置補正値に基づき、最適化された位置補正値を算出することと、
前記最適化された位置補正値に基づき、リソグラフィ工程を実行することと、
を備える請求項7に記載の半導体製造装置の半導体製造方法。