(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162881
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法、および車両制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 40/02 20060101AFI20231101BHJP
B60W 50/12 20120101ALI20231101BHJP
B60W 30/06 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
B60W40/02
B60W50/12
B60W30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073580
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂井 俊
(72)【発明者】
【氏名】福万 真澄
(72)【発明者】
【氏名】新 康孝
(72)【発明者】
【氏名】奥田 泰生
(72)【発明者】
【氏名】古賀 友一朗
(72)【発明者】
【氏名】上撫 琢也
(72)【発明者】
【氏名】大石 将士
(72)【発明者】
【氏名】猪飼 正樹
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA18
3D241BA50
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE05
3D241DC33Z
3D241DC34Z
(57)【要約】
【課題】自車両の現在位置が駐車場内であるか否かの判定精度をよりいっそう向上すること。
【解決手段】車両制御装置(5)は、信頼度判定部(503)と自車両位置判定部(504)とを備えている。信頼度判定部は、カメラ(4)による自車両(C)の周囲の画像の撮像結果である画像データに基づく、前記自車両の周囲の駐車スペース(PS)または駐車車両(PV)の検出結果に基づいて、前記自車両の現在位置である自車両位置が駐車場(PL)内であることに関する信頼度を判定する。自車両位置判定部は、前記信頼度判定部による前記信頼度の判定結果に基づいて、前記自車両位置が前記駐車場内であるか否かを判定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両制御装置(5)であって、
カメラ(2)による自車両(C)の周囲の画像の撮像結果である画像データに基づく、前記自車両の周囲の駐車スペース(PS)または駐車車両(PV)の検出結果に基づいて、前記自車両の現在位置である自車両位置が駐車場(PP)内であることに関する信頼度を判定する、信頼度判定部(503)と、
前記信頼度判定部による前記信頼度の判定結果に基づいて、前記自車両位置が前記駐車場内であるか否かを判定する、自車両位置判定部(504)と、
を備えた車両制御装置。
【請求項2】
前記信頼度判定部は、検出された前記駐車スペースまたは前記駐車車両の前記自車両に対する相対位置に基づいて、前記信頼度を判定する、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記自車両位置判定部は、前記自車両位置が前記駐車場内である旨の肯定判定中に、前記信頼度が低下しても、所定の肯定維持条件成立中は前記肯定判定を維持する、
請求項1または2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記肯定維持条件は、走行距離または経過時間である、
請求項3に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記自車両位置判定部は、前記肯定判定中であって且つシフトポジションが後退ポジションである間は、前記肯定判定を維持する、
請求項3に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記自車両位置判定部は、前記肯定判定中にイグニッションスイッチ操作があっても、前記肯定判定を維持する、
請求項3に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記自車両位置判定部は、前記自車両位置が前記駐車場内ではない旨の否定判定中に、前記信頼度が上昇しても、所定の否定維持条件成立中は前記否定判定を維持する、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項8】
前記信頼度判定部は、前記信頼度を三段階以上の多段階で判定し、
前記否定維持条件は、前記信頼度が所定段階以下である、
請求項7に記載の車両制御装置。
【請求項9】
前記自車両位置判定部は、前記自車両が縦列駐車スペースに接近中の場合、前記自車両位置が前記駐車場内ではない旨判定する、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項10】
前記自車両位置が前記駐車場内である場合に、前記自車両と前記駐車スペースまたは前記駐車車両との距離または当該距離を時間に換算した値に応じて、アクセルペダルの踏み間違いによる前記自車両の加速を抑制する加速抑制制御の態様を変更する、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項11】
車両制御方法であって、
カメラ(2)による自車両(C)の周囲の画像の撮像結果である画像データに基づく、前記自車両の周囲の駐車スペース(PS)または駐車車両(PV)の検出結果に基づいて、前記自車両の現在位置である自車両位置が駐車場(PP)内であることに関する信頼度を判定し、
前記信頼度の判定結果に基づいて、前記自車両位置が前記駐車場内であるか否かを判定する、
車両制御方法。
【請求項12】
車両制御装置(5)により実行される、車両制御プログラムであって、
前記車両制御装置が実行する処理は、
カメラ(2)による自車両(C)の周囲の画像の撮像結果である画像データに基づく、前記自車両の周囲の駐車スペース(PS)または駐車車両(PV)の検出結果に基づいて、前記自車両の現在位置である自車両位置が駐車場(PP)内であることに関する信頼度を判定する、信頼度判定処理と、
前記信頼度判定処理による前記信頼度の判定結果に基づいて、前記自車両位置が前記駐車場内であるか否かを判定する、自車両位置判定処理と、
を含む、
車両制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、車両制御方法、および車両制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、駐車場内で車両の運転者がブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み込んでしまうと、運転者の意図に反して車両が加速してしまう。そこで、このようなアクセル踏み間違いによる急加速を抑制する等の目的で、自車両が駐車場内にあるか否かの判定が求められることがある。
【0003】
この点、特許文献1は、自車両が駐車場内にあるか否かの判定精度を向上させる技術を開示する。すなわち、特許文献1に記載された駐車場判定装置は、カメラで撮像した画像データに基づいて俯瞰画像を生成し、駐車枠の有無および駐車車両の有無によって、自車両が駐車場内にあるか否かを判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような、自車両の現在位置が駐車場内であるか否かの判定の精度を向上することは、車両制御上、非常に有用である。本発明は、上記に例示した事情等に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、例えば、自車両の現在位置が駐車場内であるか否かの判定精度をよりいっそう向上することが可能な技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の車両制御装置(5)は、
カメラ(2)による自車両(C)の周囲の画像の撮像結果である画像データに基づく、前記自車両の周囲の駐車スペース(PS)または駐車車両(PV)の検出結果に基づいて、前記自車両の現在位置である自車両位置が駐車場(PP)内であることに関する信頼度を判定する、信頼度判定部(503)と、
前記信頼度判定部による前記信頼度の判定結果に基づいて、前記自車両位置が前記駐車場内であるか否かを判定する、自車両位置判定部(504)と、
を備えている。
請求項11に記載の車両制御方法は、以下の処理あるいは手順を含む:
カメラ(2)による自車両(C)の周囲の画像の撮像結果である画像データに基づく、前記自車両の周囲の駐車スペース(PS)または駐車車両(PV)の検出結果に基づいて、前記自車両の現在位置である自車両位置が駐車場(PP)内であることに関する信頼度を判定し、
前記信頼度の判定結果に基づいて、前記自車両位置が前記駐車場内であるか否かを判定する。
請求項12に記載の車両制御プログラムは、車両制御装置(5)により実行されるプログラムであって、
前記車両制御装置が実行する処理は、
カメラ(2)による自車両(C)の周囲の画像の撮像結果である画像データに基づく、前記自車両の周囲の駐車スペース(PS)または駐車車両(PV)の検出結果に基づいて、前記自車両の現在位置である自車両位置が駐車場(PP)内であることに関する信頼度を判定する、信頼度判定処理と、
前記信頼度判定処理による前記信頼度の判定結果に基づいて、前記自車両位置が前記駐車場内であるか否かを判定する、自車両位置判定処理と、
を含む。
【0007】
なお、出願書類の各欄において、各要素に括弧付きの参照符号が付される場合がある。しかしながら、かかる参照符号は、同要素と後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を、単に示すものにすぎない。よって、本発明は、上記の参照符号の記載によって、何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両制御装置を含む車載システムを搭載した自車両の概略構成を示す平面図である。
【
図2】
図1に示された車載システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2に示された車両制御装置にて実現される概略的な機能構成を示すブロック図である。
【
図4】
図2に示された車両制御装置の動作概要を示す平面図である。
【
図5】
図2に示された車両制御装置の動作概要を示す平面図である。
【
図6】
図2に示された車両制御装置の動作概要を示す平面図である。
【
図7】
図2に示された車両制御装置の動作概要を示す平面図である。
【
図8】
図2に示された車両制御装置の動作概要を示す平面図である。
【
図9】
図2に示された車両制御装置の動作概要を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、一つの実施形態に対して適用可能な各種の変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中に挿入されると当該実施形態の理解が妨げられるおそれがある。このため、変形例は、実施形態の説明の後にまとめて記載する。
【0010】
(車載システム構成)
図1を参照すると、車載システム1は、移動体としての自車両Cに搭載されている。本実施形態においては、自車両Cは、いわゆる四輪自動車であって、平面視にて略矩形状に形成された箱状の車体CBを備えている。「平面視」における自車両Cの各部分の形状は、自車両Cを走行可能に水平面に安定的に載置した状態で当該部分を重力作用方向と同一方向の視線で見た場合の形状を指すものである。
【0011】
以下、平面視にて、自車両Cの車幅方向における中心を通り、且つ自車両Cにおける車両全長方向と平行な仮想直線を、車幅中心線CLと称する。なお、車幅中心線CLは、車両中心線とも称され得る。図中、車幅中心線CLは、自車両Cが前進走行中である場合の自車両Cの進行方向を示すように、矢印で示されている。「前進走行中」とは、自車両Cの走行速度すなわち車速が0以上であって、且つ、シフトポジションが前進ポジション(すなわち後退ポジション以外の走行ポジション)であることをいうものとする。「走行ポジション」とは、パーキングポジションおよびニュートラルポジション以外のポジションをいうものとする。車両全長方向は、車幅方向と直交し且つ車高方向と直交する方向である。車高方向は、自車両Cの車高を規定する方向であって、自車両Cを走行可能に水平面に安定的に載置した場合の重力作用方向と平行な方向である。また、「前」「後」「左」「右」「上」を、
図1中にて矢印で示された通りに定義する。すなわち、車両全長方向は、前後方向と同義である。また、車幅方向は、左右方向と同義である。さらに、自車両Cが前進走行中である場合の、自車両の進行予定経路を、推定進路CPとして図中二点鎖線で示す。
【0012】
車載システム1は、カメラ2や障害物センサ3を用いて自車両Cの周囲の物標を検出するとともに、かかる物標の検出結果に基づいて自車両Cにおける挙動制御(例えばペダル踏み間違い急発進抑制)や乗員への情報通知動作を実行するように構成されている。より詳細には、車載システム1は、カメラ2よる自車両Cの周囲の画像の撮像結果に基づく、自車両Cの周囲の駐車スペースPSまたは駐車車両PVの検出結果に基づいて、自車両位置が駐車場PPであるか否かを判定可能な構成を有している。「自車両位置」は、自車両Cの現在位置である。「駐車スペースPS」は、普通自動車一台分が駐車するための駐車区画PA、または、かかる駐車区画PAに駐車中の駐車車両PVが、同一方向に所定数(例えば二つ)以上連続して配列したものを指すものとする。なお、駐車区画PAは、路面上の白線等による区画線によって区画されたものに限定されない。また、車載システム1は、自車両位置が駐車場PPであるか否かの判定結果に応じた車両挙動制御を実行するように構成されている。具体的には、
図2に示されているように、車載システム1は、カメラ2と、障害物センサ3と、走行状態センサ4と、車両制御装置5と、HMI装置6と、走行制御装置7とを備えている。HMIはヒューマン マシン インタフェースの略である。
【0013】
カメラ2は、自車両Cの周囲の画像を撮像するように設けられている。本実施形態においては、カメラ2は、いわゆるフロントカメラであって、自車両Cの前方および前側方に撮像範囲を有するように設置されている。カメラ2は、撮像結果である画像データを車両制御装置5に入力するように、車載通信回線を介して車両制御装置5と情報通信可能あるいは信号通信可能に接続されている。
【0014】
障害物センサ3は、自車両Cの周囲に存在する障害物を検出するように設けられている。具体的には、自車両Cには、障害物センサ3として、レーダセンサ、レーザレーダセンサ、および超音波センサのうちの少なくとも一種が搭載されている。障害物センサ3は、自車両Cの周囲における障害物の検出結果を車両制御装置5に入力するように、車載通信回線を介して車両制御装置5と情報通信可能あるいは信号通信可能に接続されている。
【0015】
走行状態センサ4は、自車両Cの走行状態に関連する諸量を検出するように設けられている。「走行状態に関連する諸量」は、例えば、アクセル操作量、ブレーキ操作量、シフトポジション、操舵角、等の、運転者または運転自動化システムによる運転操作状態に関連する諸量を含む。また、「走行状態に関連する諸量」は、例えば、車速、角速度、前後方向加速度、左右方向加速度、等の、自車両Cの挙動に関連する物理量を含む。すなわち、走行状態センサ4は、アクセル開度センサ、操舵角センサ、車輪速センサ、角速度センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ、等の、車両運転制御に必要な周知のセンサ類を、図示および説明の簡略化のために総称したものである。走行状態センサ4は、検出結果を車両制御装置5に入力するように、車載通信回線を介して車両制御装置5と情報通信可能あるいは信号通信可能に接続されている。
【0016】
車両制御装置5は、車体CBの内部に収容されている。車両制御装置5は、カメラ2、障害物センサ3、および走行状態センサ4から取得した各種の情報や信号に基づいて、HMI装置6や走行制御装置7を含む自車両Cの各部の動作を制御するように構成されている。本実施形態においては、車両制御装置5は、プロセッサ51とメモリ52とを備えた、車載コンピュータとしての構成を有している。プロセッサ51は、CPUやMPUにより構成されている。メモリ52は、ROM、RAM、不揮発性リライタブルメモリ、等の各種の非遷移的実体的記憶媒体のうち、少なくともROMおよびRAMを備えている。不揮発性リライタブルメモリは、電源投入中は情報を書き換え可能である一方で電源遮断中は情報を書き換え不能に保持する記憶装置であって、例えばフラッシュROM等である。車両制御装置5は、ROMまたは不揮発性リライタブルメモリに格納された制御プログラムを読み出して実行することで、車載システム1の全体の動作を制御するように構成されている。
【0017】
HMI装置6は、自車両Cの乗員に対して各種の情報提示や警告を行うための、表示装置やスピーカ等によって構成されている。走行制御装置7は、自車両Cの縦方向および/または横方向の運動制御を実行するように設けられている。すなわち、走行制御装置7は、自車両Cにおける、発進、加減速、制動、停止、操舵、等の運動制御の少なくとも一部を実行可能に構成されている。
【0018】
(車両制御装置)
図3は、プロセッサ51がメモリ52から車両制御プログラムを読み出して実行することによって車載マイクロコンピュータ上に実現される機能構成の一部を示す。
図3に示されているように、車両制御装置5は、車載マイクロコンピュータ上に実現される機能構成として、画像データ取得部501と、駐車スペース検出部502と、信頼度判定部503と、自車両位置判定部504と、指令信号出力部505とを備えている。以下、
図1~
図3を参照しつつ、車両制御装置5の構成の詳細について説明する。
【0019】
画像データ取得部501は、カメラ2から画像データを取得するようになっている。駐車スペース検出部502は、画像データ取得部501にて取得した画像データに基づいて、いわゆる周知の画像認識の手法により、駐車スペースPSおよび駐車車両PVを検出するようになっている。以下、駐車スペースPSと駐車車両PVとを区別せず総称する場合に、「駐車スペースPS等」という表現を使用するものとする。同様に、駐車区画PAと駐車車両PVとを区別せず総称する場合に、「駐車区画PA等」という表現を使用するものとする。
【0020】
信頼度判定部503は、画像データに基づく、自車両Cの周囲の駐車スペースPS等の検出結果に基づいて、自車両位置が駐車場PP内であることに関する信頼度を判定するようになっている。なお、「自車両位置が駐車場PP内であることに関する信頼度」を、以下「自車両位置信頼度」と略称する。具体的には、信頼度判定部503は、駐車区画PAの連続性、駐車区画PA等の検出状況、等に基づいて決定される、検出された駐車スペースPS等における検出信頼度に基づいて、自車両位置信頼度を判定するようになっている。「検出された駐車区画PA等の連続性」は、例えば、駐車区画PAおよび/または駐車車両PVが同一方向に所定台数分以上の距離で連続して検出されたか否かを含む。「駐車区画PA等の検出状況」は、例えば、駐車区画PAを構成する路面上の白線認識の信頼度を含む。また、本実施形態においては、信頼度判定部503は、検出された駐車スペースPS等の自車両Cに対する相対位置に基づいて、自車両位置信頼度を判定するようになっている。「相対位置」は、例えば、自車両Cからの距離と、自車両Cとの位置関係とを含む。「位置関係」は、例えば、駐車スペースPS等が、自車両Cの右側のみにて検出されたか、自車両Cの左側のみにて検出されたか、自車両Cの左右両側にて検出されたか、自車両Cの正面にて検出されたか、等を含む。
【0021】
本実施形態においては、信頼度判定部503は、自車両位置信頼度を、三段階以上の多段階で判定するようになっている。より詳細には、信頼度判定部503は、以下の通りに自車両位置信頼度を判定するようになっている。なお、以下の記載における「信頼度2」は高信頼度に相当し、「信頼度1」は中信頼度に相当し、「信頼度0」は低信頼度に相当し、数値が高いほど自車両位置信頼度が高いすなわち自車両位置が駐車場PP内であることの蓋然性が高いことを指すものとする。
・左右両側の所定距離内あるいは正面の所定距離内に駐車スペースPSを高信頼度で検出…信頼度2
・左右両側の所定距離内あるいは正面の所定距離内に駐車スペースPSを中信頼度で検出…信頼度1
・左右いずれか一方側のみにて所定距離内に駐車スペースPSを高~中信頼度で検出…信頼度1
・上記以外…信頼度0
【0022】
自車両位置判定部504は、信頼度判定部503による自車両位置信頼度の判定結果に基づいて、自車両位置が駐車場PP内であるか否かを判定するようになっている。また、本実施形態においては、自車両位置判定部504は、自車両位置が駐車場PP内ではない旨の否定判定中に、自車両位置信頼度が上昇しても、所定の否定維持条件成立中は否定判定を維持するようになっている。ここで、「否定維持条件」は、自車両位置信頼度が所定段階(すなわち上記の例では信頼度1)以下である。すなわち、自車両位置判定部504は、誤検出を防ぐため、駐車スペースPS等を検出しない状態から自車両位置信頼度が上昇しても、一定信頼度以下では自車両位置が駐車場PP内であるとは判定しないようになっている。また、自車両位置判定部504は、自車両位置が駐車場PP内である旨の肯定判定中に、自車両位置信頼度が低下しても、所定の肯定維持条件成立中は肯定判定を維持するようになっている。ここで、「肯定維持条件」は、走行距離または経過時間である。すなわち、自車両位置判定部504は、駐車場PP内を走行中の判定落ちを防ぐため、自車両位置信頼度が高い状態から低下しても、一定の走行距離あるいは走行時間内は自車両位置が駐車場PP内である旨の判定を維持するようになっている。具体的には、自車両位置判定部504は、以下のように判定を実行するようになっている。
・信頼度2…自車両位置が駐車場PP内である旨の判定(すなわち肯定判定)成立
・信頼度1…自車両位置が駐車場PP内である旨の判定不成立(すなわち否定判定)/但し、信頼度2からの低下の場合は低下から所定の走行距離(例えば数十メートル)あるいは走行時間(例えば10秒程度)内は自車両位置が駐車場PP内である旨の判定を維持
・信頼度0…自車両位置が駐車場PP内である旨の判定不成立/但し、自車両位置が駐車場PP内である旨の判定の成立下での信頼度1または2からの低下の場合は、低下から所定の走行距離(例えば数メートル)あるいは走行時間(例えば数秒程度)内は自車両位置が駐車場PP内である旨の判定を維持
【0023】
指令信号出力部505は、自車両位置判定部504における判定結果に基づいて、HMI装置6や走行制御装置7の動作を制御するための指令信号を生成して、かかる指令信号をHMI装置6や走行制御装置7に向けて出力するようになっている。すなわち、HMI装置6は、指令信号出力部505から受信した指令信号に基づいて、自車両Cの現在位置が駐車場PP内であるか否かに関する表示あるいは音声案内を実行するように設けられている。また、走行制御装置7は、指令信号出力部505から受信した指令信号に基づいて、自車両Cの現在位置が駐車場PP内であるか否かに応じた自車両Cの運動制御を実行するようになっている。
【0024】
(動作概要)
以下、本実施形態に係る車両制御装置5の動作概要、および、かかる車両制御装置5による車両制御方法および車両制御プログラムの実行の概要について、これらにより奏される効果とともに、各図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、本実施形態に係る車両制御装置5と、かかる車両制御装置5により実行される車両制御方法および車両制御プログラムとを総称して、単に「本実施形態」と称することがある。
【0025】
画像データ取得部501は、自車両Cの周囲の画像の撮像結果である画像データを、カメラ2から取得する。駐車スペース検出部502は、画像データ取得部501にて取得した画像データに基づいて、いわゆる周知の画像認識の手法により、駐車スペースPS等を検出する。自車両位置判定部504は、駐車スペースPS等の検出結果に基づいて、自車両位置が駐車場PP内であるか否かを判定する。指令信号出力部505は、自車両位置判定部504における判定結果に基づいて、HMI装置6や走行制御装置7の動作を制御するための指令信号を生成して、かかる指令信号をHMI装置6や走行制御装置7に向けて出力する。これにより、例えば、車速が制限される駐車場PP内を自車両Cが走行する場合に、走行モードを駐車場モードに設定することで、駐車場PP内での急加速を確実に制限することができる。あるいは、駐車場PP内で自車両Cの運転者がブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み込んだ場合のペダル踏み間違い急発進抑制動作の許可と不許可とを、自車両Cの現在位置が駐車場PP内であるか否かの判定結果に応じて切り換えることができる。
【0026】
ここで、駐車スペースPSの認識や、かかる認識結果に基づく自車両位置の判定に際して、精度の悪化が生じることがあり得る。具体的には、例えば、従来技術においては、駐車場PP内の或る一部分では駐車スペースPSを良好に検出したことで自車両Cが駐車場PP内を走行中と判定できても、駐車場PP内でのその後の走行状態によっては自車両Cが駐車場PP内を走行中と判定できなくなることがあり得る。また、自車両Cが走行中の道路脇の駐車区画PAや交差点を検出することで、自車両Cが駐車場PPを走行中であると誤判定する懸念がある。また、隣り合う駐車区画PA等の間に柱等の障害物や歩行者通路等が存在する場合、駐車区画PA等の検出が不連続となることで駐車場PP内であるものと判断できなくなることがあり得る。
【0027】
この点、本実施形態は、画像データに基づく、自車両Cの周囲の駐車スペースPS等の検出結果に基づいて、自車両位置信頼度を判定する。すなわち、本実施形態は、検出された駐車スペースPS等の自車両Cに対する相対位置に基づいて、自車両位置信頼度を判定する。より詳細には、本実施形態は、検出された駐車スペースPS等における連続性や検出状況等に基づいて、自車両位置信頼度を三段階以上の多段階で判定する。具体的には、例えば、本実施形態は、自車両Cの左右両側の所定距離内あるいは正面の所定距離内に駐車スペースPSを高信頼度で検出した場合、自車両位置信頼度を信頼度2と判定する。また、本実施形態は、自車両Cの左右両側の所定距離内あるいは正面の所定距離内に駐車スペースPSを中信頼度で検出した場合、自車両位置信頼度を信頼度1と判定する。また、本実施形態は、自車両Cの左右いずれか一方側のみにて所定距離内に駐車スペースPSを高~中信頼度で検出した場合、自車両位置信頼度を信頼度1と判定する。一方、本実施形態は、これら以外の場合、自車両位置信頼度を信頼度0と判定する。なお、駐車スペースPS等の検出信頼度は、路面上の白線認識や物標検出の信頼度であって、例えば、周知のように、白線の掠れや天候等に起因する認識状態、白線によって囲まれた領域の形状や大きさ、等に基づいて判定され得る。そして、本実施形態は、上記のような自車両位置信頼度の判定結果に基づいて、自車両位置が駐車場PP内であるか否かを判定する。
【0028】
また、本実施形態は、誤検出を防ぐため、自車両位置が駐車場PP内ではない旨の否定判定中に、自車両位置信頼度が上昇しても、所定の否定維持条件成立中は否定判定を維持する。すなわち、本実施形態は、駐車スペースPS等を検出しない状態から自車両位置信頼度が上昇しても、一定信頼度(すなわち信頼度1)以下では自車両位置が駐車場PP内であるとは判定しない。さらに、本実施形態は、駐車場PP内を走行中の判定落ちを防ぐため、自車両位置が駐車場PP内である旨の肯定判定中に、自車両位置信頼度が低下しても、所定の肯定維持条件成立中は肯定判定を維持する。すなわち、本実施形態は、自車両位置信頼度が高い状態から低下しても、一定の走行距離あるいは走行時間内は自車両Cが駐車場PP内を走行中である旨の判定を維持する。より詳細には、本実施形態は、自車両位置信頼度が信頼度2と判定されると、直ちに、自車両Cの現在位置が駐車場PP内であると判定する。駐車場PP外での走行中は自車両位置信頼度が信頼度2とはならないためである。また、本実施形態は、自車両位置信頼度が信頼度0から信頼度1に上昇しても、自車両Cの現在位置が駐車場PP内であるとは判定しない。駐車場PP外での走行中に自車両位置信頼度が信頼度1となり得るためである。一方、本実施形態は、自車両位置信頼度が信頼度2から信頼度1に低下しても、直ちには自車両Cの現在位置が駐車場PP外であるとは判定せず、駐車場PP内である旨の判定を所定の走行距離(例えばN1メートル)あるいは走行時間(例えばT1秒)維持する。同様に、本実施形態は、自車両位置信頼度が信頼度2から信頼度0に低下しても、直ちには自車両Cの現在位置が駐車場PP外であるとは判定せず、駐車場PP内である旨の判定を所定の走行距離(例えばN2メートル)あるいは走行時間(例えばT2秒)維持する。ここで、上記のN1,N2,T1,およびT2は、自車両位置信頼度の変化態様に応じて設定され、T1>T2およびN1>N2である。
【0029】
図1、
図4および
図5は、本実施形態に係る車載システム1の典型的な動作例を示す。
図1は、自車両Cが或る駐車場PPに進入しようとしている状態を示している。
図1に示されているように、直進中の自車両Cの左前方および右前方のそれぞれには、少なくとも三つの駐車区画PAが、自車両Cの推定進路CPに沿って連続的に且つ互いに平行に配列している。このように、駐車区画PAや駐車車両PVが連続して平行に一定台数以上並んでいれば、駐車スペースPSの存在を判定することができる。また、これらの駐車区画PAの各々は、明確な白線による区画線によって区画されたものであり、白線の掠れがなく、カメラ2により良好に撮像される。さらに、これらの駐車区画PAは、推定進路CPからの距離が所定範囲内である。よって、この場合、自車両Cが駐車場PPに進入した時点で、自車両Cの左右両側の所定距離内に駐車スペースPSおよび当該駐車スペースPSに駐車中の駐車車両PVが高信頼度で検出され、これにより自車両位置信頼度が信頼度2と判定される。すると、自車両位置が駐車場PP内である旨の判定が、直ちに成立する。
【0030】
図4は、
図1に示された状態から、自車両Cがさらに直進した状態を示している。この例においては、手前側の三つの連続した駐車区画PAと、その奥側の二つの連続した駐車区画PAとの間に、駐車区画PA一つ分に相当する未検出部分が存在しているものとする。この点、本実施形態は、間に駐車区画PAや駐車車両PVが検出されない不連続部分があっても、一定距離内に同一向きで駐車区画PAや駐車車両PVが存在していれば、一連の駐車スペースPSと判定する。よって、この場合、自車両Cの左前方および右前方のそれぞれには、少なくとも五つの駐車区画PAからなる駐車スペースPSが検出される。よって、自車両位置信頼度が信頼度2と判定され、自車両位置が駐車場PP内である旨の判定がそのまま維持される。
【0031】
図5は、別の駐車場PP内に自車両Cが進入してから駐車位置を選択して駐車体勢に入るまでの一連の動きを示している。図中、C1,C2…は、その時点での自車両位置を示すものとする。自車両位置C1においては、自車両Cの正面における所定距離内に駐車スペースPSが高信頼度で検出されることで自車両位置信頼度が信頼度2と判定され、これにより自車両位置が駐車場PP内である旨の判定が成立する。続く自車両位置C2においては、自車両Cの左右両側における所定距離内に駐車スペースPSが高信頼度で検出されることで自車両位置信頼度が信頼度2と判定され、これにより自車両位置が駐車場PP内である旨の判定が成立する。
【0032】
続く自車両位置C3においては、自車両Cの左側における所定距離内に、駐車スペースPSが高信頼度で検出される。一方、自車両Cの右側における所定距離内には、駐車スペースPSは高信頼度では検出されない。よって、自車両位置信頼度が信頼度1と判定される。すなわち、自車両位置信頼度が、信頼度2から信頼度1に低下する。但し、本実施形態においては、このような自車両位置信頼度の低下により直ちに自車両位置が駐車場PP内である旨の判定が不成立とはならず、自車両位置が駐車場PP内である旨の判定が、数十メートルの走行距離あるいはこれに相当する走行時間維持される。その後、自車両位置C4において、自車両Cの左右両側における所定距離内に駐車スペースPSが高信頼度で検出されることで自車両位置信頼度が信頼度2と判定され、これにより自車両位置が駐車場PP内である旨の判定がそのまま維持される。
【0033】
続く自車両位置C5においては、自車両Cの右側における所定距離内に、駐車スペースPSが高信頼度で検出される。一方、自車両Cの左側における所定距離内には、駐車スペースPSは高信頼度では検出されない。よって、自車両位置信頼度が信頼度2から信頼度1に低下するものの、上記と同様に、自車両位置が駐車場PP内である旨の判定が、数十メートルの走行距離あるいはこれに相当する走行時間維持される。その後、自車両Cが駐車体勢に入った自車両位置C6において、自車両Cの左右両側の所定距離内にて駐車スペースPSが高信頼度では検出されずに自車両位置信頼度が信頼度1から信頼度0に低下する。但し、本実施形態においては、このような自車両位置信頼度の低下により直ちに自車両位置が駐車場PP内である旨の判定が不成立とはならず、自車両位置が駐車場PP内である旨の判定が、数メートルの走行距離あるいはこれに相当する走行時間維持される。
【0034】
このように、本実施形態によれば、上記のような従来技術にて自車両位置が駐車場PP内であるか否かを良好には判定できなかったような場合であっても、自車両位置が駐車場PP内であるか否かを良好に判定することが可能となる。したがって、本実施形態によれば、自車両Cの現在位置が駐車場PP内であるか否かの判定精度をよりいっそう向上することが可能な技術を提供することが可能となる。
【0035】
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。故に、上記実施形態に対しては、適宜変更が可能である。以下、代表的な変形例について説明する。以下の変形例の説明においては、上記実施形態との相違点を主として説明する。また、上記実施形態と変形例とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一の符号が付されている。したがって、以下の変形例の説明において、上記実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記実施形態における説明が適宜援用され得る。
【0036】
本発明は、上記実施形態に示された具体的な装置構成に限定されるものではない。例えば、カメラ2は、いわゆるフロントカメラに限定されず、全周囲カメラであってもよい。カメラ2の搭載数や搭載位置についても、特段の限定はない。
【0037】
車載システム1は、自動運転、高度運転支援、自動駐車、駐車支援、等のうちの少なくともいずれか1つを実現可能な構成を有していてもよい。すなわち、車両制御装置5は、自車両CのADAS動作を制御する、「ADAS ECU」としての構成を有していてもよい。ADASはAdvanced Driver-Assistance Systemsの略である。ECUはElectronic Control UnitあるいはElectric Control Unitの略である。この場合、車両制御装置5は、走行制御装置7と統合すなわち一体化され得る。換言すれば、本発明は、PMPD、すなわち、駐車場PP内で自車両Cの運転者がブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み込んだ場合のペダル踏み間違い急発進抑制に対する適用には限定されない。PMPDはPedal Misapplication Prevention Deviceの略である。
【0038】
車両制御装置5の全部または一部は、上記のような動作を可能に構成されたデジタル回路、例えばASICあるいはFPGAを備えた構成であってもよい。ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略である。FPGAはField Programmable Gate Arrayの略である。すなわち、車両制御装置5において、車載マイクロコンピュータ部分とデジタル回路部分とは併存し得る。
【0039】
上記実施形態にて説明した、各種の動作、手順、あるいは処理を実行可能とする、本発明に係るプログラムは、V2X通信を介して、ダウンロードあるいはアップグレードされ得る。V2XはVehicle to Xの略である。あるいは、かかるプログラムは、自車両Cの製造工場、整備工場、販売店、等に設けられた端末機器を介して、ダウンロードあるいはアップグレードされ得る。かかるプログラムの格納先は、メモリーカード、光学ディスク、磁気ディスク、等であってもよい。
【0040】
このように、上記の各機能構成および処理は、コンピュータプログラムにより具体化された一つあるいは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、上記の各機能構成および処理は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、上記の各機能構成および処理は、一つあるいは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移的実体的記憶媒体に記憶されていてもよい。すなわち、上記の各機能構成および処理は、これを実現するための手順を含むコンピュータプログラム、あるいは、当該プログラムを記憶した非遷移的実体的記憶媒体としても表現可能である。
【0041】
したがって、
図3に示された画像データ取得部501等は、あくまで、本発明の内容の理解に資するために便宜的に設定した機能構成ブロックである。したがって、これらの機能構成ブロックが実際にサブルーチンあるいはハードウェアとして車両制御装置5の内部に実現されていなくても、本発明所定の機能あるいは処理が実現されていれば、本発明の要件は充足され得る。
【0042】
画像データ取得部501および駐車スペース検出部502は、いわゆるADAS ECUとしての走行制御装置7に設けられていてもよい。すなわち、車両制御装置5は、駐車スペースPSおよび駐車車両PVの検出結果を走行制御装置7から取得するようになっていてもよい。
【0043】
本発明は、上記実施形態に示された具体的な動作態様に限定されない。すなわち、駐車スペースPSは、並列駐車用に限定されず、例えば斜め並列駐車用であってもよい。自車両位置信頼度は、高中低の三段階に限定されず、高低の二段階であってもよいし、四段階以上であってもよい。また、「信頼度N」におけるNの値が小さいほど信頼度が高くなるようにしてもよい。あるいは、「信頼度AAA」「信頼度B+」「信頼度C-」のように、アルファベットを含む記号で信頼度を示してもよい。あるいは、信頼度は、所定範囲内の連続的な数値として示されてもよい。
【0044】
駐車場PP内で自車両Cが切り返し運転等を行うことで、駐車スペースPS等の検出状態が変化することがあり得る。そこで、自車両位置判定部504は、自車両位置が駐車場PP内である旨の肯定判定中であって且つシフトポジションが後退ポジションである間は、肯定判定を維持するようになっていてもよい。具体的には、例えば、自車両位置判定部504は、肯定判定中であって且つシフトポジションが後退ポジションである間は、駐車場PP内を走行中とみなして、肯定判定解除のための距離あるいは時間のカウントを行わない(例えばカウントを中断あるいはクリアする)。これにより、駐車場PP内を走行中の判定落ちを良好に防ぐことが可能となる。
【0045】
イグニッションスイッチ操作直後は、カメラ2による画像データの取得履歴が不十分であるために良好な判定が困難となる場合があり得る。このため、自車両位置判定部504は、自車両位置が駐車場PP内である旨の肯定判定中にイグニッションスイッチ操作があっても、肯定判定を維持するようになっていてもよい。具体的には、例えば、自車両位置判定部504は、自車両位置が駐車場PP内である旨の肯定判定中にイグニッションスイッチ操作があっても、自車両位置の判定結果や、肯定判定解除のための距離あるいは時間のカウントをクリアしない。これにより、自車両位置の判定が、従来よりも、よりいっそう良好に行われ得る。
【0046】
図6は、並列駐車型の路上駐車帯PLに自車両Cが接近中の様子を示す。
図7は、縦列駐車型の路上駐車帯PLに自車両Cが接近中の様子を示す。このように、並列駐車スペースに対して側面から接近する場合や、縦列駐車スペースに対して接近する場合は、駐車場PPでなく路上駐車帯PLである可能性がある。言い換えると、複数の駐車区画PAが連続して並ぶ方向を「並び方向」とした場合、駐車区画PAと自車両Cとが並び方向において一部重なるように駐車区画PAに接近する場合は、駐車区画PAが路上駐車帯PLを構成している可能性がある。ここで、「駐車区画PAと自車両Cとが並び方向において一部重なる」とは、並び方向に駐車区画PAを延長した仮想空間である延長空間と自車両Cとが少なくとも部分的に重なる(すなわち自車両Cの少なくとも一部が上記の延長空間内に位置する)ことをいうものとする。典型的には、このような場合、
図6に示されているように、並列駐車スペースが推定進路CPと重なる。あるいは、
図7に示されているように、縦列駐車スペースが推定進路CPと重なる。そこで、このような場合、自車両位置判定部504は、自車両位置が駐車場PP内である旨の判定を行わないようになっていてもよい。具体的には、自車両位置判定部504は、自車両Cが並列駐車スペースに側方から接近中の場合、または、自車両Cが縦列駐車スペースに接近中の場合、自車両位置が駐車場PP内ではない旨判定するようになっていてもよい。これにより、路上駐車帯PLと駐車場PPとの誤判定を良好に回避することが可能となる。
【0047】
図8や
図9に示されているように、自車両Cと駐車スペースPSや駐車車両PVとの距離Dが近い場合、ペダル踏み間違い急発進抑制制御の介入の必要性が高まる。また、かかる距離Dが近いほど、上記のような制御の介入の必要性が、より高まる。そこで、車両制御装置5および/または走行制御装置7は、自車両位置が駐車場PP内である場合に、距離Dまたは当該距離Dを時間に換算した値(例えばTTC)に応じて、アクセルペダルの踏み間違いによる自車両の加速を抑制する加速抑制制御の態様を変更するようになっていてもよい。TTCは衝突余裕時間すなわちTime to Collisionの略である。具体的には、例えば、距離Dまたは当該距離Dを時間に換算した値に応じて、加速抑制制御を許可したり、加速抑制制御量を変化させたりしてもよい。
【0048】
上記の通りの、実施形態および変形例に係る構成および動作の説明から明らかなように、本開示は、以下の観点を含む。
【0049】
(観点1)
車両制御装置(5)は、
カメラ(2)による自車両(C)の周囲の画像の撮像結果である画像データに基づく、前記自車両の周囲の駐車スペース(PS)または駐車車両(PV)の検出結果に基づいて、前記自車両の現在位置である自車両位置が駐車場(PP)内であることに関する信頼度を判定する、信頼度判定部(503)と、
前記信頼度判定部による前記信頼度の判定結果に基づいて、前記自車両位置が前記駐車場内であるか否かを判定する、自車両位置判定部(504)と、
を備える。
(観点2)
(観点1)に記載の車両制御装置において、前記信頼度判定部は、検出された前記駐車スペースまたは前記駐車車両の前記自車両に対する相対位置に基づいて、前記信頼度を判定する。
(観点3)
(観点1)または(観点2)に記載の車両制御装置において、前記自車両位置判定部は、前記自車両位置が前記駐車場内である旨の肯定判定中に、前記信頼度が低下しても、所定の肯定維持条件成立中は前記肯定判定を維持する。
(観点4)
(観点3)に記載の車両制御装置において、前記肯定維持条件は、走行距離または経過時間である。
(観点5)
(観点3)または(観点4)に記載の車両制御装置において、前記自車両位置判定部は、前記肯定判定中であって且つシフトポジションが後退ポジションである間は、前記肯定判定を維持する。
(観点6)
(観点3)~(観点5)のいずれか1つに記載の車両制御装置において、前記自車両位置判定部は、前記肯定判定中にイグニッションスイッチ操作があっても、前記肯定判定を維持する。
(観点7)
(観点1)~(観点6)のいずれか1つに記載の車両制御装置において、前記自車両位置判定部は、前記自車両位置が前記駐車場内ではない旨の否定判定中に、前記信頼度が上昇しても、所定の否定維持条件成立中は前記否定判定を維持する。
(観点8)
(観点7)に記載の車両制御装置において、前記信頼度判定部は、前記信頼度を三段階以上の多段階で判定し、前記否定維持条件は、前記信頼度が所定段階以下である。
(観点9)
(観点1)~(観点8)のいずれか1つに記載の車両制御装置において、前記自車両位置判定部は、前記自車両が縦列駐車スペースに接近中の場合、前記自車両位置が前記駐車場内ではない旨判定する。
(観点10)
(観点1)~(観点9)のいずれか1つに記載の車両制御装置において、前記自車両位置が前記駐車場内である場合に、前記自車両と前記駐車スペースまたは前記駐車車両との距離または当該距離を時間に換算した値に応じて、アクセルペダルの踏み間違いによる前記自車両の加速を抑制する加速抑制制御の態様を変更する。
【0050】
(観点11)
車両制御方法は、
カメラ(2)による自車両(C)の周囲の画像の撮像結果である画像データに基づく、前記自車両の周囲の駐車スペース(PS)または駐車車両(PV)の検出結果に基づいて、前記自車両の現在位置である自車両位置が駐車場(PP)内であることに関する信頼度を判定し、
前記信頼度の判定結果に基づいて、前記自車両位置が前記駐車場内であるか否かを判定する。
(観点12)
(観点11)に記載の車両制御方法において、検出された前記駐車スペースまたは前記駐車車両の前記自車両に対する相対位置に基づいて、前記信頼度を判定する。
(観点13)
(観点11)または(観点12)に記載の車両制御方法において、前記自車両位置が前記駐車場内である旨の肯定判定中に、前記信頼度が低下しても、所定の肯定維持条件成立中は前記肯定判定を維持する。
(観点14)
(観点13)に記載の車両制御方法において、前記肯定維持条件は、走行距離または経過時間である。
(観点15)
(観点13)または(観点14)に記載の車両制御方法において、前記肯定判定中であって且つシフトポジションが後退ポジションである間は、前記肯定判定を維持する。
(観点16)
(観点13)~(観点15)のいずれか1つに記載の車両制御方法において、前記肯定判定中にイグニッションスイッチ操作があっても、前記肯定判定を維持する。
(観点17)
(観点11)~(観点16)のいずれか1つに記載の車両制御方法において、前記自車両位置が前記駐車場内ではない旨の否定判定中に、前記信頼度が上昇しても、所定の否定維持条件成立中は前記否定判定を維持する。
(観点18)
(観点17)に記載の車両制御方法において、前記信頼度を三段階以上の多段階で判定し、前記否定維持条件は、前記信頼度が所定段階以下である。
(観点19)
(観点11)~(観点18)のいずれか1つに記載の車両制御方法において、前記自車両が縦列駐車スペースに接近中の場合、前記自車両位置が前記駐車場内ではない旨判定する。
(観点20)
(観点11)~(観点19)のいずれか1つに記載の車両制御方法において、前記自車両位置が前記駐車場内である場合に、前記自車両と前記駐車スペースまたは前記駐車車両との距離または当該距離を時間に換算した値に応じて、アクセルペダルの踏み間違いによる前記自車両の加速を抑制する加速抑制制御の態様を変更する。
【0051】
(観点21)
車両制御装置(5)により実行される車両制御プログラムにおいて、
前記車両制御装置が実行する処理は、
カメラ(2)による自車両(C)の周囲の画像の撮像結果である画像データに基づく、前記自車両の周囲の駐車スペース(PS)または駐車車両(PV)の検出結果に基づいて、前記自車両の現在位置である自車両位置が駐車場(PP)内であることに関する信頼度を判定する、信頼度判定処理と、
前記信頼度判定処理による前記信頼度の判定結果に基づいて、前記自車両位置が前記駐車場内であるか否かを判定する、自車両位置判定処理と、
を含む。
(観点22)
(観点21)に記載の車両制御プログラムにおいて、前記信頼度判定処理は、検出された前記駐車スペースまたは前記駐車車両の前記自車両に対する相対位置に基づいて、前記信頼度を判定する。
(観点23)
(観点21)または(観点22)に記載の車両制御プログラムにおいて、前記自車両位置判定処理は、前記自車両位置が前記駐車場内である旨の肯定判定中に、前記信頼度が低下しても、所定の肯定維持条件成立中は前記肯定判定を維持する。
(観点24)
(観点23)に記載の車両制御プログラムにおいて、前記肯定維持条件は、走行距離または経過時間である。
(観点25)
(観点23)または(観点24)に記載の車両制御プログラムにおいて、前記自車両位置判定処理は、前記肯定判定中であって且つシフトポジションが後退ポジションである間は、前記肯定判定を維持する。
(観点26)
(観点23)~(観点25)のいずれか1つに記載の車両制御プログラムにおいて、前記自車両位置判定処理は、前記肯定判定中にイグニッションスイッチ操作があっても、前記肯定判定を維持する。
(観点27)
(観点21)~(観点26)のいずれか1つに記載の車両制御プログラムにおいて、前記自車両位置判定処理は、前記自車両位置が前記駐車場内ではない旨の否定判定中に、前記信頼度が上昇しても、所定の否定維持条件成立中は前記否定判定を維持する。
(観点28)
(観点27)に記載の車両制御プログラムにおいて、前記信頼度判定処理は、前記信頼度を三段階以上の多段階で判定し、前記否定維持条件は、前記信頼度が所定段階以下である。
(観点29)
(観点21)~(観点28)のいずれか1つに記載の車両制御プログラムにおいて、前記自車両位置判定処理は、前記自車両が縦列駐車スペースに接近中の場合、前記自車両位置が前記駐車場内ではない旨判定する。
(観点30)
(観点21)~(観点29)のいずれか1つに記載の車両制御プログラムにおいて、前記自車両位置が前記駐車場内である場合に、前記自車両と前記駐車スペースまたは前記駐車車両との距離または当該距離を時間に換算した値に応じて、アクセルペダルの踏み間違いによる前記自車両の加速を抑制する加速抑制制御の態様を変更する。
【0052】
(観点31)
車両制御装置(5)は、プロセッサ(51)と、コンピュータ読み取り可能なプログラムを記憶した非遷移的実体的記憶媒体であるメモリ(52)と、を備え、
前記プロセッサは、前記メモリに格納されたプログラムを読み込んで実行することで、
カメラ(2)による自車両(C)の周囲の画像の撮像結果である画像データに基づく、前記自車両の周囲の駐車スペース(PS)または駐車車両(PV)の検出結果に基づいて、前記自車両の現在位置である自車両位置が駐車場(PP)内であることに関する信頼度を判定する、信頼度判定処理と、
前記信頼度判定処理による前記信頼度の判定結果に基づいて、前記自車両位置が前記駐車場内であるか否かを判定する、自車両位置判定処理と、
を実行するように構成される。
(観点32)
(観点31)に記載の車両制御装置において、前記信頼度判定処理は、検出された前記駐車スペースまたは前記駐車車両の前記自車両に対する相対位置に基づいて、前記信頼度を判定する。
(観点33)
(観点31)または(観点32)に記載の車両制御装置において、前記自車両位置判定処理は、前記自車両位置が前記駐車場内である旨の肯定判定中に、前記信頼度が低下しても、所定の肯定維持条件成立中は前記肯定判定を維持する。
(観点34)
(観点33)に記載の車両制御装置において、前記肯定維持条件は、走行距離または経過時間である。
(観点35)
(観点33)または(観点34)に記載の車両制御装置において、前記自車両位置判定処理は、前記肯定判定中であって且つシフトポジションが後退ポジションである間は、前記肯定判定を維持する。
(観点36)
(観点33)~(観点35)のいずれか1つに記載の車両制御装置において、前記自車両位置判定処理は、前記肯定判定中にイグニッションスイッチ操作があっても、前記肯定判定を維持する。
(観点37)
(観点31)~(観点36)のいずれか1つに記載の車両制御装置において、前記自車両位置判定処理は、前記自車両位置が前記駐車場内ではない旨の否定判定中に、前記信頼度が上昇しても、所定の否定維持条件成立中は前記否定判定を維持する。
(観点38)
(観点37)に記載の車両制御装置において、前記信頼度判定処理は、前記信頼度を三段階以上の多段階で判定し、前記否定維持条件は、前記信頼度が所定段階以下である。
(観点39)
(観点31)~(観点38)のいずれか1つに記載の車両制御装置において、前記自車両位置判定処理は、前記自車両が縦列駐車スペースに接近中の場合、前記自車両位置が前記駐車場内ではない旨判定する。
(観点40)
(観点31)~(観点39)のいずれか1つに記載の車両制御装置において、前記自車両位置が前記駐車場内である場合に、前記自車両と前記駐車スペースまたは前記駐車車両との距離または当該距離を時間に換算した値に応じて、アクセルペダルの踏み間違いによる前記自車両の加速を抑制する加速抑制制御の態様を変更する。
【0053】
上記実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、構成要素の個数、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数値に限定される場合等を除き、その特定の数値に本発明が限定されることはない。同様に、構成要素等の形状、方向、位置関係等が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に特定の形状、方向、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、方向、位置関係等に本発明が限定されることはない。
【0054】
変形例も、上記の例示に限定されない。また、複数の変形例が、互いに組み合わされ得る。更に、上記実施形態の全部または一部と、変形例の全部または一部とが、互いに組み合わされ得る。
【符号の説明】
【0055】
1 車載システム
2 カメラ
5 車両制御装置
502 駐車スペース検出部
503 信頼度判定部
504 自車両位置判定部
C 自車両
PL 駐車場
PS 駐車スペース
PV 駐車車両