(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162886
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】気流形成システム
(51)【国際特許分類】
F24F 8/50 20210101AFI20231101BHJP
F24F 13/072 20060101ALI20231101BHJP
F24F 13/06 20060101ALI20231101BHJP
F24F 7/007 20060101ALN20231101BHJP
【FI】
F24F8/50
F24F13/072 A
F24F13/06 A
F24F7/007 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073590
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 和宏
(72)【発明者】
【氏名】山本 憲
【テーマコード(参考)】
3L056
3L080
【Fターム(参考)】
3L056BD04
3L080BB01
(57)【要約】
【課題】香りによってユーザに気流を知覚させることができる気流形成システムを提供する。
【解決手段】気流形成システム10は、上方空間83及び下方空間85の間に位置する仮想平面に沿って並列に配置された複数のダクト25と、複数のダクト25の内部へ送風を行う送風機21と、上方空間83に香りを発生する香り発生装置30とを備える。複数のダクト25のそれぞれの下方空間85と対向する面には当該ダクトの長手方向に沿う長尺状の吹き出し口26が設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一空間及び第二空間の間に位置する仮想平面に沿って並列に配置された複数のダクトと、
前記複数のダクトの内部へ送風を行う送風機と、
前記第一空間に香りを発生する香り発生装置とを備え、
前記複数のダクトのそれぞれの前記第二空間と対向する面には当該ダクトの長手方向に沿う長尺状の吹き出し口が設けられる
気流形成システム。
【請求項2】
前記第二空間から前記第一空間を見た場合に、前記香り発生装置は、前記第一空間のうち前記複数のダクトの間から見える場所に位置する
請求項1に記載の気流形成システム。
【請求項3】
さらに、前記香り発生装置が発する香りの強さを制御する制御部を備える
請求項1に記載の気流形成システム。
【請求項4】
前記制御部は、香りの発生量に基づいて、前記香りの強さを制御する
請求項3に記載の気流形成システム。
【請求項5】
前記制御部は、香りを発生させる時間間隔に基づいて、前記香りの強さを制御する
請求項3に記載の気流形成システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記送風機の送風量が増加すると前記香り発生装置が発する香りを強くし、前記送風量が低下すると香り発生装置が発する香りを弱くする
請求項3に記載の気流形成システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記送風機が停止すると前記香り発生装置を停止し、前記送風機が稼働すると前記香り発生装置を稼働させる
請求項3に記載の気流形成システム。
【請求項8】
前記第一空間は、前記仮想平面よりも上方に位置する上方空間であり、
前記第二空間は、前記仮想平面よりも下方に位置する下方空間である
請求項1~7のいずれか1項に記載の気流形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気流形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空間において気流を形成するための様々な技術が提案されている。特許文献1には、天井から室内空間の下部に向う調和空気を吹き出すことができる空気調和装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、香りによってユーザに気流を知覚させることができる気流形成システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る気流形成システムは、第一空間及び第二空間の間に位置する仮想平面に沿って並列に配置された複数のダクトと、前記複数のダクトの内部へ送風を行う送風機と、前記第一空間に香りを発生する香り発生装置とを備え、前記複数のダクトのそれぞれの前記第二空間と対向する面には当該ダクトの長手方向に沿う長尺状の吹き出し口が設けられる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様に係る気流形成システムは、香りによってユーザに気流を知覚させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る気流形成システムの外観図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る気流形成システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、気流の強さと香りの強さとを連動させる動作のフローチャートである。
【
図5】
図5は、気流発生装置のオン(またはオフ)と香り発生装置のオン(またはオフ)とを連動させる動作のフローチャートである。
【
図6】
図6は、変形例に係る気流発生装置の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0009】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0010】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る気流形成システムの構成について説明する。
図1は、実施の形態に係る気流形成システムの外観図である。
図2は、実施の形態に係る気流形成システムの機能構成を示すブロック図である。
【0011】
実施の形態に係る気流形成システム10は、部屋80などの室内空間においてダウンフロー気流を形成することができるシステムである。気流形成システム10は、具体的には、気流発生装置20と、香り発生装置30と、制御装置40とを備える。
【0012】
まず、気流発生装置20について説明する。気流発生装置20は、送風機21と、複数のダクト25とを備える。送風機21は、部屋80の壁82の内部空間に設置され、壁82の下部に設けられた開口から空気を吸引することにより、複数のダクト25の内部への送風を行う。送風機21は、複数のファン22と、複数の配管23と、フィルタユニット24とを備える。複数のファン22は、高圧空気を発生させるための羽車(不図示)と羽車を駆動するモータ(不図示)とを含む。
【0013】
配管23は、ファン22が送出する空気を、フィルタユニット24へ導く。配管23は、例えば、樹脂材料によって形成されるが、アルミニウムなどの軽量の金属材料によって形成されてもよい。
【0014】
フィルタユニット24は、例えば、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタを有し、配管23からダクト25の内部へ向かう空気に含まれる微細な粒子を取り除く。フィルタユニット24の筐体は、例えば、樹脂材料によって形成されるが、アルミニウムなどの軽量の金属材料によって形成されてもよい。
【0015】
複数のダクト25は、上方空間83及び下方空間85の間に位置する仮想平面S(
図3に図示)に沿って並列に配置される。
図3は、複数のダクト25の断面図であり、より具体的には、複数のダクト25を長手方向に垂直な平面で切断したときの断面図である。簡略化のため、
図3では、複数のダクト25は、2つだけ示されている。なお、上方空間83は、天井81と複数のダクト25との間の空間であり、下方空間85は、複数のダクト25と床86との間の空間である。
【0016】
ダクト25は、中空の長尺状であり、例えば、樹脂材料によって形成される、ダクト25は、アルミニウムなどの軽量の金属材料によって形成されてもよい。ダクト25の下方空間85と対向する面(下面)には、ダクト25の長手方向に沿う長尺状の吹き出し口26が設けられている。ダクト25の長手方向における端部は、送風機21のフィルタユニット24に接続されている。送風機21が送風を行うと、上記端部に設けられた開口からダクト25の内部へ風が送り込まれる。この結果、吹き出し口26から下方空間へ気流が吹き出される。なお、ダクト25には、吹き出し口26、及び、上記端部に設けられた開口以外には、開口部は設けられていない。
【0017】
図3に示されるように、複数のダクト25それぞれの吹き出し口から下方空間85へ気流が吹き出されると、複数のダクト25の間の空間84は負圧となり、空間84には、複数のダクト25の上方空間83の空気が誘引される。この結果、気流発生装置20は、複数のダクト25の吹き出し口26から吹き出される気流と誘引された空気に基づく気流(
図3の白い矢印に相当。以下、誘引気流とも記載される)とが合わさった、直進性に優れたダウンフロー気流(面気流)を吹き出すことができる。ダウンフロー気流によれば、下方空間85における飛沫などのエアロゾルが床86側に吹き下ろされる。この結果、感染症の拡大を抑制する効果などが得られる。
【0018】
次に、香り発生装置30について説明する。香り発生装置30は、上方空間83に設置され、上方空間83(複数のダクト25の外側)に香りを発生する。香り発生装置30には、例えば、香気成分を含む液体(以下、香料とも記載される)が封入されたカートリッジが接続され、カートリッジ内の香料を上方空間に散布する。香りの発生方式としては、加熱方式、ミスト化方式、または、気化方式などが例示される。加熱方式は、温度を上げて香料を揮発させる方式である。ミスト化方式は、香料を超音波振動などでミスト化して散布する方式である。気化方式は、風で香料を揮発させて散布する方式である。
【0019】
香り発生装置30は、カートリッジの交換により複数種類の香りを発生させることができる。また、香り発生装置30は、複数のカートリッジが接続可能であり、カートリッジを交換せずに香料を切り替えることができる構成であってもよい。
【0020】
香り発生装置30は、上方空間83に配置される。香り発生装置30は、より具体的には、複数のダクト25の間の空間84の上方に配置される(
図3参照)。香り発生装置30が空間84の上方に配置されている場合には、下方空間85から上方空間83を見た場合に、香り発生装置30は、上方空間83のうち複数のダクト25の間から見える場所に位置するといえる。なお、香り発生装置30の位置とは、より詳細には、香り発生装置30の内部から外部に香りが放出される部位(香り発生部)の位置を意味する。気流形成システム10は、香り発生装置30(香り発生部)を複数備えてもよく、この場合全ての香り発生装置30が、空間84の上方に配置されてもよいし、一部のみが空間84の上方に配置されてもよい。
【0021】
気流形成システム10においては、香り発生装置30は上方空間83に配置され、部屋80に発生するダウンフロー気流には、香料が含まれる。気流発生装置20によるダウンフロー気流は、部屋80に位置する人にとって知覚しづらい場合があるが、気流形成システム10は、香料によりダウンフロー気流を知覚させることができる。
【0022】
また、上述のように、気流形成システム10においては、気流発生装置20の外部(外側)に香り発生装置30が配置されることにより、ダクト25の吹き出し口26から吹き出される気流ではなく、誘引気流に香料が含まれる。これにより、気流発生装置20の内部(内側)に香料が沈着することが抑制され、気流発生装置20のメンテナンスが容易となる。
【0023】
また、香り発生装置30が気流発生装置20の内部に配置される場合であって、香り発生装置30が香料を切り替えることができる構成を有するような場合、気流発生装置20の内部に香料が沈着していると、香料が混合してしまい香りを適切に発生させることができない懸念がある。これに対し、気流形成システム10においては気流発生装置20の外部(外側)に香り発生装置30が配置されているため、香り発生装置30が香料を切り替えることができる構成を有する場合においても香りを適切に発生させることができる。
【0024】
以下、香り発生装置30が上方空間83において香りを発生する利点についてさらに説明する。上方空間83における空気の流れは、下方空間84(ダクト25の吹き出し口26から吹き出される気流と誘引気流と混合する空間)よりも緩やかであり、この空気の流れは、ダクト25の間(空間84)に向かう流れとなっている。そうすると、香りを下方空間84の広い範囲に届くようにするためには、下方空間84ではなく上方空間83において香りを発生させ、上方空間83内で香りを拡散させてからダクト25の間(空間84)に誘引させることが有効と考えられる。
【0025】
なお、気流発生装置20が発するダウンフロー気流の広い範囲に香りを含めるためには、上方空間83のうち、複数のダクト25の並び方向における中央部分に香り発生装置30が配置されればよい。逆に、気流発生装置20が発するダウンフロー気流の特定範囲にのみ香りを含めたい場合には、香り発生装置30は下方空間84に配置されるとよい。
【0026】
次に、制御装置40について説明する。制御装置40は、気流発生装置20、及び、香り発生装置30を制御するためにユーザが操作する情報端末である。制御装置40は、例えば、気流発生装置20のリモートコントローラであるが、スマートフォン、または、タブレット端末などの汎用装置に所定のアプリケーションプログラムがインストールされることによって実現されてもよい。また、制御装置40は、EMS(Energy Management System)コントローラなどであってもよい。
【0027】
制御装置40は、具体的には、操作受付部41と、制御部42と、記憶部43とを備える。なお、図示されないが、制御装置40(制御部42)と、気流発生装置20及び香り発生装置30のそれぞれとは、有線通信または無線通信を行うことができ、制御装置40は、有線通信または無線通信により、気流発生装置20及び香り発生装置30のそれぞれを制御することができる。
【0028】
操作受付部41は、ユーザの操作を受け付ける。操作受付部41は、例えば、タッチパネルによって実現されるが、タッチパネル以外に、ハードウェアボタンを含んでもよい。なお、図示されないが、操作受付部41は、液晶パネルまたは有機EL(Electro-Luminescence)パネルなどの表示パネルによって実現される表示部を備え、操作受付部41及び表示部はGUI(Graphical User Interface)を構成してもよい。
【0029】
制御部42は、操作受付部41によって受け付けられたユーザの操作に基づいて、気流発生装置20のオン(稼働)及びオフ(停止)を制御する。制御部42は、操作受付部41によって受け付けられたユーザの操作に基づいて、気流発生装置20が発生する気流の強さ(例えば、送風機21が有するファン22の回転速度)を制御する。気流の強さは、風量または風速などと言い換えることができる。
【0030】
また、制御部42は、操作受付部41によって受け付けられたユーザの操作に基づいて、香り発生装置30のオン(稼働)及びオフ(停止)を制御する。制御部42は、操作受付部41によって受け付けられたユーザの操作に基づいて、香り発生装置30が発生する香りの強さを制御する。ここで、香り発生装置30は、間欠的に香りを発生し、制御部42は、例えば、香り発生装置30が発する1回あたりの香りの発生量を変更することにより、香りの強さを制御する。制御部42は、香りを発生させる時間間隔を変更することにより、香りの強さを制御してもよく、この場合、香りを発生させる時間間隔が短いほど、香りは強くなる。また、制御部42は、1回あたりの香りの発生量、及び、香りを発生させる時間間隔の両方を変更することにより、香りの強さを制御してもよい。
【0031】
制御部42は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。制御部42の機能は、例えば、制御部42を構成するマイクロコンピュータ等が記憶部43に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0032】
記憶部43は、制御部42が気流発生装置20及び香り発生装置30を制御するために必要な各種情報、及び、コンピュータプログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部43は、例えば、半導体メモリなどによって実現される。なお、記憶部43は、制御部42に内蔵されてもよい。
【0033】
[気流の強さと香りの強さの連動]
上述のように、ユーザは、制御装置40への操作により、気流発生装置20が発生する気流の強さ、及び、香り発生装置30が発生する香りの強さを個別に変更することができる。ここで、気流形成システム10は、香り発生装置30が発生する香りの強さを、気流発生装置20の気流の強さに自動的に連動させてもよい。
図4は、気流の強さと香りの強さとを連動させる動作のフローチャートである。なお、
図4の動作は、例えば、ユーザが選択可能な気流形成システム10の動作モードの1つ(連動モード)として実現される。
【0034】
制御装置40の操作受付部41は、気流の強さを変更する操作をユーザから受け付ける(S11)。制御部42は、受け付けられた操作に基づいて、気流発生装置20が発生する気流の強さを変更する(S12)。制御部42は、例えば、有線通信または無線通信によって気流発生装置20へ制御信号を送信することにより、気流発生装置20が発生する気流の強さを変更することができる。
【0035】
次に、制御部42は、香り発生装置30が発生する香りの強さを変更する(S13)。制御部42は、ステップS12において気流が強められる(送風機21の送風量が増加する)と香り発生装置30が発する香りを強くし、ステップS12において気流が弱められる(送風機21の送風量が低下する)と香り発生装置30が発する香りを弱くする。なお、ステップS12の処理及びステップS13の処理は、並行して行われてもよい。なお、上述のように、香りの強さの変更は、香りの発生量、及び、香りが発生される時間間隔の少なくとも1つが制御されることによって実現される。
【0036】
このように気流形成システム10は、気流の強さと香りの強さとを連動させることにより、香りが強くなりすぎたり、香りが弱くなりすぎたりしてしまうことを抑制することができる。つまり、気流形成システム10は、香りの強さの適正化を図ることができる。
【0037】
なお、
図4の例では、気流形成システム10は、香り発生装置30が発生する香りの強さを、気流発生装置20の気流の強さに連動させたが、気流発生装置20の気流の強さを、香り発生装置30が発生する香りの強さに連動させてもよい。つまり、気流形成システム10は、ユーザの香りの強さを変更する操作に基づいて、香り発生装置30が発生する香りの強さを変更し、さらに、気流発生装置20が発生する気流の強さを変更してもよい。
【0038】
また、
図4の例では、ユーザの操作に基づいて、気流の強さ及び香りの強さの変更が行われたが、部屋80の空気質をセンシングするセンサの計測値に基づいて、気流の強さ及び香りの強さが変更されてもよい。このようなセンサとしては、二酸化炭素濃度センサ、及び、微粒子濃度センサなどが例示される。
【0039】
例えば、制御装置40の制御部42は、有線通信または無線通信によってこれらのセンサから計測値を取得し、計測値が高い(二酸化炭素濃度または微粒子濃度が高い)ほど、気流発生装置20が発生する気流、及び、香り発生装置30が発生する香りを強くする。これにより、気流形成システム10は、部屋80における空気質の向上を図るとともに、香りによってダウンフロー気流をユーザに知覚させることができる。
【0040】
[気流発生装置及び香り発生装置のオン及びオフの連動]
また、気流形成システム10は、香り発生装置30のオン(またはオフ)を、気流発生装置20のオン(またはオフ)に自動的に連動させてもよい。
図5は、気流発生装置のオン(またはオフ)と香り発生装置のオン(またはオフ)とを連動させる動作のフローチャートである。なお、
図5の動作は、例えば、ユーザが選択可能な気流形成システム10の動作モードの1つ(連動モード)として実現される。
【0041】
制御装置40の操作受付部41は、気流発生装置20をオン(またはオフ)する操作をユーザから受け付ける(S21)。制御部42は、受け付けられた操作に基づいて、気流発生装置20をオン(またはオフ)する(S22)。制御部42は、例えば、有線通信または無線通信によって気流発生装置20へ制御信号を送信することにより、気流発生装置20をオン(またはオフ)することができる。
【0042】
次に、制御部42は、香り発生装置30をオン(またはオフ)する(S23)。制御部42は、ステップS22において気流発生装置20がオン(送風機21が稼働)すると香り発生装置30をオン(稼働)し、ステップS22において気流発生装置20がオフ(送風機21が停止)すると香り発生装置30をオフ(停止)する。なお、ステップS22の処理及びステップS23の処理は、並行して行われてもよい。
【0043】
このように気流形成システム10は、気流が発生していないにもかかわらず香りが発生していたり、気流が発生しているにもかかわらず香りが発生していないというような、気流発生装置20及び香り発生装置30の稼働状態(オンまたはオフ)の不整合を抑制することができる。
【0044】
なお、
図5の例では、気流形成システム10は、香り発生装置30のオン(またはオフ)を、気流発生装置20のオン(またはオフ)に連動させたが、気流発生装置20のオン(またはオフ)を、香り発生装置30のオン(またはオフ)に連動させてもよい。つまり、気流形成システム10は、ユーザの香り発生装置30をオン(またはオフ)する操作に基づいて、香り発生装置30をオン(またはオフ)し、さらに、気流発生装置20をオン(またはオフ)してもよい。
【0045】
また、
図5の例では、ユーザの操作に基づいて、気流発生装置20及び香り発生装置30のオン(またはオフ)が行われたが、部屋80の空気質をセンシングするセンサの計測値に基づいて、気流発生装置20及び香り発生装置30のオン(またはオフ)が行われてもよい。このようなセンサとしては、二酸化炭素濃度センサ、及び、微粒子濃度センサなどが例示される。
【0046】
例えば、制御装置40の制御部42は、有線通信または無線通信によってこれらのセンサから計測値を取得し、計測値が第一所定値を超えると、気流発生装置20及び香り発生装置30をオンする。制御部42は、計測値が第二所定値以下となると、気流発生装置20及び香り発生装置30をオフする。第一所定値及び第二所定値は、同一の値であってもよいし、第二所定値が第一所定値よりも小さくてもよい。つまり、ヒステリシスが設けられていてもよい。これにより、気流形成システム10は、部屋80における空気質の向上を図るとともに、香りによってダウンフロー気流をユーザに知覚させることができる。
【0047】
[気流発生装置の変形例]
上記実施の形態では、気流発生装置20が備える複数のダクト25は、天井81に沿って配置されたが、壁に沿って配置されてもよい。言い換えれば、気流発生装置20は、部屋80の1つの壁側から気流を発生してもよい。
【0048】
また、上記実施の形態では、気流発生装置20は、ダクト25を3つ以上備えたが、ダクト25を2つだけ備えてもよい。例えば、気流発生装置20は、2つのダクト25の吹き出し口26から吹き出される気流と誘引気流とが合わさった、直進性に優れたダウンフロー気流(面気流)によってエアカーテンを形成する装置として実現されてもよい。
図6は、このような変形例に係る気流発生装置の外観図である。
【0049】
図6に示される気流発生装置20aは、ダウンフロー気流によりエアカーテンを形成する。エアカーテンによれば、ユーザが発する飛沫が他方のユーザへ到達することを抑制することができる。また、気流発生装置20aのようにダウンフロー気流によりエアカーテンを形成する構成は、下方から上方へ向かうアップフロー気流によりエアカーテンが形成される構成に比べて、飛沫が舞い上がりにくい。このため、気流発生装置20aによる感染症の拡大の抑制効果は高いといえる。
【0050】
気流形成システム10は、気流発生装置20に代えて気流発生装置20aを備えてもよい。つまり、気流発生装置20aに香り発生装置30が組み合わされてもよい。上記実施の形態において説明された動作は、気流発生装置20に代えて、気流発生装置20aを制御対象として行われてもよい。
【0051】
[効果等]
以上説明したように、気流形成システム10は、第一空間及び第二空間の間に位置する仮想平面Sに沿って並列に配置された複数のダクト25と、複数のダクト25の内部へ送風を行う送風機21と、第一空間に香りを発生する香り発生装置30とを備える。複数のダクト25のそれぞれの第二空間と対向する面には当該ダクトの長手方向に沿う長尺状の吹き出し口が設けられる。上記実施の形態の上方空間83は、ここでの第一空間の一例であり、上記実施の形態の下方空間85は、ここでの第二空間の一例であり、上記実施の形態の仮想平面Sは、ここでの仮想平面の一例である。
【0052】
このような気流形成システム10は、第一空間から第二空間に誘引される気流に、香り(香料)を含めることで、香りによってユーザ気流を知覚させることができる。
【0053】
また、例えば、第二空間から第一空間を見た場合に、香り発生装置30は、第一空間のうち複数のダクト25の間から見える場所に位置する。
【0054】
このような気流形成システム10は、第一空間から第二空間に誘引される気流に、香り(香料)を効率的に含めることができる。
【0055】
また、例えば、気流形成システム10は、さらに、香り発生装置30が発する香りの強さを制御する制御部42を備える。
【0056】
このような気流形成システム10は、香り発生装置30が発する香りの強さを制御することができる。
【0057】
また、例えば、制御部42は、香りの発生量に基づいて、香りの強さを制御する。
【0058】
このような気流形成システム10は、香りの発生量に基づいて、香りの強さを制御することができる。
【0059】
また、例えば、制御部42は、香りを発生させる時間間隔に基づいて、香りの強さを制御する。
【0060】
このような気流形成システム10は、香りを発生させる時間間隔に基づいて、香りの強さを制御することができる。
【0061】
また、例えば、制御部42は、送風機21の送風量が増加すると香り発生装置30が発する香りを強くし、送風量が低下すると香り発生装置30が発する香りを弱くする。
【0062】
このような気流形成システム10は、香りの強さの適正化を図ることができる。
【0063】
また、例えば、制御部42は、送風機21が停止すると香り発生装置30を停止し、送風機21が稼働すると香り発生装置30を稼働させる。
【0064】
このような気流形成システム10は、気流発生装置20及び香り発生装置30の稼働状態(オンまたはオフ)の不整合を抑制することができる。
【0065】
また、例えば、第一空間は、仮想平面Sよりも上方に位置する上方空間83であり、第二空間は、仮想平面Sよりも下方に位置する下方空間85である。
【0066】
このような気流形成システム10は、下方空間85にダウンフロー気流を形成することができる。
【0067】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0068】
例えば、上記実施の形態において、気流形成システムは、複数の装置によって実現された。この場合、気流形成システムが備える構成要素(特に、機能的な構成要素)は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。また、気流形成システムは、単一の装置として実現されてもよい。例えば、気流形成システムは、制御装置に相当する単一の装置として実現されてもよい。
【0069】
また、上記実施の形態で説明された処理の順序は、一例である。複数の処理の順序は変更されてもよいし、複数の処理は並行して実行されてもよい。また、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。
【0070】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0071】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(又は集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0072】
また、本発明の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。例えば、本発明は、上記実施の形態の気流形成システムが適用された建物(部屋)として実現されてもよいし、上記実施の形態の制御装置として実現されてもよい。また、本発明は、上記実施の形態の制御装置(制御部)などのコンピュータが実行する気流形成システム(気流発生装置、香り発生装置)の制御方法として実行されてもよいし、このような制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。また、本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0073】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
10 気流形成システム
20、20a 気流発生装置
21 送風機
22 ファン
23 配管
24 フィルタユニット
25 ダクト
26 吹き出し口
30 香り発生装置
40 制御装置
41 操作受付部
42 制御部
43 記憶部
80 部屋
81 天井
82 壁
83 上方空間
84 空間
85 下方空間
86 床