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特開2023-162889制御プログラム、制御方法および情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162889
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】制御プログラム、制御方法および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/24 20060101AFI20231101BHJP
   G06F 40/109 20200101ALI20231101BHJP
   G09G 5/22 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
G09G5/24 630Z
G06F40/109
G09G5/22 630M
G09G5/24 630S
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073596
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】山口 彩
【テーマコード(参考)】
5B109
5C182
【Fターム(参考)】
5B109RA11
5C182AC02
5C182BA01
5C182BA03
5C182BA04
5C182BA06
5C182BA75
5C182CA01
5C182CA32
5C182CA33
5C182CA34
5C182CB54
5C182CC21
5C182FA03
5C182FA25
5C182FA36
(57)【要約】
【課題】文字の差異の識別を容易にする。
【解決手段】一実施形態に係る情報処理装置は、第1文字および第1文字に関連する第2文字のうちの片方の文字が、他方の文字に対してはみ出している領域が強調されるように色調を制御して、第1文字と第2文字とを重ね合わせて表示するための第1表示情報を出力し、変更指示を受けた場合に、片方の文字に対して他方の文字がはみ出している領域が強調されるように色調を変更して、第1文字と第2文字とを重ね合わせて表示するための第2表示情報を出力する、制御部を含む。
【選択図】図7

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1文字および前記第1文字に関連する第2文字のうちの片方の文字が、他方の文字に対してはみ出している領域が強調されるように色調を制御して、前記第1文字と前記第2文字とを重ね合わせて表示するための第1表示情報を出力し、
変更指示を受けた場合に、前記片方の文字に対して前記他方の文字がはみ出している領域が強調されるように前記色調を変更して、前記第1文字と前記第2文字とを重ね合わせて表示するための第2表示情報を出力する、
処理をコンピュータに実行させる制御プログラム。
【請求項2】
前記第1表示情報を出力する処理は、前記第1文字と、前記第2文字を含む複数の文字のそれぞれとを重ね合わせた場合に、前記第1文字と前記複数の文字のそれぞれとのうちの一方の文字が別の方の文字に対してはみ出している領域が強調されるように前記色調を制御して、前記第1文字と前記複数の文字のそれぞれとを重ね合わせて表示するための前記第1表示情報を出力する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の制御プログラム。
【請求項3】
前記第2表示情報を出力する処理は、前記変更指示を受けた場合に、前記複数の文字のうちの少なくとも1つの文字について、前記一方の文字に対して前記別の方の文字がはみ出している領域が強調されるように前記色調を変更して、前記第1文字と前記複数の文字のそれぞれとを重ね合わせて表示するための前記第2表示情報を出力する、
ことを特徴とする、請求項2に記載の制御プログラム。
【請求項4】
前記第1表示情報を出力する処理は、前記片方の文字の上に前記他方の文字を重ねるように前記第1表示情報を出力し、
前記第2表示情報を出力する処理は、前記片方の文字を前記他方の文字の上に重ねるように前記第2表示情報を出力する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の制御プログラム。
【請求項5】
文字の検索条件を取得した場合、複数の文字の辞書データが格納された記憶部を参照し、取得した前記文字に関連する文字を検索し、
前記第1文字および前記第2文字を含む複数の文字が検索された場合、検索された前記複数の文字を出力する
ことを特徴とする、請求項1に記載の制御プログラム。
【請求項6】
コンピュータが実行する制御方法であって、前記コンピュータは、
第1文字および前記第1文字に関連する第2文字のうちの片方の文字が、他方の文字に対してはみ出している領域が強調されるように色調を制御して、前記第1文字と前記第2文字とを重ね合わせて表示するための第1表示情報を出力し、
変更指示を受けた場合に、前記片方の文字に対して前記他方の文字がはみ出している領域が強調されるように前記色調を変更して、前記第1文字と前記第2文字とを重ね合わせて表示するための第2表示情報を出力する、
ことを特徴とする、制御方法。
【請求項7】
第1文字および前記第1文字に関連する第2文字のうちの片方の文字が、他方の文字に対してはみ出している領域が強調されるように色調を制御して、前記第1文字と前記第2文字とを重ね合わせて表示するための第1表示情報を出力し、
変更指示を受けた場合に、前記片方の文字に対して前記他方の文字がはみ出している領域が強調されるように前記色調を変更して、前記第1文字と前記第2文字とを重ね合わせて表示するための第2表示情報を出力する、
制御部を含む、情報処理装置。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御プログラム、制御方法および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
漢字などの文字を調べることが行われている。例えば、役所における戸籍の管理などでは、氏名に使われている様々な漢字を入力するために、漢字の読み、画数、手書きなどの手段による文字の検索が利用されている。
【0003】
また、文字を重ね合わせて表示することに関連する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-046763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、文字を検索した際に、似た字形を有する文字が複数検索されることがある。この場合、それぞれの文字のどこが異なるのか、複数の文字間の差異の識別が困難なことがある。その結果、実際に利用したい文字がいずれの文字であるのか特定できないことがある。
【0006】
1つの側面では、本発明は、複数の文字間の差異の識別を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの態様の情報処理装置は、第1文字および第1文字に関連する第2文字のうちの片方の文字が、他方の文字に対してはみ出している領域が強調されるように色調を制御して、第1文字と第2文字とを重ね合わせて表示するための第1表示情報を出力し、変更指示を受けた場合に、片方の文字に対して他方の文字がはみ出している領域が強調されるように色調を変更して、第1文字と第2文字とを重ね合わせて表示するための第2表示情報を出力する、制御部を含む。
【発明の効果】
【0008】
複数の文字間の差異の識別を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る文字の検索画面を例示する図である。
図2】字形の類似している複数の文字を含む検索結果を例示する図である。
図3】実施形態に係る情報処理装置のブロック構成を例示する図である。
図4】比較元はみ出し強調モードと比較先はみ出し強調モードとを例示する図である。
図5】透過を用いる場合の比較元の第1文字に対する比較先の第2文字のはみ出しの強調を例示する図である。
図6】別の実施形態に係る比較元はみ出し強調モードと比較先はみ出し強調モードとを例示する図である。
図7】実施形態に係るはみ出し領域を強調表示する処理の動作フローを例示する図である。
図8】実施形態に係る或る文字と複数の文字との比較を例示する図である。
図9】実施形態に係る少なくとも1つの文字の表示を変更する例を示す図である。
図10】別の実施形態に係る複数の文字の全てについて、はみ出し強調される文字を切り替える例を示している。
図11】実施形態に係る情報処理装置を実現するためのコンピュータのハードウェア構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。なお、複数の図面において対応する要素には同一の符号を付す。
【0011】
図1は、実施形態に係る文字の検索画面100を例示する図である。検索画面100は、例えば、表示装置などの表示画面に表示される。なお、図1では、漢字を例に文字の検索を例示しており、例えば、検索対象の文字の読み、画数、部首、手書きなどによる検索条件を設定することができる。
【0012】
そして、文字の読み、画数、部首、手書きなどに検索条件を設定し、検索ボタン111を押すなどして検索を実行することで、検索結果の文字を取得することができる。例えば、文字の検索条件を取得した場合、複数の文字の辞書データが格納された記憶装置を参照する。そして、取得した文字に関連する文字を辞書データから検索し、複数の文字が検索された場合、検索された複数の文字を出力する。
【0013】
しかしながら、検索の結果、字形が類似している複数の文字が検索されることがある。例えば、辺(ナベ)の字、斉(サイ)の字のように、複数の異体字が存在する文字の場合には、似た字形の複数の文字が検索される。そして、似た字形の複数の文字の集合から特定の1文字を選択したいシーンがある。例えば、自治体の住記業務、および戸籍業務などの氏名を扱う業務では、ナベの字が何十種類も存在するケースがあり、字形に関する専門知識(トメ、ハネ、ハライをはじめとする数多くの包摂基準の知識)を持つ人でないと、字形の差異を迅速に認識することが困難なことがある。
【0014】
図2は、字形の類似している複数の文字を含む検索結果200を例示する図である。図2では、苗字で利用されている「辺」の漢字と対応する検索結果が示されており、「辺」の漢字には、複数の異体字が存在することが分かる。これらの様々な異体字が苗字で利用されており、戸籍など管理業務において氏名を登録する際には、異体字の正確な識別が求められることがある。一方で、異体字の中には非常に類似している複数の字形が含まれていることがあり、2つの文字を見比べただけでは識別が困難であることがある。
【0015】
こうした類似した字形を有する2つの文字の差異を識別するための一つの手法として、2つの文字を重ね合わせて表示することが考えられる。
【0016】
例えば、2つの文字を比較する例として、第1文字を第1の文字色で透過表示し、その上に重ね合わせて第2文字を第2の文字色で透過表示することが考えられる。なお、第1文字と第2文字とは、例えば、同じ検索条件で検索された文字など、互いに関連する文字であってよい。それにより、第1文字だけが表示されている領域は第1の文字色、第2文字だけが表示されている領域は第2の文字色、および第1文字と第2文字とが重ね合わされている領域は第1の文字色と第2の文字色が混ざった第3の文字色の3色で表示することができる。その結果、色の違いから利用者は2つの文字のどこが異なるのかを把握することが可能である。
【0017】
ところで、例えば、業務の効率を高めるうえでは、複数の文字を同時に比較できることは望ましい。一方で、複数の文字を同時に比較して表示する場合、表示する文字の数だけ表示領域が多く取られてしまうため、1文字当たりの表示に使えるスペースは小さくなってしまう。
【0018】
その結果、透過により薄くなった文字では見づらかったり、差異を判別しにくかったりすることがある。そのため、表示サイズが小さい場合にも、比較した2つの文字の差異を視認し易く表示することのできる技術の提供が求められている。
【0019】
本発明の発明者は、例えば、文字の表示サイズが制限されるような場合にも視認性を保つためには、少なくとも一方の文字については透過表示の透過度を低く抑え、例えば、不透明または不透明に近い透過度で表示することが好ましいと考えた。不透明または不透明に近い透過度で文字を表示させることで、文字がはっきりと表示されるため、文字のサイズが小さい場合にも視認性を保つことができる。
【0020】
一方で、本発明の発明者は、少なくとも一方の文字について透過度を低く抑え、例えば、不透明で表示する場合に、2つの文字の差異の識別が難しくなる状況が存在することに気がついた。一例として、比較対象の片方の文字が、他方の文字を完全に包含していることがある。この場合、2つの文字を重ね合わせても、片方の文字に対して他方の文字がはみ出す領域がなく、差異の識別が困難になることがある。
【0021】
そこで、以下で述べる実施形態では、比較元の文字が比較先の文字に対してはみ出ししている領域を強調した表示形式と、比較先の文字が比較元の文字に対してはみ出ししている領域を強調した表示形式との2種類の表示モードを用意する。なお、比較元のはみ出しを強調した表示形式を、比較元はみ出し強調モードと呼ぶことがある。また、比較先のはみ出しを強調した表示形式を、比較先はみ出し強調モードと呼ぶことがある。
【0022】
差異強調のためのこれらの2種類の表示モードにより、片方の文字が他方の文字を包含しているような場合にも、どちらかの表示モードでは片方の文字が他方の文字に対してはみ出している領域が強調して表示されるため、差異の視認性を確保することができる。以下、実施形態を更に詳細に説明する。
【0023】
図3は、実施形態に係る情報処理装置300のブロック構成を例示する図である。情報処理装置300は、例えば、制御部301および記憶部302を含む。制御部301は、例えば、情報処理装置300の各部を制御する。記憶部302は、例えば、文字の辞書データなどの情報を記憶している。これらの更なる詳細については後述する。
【0024】
続いて、(1)比較元はみ出し強調モードと、(2)比較先はみ出し強調モードとによる表示について例示する。なお、比較元の文字は、例えば、検索結果に含まれる複数の文字の中からユーザが選択した文字であってよい。また、比較先の文字は、例えば、検索結果に含まれる複数の文字や、ユーザやシステムが選択した複数の文字であってよい。
【0025】
図4は、比較元はみ出し強調モードと比較先はみ出し強調モードとを例示する図である。図4(a)には、比較元の第1文字と、比較先の第2文字とが示されている。なお、図4に示す「辺」の漢字の2つの異体字は重ね合わせた場合、第1文字が第2文字に包含される関係にある。また、図4(b)には、比較元の第1文字のはみ出しが強調される比較元はみ出し強調モードの表示例が示されており、図4(c)には、比較先の第2文字のはみ出しが強調される比較先はみ出し強調モードの表示例が示されている。
【0026】
図4(b)の比較元はみ出し強調モードの表示例では、例えば、比較元の第1文字が黒で輪郭された白色文字として重ね合わせにおいて比較先の第2文字の下側に配置されている。一方、比較先の第2文字は黒色文字として重ね合わせにおいて第1文字の上側に配置されている。ここで、第2文字が第1文字を包含しているため、図4(b)の比較元はみ出し強調モードの表示例では、第1文字が第2文字に対してはみ出している領域がない。そのため、図4(b)の表示では、第1文字と第2文字との差異を識別することが困難である。このように、例えば、重ね合わせて表示する2つの文字のうちの少なくとも片方の文字については透過度を低く抑え、例えば、不透明で表示する場合、比較元の文字と比較先の文字とを重ね合わせて表示したとしても、2つの文字の差異が分からないことがある。
【0027】
この場合に、図4(c)の比較先はみ出し強調モードの表示例に示すように、比較先はみ出しを強調することで、2つの文字の差異を識別することが可能になる。
【0028】
比較先はみ出し強調モードの表示例では、例えば、比較先の第2文字が黒で輪郭された白色文字として重ね合わせにおいて比較元の第1文字の下側に配置されている。一方、比較元の第1文字は黒色文字として重ね合わせにおいて比較先の第2文字の上側に配置されている。ここで、第2文字が第1文字を包含している関係にあるが、第2文字は第1文字に対してはみ出している領域を有している。そのため、比較先である第2文字のはみ出しを強調することができ、2つの文字の差異を容易に認識することができる。なお、図4(c)では、黒色文字に対して、はみ出しが強調される文字が黒縁の白色文字で表示されており、白色と黒色を用いて明度差を大きくすることでも、はみ出し領域が強調されている。
【0029】
以上に述べたように、重ね合わせにおいて上側に配置される文字と、下側に配置される文字とを入れ替えることで、比較元の文字の比較先の文字に対するはみ出しを強調したり、比較元の文字に対する比較先の文字のはみ出しを強調したりを切り替えることができる。なお、図4の例では、文字を不透過で表示する場合を例示しており、重ね合わせにおいて上側に配置される文字に対する下側に配置された文字のはみ出しが強調して表示されている。不透明または不透明に近い透過度で文字をハッキリと表示させることで、文字の表示サイズが制限されるような場合にも文字の視認性を確保することができる。
【0030】
しかしながら、実施形態は不透過の文字を用いることに限定されるものではない。例えば、透過を用いて片方の文字に対する他方の文字のはみ出しが強調されてもよい。例えば、透過を用いることで、下側に配置されている文字に対する、上側に配置された文字のはみ出しを、視認しやすく表示することも可能である。また、例えば、片方の文字と他方の文字との文字色が互いに異なる色とすることでもはみ出し領域が強調される。
【0031】
図5は、透過を用いる場合の比較元の第1文字に対する比較先の第2文字のはみ出しの強調を例示する図である。図5(a)には、比較元の第1文字が、黒色文字で不透明または不透明に近い透過度でハッキリと表示されている。一方、比較先の第2文字は、明るいグレー色文字で下側の文字が透けて見えるように所定以上の透過度(例えば50%など)を用いて透明に表示されている。
【0032】
そして、図5(b)では暗色のグレーの背景色の上に、比較元の第1文字を下側、比較先の第2文字を上側に重ね合わせて表示している。この場合に、透過を用いて上側に配置された比較先の第2文字のはみ出しが、比較元の第1文字の黒色および背景の暗色のグレーの中で明るく表示されており、強調表示することができる。従って、例えば、文字の透過を利用することで、下側に配置された文字に対する、上側に配置された文字のはみ出しを強調することができる。
【0033】
しかしながら、このように透過を用いる場合も、片方の文字が他方の文字を包含しているような場合には、はみ出し領域の視認が難しくなることがある。そのため、例えば、比較元はみ出し強調モードで表示した結果、2つの文字の差異の視認性が悪ければ、比較先はみ出し強調モードに表示を切り替えられることは好ましい。
【0034】
図6は、別の実施形態に係る比較元はみ出し強調モードと比較先はみ出し強調モードとを例示する図である。図6(a)には、図4で示したのと同じ比較元の第1文字と、比較先の第2文字とが示されている。なお、比較元の第1文字と、比較先の第2文字とは重ね合わせた場合、第1文字が第2文字に包含される関係にある。
【0035】
また、図6(b)には、比較元の第1文字のはみ出しが強調される比較元はみ出し強調モードの表示例が示されており、図6(c)には、比較先の第2文字のはみ出しが強調される比較先はみ出し強調モードの表示例が示されている。
【0036】
図6(b)では、暗色のグレーの背景色が設定されている。そして、比較元の第1文字を明るいグレー色を用いて所定以上の透過度を有する透過文字で上側に配置しており、また、比較先の第2文字を黒色文字で下側に配置して、2つの文字を重ね合わせて表示している。この場合に、透過を用いて上側に配置された比較元の第1文字のはみ出しを、比較先の第2文字の黒色および背景の暗色のグレーの中で明るく表示できるため、強調することができる。しかしながら、図6(b)の例では、第1文字が第2文字に包含される関係にあるため、第1文字のはみ出しがなく、2つの文字の差異の識別が難しくなっている。
【0037】
なお、第2文字は第1文字を包含している関係にあるが、第2文字は第1文字に対してはみ出している領域を有している。そのため、図6(c)の比較先はみ出し強調モードの表示例に示すように、比較先のはみ出しを強調することで、2つの文字の差異を容易に識別することが可能になる。
【0038】
例えば、図6(c)では、暗色のグレーの背景色が設定されている。そして、比較元の第1文字を上側に暗いグレー色を用いて所定以上の透過度を有する透過文字で配置しており、また、比較先の第2文字を下側に黒縁の白色文字で配置して、2つの文字を重ね合わせて表示している。そのため、第2文字の第1文字に対するはみ出しが、暗色のグレーの背景と、比較元の第1文字の暗いグレー色との中で、白色に目立って表示されている。このように、比較元の第1文字のはみ出しが強調される表示形式での表示では差異の識別が難しい場合に、比較先の第2文字のはみ出しが強調される表示形式に切り替えることで、差異を容易に識別することが可能になる。
【0039】
また、図6で例示したように、透過を用いることで上下の文字の入れ替えを実行しなくても、はみ出している領域の強調を切り替えることができる。
【0040】
なお、実施形態に係るはみ出し領域の強調は、例えば、文字を重ね合わせて表示する表示枠内で、強調対象のはみ出し領域を、表示枠内の他の部分よりも強調して表示することであってよい。ここで、強調されない他の部分は、例えば、強調対象のはみ出し領域以外の文字の領域を含み、別の例では、更に背景の領域を含んでよい。
【0041】
また、強調して表示するとは、例えば、強調対象の領域を、他の部分から識別し易く表示することであり、一例では、他の部分よりも視認し易く表示することである。
【0042】
はみ出し領域の強調は、例えば、明度、彩度、色相、透過度などの色調を制御することで実行することができる。例えば、はみ出し領域の強調は、はみ出し領域の他の部分に対する明度の差を大きくすることを含む。また、はみ出し領域の強調は、例えば、はみ出し領域の他の部分に対する彩度の差を大きくすることを含む。はみ出し領域の強調は、例えば、はみ出し領域の他の部分に対する色相の差を大きくすることを含む。例えば、はみ出し領域の強調は、色相において差異を視認できる色の組み合わせを用いることであり、一例では、色相環において対角線上の色を用いることである。例えば、はみ出し領域の強調は、はみ出し領域の他の部分に対する透過度の差を大きくすることを含む。また、例えば、はみ出し領域の強調は、明度、彩度、色相、透過度などのうち何れか複数の要素を制御することで実行することができる。
【0043】
また、はみ出し領域の強調は、例えば、文字の重ね合わせにおいて、はみ出しを強調する片方の文字を、他方の文字の下側に配置することを含んでよい。また、はみ出し領域の強調は、図5および図6を参照して例示したように、透過を使用した強調を含んでもよい。
【0044】
続いて、実施形態に係るはみ出し領域の強調処理を例示する。図7は、実施形態に係るはみ出し領域の強調処理の動作フローを例示する図である。例えば、制御部301は、検索画面100などを介して検索条件が入力されると、図7の動作フローを開始する。
【0045】
S701において制御部301は、入力された検索条件で文字を検索する。例えば、ユーザは、図1の検索画面100などを用いて検索条件を情報処理装置300に入力することができる。検索条件は、例えば、画数、部首などに対する条件を含んでよく、制御部301は、入力された検索条件に当てはまる漢字を辞書データの中から抽出してよい。
【0046】
S702において制御部301は、検索結果を表示する。例えば、制御部301は、図2の検索結果200に例示されるように、S701で検索された文字を表示画面に出力する。
【0047】
S703において制御部301は、はみ出しを強調して表示する指示が入力されたか否かを判定する。例えば、ユーザが、はみ出し強調して表示する指示を入力していない場合(S703がNO)、フローはS707に進む。一方、例えば、ユーザが、はみ出し強調して表示する指示を入力している場合(S703がYES)、フローはS704に進む。
【0048】
S704において制御部301は、第2文字に対する第1文字のはみ出しを強調して表示する。例えば、制御部301は、図4(b)の表示例に示すように、第2文字に対する第1文字のはみ出しを強調して表示するように色調を制御して表示情報(例えば、第1表示情報)を生成し、表示装置に出力する。それにより、表示装置は、第2文字に対して、第1文字がはみ出ししている領域を強調して表示することができる。
【0049】
S705において制御部301は、例えば、変更指示が入力されたか否かを判定する。例えば、ユーザから変更指示が入力されていない場合(S705がNO)、フローはS707に進む。一方、変更指示が入力された場合(S705がYES)、フローはS706に進む。
【0050】
S706において制御部301は、はみ出し強調表示を変更する。例えば、第2文字に対する第1文字のはみ出しが強調して表示されている場合、制御部301は、第1文字に対する第2文字のはみ出しを強調して表示するように変更する。例えば、制御部301は、図4(c)の表示例に示すように、第1文字に対する第2文字のはみ出しを強調して表示するように色調を変更して表示情報(例えば、第2表示情報)を生成し、表示装置に出力する。それにより、表示装置は、第1文字に対して、第2文字がはみ出ししている領域を強調して表示することができる。なお、第1文字に対する第2文字のはみ出しが強調して表示されている場合、制御部301は、第2文字に対する第1文字のはみ出しを強調して表示するように変更してよい。
【0051】
S707において制御部301は、例えば、終了指示が入力されたか否かを判定する。例えば、ユーザは、別の条件での再検索する操作、および入力文字の選択を決定する操作などを実行してよく、この場合、制御部301は、S707でYESと判定してよい。終了指示が入力されていない場合(S707がNO)、フローはS705に戻り、処理を繰り返す。一方、終了指示が入力された場合(S707がYES)、本動作フローは終了する。
【0052】
以上の図7の動作フローで例示したように、例えば、第2文字に対する第1文字のはみ出しを強調して表示しても、2つの文字の差異の識別が困難な場合に、制御部301は、第1文字に対する第2文字のはみ出しが強調されるように表示を変更する。それにより、例えば、第1文字が第2文字に包含されているような場合にも、第1文字に対して第2文字がはみ出している領域を強調して表示することができる。その結果、2つの文字の差異の識別が容易になる。
【0053】
なお、上述の実施形態では、比較元の文字、比較先の文字、第1文字、第2文字というように、比較を行う2つの文字に名称を付しているが、2つの文字のどちらが比較元の文字であっても、比較先の文字であってもよい。同様に2つの文字のどちらが第1文字であっても、第2文字であってもよい。
【0054】
また、上述の実施形態では、2つの文字の比較について例示しているが実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、1つの文字を、他の複数の文字と比較したいこともある。一例として、「辺」の漢字のように、複数の異体字が存在し、複数の異体字の中から目的の文字を探し出すような場合、1つの文字を、他の複数の文字と比較したいことがある。そのため、実施形態は、或る文字を、他の複数の文字と比較する際に用いられてもよい。
【0055】
図8は、実施形態に係る或る文字と複数の文字との比較を例示する図である。図8に示す例では、左上の文字が選択されており、また、他の複数の文字に対する左上の文字のはみ出しが強調して表示されている。そのため、左上の文字のはみ出しにより、他の複数の文字との差異を容易に識別することができる。
【0056】
ところで、或る文字が、複数の文字のうちの少なくとも1つの文字に包含されていることがある。この場合、他の複数の文字に対する或る文字のはみ出しを強調しても、はみ出している領域がないため、差異を識別し難いことがある。そのため、制御部301は、一例では、複数の文字のうちの少なくとも1つの文字が、或る文字に対してはみ出している領域を強調するように表示を変更してよい。
【0057】
図9は、実施形態に係る複数の文字のうちの少なくとも1つの文字の表示を変更する例を示す図である。図9において左上に配置された文字が第1文字として選択されている。そして、図9の下段の文字については、第1文字のはみ出しを強調するように表示されている。一方で、図9の右上の文字については、第1文字に対する右上の文字のはみ出しが強調して表示されている。
【0058】
このように、実施形態では、1対多での文字の比較において変更指示が入力された場合に、少なくとも1つの文字についてはみ出し強調される文字を入れ替えてもよい。それにより、例えば、一方の文字のはみ出し強調では、差異が識別しづらい場合にも、別の方の文字のはみ出しを強調して表示することで差異の識別を容易にすることができる。
【0059】
また、図9では、比較対象の複数の文字のうちの少なくとも一部の文字について、はみ出し強調される文字を切り替える例を述べているが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、変更指示が入力された場合に比較対象の複数の文字の全てについて、はみ出し強調される文字を入れ替えてもよい。
【0060】
図10は、別の実施形態に係る複数の文字の全てについて、はみ出し強調される文字を切り替える例を示している。上述のように、図8では、第1文字のはみ出しが強調されているが、図10では、比較対象の複数の文字のそれぞれが、第1文字に対してはみ出ししている領域が強調される例が示されている。このように、一方の文字のはみ出し強調では、差異が識別しづらい場合にも、別の方の文字のはみ出しを強調して表示することで差異の識別を容易にすることができる。
【0061】
以上で述べたように、実施形態によれば、或る文字と、他の複数の文字との差異を容易に識別することが可能である。その結果、例えば、文字の異体字に関する専門知識を有していない人でもスピーディに差異の箇所を認識して、目的の文字を選択することが可能になる。
【0062】
なお、以上において実施形態を例示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の動作フローは例示であり、実施形態はこれに限定されるものではない。可能な場合には、動作フローは、処理の順番を変更して実行されてもよく、別に更なる処理を含んでもよく、又は、一部の処理が省略されてもよい。例えば、S701の検索は比較対象の文字が抽出済みの場合には実行されなくてもよい。
【0063】
また、例えば、上述の図7の動作フローでは、S704で第1文字のはみ出し強調を実行しているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、第1文字のはみ出し強調を実行しても、比較元と比較先のどちらのはみ出し強調を実行するか選択可能であってもよい。そして、例えば、S705に例示するように、変更指示により、比較元の強調と比較先の強調とを行き来することが可能であってよい。
【0064】
また、上述の実施形態では漢字の異体字を例に、類似する字形の文字を比較して差異を特定する例を述べているが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、別の実施形態では漢字以外のその他の文字の差異を特定するために実施形態が適用されてもよい。例えば、別の実施形態として、アルファベット、およびハングル文字などのその他の文字において、同じ文字の表示に用いられているフォントを特定したいことがある。この場合に、フォントの文字が類似しており差異の特定が困難なことがある。例えば、このような場合に、同じ文字を表す複数の文字の比較において、実施形態に係る比較元の文字のはみ出し強調と、比較先の文字のはみ出し強調とが利用されてもよい。
【0065】
図11は、実施形態に係る情報処理装置300を実現するためのコンピュータ1100のハードウェア構成を例示する図である。図11の情報処理装置300を実現するためのハードウェア構成は、例えば、プロセッサ1101、メモリ1102、記憶装置1103、読取装置1104、通信インタフェース1106、および入出力インタフェース1107を備える。なお、プロセッサ1101、メモリ1102、記憶装置1103、読取装置1104、通信インタフェース1106、入出力インタフェース1107は、例えば、バス1108を介して互いに接続されている。
【0066】
プロセッサ1101は、例えば、シングルプロセッサであっても、マルチプロセッサやマルチコアであってもよい。プロセッサ1101は、メモリ1102を利用して例えば上述の動作フローの手順を記述したプログラムを実行することにより、上述した制御部301の一部または全部の機能を提供する。
【0067】
メモリ1102は、例えば半導体メモリであり、RAM領域およびROM領域を含んでよい。記憶装置1103は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、又は外部記憶装置である。なお、RAMは、Random Access Memoryの略称である。また、ROMは、Read Only Memoryの略称である。
【0068】
読取装置1104は、プロセッサ1101の指示に従って着脱可能記憶媒体1105にアクセスする。着脱可能記憶媒体1105は、例えば、半導体デバイス、磁気的作用により情報が入出力される媒体、光学的作用により情報が入出力される媒体などにより実現される。なお、半導体デバイスは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリである。また、磁気的作用により情報が入出力される媒体は、例えば、磁気ディスクである。光学的作用により情報が入出力される媒体は、例えば、CD-ROM、DVD、Blu-ray Disc等(Blu-rayは登録商標)である。CDは、Compact Discの略称である。DVDは、Digital Versatile Diskの略称である。
【0069】
記憶部302は、例えばメモリ1102、記憶装置1103、および着脱可能記憶媒体1105を含んでいる。例えば、情報処理装置300の記憶装置1103には、文字の辞書データなどが格納されている。通信インタフェース1106は、例えば、プロセッサ1101の指示に従って、他の装置と通信する。
【0070】
入出力インタフェース1107は、例えば、入力装置および出力装置との間のインタフェースであってよい。入力装置は、例えばユーザからの指示を受け付けるキーボード、マウス、タッチパネルなどのデバイスである。出力装置は、例えばディスプレーなどの表示装置、およびスピーカなどの音声装置である。
【0071】
実施形態に係るプログラムは、例えば、下記の形態で情報処理装置300に提供される。
(1)記憶装置1103に予めインストールされている。
(2)着脱可能記憶媒体1105により提供される。
(3)プログラムサーバなどのサーバから提供される。
【0072】
なお、図11を参照して述べた情報処理装置300を実現するためのコンピュータ1100のハードウェア構成は、例示であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の構成の一部が、削除されてもよく、また、新たな構成が追加されてもよい。また、別の実施形態では、例えば、上述の制御部301の一部または全部の機能がFPGA、SoC、ASIC、およびPLDなどによるハードウェアとして実装されてもよい。なお、FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。SoCは、System-on-a-chipの略称である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略称である。PLDは、Programmable Logic Deviceの略称である。
【0073】
以上において、いくつかの実施形態が説明される。しかしながら、実施形態は上記の実施形態に限定されるものではなく、上述の実施形態の各種変形形態および代替形態を包含するものとして理解されるべきである。例えば、各種実施形態は、その趣旨および範囲を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、前述した実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の実施形態を実施することができる。更には、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除して、または実施形態に示される構成要素にいくつかの構成要素を追加して種々の実施形態を実施することができる。
【符号の説明】
【0074】
100 :検索画面
111 :検索ボタン
200 :検索結果
300 :情報処理装置
301 :制御部
302 :記憶部
1100 :コンピュータ
1101 :プロセッサ
1102 :メモリ
1103 :記憶装置
1104 :読取装置
1105 :着脱可能記憶媒体
1106 :通信インタフェース
1107 :入出力インタフェース
1108 :バス


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11