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特開2023-162931光変調ユニット、及び、投写型画像表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162931
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】光変調ユニット、及び、投写型画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/00 20060101AFI20231101BHJP
   G02F 1/01 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
G03B21/00 Z
G02F1/01 D
G03B21/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073650
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】寺脇 宏幸
【テーマコード(参考)】
2K102
2K203
【Fターム(参考)】
2K102BA05
2K102BB05
2K102BD08
2K102CA10
2K102DA01
2K102EB04
2K102EB10
2K102EB12
2K102EB14
2K102EB20
2K203FA03
2K203FA25
2K203FA34
2K203FA44
2K203FA45
2K203FA62
2K203GB23
2K203GB25
2K203HA13
2K203LA03
2K203LA14
2K203LA37
2K203LA42
2K203MA12
(57)【要約】
【課題】カラープリズムの温度上昇に伴う熱変形を低減させる光変調ユニット及び投写型画像表示装置を提供する。
【解決手段】光変調ユニットはカラープリズムと吸熱部材とを備える。カラープリズムは、第1変調素子で変調された第1変調光が入射する第1プリズムと、第2変調素子で変調された第2変調光が入射する第2プリズムとを有する。第1プリズムは、第2プリズムと対向する第1面を有し、第2プリズムは、第1プリズムの第1面と対向する第2面を有し、カラープリズムは、第1プリズムの第1面と第2プリズムの第2面とがそれぞれ対向する第1対向領域と第2対向領域を有する。第1対向領域における第1面と第2面との間の距離は、第2対向領域における第1面と第2面と間の距離よりも小さい。第2変調光が第1対向領域を透過し、第1対向領域の外側の第2対向領域に吸熱部材が配置されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射する第1色光を変調して第1変調光として出射する第1光変調素子と、
入射する第2色光を変調して第2変調光として出射する第2光変調素子と、
入射する第3色光を変調して第3変調光として出射する第3光変調素子と、
入射する照明光を前記第1色光、前記第2色光、及び、前記第3色光に色分離してそれぞれ対応する前記第1光変調素子、前記第2光変調素子、及び、前記第3光変調素子に向けてそれぞれ出射し、前記第1光変調素子から入射する前記第1変調光、前記第2光変調素子から入射する前記第2変調光、及び、前記第3光変調素子から入射する前記第3変調光を合成して投写光として出射するカラープリズムと、
前記カラープリズム内の不要光の熱を吸熱する吸熱部材と、を備え、
前記カラープリズムは、前記第1変調光が入射する第1プリズムと、前記第2変調光が入射する第2プリズムと、前記第3変調光が入射する第3プリズムと、を有し、
前記第1プリズムは、前記第2プリズムと対向する第1面を有し、
前記第2プリズムは、前記第1プリズムの第1面と対向する第2面を有し、
前記カラープリズムは、前記第1プリズムの第1面と前記第2プリズムの第2面とがそれぞれ対向する第1対向領域と第2対向領域を有し、
前記第1対向領域における前記第1面と前記第2面との間の距離は、第2対向領域における前記第1面と前記第2面と間の距離よりも小さく、
前記第1色光が分離された前記照明光、及び前記第2変調光が前記第1対向領域を透過し、
前記第1対向領域の外側の前記第2対向領域に前記吸熱部材が配置されている、
光変調ユニット。
【請求項2】
前記第2対向領域において、前記第1プリズムの前記第1面側、または、前記第2プリズムの第2面側のいずれかに、凹部を備え、
前記吸熱部材は、前記凹部に嵌め込まれて、前記第2プリズムの第2面と接触して配置されている、
請求項1に記載の光変調ユニット。
【請求項3】
前記第1プリズムの第1面側及び前記第2プリズムの第2面側のそれぞれに凹部を備え、
前記吸熱部材は、それぞれの前記凹部に嵌め込まれて、前記第2プリズムの第2面と接触して配置されている、
請求項1に記載の光変調ユニット。
【請求項4】
入射する第1色光を変調して第1変調光として出射する第1光変調素子と、
入射する第2色光を変調して第2変調光として出射する第2光変調素子と、
入射する第3色光を変調して第3変調光として出射する第3光変調素子と、
入射する照明光を前記第1色光、前記第2色光、及び、前記第3色光に色分離してそれぞれ対応する前記第1光変調素子、前記第2光変調素子、及び、前記第3光変調素子に向けてそれぞれ出射し、前記第1光変調素子から入射する前記第1変調光、前記第2光変調素子から入射する前記第2変調光、及び、前記第3光変調素子から入射する前記第3変調光を合成して投写光として出射するカラープリズムと、
前記カラープリズム内の不要光の熱を吸熱する吸熱部材と、を備え、
前記カラープリズムは、前記第1変調光が入射する第1プリズムと、前記第2変調光が入射する第2プリズムと、前記第3変調光が入射する第3プリズムと、前記吸熱部材と同じ厚みの第4プリズムと、を有し、
前記第1プリズムは、前記第2プリズムと対向する第1面を有し、
前記第2プリズムは、前記第1プリズムの第1面と対向する第2面を有し、
前記カラープリズムは、前記第1プリズムの第1面と前記第2プリズムの第2面とがそれぞれ対向する第1対向領域と第2対向領域を有し、
前記第1色光が分離された前記照明光、及び、前記第2変調光が前記第1対向領域を透過し、
前記第1対向領域の外側の前記第2対向領域に前記吸熱部材が配置され、前記第1対向領域に前記第4プリズムが配置されている、
光変調ユニット。
【請求項5】
前記吸熱部材の熱が伝導される放熱部材を備える、
請求項1から4のいずれか1つに記載の光変調ユニット。
【請求項6】
前記放熱部材は、前記吸熱部材から伝導する熱を放熱するヒートシンクを備える、
請求項5に記載の光変調ユニット。
【請求項7】
前記放熱部材は、冷却水が流出入する液冷システムの受熱部品を備える、
請求項5に記載の光変調ユニット。
【請求項8】
請求項1または4に記載の光変調ユニットと、
前記光変調ユニットへ照明光を供給する光源部と、
前記光変調ユニットから出射する前記投写光を拡大する投写光学系と、を備える、
投写型画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変調ユニット及びそれを備えた投写型画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、投写型画像表示装置として、R(赤)/G(緑)/B(青)の3原色を色分離・合成して表示する3板式の投写型画像表示装置の開発が数多くされている。
【0003】
3板式の投写型画像表示装置は、白色からなる照明光をカラープリズム内に構成したダイクロイックフィルタを用いてR/G/Bの3原色に分離し、カラープリズム内の異なるブロック状のプリズムを透過もしくは透過及び反射をさせながらプリズム毎に設けたR/G/B各色用の光変調素子に光を導く。その後、光変調素子にて反射させる方向を選択し、投影する光束と不要な光束を分離させ、投影する光束は再びプリズム内を経由し、ダイクロイックフィルタでR/G/B各色の投影する光束を合成される。合成された投影光束は投写光学系を通してスクリーン上に結像される。
【0004】
投写型画像表示装置は、日中での視認度向上や、より大型なスクリーン投影のため、更なる高輝度化に向けた開発が行われている。投写光学系からの光出力を高めるために、照明光からカラープリズムに入射する光強度を高める。その際、カラープリズム内においてそれぞれのプリズム内で光束が透過及び反射を繰り返す構成により、カラープリズムを構成する光学部材の内部吸収により一部の光エネルギーが吸収され発熱する。これにより、カラープリズム内の内部応力の変化による複屈折が発生し、例えば液晶素子を用いた投写型画像表示装置ではコントラスト低下など投写画像の品位を低下させてしまうことが知られている。
【0005】
したがって、特に超高輝度な投写型画像表示装置には、光変調素子として高光強度下での素子劣化や、複屈折影響が少ないデジタルマイクロミラーデバイス(以下、「DMD」と称する)を用いられることがある。これにより、輝度を飛躍的に向上することが可能となるが、超高輝度となることからカラープリズム内の単位体積当たりのエネルギー密度が著しく上昇し、そのため発熱による内部応力の変化も顕著となる。投写型画像表示装置の使用中に複屈折影響よりもさらに影響の大きいプリズムの熱膨張による変形が発生し、その変形よりプリズム内の光線光路が所望の光路より曲げられることで、投写光学系からスクリーンに出射を通して本来スクリーン上の1点に結像する光線位置がR/G/Bそれぞれでずれて結像する現象(以下、「コンバージェンスずれ」と称する)が発生し、投写画像の品位を大きく低下させてしまう。
【0006】
特許文献1は、投写型映像表示装置であって、プリズムの側面に熱伝導シートを挟んでヒートシンクを取り付けることで、高輝度化によるプリズムの熱変形を軽減することで、画質を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-224417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の技術では、互いにプリズムの面が対向していないプリズムの側面に熱伝導シートを貼り付けその上にヒートシンクを取り付けている。したがって、プリズム内部の熱を放熱しにくく、プリズムの温度上昇を抑制する効果が低かった。
【0009】
本開示は、カラープリズムの温度上昇に伴う熱変形を低減させ、コンバージェンスずれを抑制することが可能な光変調ユニット及び投写型画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係る光変調ユニットは、入射する第1色光を変調して第1変調光として出射する第1光変調素子と、入射する第2色光を変調して第2変調光として出射する第2光変調素子と、入射する第3色光を変調して第3変調光として出射する第3光変調素子と、入射する照明光を第1色光、第2色光、及び、第3色光に色分離してそれぞれ対応する第1光変調素子、第2光変調素子、及び、第3光変調素子に向けてそれぞれ出射し、第1光変調素子から入射する第1変調光、第2光変調素子から入射する第2変調光、及び、第3光変調素子から入射する第3変調光を合成して投写光として出射するカラープリズムと、カラープリズム内の不要光の熱を吸熱する吸熱部材と、を備える。カラープリズムは、第1変調光が入射する第1プリズムと、第2変調光が入射する第2プリズムと、第3変調光が入射する第3プリズムと、を有する。第1プリズムは、第2プリズムと対向する第1面を有し、第2プリズムは、第1プリズムの第1面と対向する第2面を有し、カラープリズムは、第1プリズムの第1面と第2プリズムの第2面とがそれぞれ対向する第1対向領域と第2対向領域を有する。第1対向領域における第1面と第2面との間の距離は、第2対向領域における第1面と第2面と間の距離よりも小さい。第1色光が分離された照明光、及び、第2変調光が第1対向領域を透過する。第1対向領域の外側の第2対向領域に吸熱部材が配置されている。
【0011】
また、本開示に係る光変調ユニットは、入射する第1色光を変調して第1変調光として出射する第1光変調素子と、入射する第2色光を変調して第2変調光として出射する第2光変調素子と、入射する第3色光を変調して第3変調光として出射する第3光変調素子と、入射する照明光を第1色光、第2色光、及び、第3色光に色分離してそれぞれ対応する第1光変調素子、第2光変調素子、及び、第3光変調素子に向けてそれぞれ出射し、第1光変調素子から入射する第1変調光、第2光変調素子から入射する第2変調光、及び、第3光変調素子から入射する第3変調光を合成して投写光として出射するカラープリズムと、カラープリズム内の不要光の熱を吸熱する吸熱部材と、を備える。カラープリズムは、第1変調光が入射する第1プリズムと、第2変調光が入射する第2プリズムと、第3変調光が入射する第3プリズムと、吸熱部材と同じ厚みの第4プリズムと、を有する。第1プリズムは、第2プリズムと対向する第1面を有し、第2プリズムは、第1プリズムの第1面と対向する第2面を有し、カラープリズムは、第1プリズムの第1面と第2プリズムの第2面とがそれぞれ対向する第1対向領域と第2対向領域を有する。第1色光が分離された照明光、及び、第2変調光が第1対向領域を透過し第1対向領域の外側の第2対向領域に吸熱部材が配置され、第1対向領域に第4プリズムが配置されている。
【0012】
また、本開示に係る投写型画像表示装置は、上述した光変調ユニットと、光変調ユニットへ照明光を供給する光源部と、光変調ユニットから出射する投写光を拡大する投写光学系と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本開示は、カラープリズムの温度上昇に伴う熱変形を低減させ、コンバージェンスずれを抑制することが可能な光変調ユニット及び投写型画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1に係る投写型画像表示装置の全体構成を示す概略図
図2】実施の形態1に係る光変調ユニットの全体構成を示す斜視図
図3図2における矢視III断面図
図4】放熱部材をカラープリズムから取り外した状態の光変調ユニットの平面図
図5】カラープリズムの斜視図
図6】カラープリズムの部分拡大平面図
図7】光変調ユニットの平面図
図8】光変調ユニットの吸熱部材及び放熱部材の斜視図
図9】カラープリズム内の照明光の光路を示す説明図
図10】カラープリズム内の変調光の光路を示す説明図
図11】カラープリズム内の不要光の光路を示す説明図
図12】実施の形態2に係る光変調ユニットの全体構成を示す斜視図
図13図12における矢視XIII断面図
図14】変形例に係る光変調ユニットの全体構成を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0016】
なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0017】
(実施の形態1)
以下、図1図11を参照して実施の形態1の投写型画像表示装置1及び光変調ユニット330を説明する。以下では本開示に係る投写型画像表示装置の具体的な実施例として、光変調素子としてのDMDを有する投写型画像表示装置を説明する。
【0018】
[1-1.構成]
図1は、実施の形態に係る投写型画像表示装置1の全体構成を示す概略図である。図1の投写型画像表示装置1は、カラープリズム340に光を供給する照明光学系10と、カラープリズム340と、カラープリズム340において色合成された合成光を投写する投写光学系140と、を備える。
【0019】
照明光学系10は、複数の青色半導体レーザ(以下、「LD」と称する)201、202と複数のレンズ群210、220とを備える。レンズ群210は凸レンズ211、凹レンズ212からなり、LD201からの出射光を再平行光化するアフォーカルレンズである。また、レンズ群220は凸レンズ221、凹レンズ222からなり、LD202からの出射光を再平行化するアフォーカルレンズである。LD201及びLD202は、447nmから462nmの波長幅で青色の色光を発光し、直線偏光を出射する。LD201及びLD202は、出射する光がダイクロイックミラー206の入射面に対してP偏光となるように配置している。
【0020】
LD201から出射された光は凸レンズ211及び凹レンズ212を通過した際、所望の光線幅の平行光に成形された後、拡散板204を通過後にダイクロイックミラー206に到達する。
【0021】
ダイクロイックミラー206は、例えば、青色光に対して反射率が50%となる波長がP偏光で465nm、S偏光で442nmの特性で透過、反射し、緑、赤成分を含む色光は96%以上で反射する分光反射率特性を有する。ダイクロイックミラー206へ入射するLD201の青色光はダイクロイックミラー206の入射面に対しP偏光となるよう配置していることから、LD201からの出射光はダイクロイックミラー206をそのまま透過し、コンデンサレンズ群230の方向に進行する。
【0022】
ダイクロイックミラー206にて透過した青色光は、コンデンサレンズ群230に入射する。コンデンサレンズ群230はコンデンサレンズ231、232からなり、徐々に集光しながら、蛍光体ホイール250近傍に集光スポットを形成する。
【0023】
蛍光体ホイール250は、アルミニウム基板と中央部に駆動モーターを備え、中心軸に対して回転制御可能な円形基板である。アルミニウム基板の表面には、反射膜と、その表面にさらに蛍光体層が形成されている。反射膜は可視光を反射する金属層もしくは誘電体膜である。蛍光体層には、青色光により励起され、緑色、赤色の波長成分を含んだ黄色光を発光するCe付活YAG系黄色蛍光体を形成している。この蛍光体の結晶母体の代表的な化学組織はYAl12である。蛍光体層は円環状に形成している。
【0024】
スポット光で励起された蛍光体層は緑色、赤色成分の色光を含む黄色域光を発光する。蛍光体ホイール250は中心軸に周りに回転させることにより、青色励起光による蛍光体層の温度上昇を抑制し、蛍光変換効率を安定に維持することができる。蛍光体層に入射した光は、緑色、赤色成分の色光を蛍光発光し、蛍光体ホイール250を出射する。蛍光体層から出射した緑色、赤色成分の色光は、偏光状態がランダムな自然光として出射され、再びコンデンサレンズ232、231で集光され、略平行光に変換されたのち、ダイクロイックミラー206に入射する。ダイクロイックミラー206は緑、赤成分を含む色光は反射する特性を有するので、ダイクロイックミラー206にて反射された光は、コンデンサレンズ104に入射してロッドインテグレータ105に集光する。
【0025】
一方、LD202から出射された光は凸レンズ221及び凹レンズ222を通過した際、所望の光線幅の略平行光に成形された後、ミラー203にて方向を変えられたのち拡散板205を通過後、ダイクロイックミラー206に到達する。ダイクロイックミラー206へ入射するLD202の青色光も同様にダイクロイックミラー206の入射面に対しP偏光となるよう配置していることから、LD202からの出射光はダイクロイックミラー206をそのまま透過し、コンデンサレンズ104に入射してロッドインテグレータ105に集光する。
【0026】
このようにして、蛍光体ホイール250から出射した緑色成分と赤色成分を含む黄域の色光と、LD202からの青色成分の色光がダイクロイックミラー206にて合成され、白色色としてロッドインテグレータ105に出射される。これら赤色成分、緑色成分、青色成分の色光は良好な3原色を示し、これらの色光は色合成により良好なホワイトバランスの発光特性を得ることができることに加え、DMD106にてON/OFF制御を行うことで所望の色度座標の色に変換することができる。
【0027】
ロッドインテグレータ105は、ガラスなどの透明部材によって構成される中実のロッドである。ロッドインテグレータ105は、入射する光を内部で複数回反射させることにより、光強度分布を均一化した光を生成する。なお、ロッドインテグレータ105は、内壁がミラー面によって構成される中空のロッドであってもよい。
【0028】
レンズ121、122、123は、ロッドインテグレータ105からの出射光をDMD106に略結像するリレーレンズである。ロッドインテグレータ105を出射した光は
レンズ121、122、123を透過及びミラー134、135で反射されたのち、内部全反射プリズム(以下、「TIRプリズム」と称する)130に入射する。
【0029】
TIRプリズム130は略三角柱状の2個のプリズム間に微小の空隙を設け接合した形状である。これにより、光線入射角度に応じ、照明光と投写光学系の光路分岐をTIRプリズム内で行うことができるので、カラープリズム340の小型化が可能になり、設計自由度を高めることができる。なお、TIRプリズム130は略三角柱状の1個のプリズムで構成し、TIRプリズム130内を臨界角以上の角度で入射する光を全反射させてもよい。ミラー135からTIRプリズム130に入射した光は、このプリズム面で全反射され、光変調ユニット330のカラープリズム340に入射する。
【0030】
[1-2.光変調ユニット]
次に、図2及び図3も参照して光変調ユニット330について説明する。図2は光変調ユニット330の全体構成を示す斜視図である。図3は、図2における矢視III断面図である。光変調ユニット330は、入射した光の色を分離するカラープリズム340と、分離された光を変調する光変調素子としてのDMD106B、106R、106Gと、カラープリズム340内の不要光の熱を吸熱する吸熱部材350と、を備える。また、光変調ユニット330は、カラープリズム340内の温度上昇を低減するために、吸熱部材350が吸熱した熱を放熱する放熱部材353を備える。
【0031】
カラープリズム340は3つのプリズム340B、340R、340Gから構成され、プリズム340Bにおけるプリズム340Rとの近接面には青色反射ダイクロイックコート層185が、プリズム340Rにおけるプリズム340Gとの近接面には赤色反射ダイクロイックコート層186が形成されている。プリズム340Bは略三角柱状のプリズムであり、TIRプリズム130から入射した光はプリズム340Bを通過した後、青色反射ダイクロイックコート層185に到達する。
【0032】
青色反射ダイクロイックコート層185は、青色光に相当する波長を反射し、緑色光や赤色光などその他の光を透過するように構成されている。青色反射ダイクロイックコート層185は、例えば、コート面の入射角度が27度において緑色光に対して透過率が50%となる波長が505nmとなる特性である。
【0033】
一方、赤色反射ダイクロイックコート層186は、赤色光に相当する波長を反射し、緑色光や青色光などその他の光を透過するように構成されている。赤色反射ダイクロイックコート層186は、例えば、コート面の入射角度が27度において緑色光に対して透過率が50%となる波長が596nmとなる特性である。
【0034】
TIRプリズム130から入射し、青色反射ダイクロイックコート層185に到達した白色の色光は、カラープリズム340内のプリズム340Bに設けられた青色反射ダイクロイックコート層185に入射し、青色成分の色光は反射された後、プリズム340B表面にて全反射された後にDMD106Bに略結像する。
【0035】
一方、緑色及び赤色成分の色光は青色反射ダイクロイックコート層185を透過した後、プリズム340Rに入射する。プリズム340Rは略三角柱状のプリズムであり、プリズム340Bから入射した光はプリズム340Rを通過した後、赤色反射ダイクロイックコート層186に到達する。到達した緑色及び赤色成分の色光は、赤色反射ダイクロイックコート層186にて、赤色成分の色光が反射された後、プリズム340Rとプリズム340Bとの間に設けた第1エアギャップ343によりプリズム340R表面にて全反射された後にDMD106Rに略結像する。
【0036】
赤色反射ダイクロイックコート層186にて反射されなかった緑色成分の色光はプリズム340Gに入射する。プリズム340Rは略四角柱状のプリズムであり、プリズム340Gを通過後にDMD106Gに略結像する。
【0037】
画像信号等の各種制御信号に基づき、DMD106B、106R、106Gを変調させ、光強度の異なる画像光(DMD-ON光)を生成する。具体的にはDMD106B、106R、106Gは、それぞれ、複数の可動式の微小ミラーを有する。各微小ミラーは、基本的に投写画像にける1画素に相当する。DMD106B、106R、106Gは各種制御信号に基づいて各微小ミラーの角度を変更することにより、反射光を投写光学系140に向けるか否かを切り替える。反射光を投写光学系140に向けたのが画像光(DMD-ON光)であり、向けなかったのが不要光(DMD-OFF光)である。以下、変調光とは画像として投影する画像光を意味する。
【0038】
DMD106Bで反射された青色の変調光LB2は、プリズム340Bに再び入射しプリズム340B表面にて全反射された後に青色反射ダイクロイックコート層185に再入射する。青色反射ダイクロイックコート層185にて概ね反射された変調光LB2はプリズム340Bを通過後、投写光学系140に入射したのちに投影面400に向けて出射する。画像として投影しない不要光(DMD-OFF光)は、DMD106Bからプリズム340Bに再び入射しプリズム340B表面にて全反射された後に青色反射ダイクロイックコート層185に再入射する。青色反射ダイクロイックコート層185にて概ね反射された青色の不要光はプリズム340Bを通過後、投写光学系140に入射せずカラープリズム340の外部へ出射する。
【0039】
DMD106Rで反射された赤色の変調光LR2は、プリズム340Rに再び入射しプリズム340R表面にて全反射された後に赤色反射ダイクロイックコート層186に再入射する。赤色反射ダイクロイックコート層186にて概ね反射された変調光LR2は、プリズム340Rを通過後、第1対向領域345を通過してプリズム340Bに設けられた青色反射ダイクロイックコート層185に再入射する。青色反射ダイクロイックコート層185にて概ね透過された変調光LR2はプリズム340Bを通過後、投写光学系140に入射したのちに投影面400に向けて出射する。画像として投影しない不要光(DMD-OFF光)は、DMD106Rからプリズム340Rに再び入射しプリズム340R表面にて全反射された後に赤色反射ダイクロイックコート層186に再入射する。赤色反射ダイクロイックコート層186にて概ね反射された赤色の不要光は、プリズム340Rを通過後、投写光学系140に入射せず第2対向領域347に配置された吸熱部材350に入射する。
【0040】
DMD106Gで反射された緑色の変調光LG2は、プリズム340Gに再び入射した後、赤色反射ダイクロイックコート層186に再入射する。赤色反射ダイクロイックコート層186にて概ね透過された変調光LG2はプリズム340Rを通過後、第1対向領域345を通過してプリズム340Bに設けられた青色反射ダイクロイックコート層185に再入射する。青色反射ダイクロイックコート層185にて概ね透過された変調光LG2はプリズム340Bを通過後、投写光学系140に入射したのちに投影面400に出射する。画像として投影しない不要光(DMD-OFF光)は、DMD106Gからプリズム340Gに再び入射した後、赤色反射ダイクロイックコート層186に再入射する。赤色反射ダイクロイックコート層186にて概ね透過された緑色の不要光LG3はプリズム340Rを通過後、投写光学系140に入射せず第2対向領域347に配置された吸熱部材350に入射する。変調光LB2、LR2、LG2は、プリズム340Bを出射する際にそれぞれ合成されて投写光学系140に入射する。
【0041】
投写光学系140は、複数の投写レンズを備え、カラープリズム340から出射された色合成された画像光を拡大する。このようにして、DMD106B、106R、106Gにて反射された投写光はカラープリズム340内で青色、緑色、赤色の各色光が再度色合成された後、投写光学系140を通して投影面400に到達しフルカラー画像として知覚される。なお、表示する画像には、静止画像と動画像の両方が含まれる。
【0042】
[1-3.カラープリズム]
次に、図2から図6を参照して、カラープリズム340の構成について詳細に説明する。図4は、放熱部材353をカラープリズム340から取り外した状態の光変調ユニット330の平面図である。図5は、カラープリズム340の斜視図である。図6は、カラープリズム340の部分拡大平面図である。なお、以下の説明において、各図におけるY軸方向の正の方向を上方向として、Y軸方向の負の方向を下方向として説明する。
【0043】
図2から図6に示すように、カラープリズム340は3つのブロック状のプリズム340B、340R、340Gから構成される。プリズム340Bは、TIRプリズム130と対向するプリズム面340Baと、DMD106Bと対向するプリズム面340Bbと、プリズム340Rと対向するプリズム面340Bcとを有する。プリズム340Bにおいて、プリズム340Rと近接するプリズム面340Bcに青色反射ダイクロイックコート層185が形成されており、プリズム面340BcはDMD106Bからの出射光を反射する。プリズム340Bは略三角柱形状であり、プリズム340Bの一部がカットされた凹部340Bdを有する。凹部340Bdは、例えば、略直方体形状である。
【0044】
プリズム340Rは、三角柱形状であり、プリズム340Bと対向するプリズム面340Raと、DMD106Rと対向するプリズム面340Rbと、プリズム340Gと対向するプリズム面340Rcとを有する。プリズム340Rにおいて、プリズム340Gとの近接するプリズム面340Rcには、赤色反射ダイクロイックコート層186が形成されている。また、プリズム340Bとプリズム340Rとの間には、第1エアギャップ343及び第2エアギャップ344が存在する。
【0045】
プリズム340Gは四角柱形状であり、プリズム340Rと対向するプリズム面340Gaと、DMD106Gと対向するプリズム面340Gbとを有する。
【0046】
カラープリズム340は、プリズム340Bのプリズム面340Bcとプリズム340Rのプリズム面340Raとがそれぞれ対向する第1対向領域345と第2対向領域347とを有する。第1対向領域345には第1エアギャップ343が存在し、第2対向領域34には第1エアギャップ343と凹部340Bdとが存在する。第2対向領域347は、第1対向領域345の外側に配置された領域である。
【0047】
第1対向領域345におけるプリズム340Bのプリズム面340Bcとプリズム340Rのプリズム面340Raとの距離D1は、第2対向領域347におけるプリズム340Bのプリズム面340Bcとプリズム340Rのプリズム面340Raとの距離D2よりも小さい。
【0048】
第1対向領域345は、照明光L1のうち青色の色光が分離された光がプリズム340Bからプリズム340Rへ透過する領域であり、また、変調光LR2及びLG2がプリズム340Rからプリズム340Bへ透過する領域である。したがって、照明光L1のうち青色の色光が分離された光の光軸が第1対向領域345を通過し、画像として投影する変調光LR2及びLG2の光軸が第1対向領域345を通過する。
【0049】
第2対向領域347に吸熱部材350が配置されている。これにより、吸熱部材は、各DMDへの入射光及び各DMDからの出射光の進行を妨げない位置まで差し込むことができる。吸熱部材350は、プリズム340Rのプリズム面340Raに接触して配置されている。これにより、3つのプリズムの中で最も熱がこもりやすいプリズム340R内の熱を吸熱部材350へ伝導させることができ、冷却が困難であったプリズム340Rの全反射面(プリズム面340Ra)を積極的に冷却することができる。この結果、熱変形による赤色の変調光LR2の全反射角変動を低減できるので、コンバージェンスずれを抑制することができる。
【0050】
吸熱部材350の材質は、例えば、金属またはカーボンである。金属材料として、銅及びアルミ等が挙げられる。吸熱部材350は、例えば、薄形の直方体形状であり、プリズム340Bの凹部340Bdに嵌め合わされている。
【0051】
吸熱部材350とプリズム340Bのプリズム面340Bcとの間には、第2エアギャップ344が形成されている。吸熱部材350がプリズム340Bに直接的に接触していないので、吸熱部材350によってプリズム340Bが加熱されるのを低減することができる。
【0052】
図2に示すように、プリズム340B、340R及び340Gのそれぞれの側面(上面)上に放熱部材353が配置されている。放熱部材353は、放熱板355とヒートシンク357とを有する。
【0053】
放熱板355は、プリズム340B、340R及び340Gのそれぞれの側面(上面)上に貼り付けられている。図7及び図8も参照する。図7は光変調ユニット330の平面図であり、図8は光変調ユニット330の吸熱部材350及び放熱部材353の斜視図である。放熱板355は、例えば、金属板または金属シートである。放熱板355は、吸熱部材350と直接的に接続されているが、さらに別の部材を介して熱的に接続されてもよい。
【0054】
ヒートシンク357は、放熱板355に直接的に接続されており、放熱板355を介して吸熱部材350から伝導される熱を大気中へ放熱する。ヒートシンク357は、例えば、複数のフィンを有し、それぞれのフィンの間の大気へ熱を放散する。これにより、吸熱部材350及びカラープリズム340を冷却することができる。
【0055】
次に、図9から図11を参照して、第1対向領域345と第2対向領域347とこれらを通る光の光路との関係について説明する。
【0056】
図9において、カラープリズム340の前方に配置されたTIRプリズム130に入射した照明光L1がDMD106Gに伝搬する光路が示されている。TIRプリズム130で全反射した照明光L1は、プリズム340Bに入射し、プリズム340B内で青色の色光LBが照明光L1から分離されてDMD106Bへ入射する。青色の色光LBが分離された照明光L1は、第1対向領域345において、プリズム340Bのプリズム面340Bcからプリズム340Rのプリズム面340Raへ通過する。
【0057】
プリズム340Rに入射した照明光L1は、赤色の色光LRと緑色の色光Lgとに分離され、それぞれ、DMD106R及びDMD106Gに向けて伝搬する。
【0058】
図10に示すように、DMD106Gで変調された変調光LG2は、プリズム340Gへ入射し、その後さらにプリズム340Rへ入射する。プリズム340R内で、変調光LG2は、DMD106Rで変調された変調光LR2と合成され、この合成光が第1対向領域345において、プリズム340Rのプリズム面340Raからプリズム340Bのプリズム面340Bcへ通過する。プリズム340Bへ入射した、変調光LG2と変調光LR2との合成光は、プリズム340B内でさらに、DMD106Bで変調された変調光LB2と合成されて画像光L2としてプリズム340Bから投写光学系140に向けて出射する。
【0059】
図11に示すように、各DMDで不要光として反射された光は第1対向領域345と通過することなく、第2対向領域347に向けて伝搬する。例えば、DMD106Gで反射された不要光LG3は、プリズム340Gへ入射し、その後さらにプリズム340Rへ入射して、第2対向領域347に配置された吸熱部材350へ入射する。吸熱部材350へ入射した不要光LG3の一部が吸熱部材350に吸収され、残りが反射されてカラープリズム340の外部へ出射する。なお、ごく少量であるが、不要光LG3の一部は吸熱部材350へ入射することなく、プリズム340Bへ入射してカラープリズム340の外部へ出射する。
【0060】
このように、吸熱部材350は第1対向領域に345には配置されておらず、不要光が通過する第2対向領域347に配置されているので、画像光L2の投写に影響を及ぼすことがない。
【0061】
[1-4.効果等]
以上のように、本実施の形態において、光変調ユニット330は、入射する青色の色光を変調して第1変調光として出射するDMD106Bと、入射する赤色の色光を変調して第2変調光として出射するDMD106Rと、入射する緑色の色光を変調して第3変調光として出射するDMD106Gと、カラープリズム340と、カラープリズム340内の不要光の熱を吸熱する吸熱部材とを備える。カラープリズム340は、入射する照明光を青色の色光、赤色の色光、及び、緑色の色光に色分離してそれぞれ対応するDMD106B、DMD106R、及び、DMD106Gに向けてそれぞれ出射し、DMD106Bから入射する第1変調光、DMD106Rから入射する第2変調光、及び、DMD106Gから入射する第3変調光を合成して投写光として出射する。カラープリズム340は、第1変調光が入射するプリズム340Bと、第2変調光が入射するプリズム340Rと、第3変調光が入射するプリズム340Gと、を有する。プリズム340Bは、プリズム340Rと対向するプリズム面340Bcを有し、プリズム340Rは、プリズム340Bのプリズム面340Bcと対向するプリズム面340Raを有する。カラープリズム340は、プリズム340Bのプリズム面340Bcとプリズム340Rのプリズム面340Raとがそれぞれ対向する第1対向領域345と第2対向領域347とを有する。第1対向領域345におけるプリズム面340Bcとプリズム面340Raとの間の距離D1は、第2対向領域347におけるプリズム面340Bcとプリズム面340Raと間の距離D2よりも小さい。青色の色光が分離された照明光、及び、第2変調光が第1対向領域345を透過し、第1対向領域345の外側の第2対向領域347に吸熱部材350が配置されている。
【0062】
プリズム340Bとプリズム340Bに対向するプリズム340Rにおいて、青色の色光が分離された照明光L1、及び、変調光LR2が透過する第1対向領域345の外側の第2対向領域347に吸熱部材350が配置されているので、プリズム340Rの内部の熱を吸熱することができる。これにより、カラープリズム340の温度上昇に伴う熱変形を低減させ、プリズム340Rの熱変形によるコンバージェンスずれを抑制することができる。
【0063】
(実施の形態2)
図12及び図13を参照して実施の形態2における光変調ユニット330Aを説明する。図12は、実施の形態2に係る光変調ユニット330Aの全体構成を示す斜視図である。図13は、図12における矢視XIII断面図である。
【0064】
実施の形態1の光変調ユニット330において、第1対向領域345に第1エアギャップ343が配置されていた。実施の形態2の光変調ユニット330Aにおいて、第1対向領域345にプリズム340Kが配置されている。この点及び以下に説明する点以外の構成について、実施の形態1の光変調ユニット330と実施の形態2の光変調ユニット330Aとは共通の構成を有し、その説明を省略する。
【0065】
プリズム340Rのプリズム面340Raとプリズム340Bのプリズム面340Bcとの間で、吸熱部材の下方(Y軸方向の負の方向)に、吸熱部材350と略同じ厚みのプリズム340Kが配置されている。プリズム340Kは、プリズム340Rと同じ屈折率を有する。これにより、プリズム340Bのプリズム面340Bcに凹部を形成する必要がなくなり、プリズム340Bの加工の手間を省くことができる。
【0066】
以上のように、本実施の形態において、光変調ユニット330Aにおいて、カラープリズム340Aは、プリズム340Bと、プリズム340Rと、プリズム340Gと、吸熱部材350と同じ厚みのプリズム340Kと、を有する。第1対向領域345にプリズム340Kが配置されている。
【0067】
実施の形態2の構成によっても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、実施の形態2において、プリズム340Kはプリズム340Rに接触し第1エアギャップ343がプリズム340Kとプリズム340Bのプリズム面340Bcとの間に設けられているが、プリズム340Kはプリズム340Bに接触しプリズム340Kとプリズム340Rのプリズム面340Raとの間に設けられてもよい。この場合、プリズム340Kは、プリズム340Bと同じ屈折率を有する方が望ましい。
【0068】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、上記実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0069】
上述した各実施の形態において、カラープリズム340内のプリズム340B、340R、340Gはそれぞれ青色、赤色及び緑色の色光を分離する順で構成したが、色光の分離の順番は限定しない。例えば、緑色、赤色及び青色のような色光の分離の順で構成してもよい。この場合、プリズム340Bによって、照明光L1から緑色の色光が分離される。
【0070】
上述した各実施の形態において、放熱部材353はヒートシンク357を有していたがこれに限らない。図14に示すように、放熱部材353は放熱板355と放熱板355を冷却する液冷システムの受熱部品358であってもよい。図14は、変形例に係る光変調ユニット330Bの全体構成を示す斜視図である。
【0071】
受熱部品358は、冷却水が流入する流入口358aと、受熱部品358の熱を吸熱して温度が上昇した冷却水を吐出する吐出口358bとを有する。受熱部品358内を冷却水が流れるので、吸熱部材350を介して受熱部品358に伝導するプリズム340R内の熱を効率よく放熱することができる。
【0072】
上述した実施の形態1において、第1対向領域345、第2対向領域347及び吸熱部材350は、プリズム340Bとプリズム340Rとの間に設けられていたがこれに限らない。第1対向領域345、第2対向領域347及び吸熱部材350を、プリズム340Rとプリズム340Gとの間に設けて、プリズム340Gの放熱を促進してもよい。同様に、実施の形態2において、吸熱部材350及びプリズム340Kを、プリズム340Rとプリズム340Gとの間に設けてもよい。
【0073】
上述した実施の形態1において、凹部340Bdはプリズム340Bのプリズム面340Bcに形成されていたが、これに限らない。吸熱部材350が嵌め込まれる凹部は、プリズム340Rのプリズム面Raに形成されてもよいし、プリズム340Bのプリズム面340Bcとプリズム340Rのプリズム面Raとの両方に形成されてもよい。このように、凹部は対向するプリズムの片方のプリズム面にだけ設けられてもよいし、両方のプリズム面に設けられてもよい。
【0074】
上述した実施の形態1において、吸熱部材350はプリズム340Rの長手方向の半分程度の長さを有していたがこれに限らない。吸熱部材350は、DMD106R、106Gへ入射する照明光L1及びDMD106R、106Gからの変調光が通過する孔を設けて、プリズム340Rのプリズム面340Raの全面に接触させてもよい。この場合、吸熱部材の孔の部分が第1対向領域となり、孔の外側が第2対向領域となる。
【0075】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面及び詳細な説明を提供した。したがって、添付図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。したがって、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0076】
また、上述の実施形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【0077】
(実施の形態の概要)
(1)本開示の光変調ユニットは、入射する第1色光を変調して第1変調光として出射する第1光変調素子と、入射する第2色光を変調して第2変調光として出射する第2光変調素子と、入射する第3色光を変調して第3変調光として出射する第3光変調素子と、入射する照明光を第1色光、第2色光、及び、第3色光に色分離してそれぞれ対応する第1光変調素子、第2光変調素子、及び、第3光変調素子に向けてそれぞれ出射し、第1光変調素子から入射する第1変調光、第2光変調素子から入射する第2変調光、及び、第3光変調素子から入射する第3変調光を合成して投写光として出射するカラープリズムと、カラープリズム内の不要光の熱を吸熱する吸熱部材と、を備える。カラープリズムは、第1変調光が入射する第1プリズムと、第2変調光が入射する第2プリズムと、第3変調光が入射する第3プリズムと、を有する。第1プリズムは、第2プリズムと対向する第1面を有し、第2プリズムは、第1プリズムの第1面と対向する第2面を有し、カラープリズムは、第1プリズムの第1面と第2プリズムの第2面とがそれぞれ対向する第1対向領域と第2対向領域を有する。第1対向領域における第1面と第2面との間の距離は、第2対向領域における第1面と第2面と間の距離よりも小さい。第1色光が分離された照明光、及び、第2変調光が第1対向領域を透過し、第1対向領域の外側の第2対向領域に吸熱部材が配置されている。
【0078】
第1プリズムと第1プリズムに対向する第2プリズムにおいて、第1色光が分離された照明光、及び、第2変調光が透過する第1対向領域の外側の第2対向領域に吸熱部材が配置されているので、第2プリズムの内部の熱を吸熱することができる。これにより、カラープリズムの温度上昇に伴う熱変形を低減させ、第2プリズムの熱変形によるコンバージェンスずれを抑制することができる。
【0079】
(2)(1)の光変調ユニットにおいて、第2対向領域において、第1プリズムの第1面側、または、第2プリズムの第2面側のいずれかに、凹部を備え、吸熱部材は、凹部に嵌め込まれて、第2プリズムの第2面と接触して配置されている。
【0080】
(3)(1)の光変調ユニットにおいて、第1プリズムの第1面側及び第2プリズムの第2面側のそれぞれに凹部を備える。吸熱部材は、それぞれの凹部に嵌め込まれて、第2プリズムの第2面と接触して配置されている。
【0081】
(4)本開示の光変調ユニットは、入射する第1色光を変調して第1変調光として出射する第1光変調素子と、入射する第2色光を変調して第2変調光として出射する第2光変調素子と、入射する第3色光を変調して第3変調光として出射する第3光変調素子と、入射する照明光を第1色光、第2色光、及び、第3色光に色分離してそれぞれ対応する第1光変調素子、第2光変調素子、及び、第3光変調素子に向けてそれぞれ出射し、第1光変調素子から入射する第1変調光、第2光変調素子から入射する第2変調光、及び、第3光変調素子から入射する第3変調光を合成して投写光として出射するカラープリズムと、カラープリズム内の不要光の熱を吸熱する吸熱部材と、を備える。カラープリズムは、第1変調光が入射する第1プリズムと、第2変調光が入射する第2プリズムと、第3変調光が入射する第3プリズムと、吸熱部材と同じ厚みの第4プリズムと、を有する。第1プリズムは、第2プリズムと対向する第1面を有し、第2プリズムは、第1プリズムの第1面と対向する第2面を有する。カラープリズムは、第1プリズムの第1面と第2プリズムの第2面とがそれぞれ対向する第1対向領域と第2対向領域を有する。第1色光が分離された照明光、第2変調光、及び、第3変調光が第1対向領域を透過する。第1対向領域の外側の第2対向領域に吸熱部材が配置され、第1対向領域に第4プリズムが配置される。
【0082】
第1プリズムと第1プリズムに対向する第2プリズムにおいて、第1色光が分離された照明光、及び、第2変調光が透過する第1対向領域の外側の第2対向領域に吸熱部材が配置されているので、第2プリズムの内部の熱を吸熱することができる。これにより、カラープリズムの温度上昇に伴う熱変形を低減させ、第2プリズムの熱変形によるコンバージェンスずれを抑制することができる。
【0083】
(5)(1)から(4)のいずれかの光変調ユニットにおいて、吸熱部材の熱が伝導される放熱部材を備える。
【0084】
(6)(5)の光変調ユニットにおいて、放熱部材は、吸熱部材から伝導する熱を放熱するヒートシンクを備える。
【0085】
(7)(5)の光変調ユニットにおいて、放熱部材は、冷却水が流出入する液冷システムの受熱部品を備える。
【0086】
(8)本開示の投写型画像表示装置は、(1)から(7)のいずれかの光変調ユニットと、光変調ユニットへ照明光を供給する光源部と、光変調ユニットから出射する投写光を拡大する投写光学系と、を備える。
【0087】
これにより、カラープリズムの温度上昇に伴う熱変形を低減させ、第2プリズムの熱変形によるコンバージェンスずれを抑制することが可能な投写型画像表示装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本開示は、カラープリズムを備える光変調ユニット及び投写型画像表示装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 投写型画像表示装置
10 照明光学系
104 コンデンサレンズ
105 ロッドインテグレータ
106、106B、106G、106R DMD
120、121、122、123 リレーレンズ
130 TIRプリズム、
134、135、203 ミラー
140 投写光学系
185、186 ダイクロイックコート層
201、202 青色半導体レーザ
204、205 拡散板、
206 ダイクロイックミラー
210、220 アフォーカルレンズ群
211、221 凸レンズ
212、222 凹レンズ
230 コンデンサレンズ群
231、232 コンデンサレンズ
250 蛍光体ホイール
330 光変調ユニット
340、340A カラープリズム
340B、340G、340R、340K プリズム
340Ba、340Bb、340Bc、340Ga、340Gb、340Ra、340Rb、340Rc プリズム面
340Bd凹部
343 第1エアギャップ
344 第2エアギャップ
345 第1対向領域
347 第2対向領域
350 吸熱部材
353 放熱部材
355 放熱板
357 ヒートシンク
400 投影面
L1 照明光
L2 画像光
LB、LG、LR 色光
LB2、LR2、LG2 変調光
L3、LG3 不要光
図1
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