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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162935
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】蒸気発生装置及び蒸気発生システム
(51)【国際特許分類】
   F22B 1/16 20060101AFI20231101BHJP
   F22B 27/14 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
F22B1/16 Z
F22B27/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073658
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】根本 晃
(72)【発明者】
【氏名】津田 将太
(72)【発明者】
【氏名】田島 嗣久
(72)【発明者】
【氏名】奥山 知視
(72)【発明者】
【氏名】大藤 朋男
(72)【発明者】
【氏名】島田 秀顕
(57)【要約】
【課題】蒸発液面を広く確保しつつ、小型化可能な蒸気発生装置及び当該蒸気発生装置を備えた蒸気発生システムを提供する。
【解決手段】実施の形態による蒸気発生装置は、加熱媒体を熱源として給水を沸騰させて蒸気を生成する蒸気発生装置である。蒸気発生装置は、給水が流入する給水流入部と、蒸気が流出する蒸気流出部と、を有する容器と、容器内に配置され、給水を沸騰させて蒸気を生成する複数の蒸発器ユニットと、を備える。蒸発器ユニットは、給水を貯留するとともに上部が開放された蒸発器タブと、加熱媒体により蒸発器タブ内の給水を加熱する加熱器と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱媒体を熱源として給水を沸騰させて蒸気を生成する蒸気発生装置であって、
前記給水が流入する給水流入部と、前記蒸気が流出する蒸気流出部と、を有する容器と、
前記容器内に配置され、前記給水を沸騰させて前記蒸気を生成する複数の蒸発器ユニットと、を備え、
前記蒸発器ユニットは、前記給水を貯留するとともに上部が開放された蒸発器タブと、前記加熱媒体により前記蒸発器タブ内の前記給水を加熱する加熱器と、を有する、蒸気発生装置。
【請求項2】
前記容器内に配置され、前記蒸発器ユニットに供給される前記給水を予熱する複数の予熱器ユニットを備え、
前記予熱器ユニットは、前記給水を貯留するとともに上部が開放された予熱器タブと、前記加熱媒体により前記予熱器タブ内の前記給水を予熱する予熱器と、を有する、請求項1に記載の蒸気発生装置。
【請求項3】
前記容器は、前記蒸発器ユニットよりも下方に位置し、前記給水流入部から流入した前記給水を貯留する給水貯留部を有する、請求項1に記載の蒸気発生装置。
【請求項4】
前記容器は、前記蒸発器ユニット及び前記予熱器ユニットよりも下方に位置し、前記予熱器タブから溢れた前記給水を貯留する給水貯留部を有する、請求項2に記載の蒸気発生装置。
【請求項5】
前記給水流入部に前記給水を供給する給水ポンプと、
前記給水貯留部内の前記給水の水位を計測する貯留部水位計と、
前記貯留部水位計により計測された前記給水貯留部内の前記給水の水位に基づいて、前記給水ポンプにより前記給水流入部に供給される前記給水の流量を調整する給水流量調整弁と、を備える、請求項3又は4に記載の蒸気発生装置。
【請求項6】
前記給水貯留部内の前記給水を前記蒸発器タブに供給する供給ポンプを備え、
前記給水貯留部は、前記蒸発器タブから溢れた前記給水を貯留し、
前記供給ポンプは、前記給水貯留部と前記蒸発器タブとの間で前記給水を循環水として循環させる、請求項3又は4に記載の蒸気発生装置。
【請求項7】
前記蒸気流出部から流出する前記蒸気の流量を計測する蒸気流量計と、
前記供給ポンプによる前記循環水の流量を計測する循環水流量計と、
前記蒸気流量計により計測された前記蒸気の流量と前記循環水流量計により計測された前記循環水の流量とに基づいて、前記供給ポンプによる前記循環水の流量を調整する循環水流量調整弁と、を備える、請求項6に記載の蒸気発生装置。
【請求項8】
前記給水貯留部内の前記給水を前記蒸発器タブに供給する供給ポンプと、
前記蒸発器タブ内の前記給水の水位を計測するタブ水位計と、
前記タブ水位計により計測された前記蒸発器タブ内の前記給水の水位に基づいて、前記供給ポンプにより前記蒸発器タブに供給される前記給水の流量を調整する供給流量調整弁と、を備える、請求項3又は4に記載の蒸気発生装置。
【請求項9】
前記蒸気流出部の上流側に配置され、前記蒸気を過熱する過熱器ユニットを備える、請求項1又は2に記載の蒸気発生装置。
【請求項10】
前記過熱器ユニットに供給される前記加熱媒体が流れる加熱媒体供給ラインと、
前記過熱器ユニットの上流側の分岐点で前記加熱媒体供給ラインから分岐し、前記加熱媒体が前記過熱器ユニットをバイパスして流れるバイパスラインと、
前記加熱媒体供給ラインの前記過熱器ユニットと前記分岐点との間に配置され、前記過熱器ユニットに供給される前記加熱媒体の流量を調整する加熱媒体流量調整弁と、
前記バイパスラインに配置され、前記バイパスラインを流れる前記加熱媒体の流量を調整するバイパス流量調整弁と、を備える、請求項9に記載の蒸気発生装置。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の蒸気発生装置を含み、前記蒸気発生装置に供給される前記加熱媒体が循環して流れるヒートポンプシステムを備える、蒸気発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、蒸気発生装置及び蒸気発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
製造工場等では、製品を製造する際に大量の蒸気が使用される。このような製造工場では、加熱媒体を熱源として給水を沸騰させて蒸気を生成する蒸気発生装置が用いられる。
【0003】
ここで、一般的な蒸気発生装置105について説明する。図10に示すように、一般的な蒸気発生装置105は、圧力容器110と、蒸発器ユニット120と、を備える。
【0004】
圧力容器110は、給水Wが流入する給水流入部111と、蒸気Sが流出する蒸気流出部115と、を有する。給水流入部111は、圧力容器110の下部に設けられている。蒸気流出部115は、圧力容器110の上部に設けられている。給水流入部111から流入した給水Wは、圧力容器110内に貯留される。
【0005】
蒸発器ユニット120は、蒸発器ヘッダ122と、加熱部127と、を有する。蒸発器ヘッダ122には、加熱媒体HMが流入する加熱媒体流入部126と、加熱媒体HMが流出する加熱媒体流出部128と、が設けられている。加熱部127は、圧力容器110内に配置されている。加熱部127は、加熱媒体HMが流れる複数の加熱管で構成された管束を含んでいる。加熱媒体流入部126から流入した加熱媒体HMは、加熱部127の各加熱管を流れて圧力容器110内の給水Wを加熱し、その後、加熱媒体流出部128から流出する。
【0006】
図11に示すように、加熱部127は、加熱媒体HMによる加熱により圧力容器110内の給水Wを沸騰させて蒸気Sを生成する。生成された蒸気Sは、湿分分離エレメント130を通過して蒸気Sに含まれる湿分が除去された後、蒸気流出部115から流出し、外部の蒸気利用部に供給される。
【0007】
ところが、このような蒸気発生装置105を、例えばヒートポンプサイクルを利用した蒸気発生システムに適用した場合、蒸発器ユニット120に供給される加熱媒体HMが比較的低温になるため、蒸気発生装置105により生成される蒸気Sは低圧蒸気となる。低圧蒸気の特性としては、高圧蒸気に比べて、蒸気の比容積が大きいこと、液面からの深さに対する液体の沸点上昇率が大きいこと等が挙げられる。このことにより、図12に示すように、給水Wの液面で激しい沸騰が起こり、多量の気泡が発生し得る。この結果、所謂プライミングによる蒸気中への液滴の同伴(キャリーオーバー)、給水の液面の揺動、装置の振動、加熱部の伝熱面のドライアウト等の問題が生じ得る。
【0008】
このことの対策として、蒸発液面に対する熱負荷を低減すること、すなわち、液面の単位面積当たりの蒸発量を低減することが考えられる。より具体的には、液面の表面積を広くしたり、図13に示すように、加熱部127の管束を薄くしたりすることが考えられる。しかしながら、液面の表面積を広くした場合、給水を貯留する容器の幅が広くなり、また、加熱部の管束を薄くした場合、蒸気生成に寄与しない部分の容積が増えることになり、生成する蒸気量に対して蒸気発生装置が大型化してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007-71419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、蒸発液面を広く確保しつつ、小型化可能な蒸気発生装置及び当該蒸気発生装置を備えた蒸気発生システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施の形態による蒸気発生装置は、加熱媒体を熱源として給水を沸騰させて蒸気を生成する蒸気発生装置である。蒸気発生装置は、給水が流入する給水流入部と、蒸気が流出する蒸気流出部と、を有する容器と、容器内に配置され、給水を沸騰させて蒸気を生成する複数の蒸発器ユニットと、を備える。蒸発器ユニットは、給水を貯留するとともに上部が開放された蒸発器タブと、加熱媒体により蒸発器タブ内の給水を加熱する加熱器と、を有する。
【0012】
また、実施の形態による蒸気発生システムは、上述した蒸気発生装置を含み、蒸気発生装置に供給される加熱媒体が循環して流れるヒートポンプシステムを備える。
【発明の効果】
【0013】
本実施の形態によれば、蒸発液面を広く確保しつつ、小型化可能な蒸気発生装置及び当該蒸気発生装置を備えた蒸気発生システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、第1の実施の形態による蒸気発生システムを示す系統図である。
図2図2は、図1に含まれる蒸気発生装置を示す側面断面図である。
図3図3は、図2の正面断面図である。
図4図4は、図2の蒸気発生装置における加熱媒体の流れを示す側面断面図である。
図5図5は、第2の実施の形態による蒸気発生装置における加熱媒体の流れを示す側面断面図である。
図6図6は、第3の実施の形態による蒸気発生装置を示す側面断面図である。
図7図7は、図6の蒸気発生装置における加熱媒体の流れを示す側面断面図である。
図8図8は、第4の実施の形態による蒸気発生装置を示す側面断面図である。
図9図9は、その他の実施の形態による蒸気発生装置を示す正面断面図である。
図10図10は、一般的な蒸気発生装置を示す側面断面図である。
図11図11は、一般的な蒸気発生装置における蒸気の生成の様子を説明するための正面断面図である。
図12図12は、一般的な蒸気発生装置における課題を説明するための正面断面図である。
図13図13は、一般的な蒸気発生装置において加熱部の管束を薄くした状態を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
まず、図1図4を参照して、第1の実施の形態による蒸気発生装置及び蒸気発生システムについて説明する。
【0017】
ここでは、まず、図1を用いて、本実施の形態による蒸気発生システムについて説明する。図1に示すように、蒸気発生システム1は、ヒートポンプシステム2と、蒸気圧縮機7と、を備える。
【0018】
ヒートポンプシステム2には、加熱媒体HMが循環して流れる。図1に示すように、ヒートポンプシステム2は、蒸発器3と、媒体圧縮機4と、蒸気発生装置5と、膨張部6と、を含んでいる。これらは、配管を介して順次接続されている。加熱媒体HMはこの配管内を循環して流れる。
【0019】
蒸発器3は、外部から導入された流体Fを熱源として加熱媒体HMを加熱し、液体の加熱媒体HMを蒸発させる。蒸発器3は、流体導入管3aと、流体排出管3bと、に接続されている。流体導入管3aは、加熱媒体HMを加熱する流体Fを蒸発器3内に導入する。流体排出管3bは、加熱媒体HMを加熱した流体Fを蒸発器3から排出する。蒸発器3を通過した加熱媒体HMは気体となり、媒体圧縮機4に供給される。
【0020】
ここで、蒸発器3に導入される流体Fとしては、海水、河川の水、大気、ボイラ等の排ガス等が例示される。しかしながら、このことに限られることはなく、蒸発器3を流れる加熱媒体HMの温度よりも高い温度の流体であればよい。蒸発器3において、流体Fは加熱媒体HMと熱交換するため、流体排出管3bから排出される流体Fの温度は、流体導入管3aから導入される流体Fの温度よりも低くなる。流体Fは、不図示のポンプ等により、外部から流体導入管3aに導入されてもよい。
【0021】
媒体圧縮機4は、蒸発器3で蒸発した加熱媒体HMを圧縮して、加熱媒体HMを高温化、高圧化する。媒体圧縮機4は、駆動装置4aにより駆動される。媒体圧縮機4を通過した加熱媒体HMは、蒸気発生装置5に供給される。
【0022】
蒸気発生装置5は、加熱媒体HMを熱源として給水Wを沸騰させて蒸気Sを生成する。蒸気発生装置5は、給水導入管5aと、蒸気排出管5bと、に接続されている。給水導入管5aは、給水Wを蒸気発生装置5内に導入する。蒸気排出管5bは、生成された蒸気Sを蒸気発生装置5から排出する。蒸気発生装置5の構成の詳細については後述する。蒸気発生装置5を通過した加熱媒体HMは、膨張部6に供給される。また、蒸気発生装置5により生成された蒸気Sは、蒸気圧縮機7に供給される。
【0023】
膨張部6は、蒸気発生装置5で放熱した加熱媒体HMを膨張させて、加熱媒体HMを低温化、低圧化する。膨張部6を通過した加熱媒体HMは液体となり、再び蒸発器3に供給される。膨張部6としては、例えば、膨張弁、オリフィス等が用いられる。
【0024】
蒸気圧縮機7は、蒸気発生装置5により生成された蒸気Sを圧縮して、蒸気Sを高温化、高圧化する。蒸気圧縮機7は、駆動装置7aにより駆動される。蒸気圧縮機7において、蒸気Sの温度及び圧力は、例えば、蒸気利用部8で要求される蒸気Sの温度、圧力を考慮して調整される。蒸気圧縮機7を通過した蒸気Sは、蒸気利用部8に供給される。蒸気利用部8としては、例えば、製造工場の製造プロセス等が例示される。
【0025】
なお、蒸気発生システム1は、蒸気圧縮機7を備えていなくてもよく、蒸気発生装置5により生成された蒸気Sは、蒸気圧縮機7を介さずに蒸気利用部8に供給されてもよい。
【0026】
次に、図2図4を用いて、上述した蒸気発生装置5の構成について説明する。
【0027】
図2及び図3に示すように、蒸気発生装置5は、容器10と、複数の蒸発器ユニット20と、湿分分離エレメント30と、過熱器ユニット40と、を備える。
【0028】
図2及び図3に示すように、容器10は、中空の略円柱状に形成されている。容器10は、給水流入部11と、給水貯留部12と、給水流出部13と、給水供給部14と、蒸気流出部15と、を有する。
【0029】
給水流入部11は、給水導入管5aに接続されている。給水流入部11は、給水導入管5aを流れた給水Wを容器10内に流入させる。給水流入部11は、容器10の下部に設けられていてもよい。給水流入部11から流入した給水Wは、給水貯留部12に貯留される。
【0030】
ここで、給水導入管5aに、給水ポンプP1が設けられていてもよい。この給水ポンプP1の駆動により、給水Wが給水導入管5aを流れて、給水流入部11に供給されてもよい。
【0031】
また、給水導入管5aに、給水流量調整弁V1が設けられていてもよい。給水流量調整弁V1は、給水ポンプP1の下流側に設けられていてもよい。給水流量調整弁V1の開度を変更することで、給水ポンプP1により給水流入部11に供給される給水Wの流量が調整されてもよい。
【0032】
給水貯留部12は、給水流入部11から流入した給水Wを貯留する。給水貯留部12は、容器10の下部に設けられている。給水貯留部12は、後述する蒸発器ユニット20よりも下方に位置している。給水貯留部12は、後述する蒸発器ユニット20の蒸発器タブ21から溢れた給水Wも貯留する。給水貯留部12に貯留された給水Wは、給水流出部13から流出する。
【0033】
給水流出部13は、給水供給管5cに接続されている。給水流出部13は、給水貯留部12に貯留された給水Wを給水供給管5cに流出させる。給水流出部13は、給水貯留部12の下部に設けられていてもよい。給水流出部13から流出した給水Wは、給水供給管5cを通って給水供給部14に供給される。
【0034】
給水供給部14は、給水供給管5cと蒸発器タブ21とに接続されている。給水供給部14は、後述する蒸発器タブ21の下部領域21aに接続されていてもよい。給水供給管5cから給水供給部14に供給された給水Wは、この給水供給部14を介して蒸発器タブ21に供給される。
【0035】
ここで、給水供給管5cに、供給ポンプP2が設けられていてもよい。この供給ポンプP2の駆動により、給水貯留部12内の給水Wが給水供給管5cを流れて、給水供給部14を介して蒸発器タブ21に供給されてもよい。上述したように、給水貯留部12は、蒸発器タブ21から溢れた給水Wを貯留する。このため、供給ポンプP2は、給水貯留部12と蒸発器タブ21との間で給水Wを循環水として循環させる。
【0036】
また、給水供給管5cに、循環水流量調整弁V2が設けられていてもよい。循環水流量調整弁V2は、供給ポンプP2の下流側に設けられていてもよい。循環水流量調整弁V2の開度を変更することで、供給ポンプP2により蒸発器タブ21に供給される給水Wの流量、すなわち供給ポンプP2による循環水の流量が調整されてもよい。
【0037】
蒸気流出部15は、蒸気排出管5bに接続されている。蒸気流出部15は、蒸発器ユニット20により生成された蒸気Sを容器10内から蒸気排出管5bに流出させる。蒸気流出部15は、容器10の上部に設けられていてもよい。蒸気流出部15から流出した蒸気Sは、蒸気排出管5bを通って、上述した蒸気圧縮機7に供給される。
【0038】
図2及び図3に示すように、容器10内には、複数の蒸発器ユニット20が配置されている。図2及び図3に示す例においては、8つの蒸発器ユニット20が配置されている。より具体的には、上方に4つの蒸発器ユニット20が同じ高さで配置されるとともに、下方に4つの蒸発器ユニット20が同じ高さで配置されている。蒸発器ユニット20は、不図示の支持部により容器10内に支持されていてもよい。
【0039】
蒸発器ユニット20は、給水Wを沸騰させて蒸気Sを生成する。図2に示すように、蒸発器ユニット20は、蒸発器タブ21と、加熱器25と、を有する。
【0040】
蒸発器タブ21は、上部が開放された略直方体状の箱形に形成されている。蒸発器タブ21は、給水供給部14から供給された給水Wを貯留する。蒸発器タブ21内には、多孔板22が配置されていてもよい。多孔板22は、複数の貫通孔22aが形成された板状の部材である。この多孔板22により、蒸発器タブ21内が下部領域21aと上部領域21bとに区画される。給水供給部14から供給された給水Wは、まず下部領域21aを流れる。そして、下部領域21a内の給水Wは、多孔板22の貫通孔22aを通って上部領域21bに供給される。このような多孔板22により、上部領域21bに供給される給水Wの流量を均一化することができる。
【0041】
図2及び図3に示すように、同じ高さで隣り合う蒸発器ユニット20の蒸発器タブ21は、連通管23により連結されていてもよい。連通管23は、隣り合う蒸発器ユニット20の蒸発器タブ21を互いに連通させる。連通管23は、蒸発器タブ21の下部領域21aで連結されて、下部領域21aを互いに連通させてもよい。また、連通管23は、蒸発器タブ21の上部領域21bで連結されて、上部領域21bを互いに連通させてもよい。このことにより、給水供給部14から一の蒸発器ユニット20の蒸発器タブ21に供給された給水Wは、連通管23を通って、隣り合う他の蒸発器ユニット20の蒸発器タブ21に供給されることができる。また、各蒸発器ユニット20の蒸発器タブ21内の給水Wの液面の高さを、同じ高さに揃えることができる。
【0042】
蒸発器タブ21の受容可能量を超えて供給された給水Wは、蒸発器タブ21の上部から溢れる。図2に示すように、上方の蒸発器ユニット20の蒸発器タブ21から溢れた給水Wは、下方の蒸発器ユニット20の蒸発器タブ21に供給されてもよい。図2に示す例においては、下方の蒸発器ユニット20の蒸発器タブ21は、上方の蒸発器ユニット20の蒸発器タブ21から溢れた給水Wを受ける受水部24を有する。受水部24は、隣り合う蒸発器ユニット20の間に配置されている。受水部24は、蒸発器タブ21の下部領域21aと連通しており、受水部24で受けた給水Wは、下部領域21aに供給される。そして、下部領域21a内の給水Wは、多孔板22の貫通孔22aを通って上部領域21bに供給される。また、図2に示すように、下方の蒸発器ユニット20の蒸発器タブ21から溢れた給水Wは、給水貯留部12に供給され、貯留される。
【0043】
加熱器25は、加熱媒体HMにより蒸発器タブ21内の給水Wを加熱する。加熱器25は、蒸発器タブ21内に配置されている。図2に示す例においては、加熱器25は、蒸発器タブ21の上部領域21bに配置されている。このため、加熱器25は、蒸発器タブ21の上部領域21b内の給水Wを加熱する。
【0044】
図2に示すように、加熱器25は、所謂チューブ式の熱交換器であってもよい。図2に示す例においては、加熱器25は、入口ヘッダ26と、加熱部27と、出口ヘッダ28と、を有する。入口ヘッダ26には、加熱媒体HMが流入する加熱媒体流入部26aが設けられている。加熱部27は、複数の加熱管27aで構成されている。各加熱管27aには、加熱媒体流入部26aから流入した加熱媒体HMが流れる。各加熱管27aを流れる加熱媒体HMは、蒸発器タブ21内の給水Wを加熱する。出口ヘッダ28には、加熱媒体HMが流出する加熱媒体流出部28aが設けられている。各加熱管27aを流れた加熱媒体HMは、加熱媒体流出部28aから流出する。
【0045】
なお、図2に示す例においては、加熱部27だけでなく、入口ヘッダ26及び出口ヘッダ28も、蒸発器タブ21内に配置されている。しかしながら、このことに限られることはなく、少なくとも加熱部27の一部が蒸発器タブ21内に配置されていればよく、入口ヘッダ26及び出口ヘッダ28は、蒸発器タブ21の外側に配置されていてもよい。
【0046】
このようにして、加熱器25は、加熱媒体HMによる加熱により蒸発器タブ21内の給水Wを沸騰させて蒸気Sを生成する。生成された蒸気Sは、蒸発器タブ21の上部から放出され、容器10内の上部に向かう。
【0047】
図2及び図3に示すように、容器10内の上部には、湿分分離エレメント30が配置されている。湿分分離エレメント30は、蒸発器ユニット20よりも上方に位置している。湿分分離エレメント30は、蒸気Sに含まれる湿分を分離して除去する。湿分分離エレメント30を通過した蒸気Sは、湿分が除去され、更に容器10内の上部に向かう。
【0048】
図2及び図3に示すように、容器10内の上部には、過熱器ユニット40が設けられている。過熱器ユニット40は、湿分分離エレメント30よりも上方に位置している。また、過熱器ユニット40は、蒸気流出部15の上流側に配置されている。
【0049】
過熱器ユニット40は、蒸気Sを過熱する。図2に示すように、過熱器ユニット40は、入口ヘッダ41と、過熱部42と、出口ヘッダ43と、を有する。入口ヘッダ41には、加熱媒体HMが流入する加熱媒体流入部41aが設けられている。過熱部42は、複数の過熱管42aで構成されている。各過熱管42aには、加熱媒体流入部41aから流入した加熱媒体HMが流れる。各過熱管42aを流れる加熱媒体HMは、過熱器ユニット40を通過する蒸気Sを過熱する。出口ヘッダ43には、加熱媒体HMが流出する加熱媒体流出部43aが設けられている。各過熱管42aを流れた加熱媒体HMは、加熱媒体流出部43aから流出する。
【0050】
過熱器ユニット40により過熱された蒸気Sは、過熱蒸気になり、蒸気流出部15から流出する。蒸気流出部15から流出した蒸気Sは、蒸気排出管5bを通って、蒸気圧縮機7に供給される。
【0051】
ここで、図4を用いて、蒸気発生装置5における加熱媒体HMの流れについて説明する。図4に示すように、蒸気発生装置5は、加熱媒体供給ラインLを備える。加熱媒体供給ラインLには、過熱器ユニット40及び各蒸発器ユニット20に供給される加熱媒体HMが流れる。図4に示す例においては、加熱媒体供給ラインLは、第1供給ラインL1と、第2供給ラインL2と、排出ラインLeと、を含んでいる。
【0052】
第1供給ラインL1は、過熱器ユニット40の加熱媒体流入部41aに接続されている。第1供給ラインL1には、媒体圧縮機4からの加熱媒体HMが流れる。第1供給ラインL1を流れた加熱媒体HMは、加熱媒体流入部41aから過熱器ユニット40内に流入する。
【0053】
第2供給ラインL2は、過熱器ユニット40の加熱媒体流出部43aに接続されている。第2供給ラインL2には、過熱器ユニット40から流出した加熱媒体HMが流れる。また、第2供給ラインL2は、分岐して各蒸発器ユニット20の加熱媒体流入部26aに接続されている。第2供給ラインL2を流れた加熱媒体HMは、各加熱媒体流入部26aから対応する蒸発器ユニット20内に流入する。ここで、第2供給ラインL2を流れる加熱媒体HMの温度は、第1供給ラインL1を流れる加熱媒体HMの温度よりも低くなる。
【0054】
排出ラインLeは、各蒸発器ユニット20の加熱媒体流出部28aに接続されている。排出ラインLeは、各蒸発器ユニット20から流出した加熱媒体HMが流れる。排出ラインLeを流れた加熱媒体HMは、膨張部6に供給される。ここで、排出ラインLeを流れる加熱媒体HMの温度は、第2供給ラインL2を流れる加熱媒体HMの温度よりも低くなる。
【0055】
このようにして、加熱媒体HMは、加熱媒体供給ラインLを流れ、過熱器ユニット40に供給されて蒸気Sを過熱するとともに、各蒸発器ユニット20に供給されて給水Wを加熱する。
【0056】
また、図2に示すように、蒸気発生装置5は、貯留部水位計G1を備えていてもよい。貯留部水位計G1は、給水貯留部12に設けられている。貯留部水位計G1は、給水貯留部12内の給水Wの水位を計測することができる。貯留部水位計G1としては、例えば、差圧式レベル計が用いられる。しかしながら、このことに限られることはなく、フロート式レベル計、超音波式レベル計等、任意の水位計を用いてもよい。
【0057】
この場合、給水流量調整弁V1は、貯留部水位計G1により計測された給水貯留部12内の給水Wの水位に基づいて、給水ポンプP1により給水流入部11に供給される給水Wの流量が調整されてもよい。例えば、給水貯留部12内の給水Wの水位が第1閾値よりも小さい場合、給水流量調整弁V1の開度を大きくして、給水ポンプP1により給水流入部11に供給される給水Wの流量を増大させてもよい。また、給水貯留部12内の給水Wの水位が第2閾値よりも大きい場合、給水流量調整弁V1の開度を小さくして、給水ポンプP1により給水流入部11に供給される給水Wの流量を減少させてもよい。ここで、第2閾値は、第1閾値よりも大きい値である。
【0058】
また、図2に示すように、蒸気発生装置5は、蒸気流量計F1と、循環水流量計F2と、を備えていてもよい。蒸気流量計F1は、蒸気排出管5bに設けられている。蒸気流量計F1は、蒸気流出部15から流出する蒸気Sの流量を計測することができる。循環水流量計F2は、給水供給管5cに設けられている。図2に示す例においては、循環水流量計F2は、循環水流量調整弁V2の下流側に設けられている。循環水流量計F2は、供給ポンプP2により蒸発器タブ21に供給される給水Wの流量、すなわち供給ポンプP2による循環水の流量を計測することができる。
【0059】
この場合、循環水流量調整弁V2は、蒸気流量計F1により計測された蒸気Sの流量と循環水流量計F2により計測された循環水の流量とに基づいて、供給ポンプP2による循環水の流量が調整されてもよい。例えば、蒸気Sの流量に対する循環水の流量が所定比率になるように、循環水流量調整弁V2の開度を変更して、供給ポンプP2による循環水の流量を調整してもよい。ここで、所定比率は1よりも大きい値である。例えば、循環水の流量が蒸気Sの流量の2倍、3倍等になるように循環水の流量を調整してもよい。
【0060】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0061】
蒸気発生システム1が稼働すると、ヒートポンプシステム2に加熱媒体HMが循環して流れる(図1参照)。より具体的には、蒸発器3に供給された液体の加熱媒体HMは、外部から蒸発器3内に導入された流体Fとの熱交換により加熱されて蒸発する。蒸発器3で蒸発した加熱媒体HMは、媒体圧縮機4で高温化、高圧化される。媒体圧縮機4から蒸気発生装置5に供給された加熱媒体HMは、蒸気発生装置5で給水Wとの熱交換により放熱する。蒸気発生装置5で放熱した加熱媒体HMは、膨張部6で膨張し、低温化、低圧化されて液体となる。膨張部6で液体となった加熱媒体HMは、再び蒸発器3に供給される。
【0062】
ここで、媒体圧縮機4からの加熱媒体HMは、加熱媒体供給ラインLを流れて蒸気発生装置5の過熱器ユニット40及び各蒸発器ユニット20に供給される(図4参照)。より具体的には、媒体圧縮機4からの加熱媒体HMは、第1供給ラインL1を流れて、加熱媒体流入部41aから過熱器ユニット40内に流入する。過熱器ユニット40内に流入した加熱媒体HMは、過熱器ユニット40の各過熱管42aを流れる。各過熱管42aを流れた加熱媒体HMは、加熱媒体流出部43aから流出し、第2供給ラインL2を流れる。第2供給ラインL2を流れた加熱媒体HMは、各加熱媒体流入部26aから対応する蒸発器ユニット20内に流入する。蒸発器ユニット20内に流入した加熱媒体HMは、蒸発器ユニット20の各加熱管27aを流れる。各加熱管27aを流れた加熱媒体HMは、加熱媒体流出部28aから流出し、排出ラインLeを流れる。排出ラインLeを流れた加熱媒体HMは、膨張部6に供給される。
【0063】
また、蒸気発生装置5において、加熱媒体HMを熱源として給水Wが沸騰されて蒸気Sが生成される(図2及び図3参照)。より具体的には、まず、給水ポンプP1の駆動により、給水Wが給水導入管5aを流れて、給水流入部11に供給される。ここで、給水ポンプP1により給水流入部11に供給される給水Wの流量は、貯留部水位計G1により計測された給水貯留部12内の給水Wの水位に基づいて、給水流量調整弁V1により調整される。給水流入部11に供給された給水Wは、給水流入部11から容器10内に流入し、給水貯留部12に貯留される。
【0064】
続いて、供給ポンプP2の駆動により、給水貯留部12内の給水Wは、給水流出部13から流出し、給水供給管5cを流れて、給水供給部14を介して蒸発器ユニット20の蒸発器タブ21に供給される。ここで、供給ポンプP2により蒸発器タブ21に供給される給水W(循環水)の流量は、蒸気流量計F1により計測された蒸気Sの流量と循環水流量計F2により計測された給水W(循環水)の流量とに基づいて、循環水流量調整弁V2により調整される。蒸発器タブ21に供給された給水Wは、下部領域21aを流れて、多孔板22の貫通孔22aを通って上部領域21bに供給される。また、連通管23を通って、隣り合う他の蒸発器ユニット20の蒸発器タブ21に供給される。
【0065】
次に、蒸発器ユニット20の加熱器25により、蒸発器タブ21内の給水Wが加熱される。より具体的には、蒸発器ユニット20の各加熱管27aを流れる加熱媒体HMにより、蒸発器タブ21の上部領域21b内の給水Wが加熱される。この加熱媒体HMによる加熱により、蒸発器タブ21内の給水Wが沸騰して蒸気Sが生成される。生成された蒸気Sは、蒸発器タブ21の上部から放出される。
【0066】
一方、蒸発器タブ21の受容可能量を超えて供給された給水Wは、蒸発器タブ21の上部から溢れる。上方の蒸発器ユニット20の蒸発器タブ21から溢れた給水Wは、下方の蒸発器ユニット20の蒸発器タブ21に供給される。また、下方の蒸発器ユニット20の蒸発器タブ21から溢れた給水Wは、給水貯留部12に供給され、貯留される。給水貯留部12に貯留された給水Wは、供給ポンプP2の駆動により、再び蒸発器ユニット20の蒸発器タブ21に供給される。このようにして、給水Wは、給水貯留部12と蒸発器タブ21との間を循環水として循環する。
【0067】
そして、蒸発器タブ21の上部から放出された蒸気Sは、湿分分離エレメント30を通過し、湿分が除去される。湿分が除去された蒸気Sは、過熱器ユニット40により過熱される。より具体的には、過熱器ユニット40の各過熱管42aを流れる加熱媒体HMにより、過熱器ユニット40を通過する蒸気Sが過熱される。過熱された蒸気S(過熱蒸気)は、蒸気流出部15から流出する。蒸気流出部15から流出した蒸気Sは、蒸気排出管5bを通って、蒸気圧縮機7に供給される。
【0068】
その後、蒸気発生装置5により生成された蒸気Sは、蒸気圧縮機7で圧縮されて、高温化、高圧化される。蒸気圧縮機7を通過した蒸気Sは、蒸気利用部8に供給される。
【0069】
このように本実施の形態によれば、蒸発器ユニット20は、給水Wを貯留するとともに上部が開放された蒸発器タブ21と、加熱媒体HMにより蒸発器タブ21内の給水Wを加熱する加熱器25と、を有する。このような蒸発器ユニット20が容器10内に複数配置されていることにより、蒸発液面を広く確保することができる。また、容器10内のスペースを有効活用することにより、生成する蒸気量に対して蒸気発生装置5を小型化することができる。このため、蒸発液面を広く確保しつつ、小型化可能な蒸気発生装置5及び当該蒸気発生装置5を備えた蒸気発生システム1を提供することができる。
【0070】
また、本実施の形態によれば、容器10は、蒸発器ユニット20よりも下方に位置し、給水流入部11から流入した給水Wを貯留する給水貯留部12を有する。このように給水流入部11からの給水Wを、まずは容器10内の給水貯留部12に貯留させる構成とすることで、各蒸発器ユニット20に直接給水Wを供給する場合に比べて、蒸気発生装置5の構成を簡易化することができる。また、容器10に給水Wを貯留するタンクとしての機能を持たせることで、別途タンクを設けることを不要にすることができ、系統運用の安定性を高めることができる。
【0071】
また、本実施の形態によれば、貯留部水位計G1により計測された給水貯留部12内の給水Wの水位に基づいて、給水ポンプP1により給水流入部11に供給される給水Wの流量が調整する給水流量調整弁V1が設けられている。このことにより、給水貯留部12内の給水Wの水位を調整することができ、給水貯留部12内の給水Wが不足したり、給水貯留部12内の給水Wが蒸発器タブ21内の給水Wの液面に達したりすることを回避することができる。このため、加熱部27に給水Wを安定して供給することにより加熱部27の伝熱面のドライアウトを防止するとともに、蒸発液面の減少を防止することができる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、給水貯留部12は、蒸発器タブ21から溢れた給水Wを貯留し、供給ポンプP2は、給水貯留部12と蒸発器タブ21との間で給水Wを循環水として循環させる。このような給水Wの循環構成により、簡易な制御で、蒸発器タブ21内を給水Wで満たすことができる。このため、加熱部27の伝熱面のドライアウトを防止することができる。また、蒸発器タブ21内の給水Wの液面で激しい沸騰が起こることを抑制することができ、蒸気S中への液滴の同伴(キャリーオーバー)を抑制することができる。また、蒸発器タブ21内の給水Wの液面を安定化することができ、装置の振動も抑制することができる。
【0073】
また、本実施の形態によれば、蒸気流量計F1により計測された蒸気Sの流量と循環水流量計F2により計測された循環水の流量とに基づいて、供給ポンプP2による循環水の流量を調整する循環水流量調整弁V2が設けられている。このことにより、生成される蒸気Sの流量よりも多い流量の給水Wを蒸発器タブ21に供給することができ、蒸発器タブ21内を給水Wで確実に満たすことができる。このため、加熱部27の伝熱面のドライアウトを効果的に防止することができる。また、蒸気Sの流量に対する循環水の流量を、運転状態に応じて所定比率になるように調整することができ、供給ポンプP2の動力及び蒸気生成の安定性を最適化することができる。
【0074】
また、本実施の形態によれば、蒸気流出部15の上流側に配置され、蒸気Sを過熱する過熱器ユニット40が設けられている。このことにより、生成した蒸気Sを過熱蒸気にして蒸気圧縮機7に供給することができる。
【0075】
(第2の実施の形態)
次に、図5を参照して、第2の実施の形態による蒸気発生装置及び蒸気発生システムについて説明する。
【0076】
図5に示す第2の実施の形態においては、蒸気発生装置が、バイパスラインと、加熱媒体流量調整弁と、バイパス流量調整弁と、を備える点が主に異なる。他の構成は、図1図4に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図5において、図1図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0077】
図5に示すように、本実施の形態による蒸気発生装置5は、バイパスラインLbと、加熱媒体流量調整弁V3と、バイパス流量調整弁V4と、を更に備える。
【0078】
バイパスラインLbは、過熱器ユニット40の上流側の分岐点Pbで加熱媒体供給ラインLから分岐している。また、バイパスラインLbは、過熱器ユニット40の下流側であって、蒸発器ユニット20の上流側の合流点Pcで加熱媒体供給ラインLと合流している。すなわち、バイパスラインLbの一端は、分岐点Pbで第1供給ラインL1に接続され、バイパスラインLbの他端は、合流点Pcで第2供給ラインL2に接続されている。バイパスラインLbは、加熱媒体HMが過熱器ユニット40をバイパスして流れるようになっている。すなわち、媒体圧縮機4からの加熱媒体HMの一部は、第1供給ラインL1を流れて過熱器ユニット40に供給されるが、加熱媒体HMの残りは、バイパスラインLbを流れて過熱器ユニット40をバイパスするようになっている。過熱器ユニット40をバイパスした加熱媒体HMは、第2供給ラインL2を流れて、各蒸発器ユニット20に供給される。
【0079】
加熱媒体供給ラインLには、加熱媒体流量調整弁V3が設けられている。加熱媒体流量調整弁V3は、加熱媒体供給ラインLの過熱器ユニット40と分岐点Pbとの間に配置されている。すなわち、加熱媒体流量調整弁V3は、第1供給ラインL1の分岐点Pbの下流側に配置されている。加熱媒体流量調整弁V3の開度を変更することで、第1供給ラインL1を流れて過熱器ユニット40に供給される加熱媒体HMの流量を調整することができる。
【0080】
バイパスラインLbには、バイパス流量調整弁V4が設けられている。バイパス流量調整弁V4の開度を変更することで、バイパスラインLbを流れて過熱器ユニット40をバイパスする加熱媒体HMの流量を調整することができる。
【0081】
すなわち、媒体圧縮機4からの加熱媒体HMの一部は、第1供給ラインL1を流れて、加熱媒体流入部41aから過熱器ユニット40内に流入する。ここで、加熱媒体流量調整弁V3により、過熱器ユニット40に供給される加熱媒体HMの流量を調整することができる。また、加熱媒体HMの残りは、バイパスラインLbを流れて、過熱器ユニット40をバイパスする。過熱器ユニット40をバイパスした加熱媒体HMは、第2供給ラインL2を流れて、各蒸発器ユニット20に供給される。ここで、バイパス流量調整弁V4により、バイパスラインLbを流れる加熱媒体HMの流量を調整することができる。
【0082】
このように本実施の形態によれば、過熱器ユニット40に供給される加熱媒体HMの流量を調整する加熱媒体流量調整弁V3と、バイパスラインLbを流れる加熱媒体HMの流量を調整するバイパス流量調整弁V4と、が設けられている。このことにより、過熱器ユニット40に供給される加熱媒体HMの流量と、バイパスラインLbを流れて各蒸発器ユニット20に供給される加熱媒体HMの流量とをそれぞれ調整することができる。このため、過熱器ユニット40の過熱温度を制御して過熱蒸気の温度を調整したり、蒸発器ユニット20の加熱温度を制御して生成蒸気量を調整したりすることができる。
【0083】
(第3の実施の形態)
次に、図6及び図7を参照して、第3の実施の形態による蒸気発生装置及び蒸気発生システムについて説明する。
【0084】
図6及び図7に示す第3の実施の形態においては、蒸気発生装置が、容器内に配置され、蒸発器ユニットに供給される給水を予熱する複数の予熱器ユニットを備える点が主に異なる。他の構成は、図1図4に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図6及び図7において、図1図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0085】
図6に示すように、本実施の形態による蒸気発生装置5は、複数の予熱器ユニット50を備える。
【0086】
図6に示すように、予熱器ユニット50は、容器10内に配置されている。図6に示す例においては、4つの予熱器ユニット50が配置されている。ここで、図示は省略するが、図3と同様、図6の奥行方向にも蒸発器ユニット20及び予熱器ユニット50がそれぞれ配置されているものとする。すなわち、上方に4つの蒸発器ユニット20が同じ高さで配置されるとともに、下方に4つの予熱器ユニット50が同じ高さで配置されている。予熱器ユニット50は、不図示の支持部により容器10内に支持されていてもよい。
【0087】
予熱器ユニット50は、蒸発器ユニット20に供給される給水Wを予熱する。図6に示すように、予熱器ユニット50は、予熱器タブ51と、予熱器55と、を有する。
【0088】
予熱器タブ51は、蒸発器タブ21と同様、上部が開放された略直方体状の箱形に形成されている。本実施の形態においては、予熱器タブ51は、給水流入部11に接続されている。このため、給水流入部11は、給水導入管5aを流れた給水Wを予熱器タブ51内に流入させる。予熱器タブ51は、給水流入部11から流入した給水Wを貯留する。図6に示すように、予熱器タブ51内には、給水Wの流入方向に沿って入れ子状に複数のガイド板52が配置されていてもよい。このようなガイド板52により、給水流入部11から流入した給水Wは、予熱器タブ51内をジグザグに流れることができる。このため、予熱器タブ51内の給水Wの予熱効率を向上させることができる。
【0089】
予熱器タブ51の上部の給水供給部14とは反対側の部分は、給水Wが流出するように切り落されていてもよく、予熱器タブ51内の給水Wは、この部分から溢れるようになっていてもよい。給水貯留部12は、予熱器ユニット50よりも下方に位置している。このため、図6に示すように、予熱器ユニット50の予熱器タブ51から溢れた給水Wは、給水貯留部12に供給され、貯留される。また、本実施の形態においては、図6に示すように、上方の蒸発器ユニット20の蒸発器タブ21から溢れた給水Wも、給水貯留部12に供給され、貯留される。
【0090】
予熱器55は、加熱媒体HMにより予熱器タブ51内の給水Wを予熱する。予熱器55は、予熱器タブ51内に配置されている。
【0091】
図6に示すように、予熱器55は、所謂チューブ式の熱交換器であってもよい。図6に示す例においては、予熱器55は、入口ヘッダ56と、予熱部57と、出口ヘッダ58と、を有する。入口ヘッダ56には、加熱媒体HMが流入する加熱媒体流入部56aが設けられている。予熱部57は、複数の予熱管57aで構成されている。各予熱管57aには、加熱媒体流入部56aから流入した加熱媒体HMが流れる。各予熱管57aを流れる加熱媒体HMは、予熱器タブ51内の給水Wを予熱する。出口ヘッダ58には、加熱媒体HMが流出する加熱媒体流出部58aが設けられている。各予熱管57aを流れた加熱媒体HMは、加熱媒体流出部58aから流出する。
【0092】
なお、図6に示す例においては、予熱部57だけでなく、入口ヘッダ56及び出口ヘッダ58も、予熱器タブ51内に配置されている。しかしながら、このことに限られることはなく、少なくとも予熱部57の一部が予熱器タブ51内に配置されていればよく、入口ヘッダ56及び出口ヘッダ58は、予熱器タブ51の外側に配置されていてもよい。
【0093】
このようにして、予熱部57は、加熱媒体HMにより予熱器タブ51内の給水Wを予熱する。予熱された給水Wは、予熱器タブ51から溢れ、給水貯留部12に供給される。
【0094】
また、本実施の形態においては、図6に示すように、隣り合う蒸発器ユニット20の蒸発器タブ21は、連通管23により連結されていない。そして、給水供給部14は、各蒸発器ユニット20に対応するように複数設けられている。各給水供給部14は、対応する蒸発器タブ21に接続されている。このことにより、給水貯留部12内の給水Wは、給水供給管5cを流れて、対応する給水供給部14を介して各蒸発器タブ21に供給される。
【0095】
次に、図7を用いて、本実施の形態による蒸気発生装置5における加熱媒体HMの流れについて説明する。図7に示すように、本実施の形態による加熱媒体供給ラインLは、第1供給ラインL1と、第2供給ラインL2と、第3供給ラインL3と、排出ラインLeと、を含んでいる。
【0096】
本実施の形態による第3供給ラインL3は、蒸発器ユニット20の加熱媒体流出部28aと予熱器ユニット50の加熱媒体流入部56aとに接続されている。第3供給ラインL3には、蒸発器ユニット20から流出した加熱媒体HMが流れる。第3供給ラインL3を流れた加熱媒体HMは、加熱媒体流入部56aから予熱器ユニット50に流入する。ここで、第3供給ラインL3を流れる流加熱媒体HMの温度は、第2供給ラインL2を流れる加熱媒体HMの温度よりも低くなる。
【0097】
また、本実施の形態による排出ラインLeは、各予熱器ユニット50の加熱媒体流出部58aに接続されている。排出ラインLeは、各予熱器ユニット50から流出した加熱媒体HMが流れる。排出ラインLeを流れた加熱媒体HMは、膨張部6に供給される。ここで、排出ラインLeを流れる加熱媒体HMの温度は、第3供給ラインL3を流れる加熱媒体HMの温度よりも低くなる。
【0098】
このようにして、加熱媒体HMは、加熱媒体供給ラインLを流れ、過熱器ユニット40に供給されて蒸気Sを過熱するとともに、各蒸発器ユニット20に供給されて給水Wを加熱し、また、各予熱器ユニット50に供給されて給水Wを予熱する。
【0099】
また、図6に示すように、蒸気発生装置5は、タブ水位計G2を備えていてもよい。タブ水位計G2は、各蒸発器タブ21に設けられていてもよい。タブ水位計G2は、蒸発器タブ21内の給水Wの水位を計測することができる。タブ水位計G2としては、例えば、差圧式レベル計が用いられる。しかしながら、このことに限られることはなく、フロート式レベル計、超音波式レベル計等、任意の水位計を用いてもよい。このようなタブ水位計G2により、蒸発器タブ21内の給水Wの水位を監視することができる。
【0100】
このように本実施の形態によれば、容器10内に、蒸発器ユニット20に供給される給水Wを予熱する複数の予熱器ユニット50が配置されている。このことにより、給水流入部11から流入した給水Wを、蒸発器ユニット20に供給される前に予熱することができる。このため、蒸発器ユニット20における給水Wの蒸発効率を向上させることができる。
【0101】
また、本実施の形態によれば、容器10は、蒸発器ユニット20及び予熱器ユニット50よりも下方に位置し、予熱器タブ51から溢れた給水Wを貯留する給水貯留部12を有する。このように予熱器ユニット50により予熱された給水Wを、まずは容器10内の給水貯留部12に貯留させる構成とすることで、各蒸発器ユニット20に直接給水Wを供給する場合に比べて、蒸気発生装置5の構成を簡易化することができる。また、容器10に給水Wを貯留するタンクとしての機能を持たせることで、別途タンクを設けることを不要にすることができ、系統運用の安定性を高めることができる。
【0102】
(第4の実施の形態)
次に、図8を参照して、第4の実施の形態による蒸気発生装置及び蒸気発生システムについて説明する。
【0103】
図8に示す第4の実施の形態においては、タブ水位計により計測された蒸発器タブ内の給水の水位に基づいて、供給ポンプにより蒸発器タブに供給される給水の流量を調整する供給流量調整弁が設けられている点が主に異なる。他の構成は、図6及び図7に示す第3の実施の形態と略同一である。なお、図8において、図6及び図7に示す第3の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0104】
図8に示すように、本実施の形態による蒸気発生装置5は、循環水流量調整弁V2に代えて、供給流量調整弁V5を備える。
【0105】
供給流量調整弁V5は、給水供給管5cに設けられている。供給流量調整弁V5は、供給ポンプP2の下流側に設けられていてもよい。供給流量調整弁V5の開度を変更することで、供給ポンプP2により蒸発器タブ21に供給される給水Wの流量が調整されてもよい。
【0106】
本実施の形態においては、蒸発器タブ21内に、多孔板22が配置されていない。また、隣り合う蒸発器ユニット20の蒸発器タブ21は、連通管23により連結されている。このことにより、隣り合う蒸発器ユニット20の蒸発器タブ21内の給水Wの液面の高さを、同じ高さに揃えることができる。
【0107】
また、本実施の形態においては、給水供給部14は、各蒸発器ユニット20に対応するように複数設けられており、各給水供給部14は、対応する蒸発器タブ21に接続されている。このことにより、給水貯留部12内の給水Wは、給水供給管5cを流れて、対応する給水供給部14を介して各蒸発器タブ21に供給される。各蒸発器タブ21内の給水Wは、加熱器25による加熱により対流し自然循環するようになっている。
【0108】
また、本実施の形態においては、一の蒸発器ユニット20の蒸発器タブ21に、タブ水位計G2が設けられている。
【0109】
本実施の形態においては、供給流量調整弁V5は、タブ水位計G2により計測された蒸発器タブ21内の給水Wの水位に基づいて、供給ポンプP2により蒸発器タブ21に供給される給水Wの流量が調整される。例えば、蒸発器タブ21内の給水Wの水位が第3閾値よりも小さい場合、供給流量調整弁V5の開度を大きくして、供給ポンプP2により給水供給部14に供給される給水Wの流量を増大させてもよい。また、蒸発器タブ21内の給水Wの水位が第4閾値よりも大きい場合、供給流量調整弁V5の開度を小さくして、供給ポンプP2により給水供給部14に供給される給水Wの流量を減少させてもよい。ここで、第4閾値は、第3閾値よりも大きい値である。
【0110】
このように本実施の形態によれば、タブ水位計G2により計測された蒸発器タブ21内の給水Wの水位に基づいて、供給ポンプP2により蒸発器タブ21に供給される給水Wの流量を調整する供給流量調整弁V5が設けられている。このことにより、蒸発器タブ21内の給水Wの水位を管理することができ、蒸発器タブ21内を給水Wで確実に満たすことができる。このため、加熱部27の伝熱面のドライアウトを効果的に防止することができる。
【0111】
上述した各実施の形態は、適宜組み合わされてもよい。
【0112】
以上述べた実施の形態によれば、蒸発液面を広く確保しつつ、小型化可能な蒸気発生装置及び当該蒸気発生装置を備えた蒸気発生システムを提供することができる。
【0113】
(その他の実施の形態)
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0114】
例えば、上述した各実施の形態においては、容器10が、中空の略円柱状に形成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、容器10の形状は任意である。例えば、図9に示すように、容器10は、中空の略直方体状の容器形に形成されていてもよい。
【0115】
また、上述した各実施の形態においては、加熱器25が、チューブ式の熱交換器である例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、加熱器25の構成は任意である。例えば、加熱器25は、プレート式の熱交換器であってもよい。この場合、加熱器25の加熱部27は、複数の金属板で構成され、各金属板の間を加熱媒体HMが流れるようになっていてもよい。また例えば、加熱器25は、電気ヒータ等であってもよい。予熱器55や過熱器ユニット40についても同様である。
【符号の説明】
【0116】
1:蒸気発生システム、5:蒸気発生装置、10:容器、11:給水流入部、12:給水貯留部、15:蒸気流出部、20:蒸発器ユニット、21:蒸発器タブ、25:加熱器、40:過熱器ユニット、50:予熱器ユニット、51:予熱器タブ、55:予熱器、F1:蒸気流量計、F2:循環水流量計、G1:貯留部水位計、G2:タブ水位計、HM:加熱媒体、L:加熱媒体供給ライン、Lb:バイパスライン、P1:給水ポンプ、P2:供給ポンプ、S:蒸気、V1:給水流量調整弁、V2:循環水流量調整弁、V3:加熱媒体流量調整弁、V4:バイパス流量調整弁、V5:供給流量調整弁、W:給水
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