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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162936
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20231101BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20231101BHJP
【FI】
A01B69/00 303Z
A01B69/00 303M
G05D1/02 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073660
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】石井 和彦
【テーマコード(参考)】
2B043
5H301
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB15
2B043BA02
2B043BA09
2B043BB06
2B043EA26
2B043EB05
2B043EB15
2B043EC12
2B043EC13
2B043EC14
2B043EE01
5H301AA03
5H301BB01
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD02
5H301GG07
(57)【要約】
【課題】圃場の畦際を周回して圃場の領域を確定する際に、圃場のコーナ部の領域を確定するには、コーナ部を曲がった位置で機体を一度停止させてから後進し、圃場の隅の畦まできっちり機体を後進移動させなければならないので、操作が非常に煩わしくて作業効率の悪いものであった。そこで、作業場のコーナ部の領域確定が容易に且つ効率良く行える作業車を提供する。
【解決手段】走行車体に作業部を設けると共に、GPSにより測位衛星からの信号を受信して衛星測位システムにて位置情報を算出して作業場F内の周囲を走行することにより作業場Fの作業領域を算出する制御装置を設けた作業車において、作業場Fのコーナ部を曲がるとコーナ部前後の算出した作業場F周囲の形状L1,L2をコーナ部に向けて延長し、得られた交点Cをコーナとしてコーナ部の作業領域を算出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2)に作業部(4)を設けると共に、GPS(48)により測位衛星(S)からの信号を受信して衛星測位システムにて位置情報を算出して作業場(F)内の周囲を走行することにより作業場(F)の作業領域を算出する制御装置(49)を設けた作業車において、作業場(F)のコーナ部を曲がるとコーナ部前後の算出した作業場(F)周囲の形状(L1,L2)をコーナ部に向けて延長し、得られた交点(C)をコーナとしてコーナ部の作業領域を算出することを特徴とする作業車。
【請求項2】
制御装置(49)が作業場(F)の作業領域を算出した後に、作業領域での作業経路を算出することを特徴とする請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
モニタに作業場(F)の作業領域及び作業経路を表示することを特徴とする請求項2に記載の作業車。
【請求項4】
GPS(48)により測位衛星(S)からの信号を受信して衛星測位システムにて位置情報を算出しながら作業経路に沿って自律走行して作業部(4)にて作業を行うことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車体に作業部を装着した作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
GPSを装備し圃場の畦際を周回して圃場の領域を確定して圃場内の作業経路を算出し、該作業経路に沿って自律走行して田植作業を行う乗用型田植機がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-000039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圃場の畦際を周回して圃場の領域を確定する際に、圃場のコーナ部の領域を確定するには、コーナ部を曲がった位置で機体を一度停止させてから後進し、圃場の隅の畦まできっちり機体を後進移動させなければならないので、操作が非常に煩わしくて作業効率の悪いものであった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、作業場のコーナ部の領域確定が容易に且つ効率良く行える作業車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、走行車体2に作業部4を設けると共に、GPS48により測位衛星Sからの信号を受信して衛星測位システムにて位置情報を算出して作業場F内の周囲を走行することにより作業場Fの作業領域を算出する制御装置49を設けた作業車において、作業場Fのコーナ部を曲がるとコーナ部前後の算出した作業場F周囲の形状L1,L2をコーナ部に向けて延長し、得られた交点Cをコーナとしてコーナ部の作業領域を算出する作業車である。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、作業場Fのコーナ部を曲がるとコーナ部前後の算出した作業場F周囲の形状L1,L2をコーナ部に向けて延長しその交点Cをコーナとしてコーナ部の作業領域を算出するので、コーナ部を曲がると自動的に制御装置49がコーナ部の作業領域を算出し、作業場Fのコーナ部の領域確定が容易に且つ効率良く行える。
【0008】
請求項2記載の発明は、制御装置49が作業場Fの作業領域を算出した後に、作業領域での作業経路を算出する請求項1に記載の作業車である。
【0009】
請求項3記載の発明は、モニタに作業場Fの作業領域及び作業経路を表示する請求項2に記載の作業車である。
【0010】
請求項4記載の発明は、GPS48により測位衛星Sからの信号を受信して衛星測位システムにて位置情報を算出しながら作業経路に沿って自律走行して作業部4にて作業を行う請求項2または請求項3に記載の作業車である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明における実施形態の乗用型田植機の側面図である。
図2】本発明における実施形態の作用説明用の平面図である。
図3】従来例を示す作用説明用の平面図である。
図4】本発明における実施形態の他の圃場F例での作用説明用の平面図である。
図5】本発明における他の実施形態を示す作用説明用の平面図である。
図6】本発明における他の実施形態を示す作用説明用の平面図である。
図7】本発明における他の実施形態を示す作用説明用の平面図である。
図8】本発明における他の実施形態を示す作用説明用の平面図である。
図9】本発明における他の実施形態を示す作用説明用の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0013】
<全体構成>
図1は、本発明の作業車の一例である乗用型田植機の側面図である。この乗用型田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して作業部としての苗植付部4が昇降可能に装着されている。なお、乗用型苗移植機の前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向と後進方向をそれぞれ前、後という。
【0014】
<走行車体2>
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪10,10が各々取り付けられている。
【0015】
ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース18,18がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース18,18から外向きに突出する後輪車軸に後輪11,11が取り付けられている。
【0016】
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置22及びHST23を介してミッションケース12に伝達される。
【0017】
ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ミッションケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース18,18に伝達されて後輪11,11を駆動する。また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケースに伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動される。
【0018】
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。
【0019】
座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。
【0020】
フロントカバー32上面には、操作パネルが設けられ、モニタや自律走行用のテイーチングスイッチ33a及び自律走行スイッチ33bが設けられている。
【0021】
エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35は一部格子状になっており、該ステップ35を歩く作業者の靴についた泥が作業場としての圃場Fに落下するようになっている。フロアステップ35上の後部は、後輪フェンダを兼ねるリヤステップ36となっている。
【0022】
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。
【0023】
そして、縦リンク43の下端部に苗植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。リンクベースフレーム42と縦リンク43との間に昇降油圧シリンダ46が設けられており、該シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、昇降リンク装置3が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0024】
走行車体2の前部左右両側には、左右支持フレーム47a,47aに支持された補給用の苗を載せておく一対の左右予備苗載装置47,47が設けられている。
【0025】
走行車体2の前端部に設けた前部支柱48a上端部には、GPS48が設けられている。
【0026】
フロントカバー32内には制御装置49が設けられ、該制御装置49は圃場FにてGPS48により測位衛星Sからの信号を受信して衛星測位システムにて位置情報を算出すると共に、後述の自立作業走行をさせる。
【0027】
<苗植付部4>
苗植付部4は8条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分ずつ各条の苗取出口51aに供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51aに供給する苗送りベルトにより苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51aに供給された苗を圃場Fに植付ける苗植付装置52を備えている。
【0028】
苗植付部4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にサイドフロート56,56がそれぞれ設けられている。これらフロート55,56,56を圃場Fの泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55,56,56が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52により苗が植付けられる。
【0029】
各フロート55,56,56は圃場F表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が迎角制御センサにより検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダ46を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0030】
<自立作業走行>
最初に、作業者は、乗用型田植機1を作業場としての圃場Fの畦Kに沿って走行(テイーチング走行)させて、圃場Fの形状や領域を確定して制御装置49に記憶させる作業を行う。
【0031】
即ち、図2に示すように、テイーチングスイッチ33aをONにして、圃場F周囲の畦K(例えば、四角形の圃場であれば畝とも呼ばれる畦K1,K2,K3,K4)の畦際に沿って乗用型田植機1を進行させることにより、制御装置49がGPS48により測位衛星Sからの信号を受信して衛星測位システムにて位置情報を逐次算出して、圃場Fの形状及び領域を確定して記憶する。
【0032】
従来、図3に示すように、圃場Fのコーナ部の形状及び領域を確定する作業は、畦K1の一端側コーナ部にて苗植付部4を下降させて畦K1に沿って走行し、畦K1の他端側コーナ部直前位置A1で苗植付部4を上昇させる。
【0033】
この畦K1に沿って苗植付部4を下降させて走行した位置情報にて畦K1の形状L1を決める。
【0034】
そして、作業者は、乗用型田植機1を畦K1の他端側コーナ部直前位置A1からコーナ部を曲がって畦K2に沿った状態にし、畦K2の一端側端部まで機体を後進させて苗植付部4を下降させた後に、機体を畦K2に沿って前進走行し、畦K2に沿って苗植付部4を下降させて走行した位置情報にて畦K2の形状L2を決める。
【0035】
このようにして得られた畦K1の形状L1と畦K2の形状L2から圃場Fの領域を決める。
【0036】
上記従来の圃場Fのコーナ部の形状及び領域を確定する作業は、コーナ部を曲がった位置で機体を一度停止させてから後進し、圃場の隅の畦まできっちり機体を後進移動させなければならないので、操作が非常に煩わしくて効率の悪いものであった。
【0037】
そこで、本発明は、畦K1の一端側コーナ部にて苗植付部4を下降させて畦K1に沿って走行し、畦K1の他端側コーナ部直前位置A1で苗植付部4を上昇させる。
【0038】
この畦K1に沿って苗植付部4を下降させて走行した位置情報にて畦K1の形状L1を決める。
【0039】
そして、作業者は、乗用型田植機1を畦K1の他端側コーナ部直前位置A1からコーナ部を曲がって畦K2に沿った状態にして畦K2の一端側コーナ部付近位置A2で苗植付部4を下降させて機体を畦K2に沿って前進走行して、畦K2に沿って苗植付部4を下降させて走行した位置情報にて畦K2の形状L2を決める。
【0040】
そして、制御装置49は、畦K1の形状L1及び畦K2の形状L2をコーナ部に向けて延長しその交点Cをコーナとし、畦K1の形状L1と畦K2の形状L2を最終決定して圃場Fの領域を決める。
【0041】
または、制御装置49は、畦K1の形状L1及び畦K2の形状L2のコーナ部付近の所定距離Rをコーナ部に向けて延長しその交点Cをコーナとし、畦K1の形状L1と畦K2の形状L2を最終決定して圃場Fの領域を決めても良い。
【0042】
従って、コーナ部で苗植付部4を上昇させて曲がった後に苗植付部4を下降させてそのまま前進走行すれば、制御装置49が交点Cを算出して畦K1の形状L1と畦K2の形状L2を最終決定して圃場Fの領域を決めるので、機体操作が簡単で効率が良い。
【0043】
次に、圃場Fの形状及び領域を確定して記憶すると、制御装置49は、圃場Fの領域を一端側の畦Kと他端側の畦K間を往復移動して田植作業をする作業経路を算出して記憶し、操作パネルのモニタに該圃場Fの領域及び作業経路を表示する(作業開始位置をスタート、作業終了位置をエンドと表示し、作業経路を線図にて表示する)。
【0044】
そして、作業者が操作パネルの自律走行スイッチ33bをONにすると、テイーチングモードは解除されて自律作業走行制御モードになり、乗用型田植機1は、GPS48により測位衛星Sからの信号を受信して衛星測位システムにて位置情報を算出しながら作業経路のスタート位置(スタート)まで自律走行し、作業経路に沿って自律走行して自動的に田植作業を作業終了位置(エンド)まで行う。
【0045】
なお、図4は、変形田のコーナ部の形状及び領域を確定する作業を示すが、(1)三角形圃場F、(2)多角形圃場F、(3)台形圃場F及び(4)凹凸形圃場Fは、上記の例と同様で、各コーナ部で苗植付部4を上昇させた位置A1と苗植付部4を下降させた位置A2からコーナ部に向けて各畦K1(K2,K3)の形状L1(L2,L3)と畦K2(K3,K4)の形状L2(L3,L4)を延長しその交点Cをコーナとし、畦K1(K2,K3)の形状L1(L2,L3)と畦K2(K3,K4)の形状L2(L3,L4)を最終決定して圃場Fの領域を決める。
【0046】
また、(5)湾曲圃場Fは、苗植付部4を下降させたまま前進できるので、畦K1の形状L1はそのまま決められ、圃場Fの領域も決まる。
【0047】
最後に、作業部としては苗植付部4に限らず、耕耘装置や散布機等の如何なる農作業部でも良く、また、ドーザやショベル等の土木作業部でも良く、工場や倉庫内で走行する搬送機の積載部やフォークリフトのリフト装置等の如何なる作業装置でも良い。
【0048】
<他の実施形態>
図5は、2以上の並列する圃場F1,F2,F3(並列する圃場F1,F2,F3の両端に育苗エリアの苗補給箇所I1,I2がある)で2台以上の乗用型田植機X,Yが各々GPS48により測位衛星Sからの信号を受信して衛星測位システムにて位置情報を算出しながら各々作業経路R1,R2に沿って自律走行して自動的に田植作業を行う例を示す。なお、乗用型田植機X,Yは、相互通信にて各々の位置関係を認識する。
【0049】
即ち、2台の乗用型田植機X,Yは、並列する圃場F1,F2,F3の両端から田植作業を開始し、旋回箇所Tで各々旋回して往復作業工程の作業経路R1,R2に沿って自律走行して自動的に田植作業を行う。
【0050】
基本的に、乗用型田植機Xが先行して旋回箇所Tで旋回し、その後で乗用型田植機Yが旋回箇所Tで旋回する。
【0051】
乗用型田植機Yは、乗用型田植機Xが旋回箇所Tで旋回を終えて接触しない距離まで移動していれば旋回箇所Tで旋回し、乗用型田植機Xが旋回箇所Tで旋回を終えて接触しない距離まで移動していなければ停止して待って乗用型田植機Xが旋回箇所Tで旋回を終えて接触しない距離まで移動した後に旋回箇所Tで旋回する。
【0052】
なお、乗用型田植機Xが苗補給や沈没等異常事態で遅れた場合は、相互通信で乗用型田植機Yがそれを認識して先に旋回箇所Tで旋回する。
【0053】
乗用型田植機X,Yは、苗減少を検出した場合、作業経路R1,R2から離脱して苗補給箇所I1,I2に往復移動する苗補給経路R3を算出して自律走行し、苗補給後に作業経路R1,R2に戻り、離脱した位置から田植作業を継続する。
【0054】
作業経路R1,R2に沿って自律走行して田植作業を行っている乗用型田植機X,Yが並列する圃場F1,F2,F3の畦Kを越える前に所定量以下の苗減少を検出した場合には、畦Kの手前で旋回して苗補給箇所I1,I2に往復移動する苗補給経路R3を算出して自律走行し、苗補給後に作業経路R1,R2に戻り、離脱した位置から田植作業を継続する。
【0055】
なお、苗補給経路R3を自律走行する場合、走行が容易な浅い圃場では苗植付部4を下降させてフロート55,56,56で整地しながら走行し、走行が困難な深い圃場では苗植付部4を上昇させて走行する。
【0056】
図6に示すように、例えば、圃場F1から苗補給箇所I1に畦Kを越えて移動する際は、往復工程で同じ畦Kの位置を越えないように苗補給経路R3を算出して自立走行する。これにより、畦Kを壊すことが防止できる。
【0057】
図7は、2以上の並列する圃場F1,F2,F3,F4,F5の片側に育苗エリアの苗補給箇所I1がある場合で、2台以上の乗用型田植機X,Y及び苗運搬車Bが各々GPS48により測位衛星Sからの信号を受信して衛星測位システムにて位置情報を算出しながら各々作業経路R1,R2及び苗運搬経路R4に沿って自律走行して自動的に田植作業及び苗補給作業を行う例を示す。
【0058】
乗用型田植機X,Yの搭載苗が所定量以下になると(8条中の1条でも苗減少を感知すると)、苗運搬車Bが乗用型田植機X(Y)までの苗運搬経路R4を算出して乗用型田植機X(Y)まで自律走行して苗補給を行う。この時、乗用型田植機X,Yは、田植作業を続行しており、苗運搬車Bが近づくと停止して苗運搬車Bの到着を待ち、苗補給体制になる。
【0059】
なお、乗用型田植機X,Yは、搭載苗が所定量以下になった時点で、エンジン20を切って停止して苗運搬車Bの到着を待ち、苗補給体制になっても良い。エンジン20を切って待つので、燃費の向上となる。また、エンジン20のオーバーヒートを防止する為に、アイドリング状態で待っても良い。
【0060】
苗運搬車Bは、搭載苗が無くなると、苗補給箇所Iまでの苗運搬経路R4を算出して自律走行して苗補給を行う。
【0061】
このように苗運搬車Bにて苗補給を行うと、乗用型田植機X,Yが田植作業を中止して苗補給箇所Iまで行かなくてもいいので田植作業効率が向上し、且つ、圃場走行能力の高い苗運搬車Bが畦Kを越えて苗補給をするので畦Kを壊すことが防止できる。
【0062】
また、苗運搬車Bは、畦Kを越えて移動する際に往復工程で同じ畦Kの位置を越えないように苗運搬経路R4を算出して自立走行する。これにより、畦Kを壊すことが防止できる。
【0063】
また、乗用型田植機X,Yに搭載している苗量が分かっているので、乗用型田植機X,Yが作業経路R1,R2に沿って田植作業をしていて苗が切れるあたりの位置まで苗運搬車Bが先行して移動して待っていても良い。
【0064】
また、乗用型田植機X,Yが作業経路R1,R2に沿って田植作業をしていて深みにはまり込んで移動不能になった場合は、苗運搬車Bが経路を算出して自律走行で脱出の応援に行くようにしても良い。
【0065】
図8は、圃場Fで一方の乗用型田植機Xが一側の畦K1の際を両端間のA位置からB位置までテイーチング走行した後に、A位置からB位置までの経路に平行な往復の作業経路R2を圃場Fの中央位置まで設定して自律走行して田植作業をし、他方の乗用型田植機Yが一方の乗用型田植機Xのテイーチング走行による経路に平行な往復の作業経路R1を圃場Fの中央位置から他側の畦K2まで設定して自律走行して田植作業をする例を示す。
【0066】
乗用型田植機Yは、作業経路R2の圃場F中央位置の最終植付工程を乗用型田植機Xが植付け開始する位置Sに向けて行うように設定し、最終植付け工程の一つ前工程で畦クラッチを作動させて端数条植付として最終植付工程は全条植付けとし、乗用型田植機Xが植付け開始する位置S近傍から圃場F外に出る。
【0067】
乗用型田植機Xは、作業経路R1にて圃場Fの中央位置から他側の畦K2まで自律走行して田植作業を終えると、畦際の植え終い作業経路R1’にて畦際を植付けて終了位置Eから圃場Fを出る。
【0068】
このように2台の乗用型田植機X,Yにて効率良く田植作業が行えて、植え終い作業も効率良く行え、次の圃場Fへ移動して植付作業を行うのも効率良く行える。
【0069】
図9は、2以上の並列する圃場F1,F2,F3,F4で一方の乗用型田植機Xが一端側の圃場F4に入って一側の畦際を走行して他端側の圃場F1畦際から圃場F1,F2,F3,F4の所定の中途部位置Pまで往復する作業経路R1に沿って自律走行して田植作業をし、他方の乗用型田植機Yが一端側の圃場F4に入って一側の畦際から1作業工程分だけ内方位置で圃場F4畦際から圃場F1,F2,F3,F4の所定の中途部位置Pまで往復する作業経路R2に沿って自律走行して田植作業をする例を示す。
【0070】
2台の乗用型田植機X,Yが同時に圃場F4に入っても、一方の乗用型田植機Xが一端側の圃場F4から他端側の圃場F1に移動してから往復する作業工程の作業経路は作業経路R1になるので、2台の乗用型田植機X,Yの中途部位置Pで旋回するタイミングが異なり、中途部位置Pで旋回待ちすることなく連続作業が可能となり、作業効率が良い。
【符号の説明】
【0071】
2 走行車体
4 作業部(苗植付部)
48 GPS
49 制御装置
C 交点
F 作業場(圃場)
L1 形状
L2 形状
S 測位衛星
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9