(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162955
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】固定部材、及び浴室ユニット
(51)【国際特許分類】
E04H 1/12 20060101AFI20231101BHJP
A47K 4/00 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
E04H1/12 301
A47K4/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073682
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀江 加代子
(72)【発明者】
【氏名】原川 敦
【テーマコード(参考)】
2D132
2E025
【Fターム(参考)】
2D132GA11
2E025BA01
2E025BB02
2E025BC01
(57)【要約】
【課題】柱部材の位置を調節することができる固定部材、及び浴室ユニットを提供する。
【解決手段】固定部材10,20は、ベース部材(床部材30)における水返し部31と柱部材50,60との間に隙間を設けた状態で、水返し部31よりも浴室Rの室内側の位置に柱部材50,60を位置決めする。固定部材10,20は、壁部材40の下面よりも上方であって、水返し部31の上端よりも下方に、柱部材50,60の下端を位置決めする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外縁部から上方に立ち上がる水返し部を有して浴室の底部に配置されるベース部材と、
前記水返し部よりも前記浴室側における前記ベース部材の外縁部に配置され、前記浴室の内壁を構成する壁部材が取り付けられる柱部材と、
を備えた浴室ユニットにおいて前記ベース部材に対して前記柱部材を固定するための固定部材であって、
前記水返し部と前記柱部材との間に隙間を設けた状態で、前記水返し部よりも前記浴室側に前記柱部材を位置決めする、固定部材。
【請求項2】
前記壁部材の下面よりも上方に、前記柱部材の下端を位置決めする、請求項1に記載の固定部材。
【請求項3】
外縁部から上方に立ち上がる水返し部を有して浴室の底部に配置されるベース部材と、
前記水返し部よりも前記浴室側における前記ベース部材の外縁部に配置され、前記浴室の内壁を構成する壁部材が取り付けられる柱部材と、
を備えた浴室ユニットにおいて前記ベース部材に対して前記柱部材を固定するための固定部材であって、
前記水返し部の上端よりも下方であって前記壁部材の下面よりも上方に前記柱部材の下端を位置決めする、固定部材。
【請求項4】
前記水返し部に沿って配置される第1壁部と、
前記第1壁部よりも前記浴室の室内側に配置されて前記柱部材の側面を支持する第2壁部と、を備えている請求項1及び請求項3のいずれか一項に記載の固定部材。
【請求項5】
前記第2壁部から水平方向に延びて前記柱部材の下端を支持する支持部を備えている請求項4に記載の固定部材。
【請求項6】
請求項1及び請求項3のいずれか一項に記載の固定部材を備えている、浴室ユニット。
【請求項7】
複数の前記柱部材の間に水平に架け渡される梁部材と、
前記梁部材と前記柱部材との間に配置されるスペーサ部材と、
を備えている、請求項6に記載の浴室ユニット。
【請求項8】
前記梁部材は、前記柱部材の上端部に架け渡されている、請求項7に記載の浴室ユニット。
【請求項9】
前記梁部材は、前記柱部材の上端部と下端部の間に架け渡されている、請求項7に記載の浴室ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固定部材、及び浴室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の浴室ユニットを開示している。この種の浴室ユニットは、予め工場で製造された床部材、壁部材、柱部材等の各部材を施工現場において組み立てるのみで浴室を構築できるため、広く普及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
浴室ユニットに限らず、工業製品は、経年使用に伴ってメンテナンスや修理を必要とし、場合によっては部品交換を必要とすることもあり得る。しかし、市販から年数が経った製品の場合、部品の入手が困難な場合がある。この場合、異なる品種の部材を流用することが考えられる。しかし、例えば、浴室ユニットにおける柱部材は、浴室ユニットの品種毎に長さや断面寸法が異なっていることが多い。このため、異なる浴室ユニット用の品種の柱部材を流用する場合、床部材等の他の部材との取り合いにずれが生じてしまい、そのままでは使用することができない。
【0005】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、柱部材の位置を調節することができる固定部材、及び浴室ユニットを提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本開示の一実施形態に係る固定部材は、外縁部から上方に立ち上がる水返し部を有して浴室の底部に配置されるベース部材と、前記水返し部よりも前記浴室側における前記ベース部材の外縁部に配置され、前記浴室の内壁を構成する壁部材が取り付けられる柱部材と、を備えた浴室ユニットにおいて前記ベース部材に対して前記柱部材を固定するための固定部材であって、前記水返し部と前記柱部材との間に隙間を設けた状態で、前記水返し部よりも前記浴室側に前記柱部材を位置決めする。
【0007】
本開示の他の一実施形態に係る固定部材は、外縁部から上方に立ち上がる水返し部を有して前記浴室の底部に配置されるベース部材と、前記水返し部よりも前記浴室側における前記ベース部材の外縁部に配置されて前記壁部材が取り付けられる柱部材と、を備えた浴室ユニットにおいて前記ベース部材に対して前記柱部材を固定するための固定部材であって、前記水返し部の上端よりも下方であって前記壁部材の下面よりも上方に前記柱部材の下端を位置決めする。
【0008】
上述した課題を解決するために、本開示の一実施形態に係る浴室ユニットは、上記固定部材を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1に係る浴室ユニットを概略的に示す斜視図であり、一部を破断して示す。
【
図2】
図1のII-II線相当断面図であり、一部を省略して示す。
【
図3】
図1のIII-III線相当断面図であり、一部を省略して示す。
【
図4】
図1のIV-IV線相当断面図であり、一部を省略して示す。
【
図5】
図1のV-V線相当断面図であり、一部を省略して示す。
【
図6】
図1のVI-VI線相当断面図であり、一部を省略して示す。
【
図7】実施形態1に係る第1固定部材を示す平面図である。
【
図8】実施形態1に係る第1固定部材を示す側面図である。
【
図9】実施形態1に係る第2固定部材を示す平面図である。
【
図10】実施形態1に係る第2固定部材を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態1>
実施形態1に係る固定部材10,20は、
図1から
図6に示すように、浴室ユニットUに備えられている。浴室ユニットUは、固定部材10,20の他、床部材30、壁部材40、柱部材50,60、天井パネル70、天井繋ぎ材81、補強部材82、スペーサ部材90等の部材を備えている。浴室ユニットUは、これら各部材を組み立てることによって浴室Rを形成する。
【0011】
以下の説明における上下の方向は、浴室ユニットUの設置状態における上下の方向を基準とする。各図に示す軸Zは上下方向を示し、正方向が上方である。
【0012】
浴室ユニットUは、床部材30、壁部材40、天井パネル70、天井繋ぎ材81、及び補強部材82が製品として同一の浴室ユニットを構成するものである。柱部材50,60は、これら床部材30、壁部材40、天井パネル70、天井繋ぎ材81、及び補強部材82によって構成される本来の浴室ユニットとは異なる浴室ユニット用の柱部材であり、断面寸法(奥行寸法)、長さ等が本来の柱部材とは異なっている。具体的には、柱部材50,60は、本来の柱部材よりも断面寸法及び長さが小さい。床部材30等によって構成される浴室ユニット用の本来の柱部材は、生産数の減少等に伴い今後入手困難が予想されるといった事情がある。これに対し、柱部材50,60は、主流製品である浴室ユニットにおいて用いられているものであり、容易に入手できる。固定部材10,20、及びスペーサ部材90は、本来の柱部材に代えて異なる浴室ユニット用の柱部材50,60を適用するにあたり、柱部材50,60と他の部材との取り合いが本来の柱部材を用いた場合と同様の取り合いになるように、柱部材50,60と本来の柱部材との寸法差を補って柱部材50,60を位置決めする。
【0013】
床部材30は、本開示に係るベース部材の例示である。床部材30は、浴室Rの底部に配置される。床部材30は浴室Rの床面Fを構成する。床部材30は外縁部30Aを有している。外縁部30Aは、床部材30における最も外側の部分から内側方向に拡がる所定範囲の部分である。具体的には、本実施形態の場合、外縁部30Aは、床部材30における床面Fよりも外側部分であるとも換言できる。
【0014】
本実施形態において、床部材30は平面視長方形状をなしている。床部材30は、四方の外縁部30Aの一方において、図示しない浴槽に隣接して配置される。浴槽は、床部材30と同様に浴室ユニットUにおけるベース部材に相当する。浴室ユニットUによって形成される浴室Rは、ベース部材としての浴槽及び床部材30の四方を壁部材40によって取り囲み、上部開口を天井パネル70によって閉塞して形成される空間である。
【0015】
床部材30は、FRP等によって一体に形成されている。床部材30は、水返し部31と壁配置部32とを有している。水返し部31は床部材30の外縁部30Aから立壁状に上方に延びている。水返し部31は、床部材30の外縁部30Aにおいて最も外側に設けられている。水返し部31は、浴室R内の水が外部に溢れ出すのを防止する。水返し部31は、床部材30の四方の外縁部30Aのうち、浴槽に隣接する部分以外の三方の外縁部30Aに設けられている。浴室ユニットUにおいては、浴槽における床部材30に隣接する部分以外の外縁部にも水返し部31と同様の水返し部が設けられている。壁配置部32は、水返し部31の下端から浴室Rの室内側に拡がっている。壁配置部32の上面は床面Fよりも一段高くなっている。壁配置部32の上方には壁部材40が配置される。壁配置部32は、上面において壁部材40の下面に対向する。
【0016】
壁部材40は浴室Rの内壁を構成する。壁部材40は、床部材30の外縁部30Aに配置される。詳細には、壁部材40は、下端面において壁配置部32の上面に接触した状態で、壁配置部32上に配置される。壁配置部32と壁部材40の下端面との間の隙間には、シリコンシーラント等の図示しないコーキング剤が充填される。壁部材40は、浴室Rを囲うように複数配置される。本実施形態において、壁部材40は、鋼板製の表面パネル40Aの裏面に石膏ボード40Bを貼り合わせて形成されている。壁部材40の両側端縁には断面鉤状に折り曲げられた鈎状部41が形成されている。壁部材40は、これら両側端縁の鈎状部41が柱部材50,60における後述する開口51,61にそれぞれ差し込まれることによって、柱部材50,60に取り付けられる。
【0017】
柱部材50,60は、床部材30、壁部材40等とともに浴室Rの躯体を構成する。柱部材50,60は複数設けられている。複数の柱部材50,60は、床部材30の床面Fを取り囲むように、それぞれ床部材30の外縁部30Aに配置される。各柱部材50,60には壁部材40が取り付けられる。各柱部材50,60は、壁部材40よりも浴室Rの外側寄りに配置され、壁部材40を浴室Rの外側から支持する。各柱部材50,60の上端部には天井繋ぎ材81が取り付けられる。天井繋ぎ材81は柱部材50,60間に架け渡される。各柱部材50,60は、天井繋ぎ材81によって上端部側における間隔が規定される。天井繋ぎ材81は、壁部材40上に載せられた天井パネル70を固定する。
【0018】
図2から
図4に示すように、柱部材50,60は、鋼板に折り曲げ加工等を施して形成された角筒状をなしている。柱部材50,60は、長手方向に沿って形成されたスリット状の開口51,61を有している。柱部材50,60は、開口51,61が形成された面が浴室Rの室内側を向くように配置される。開口51,61には壁部材40における鈎状部41が差し込まれる。1つの柱部材50,60は、柱部材50,60を挟んで隣接する2つの壁部材40における鈎状部41が開口51,61に挿入されることによって、2つの壁部材40を固定する。柱部材50,60は、壁部材40における表面パネル40Aの裏面を開口51,61の縁部に接触させることによって壁部材40を位置決めする。
【0019】
各柱部材50,60は、壁部材40の位置が本来の柱部材を用いた場合の位置と同等の位置となるように、固定部材10,20によって、水返し部31との間に適切な大きさの隙間を設けて配置される。各柱部材50,60は、天井繋ぎ材81の高さ位置が本来の柱部材を用いた場合の位置と同等の位置になるように、固定部材10,20によって、壁配置部32の上面から適切な高さ位置にかさ上げされて配置される。
【0020】
柱部材50,60は、断面形状の異なる2種類が設けられている。2種類の柱部材50,60は、第1柱部材50及び第2柱部材60である。2種類の柱部材50,60のうち、第1柱部材50は、浴室Rの隅部に配置される。第2柱部材60は、浴室Rの隅部と隅部の間の中間部に配置される。
【0021】
第1柱部材50は、
図2から
図4に示すように、正方形状の断面形状を有する角筒状である。第1柱部材50は、正方形における一組の対角の一方に相当する部分において開口51を形成し、一組の対角の他方に相当する部分においてC面取り状の面取り部52を形成している。第1柱部材50は、面取り部52において、第1固定部材10における後述する第2壁部12の面取り部12BにねじBによってねじ止め固定される。
【0022】
第2柱部材60は、
図2から
図4に示すように、Ω字状の断面形状を有している。第2柱部材60は、Ω字の底部に相当する部分において開口61を形成している。第2柱部材60は、Ω字の頂部に相当する部分に平板状の平板部62を形成している。第2柱部材60は、この平板部62において、第2固定部材20における後述する第2壁部22にねじ止め固定される。
【0023】
固定部材10,20は、床部材30に対して柱部材50,60を固定する。本実施形態において、固定部材10,20は金属製であり、板材を折り曲げて形成されている。固定部材10,20は、水返し部31と柱部材50,60との間に隙間を設けた状態で、水返し部31よりも浴室Rの室内側に柱部材50,60を位置決めする。固定部材10,20は、壁部材40の下面よりも上方に、柱部材50,60の下端を位置決めする。上述のように、本実施形態の場合、壁部材40の下面は壁配置部32の上面に接触する。すなわち、本実施形態の場合、固定部材10,20は、壁配置部32の上面よりも上方に、柱部材50,60の下端を位置決めする、ともいえる。固定部材10,20は、水返し部31の上端よりも下方に、柱部材50,60の下端を位置決めする。
【0024】
固定部材10,20は、2種類の柱部材50,60に対応して2種類設けられている。2種類の固定部材10,20は、浴室Rの隅部に配置される第1柱部材50に対応する第1固定部材10と、隅部と隅部の間に配置される第2柱部材60に対応する第2固定部材20である。各固定部材10,20は、各柱部材50,60に対応して複数設けられており、各柱部材50,60の下部にそれぞれ配置される。
【0025】
第1固定部材10は、
図7及び
図8に示すように、第1壁部11、第2壁部12、及び支持部13を有している。第1壁部11は、水返し部31に沿って配置される。詳細には、本実施形態の場合、第1壁部11は、水返し部31に沿って上下方向に延び、水返し部31における浴室Rの室内側の面(内側面)に接触した状態で配置される。第1壁部11は、水返し部31に対しねじBによってねじ止めされる。第1固定部材10において、第1壁部11は2つ形成されている。2つの第1壁部11は、平面視において互いに交差する方向に延びている。2つの第1壁部11は、浴室Rの隅部において互いに交差する方向に拡がる2面の水返し部31の内側面にそれぞれ接触する。
【0026】
第2壁部12は第1柱部材50の側面を支持する。第2壁部12は、第1壁部11から浴室Rの室内側にオフセットした位置に配置される。すなわち、第1固定部材10において、第2壁部12は、第1壁部11よりも浴室Rの室内側に配置される。第2壁部12の平面形状は、第1柱部材50の断面形状に類似した形状である。
図7に示すように、第2壁部12は、C字状に先窄みした断面形状をなす筒状体である。詳細には、第2壁部12は、正方形における一組の対角の一方に相当する部分において開放部12Aを形成し、一組の対角の他方に相当する部分においてC面取り状の面取り部12Bを形成している。第2壁部12は、四方から抱きかかえるようにして第1柱部材50の側面に接触する。第2壁部12は、開放部12Aの部分において第1柱部材50における開口51を外部に露出させている。
【0027】
支持部13は、第1柱部材50の下端を支持する。
図7及び
図8に示すように、支持部13は、第2壁部12から水平方向に延びている。本実施形態の場合、支持部13は3つ設けられている。3つの支持部13は、第2壁部12によって形成される開放部12Aの両側部と、面取り部12Bと、にそれぞれ設けられている。3つの支持部13は、それぞれ第2壁部12の下端部から延びている。
図5に示すように、各支持部13は、第1固定部材10が第1壁部11において水返し部31にねじ止め固定された状態では、水返し部31の上端よりも下方であって、壁配置部32の上面よりも上方に位置する。このような支持部13によって、第1固定部材10は、第1柱部材50の下端を水返し部31の上端よりも下方であって壁配置部32の上面よりも上方に位置決めする。支持部13の高さ位置は、第1柱部材50と本来の柱部材との寸法差に応じて設定される。
【0028】
第1固定部材10は、脚部14及び連結部15を有している。脚部14は、第1壁部11の下端から延びている。脚部14の下面は壁配置部32の上面に接触する。これによって、第1固定部材10は、床部材30に対し、上下方向において位置決めされる。脚部14は、2つの第1壁部11の両方に設けられている。
【0029】
連結部15は、第1壁部11と第2壁部12とを連結する。連結部15は、第1壁部11の上端から浴室Rの室内側に水平に延び、第2壁部12の下端に接続されている。上述のように、第2壁部12の下端には支持部13が設けられている。支持部13及び連結部15は、第2壁部12の下端において、第2壁部12の周方向に交互に配置されている。換言すると、支持部13は、第2壁部12の下端において連結部15の設けられていない部分に設けられている。連結部15の長さは、水返し部31と第1柱部材50との間の隙間の大きさに応じて設定される。
【0030】
第2固定部材20は、
図9及び
図10に示すように、第1壁部21、第2壁部22、及び支持部23を有している。第1壁部21は、第1固定部材10における第1壁部11と同様に、水返し部31に沿って上下方向に延びて水返し部31における浴室Rの室内側の面に接触した状態で配置され、水返し部31に対しねじBによってねじ止めされる。第2固定部材20において、第1壁部21は1つのみ形成されている。
【0031】
第2壁部22は第2柱部材60の側面を支持する。第2壁部22は、第1壁部21から浴室Rの室内側にオフセットした位置に配置される。すなわち、第2固定部材20において、第2壁部22は、第1壁部21よりも浴室Rの室内側に配置される。第2壁部22の平面形状は、
図9に示すように、浴室Rの室内側に開放された開放部22Aを有する平面視U字状をなしている。第2壁部22は、開放部22Aの反対側であるU字の底部に相当する部分において、平板状の平板部22Bを形成している。第2壁部22は、平板部22Bにおいて第2柱部材60における平板部62にねじBによってねじ止めされる。第2壁部22は、平板部22Bを中心とする三方から第2柱部材60の側面に接触する。
【0032】
支持部23は、第2柱部材60の下端を支持する。
図9及び
図10に示すように、支持部23は、第2壁部22から水平方向に延びている。本実施形態の場合、支持部23は2つ設けられている。2つの支持部23は、第2壁部22によって形成される開放部22Aの両側部であって、平板部22Bの両側端から浴室Rの室内側に延びる部分に対向して設けられている。2つの支持部23は、それぞれ第2壁部22の下端部から延びている。
図6に示すように、各支持部23は、第2固定部材20が第1壁部21において水返し部31にねじ止め固定された状態では、水返し部31の上端よりも下方であって、壁配置部32の上面よりも上方に位置する。このような支持部23によって、第2固定部材20は、第2柱部材60の下端を水返し部31の上端よりも下方であって壁配置部32の上面よりも上方に位置決めする。支持部23の高さ位置は、第2柱部材60と本来の柱部材との寸法差に応じて設定される。
【0033】
第2固定部材20は、脚部24及び連結部25を有している。脚部24は、第1壁部21の下端から延びている。脚部24の下面は壁配置部32の上面に接触する。これによって、第2固定部材20は、床部材30に対し、上下方向において位置決めされる。連結部25は、第1壁部21と第2壁部22とを連結する。連結部25は、第1壁部21の上端から浴室Rの室内側に水平に延び、第2壁部22における平板部22Bの下端に接続されている。すなわち、支持部23は、第2壁部22の下端において連結部25の設けられていない部分に設けられている。連結部25の長さは、水返し部31と第2柱部材60との間の隙間の大きさに応じて設定される。本実施形態の場合、連結部25の水平方向の長さは、第1固定部材10における連結部15の長さと同等の長さである。
【0034】
天井パネル70は、
図5及び
図6に示すように、壁部材40上に配置される。天井パネル70は浴室Rの天井面を構成する。天井パネル70は、浴室Rを挟んで対向する壁部材40の間に架け渡される。天井パネル70は、平面視長方形状をなしている。天井パネル70は、壁部材40と同様に、鋼板製の表面パネル70Aの裏面に石膏ボード70Bを貼り合わせて形成されている。
【0035】
天井繋ぎ材81、及び補強部材82は、本開示に係る梁部材の例示である。
図1、
図3、及び
図4に示すように、天井繋ぎ材81及び補強部材82は、柱部材50,60の間に水平に架け渡される。天井繋ぎ材81及び補強部材82は、柱部材50,60に対して、ねじBによってねじ止め固定される。天井繋ぎ材81は金属製の薄板からなる長尺帯状をなしている。天井繋ぎ材81は、柱部材50,60の上端部に架け渡される。天井繋ぎ材81には、天井パネル70の端部が固定される。天井繋ぎ材81は、浴室Rの天井全周に渡って設けられる。補強部材82は溝形の軽量形鋼であり、断面U字状をなしている。補強部材82は、柱部材50,60の上下方向の中間部に架け渡される。補強部材82は、浴室R内において、壁部材40に洗面器等の重量物を取り付ける場合等において取付強度の確保を目的として、壁部材40の背面側に部分的に設けられる。
【0036】
スペーサ部材90は、天井繋ぎ材81及び補強部材82と、柱部材50,60との間に配置される。すなわち、天井繋ぎ材81及び補強部材82は、スペーサ部材90を介して柱部材50,60に固定される。スペーサ部材90は、柱部材50,60に対し、天井繋ぎ材81及び補強部材82を奥行方向において位置決めする。上述のように、柱部材50,60は、固定部材10,20によって、床部材30における水返し部31及び壁配置部32に対して位置決め固定される。スペーサ部材90は、床部材30に対して位置決めされた柱部材50,60に対し、天井繋ぎ材81及び補強部材82を更に位置決めする。本実施形態において、スペーサ部材90は、PVC等の樹脂製の板片である。
【0037】
図1及び
図3に示すように、補強部材82と、壁部材40における石膏ボード40Bと、の間の隙間には、ベニヤ板等の補強板Pが更に配置される。補強板Pは、壁部材40に対して接着等によって固定される。補強部材82は、補強板Pに接触させた状態において、柱部材50,60との間に隙間が生じる。この隙間の大きさは、柱部材50,60と本来の柱部材の寸法差と同等である。スペーサ部材90は、この寸法差と同等の板厚で形成されている。
【0038】
上記構成の固定部材10,20、及び浴室ユニットUの作用及び効果について説明する。実施形態1に係る浴室ユニットUにおいて、固定部材10,20は、ベース部材としての床部材30における水返し部31と柱部材50,60との間に隙間を設けた状態で、水返し部31よりも浴室Rの室内側の位置に柱部材50,60を位置決めする。すなわち、固定部材10,20は、水平方向においては、水返し部31から浴室Rの室内側に離れた位置に柱部材50,60を位置決めする。固定部材10,20は、上下方向においては、壁部材40の下面よりも上方であって、水返し部31の上端よりも下方に、柱部材50,60の下端を位置決めする。
【0039】
このように、固定部材10,20は、水返し部31及び壁配置部32に対しての位置を適切に調節した位置に柱部材50,60を固定することができる。詳細には、固定部材10,20は、柱部材50,60と水返し部31及び壁配置部32との取り合いが本来の柱部材を用いた場合と同様の取り合いになるように、柱部材50,60と本来の柱部材との寸法差を補って柱部材50,60を位置決めする。このため、固定部材10,20は、本来の柱部材とは異なる柱部材50,60を浴室ユニットUにおける柱部材として使用可能にすることができる。上述のように、柱部材50,60は、床部材30、壁部材40、天井パネル70、天井繋ぎ材81、及び補強部材82によって構成される本来の浴室ユニットとは異なる浴室ユニット用の柱部材である。柱部材50,60は、本来の柱部材と比較して断面寸法、長さ等が小さいため、浴室ユニットUにそのまま使用することはできない。固定部材10,20は、本来の柱部材との寸法差を補正した位置に柱部材50,60を位置決め固定することによって、本来とは寸法の異なる柱部材を用いる場合であっても、部材同士の適切な取り合いを実現できる。その結果、追加の加工等を必要とすることなく、浴室ユニットUを容易に組み立てることができる。
【0040】
固定部材10,20は、第1壁部11,21と、第2壁部12,22と、を備えている。第1壁部11,21は、水返し部31に沿って配置される。第2壁部12,22は、第1壁部11,21よりも浴室Rの室内側に配置されて柱部材50,60の側面を支持する。このため、固定部材10,20は、水返し部31との間に適切な大きさの隙間を設けて柱部材50,60を配置する構成を容易に実現することができる。
【0041】
固定部材10,20は支持部13,23を備えている。支持部13,23は、第2壁部12,22から水平方向に延びて柱部材50,60の下端を支持する。このため、固定部材10,20は、壁配置部32の上面から適切な高さ位置にかさ上げして柱部材50,60を配置する構成を容易に実現することができる。
【0042】
実施形態1に係る浴室ユニットUは、上記固定部材10,20と、床部材30と、柱部材50,60と、を備えている。浴室ユニットUは、固定部材10,20を備えたことによって、床部材30に対して異なる浴室ユニット用の柱部材50,60を適切な位置に配置することができる。このため、浴室ユニットUは、既存の部材に対する追加の加工や、既存の部材の他部材への変更等を必要とすることなく、容易に組み立てることができる。
【0043】
浴室ユニットUは、梁部材としての天井繋ぎ材81及び補強部材82と、スペーサ部材90とを備えている。天井繋ぎ材81及び補強部材82は、柱部材50,60の間に架け渡される。スペーサ部材90は、天井繋ぎ材81及び補強部材82と、柱部材50,60と、の間に配置される。このため、浴室ユニットUは、スペーサ部材90によって、柱部材50,60との間に適切な大きさの間隔を空けて天井繋ぎ材81及び補強部材82を配置することができる。その結果、異なる浴室ユニット用の柱部材50,60を使用する場合においても既存の天井パネル70や補強板Pに対する追加の加工や新規設計品への変更等を必要とすることなく組み立てることができる。
【0044】
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0045】
本開示に係る浴室ユニットは、上記実施形態において例示したように、浴槽を備えたものであってもよいし、シャワーブース等のように浴槽を備えないものであってもよい。
【0046】
本開示に係るベース部材としては、上記実施形態において例示した床部材の他、例えば、浴槽、床パン等を挙げることができる。ベース部材としての床部材や床パンにおいて、床面と壁配置部の上面との間に段差があることは必須ではない。
【0047】
本開示に係る水返し部は、ベース部材の外縁部の全周に設けられていてもよいし、四方のうちの三方、二方、一方のみに形成されていてもよい。水返し部は、ベース部材の外縁部の少なくとも一部に形成されていればよい。なお、本開示において、ベース部材の外縁部とは、ベース部材における最も外側部分(外縁)から内側方向に拡がる所定範囲の部分であることを意図している。
【0048】
本開示に係る固定部材の構成、形状、大きさ、材質等は、上記実施形態に限定されない。固定部材は、金属に限らず、例えば樹脂等の金属以外の材料によって形成されていてもよいし、複数の異なる材料を組み合わせて形成されていてもよい。固定部材の製造方法は、板金に限らず、射出成形、鋳造等の方法であってもよい。固定部材に対する柱部材の固定方法は特に限定されない。ベース部材に対する固定部材の固定方法も特に問わない。
【0049】
固定部材は、水返し部に対する柱部材の位置決め、すなわち浴室の内外方向の位置決めのみを行うものであってもよいし、壁部材の下面に対する柱部材の位置決め、すなわち上下方向の位置決めのみを行うものであってもよい。
【0050】
ベース部材が壁配置部を有する場合、壁部材の下面と壁配置部の上面とは、必ずしも接触している必要はない。壁部材の下面と壁配置部の上面とは、距離を置いて対向していてもよい。この場合、壁部材の下面と壁配置部の上面との間は、スペーサ部材、シール部材等、の他部材が配置されていてもよい。この場合、壁部材の下面は、これら他部材の上面に接触していてもよい。本開示に係る固定部材は、このように配置される他部材の上面よりも上方に、柱部材の下端を位置決めするものであってもよい。すなわち、本開示に係る固定部材は、壁部材の下面よりも上方に柱部材の下端を位置決めするものであればよい。
【0051】
本開示に係る浴室ユニットが梁部材を備える場合、この梁部材と柱部材との間にスペーサ部材を配置することは必須ではない。この場合、浴室ユニットは、例えば天井パネルや補強板等の梁部材との取り合いに影響する部材を加工又は新規に作製することによって、梁部材を柱部材に直接的に取り付ける構成を採用することができる。
【符号の説明】
【0052】
10,20…固定部材(10…第1固定部材、20…第2固定部材)、11,21…第1壁部、12,22…第2壁部、13,23…支持部、30…床部材(ベース部材)、30A…外縁部、31…水返し部、32…壁配置部、40…壁部材、50,60…柱部材(50…第1柱部材、60…第2柱部材)、81…天井繋ぎ材(梁部材)、82…補強部材(梁部材)、90…スペーサ部材、R…浴室、U…浴室ユニット