(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162958
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】カラオケ装置
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20231101BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073689
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 紀久
【テーマコード(参考)】
5D208
【Fターム(参考)】
5D208CF06
(57)【要約】
【課題】利用者が選曲した楽曲について、カラオケ歌唱に適したシチュエーションを提示可能なカラオケ装置を提供する。
【解決手段】利用者が単独か複数かを判定する判定部、利用者が複数である場合、シチュエーションを特定する特定部、カラオケ歌唱を採点する採点処理部、利用者が複数である場合、利用者が選曲した楽曲の楽曲識別情報、採点値、及び特定されたシチュエーションを対応付けて記憶させる記憶処理部、利用者が単独である場合、選曲したある楽曲の楽曲識別情報に対応付けられた、採点値及びシチュエーションに基づいて、シチュエーション毎に採点値の範囲を対応付けたテーブルを生成する生成部、単独の利用者によるある楽曲のカラオケ歌唱を採点して求めた採点値、及び生成されたテーブルに基づいて、シチュエーションを決定する決定部、決定されたシチュエーションを提示する提示部を有するカラオケ装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケ装置を利用する利用者が単独か複数かを判定する判定部と、
利用者が複数であると判定された場合、カラオケ装置を利用する際のシチュエーションを特定する特定部と、
利用者によるカラオケ歌唱を採点する採点処理部と、
利用者が複数であると判定された場合、そのうちの一の利用者が選曲した一の楽曲の楽曲識別情報、当該一の利用者による当該一の楽曲のカラオケ歌唱を採点して求めた採点値、及び特定された前記シチュエーションを対応付けて記憶手段に記憶させる記憶処理部と、
利用者が単独であると判定された場合、単独の当該利用者が選曲したある楽曲の楽曲識別情報に対応付けられた、採点値及びシチュエーションに基づいて、シチュエーション毎に所定の採点値の範囲を対応付けたテーブルを生成する生成部と、
前記単独の利用者による前記ある楽曲のカラオケ歌唱を採点して求めた採点値、及び生成された前記テーブルに基づいて、少なくとも一のシチュエーションを決定する決定部と、
決定されたシチュエーションを前記単独の利用者に対して提示する提示部と、
を有するカラオケ装置。
【請求項2】
前記生成部は、前記ある楽曲の楽曲識別情報に対応付けられたシチュエーションの他に、最も低い採点値の範囲を対応付けたシチュエーション、及び最も高い採点値の範囲を対応付けたシチュエーションを加えて、前記テーブルを生成することを特徴とする請求項1記載のカラオケ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラオケ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ装置は、マイクにより入力された歌唱音声から抽出した歌唱音声データと、カラオケ演奏された楽曲の主旋律を示すリファレンスデータとを比較することにより、カラオケ歌唱を評価することができる。
【0003】
ここで、特許文献1には、楽曲演奏中にカラオケ歌唱をリアルタイムに評価し、その評価結果を音声によって再生することが可能なカラオケ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、楽曲のカラオケ歌唱に対する評価の妥当性は、カラオケ歌唱を行うシチュエーションによる。たとえば、ある楽曲のカラオケ歌唱を仲の良い友人同士で行う場合、低い評価であっても問題はない。一方、同じ楽曲を接待や初対面の異性の前でカラオケ歌唱する場合、ある程度高い評価が得られないと場の雰囲気が盛り下がってしまう。
【0006】
本発明の目的は、利用者が選曲した楽曲について、カラオケ歌唱に適したシチュエーションを提示可能なカラオケ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための一の発明は、カラオケ装置を利用する利用者が単独か複数かを判定する判定部と、利用者が複数であると判定された場合、カラオケ装置を利用する際のシチュエーションを特定する特定部と、利用者によるカラオケ歌唱を採点する採点処理部と、利用者が複数であると判定された場合、そのうちの一の利用者が選曲した一の楽曲の楽曲識別情報、当該一の利用者による当該一の楽曲のカラオケ歌唱を採点して求めた採点値、及び特定された前記シチュエーションを対応付けて記憶手段に記憶させる記憶処理部と、利用者が単独であると判定された場合、単独の当該利用者が選曲したある楽曲の楽曲識別情報に対応付けられた、採点値及びシチュエーションに基づいて、シチュエーション毎に所定の採点値の範囲を対応付けたテーブルを生成する生成部と、前記単独の利用者による前記ある楽曲のカラオケ歌唱を採点して求めた採点値、及び生成された前記テーブルに基づいて、少なくとも一のシチュエーションを決定する決定部と、決定されたシチュエーションを前記単独の利用者に対して提示する提示部と、を有するカラオケ装置である。
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、利用者が選曲した楽曲について、カラオケ歌唱に適したシチュエーションを提示できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るカラオケ装置を示す図である。
【
図2】実施形態に係るカラオケ本体を示す図である。
【
図3】実施形態に係る記憶手段に記憶されている、楽曲ID、採点値、及び特定されたシチュエーションを示した図である。
【
図4】実施形態に係る、シチュエーション毎に所定の採点値の範囲を対応付けたテーブルを示した図である。
【
図5】実施形態に係る、シチュエーション毎に所定の採点値の範囲を対応付けたテーブルを示した図である。
【
図6】実施形態に係るカラオケ装置の処理を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態に係るカラオケ装置の処理を示すフローチャートである。
【
図8】変形例に係る、シチュエーション毎に所定の採点値の範囲を対応付けたテーブルを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態>
図1~
図7を参照して、実施形態に係るカラオケ装置について説明する。
【0011】
==カラオケ装置==
カラオケ装置Kは、楽曲のカラオケ演奏、及び利用者がカラオケ歌唱を行うための装置である。
図1に示すように、カラオケ装置Kは、カラオケ本体10、スピーカ20、表示装置30、マイク40、リモコン装置50、及び撮影手段60を備える。
【0012】
カラオケ本体10は、選曲された楽曲のカラオケ演奏制御、歌詞や背景映像等の表示制御、マイク40を通じて入力された音声信号の処理といった、カラオケ演奏やカラオケ歌唱に関する各種の制御を行う。スピーカ20は、カラオケ本体10からの放音信号に基づいて放音するための構成である。表示装置30は、カラオケ本体10からの信号に基づいて映像や画像を画面に表示するための構成である。マイク40は、利用者のカラオケ歌唱の歌唱音声をアナログの音声信号に変換してカラオケ本体10に入力するための構成である。リモコン装置50は、カラオケ本体10に対する各種操作をおこなうための装置である。撮影手段60は、カラオケ装置Kを利用する利用者を撮影可能なカメラである。
【0013】
図2に示すように、本実施形態に係るカラオケ本体10は、記憶手段10a、通信手段10b、入力手段10c、演奏手段10d、及び制御手段10eを備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0014】
[記憶手段]
記憶手段10aは、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置であり、たとえばハードディスクドライブなどである。記憶手段10aは、楽曲データを記憶する。
【0015】
楽曲データは、個々の楽曲を特定するための楽曲識別情報が付与されている。楽曲識別情報は、楽曲を識別するための楽曲ID等、各楽曲に固有の情報である。楽曲データは、伴奏データ、リファレンスデータ等を含む。伴奏データは、カラオケ演奏音の元となるデータである。リファレンスデータは、カラオケ演奏された楽曲の主旋律を示すデータであって、利用者によるカラオケ歌唱を採点する際に用いられるデータである。
【0016】
記憶手段10aは、各楽曲に対応する歌詞テロップをカラオケ演奏に合わせて表示装置30等に表示させるための歌詞テロップデータ、カラオケ演奏時に表示装置30等に表示される背景映像等の背景映像データ、及び楽曲の属性情報を記憶する。
【0017】
[通信手段・入力手段]
通信手段10bは、リモコン装置50との通信を行うためのインターフェースを提供する。入力手段10cは、利用者が各種の指示入力を行うための構成である。入力手段10cは、カラオケ本体10に設けられたボタン等である。或いは、リモコン装置50が入力手段10cとして機能してもよい。
【0018】
[演奏手段]
演奏手段10dは、制御手段10eの制御に基づき、楽曲のカラオケ演奏、及びマイク40を通じて入力された歌唱音声に基づく信号の処理を行う。演奏手段10dは、音源、ミキサ、アンプ等を含む(いずれも図示なし)。
【0019】
[制御手段]
制御手段10eは、カラオケ装置Kにおける各種の制御を行う。制御手段10eは、CPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。
【0020】
本実施形態においてはCPUがメモリに記憶されるプログラムを実行することにより、制御手段10eは、判定部100、特定部200、採点処理部300、記憶処理部400、生成部500、決定部600、及び提示部700として機能する。
【0021】
(判定部)
判定部100は、カラオケ装置Kを利用する利用者が単独か複数かを判定する。
【0022】
判定部100による判定処理は、利用者によるカラオケ装置Kの利用が開始される時点で行われる。判定は様々な方法により行うことができる。たとえば、判定部100は、撮影手段60により利用者を撮影して得られる映像データを用いて判定することができる。具体的に、最初の楽曲が選曲された時点において、撮影手段60は、カラオケ装置Kが設置されている部屋内にいる利用者の撮影を行う。撮影手段60は、利用者を撮影して得られた映像データを判定部100に出力する。判定部100は、公知の顔画像認識技術を用いて映像データを解析し、映像データに含まれる顔画像の数に応じて、利用者が1名(単独)か2名以上(複数)かを判定する。
【0023】
或いは、判定部100は、ログイン処理をした利用者の数に応じて単独か複数かの判定を行うことができる。具体的に、カラオケ装置Kを利用する際、利用者は、リモコン装置50を操作し、自己の利用者識別情報を入力する。利用者識別情報は、利用者を識別するための利用者ID等、各利用者に固有の情報である。カラオケ装置Kは、入力された利用者の利用者識別情報を記憶手段10aに記憶させることにより(すなわち、ログイン処理を行うことにより)、カラオケ装置Kに対する利用者のログインを完了させる。判定部100は、所定期間内(たとえば、最初の楽曲のカラオケ演奏が開始されるまで)にログイン処理をした利用者の数をカウントすることで、利用者が1名(単独)か2名以上(複数)かを判定する。
【0024】
(特定部)
特定部200は、利用者が複数であると判定された場合、カラオケ装置Kを利用する際のシチュエーションを特定する。
【0025】
シチュエーションは、たとえば、「家族」、「仲の良い友人」、「接待」、「カップル」のような、カラオケ歌唱が行われる様々な状況である。カラオケ装置Kは、予めいくつかのシチュエーションが設定されている。
【0026】
シチュエーションの特定は、様々な方法により行うことができる。たとえば、特定部200は、撮影手段60により利用者を撮影して得られる映像データを用いて特定することができる。具体的に、利用者が複数であるとの判定結果が判定部100から出力された場合、撮影手段60は、カラオケ装置Kが設置されている部屋内にいる利用者の撮影を行う。撮影手段60は、利用者を撮影して得られた映像データを特定部200に出力する。特定部200は、公知技術を用いて映像データを解析し、利用者の人数、性別、年齢、服装等の情報を取得する。特定部200は、取得した情報、利用日時、及び曜日に基づいて、予め設定された複数のシチュエーションの中から、最も近いシチュエーションを特定する。
【0027】
たとえば、取得した各利用者の年齢に基づいて「10歳未満」の利用者がいると判断した場合、特定部200は、予め設定されている複数のシチュエーションの中から「家族」のシチュエーションを特定する。同様に、取得した各利用者の年齢がほぼ一致しており、且つ利用日時が休日の昼間であると判断した場合、特定部200は、予め設定されているシチュエーションの中から「仲の良い友人」を特定する。また、取得した各利用者の服装がフォーマルであり、且つ利用日時が金曜の夜であると判断した場合、特定部200は、予め設定されているシチュエーションの中から「接待」を特定する。更に、取得した各利用者の性別が異なり、且つ利用者の数が2名であると判断した場合、特定部200は、予め設定されているシチュエーションの中から「カップル」を特定する。
【0028】
なお、映像データを用いてシチュエーションの特定を行う場合、特定部200は、判定部100で用いた映像データ、及び判定結果(利用者の人数)を利用してもよい。
【0029】
或いは、特定部200は、ログイン処理をした利用者の利用者識別情報に紐付けられた利用者情報に基づいてシチュエーションを特定することができる。上述の通り、カラオケ装置Kを利用する際、利用者は、リモコン装置50を操作し、自己の利用者識別情報を入力する。カラオケ装置Kは、ログイン処理を行うことにより、カラオケ装置Kに対する利用者のログインを完了させる。特定部200は、利用者が複数であるとの判定結果が判定部100から出力された時点においてログイン処理が完了している利用者の利用者識別情報を外部のサーバ装置(図示なし)に送信し、利用者識別情報に紐付けられた利用者情報を要求する。外部のサーバ装置は、利用者情報を記憶手段(図示なし)から読み出し、特定部200に送信する。利用者情報は、年齢、性別、職業等、各利用者に関する情報である。利用者情報は、たとえば、初めてカラオケ装置Kを利用する際に、リモコン装置50を介して入力することができる。特定部200は、サーバ装置から受信した利用者情報に基づいて、予め設定された複数のシチュエーションの中から、最も近いシチュエーションを特定する。
【0030】
(採点処理部)
採点処理部300は、利用者によるカラオケ歌唱を採点する。
【0031】
カラオケ装置Kの利用者は、リモコン装置50を操作し、カラオケ歌唱を行う楽曲を選曲する。カラオケ装置Kは、選曲された楽曲の楽曲IDを元に、記憶手段10aから伴奏データを読み出す。カラオケ装置Kは、読み出した伴奏データを演奏手段10dに出力し、カラオケ演奏を行わせる。利用者は、マイク40を用いてカラオケ歌唱を行う。
【0032】
採点処理部300は、利用者のカラオケ歌唱について採点処理を行い、採点値を求める。カラオケ歌唱の採点は、公知の技術を利用することができる。たとえば、採点処理部300は、マイク40から入力された歌唱音声信号から、ピッチ(音高)データを抽出し、楽曲のリファレンスデータと比較することにより、ノート毎の音高の一致度合いを評価する。採点処理部300は、当該評価に基づいて採点値を決定する。採点値は、たとえば0~100点の数値で示すことができる。なお、採点値は、「ビブラート」、「しゃくり」等の歌唱技法を考慮して求められてもよい。
【0033】
(記憶処理部)
記憶処理部400は、利用者が複数であると判定された場合、そのうちの一の利用者が選曲した一の楽曲の楽曲識別情報、当該一の利用者による当該一の楽曲のカラオケ歌唱を採点して求めた採点値、及び特定されたシチュエーションを対応付けて記憶手段10aに記憶させる。
【0034】
記憶処理部400による処理は、利用者が複数であると判定された後、そのうちの一の利用者が選曲した楽曲のカラオケ歌唱を行い、その採点値が求められた段階で行われる。
【0035】
たとえば、上述の通り、判定部100によりカラオケ装置Kの利用者が複数であると判定された場合、特定部200は、カラオケ装置Kを利用する際のシチュエーションを特定する。その後、複数の利用者のうちの一の利用者が、リモコン装置50を操作し、カラオケ歌唱を行う楽曲を選曲したとする。採点処理部300は、一の利用者のカラオケ歌唱について採点処理を行い、採点値を求める。
【0036】
記憶処理部400は、一の利用者が選曲した楽曲の楽曲ID、一の利用者のカラオケ歌唱について求めた採点値、及び特定部200により特定されたシチュエーションを対応付けて記憶手段10aに記憶させる。
【0037】
記憶処理部400は、複数の利用者のうちの一の利用者がカラオケ歌唱を行う都度、上記処理を繰り返し行う。
【0038】
図3は、記憶手段10aに記憶されている楽曲ID、採点値、及び特定されたシチュエーションの例を示している。
図3において、楽曲Xの楽曲ID(ID***X)には、「家族」のシチュエーションS1、「仲の良い友人」のシチュエーションS2、及び「接待」のシチュエーションS3が対応付けられている。また、それぞれのシチュエーションに対して、複数の採点値が対応付けられている。すなわち、楽曲Xは、異なるシチュエーションにおいて、複数回のカラオケ歌唱が行われており、それぞれの採点値が対応付けられている。
【0039】
(生成部)
生成部500は、利用者が単独であると判定された場合、単独の当該利用者が選曲したある楽曲の楽曲識別情報に対応付けられた、採点値及びシチュエーションに基づいて、シチュエーション毎に所定の採点値の範囲を対応付けたテーブルを生成する。
【0040】
テーブルは、記憶処理部400が記憶手段10aに記憶させた、一の利用者のカラオケ歌唱に応じて求めた採点値、及び特定部200により特定されたシチュエーションに基づいて生成される。所定の採点値の範囲は、記憶されているシチュエーション毎の採点値に基づいて決定される。
【0041】
生成部500による処理は、利用者が単独であると判定された後、利用者がある楽曲を選曲した段階で行われる。
【0042】
たとえば、判定部100によりカラオケ装置Kの利用者が単独であると判定された後、単独の利用者が、リモコン装置50を操作し、カラオケ歌唱を行う楽曲Xを選曲したとする。また、記憶手段10aには、
図3に示した情報が記憶されているとする。
【0043】
生成部500は、記憶手段10aから、単独の利用者が選曲した楽曲Xの楽曲IDに対応付けられた、シチュエーションS1及び採点値P1~採点値Pxと、シチュエーションS2及び採点値Q1~採点値Qyと、シチュエーションS3及び採点値R1~採点値Rzと、を読み出す。
【0044】
生成部500は、シチュエーション毎に、所定の採点値の範囲を決定する。所定の採点値の範囲は様々な方法により決定することができる。
【0045】
たとえば、生成部500は、範囲の重複が無いよう、所定の採点値の範囲を決定できる。具体的に、生成部500は、シチュエーションS1の採点値P1~採点値Pxの平均値Av1、シチュエーションS2の採点値Q1~採点値Qyの平均値Av2、及びシチュエーションS3の採点値R1~採点値Rzの平均値Av3を算出する。ここでは、平均値Av1が65.0であり、平均値Av2が77.5であり、平均値Av3が92.0であるとする。
【0046】
また、生成部500は、平均値Av1と平均値Av2との中間値Iv1(=71.25)及び平均値Av2と平均値Av3との中間値Iv2(=84.75)を算出する。
【0047】
生成部500は、中間値Iv1及び中間値Iv2を基準として、シチュエーションS1の所定の採点値の範囲「71.25未満」、シチュエーションS2の所定の採点値の範囲「71.25以上84.75未満」、シチュエーションS3の所定の採点値の範囲「84.75以上」を決定する。生成部500は、シチュエーション毎に所定の採点値の範囲を対応付けたテーブルを生成する。
図4は、シチュエーションS1~シチュエーションS3毎に、決定した採点値の範囲を対応付けたテーブルの例を示した図である。
【0048】
或いは、生成部500は、範囲の一部が重複するよう、所定の採点値の範囲を決定できる。たとえば、生成部500は、上述の平均値Av1~平均値Av3、中間値Iv1、及び中間値Iv2を基準として、シチュエーションS1の所定の採点値の範囲「71.25未満」、シチュエーションS2の所定の採点値の範囲「65.0以上92.0未満」、シチュエーションS3の所定の採点値の範囲「84.75以上」を決定する。生成部500は、シチュエーション毎に所定の採点値の範囲を対応付けたテーブルを生成する。
図5は、シチュエーションS1~シチュエーションS3毎に、決定した採点値の範囲を対応付けたテーブルの例を示した図である。
【0049】
(決定部)
決定部600は、単独の利用者によるある楽曲のカラオケ歌唱を採点して求めた採点値、及び生成されたテーブルに基づいて、少なくとも一のシチュエーションを決定する。
【0050】
決定部600による処理は、単独の利用者が選曲した楽曲のカラオケ歌唱を行い、その採点値が求められた段階で行われる。
【0051】
たとえば、単独の利用者が、リモコン装置50を操作し、カラオケ歌唱を行う楽曲Xを選曲したとする。採点処理部300は、単独の利用者のカラオケ歌唱について採点処理を行い、採点値を求める。
【0052】
決定部600は、採点処理部300が求めた採点値を、生成部500が生成したテーブルに当てはめることにより、シチュエーションを決定する。
【0053】
たとえば、予め
図4に示したテーブルが生成されているとする。また、採点処理部300により求められた、単独の利用者の楽曲Xのカラオケ歌唱の採点値が「85.0」であったとする。この場合、決定部600は、採点値「85.0」を
図4のテーブルに当てはめることにより、シチュエーションS3を決定する。
【0054】
一方、予め
図5に示したテーブルが生成されているとする。また、採点処理部300により求められた、単独の利用者の楽曲Xのカラオケ歌唱の採点値が「85.0」であったとする。この場合、決定部600は、採点値「85.0」を
図5のテーブルに当てはめることにより、シチュエーションS2及びシチュエーションS3を決定する。すなわち、本実施形態において決定されるシチュエーションは複数であってもよい。
【0055】
(提示部)
提示部700は、決定されたシチュエーションを単独の利用者に対して提示する。
【0056】
シチュエーションの提示は様々な方法により行うことができる。たとえば、提示部700は、決定されたシチュエーションを表示装置30に表示させることができる。上述のようにシチュエーションS3が決定された場合、提示部700は、単独の利用者に対し「あなたの選曲した楽曲Xのカラオケ歌唱は、接待で披露できるレベルです」という文章を表示装置30に表示させる。また、シチュエーションS2及びシチュエーションS3が決定された場合、提示部700は、「あなたの選曲した楽曲Xのカラオケ歌唱は、仲の良い友人に披露したり接待で披露したりできるレベルです」という文章を表示装置30に表示させる。或いは、提示部700は、スピーカ20を介して決定されたシチュエーションを放音させてもよい。
【0057】
==カラオケ装置Kの動作について==
次に、
図6及び
図7を参照して本実施形態におけるカラオケ装置Kの動作の具体例について述べる。
図6は、楽曲識別情報、採点値、及びシチュエーションを対応付けて記憶手段10aに記憶させる処理(以下、「記憶処理」)の例を示すフローチャートである。
図7は、決定されたシチュエーションを単独の利用者に対して提示する処理(以下、「提示処理」)の例を示すフローチャートである。
【0058】
[記憶処理]
利用者がカラオケ装置Kの利用を開始したとする(カラオケ装置の利用開始。ステップ10)。
【0059】
判定部100は、カラオケ装置Kを利用する利用者が単独か複数かを判定する(カラオケ装置の利用者が単独か複数かを判定。ステップ11)。この例では、利用者U1~利用者U4の4名でカラオケ装置Kを利用するとする。すなわち、判定部100は、利用者が複数であると判定する(利用者が複数であると判定。ステップ12)。
【0060】
特定部200は、カラオケ装置Kを利用する際のシチュエーションを特定する(シチュエーションの特定。ステップ13)。この例では、利用者U1~利用者U4の年齢がほぼ一致しており、且つ利用日時が休日の昼間であったことから、特定部200が「仲の良い友人」のシチュエーションS2を特定したとする。
【0061】
その後、利用者U1~利用者U4は、カラオケ歌唱を行う。採点処理部300は、複数の利用者のうちの一の利用者によるカラオケ歌唱を採点する(一の利用者のカラオケ歌唱を採点。ステップ14)。
【0062】
たとえば、利用者U1は、リモコン装置50を操作し、カラオケ歌唱を行う楽曲Xを選曲する。カラオケ装置Kは、選曲された楽曲Xの楽曲IDを元に、記憶手段10aから伴奏データを読み出す。カラオケ装置Kは、読み出した伴奏データを演奏手段10dに出力し、カラオケ演奏を行わせる。利用者U1は、マイク40を用いてカラオケ歌唱を行う。採点処理部300は、利用者U1によるカラオケ歌唱を採点し、採点値Qyを求める。
【0063】
記憶処理部400は、利用者が複数であると判定された場合、そのうちの一の利用者が選曲した一の楽曲の楽曲ID、当該一の利用者による当該一の楽曲のカラオケ歌唱を採点して求めた採点値、及び特定されたシチュエーションを対応付けて記憶手段10aに記憶させる(楽曲ID、採点値、シチュエーションを対応付けて記憶。ステップ15)。
【0064】
上記例において、記憶処理部400は、利用者U1が選曲した楽曲Xの楽曲ID、利用者U1による楽曲Xのカラオケ歌唱を採点して求めた採点値Qy、及び特定されたシチュエーションS2を対応付けて記憶手段10aに記憶させる。
【0065】
カラオケ装置Kは、利用者U1~利用者U4がカラオケ装置Kの利用を終了するまで(ステップ16でYの場合)、ステップ14及びステップ15の処理を繰り返し行う。
【0066】
[提示処理]
利用者がカラオケ装置Kの利用を開始したとする(カラオケ装置の利用開始。ステップ20)。
【0067】
判定部100は、カラオケ装置Kを利用する利用者が単独か複数かを判定する(カラオケ装置の利用者が単独か複数かを判定。ステップ21)。この例では、利用者Uが1名でカラオケ装置Kを利用するとする。すなわち、判定部100は、利用者が単独であると判定する(利用者が単独であると判定。ステップ22)。
【0068】
その後、単独の利用者は、リモコン装置50を操作し、カラオケ歌唱を行う楽曲を選曲する(楽曲を選曲。ステップ23)。
【0069】
生成部500は、単独の利用者が選曲した楽曲の楽曲IDに対応付けられた、採点値及びシチュエーションに基づいて、シチュエーション毎に所定の採点値の範囲を対応付けたテーブルを生成する(シチュエーション毎に所定の採点値の範囲を対応付けたテーブルを生成。ステップ24)。この例では、
図4に示すテーブルが生成されたとする。
【0070】
単独の利用者は、ステップ23で選曲した楽曲のカラオケ歌唱を行う。採点処理部300は、単独の利用者によるカラオケ歌唱を採点する(利用者のカラオケ歌唱を採点。ステップ25)。
【0071】
決定部600は、ステップ25で求めた採点値、及びステップ24で生成されたテーブルに基づいて、少なくとも一のシチュエーションを決定する(シチュエーションを決定。ステップ26)。
【0072】
提示部700は、ステップ26で決定されたシチュエーションを単独の利用者に対して提示する(シチュエーションを提示。ステップ27)。
【0073】
たとえば、利用者Uは、リモコン装置50を操作し、カラオケ歌唱を行う楽曲Xを選曲する。カラオケ装置Kは、選曲された楽曲Xの楽曲IDを元に、記憶手段10aから伴奏データを読み出す。カラオケ装置Kは、読み出した伴奏データを演奏手段10dに出力し、カラオケ演奏を行わせる。利用者Uは、マイク40を用いてカラオケ歌唱を行う。採点処理部300は、利用者Uによるカラオケ歌唱を採点し、採点値M(85.0)を求める。
【0074】
決定部600は、求めた採点値Mを
図4に示すテーブルの所定の採点値の範囲に当てはめることにより、シチュエーションS3を決定する。提示部700は、決定したシチュエーションS3を利用者Uに対して提示する。
【0075】
カラオケ装置Kは、利用者Uがカラオケ装置Kの利用を終了するまで(ステップ28でYの場合)、ステップ23からステップ27の処理を繰り返し行う。
【0076】
以上から明らかなように、本実施形態に係るカラオケ装置Kは、カラオケ装置Kを利用する利用者が単独か複数かを判定する判定部100と、利用者が複数であると判定された場合、カラオケ装置Kを利用する際のシチュエーションを特定する特定部200と、利用者によるカラオケ歌唱を採点する採点処理部300と、利用者が複数であると判定された場合、そのうちの一の利用者が選曲した一の楽曲の楽曲識別情報、当該一の利用者による当該一の楽曲のカラオケ歌唱を採点して求めた採点値、及び特定されたシチュエーションを対応付けて記憶手段10aに記憶させる記憶処理部400と、利用者が単独であると判定された場合、単独の当該利用者が選曲したある楽曲の楽曲識別情報に対応付けられた、採点値及びシチュエーションに基づいて、シチュエーション毎に所定の採点値の範囲を対応付けたテーブルを生成する生成部500と、単独の利用者によるある楽曲のカラオケ歌唱を採点して求めた採点値、及び生成されたテーブルに基づいて、少なくとも一のシチュエーションを決定する決定部600と、決定されたシチュエーションを単独の利用者に対して提示する提示部700と、を有する。
【0077】
このようなカラオケ装置Kによれば、単独の利用者がある楽曲のカラオケ歌唱を行い、採点値が求められた場合、求めた採点値及び生成したテーブルに基づいて、シチュエーションを決定し、単独の利用者に対して提示することができる。ここで、テーブルを生成する際に用いた採点値及びシチュエーションは、単独の利用者が選曲した楽曲について、過去に複数の利用者がカラオケ歌唱を行った際に求められた採点値、及び当該カラオケ歌唱を行ったシチュエーションである。つまり、当該シチュエーションに対応付けられている採点値は、楽曲のカラオケ歌唱に対する評価として妥当性が高いといえる。従って、このようなテーブルに基づいて決定されたシチュエーションを提示することにより、単独の利用者は、自らが選曲した楽曲がどのようなシチュエーションに適しているかを把握することができる。すなわち、本実施形態に係るカラオケ装置Kによれば、利用者が選曲した楽曲について、カラオケ歌唱に適したシチュエーションを提示できる。
【0078】
<変形例>
生成部500は、ある楽曲の楽曲識別情報に対応付けられたシチュエーションの他に、最も低い採点値の範囲を対応付けたシチュエーション、及び最も高い採点値の範囲を対応付けたシチュエーションを加えて、テーブルを生成することができる。
【0079】
最も低い採点値の範囲とは、ある楽曲の楽曲識別情報に対応付けられたシチュエーションの所定の採点値の範囲の下限値よりもさらに低い範囲である。最も高い採点値の範囲とは、ある楽曲の楽曲識別情報に対応付けられたシチュエーションの所定の採点値の範囲の上限値よりもさらに高い範囲である。
【0080】
たとえば、実施形態の例において、生成部500は、平均値Av1~平均値Av3、中間値Iv1、及び中間値Av2を基準として、シチュエーションS1の所定の採点値の範囲「65.0以上71.25未満」、シチュエーションS2の所定の採点値の範囲「71.25以上84.75未満」、シチュエーションS3の所定の採点値の範囲「84.75以上92.0未満」を決定する。
【0081】
更に、本変形例に係る生成部500は、最も低い採点値の範囲を対応付けたシチュエーション、及び最も高い採点値の範囲を対応付けたシチュエーションを決定する。
【0082】
たとえば、上記例において、生成部500は、シチュエーションS1の所定の採点値の範囲「65.0以上71.25未満」の下限値(65.0)よりもさらに低い範囲「0以上65.0未満」を対応付けたシチュエーションSLを決定する。同様に、生成部500は、シチュエーションS3の所定の採点値の範囲「84.75以上92.0未満」の上限値(92.0)よりもさらに高い範囲「92.0以上」を対応付けたシチュエーションSHを決定する。
【0083】
その後、生成部500は、シチュエーション毎に所定の採点値の範囲を対応付けたテーブルを生成する。
図8は、シチュエーションS1~シチュエーションS3、シチュエーションSL、及びシチュエーションSH毎に、決定した採点値の範囲を対応付けたテーブルの例を示した図である。
【0084】
たとえば、
図8に示したテーブルが生成されているとする。また、採点処理部300により求められた単独の利用者の楽曲Xのカラオケ歌唱の採点値が「60.0」であったとする。この場合、決定部600は、採点値「60.0」を
図8のテーブルに当てはめることにより、シチュエーションSLを決定する。提示部700は、単独の利用者に対し「あなたの選曲した楽曲Xのカラオケ歌唱は、人前で披露するにはまだ早いレベルです」という文章を表示装置30に表示させる。
【0085】
一方、採点処理部300により求められた単独の利用者の楽曲Xのカラオケ歌唱の採点値が「95.0」であったとする。この場合、決定部600は、採点値「95.0」を
図8のテーブルに当てはめることにより、シチュエーションSHを決定する。提示部700は、単独の利用者に対し「あなたの選曲した楽曲Xのカラオケ歌唱は、オーディションに応募できるレベルです」という文章を表示装置30に表示させる。
【0086】
以上から明らかなように、本変形例に係るカラオケ装置Kによれば、単独の利用者のカラオケ歌唱について求めた採点値と、記憶処理部400により記憶手段10aに記憶させた採点値との差が大きい場合であっても、適当なシチュエーションを提示できる。
【0087】
<その他>
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
100 判定部
200 特定部
300 採点処理部
400 記憶処理部
500 生成部
600 決定部
700 提示部
K カラオケ装置