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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162960
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】避雷装置
(51)【国際特許分類】
   H05F 3/04 20060101AFI20231101BHJP
【FI】
H05F3/04 F
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073692
(22)【出願日】2022-04-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】598022956
【氏名又は名称】株式会社大同機械
(71)【出願人】
【識別番号】516240226
【氏名又は名称】株式会社アールアンドアール
(74)【代理人】
【識別番号】100154357
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】市村 元
(72)【発明者】
【氏名】落合 康全
【テーマコード(参考)】
5G067
【Fターム(参考)】
5G067AA70
5G067DA31
(57)【要約】
【課題】
避雷極部材から固定部材側への通電を可能にする新規な構成を有する、クレーン等に設置され得る避雷装置を提供する。
【解決手段】
本開示の一実施形態に係る避雷装置10は、避雷極部材16を支持する支持部材30と、導電性軸部材56を支持する固定部材32であって、前記軸部材56周りに前記支持部材30が回動可能であるように前記軸部材56に前記支持部材30が設けられている、固定部材32と、前記避雷極部材16を鉛直方向上側に位置付けるように前記支持部材に設けられる錘部34とを備える。前記避雷極部材16の延出部26を介して前記避雷極部材16から前記軸部材56への通電を可能にするように前記延出部26は前記支持部材30に保持されている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
避雷極部材を支持する支持部材と、
導電性軸部材を支持する固定部材であって、前記軸部材周りに前記支持部材が回動可能であるように前記軸部材に前記支持部材が設けられている、固定部材と、
前記避雷極部材を鉛直方向上側に位置付けるように前記支持部材に設けられる錘部と
を備え、
前記避雷極部材の延出部を介して前記避雷極部材から前記軸部材への通電を可能にするように前記延出部は前記支持部材に保持されている、
避雷装置。
【請求項2】
前記避雷極部材の前記延出部は、前記軸部材の外周に接する
請求項1に記載の避雷装置。
【請求項3】
前記軸部材の外側延出端部に導電性ケーブルが接続される、
請求項1又は2に記載の避雷装置。
【請求項4】
前記固定部材において前記支持部材の回動範囲を規制する規制部を更に備えている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の避雷装置。
【請求項5】
クレーンのブームに装備される
請求項1から4のいずれか一項に記載の避雷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、避雷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
消イオン容量型避雷針又はPDCE避雷針(スペイン語で、Pararrayos Desionnizador Carge Electrostatica)と呼ばれるものが開発され、実用されている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。これらは、概略的に、上部電極体と、下部電極体と、それら上部電極体及び下部電極体間に設けられた絶縁体とを備え、全体として概略球体状に形成されている。上部電極体及び下部電極体は、それぞれ球体が上下に半割りされた略半球状に形成されていて、それらの表面は大気と接触する曲面部として形成されている。絶縁体は、厚肉の円筒状やドーナツ状に形成され、上下の電極体間の電気的な絶縁状態を保持するように設けられる。
【0003】
上記消イオン容量型避雷針又はPDCE避雷針に相当する避雷極部材をクレーンのブームに装備することが、特許文献3において提案されている。特許文献3が開示する、クレーンのブームに装備される落雷抑制型避雷装置は、ブームの上部に設けられて避雷極部材を鉛直に保持する保持機構を備える。この保持機構は、クレーンのブームの先端位置や角度が作業の状況で変化するとき、ブームの角度等に関わらず避雷極部材の受雷部つまり上部電極体を天空に対して正対する姿勢とするように、次の構成を有する。つまり、保持機構は、避雷極部材を支持する支持部材と、その支持部材を水平軸周りに回動可能に軸支する軸部材と、その軸部材をブームに固定する固定部材と、前述の支持部材の下部に設けられて避雷極部材を鉛直状態に保持する錘とを備え、その固定部材には、前述の軸部材の取付孔と、前述の錘を収容可能な収容部とが設けられている。そして、その支持部材と、その固定部材とを電気的に接続するように、それらをつなぐように外部に延びる接続用良導体が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-10241号公報
【特許文献2】特開2016-181497号公報
【特許文献3】特開2013-222689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献3の上記装置では、上記接続用良導体が用いられる。この接続用良導体は外側に露出していて、線状であり、前述の支持部材の回動範囲によっては断線などが懸念される。その上、特許文献3には、その接続用良導体の接続又は取り付けについての詳細な記載はない。
【0006】
本開示の目的は、避雷極部材から固定部材側への通電を可能にする新規な構成を有する、クレーン等に設置され得る避雷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、
避雷極部材を支持する支持部材と、
導電性軸部材を支持する固定部材であって、前記軸部材周りに前記支持部材が回動可能であるように前記軸部材に前記支持部材が設けられている、固定部材と、
前記避雷極部材を鉛直方向上側に位置付けるように前記支持部材に設けられる錘部と
を備え、
前記避雷極部材の延出部を介して前記避雷極部材から前記軸部材への通電を可能にするように前記延出部は前記支持部材に保持されている、
避雷装置
を提供する。
【0008】
好ましくは、前記避雷電極の前記延出部は、前記軸部材の外周に接する。
【0009】
好ましくは、前記軸部材の外側延出端部に導電性ケーブルが接続される。
【0010】
好ましくは、前述の避雷装置は、前記固定部材において前記支持部材の回動範囲を規制する規制部を更に備える。
【0011】
好ましくは、前述の避雷装置は、クレーンのブームに装備される。
【発明の効果】
【0012】
本開示の上記態様によれば、避雷極部材から固定部材側への通電を可能にする新規な構成を有する避雷装置が提供され、この避雷装置は固定部材を介してクレーン等に設置することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態に係る避雷装置をクレーンに適用したところを示す概略的な側面図である。
図2図1の避雷装置における避雷極部材を示す正面図である。
図3図1の避雷装置の正面図である。
図4図1の避雷装置の側面図である。
図5図1の避雷装置における支持部材を示す平面図である。
図6図1の避雷装置における、支持部材及び固定部材を示す平面図である。
図7図1の避雷装置における支持部材の固定部材に対する動きを示す模式図である。
図8図1の避雷装置において、支持部材に設けられた避雷極部材と固定部材の軸部材との電気的接続箇所を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る一実施形態について図に基づいて説明する。
【0015】
図1は、一実施形態に係る避雷装置10をタワークレーンのうちのクライミング式ジブクレーン12に適用したところを示す図である。避雷装置10は、ここでは、クレーン12のブーム14の先端に装備されている。この避雷装置10は、図2に示す避雷極部材16を備え、この避雷極部材16を鉛直方向上方に位置づけるように構成された支持機構18を備える。
【0016】
避雷極部材16としては、ここでは、消イオン容量型避雷針又はPDCE避雷針と呼ばれるもの(特許文献1から3参照)を採用する。図2に示すように、避雷極部材16は、第1電極体20と、第2電極体22と、これら電極体20、22の間に配置された電気絶縁体24とを備える。第1電極体20は、球殻状で上方へ向けて湾曲されたものであり、第2電極体22は、球殻状で下方へ向けて湾曲されたものである。第2電極体22には、その第2電極体22から下方へ向けて、導電性材料からなる支持ロッド26が延出されている。この支持ロッド26は避雷極部材16の延出部に相当する。なお、支持ロッド26は避雷極部材16の第2電極体22に直接的に接続されていて、第2電極体22からの支持ロッド26への通電が可能である。
【0017】
避雷極部材16の支持ロッド26は、まっすぐに棒状に延びる部分であり、避雷極部材16の軸線16Aに沿って延び、略円柱形の外形を有する。この支持ロッド26が支持機構18の支持部材30に保持されて支持されることで、避雷極部材16は支持部材30に支持される。なお、支持ロッド26の断面形状は円形又は略円形であることに限定されず、例えば四角形、六角形などの多角形状を有してもよい。
【0018】
避雷極部材16を備えた避雷装置10の正面図を図3に示し、その側面図を図4に示す。
【0019】
避雷装置10は、避雷極部材16の姿勢を好適に保つため、より具体的には避雷極部材16を避雷装置10のうちで常時鉛直方向上方に位置させるように前述の支持機構18を備える。支持機構18は、前述の支持部材30と、固定部材32と、錘部34と、規制部36とを有する。なお、図3及び図4は、避雷装置10が固定部材32を介してブーム14の先端のかご14aの手摺14bに取り付けられたところを示す。
【0020】
支持部材30は、第1支持端部38と、第2錘端部40と、それら端部38、40の間に位置する回転軸部42とを有する。回転軸部42は、図5に示すように、本体部44と、本体部44を貫通するように延びる筒状部46とを備える。筒状部46は、後述する導電性の軸部材56が挿通され得、本体部44の両端面から両端部のそれぞれが延出する。支持部材30は鉄鋼製であるが、それ以外の材料から作製されてもよい。
【0021】
回転軸部42の筒状部46に沿って延びる軸線42Aを定めることができる。この軸線42Aに直交するように定められる軸線30Aは支持部材30の主軸線となり、主軸線30Aに沿って第1支持端部38、回転軸部42及び第2錘端部40は順に並ぶ。主軸線30Aは第1支持端部38、回転軸部42及び第2錘端部40のそれぞれの略中心を通る。
【0022】
第1支持端部38は、回転軸部42の本体部44から主軸線30Aに沿って延びる筒状部38aと、2枚の湾曲板部材38b、38cとを備える。筒状部38aは筒状部46の内部と連通する空間を定める。2枚の湾曲板部材38b、38cは、筒状部38aを挟むように設けられ、筒状部46内の略円柱空間につづく略円柱空間を形成する。2枚の湾曲板部材38b、38cは複数のボルト・ナット38dで互いに対して接続される。筒状部38aと2枚の湾曲板部材38b、38cとを一体にするようにそれらの一部を貫通してボルト・ナット38hが主軸線30Aに直交するように設けられる(図5参照)。ボルト・ナット38hは、その先端が支持ロッド26の外周面に接し、それにより、筒状部38a内に先端が挿入された支持ロッド26を、支持ロッド26の筒状部38aの内面への押し付け(図5に破線で示す支持ロッド26参照)、及び、筒状部38aと2枚の湾曲板部材38b、38cとの相互摩擦などにより第1支持端部38にしっかりと固定することを可能にする。なお、このとき、避雷極部材16の支持ロッド26に孔が設けられて、その孔にボルト・ナット38hが挿通されることで、避雷極部材16が支持部材30に支持されてもよい。これは、避雷極部材16の更なる固定のためである。なお、避雷極部材16の支持部材30による支持は、これらの構成又は機構に限定されず、例えば、それら以外の機械的構成又は機構で行われてもよい。
【0023】
なお、支持部材30の本体部44は、第1半割部材44aと、第2半割部材44bとを組み合わせることで構成されている。この組み合わせにより、筒状部38aが本体部44内に抜けないようにしっかりと設けられる。ただし、筒状部38aの少なくとも一部又は全部は第1半割部材44aと、第2半割部材44bの表面により形成されてもよい。なお、第1半割部材44aと第2半割部材44bとの組み合わせは複数のボルト・ナット44cで行われるが、それ以外の機械的接続手段又は溶接等の接合手段で行われてもよい。
【0024】
固定部材32は、軸保持部50と、軸保持部50から延びる脚部52、54とを備える。固定部材32は鉄鋼製であるが、それ以外の材料から作製されてもよい。軸保持部50は、導電性の軸部材56を保持する。図6に示すように、軸部材56はまっすぐな棒状部材であり、その中心を通る軸線56Aが定められる。軸部材56は、ここでは、真鍮製であるが、他の導電性材料製であってもよい。ただし、軸部材56は、支持部材30の導電率及び固定部材32の導電率よりも高い導電率を有する材料製であるとよい。なお、真鍮の導電率は鉄鋼の導電率よりも高く、電気を伝え易い。軸部材56は、ここでは、断面円形つまり円柱状の中間部56cと、その中間部56cの両端において軸線56A方向に延びるように設けられた雄ねじ部と、一方の雄ねじ部の外側に更に軸線56A方向に延びるように設けられた外側延出端部56eとを備える。
【0025】
軸保持部50は、ここでは、図6に示すように矩形の枠体であり、軸部材56が軸保持部50の矩形中空領域を通過して2か所で固定されるように対向する位置に2つの筒部50a、50bを備える。
【0026】
固定部材32が保持する軸部材56は、支持部材30の回転軸部42の筒状部46に挿通される。このとき、筒状部46の両脇から延出する軸部材56の部分、具体的には中間部56cの部分にはスペーサ60、62が設けられる。これにより、固定部材32の軸保持部50の矩形中空領域の略中央に、支持部材30の回転軸部42を位置付けることができる。
【0027】
筒部50a、50bには、軸部材56の貫通孔を通して配置されるボルト・ナット50c、50dで軸部材56が軸線56A周りに回転不能に固定される。軸部材56の貫通孔は、ここでは、中間部56cに形成されている。更に軸部材56の両端の前述の雄ねじ部に固定用ナット50e、50fが設けられることで、軸部材56は軸保持部50に軸方向においてもしっかりと固定される。軸部材56の固定用ナット50eよりも外側の外側延出端部56eには図3及び図4に示すように導電性ケーブル66が接続される。
【0028】
固定部材32の軸保持部50からは脚部52、54が延びる。脚部52、54の数は2本であるが1本または3本以上であってもよい。脚部52、54は、軸部材56の軸線56A方向において同一位置に設けられている。脚部52、54は、矩形の軸保持部50の4辺のうちの軸線56A方向に直交するように延びる1辺の直線状部分50gにこの直線状部分50gの軸線56A方向の厚みと略同じ厚みでこの直線状部分50gとともに軸線56Aに直交する同一面上に延びるように設けられる。したがって、軸保持部50の矩形中空領域の略中央において軸部材56に支持部材30が回動可能に設けられたとき、支持部材30の動きは脚部52、54によって妨げられることはない。
【0029】
固定部材32の軸保持部50に支持部材30が配置されたとき、第1支持端部38つまりそこに設けられた避雷極部材16を鉛直方向上側に位置付けるように、支持部材30の第2錘端部40に錘部34となる錘部材64が設けられる。ここでは、錘部材64は第2錘端部40に取り付け取り外し可能であるが、第2錘端部40に当初から一体的に設けられて第2錘端部40が錘部34となってもよい。第2錘端部40に錘部材64を設けることで、その自重により第2錘端部40側が鉛直方向下方に位置し、よって軸部材56を間に挟んで第2錘端部40の反対側に位置する第1支持端部38つまり避雷極部材16は鉛直方向上方に位置することができる。このように、固定部材32が支持部材30を軸部材56周りに回動可能に保持し、支持部材30の避雷極部材16の反対側に錘部材64を設けることで、避雷極部材16が常に鉛直方向上側を向くことを可能にする鉛直機構が構成される。なお、第2錘端部40も、第1支持端部38と同様に、回転軸部42の本体部44から主軸線30Aに沿って延びる筒状部と、2枚の湾曲板部材40b、40cとを備える。ボルト・ナット40d、40hにより、筒状部と、2枚の湾曲板部材40b、40cとに対して、錘部材64の延出部64aが固定される。
【0030】
このように固定部材32の軸保持部50に支持部材30が設けられたとき、軸部材56周りに支持部材30は回動可能である(図7参照)。この固定部材32における支持部材30の回動範囲を規制する規制部として、図6に示す、固定部材32の矩形の軸保持部50の上記直線状部分50gの両脇から軸部材56の軸線56Aにほぼ平行に延びる直線状のサイド部分50h、50iが機能する。特に、避雷装置10では、サイド部分50h、50iに補強板50sが備えられているので、サイド部分50h、50iの補強板50sが規制部として機能する。したがって、クレーン12のブーム14の傾斜等に応じて支持部材30の固定部材32に対する傾きは任意に変化し得るが、その回動が制限されるので、支持部材30の動き及び避雷装置10の部材間の相対的動きが所定範囲内に好適に制限される。
【0031】
上記のように、固定部材32に支持部材30が軸部材56周りに回動可能に設けられる。このとき、避雷極部材16の延出部である支持ロッド26を介して避雷極部材16から軸部材56への通電を可能にするように支持ロッド26は支持部材30に保持されている。図8の避雷装置10の支持部材30と固定部材32との一部の断面図に示すように、固定部材32に取り付けられた支持部材30では、支持ロッド26の先端26bは、固定部材32の軸保持部50内の軸部材56の外周面56bに接する。軸部材56における断面円形の中間部56cが固定部材32の軸保持部50内に位置するように軸部材56は軸保持部50に設けられているので、軸部材56周りに支持部材30が回動するとき、支持ロッド26の先端26bはおおむね軸部材56の中間部56cの外周面56b上を摺動する。これにより、避雷極部材16と固定部材32の軸部材56との間の電気的接続を、それらの外部に延びる線材などを必要とせずに、確保し続けることができる。
【0032】
前述のように、軸部材56の固定用ナット50eよりも外側の外側延出部56eには導電性のケーブル66が接続される。この接続は、外側延出端部56eに設けられる接続部材68を介して行われる。なお、ケーブル66は、アース線であり、図3及び図4に示すように固定部材32の脚部52、54に沿って固定され、必要に応じて中継部材などを介して、電気的にアース接続される。
【0033】
上記構成の避雷装置10によれば、以下の作用効果が奏される。
【0034】
避雷極部材16は、支持部材30に支持される。この支持部材30は、固定部材32の導電性の軸部材56周りに回動可能であるように固定部材32の軸部材56に設けられる。このとき、支持部材30における避雷極部材16の反対側に錘部34が設けられる。よって、例えば固定部材32が種々の傾きを有するとき、避雷極部材16は支持部材30において鉛直方向上方に位置し続けることができる。したがって、クレーン12のブーム14に避雷装置10を設けて、避雷極部材16による避雷効果を十分に得ることができる。
【0035】
そして、固定部材32が支持する軸部材56は導電性であり、その軸部材56への通電を可能にするように避雷極部材16は支持部材30に支持される。したがって、避雷装置10は、避雷装置10の外部に露出する線材などを介さずに、避雷極部材16からの固定部材32への通電をより確実に確保することができ、従来にない新規な構成を有する。
【0036】
特に、避雷極部材16の延出部である支持ロッド26は軸部材56の外周に接する。したがって、避雷極部材16からの固定部材32の軸部材56への通電をより簡易な構成で実現することができる。
【0037】
なお、軸部材56の外側延出端部に導電性ケーブル66が接続される。したがって、クレーン12のブーム14に固定された固定部材32を介して避雷極部材16からの電流をよりしっかりと所定のルートに流すことができる。
【0038】
更に、避雷装置10は、固定部材32において支持部材30の回動範囲を規制する規制部として機能する、保持部50のサイド部分50h、50iを備える。したがって、固定部材32に対する支持部材30つまり避雷極部材16の動きを所定範囲内に規制することができる。よって、避雷装置10の取り扱いをより安全かつ容易にすることができる。
【0039】
以上、本開示に係る実施形態について説明したが、本開示はそれに限定されない。本願の特許請求の範囲によって定義される本開示の精神及び範囲から逸脱しない限り、種々の置換、変更が可能である。
【0040】
例えば、上記避雷装置10において、支持機構18は、支持部材30と、固定部材32と、錘部34と、規制部36とを有したが、規制部36を備えないことも可能である。ただし、好ましくは、本発明に係る避雷装置10は、規制部36を備える。また、上記避雷装置では、ケーブル66を軸部材56の一端部のみに接続したが、軸部材56の両端部のそれぞれにケーブルが接続されてもよい。
【0041】
なお、本開示の避雷装置は、種々の角度又は位置に動かされる機械及び装置に適用可能である。例えば、固定式のクレーンのみならず、移動式のクレーンにも、本開示の避雷装置は適用可能である。なお、本開示の避雷措置は、機械及び装置のみならず、建造物などの不動産に設けられてもよい。
【0042】
なお、本開示の避雷装置の一例として、上記避雷装置10などを説明した。上記避雷装置10は、例えば、避雷に伴う大電流(落雷電流)を速やかに地中にアースし、人体や電子機器工作物への影響を極力軽減する装置と称することもできる。上記した避雷装置10をクレーンに設置する場合の設置上の特長について更に以下に述べる。
クレーンフレームは、一般に鉄鋼で構成されており、導電率の大きさによる違いがあるものの避雷時には導電性に伴う電気回路を形成し易い特長がある。
しばし問題となるのは、落雷対策を施さない場合に、落雷電流が独自の電気回路を形成することである。時に、クレーンフレームを介して伝わった漏れ電流の場合には、クレーンに装備された電子機器や制御機器・電子基盤が電撃損傷を伴うことである。
上記構成を備える上記避雷装置10によれば、この問題に対する以下の解決策を提供することができる。
・避雷極部材16を、使用時に常に、避雷を受け易いようにできるだけクレーン最上端よりも高い位置に設置することができる。
・上記鉛直機構を有することにより、避雷効果を更に上げるように避雷装置10の避雷極部材16を常に鉛直方向上側を向くように避雷装置10を設置することができる。
・鉄鋼製のクレーンフレームよりも更に導電率が高い導電性材料製の軸部材56を用いて避雷装置10に関して固有の避雷回路を形成することがきるので、クレーンに装備された電子機器・制御機器・電気工作物を電撃損傷から防御する短絡回路を形成することができる。
・上記鉛直機構を備えた避雷装置10では、支持ロッド26の先端26bは固定部材32の軸保持部50内の軸部材56の外周面56bに接して回転摺動部を形成し、この回転摺動部の材料を上記の如く選定することで、支持部材30の軸部材56に対する回転摺動にも支障を与えず機能する導電性の渡り回路を提供することができる。
・このように、上記構成の避雷装置10をクレーンに設けることで、避雷時にクレーンフレームに直接的に落雷電流が流れることを抑制することができ、更に従来にない新規な落雷電流回路を形成することができる。故に、電気機器工作物等の落雷からの被害を最小限に抑えることができる。
【符号の説明】
【0043】
10 避雷装置
16 避雷極部材
18 支持機構
20 第1電極体
22 第2電極体
24 絶縁体
26 支持ロッド
30 支持部材
32 固定部材
34 錘部
36 規制部
38 第1支持端部
40 第2錘端部
42 回転軸部
44 本体部
46 筒状部
50 軸保持部
52、54 脚部
56 軸部材
64 錘部材
66 ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
避雷極部材を支持する支持部材と、
導電性軸部材を支持する固定部材であって、前記軸部材周りに前記支持部材が回動可能であるように前記軸部材に前記支持部材が設けられている、固定部材と、
前記避雷極部材を鉛直方向上側に位置付けるように前記支持部材に設けられる錘部と
を備え、
前記避雷極部材の延出部を介して前記避雷極部材から前記軸部材への通電を可能にするように前記延出部は前記支持部材に保持されている、
避雷装置。
【請求項2】
前記避雷極部材の前記延出部は、前記軸部材の外周に接する
請求項1に記載の避雷装置。
【請求項3】
前記軸部材の外側延出端部に導電性ケーブルが接続される、
請求項1又は2に記載の避雷装置。
【請求項4】
前記固定部材において前記支持部材の回動範囲を規制する規制部を更に備えている、
請求項1又は2に記載の避雷装置。
【請求項5】
クレーンのブームに装備される
請求項1又は2に記載の避雷装置。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
避雷極部材を支持する支持部材と、
導電性軸部材を支持する固定部材であって、前記軸部材周りに前記支持部材が回動可能であるように前記軸部材に前記支持部材が設けられている、固定部材と、
前記避雷極部材を鉛直方向上側に位置付けるように前記支持部材に設けられる錘部と
を備え、
前記避雷極部材の延出部を介して前記避雷極部材から前記軸部材への通電を可能にするように前記延出部は前記支持部材に保持されてい
前記避雷極部材の前記延出部は、前記軸部材の外周に接する、
避雷装置。
【請求項2】
前記軸部材の外側延出端部に導電性ケーブルが接続される、
請求項1に記載の避雷装置。
【請求項3】
避雷極部材を支持する支持部材と、
導電性軸部材を支持する固定部材であって、前記軸部材周りに前記支持部材が回動可能であるように前記軸部材に前記支持部材が設けられている、固定部材と、
前記避雷極部材を鉛直方向上側に位置付けるように前記支持部材に設けられる錘部と
を備え、
前記避雷極部材の延出部を介して前記避雷極部材から前記軸部材への通電を可能にするように前記延出部は前記支持部材に保持されていて、
前記軸部材の外側延出端部に導電性ケーブルが接続される
避雷装置。
【請求項4】
避雷極部材を支持する支持部材と、
導電性軸部材を支持する固定部材であって、前記軸部材周りに前記支持部材が回動可能であるように前記軸部材に前記支持部材が設けられている、固定部材と、
前記避雷極部材を鉛直方向上側に位置付けるように前記支持部材に設けられる錘部と
前記固定部材において前記支持部材の回動範囲を規制する規制部

前記避雷極部材の延出部を介して前記避雷極部材から前記軸部材への通電を可能にするように前記延出部は前記支持部材に保持されている、
避雷装置。
【請求項5】
前記固定部材において前記支持部材の回動範囲を規制する規制部を更に備えている、
請求項1又は3に記載の避雷装置。
【請求項6】
クレーンのブームに装備される
請求項1又は2に記載の避雷装置。
【請求項7】
クレーンのブームに装備される
請求項3又は4に記載の避雷装置。
【手続補正書】
【提出日】2022-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
避雷極部材を支持する支持部材と、
導電性軸部材を支持する固定部材であって、前記軸部材周りに前記支持部材が回動可能であるように前記軸部材に前記支持部材が設けられている、固定部材と、
前記避雷極部材を鉛直方向上側に位置付けるように前記支持部材に設けられる錘部と
を備え、
前記避雷極部材の延出部を介して前記避雷極部材から前記軸部材への通電を可能にするように前記延出部は前記支持部材に保持されてい
前記避雷極部材の前記延出部は、前記軸部材の外周に接する、
避雷装置。
【請求項2】
前記軸部材の外側延出端部に導電性ケーブルが接続される、
請求項1に記載の避雷装置。
【請求項3】
避雷極部材を支持する支持部材と、
導電性軸部材を支持する固定部材であって、前記軸部材周りに前記支持部材が回動可能であるように前記軸部材に前記支持部材が設けられている、固定部材と、
前記避雷極部材を鉛直方向上側に位置付けるように前記支持部材に設けられる錘部と
を備え、
前記避雷極部材の延出部を介して前記避雷極部材から前記軸部材への通電を可能にするように前記延出部は前記支持部材に保持されていて、
前記軸部材の外側延出端部に導電性ケーブルが接続される
避雷装置。
【請求項4】
避雷極部材を支持する支持部材と、
導電性軸部材を支持する固定部材であって、前記軸部材周りに前記支持部材が回動可能であるように前記軸部材に前記支持部材が設けられている、固定部材と、
前記避雷極部材を鉛直方向上側に位置付けるように前記支持部材に設けられる錘部と、
前記固定部材において前記支持部材の回動範囲を規制する規制部

前記避雷極部材の延出部を介して前記避雷極部材から前記軸部材への通電を可能にするように前記延出部は前記支持部材に保持されている、
避雷装置。
【請求項5】
前記固定部材において前記支持部材の回動範囲を規制する規制部を更に備えている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の避雷装置。
【請求項6】
クレーンのブームに装備される
請求項1から4のいずれか一項に記載の避雷装置。