(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162978
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】運転者の運転状態の適否を判定するドライバモニタシステム、車両、及びドライバモニタ方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20231101BHJP
G06V 20/59 20220101ALI20231101BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20231101BHJP
【FI】
G08G1/16 F
G06V20/59
G06T7/00 660A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073729
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】森田 貢規
(72)【発明者】
【氏名】平槙 崇
【テーマコード(参考)】
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181FF05
5H181LL20
5L096AA06
5L096BA04
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA67
5L096JA11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】運転者毎に車両の運転傾向が異なる場合において、運転者の運転状態の適否の判定を、運転者に応じて高精度に実行可能とする技術の提供。
【解決手段】車両を運転する運転者の運転状態の適否を判定するドライバモニタシステム10は、複数の運転者の個々の運転者情報と関連付けて、適否を判定するための運転状態判定値を格納するデータベース12と、運転者情報に基づいて特定した第1の運転者の第1の運転者情報に関連付けてデータベース12に格納された第1の運転状態判定値を用いて、該第1の運転者の運転中に適否の判定を行うプロセッサ14とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を運転する運転者の運転状態の適否を判定するドライバモニタシステムであって、
複数の前記運転者の個々の運転者情報と関連付けて、前記適否を判定するための運転状態判定値を格納するデータベースと、
前記運転者情報に基づいて特定した第1の前記運転者の第1の前記運転者情報に関連付けて前記データベースに格納された第1の前記運転状態判定値を用いて、該第1の運転者の運転中に前記適否の判定を行うプロセッサと、を備える、ドライバモニタシステム。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記第1の運転者の運転状態を表す運転状態パラメータを取得し、
取得した前記運転状態パラメータに基づいて、前記第1の運転状態判定値を更新し、
更新した前記第1の運転状態判定値を、前記第1の運転者情報に関連付けて前記データベースに格納する、請求項1に記載のドライバモニタシステム。
【請求項3】
運転中の前記運転者の顔を撮像する撮像装置をさらに備え、
前記プロセッサは、前記撮像装置が撮像した前記第1の運転者の顔画像に基づいて、該第1の運転者の前記運転状態パラメータを取得する、請求項2に記載のドライバモニタシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記第1の運転者の運転中に繰り返し取得した複数の前記運転状態パラメータに基づいて、前記第1の運転状態判定値を更新する、請求項2に記載のドライバモニタシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記複数の運転状態パラメータから、新たな運転状態判定値を所定の演算により求め、該新たな運転状態判定値によって前記第1の運転状態判定値を更新する、請求項4に記載のドライバモニタシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、
運転中の前記車両の挙動を表す車両情報に基づいて、前記第1の運転者が前記車両の前方を見ているか否かを推定し、
前方を見ていると推定したときに取得した前記運転状態パラメータに基づいて、前記第1の運転状態判定値を更新する、請求項2に記載のドライバモニタシステム。
【請求項7】
前記車両情報は、前記車両のステアリングの操舵角、前記車両の速度、前記車両の周囲を撮像した環境画像、及び、前記車両の位置情報、の少なくとも1つを有する、請求項6に記載のドライバモニタシステム。
【請求項8】
前記運転状態パラメータは、前記運転者の顔向き方向、又は該運転者の眼の開度を有し、
前記運転状態判定値は、
前記車両の前方を見る前記運転者の前記顔向き方向を基準として定められる基準顔向き方向、及び、該基準顔向き方向に対する前記顔向き方向の角度の閾値を有するか、又は、
前記運転者が前記眼を開いているときの前記開度を基準として定められる基準開度、及び、該基準開度を基準として定められる前記開度の閾値を有する、請求項2に記載のドライバモニタシステム。
【請求項9】
前記運転者情報は、前記運転者の顔画像を有し、
前記ドライバモニタシステムは、運転前に前記運転者の顔を撮像する撮像装置をさらに備え、
前記プロセッサは、前記撮像装置によって撮像された前記運転者の顔画像と、前記データベースに前記運転者情報として予め格納された前記顔画像とを照合することで、前記運転者を特定する、請求項1に記載のドライバモニタシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のドライバモニタシステムを備える、車両。
【請求項11】
車両を運転する運転者の運転状態の適否を判定するドライバモニタ方法であって、
複数の前記運転者の個々の運転者情報と関連付けて、前記適否を判定するための運転状態判定値を格納するデータベースを用意し、
プロセッサが、前記運転者情報に基づいて特定した第1の前記運転者の第1の前記運転者情報に関連付けて前記データベースに格納された第1の前記運転状態判定値を用いて、該第1の運転者の運転中に前記適否の判定を行う、ドライバモニタ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運転者の運転状態の適否を判定するドライバモニタシステム、車両、及びドライバモニタ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者の運転状態の適否を判定するドライバモニタシステムが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運転者毎に車両の運転傾向が異なる場合がある。このような場合において、運転者の運転状態の適否の判定を、運転者に応じて高精度に実行可能とする技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様は、車両を運転する運転者の運転状態の適否を判定するドライバモニタシステムであって、複数の運転者の個々の運転者情報と関連付けて、適否を判定するための運転状態判定値を格納するデータベースと、運転者情報に基づいて特定した第1の運転者の第1の運転者情報に関連付けてデータベースに格納された第1の運転状態判定値を用いて、該第1の運転者の運転中に適否の判定を行うプロセッサとを備える、ドライバモニタシステムである。
【0006】
本開示の第2の態様は、プロセッサは、第1の運転者の運転状態を表す運転状態パラメータを取得し、取得した運転状態パラメータに基づいて、第1の運転状態判定値を更新し、更新した第1の運転状態判定値を、第1の運転者情報に関連付けてデータベースに格納する、第1の態様に記載のドライバモニタシステムである。
【0007】
本開示の第3の態様は、運転中の運転者の顔を撮像する撮像装置をさらに備え、プロセッサは、撮像装置が撮像した第1の運転者の顔画像に基づいて、該第1の運転者の運転状態パラメータを取得する、第2の態様に記載のドライバモニタシステムである。
【0008】
本開示の第4の態様は、プロセッサは、第1の運転者の運転中に繰り返し取得した複数の運転状態パラメータに基づいて、第1の運転状態判定値を更新する、第2又は第3の態様に記載のドライバモニタシステムである。
【0009】
本開示の第5の態様は、プロセッサは、複数の運転状態パラメータから、新たな運転状態判定値を所定の演算により求め、該新たな運転状態判定値によって第1の運転状態判定値を更新する、第4の態様に記載のドライバモニタシステムである。
【0010】
本開示の第6の態様は、プロセッサは、運転中の車両の挙動を表す車両情報に基づいて、第1の運転者が車両の前方を見ているか否かを推定し、前方を見ていると推定したときに取得した運転状態パラメータに基づいて、第1の運転状態判定値を更新する、第2~第5の態様のいずれか1つに記載のドライバモニタシステムである。
【0011】
本開示の第7の態様は、車両情報は、車両のステアリングの操舵角、車両の速度、車両の周囲を撮像した環境画像、及び、車両の位置情報、の少なくとも1つを有する、第6の態様に記載のドライバモニタシステムである。
【0012】
本開示の第8の態様は、運転状態パラメータは、運転者の顔向き方向、又は該運転者の眼の開度を有し、運転状態判定値は、車両の前方を見る運転者の顔向き方向を基準として定められる基準顔向き方向、及び、該基準顔向き方向に対する顔向き方向の角度の閾値を有するか、又は、運転者が眼を開いているときの開度を基準として定められる基準開度、及び、該基準開度を基準として定められる開度の閾値を有する、第2~第7の態様に記載のドライバモニタシステムである。
【0013】
本開示の第9の態様は、運転者情報は、運転者の顔画像を有し、ドライバモニタシステムは、運転前に運転者の顔を撮像する撮像装置をさらに備え、プロセッサは、撮像装置によって撮像された運転者の顔画像と、データベースに運転者情報として予め格納された顔画像とを照合することで、運転者を特定する、第1~第8の態様のいずれか1つに記載のドライバモニタシステムである。
【0014】
本開示の第10の態様は、第1~第9の態様のいずれか1つに記載のドライバモニタシステムを備える、車両である。
【0015】
本開示の第11の態様は、車両を運転する運転者の運転状態の適否を判定するドライバモニタ方法であって、複数の運転者の個々の運転者情報と関連付けて、適否を判定するための運転状態判定値を格納するデータベースを用意し、プロセッサが、運転者情報に基づいて特定した第1の運転者の第1の運転者情報に関連付けてデータベースに格納された第1の運転状態判定値を用いて、該第1の運転者の運転中に適否の判定を行う、ドライバモニタ方法である。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、プロセッサは、運転者に固有の運転状態判定値を用いて該運転者の運転状態の適否を判定できるので、該適否の判定を、運転者に応じて、高精度に実行できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態に係るドライバモニタシステムのブロック図である。
【
図3】
図2に示す車両の動作フローの一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図2に示す撮像装置によって撮像された第1の運転者の顔画像の一例である。
【
図5】
図2に示す撮像装置によって撮像された第2の運転者の顔画像の一例である。
【
図6】
図2に示す車両の動作フローの他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する種々の実施形態において、同様の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。まず、
図1を参照して、一実施形態に係るドライバモニタシステム10について説明する。ドライバモニタシステム10は、車両を運転する運転者Dの運転状態DCの適否を判定するシステムである。具体的には、ドライバモニタシステム10は、データベース12、及びプロセッサ14を備える。データベース12は、複数の運転者D
n(n=1,2,3,・・・)の個々の運転者情報DI
nと関連付けて、運転状態判定値DV
nを格納する。
【0019】
運転者情報DInは、運転者Dnに固有の情報であって、該運転者Dnを特定する。例えば、運転者情報DInは、運転者Dnを識別するための識別コードDI1n(番号、文字列等)、運転者Dnの顔画像DI2n、及び、運転者Dnの生体情報DI3n(体重、指紋情報、虹彩情報、音声情報等)の少なくとも1つを含む。なお、顔画像DI2nは、運転者Dnの顔を撮像した画像データ(例えば、JPEG画像データ、又はRAW画像データ等)であってもよいし、又は、該画像データから抽出した運転者Dnの顔の特徴点をコード化した特徴量情報であってもよい。また、運転者情報DInは、ここに例示したもの以外の、運転者Dnを特定可能な如何なる情報を含んでもよい。
【0020】
一方、運転状態判定値DVnは、車両を運転する運転者Dnの運転状態DCの適否を判定するために用いられる。具体的には、運転状態判定値DVnは、運転者Dnの運転状態DCが適切であるか否かを判定するために、運転者Dnの運転状態DCを表す運転状態パラメータPRと比較される。
【0021】
この運転状態パラメータPRは、例えば、運転中の運転者Dnの顔向き方向α、該運転者Dnの眼の開度β、該運転者Dnの目の瞬き頻度γ、該運転者Dnの口の開閉頻度ε、運転者Dnの視線方向δの少なくとも1つを含む。これら運転状態パラメータPRは、運転者Dnの運転状態DCを定量的に表すパラメータである。
【0022】
運転状態判定値DVnは、このような運転状態パラメータPRに対して設定される。一例として、運転状態判定値DVnは、運転中に車両の前方を見る運転者Dnの顔向き方向αを基準として定められる基準顔向き方向α0、及び、該基準顔向き方向α0に対する、運転中の運転者Dnの顔向き方向αの角度φの閾値φthを有する。他の例として、運転状態判定値DVnは、運転者Dnが眼を通常開いているときの開度βを基準として定められる基準開度β0、及び、該基準開度β0を基準として定められる、開度βの閾値βthを有する。
【0023】
さらに他の例として、運転状態判定値DVnは、通常時の運転者Dnの瞬き頻度γを基準として定められる基準瞬き頻度γ0、及び、該基準瞬き頻度γ0を基準として定められる、瞬き頻度γ0の閾値γthを有する。さらに例として、運転状態判定値DVnは、通常時の運転者Dnの口の開閉頻度εを基準として定められる基準開閉頻度ε0、及び、該基準開閉頻度ε0を基準として定められる、開閉頻度εの閾値εthを有する。
【0024】
データベース12は、複数の運転者Dnの運転者情報DIn毎に、個々の運転者Dnに固有のデータとして運転状態判定値DVnを格納している。データベース12のデータ構造の一例を、以下の表1に模式的に示す。
【0025】
【0026】
表1に示す例では、データベース12は、運転者Dnの運転者情報DInに関連付けて、運転状態判定値DVnとして、顔向き方向αに関する基準顔向き方向α0_n及び閾値φth_n、眼の開度βに関する基準開度β0_n及び閾値βth_n等を格納している。例えば、1番目の運転者D1の運転者情報DI1には、運転状態判定値DV1として、顔向き方向αに関する基準顔向き方向α0_1及びφth_1、開度βに関する基準開度β0_1及び閾値βth_1等が関連付けて格納されている。このデータベース12は、オペレータによって予め用意され、車両又は管理サーバに設けられたメモリ(ROM、RAM等)に記憶される。
【0027】
なお、表1では、データベース12において、運転状態判定値DVnとして、顔向き方向αに関する基準顔向き方向α0_n及びφth_nと、眼の開度βに関する基準開度β0_n及び閾値βth_nとを例示しているが、実際は、瞬き頻度γに関する基準瞬き頻度γ0_n及び閾値γth_n、口の開閉頻度εに関する基準開閉頻度ε0_n及び閾値εth_n等、他の運転状態判定値DVnが運転者情報DInに関連付けて格納されることを理解されたい。
【0028】
プロセッサ14は、CPU又はGPU等を有し、データベース12にアクセス可能となっている。具体的には、プロセッサ14は、データベース12に格納された運転者情報DInに基づいて、車両を運転する運転者Dnを特定し、特定した該運転者Dnの運転者情報DInに関連付けてデータベース12に格納された運転状態判定値DInを用いて、該運転者Dnの運転中に運転状態DCの適否の判定を行う。
【0029】
例えば、プロセッサ14が、データベース12に格納された運転者情報DInに基づいて、車両に乗る運転者を、1番目の運転者D1であると特定したとする。この場合、プロセッサ14は、特定した運転者D1の運転者情報DI1に関連付けられて格納されている運転状態判定値DV1(つまり、基準顔向き方向α0_1及びφth_1、基準開度β0_1及び閾値βth_1、基準瞬き頻度γ0_1及び閾値γth_1、基準開閉頻度ε0_1及び閾値εth_1等)を、データベース12から検索して取得する。
【0030】
そして、プロセッサ14は、運転者D1の運転中に取得された運転状態パラメータPR(顔向き方向α、開度β、瞬き頻度γ、開閉頻度ε等)と、特定した運転者D1の運転者情報DI1に関連付けてデータベース12に格納されていた運転状態判定値DV1とを比較することで、運転者D1の運転状態DCの適否を判定する。なお、運転者Dnの特定方法、及び、運転状態DCの適否の判定方法の詳細については、後述する。
【0031】
以上のように、本実施形態においては、ドライバモニタシステム10は、複数の運転者Dnの個々の運転者情報DInと関連付けて運転状態判定値DVnを格納するデータベース12と、運転者情報DInに基づいて特定した第1の運転者D1の第1の運転者情報DI1に関連付けてデータベース12に格納された第1の運転状態判定値DV1を用いて、該第1の運転者D1の運転中に運転状態DCの適否の判定を行うプロセッサ14とを備えている。この構成によれば、プロセッサ14は、運転者Dnに固有の運転状態判定値DVnを用いて該運転者Dnの運転状態DCの適否を判定できるので、該適否の判定を、運転者Dnに応じて、高精度に実行できるようになる。
【0032】
次に、
図2を参照して、一実施形態に係る車両20について説明する。車両20は、例えば4輪自動車であって、車体22、電子制御装置(ECU)24、撮像装置26、センサ28、ヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)30、及び通信機32を備える。
【0033】
車体22には、ECU24、撮像装置26、センサ28、HMI30、及び通信機32に加えて、車両20の駆動、制動、操舵、及びインフォテインメント等に関連する各種コンポーネント(エンジン、トランスミッション、車輪、ブレーキ機構、ステアリング、メーターパネル、ルームミラー、ディスプレイ、スピーカ、入力装置等)が搭載されている。
【0034】
ECU24は、車両20の動作を制御する。具体的には、ECU24は、プロセッサ14、メモリ34、及びI/Oインターフェース36を有するコンピュータである。メモリ34は、RAM又はROM等を有し、プロセッサ14で実行される演算処理で利用される各種データ、及び演算処理の途中で生成される各種データを、一時的又は恒久的に記憶する。本実施形態においては、メモリ34は、データベース12を記憶する。
【0035】
I/Oインターフェース36は、例えば、コントローラエリアネットワーク(CAN)ポート、イーサネット(登録商標)ポート、USBポート、光ファイバコネクタ、又はHDMI(登録商標)端子を有し、撮像装置26、センサ28、HMI30、及び通信機32等の外部機器との間で、データを有線又は無線で通信する。プロセッサ14は、メモリ34、及びI/Oインターフェース36(すなわち、撮像装置26、センサ28、HMI30、通信機32)と通信しつつ、上述した運転状態DCの適否を判定する機能を含む、各種機能を実行するための演算処理を行う。
【0036】
撮像装置26は、運転者Dnの顔を撮像する。具体的には、撮像装置26は、例えば、発光部(LED等)、撮像センサ(CCD、CMOS等)、及び光学レンズ(コリメートレンズ、フォーカスレンズ等)を有し、車体22の内装(例えば、メータパネル、又はルームミラー)に組み込まれている。撮像装置26は、発光部から光(例えば、赤外光)を放射し、運転者Dnからの光を撮像センサに結像させることで、運転者Dnの顔を撮像する。
【0037】
センサ28は、運転中の車両20の各種データを検出する。例えば、センサ28は、車両20のステアリングの操舵角λを検出する操舵角センサ、車両20の速度Vを検出する速度センサ、車両20の周囲環境(車線等の道路標識、他の車両、通行人、障害物等)を撮像した環境画像IMsを検出する車外カメラを含む。
【0038】
通信機32は、受信機及び送信機の少なくとも一方を有し、車両20の外部機器と通信する。例えば、通信機32は、GPS衛星と通信し、該GPS衛星からGPS信号を受信するGPS受信機、他の車両と通信し、該他の車両との間で自車位置情報等の各種データを送受信する車車間通信機、及び、運転者Dnが所有する携帯機(例えば、スマートキー、又はスマートフォン)と通信し、該携帯機から運転者Dnの識別コードを受信する携帯信号受信機を有する。
【0039】
プロセッサ14は、車両20の運転中にセンサ28が検出した操舵角λ、速度V、及び環境画像IMsを、運転中の該車両20の挙動を表す車両情報CIとして、センサ28から取得する。また、プロセッサ14は、通信機32が受信したGPS信号と、メモリ34に予め記憶された地図データとに基づいて、車両情報CIとして、車両20の位置情報PIを取得する。
【0040】
プロセッサ14は、車両20の運転中にこれら車両情報CI(操舵角λ、速度V、環境画像IMs、位置情報PI)を連続的(例えば、周期的)に取得し、収集した車両情報CIをメモリ34に記憶する。なお、車両情報CIは、操舵角λ、速度V、環境画像IMs、位置情報PIに限らず、車両20の挙動を表す他の如何なる情報を含んでもよい。
【0041】
HMI30は、運転者Dnとの間で情報交換を行う。例えば、HMI30は、運転者Dnから情報の入力を受け付ける入力装置(スイッチ、押しボタン、回転式ダイヤル、タッチパネル等)、各種情報を画像として表示するディスプレイ、各種情報を音として出力するスピーカ、及び、運転者Dnの音声を電気信号に変換するマイクロフォンを有する。
【0042】
次に、
図3を参照して、車両20の動作について説明する。
図3に示すフローは、運転者D
nが車両20にアクセス(例えば、開錠)したときに、開始される。ステップS1において、プロセッサ14は、運転者D
nを特定する。一例として、通信機32は、運転者D
nが所有する携帯機と通信し、該携帯機から運転者D
nの識別コードを受信する。プロセッサ14は、通信機32を通して運転者D
nの識別コードを取得し、該識別コードと、データベース12に予め格納された運転者情報DI
nに含まれる識別コードDI1
nとを照合することで、運転者D
nを特定する。
【0043】
他の例として、撮像装置26は、車両20に乗り込んだ運転者Dnの顔を撮像する。プロセッサ14は、撮像装置26が撮像した運転者Dnの顔画像IMfnと、データベース12に予め格納された運転者情報DInに含まれる顔画像DI2nとを照合することで、運転者Dnを特定する。
【0044】
なお、プロセッサ14は、顔画像IMfnの画像データと、データベース12に格納された顔画像DI2nの画像データとを照合してもよいし、又は、顔画像IMfnの画像データから抽出した運転者Dnの顔の特徴点をコード化した特徴量情報を取得し、該特徴量情報と、データベース12に格納された顔画像DI2nの特徴量情報とを照合してもよい。
【0045】
さらに他の例として、通信機32は、運転者Dnが所有する携帯機と通信し、該携帯機に入力された運転者Dnの生体情報(例えば、指紋情報)を受信する。プロセッサ14は、通信機32を通して運転者Dnの生体情報を取得し、該生体情報と、データベース12に予め格納された運転者情報DInに含まれる生体情報DI3nとを照合することで、運転者Dnを特定する。
【0046】
さらに他の例として、センサ28は、運転者シートに内蔵され、着座した運転者Dnの体重Wを検出する重量センサを有してもよい。この場合において、プロセッサ14は、運転者Dnの生体情報DI3nとして、重量センサが検出した体重Wを取得し、該体重Wと、データベース12に生体情報DI3nとして予め格納された体重Wnとを照合することで、運転者Dnを特定してもよい。
【0047】
ステップS2において、プロセッサ14は、ステップS1で特定した運転者Dnの運転状態判定値DVnを取得する。具体的には、プロセッサ14は、ステップS1で特定した運転者Dnの運転者情報DInと関連付けてデータベース12に格納されている運転状態判定値DVnを、該データベース12から検索して取得する。
【0048】
例えば、ステップS1で上述の表1中の1番目の運転者D1を特定したとすると、プロセッサ14は、このステップS2において、該運転者D1の運転者情報DI1に関連付けられた運転状態判定値DV1(具体的には、基準顔向き方向α0_1及び閾値φth_1、基準開度β0_1及び閾値βth_1等)を、データベース12から検索して取得する。
【0049】
ステップS3においては、プロセッサ14は、車両20の運転が開始されたか否かを判定する。例えば、プロセッサ14は、このステップS3において、車両20のエンジンの回転数、又は車両20の速度が予め定めた閾値を超えたときにYESと判定してもよい。プロセッサ14は、YESと判定した場合はステップS4へ進む一方、NOと判定した場合はステップS10へ進む。
【0050】
ステップS4において、プロセッサ14は、運転状態パラメータPR、及び車両情報CIの取得を開始する。具体的には、プロセッサ14は、撮像装置26を動作させて、運転中の運転者Dnの顔を連続的(例えば、周期的)に撮像し、撮像装置26が撮像した運転者Dnの顔画像IMfn(具体的には、画像データ、又は該画像データから抽出した特徴点をコード化した特徴量情報)に基づいて、該運転者Dnの運転状態パラメータPRとして、該運転者Dnの顔向き方向α、眼の開度β、目の瞬き頻度γ、口の開閉頻度ε、及び視線方向δを取得する。
【0051】
顔向き方向αは、撮像装置26が撮像した顔画像IMf
nに基づいて求められる。
図4に、顔画像IMf
nの一例を示す。プロセッサ14は、顔画像IMf
nを解析することで、顔画像IMf
nに写る運転者D
nの顔向き方向αを演算により求める。具体的には、プロセッサ14は、顔画像IMf
nの写る顔の両目の外端及び鼻の先端を特徴点として抽出し、抽出した両目の外端及び鼻の先端の特徴点の位置関係に基づいて、顔向き方向αを求めることができる。
【0052】
一方、眼の開度βは、例えば、瞼間の距離、又は眼の面積として求められる。瞬き頻度γは、所定時間(例えば、10秒)における瞬きの回数として求められる。また、開閉頻度εは、所定時間(例えば、10秒)における口の開閉回数として求められる。また、視線方向δは、
図4に示すように、顔画像IMf
nに写る運転者D
nの瞳の位置から求められ得る。
【0053】
また、プロセッサ14は、車両情報CIとして、車両20の運転中にセンサ28が検出した操舵角λ、速度V、及び環境画像IMsと、GPS信号から求めた位置情報PIとを、連続的(例えば、周期的)に取得する動作を開始する。こうして、プロセッサ14は、運転状態パラメータPR(つまり、顔向き方向α、開度β、瞬き頻度γ、開閉頻度ε、視線方向δ)と、車両情報CI(操舵角λ、速度V、環境画像IMs、位置情報PI)とを、車両20の運転中に連続的に取得する。
【0054】
ステップS5において、プロセッサ14は、直近に取得した運転者D
nの運転状態パラメータPRと、この時点で設定されている運転者D
nの運転状態判定値DV
nとを用いて、該運転者D
nの運転状態DCが適切であるか否かを判定する。なお、
図3のフローを開始後、第1回目のステップS5を実行する場合、プロセッサ14は、上述のステップS2で取得した運転者D
nの運転状態判定値DV
nを用いて、運転状態DCの適否を判定する。
【0055】
一例として、プロセッサ14は、運転状態パラメータPRとしての顔向き方向αと、運転状態判定値DVnとしての基準顔向き方向α0_n及び閾値φth_nとを用いて、基準顔向き方向α0_nに対する、運転者Dnの顔向き方向αの角度φを求め、該角度φが閾値φth_n以下(φ≦φth_n)であるか否かを判定する。プロセッサ14は、φ≦φth_nである場合に、運転者Dnが車両20の前方を適切に視認して運転している(すなわち、YES)と判定する。
【0056】
また、プロセッサ14は、運転状態パラメータPRとしての眼の開度βと、運転状態判定値DVnとしての基準開度β0_n及び閾値βth_nとを用いて、開度βが閾値βth_n以上(β≧βth_n)であるか否かを判定する。この閾値βth_nは、基準開度β0_nを基準として、例えば、βth_n=ζβ0_n(但し、ζは、0<ζ<1の係数)なる式から定められ得る。プロセッサ14は、β≧βth_nである場合に、運転者Dnが居眠りせずに適切に開眼して運転している(すなわち、YES)と判定する。
【0057】
また、プロセッサ14は、運転状態パラメータPRとしての瞬き頻度γ及び開閉頻度εと、運転状態判定値DVnとしての基準瞬き頻度γ0_n及び閾値γth_n、並びに、基準開閉頻度ε0_n及び閾値εth_nとを用いて、瞬き頻度γ及び開閉頻度εが、閾値γth_n及びεth_n以下(γ≦γth_n、且つ、ε≦εth_n)であるか否かを判定する。
【0058】
閾値γth_n及びεth_nは、基準瞬き頻度γ0_n及び基準開閉頻度ε0_nを基準として、例えば、γth_n=ζγ0_n、及び、εth_n=ζε0_n(但し、ζは、0<ζ<1の係数)なる式から定められる。プロセッサ14は、γ≦γth_n、且つ、ε≦εth_nである場合、運転者Dnが適切な健康状態で運転している(すなわち、YES)と判定する。プロセッサ14は、YESと判定した場合はステップS6へ進む一方、NOと判定した場合はステップS9へ進む。
【0059】
ステップS6において、プロセッサ14は、車両情報CI(操舵角λ、速度V、環境画像IMs、位置情報PI)に基づいて、運転者Dnが車両20の前方を見ているか否かを推定する。具体的には、プロセッサ14は、操舵角λ、環境画像IMsに写る車線、及び車両20の位置情報PIの少なくとも1つに基づいて、車両20が直線道路を走行しているか否かを判定する。車両20が直線道路を走行しているとき、運転者Dnは、車両20の前方を見ていると推定できる。
【0060】
また、プロセッサ14は、車両20の速度Vが予め定められた閾値Vth以上(V≧Vth)であるか否かを判定する。車両20が高速走行しているとき、運転者Dnは、車両20の前方を見ていると推定できる。プロセッサ14は、車両20が直線道路を走行しているか、又は、高速走行している場合に、運転者Dnが車両20の前方を見ている(すなわち、YES)と判定し、ステップS7へ進む。一方、プロセッサ14は、NOと判定した場合はステップS8へ進む。なお、プロセッサ14は、運転状態パラメータPRとして取得した運転者Dnの視線方向δにさらに基づいて、運転者Dnが車両20の前方を見ているか否かを推定してもよい。
【0061】
ステップS7において、プロセッサ14は、ステップS6でYESと判定したときに取得した運転状態パラメータPRに基づいて、運転者Dnの運転状態判定値DVnを更新する。一例として、プロセッサ14は、運転状態判定値DVnとしてデータベース12に格納されていた基準顔向き方向α0_nを、ステップS6でYESと判定したときに運転状態パラメータPRとして取得した顔向き方向αに置換することで、該基準顔向き方向α0_nを更新する。また、プロセッサ14は、更新後の基準顔向き方向α0_nを基準として閾値φth_nを新たに設定することで、該閾値φth_nを更新する。
【0062】
他の例として、プロセッサ14は、運転状態判定値DVnとしてデータベース12に格納されていた基準開度β0_nを、ステップS6でYESと判定したときに運転状態パラメータPRとして取得した開度βに置換することで、該基準開度β0_nを更新する。また、プロセッサ14は、更新後の基準開度β0_nを基準として、例えば、βth_n=ζβ0_nなる式から閾値βth_nを新たに設定することで、該閾値βth_nを更新する。
【0063】
同様に、プロセッサ14は、運転状態判定値DVnとして基準瞬き頻度γ0_n及び閾値γth_n、及び、基準開閉頻度ε0_n及び閾値εth_nを、ステップS6でYESと判定したときに運転状態パラメータPRとして取得した瞬き頻度γ及び開閉頻度εに置換することで更新してもよい。
【0064】
プロセッサ14は、更新した運転状態判定値DVn(基準顔向き方向α0_n及び閾値φth_n、基準開度β0_n及び閾値βth_n、基準瞬き頻度γ0_n及び閾値γth_n、基準開閉頻度ε0_n及び閾値εth_n等)を、運転者情報DInと関連付けて、データベース12に格納する。こうして、データベース12に格納される運転状態判定値DVnが、運転状態パラメータPRに基づいて更新される。
【0065】
ステップS8において、プロセッサ14は、車両20の内装に設けられたエンジンスタートボタン(図示せず)がOFFにされたか否かを判定する。プロセッサ14は、YESと判定した場合は
図3に示すフローを終了する一方、NOと判定した場合は、ステップS5へ戻る。
【0066】
一方、ステップS5でNOと判定した場合、ステップS9において、プロセッサ14は、警告信号AL1を生成する。例えば、プロセッサ14は、ステップS5で角度φが閾値φth_nよりも大きい(φ>φth_n)ことによってNOと判定した場合、このステップS9において、「脇見運転の可能性があります。車両前方を見てください」という画像又は音声の警告信号AL1を生成してもよい。
【0067】
代替的には、ステップS5で開度βが閾値βth_nよりも小さい(β<βth_n)ことによってNOと判定した場合、プロセッサ14は、このステップS9において、「居眠り運転の可能性があります。休憩を取ってください」という画像又は音声の警告信号AL1を生成してもよい。プロセッサ14は、画像又は音声の形式で生成した警告信号AL1を、HMI30のディスプレイ又はスピーカを通して運転者Dnに出力する。
【0068】
一方、ステップS3でNOと判定した場合、プロセッサ14は、ステップS10において、上述のステップS8と同様に、エンジンスタートボタンがOFFにされたか否かを判定する。プロセッサ14は、YESと判定した場合は
図3に示すフローを終了する一方、NOと判定した場合はステップS3へ戻る。
【0069】
以上のように、本実施形態においては、プロセッサ14は、データベース12と、撮像装置26が撮像した画像とを用いて、運転状態DCの適否を判定している。したがって、プロセッサ14、データベース12、及び撮像装置26は、運転状態DCの適否を判定するドライバモニタシステム10(
図2)を構成する。
【0070】
本実施形態においては、プロセッサ14は、取得した運転状態パラメータPRに基づいて運転状態判定値DVnを更新し、更新した運転状態判定値DVnを、運転者情報DInに関連付けてデータベース12に格納している(ステップS7)。この構成によれば、運転状態判定値DVnを、運転者Dnの運転傾向を加味して、該運転者Dn毎に更新できる。
【0071】
より具体的には、例えば、第1の運転者D
1は、車両20の前方を見て適切に運転しているとき、
図4に示すように、その顔向き方向αが車両20の前方を向く運転傾向を有する一方、第2の運転者D
2は、車両20の前方を見て適切に運転しているとき、
図5に示すように、その顔向き方向αが、やや車両20の側方に向く運転傾向を有する場合がある。
【0072】
このように、運転傾向が個々の運転者Dnに応じて変化するような場合において、本実施形態によれば、運転状態判定値DVnを運転者Dn毎に更新していることから、運転者Dnの運転傾向を加味して運転状態判定値DVnを更新できる。この構成によれば、ステップS5における運転状態DCの適否の判定を、運転者Dnに応じて、より高精度に実行できるようになる。
【0073】
また、本実施形態においては、ドライバモニタシステム10は、運転中の運転者Dnの顔を撮像する撮像装置26を備え、プロセッサ14は、撮像装置26が撮像した運転者Dnの顔画像IMfnに基づいて、該運転者Dnの運転状態パラメータPR(顔向き方向α、開度β、瞬き頻度γ、開閉頻度ε、視線方向δ等)を取得している(ステップS4)。この構成によれば、運転者Dnの運転状態DCを高度に表す運転状態パラメータPRを取得できる。
【0074】
また、本実施形態においては、プロセッサ14は、運転中の車両20の挙動を表す車両情報CIに基づいて、運転者Dnが車両20の前方を見ているか否かを推定し、前方を見ていると推定した(つまり、ステップS6でYESと判定した)ときに取得した運転状態パラメータPRに基づいて、運転状態判定値DVnを更新している(ステップS7)。この構成によれば、運転者Dnが車両20の前方を見ている状態を基準として運転状態判定値DVnを更新できるので、該運転状態判定値DVnを、運転者Dnの運転傾向を加味して改良することができる。
【0075】
また、本実施形態においては、車両情報CIは、車両20のステアリングの操舵角λ、車両20の速度V、車両20の周囲を撮像した環境画像IMs、及び、車両20の位置情報PIの少なくとも1つを有する。この構成によれば、ステップS6で運転者Dnが車両20の前方を見ているか否かを、より高精度に推定できる。
【0076】
また、本実施形態においては、運転状態判定値DVnは、車両20の前方を見る運転者Dnの顔向き方向αを基準として定められる基準顔向き方向α0_n、及び、該基準顔向き方向α0_nに対する顔向き方向αの角度φの閾値φth_nを有する。又は、運転状態判定値DVnは、運転者Dnが眼を開いているときの開度βを基準として定められる基準開度β0_n、及び、該基準開度β0_nを基準として定められる開度βの閾値βth_nを有する。
【0077】
この構成によれば、運転状態判定値DVnとして、運転者Dnの運転傾向に高度に相関する基準顔向き方向α0_n及び閾値φth_n、又は、基準開度β0_n及び閾値βth_nを、運転者Dnに固有のデータとして、データベース12に格納できる。これにより、運転状態DCの適否の判定を、運転者Dnの運転傾向に応じて、より高精度に実行できるようになる。
【0078】
また、本実施形態においては、運転者情報DInは、運転者Dnの顔画像IMfnを有し、ドライバモニタシステム10は、運転前に運転者Dnの顔を撮像する撮像装置26を備える。そして、プロセッサ14は、撮像装置26によって撮像された顔画像IMfnと、データベース12に運転者情報DInとして予め格納された顔画像DI2nとを照合することで、運転者Dnを特定している。この構成によれば、車両20の運転者Dnが認証されている者である否か、高精度に特定できる。
【0079】
なお、上述のステップS7において、プロセッサ14は、運転者Dnの運転中に繰り返し取得した複数の運転状態パラメータPRに基づいて、運転状態判定値DVnを更新してもよい。一例として、プロセッサ14は、ステップS6でYESと判定する毎に、運転状態パラメータPRとして、顔向き方向α1、α2、α3、・・・αmを繰り返し取得する。
【0080】
そして、プロセッサ14は、ステップS7において、これまでに取得した複数の顔向き方向αmを用いて、新たな基準顔向き方向α0_nを所定の演算により求めてもよい。例えば、プロセッサ14は、取得した複数の顔向き方向αmの加重平均αm’を演算し、データベース12に格納されていた基準顔向き方向α0_nを、求めた加重平均αm’に置換することで更新してもよい。同様に、プロセッサ14は、基準開度β0_n、基準瞬き頻度γ0_n、又は基準開閉頻度ε0_n等を、複数の開度βm、頻度γm、又は頻度εmの加重平均βm’、γm’、又はεm’を演算することで、更新してもよい。
【0081】
このように、本実施形態においては、プロセッサ14は、複数の運転状態パラメータPRから、新たな運転状態判定値αm’、βm’、γm’、又はεm’を所定の演算(例えば、加重平均)により求め、該新たな運転状態判定値αm’、βm’、γm’、又はεm’によって運転状態判定値DVnを更新する。この構成によれば、運転者Dnの過去の運転傾向を効果的に加味して、運転状態判定値DVnを更新できる。
【0082】
なお、プロセッサ14は、ステップS6でYESと判定したときに取得した運転状態パラメータPRに対し、ステップS6でYESと判定したときに撮像された運転者Dnの顔画像IMfn、ステップS6でYESと判定したときに取得した運転状態パラメータPR、又は、ステップS6でYESと判定したときに取得した車両情報CIに応じた重み付け係数ηを付与してもよい。
【0083】
一例として、プロセッサ14は、撮像された顔画像IMfnを画像解析し、運転者Dnが眼鏡又はサングラスを装着しているか否かを判定する。プロセッサ14は、運転者Dnが眼鏡又はサングラスを装着していると判定した場合は、ステップS6でYESと判定したときに取得した運転状態パラメータPR(例えば、顔向き方向α)に対し、第1の重み付け係数η1を付与する一方、運転者Dnが眼鏡又はサングラスを装着していないと判定した場合は、該運転状態パラメータPRに対し、第1の重み付け係数η1よりも高い第2の重み付け係数η2(>η1)を付与する。
【0084】
他の例として、プロセッサ14は、撮像された顔画像IMfnを画像解析し、運転者Dnの着座位置(換言すれば、撮像された顔画像IMfnに写る運転者Dnの顔の画像中の位置)が適切である否かを判定する。プロセッサ14は、着座位置が不適切であると判定した場合は、ステップS6でYESと判定したときに取得した運転状態パラメータPRに対し第1の重み付け係数η1を付与する一方、着座位置が適切である(例えば、運転者Dnの顔が顔画像IMfnの中央領域に配置されている)と判定した場合は、該運転状態パラメータPRに対し、第1の重み付け係数η1よりも高い第2の重み付け係数η2を付与する。
【0085】
さらに他の例として、プロセッサ14は、ステップS6でYESと判定したときに取得した運転状態パラメータPR(例えば、顔向き方向α)が、所定の基準値PRr_nよりも大きい(又は、小さい)場合は、該運転状態パラメータPRに対して第1の重み付け係数η1を付与する一方、所定の基準値PRr_n以下(又は、以上)である場合は、該運転状態パラメータPRに対し、第1の重み付け係数η1よりも高い第2の重み付け係数η2を付与する。
【0086】
より具体的には、プロセッサ14は、ステップS6でYESと判定したときに運転状態パラメータPRとして顔向き方向αを取得した場合、基準顔向き方向α0_nに対する該顔向き方向αの角度φが、所定の基準値φr_nよりも大きく、且つ上述の閾値φth_n以下の範囲内(φr_n<φ≦φth_n)である場合は、取得した顔向き方向αに対し第1の重み付け係数η1を付与する一方、角度φが基準値φr_n以下(φ≦φr_n)である場合は、取得した該顔向き方向αに対し、より高い第2の重み付け係数η2を付与する。
【0087】
代替的には、プロセッサ14は、ステップS6でYESと判定したときに運転状態パラメータPRとして眼の開度βを取得した場合、該開度βが、上述の閾値βth_n以上、且つ所定の基準値βr_nよりも小さい範囲内(βth_n≦β<βr_n)である場合は、取得した開度βに対し第1の重み付け係数η1を付与する一方、開度βが基準値βr_n以上(βr_n≦β)である場合は、取得した該開度βに対し、より高い第2の重み付け係数η2を付与する。
【0088】
重み付け係数ηのための基準値PRr_n(例えば、顔向き方向αに関する基準値φr_n、又は、開度βに関する基準値βr_n)は、運転者Dnの運転状態DCが、ステップS5の判定に用いた閾値(例えば、閾値φth_n又はβth_n)よりも適切であることを示す値(具体的には、φr_n<φth_nの値、又は、βth_n<βr_nの値)として、定められ得る。こうして、プロセッサ14は、ステップS6でYESと判定したときに取得した運転状態パラメータPRに応じた重み付け係数η1又はη2を、該運転状態パラメータPRに付与する。
【0089】
さらに他の例として、プロセッサ14は、ステップS6でYESと判定したときに車両情報CIとして取得した操舵角λが所定の基準値λr_nよりも大きい(又は、速度Vが所定の基準値Vr_nよりも小さい)場合は、ステップS6でYESと判定したときに取得した運転状態パラメータPRに対して第1の重み付け係数η1を付与する一方、操舵角λが基準値λr_n以下である(又は、速度Vが基準値Vr_n以上である)場合は、該運転状態パラメータPRに対し、より高い第2の重み付け係数η2を付与する。こうして、プロセッサ14は、ステップS6でYESと判定したときに取得した車両情報CIに応じた重み付け係数η1又はη2を、運転状態パラメータPRに付与する。
【0090】
なお、重み付け係数ηを付与するために参照した運転状態パラメータPRの基準値PRr_n(例えば、顔向き方向αの基準値φr_n)、又は、車両情報CIの基準値(例えば、操舵角λの基準値λr_n)は、運転者情報DInに関連付けて、データベース12にさらに格納されてもよい。
【0091】
すなわち、この場合、データベース12には、運転状態判定値DVnと、重み付け係数ηのための基準値PRr_n又はλr_nとが、運転者情報DInに関連付けて格納されることになる。そして、プロセッサ14は、上述のステップS7において、ステップS6でYESと判定する毎に繰り返し取得した複数の運転状態パラメータPRに個別に付与された重み付け係数ηを加味して、運転状態判定値DVnを更新してもよい。
【0092】
例えば、プロセッサ14は、ステップS6でYESと判定する毎に、運転状態パラメータPRとして顔向き方向αm(m=1,2,3・・・)を取得し、取得した顔向き方向αmに対し、上述のように重み付け係数η1又はη2を付与したとする。この場合、プロセッサ14は、各々の顔向き方向αmに重み付け係数η1又はη2を乗算した値の加重平均αm’を演算し、データベース12に格納されていた基準顔向き方向α0_nを、求めた加重平均αm’に置換することで更新してもよい。
【0093】
代替的には、プロセッサ14は、ステップS6でYESと判定する毎に、運転状態パラメータPRとして開度βm(m=1,2,3・・・)を取得し、取得した開度βmに対し、上述のように重み付け係数η1又はη2を付与したとする。この場合、プロセッサ14は、各々の開度βmに重み付け係数η1又はη2を乗算した値の加重平均βm’を演算し、データベース12に格納されていた基準開度β0_nを、求めた加重平均βm’に置換することで更新してもよい。このように、ステップS7において重み付け係数ηを加味して運転状態判定値DVnを更新することで、運転状態判定値DVnを、さらに効果的に最適化できる。
【0094】
なお、上述の表1では、データベース12に複数の運転者Dnの運転者情報DInと運転状態判定値DVnとが既に格納されている例について述べた、しかしながら、最初の段階では、データベース12に運転者情報DIn及び運転状態判定値DVnが格納されていない場合があり得る。
【0095】
この場合、初期値として共通の運転状態判定値DV0がメモリ34に予め格納されていてもよい。そして、上述のステップS1において、運転者Dnの運転者情報DIn(例えば、運転者Dnの携帯機から取得した識別コード、又は、撮像装置26が撮像した運転者Dnの顔画像等)を取得する。次いで、ステップS2において、プロセッサ14は、メモリ34から初期値としての運転状態判定値DV0を取得し、第1回目に実行するステップS5において、該運転状態判定値DV0を用いて運転状態DCの適否を判定してもよい。
【0096】
そして、第1回目に実行するステップS7において、プロセッサ14は、直近のステップS6でYESと判定したときに取得した運転状態パラメータPRに基づいて、該運転状態判定値DV0を更新し、更新後の運転状態判定値DVnを、ステップS1で取得した運転者Dnの運転者情報DInと関連付けて、データベース12に格納してもよい。
【0097】
また、上述のステップS7において、プロセッサ14は、更新後の運転状態判定値DVnを、一旦、メモリ34のRAMに記憶してもよい。この場合、プロセッサ14は、ステップS8でNOと判定してステップS5~S9のループを繰り返し実行している間、ステップS5を実行するときに、メモリ34のRAMに記憶した運転状態判定値DVnを参照して、運転状態DCの適否を判定してもよい。そして、ステップS8でYESと判定したときに、直近のステップS7で更新した運転状態判定値DVnを、運転者情報DInと関連付けてデータベース12に格納し、メモリ34のROMに記憶してもよい。
【0098】
次に、
図6を参照して、車両20の動作の他の例について説明する。なお、
図6に示すフローにおいて、
図3に示すフローと同様のプロセスには同じステップ番号を付し、重複する説明を省略する。
図6に示すフローの開始後、ステップS11において、プロセッサ14は、新規の運転者情報DI
n+1を登録する入力操作を受け付けたか否かを判定する。
【0099】
具体的には、新規の運転者Dn+1が、HMI30を操作して、運転者情報DIn+1を新規登録する入力操作をしたとする。この場合、プロセッサ14は、HMI30のディスプレイに、新規登録操作画像IMeを表示させる。運転者Dn+1は、HMI30の入力装置(例えば、タッチパネル)を操作し、ディスプレイに表示された新規登録操作画像IMeを通して、運転者情報DIn+1を新規登録するための入力をプロセッサ14に与える。プロセッサ14は、このステップS11において、運転者情報DIn+1の入力操作を受け付けた場合はYESと判定し、ステップS12へ進む一方、NOと判定した場合はステップS1へ進む。
【0100】
ステップS12において、プロセッサ14は、撮像装置26を動作させて、運転者Dn+1の顔を撮像する。このとき、撮像装置26が運転者Dn+1の正面顔を撮像可能とするように、プロセッサ14は、HMI30を通して、運転者Dn+1に撮像装置26の方向を向かせるためのガイド情報を、新規登録操作画像IMeに画像として表示するか、又は音声としてスピーカから出力してもよい。プロセッサ14は、撮像装置26によって撮像された運転者Dn+1の顔画像IMfn+1(画像データ、又は該画像データから抽出した特徴点をコード化した特徴量情報)を、運転者情報DIn+1に含まれる新たな顔画像DI2n+1として、データベース12に新規登録する。
【0101】
ステップS13において、プロセッサ14は、運転状態判定値DVn+1の初期値を設定する。例えば、プロセッサ14は、ステップS12で撮像した運転者Dn+1の顔画像IMfn+1(つまり、運転者情報DIn+1として新規登録された顔画像DI2n+1)から、運転者Dn+1の顔向き方向α及び開度βを求め、該顔向き方向α及び開度βを、運転状態判定値DVn+1の基準顔向き方向α0_n+1及び基準開度β0_n+1として新たに設定する。
【0102】
また、プロセッサ14は、新たに設定した基準顔向き方向α0_n+1に対して新たな閾値φth_n+1を設定するとともに、新たに設定した基準開度β0_n+1に対して新たな閾値βth_n+1を設定してもよい。プロセッサ14は、設定した運転状態判定値DVn+1の初期値(例えば、基準顔向き方向α0_n+1及び閾値φth_n+1、基準開度β0_n+1及び閾値βth_n+1)を、運転者情報DIn+1に関連付けて、データベース12に格納する。
【0103】
ステップS13の後、プロセッサ14は、
図3のフローと同様に、ステップS1~S10を順次実行し、ステップS7において、直近のステップS6でYESと判定したときに取得した運転状態パラメータPRに基づいて、この時点で設定されている運転者D
n+1の運転状態判定値DV
n+1の初期値を更新する。
【0104】
本実施形態によれば、プロセッサ14は、運転者情報DI
n+1の新規登録のために撮像した顔画像IMf
n+1に基づいて、運転状態判定値DV
n+1の初期値を自動で設定できる。なお、
図6中のステップS7において、プロセッサ14は、運転状態判定値DV
nの一部を更新する一方、運転状態判定値DV
nの一部を更新せずに、ステップS13で設定した初期値を維持してもよい。
【0105】
例えば、プロセッサ14は、ステップS7において、基準顔向き方向α0_n及びφth_n、基準瞬き頻度γ0_n及び閾値γth_n、並びに、基準開閉頻度ε0_n及び閾値εth_nを更新する一方で、基準開度β0_n及び閾値βth_nを更新せずに、ステップS13で運転者Dnに関して設定した基準開度β0_n及び閾値βth_nの初期値を維持してもよい。
【0106】
ここで、ステップS12で新規登録のために顔画像IMfnを撮像するとき、運転者Dnは、目を通常状態で開いていると推定される。よって、ステップS7で基準開度β0_n及び閾値βth_nを更新せずに初期値に維持することで、開度βに基づく運転状態DCの適否の判定を、より高精度に実行できる。
【0107】
なお、
図6に示すフローから、ステップS13及びS2を省略してもよい。この場合、プロセッサ14は、第1回目に実行するステップS7において、取得した運転状態パラメータPR(例えば、顔向き方向α)に基づいて、運転状態判定値DV
n(例えば、基準顔向き方向α
0_n及び閾値φ
th_n)の初期値を設定する。そして、プロセッサ14は、第2回目以降にステップS7を実行する毎に、運転状態判定値DV
nを更新する。
【0108】
なお、上述の実施形態においては、上述のステップS11~S13でプロセッサ14が、新規の運転者Dn+1の入力操作に応じて運転者情報DIn+1を新規登録する場合について述べた。しかしながら、プロセッサ14は、運転者Dn+1の入力操作を受け付けることなく、運転者情報DIn+1を自動で新規登録してもよい。
【0109】
具体的には、プロセッサ14は、
図3のフローのステップS1において、撮像装置26を動作させて、車両20に乗り込んだ新規の運転者D
n+1の顔を撮像し、該運転者D
n+1の顔画像IMf
n+1と、データベース12に運転者情報DI
nとして格納されている顔画像DI2
nとを照合する。その結果、プロセッサ14は、車両20に乗り込んだ運転者D
n+1が、データベース12に予め格納された運転者情報DI
nに含まれていないことを認識したとする。
【0110】
この場合において、プロセッサ14は、撮像した顔画像IMfn+1を、新規の運転者Dn+1の運転者情報DIn+1として、データベース12に新たに書き込んでもよい。そして、プロセッサ14は、この運転者Dn+1の運転開始後、第1回目のステップS7を実行したときに、取得した運転状態パラメータPR(例えば、顔向き方向α)に基づいて、運転状態判定値DVn+1(例えば、基準顔向き方向α0_n+1及び閾値φth_n+1)の初期値を設定し、運転者情報DIn+1と関連付けて、データベース12に格納してもよい。
【0111】
この場合において、プロセッサ14は、新規の運転者Dn+1が、データベース12に登録済みの運転者Dnの運転者情報DInの少なくとも1つを保有していた場合にのみ、新たな運転者情報DIn+1をデータベース12に自動追加してもよい。例えば、新規の運転者Dn+1が、データベース12に予め登録されている2番目の運転者D2の識別コードDI12を記録した携帯機(例えば、スマートキー)を保有していたとする。
【0112】
この場合、プロセッサ14は、ステップS1において、車両20に乗り込んだ新規の運転者Dn+1を、データベース12に予め登録されている2番目の運転者D2として認識する一方、撮像装置26を動作させて、新規の運転者Dn+1の顔を撮像する。プロセッサ14は、撮像した運転者Dn+1の顔画像IMfn+1と、データベース12に2番目の運転者D2の運転者情報DI2として格納されている顔画像DI22とを照合した結果、車両20に乗り込んだ運転者Dn+1が、データベース12に登録された運転者D2とは別人であることを認識することになる。
【0113】
この場合に、プロセッサ14は、撮像した顔画像IMfn+1を、新規の運転者Dn+1の運転者情報DIn+1として、データベース12に新たに書き込んでもよい。このとき、データベース12には、運転者情報DIn+1として、顔画像IMfn+1と、2番目の運転者D2の識別コードDI12とが格納されてもよい。
【0114】
なお、プロセッサ14は、撮像した新規の運転者Dn+1の顔画像IMfn+1と、データベース12に格納された運転者情報DInの顔画像DI2nとを照合できなかった場合(換言すれば、上述のステップS1で正規の運転者Dnとして特定できなかった場合)、データベース12に運転者情報DInとして登録されている正規の運転者Dnの携帯機に、通信機32を通して、画像又は音声の警告信号AL2を送信してもよい。
【0115】
なお、上述の実施形態においては、運転状態パラメータPRとして、顔向き方向α、目の瞬き頻度γ、口の開閉頻度ε、及び視線方向δを例示した。しかしながら、運転状態パラメータPRは、例えば、運転中の運転者Dnの頭部の揺動量、又は、ステアリングの操舵角λの時間変化量(例えば、時間微分値:Δλ/Δt)等、運転者Dnの運転状態DCを定量的に表す如何なるパラメータを含んでもよい。
【0116】
なお、データベース12は、車両20のメモリ34に格納される形態に限らず、例えば、車両20の外部の管理サーバ(図示せず)に格納されてもよい。この場合、プロセッサ14は、通信機32を通して該管理サーバと通信し、該管理サーバからデータベース12の情報(すなわち、運転者情報DIn、及び運転状態判定値DVn)を取得してもよい。
【0117】
この場合において、プロセッサ14は、上述のステップS1において、撮像装置26によって撮像した運転者Dnの顔画像IMfnを、通信機32を通して管理サーバに送信し、該管理サーバが、受信した顔画像IMfnと、データベース12に予め格納された顔画像DI2nとを照合することで、運転者Dnを特定してもよい。以上、実施形態を通じて本開示を説明したが、上述の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0118】
10 ドライバモニタシステム
12 データベース
14 プロセッサ
20 車両
24 ECU
26 撮像装置