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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023162984
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/00 20060101AFI20231101BHJP
   B22D 41/00 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
B22D17/00 316
B22D41/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073743
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中尾 拡
(72)【発明者】
【氏名】兵藤 清岳
(57)【要約】
【課題】容器内のスラリーを金型内に充填する際に、スラリーが偏ることを抑制する技術を提供する。
【解決手段】投入された金属材料の溶湯を冷却することで半凝固スラリーを生成する容器は、底部と、外周部と、少なくとも1つの仕切り部と、を備える。底部は、底を構成する。外周部は、底部の外周部分に設けられ、底部の上方の空間を囲む壁である。仕切り部は、底部から上方に広がり、底部の広がる方向に沿って長さを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された金属材料の溶湯を冷却することで半凝固スラリーを生成する容器であって、
底を構成する底部と、
前記底部の外周部分に設けられ、前記底部の上方の空間を囲む壁である外周部と、
前記底部から上方に広がり、前記底部の広がる方向に沿って長さを有する少なくとも1つの仕切り部と、
を備える、容器。
【請求項2】
請求項1に記載の容器であって、
前記少なくとも1つの仕切り部は、当該容器の外側から内側に向かう方向に長さを有する、容器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の容器であって、
前記少なくとも1つの仕切り部は、長さ方向の一端が前記外周部に繋がっている、容器。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の容器であって、
前記少なくとも1つの仕切り部は、複数の仕切り部であり、
前記複数の仕切り部は、前記底部の特定の位置から前記外周部に向かうように放射状に配置される、容器。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の容器であって、
前記外周部は、前記外周部における第1位置と第2位置の間の距離が、前記容器の深さよりも大きい前記第1位置及び前記第2位置を有するように構成されている、容器。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の容器であって、
前記仕切り部は、上方に凸となるように前記底部が隆起した形状に構成されている、容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半凝固スラリーを生成する容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、金属材料の溶湯の横方向回転流れに交差するように溶湯中に挿入され、溶湯の横方向回転流れに乱れを与えて溶湯の流動を抑制する底付管が配設された長小判型のスラリー容器が開示されている。底付管により、スラリー容器内の溶湯の層流の流れを減速させることで、スラリー容器からの溶湯の飛び出し等を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-1071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のスラリー容器内のスラリーを金型内に充填する際に、スラリー容器を反転させると、スラリー容器内でスラリーが偏ってしまうという問題があった。
本開示の一局面は、容器内のスラリーを金型内に充填する際に、スラリーが偏ることを抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、投入された金属材料の溶湯を冷却することで半凝固スラリーを生成する容器であって、底部と、外周部と、少なくとも1つの仕切り部と、を備える。底部は、底を構成する。外周部は、底部の外周部分に設けられ、底部の上方の空間を囲む壁である。仕切り部は、底部から上方に広がり、底部の広がる方向に沿って長さを有する。このような構成によれば、容器内の半凝固スラリーを金型内に充填するために容器を反転させたときに、少なくとも1つの仕切り部により半凝固スラリーが容器の内部を移動することを抑制できる。よって、容器内の半凝固スラリーを金型内に充填する際に、容器を反転させる過程で容器の端に半凝固スラリーが偏ることを抑制できる。
【0006】
本開示の一態様では、少なくとも1つの仕切り部は、当該容器の外側から内側に向かう方向に長さを有してもよい。このような構成によれば、少なくとも1つの仕切り部は、壁から交差するように延びる。よって、容器の内部空間を適度に仕切ることができる。
【0007】
本開示の一態様では、少なくとも1つの仕切り部は、長さ方向の一端が外周部に繋がっていてもよい。このような構成によれば、少なくとも1つの仕切り部の一端が壁に固定される。よって、少なくとも1つの仕切り部の強度が高くなるため、荷重が加えられたときに底に対して傾くことを抑制できる。
【0008】
本開示の一態様では、少なくとも1つの仕切り部は、複数の仕切り部であってもよい。複数の仕切り部は、底部の特定の位置から外周部に向かうように放射状に配置されてもよい。このような構成によれば、複数の仕切り部で容器の内部空間を放射状に分割できる。よって、偏りなく溶湯を容器に流し込むことができる。
【0009】
本開示の一態様では、外周部は、外周部における第1位置と第2位置の間の距離が、容器の深さよりも大きい第1位置及び第2位置を有するように構成されていてもよい。このような構成によれば、容器は、容器の深さよりも容器の幅の大きさの方が大きい部分を有する。よって、全体的に容器の幅の大きさよりも容器の深さの方が大きい容器と比較して、投入された金属材料の溶湯が、容器と触れる接触面積が増加して、より吸熱されて冷めやすくなる。
【0010】
本開示の一態様では、仕切り部は、上方に凸となるように底部が隆起した形状に構成されていてもよい。このような構成によれば、容器の表面積が増加して容器の熱容量が増えるため、投入された金属材料の溶湯がより吸熱されて冷めやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の容器の斜視図である。
図2図2Aは第1実施形態の容器の平面図であり、図2Bは第1実施形態の容器の右側面図であり、図2Cは第1実施形態の容器の正面図であり、図2DはIID-IID線での端面図であり、図2EはIIE-IIE線での端面図である。
図3】第2実施形態の容器の斜視図である。
図4図4Aは第2実施形態の容器の平面図であり、図4Bは第2実施形態の容器の右側面図であり、図4Cは第2実施形態の容器の正面図であり、図2DはIVD-IVD線での端面図である。
図5】変形例の容器の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す容器1は、投入された金属材料の溶湯を冷却することで半凝固スラリーを生成する容器である。容器1は、一例として、ステンレスで形成されている。半凝固スラリーとは、固相と液相とが共存する金属材料である。半凝固スラリーの金属の種類は特に限定されないが、一例として、アルミニウム合金が用いられる。容器1は、底部2と、外周部3と、第1仕切り部4と、第2仕切り部5と、第3仕切り部6と、を備える。以下、容器1を平面視したときにおいて第1仕切り部4がある方向を後方とし、第1仕切り部4とは反対側の三角形の頂点がある方向を前方とする。また、第2仕切り部5がある方向を左方とし、第3仕切り部6がある方向を右方とする。また、容器1の深さ方向を上下方向とする。なお、これらの方向は説明の便宜上用いているに過ぎず、本開示の実施の態様について何ら限定するものではない。
【0013】
底部2は、容器1の底を構成する。底部2は、板状の部材である。底部2は、平面視で略三角形の形状を有する。略三角形の頂点は、丸みを帯びている。
外周部3は、底部2の外周部分に設けられ、底部2の上方の空間を囲む壁である。外周部3は、上方に向かうに従って、容器1の外側に若干傾斜している。容器1は、容器1の深さよりも容器1の幅の大きさの方が大きい部分を有するように構成されている。つまり、容器1は、扁平な形状に構成されている。具体的には、外周部3における第1位置3Aと第2位置3Bとの間の距離が、容器1の深さよりも大きい第1位置3A及び第2位置3Bを有するように構成されている。なお、第1位置3A及び第2位置3Bは図1の位置に限定されず、外周部3のいずれかにそのような2点があればよい。
【0014】
第1仕切り部4、第2仕切り部5及び第3仕切り部6は、底部2から上方に広がり、底部2の広がる方向に沿って長さを有する仕切りである。第1仕切り部4、第2仕切り部5及び第3仕切り部6は、容器1の外側から内側に向かう方向に長さを有する。第1仕切り部4、第2仕切り部5及び第3仕切り部6の上下方向の長さは、外周部3の上下方向の長さよりも若干短い。第1仕切り部4、第2仕切り部5及び第3仕切り部6は、底部2の特定の位置2Aから外周部3に向かうように放射状に配置される。一例として、特定の位置2Aとは、外周部3のいずれの位置からも間隔を空けた、底部2における位置である。本実施形態では、底部2の三角形の重心2Cから、若干右方に寄った位置に特定の位置2Aが設定されている。
【0015】
第1仕切り部4は、容器1の下方から容器1の特定の位置2Aに向かって長さを有する。第1仕切り部4の下方の一端は、外周部3に繋がっている。第2仕切り部5は、容器1の左方から容器1の特定の位置2Aに向かって長さを有する。第2仕切り部5の左方の一端は、外周部3に繋がっている。第3仕切り部6は、容器1の右方から容器1の特定の位置2Aに向かって長さを有する。第3仕切り部6の右方の一端は、外周部3に繋がっている。
【0016】
第1仕切り部4は、第2仕切り部5及び第3仕切り部6と直角に配置されている。第1仕切り部4における外周部3に繋がっている一端とは反対側の一端は、第2仕切り部5及び第3仕切り部6から間隔を空けて配置される。第2仕切り部5と第3仕切り部6とは同一直線上に配置されている。第2仕切り部5と第3仕切り部6における外周部3に繋がっている一端とは反対側の一端同士は、間隔を空けて配置される。
【0017】
第1仕切り部4、第2仕切り部5及び第3仕切り部6は、上方に凸となるように底部2が隆起した形状に構成されている。第1仕切り部4、第2仕切り部5及び第3仕切り部6は、下方から見たときに窪んだ形状に構成されている。第1仕切り部4の前後方向を法線方向とする平面による断面は、Vの字を逆さまにした形状である。図2A~2Eに示されるように、第1仕切り部4は、左壁部41と、右壁部42と、連結部43と、を備える。
【0018】
左壁部41は、底部2から立設しており、第1仕切り部4の左方の壁面を構成する。右壁部42は、底部2から立設する、第1仕切り部4の右方の壁面を構成する部材である。連結部43は、左壁部41と右壁部42とを繋ぐ部材である。左壁部41と右壁部42とは、間隔を空けて配置されており、上方に向かうに従って間隔が狭くなるように構成されている。
【0019】
第1仕切り部4と同様に、第2仕切り部5及び第3仕切り部6の左右方向を法線方向とする平面による断面は、Vの字を逆さまにした形状である。第2仕切り部5は、第1前壁部51と、第1後壁部52と、連結部53と、を備える。第1前壁部51は、底部2から立設しており、第2仕切り部5の前方の壁面を構成する。第1後壁部52は、底部2から立設しており、第2仕切り部5の後方の壁面を構成する。連結部53は、第1前壁部51と第1後壁部52とを繋ぐ部材である。第1前壁部51と第1後壁部52とは、間隔を空けて配置されており、上方に向かうに従って間隔が狭くなるように構成されている。第3仕切り部6は、第2前壁部61と、第2後壁部62と、連結部63と、を備える。第2前壁部61、第2後壁部62及び連結部63は、それぞれ、第1前壁部51、第1後壁部52及び連結部53と同様である。
【0020】
容器1内には、左壁部41、第1後壁部52及び外周部3に囲まれた第1空間71が形成される。また、容器1内には、右壁部42、第2後壁部62及び外周部3に囲まれた第2空間72が形成され、第1前壁部51、第2前壁部61及び外周部3に囲まれた第3空間73が形成される。ただし、第1空間71、第2空間72及び第3空間73は特定の位置2Aを介して連通しており、容器1内では投入された溶湯が移動可能である。
【0021】
[1-2.半凝固スラリーの製造方法]
半凝固スラリーは、注湯工程、静置工程により製造される。半凝固スラリーが製造された後に、投入工程、成形工程が行われ製品化される。
【0022】
注湯工程では、保持炉(図示省略)で溶融された溶湯をラドル等で掬って容器1に注湯する。溶湯の温度は650℃程度である。溶湯は、一例として、アルミニウム合金である。
静置工程では、容器1に注湯された溶湯を所定の時間存置する。溶湯は、外周部3や第1仕切り部4、第2仕切り部5、第3仕切り部6に接触し、熱が容器1に伝導することにより、580℃程度にまで冷まされる。これにより、半凝固スラリーが生成される。
【0023】
投入工程では、製品の金型(図示省略)に半凝固スラリーを投入する。具体的には、容器1を金型の上方に移動させ、容器1を反転させて半凝固スラリーをその自重により落下させる。
【0024】
成形工程では、金型を型締めして製品を成形する。
なお、半凝固スラリーの製造方法は上述した工程に限定されるものではない。例えば、注湯工程と静置工程との間に撹拌工程を設けてもよい。撹拌工程では、振動により、非接触で溶湯を撹拌してもよい。磁界発生装置(図示省略)を用いて、溶湯に磁界を発生させて非接触で溶湯を撹拌してもよいし、超音波式の撹拌装置を用いてもよい。
【0025】
[1-3.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)第1仕切り部4、第2仕切り部5及び第3仕切り部6は、底部2から上方に広がり、底部2の広がる方向に沿って長さを有する仕切りである。このような構成によれば、容器1内の半凝固スラリーを製品の金型内に充填するために容器1を反転させたときに、第1仕切り部4、第2仕切り部5及び第3仕切り部6により半凝固スラリーが容器1の内部を移動することを抑制できる。よって、容器1内の半凝固スラリーを製品の金型内に充填する際に、容器1を反転させる過程で容器1の端に半凝固スラリーが偏ることを抑制できる。例えば、回転軸2Dを中心に容器1を左方向に回転し反転させる場合、第2空間72にある半凝固スラリーは、第1仕切り部4によって第1空間71に移動することが抑制される。なお、回転軸2Dは、底部2の三角形の重心2Cを通る。
【0026】
また、投入された溶湯が第1仕切り部4、第2仕切り部5及び第3仕切り部6に接触することにより、熱が容器1に伝導し冷めやすくなる。
(1b)第1仕切り部4、第2仕切り部5及び第3仕切り部6は、容器1の外側から内側に向かう方向に長さを有する。具体的には、第1仕切り部4、第2仕切り部5及び第3仕切り部6は、外周部3から交差するように延びている。このような構成によれば、容器1の内部空間を適度に仕切ることができる。
【0027】
(1c)第1仕切り部4、第2仕切り部5及び第3仕切り部6は、一端が外周部3に繋がっている。このような構成によれば、第1仕切り部4、第2仕切り部5及び第3仕切り部6の強度が高くなるため、荷重が加えられたときに底部2に対して傾くことを抑制できる。
【0028】
(1d)第1仕切り部4、第2仕切り部5及び第3仕切り部6は、底部2の特定の位置2Aから外周部3に向かうように放射状に配置される。このような構成によれば、第1仕切り部4、第2仕切り部5及び第3仕切り部6で容器1の内部空間を放射状に分割できる。よって、偏りなく溶湯を容器1に流し込むことができる。
【0029】
(1e)外周部3における第1位置3Aと第2位置3Bとの間の距離が、容器1の深さよりも大きい第1位置3A及び第2位置3Bを有するように構成されている。換言すると、容器1は、扁平な形状に構成されている。このような構成によれば、全体的に容器の幅の大きさよりも容器の深さの方が大きい容器と比較して、投入された金属材料の溶湯が、容器と触れる接触面積が増加して、より吸熱されて冷めやすくなる。
【0030】
(1f)第1仕切り部4、第2仕切り部5及び第3仕切り部6は、上方に凸となるように底部2が隆起した形状に構成されている。このような構成によれば、容器1の表面積が増加して容器1の熱容量が増えるため、投入された金属材料の溶湯がより吸熱されて冷めやすくなる。
【0031】
[2.第2実施形態]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0032】
第1実施形態では、底部2が、平面視で略三角形の形状を有する構成を例示した。また、第1仕切り部4、第2仕切り部5及び第3仕切り部6が配置される構成を例示した。一方、第2実施形態では、図3図4A~4Dに示されるように、容器100は、底部102と、外周部103と、第1仕切り部104と、第2仕切り部105と、第3仕切り部106と、第4仕切り部107と、を備える。
【0033】
底部102は、容器100の底を構成する。底部102は、板状の部材である。底部102は、平面視で円形である。
外周部103は、底部102の外周部分に設けられ、底部102の上方の空間を円形に囲む壁である。外周部103は、上方に向かうに従って、容器100の外側に若干傾斜している。第1実施形態の容器1と同様に、容器100は、容器100の深さよりも容器100の幅の大きさの方が大きい部分を有するように構成されている。
【0034】
第1仕切り部104、第2仕切り部105、第3仕切り部106及び第4仕切り部107は、底部102から上方に広がり、底部102の広がる方向に沿って長さを有する仕切りである。第1仕切り部104、第2仕切り部105、第3仕切り部106及び第4仕切り部107は、容器100の外側から内側に向かう方向に長さを有する。第1仕切り部104、第2仕切り部105、第3仕切り部106及び第4仕切り部107の高さは、外周部3の高さの半分程度である。第1仕切り部104、第2仕切り部105、第3仕切り部106及び第4仕切り部107は、底部102の特定の位置2Bで交わっている。特定の位置2Bとは、一例として、底部102の中心近傍である。容器100内には、第1仕切り部104、第2仕切り部105及び外周部3に囲まれた第1空間171が形成される。また、容器1内には、第2仕切り部105、第3仕切り部106及び外周部3に囲まれた第2空間172が形成され、第3仕切り部106、第4仕切り部107及び外周部3に囲まれた第3空間173が形成され、第4仕切り部107、第1仕切り部104及び外周部3に囲まれた第4空間174が形成される。
【0035】
第1仕切り部104、第2仕切り部105、第3仕切り部106及び第4仕切り部107は、第1実施形態の第1仕切り部4、第2仕切り部5及び第3仕切り部6と同様に、上方に凸となるように底部102が隆起した形状に構成されている。第1仕切り部104、第2仕切り部105、第3仕切り部106及び第4仕切り部107は、下方から見たときに窪んだ形状に構成されている。第1仕切り部104の長さ方向を法線方向とする平面による第1仕切り部104の断面は、Uの字を逆さまにした形状である。第2仕切り部105、第3仕切り部106及び第4仕切り部107についても、同様である。
なお、投入工程においては、図4Aに示される回転軸2Dを中心に容器100を回転し反転させる。回転軸2Dは、底部102の円形の重心2Cを通る。
【0036】
上述した構成によれば、第1実施形態の効果に加え、次の効果を奏する。特定の位置2Bでは、第1仕切り部104、第2仕切り部105、第3仕切り部106及び第4仕切り部107が交わっている。また、特定の位置2Bは、最も溶湯が冷めにくい容器100の中心近傍に設けられている。よって、溶湯の熱が特定の位置2Bにおいても冷めやすいので、全体的に溶湯を早く冷ますことができる。
【0037】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0038】
(3a)上記第1実施形態では、底部2が、平面視で略三角形の形状を有する構成を例示し、第2実施形態では、底部102が、平面視で円形である構成を例示した。しかし、底部の形状はこれに限定されるものではない。図5に示す容器200は、第2実施形態の容器100とは底部及び外周部の形状が異なる。容器200において、第1仕切り部104、第2仕切り部105、第3仕切り部106及び第4仕切り部107は第2実施形態の容器100と同様の構成である。容器200の底部202は、円形の形状に、2つの略三角形の形状を結合した形状であってもよい。つまり、第2実施形態の容器100に、2つの略三角形を結合した形状である。2つの略三角形は、円を挟んで配置される。容器200の外周部203は、円形の形状に、2つの略三角形の形状を結合した形状の空間を囲む。第1仕切り部104の特定の位置2Bとは反対側の一端と、第2仕切り部105の特定の位置2Bとは反対側の一端とを繋ぐ第5仕切り部208が設けられてもよい。また、第3仕切り部106の特定の位置2Bとは反対側の一端と、第4仕切り部107の特定の位置2Bとは反対側の一端とを繋ぐ第6仕切り部209が設けられてもよい。第5仕切り部208と第6仕切り部209とは平行に配置されている。なお、投入工程においては、回転軸2Dを中心に容器200を回転し反転させる。回転軸2Dは、回転軸2Dは、底部102の重心2Cを通る。
【0039】
(3b)上記第1実施形態では、第1仕切り部4、第2仕切り部5及び第3仕切り部6は、底部2が隆起した形状であり、下方から見たときに窪んだ形状である構成を例示した。しかし、第1仕切り部4、第2仕切り部5及び第3仕切り部6の形状はこれに限定されるものではない。例えば、第1仕切り部4、第2仕切り部5及び第3仕切り部6は、溶接等で底部2に接合される板状の形状であってもよい。
【0040】
(3c)上記第1実施形態では、底部2が、板状の部材である構成を例示した。しかし、底部2の構成はこれに限定されるものではない。底部は、全体として前後左右に広がる底を形成していればよい。また、底部と外周部とには、厳密な境界がなくてもよく、例えば容器はボウル型であってもよい。すなわち、全体として、底部に該当する部分と、外周部に該当する部分と、を有していればよい。
【0041】
(3d)上記第1実施形態では、第1仕切り部4、第2仕切り部5及び第3仕切り部6が、容器1の外側から内側に向かう方向に長さを有する構成を例示した。しかし、仕切り部が配置される方向はこれに限定されるものではない。例えば、図5に示す第5仕切り部208及び第6仕切り部209のように、仕切り部は、容器200の外周部3から外周部3に向かう方向に長さを有していてもよい。
【0042】
(3e)上記第1実施形態では、第1仕切り部4、第2仕切り部5及び第3仕切り部6のそれぞれの一端が、外周部3に繋がっている構成を例示した。しかし、第1仕切り部4、第2仕切り部5及び第3仕切り部6の両端は、両方とも外周部3に繋がっていなくてもよい。つまり、第1仕切り部4、第2仕切り部5及び第3仕切り部6は、外周部3から間隔を空けた位置から特定の位置2Aに延びていてもよい。
【0043】
(3f)上記第1実施形態では、第1仕切り部4、第2仕切り部5及び第3仕切り部6が、底部2の特定の位置2Aから外周部3に向かうように放射状に配置される構成を例示した。しかし、仕切り部が配置される位置はこれに限定されるものではない。例えば、複数の仕切り部が、平行になるように配置されてもよい。
【0044】
(3g)上記第1実施形態では、扁平な形状に構成されている容器1を例示した。しかし、容器の形状はこれに限定されるものではない。例えば、外周部3における第1位置と第2位置の間の距離が、容器の深さよりも小さくてもよい。つまり、容器は、底部の幅よりも外周部の高さの方が大きい柱状の形状であってもよい。
【0045】
(3h)上記第1実施形態では、底部2の三角形の重心2Cから、若干右方に寄った位置に特定の位置2Aが設定されている構成を例示した。しかし、特定の位置2Aが設定される位置はこれに限定されるものではない。容器1の反転方向に対して、底部2の三角形の重心2Cから反転方向とは反対の方向に若干寄った位置に、特定の位置2Aが設けられてもよい。例えば、特定の位置2Aは、底部2の三角形の重心2Cから、若干左方に寄った位置に設定されてもよい。この場合、容器1内の半凝固スラリーを製品の金型内に充填する際には、回転軸2Dを中心に容器1を右方向に回転し反転させるとよい。第1空間71にある半凝固スラリーは、第1仕切り部4によって第2空間72に移動することが抑制される。
【0046】
(3i)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0047】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
投入された金属材料の溶湯を冷却することで半凝固スラリーを生成する容器であって、
底を構成する底部と、
前記底部の外周部分に設けられ、前記底部の上方の空間を囲む壁である外周部と、
前記底部から上方に広がり、前記底部の広がる方向に沿って長さを有する少なくとも1つの仕切り部と、
を備える、容器。
【0048】
[項目2]
項目1に記載の容器であって、
前記少なくとも1つの仕切り部は、当該容器の外側から内側に向かう方向に長さを有する、容器。
【0049】
[項目3]
項目1又は項目2に記載の容器であって、
前記少なくとも1つの仕切り部は、長さ方向の一端が前記外周部に繋がっている、容器。
【0050】
[項目4]
項目1から項目3までのいずれか1項目に記載の容器であって、
前記少なくとも1つの仕切り部は、複数の仕切り部であり、
前記複数の仕切り部は、前記底部の特定の位置から前記外周部に向かうように放射状に配置される、容器。
【0051】
[項目5]
項目1から項目4までのいずれか1項目に記載の容器であって、
前記外周部は、前記外周部における第1位置と第2位置の間の距離が、前記容器の深さよりも大きい前記第1位置及び前記第2位置を有するように構成されている、容器。
【0052】
項目1から項目5までのいずれか1項目に記載の容器であって、
前記仕切り部は、上方に凸となるように前記底部が隆起した形状に構成されている、容器。
【符号の説明】
【0053】
1,100,200…容器、2,102,202…底部、3,103,203…外周部、4,104…第1仕切り部、5,105…第2仕切り部、6,106…第3仕切り部、41…左壁部、42…右壁部、43,53,63…連結部、51…第1前壁部、52…第1後壁部、61…第2前壁部、62…第2後壁部、71,171…第1空間、72,172…第2空間、73,173…第3空間、107…第4仕切り部、174…第4空間、208…第5仕切り部、209…第6仕切り部。
図1
図2
図3
図4
図5