(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163004
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】腰部牽引コルセット
(51)【国際特許分類】
A61F 5/02 20060101AFI20231101BHJP
【FI】
A61F5/02 K
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073769
(22)【出願日】2022-04-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】517103854
【氏名又は名称】株式会社ポイントラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(74)【代理人】
【識別番号】100225347
【弁理士】
【氏名又は名称】鬼澤 正徳
(72)【発明者】
【氏名】秋元 英二
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA03
4C098BB05
4C098BC02
4C098BC13
4C098BD01
(57)【要約】
【課題】構造及び操作が簡単で、自力により腰部を牽引できる腰部牽引コルセットを提供する。
【解決手段】利用者の腰部に装着される本体部14と、利用者の足が掛けられて踏力が付加される足掛け部15と、本体部14と足掛け部15とを接続し、かつ、足掛け部15に付加された踏力を、利用者の身長方向の牽引力に変換して本体部14に伝達する接続部16と、を有する、腰部牽引コルセット10を構成した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の腰部に装着される本体部と、
前記利用者の足が掛けられて踏力が付加される足掛け部と、
前記本体部と前記足掛け部とを接続し、かつ、前記足掛け部に付加された踏力を、前記利用者の身長方向の牽引力に変換して前記本体部に伝達する接続部と、
を有する、腰部牽引コルセット。
【請求項2】
請求項1記載の腰部牽引コルセットにおいて、
前記接続部は、前記本体部と前記足掛け部との距離を調整する調整機構を備えている、腰部牽引コルセット。
【請求項3】
請求項1または2記載の腰部牽引コルセットにおいて、
前記本体部は、前記牽引力が伝達されると、前記腰部の胴回り方向に収縮するパネルを有する、腰部牽引コルセット。
【請求項4】
請求項1または2記載の腰部牽引コルセットにおいて、
前記本体部と前記接続部とをつなぐ連結具を有し、
前記連結具は、前記接続部から伝達される牽引力を前記本体部に伝達し、かつ、前記本体部を前記腰部の胴回り方向に収縮させる、腰部牽引コルセット。
【請求項5】
請求項1または2記載の腰部牽引コルセットにおいて、
前記本体部は、前記接続部から伝達される牽引力で前記本体部が前記利用者の骨盤に対して前記身長方向に移動することを防止する位置決め機構を有する、腰部牽引コルセット。
【請求項6】
請求項1または2記載の腰部牽引コルセットにおいて、
前記本体部は、前記腰部を温める温熱部を有する、腰部牽引コルセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、利用者の腰部を身長方向に牽引する腰部牽引コルセットに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者の腰部を身長方向に牽引する腰部牽引器具の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されたストレッチャー(腰牽引器具)は、ベッド上に水平状態に横たわった利用者の下半身を牽引するストレッチャーであって、ストレッチ時に利用者の上半身が牽引方向に移動するのを阻止する上半身移動阻止部材と、利用者の下半身と該下半身が接触する下半身接触面との間の摩擦力を低減する摩擦力低減部材と、を備えている。
【0003】
また、特許文献1に記載されたストレッチャーは、摩擦力低減部材上に下半身の少なくとも一部が載置され、上半身が上半身移動阻止部材により保持された状態で、下半身に牽引力を付与する牽引力付与機構と、を備えている。牽引力付与機構は、ゴム紐を有する。なお、腰牽引器具の一例は、特許文献2にも記載されている。特許文献2に記載された腰牽引器具は、錘により腰部を牽引している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3180637号公報
【特許文献2】特開2004-337439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、特許文献1、2に記載された腰部牽引器具は、ゴム紐、錘等を利用して腰部を牽引するため構造が複雑であり、かつ、操作も面倒である、という課題を認識した。
【0006】
本開示の目的は、構造及び操作が簡単で自力により腰部を牽引できる、腰部牽引コルセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の腰部牽引コルセットは、利用者の腰部に装着される本体部と、前記利用者の足が掛けられて踏力が付加される足掛け部と、前記本体部と前記足掛け部とを接続し、かつ、前記足掛け部に付加された踏力を、前記利用者の身長方向の牽引力に変換して前記本体部に伝達する接続部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の腰部牽引コルセットは、利用者の足を足掛け部に掛けて踏力を加えると、利用者の腰部を牽引できる。したがって、構造及び操作が簡単で自力により腰部を牽引できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の腰部牽引コルセットの具体例1の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】利用者が腰部牽引コルセットを使用する例の模式的な平面図である。
【
図3】利用者が腰部牽引コルセットを使用する例の模式的な側面断面図である。
【
図4】(A)は、腰部牽引コルセットを構成するパネルの部分的な拡大平面図、(B)は、腰部牽引コルセットの変更例1を示す部分的な平面図である。
【
図5】(A)は、腰部牽引コルセットの具体例2を示す部分的な平面図、(B)は、腰部牽引コルセットの具体例2を示す部分的な背面図である。
【
図6】腰部牽引コルセットの具体例2を示す部分的な側面図である。
【
図7】(A)は、腰部牽引コルセットの変更例2を示す部分的な平面図、(B)は、腰部牽引コルセットの変更例2を示す部分的な背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の腰部牽引コルセットの実施形態を、図面を参照して説明する。腰部牽引コルセットは、利用者の腰部疾患を緩和するための支援器具、補助器具として利用できる。腰部牽引コルセットを説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0011】
[具体例1]
腰部牽引コルセットの具体例1を、
図1、
図2、
図3を参照して説明する。
図1及び
図2に示される本開示の腰部牽引コルセット10は、
図3に示すように、床、ベッド等の使用場所11において、利用者12の胴体36のうち、腰部13に身長方向に沿った牽引力A1を加える器具である。利用者12の身長方向は、
図2及び
図3において左右方向である。腰部牽引コルセット10は、本体部14、足掛け部15、及び接続部16を有する。本体部14は、利用者12の腰部13に装着及び取り外しされる要素である。本体部14は、長尺状の第1縁部17及び長尺状の第2縁部18と、第1縁部17と第2縁部18とに接続されたパネル19と、パネル19に設けられた補強部20と、パネル19に取り付けられたベルト21と、を有する。
【0012】
第1縁部17及び第2縁部18は、利用者12の胴部、具体的には、腰部13に巻かれる要素であり、第1縁部17及び第2縁部18は、腰部13の外周形状に沿って変形できる材質及び強度を有する。第1縁部17及び第2縁部18の材質としては、例えば、本革、プラスチック繊維、カーボン、合成皮革、軟質合成樹脂等である。第1縁部17及び第2縁部18の長さ及び幅は、同じである。
【0013】
パネル19は、第1縁部17と第2縁部18との間に配置され、かつ、第1縁部17と第2縁部18とをつないでいる。パネル19は、腰部13の外周形状に沿って変形できる材質、構造、強度を有する。パネル19は、腰部13に巻かれる方向、つまり、胴回り方向に対して交差する方向の長さが、第1縁部17及び第2縁部18のそれぞれの幅を超えている。パネル19の長さは、利用者12の身長方向に沿った長さである。パネル19の材質としては、本革、プラスチック繊維、カーボン、軟質合成樹脂、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリプロピレン等のうちの何れでもよい。
【0014】
また、パネル19は、腰部13の胴回り方向B2に対して交差する長手方向B1に沿った牽引力を受けると、胴回り方向B2で収縮する機能を有していてもよい。パネル19が、胴回り方向B2で収縮する機能は、パネル19の生地をメッシュ構造として満足することができる。
図4(A)は、パネル19の生地19Aの部分的な拡大平面図である。生地19Aを平面視すると、第1方向に沿って配置された第1糸22と、第2方向に沿って配置された第2糸23とが、直角に交差するように配置されている。第1糸22及び第2糸23は、それぞれが別々に設けられて編まれたものであってもよいし、第1糸22及び第2糸23が、一体成形されたものであってもよい。隣り合う2本の第1糸22と、隣り合う2本の第2糸23とにより、正方形が構成されている。生地19Aが長手方向B1に沿って牽引されて引っ張り荷重を受けると、生地19Aは、胴回り方向B2で収縮する。
【0015】
さらに、
図1に示す補強部20は、パネル19の形状を保持するための要素である。補強部20は、一例として軟質合成樹脂製であり、パネル19に取り付けられている。補強部20は、パネル19の胴回り方向B2に沿って所定の間隔で複数設けられている。補強部20は、パネル19の長手方向B1に沿って延ばされたプレート形状または棒形状を有し、かつ、パネル19の厚さ方向に湾曲されている。
【0016】
ベルト21は、パネル19の胴回り方向B2の第1端部の近くに複数取り付けられている。ベルト21は、一例として、本革、プラスチック繊維、カーボン、合成樹脂製、合成皮革製等である。ベルト21の表面に面ファスナー(マジックテープ(登録商標))24が設けられている。パネル19の胴回り方向B2の第1端部に重ねられる第2端部の近くに、掛け具25が複数設けられている。掛け具25は環状であり、掛け具25の数は、ベルト21の数と同じである。掛け具25は、金属製または硬質合成樹脂製の何れでもよい。そして、ベルト21を掛け具25に通して折り返し、折り返された箇所で面ファスナー24同士を係合させることができる。
【0017】
接続部16は、本体部14にパネル19の長手方向B1に沿った牽引力を付加する要素である。接続部16は、長尺状であり、
図1の例では、接続部16が2本設けられている。接続部16の長手方向の第1端部27は、本体部14、具体的には第2縁部18に接続されている。接続部16は、紐、ロープ、ベルト等で構成されている。接続部16は、可撓性を有する材質、例えば、本革、プラスチック繊維、カーボン、合成皮革製、軟質合成樹脂製、等のうちの何れでもよい。なお、接続部16は、長手方向の伸縮性が少ないものが良い。また、接続部16の長手方向の中途位置にバックル26が設けられている。接続部16のうち、バックル26と、接続部16の長手方向の第2端部28との間には、係合穴が設けられている。係合穴は、接続部16の長手方向に間隔をおいて複数設けられている。
【0018】
足掛け部15は、利用者12の足29の裏30が掛けられる要素である。足掛け部15は、可撓性を有する材質、例えば、本革、プラスチック繊維、カーボン、合成皮革製、軟質合成樹脂製、等のうちの何れでもよい。なお、足掛け部15は、長手方向の伸縮性は少ないものが良い。足掛け部15は、パッド形状であり、足掛け部15を厚さ方向に貫通する取り付け穴37が2つ設けられている。取り付け穴37には、接続部16がそれぞれ通され、接続部16が折り返される。接続部16のうち、折り返された部位の係合穴の何れかに、バックル26のピンを差し込むことで、足掛け部15と本体部14との間の接続部16の長さを調整できる。
【0019】
次に、腰部牽引コルセット10の使用例を説明する。利用者12は、本体部14を腰部13に装着、つまり、巻く。ここで、ベルト21が利用者12の前面に位置するように、本体部14を位置決めする。そして、パネル19における胴回り方向B2の第1端部と第2端部とを重ね、ベルト21を掛け具25に通して折り返し、面ファスナー24同士を係合させる。このようにして、本体部14の内面側を腰部13に密着させする。
【0020】
さらに、利用者12は、
図2及び
図3のように使用場所11で仰向けになり、膝31を曲げた状態で足29の裏30を足掛け部15へ掛ける。そして、利用者12は膝31を延ばすようにして、足29の裏30で足掛け部15に踏力F1を加える。つまり、腰部13から離間される方向に足掛け部15を押す。足掛け部15が押された力は、接続部16を介して本体部14に伝達される。利用者12の胴体36は、使用場所11との摩擦力で移動せず、また、足掛け部15に加えられる踏力F1に相当する反力F2が、踏力F1とは逆向きに胴体36に作用するため胴体36は移動しない。このようにして、腰部13は利用者12の身長方向に沿った牽引力A1を受ける。つまり、足掛け部15に付加された踏力F1は、接続部16により牽引力A1に変換される。腰部13に牽引力A1が加わると、その牽引力A1は骨盤32を介して腰椎33に伝達される。このため、腰椎33が伸ばされ、腰椎33が神経に触れないようにすることができる。したがって、利用者12の腰部13の疾患の改善を支援できる。腰部13の疾患は、例えば、腰痛、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎変形すべり症等がある。
【0021】
また、本開示の腰部牽引コルセット10は、利用者12が足29の裏30で足掛け部15を押すことにより、自力で腰部13の牽引を行える。したがって、構造及び操作が簡単であり、場所を選ばずに利用でき、かつ、運搬も容易である。なお、足掛け部15に掛ける足29は、左右何れか片方の足29でもよいし、両方の足29でもよい。さらに、利用者12の頭部35付近に柱またはポール等があれば、利用者12は、手で柱またはポールを掴んでいると、腰部13が牽引された時に、利用者12の胴体36が身長方向に沿って移動することを確実に防止でき、一層、有効である。
【0022】
さらに、利用者12の腰部13の胴回りの長さが異なっていても、
図1に示すベルト21の折り返し長さを調整することで、本体部14を腰部13に密着させることができる。また、パネル19は、
図4(A)において長手方向B1に沿った引っ張り荷重を受けると、生地19Aは、胴回り方向B2に沿って収縮する。つまり、パネル19が絞られて内径が縮小する。したがって、本体部14が腰部13に一層密着され、腰部13の牽引を確実に行える。さらにまた、接続部16を足掛け部15に対して折り返す長さを調整することで、利用者12の下肢の長さに応じて、
図2に示す本体部14から足掛け部15までの距離L1を調整でき、利便性が向上する。
【0023】
[具体例2]
図2及び
図3に示す腰部牽引コルセット10の具体例2を、
図5(A),(B)及び
図6を参照して説明する。腰部牽引コルセット10の本体部14は、前身頃40と後身頃41とを有する。前身頃40は、右半部42と左半部43とに分かれている。左半部43の内面に面ファスナー73が設けられ、右半部42の外面に面ファスナー74が設けられている。本体部14を腰部13に巻いて、左半部43を右半部42の上に重ね、面ファスナー73を面ファスナー74に係合させると、腰部牽引コルセット10が腰部13に装着される。前身頃40は、胴体36のうち腹68に接触される。後身頃41は、胴体36のうち背69に接触される。
【0024】
図5(A)のように、前身頃40の右半部42に固定ベルト44が取り付けられ、前身頃40の右半部42に連結ベルト45が取り付けられている。固定ベルト44及び連結ベルト45はバックル46に通されている。連結ベルト45の第1端部は右半部42に固定され、連結ベルト45の第2端部は、補助部48を介して接続部16に接続されている。つまり、連結ベルト45は、バックル46によって折り返されている。本体部14に支持具47が設けられ、接続部16Aの端部は支持具47によって支持されている。接続部16Aは、2本の接続部16のうち、右足側に配置される。
【0025】
図5(A)のように、前身頃40の左半部43に固定ベルト51が取り付けられ、前身頃40の左半部43に連結ベルト52が取り付けられている。固定ベルト51及び連結ベルト52はバックル53に通されている。連結ベルト52の第1端部は左半部43に固定され、連結ベルト52の第2端部は、補助部54を介して接続部16に接続されている。つまり、連結ベルト52は、バックル53によって折り返されている。本体部14に支持具55が設けられ、接続部16Bの端部は支持具47によって支持されている。接続部16Bは、2本の接続部16のうち、左足側に配置される。
【0026】
図5(B)のように、後身頃41は、右半部56と左半部57とに分かれている。右半部56は、右半部42及び左半部57につながっている。左半部57は、左半部43につながっている。右半部56に固定ベルト58及び連結ベルト59が取り付けられている。固定ベルト58及び連結ベルト59はバックル60に通されている。連結ベルト59の第1端部は右半部56に固定され、連結ベルト59の第2端部は、補助部48を介して接続部16Aに接続されている。つまり、連結ベルト59は、バックル60によって折り返されている。
【0027】
図5(B)のように、後身頃41の左半部57に固定ベルト62及び連結ベルト63が取り付けられている。固定ベルト62及び連結ベルト63はバックル64に通されている。連結ベルト63の第1端部は左半部57に固定され、連結ベルト63の第2端部は、補助部54を介して接続部16Bに接続されている。つまり、連結ベルト63は、バックル64によって折り返されている。
【0028】
なお、固定ベルト44,51,58,62、連結ベルト45,52,59,63、補助部48,54の材質は、例えば、本革、プラスチック繊維、カーボン、合成皮革、軟質合成樹脂等である。また、腰部牽引コルセット10の具体例2における本体部14は、具体例1で説明した第1縁部17、第2縁部18と、パネル19を有しているが、
図5及び
図6では、第1縁部17、第2縁部18、パネル19の図示を省略している。さらに、腰部牽引コルセット10の具体例2における本体部14は、具体例1で説明したベルト21を有していない。
【0029】
腰部牽引コルセット10の具体例2を、
図2及び
図3に示す腰部牽引コルセット10として用い、足掛け部15に踏力F1が加えられると、接続部16(16A,16B)に牽引力A1が加わり、その牽引力A1が、補助部48,54、連結ベルト45,52,59,63、固定ベルト44,51,58,62を介して本体部14に伝達されて、腰部13が牽引される。したがって、腰部牽引コルセット10の具体例2においても、腰部牽引コルセット10の具体例1と同様の効果を得ることができる。
【0030】
図5(A)に示す平面視、
図5(B)に示す背面視で、補助部48,54、連結ベルト45,52,59,63、固定ベルト44,51,58,62は、牽引力A1及び胴回り方向B2に対して交差して配置、つまり傾斜して配置されている。このため、接続部16の牽引力A1が、補助部48,54、連結ベルト45,52,59,63、固定ベルト44,51,58,62に伝達されると、補助部48,54、連結ベルト45,52,59,63、固定ベルト44,51,58,62は、
図5(A)に示す平面視、
図5(B)に示す背面視で、牽引力A1に対して交差する方向の牽引力(分力)A2を受ける。
【0031】
図5(A),(B)において、牽引力A2は、胴回り方向B2及び牽引力A1の両方に対して交差する方向に生じる。そして、連結ベルト45はバックル46に掛けて折り返され、かつ、連結ベルト45の第1端部は本体部14に固定され、かつ、第2端部は補助部48に連結されている。また、連結ベルト52はバックル53に掛けて折り返され、かつ、連結ベルト52の第1端部は本体部14に固定され、かつ、第2端部は補助部54に連結されている。
【0032】
さらに、連結ベルト59はバックル60に掛けて折り返され、かつ、連結ベルト59の第1端部は本体部14に固定され、かつ、第2端部は補助部48に連結されている。また、連結ベルト63はバックル64に掛けて折り返され、かつ、連結ベルト63の第1端部は本体部14に固定され、かつ、第2端部は補助部54に連結されている。したがって、連結ベルト45,52,59,63が牽引力A2を受けると、本体部14が胴回り方向B2方向で収縮される。つまり、本体部14が絞られて本体部14の内径が縮小する。したがって、本体部14が腰部13に一層密着され、腰部13の牽引を確実に行える。なお、腰部牽引コルセット10の具体例2は、
図4(B)のクッション材65を有していてもよい。
【0033】
図4(B)は、腰部牽引コルセット10の変更例1を示す拡大平面図である。腰部牽引コルセット10の変更例1は、腰部牽引コルセット10の具体例1または腰部牽引コルセット10の具体例2の何れにも適用可能できる。本体部14に、合成樹脂製、例えば、ウレタン樹脂製のクッション材65が設けられている。クッション材65は、前身頃40と後身頃との接続箇所にそれぞれ設けられている。クッション材65は、利用者12の腰部13の形状に倣って湾曲されている。
【0034】
また、クッション材65は、接続部16から離間された箇所が腰部13に近づく向きで突出された突出部66を有する。本体部14が牽引力A1を受けると、突出部66が骨盤32の腸骨67へ間接的に係合される。このため、牽引力A1が骨盤32へ伝達されやすく、かつ、本体部14が骨盤32に対して身長方向に移動することを防止できる。また、クッション材65は、本体部14が利用者12の腰部13へ食い込むことを抑制でき、利用者12の痛みを防止できる。
【0035】
腰部牽引コルセット10の変更例2を、
図7(A),(B)を参照して説明する。腰部牽引コルセット10の変更例2は、腰部牽引コルセット10の具体例1または腰部牽引コルセット10の具体例2の何れにも適用可能できる。本体部14の後身頃41には、本体部14を温める温熱部の一例として熱線ヒータ70が設けられている。熱線ヒータ70は、電気の熱線、つまり、導電性を有するケーブル、例えば、炭素繊維ケーブルを蛇行状に配置し、かつ、アルミ蒸着生地で覆って構成されている。そして、熱線ヒータ70に電力を供給する直流電源としてバッテリ71が設けられている。なお、本体部14の後身頃41に設ける温熱部は、熱線ヒータ70に代えて、導電性を有する銀の繊維をニット状に編み込んで構成されていてもよい。
【0036】
バッテリ71は、充電及び放電が可能な二次電池である。バッテリ71は、電力ケーブル72により熱線ヒータ70に接続されている。電力ケーブル72は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ケーブルである。また、バッテリ71の電力を熱線ヒータ70に供給する切替スイッチが設けられる。切替スイッチがオンされると、バッテリ71の電力が熱線ヒータ70に供給されて発熱する。したがって、熱線ヒータ70で腰部13を温めることができ、血行促進により腰部13をほぐし、腰痛を緩和させる効果を期待できる。切替スイッチがオフされると、バッテリ71の電力は熱線ヒータ70に供給されない。
【0037】
本実施形態で説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。腰部牽引コルセット10は、腰部牽引コルセットの一例である。本体部14は、本体部の一例である。足掛け部15は、足掛け部の一例である。接続部16は、接続部の一例である。パネル19は、パネルの一例である。バックル26は、調整機構の一例である。補助部48,54、連結ベルト45,52,59,63、固定ベルト44,51,58,62は、連結具の一例である。熱線ヒータ70は、温熱部の一例である。クッション材65は、位置決め機構の一例である。
【0038】
本実施形態の腰部牽引コルセットは、図面を用いて開示されたものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、パネルの生地のメッシュ構造は、正方形が構成されるものに限らず、菱形または六角形が構成されるものでもよい。また、接続具を1本で構成し、その長手方向の中途位置に足掛け部を取り付けてもよい。さらに、接続部及び足掛け部が、単数の部材により構成されていてもよい。つまり、接続部の長手方向の一部が、足掛け部を兼ねていてもよい。
【0039】
さらに、具体例1において、本体部14を腰部13に着脱する構造は、掛け具25に代えて面ファスナーをパネル19に取り付け、ベルト21の面ファスナー24を、パネル19の面ファスナーに係合及び解放できるようにしてもよい。さらに、本体部は、胴回り方向で切れ目がない筒形状であってもよい。温熱部に電力を供給する電源は、直流電源または交流電源の何れでもよい。バッテリは、二次電池に代えて、放電のみを行える一次電池でもよい。
図1に示されるベルト21の数は任意に設計できる。
図5(A)に示す固定ベルト44,51の数は任意に設計でき、連結ベルト45,52のそれぞれの数は、固定ベルト44,51の数に応じた数になる。
図5(B)に示す固定ベルト58,62の数は任意に設計でき、連結ベルト59,63のそれぞれの数は、固定ベルト58,62の数に応じた数になる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本実施形態は、利用者の腰部を身長方向に牽引する腰部牽引コルセットに利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
10…腰部牽引コルセット、14…本体部、15…足掛け部、16,16A,16B…接続部、19…パネル、26…バックル、44,51,58,62…固定ベルト、45,52,59,63…連結ベルト、48,54…補助部、65…クッション材、70…熱線ヒータ
【手続補正書】
【提出日】2022-08-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の腰部に装着される本体部と、
前記利用者の足が掛けられて踏力が付加される足掛け部と、
前記本体部と前記足掛け部とを接続し、かつ、前記足掛け部に付加された踏力を、前記利用者の身長方向の第1牽引力に変換して前記本体部に伝達する接続部と、
前記本体部と前記接続部とをつなぎ、かつ、前記接続部から伝達される前記第1牽引力を受けて前記本体部を前記腰部の胴回り方向に収縮させる連結具と、
を有し、
前記本体部は、
前記利用者の腹に接触される前身頃と、
前記利用者の背に接触され、かつ、前記前身頃に接続された後身頃と、
を有し、
前記前身頃と前記後身頃との接続箇所に、前記本体部が前記第1牽引力を受けると、前記利用者の骨盤へ間接的に係合されることにより、前記本体部が前記骨盤に対して前記身長方向に移動することを防止する位置決め機構が設けられ、
前記連結具は、
前記前身頃及び前記接続部に接続され、かつ、前記第1牽引力を受けると、前記第1牽引力に交差する方向で前記接続部の端部に向かう第2牽引力で前記本体部を前記腰部の胴回り方向に収縮させる第1連結ベルトと、
前記後身頃及び前記接続部に接続され、かつ、前記第1牽引力を受けると、前記第1牽引力に交差する方向で前記接続部の端部に向かう第2牽引力で前記本体部を前記腰部の胴回り方向に収縮させる第2連結ベルトと、
を有する、腰部牽引コルセット。
【請求項2】
請求項1記載の腰部牽引コルセットにおいて、
前記接続部は、前記本体部と前記足掛け部との距離を調整する調整機構を備えている、腰部牽引コルセット。
【請求項3】
請求項1または2記載の腰部牽引コルセットにおいて、
前記本体部は、前記腰部を温める温熱部を有する、腰部牽引コルセット。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
図5(A)のように、前身頃40の左半部43に固定ベルト51が取り付けられ、前身頃40の左半部43に連結ベルト52が取り付けられている。固定ベルト51及び連結ベルト52はバックル53に通されている。連結ベルト52の第1端部は左半部43に固定され、連結ベルト52の第2端部は、補助部54を介して接続部16に接続されている。つまり、連結ベルト52は、バックル53によって折り返されている。本体部14に支持具55が設けられ、接続部16Bの端部は支持具
55によって支持されている。接続部16Bは、2本の接続部16のうち、左足側に配置される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
本実施形態で説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。腰部牽引コルセット10は、腰部牽引コルセットの一例である。本体部14は、本体部の一例である。足掛け部15は、足掛け部の一例である。接続部16は、接続部の一例である。パネル19は、パネルの一例である。バックル26は、調整機構の一例である。連結ベルト45,52、固定ベルト44,51は、第1連結具の一例である。連結ベルト59,63、固定ベルト58,62は、第2連結具の一例である。熱線ヒータ70は、温熱部の一例である。クッション材65は、位置決め機構の一例である。牽引力A1は、第1牽引力の一例であり、牽引力A2は、第2牽引力の一例である。