(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163074
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】光学系および撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20231101BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20231101BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073886
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】水間 章
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA02
2H087KA03
2H087LA01
2H087MA06
2H087MA07
2H087MA08
2H087PA08
2H087PA09
2H087PA11
2H087PA16
2H087PA19
2H087PA20
2H087PB10
2H087PB13
2H087PB14
2H087PB15
2H087QA02
2H087QA06
2H087QA07
2H087QA14
2H087QA17
2H087QA21
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA26
2H087QA32
2H087QA34
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA46
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA36
2H087RA42
2H087RA44
2H087UA06
(57)【要約】
【課題】諸収差が良好に補正された光学系を提供する。
【解決手段】光軸と瞳近軸光線との交点(P)よりも物体側または像側の少なくとも一方に配置された、負の屈折力の光学素子(A)を有する光学系(L0)であって、光学素子(A)は、硝子材料からなり、光学素子(A)のd線における屈折率Nd、d線におけるアッベ数νd、g線とF線に関する異常部分分散性θgFは、所定の条件式を満足する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸と瞳近軸光線との交点よりも物体側または像側の少なくとも一方に配置された、負の屈折力の光学素子を有する光学系であって、
前記光学素子は、硝子材料からなり、
前記光学素子のd線における屈折率をNd、d線におけるアッベ数をνd、g線とF線に関する異常部分分散性をθgFとするとき、
1.70<Nd<1.85
28.0<νd<39.0
-0.0100<θgF-(0.64168-0.00162×νd)<-0.0040
なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
【請求項2】
前記光学系の焦点距離をf、前記光学素子の焦点距離をfAとするとき、
-6.00<fA/f<-0.20
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記光学素子の物体側のレンズ面の曲率半径をrna、前記光学素子の像側のレンズ面の曲率半径をrnbとするとき、
-2.0<(rna+rnb)/(rna-rnb)<2.0
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項4】
開口絞りを更に有し、
前記光学素子のレンズ面のうち、前記開口絞りに近い側のレンズ面の曲率半径をra、前記開口絞りから遠い側のレンズ面の曲率半径をrbとするとき、
0.00<|ra/rb|<1.00
0.15<|ra|/f<3.00
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項5】
前記光学系を構成する全ての負レンズの平均屈折率をnNとするとき、
1.55<nN<1.75
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項6】
前記光学系を構成する全ての正レンズの平均屈折率をnPとするとき、
1.00<nP/nN<1.20
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項7】
開口絞りを更に有し、
前記光学系のうち前記開口絞りよりも物体側に配置されたレンズ群の焦点距離をfF、前記光学系のうち前記開口絞りよりも像側に配置されたレンズ群の焦点距離をfRとするとき、
0.1<fF/fR<5.5
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項8】
前記光学素子の比重をdとするとき、
1.5<d<4.0
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項9】
前記光学系は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群と第2レンズ群とからなり、
フォーカシングに際して、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔は変化し、
前記第2レンズ群は、前記光学素子を含むことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項10】
前記光学系は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群と第2レンズ群とからなり、
フォーカシングに際して、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔は変化し、
前記第1レンズ群は、前記光学素子を含むことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項11】
前記光学系は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群と第2レンズ群と第3レンズ群とからなり、
フォーカシングに際して、隣り合うレンズ群の間隔は変化し、
前記第1レンズ群は、前記光学素子を含むことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の光学系と、該光学系によって形成される像を受光する撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像素子を用いた撮像装置においては、大口径な撮像光学系としてガウス型の光学系が用いられている。ガウス型の光学系では、軸上色収差が大きく生じることが知られている。特許文献1および特許文献2には、広い波長範囲で色収差を補正するため、分散が大きく異常部分分散性を示す光学材料を用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-144477号公報
【特許文献2】特開2019-109539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に開示されているように蛍石等の低屈折低分散硝子を用い、色収差を所定量以上変化させようとすると、レンズ面の屈折力を大きく変化させる必要がある。このため、色収差を十分に補正した場合、ペッツバール和が正に大きくなり過ぎて像面湾曲の補正が困難となる。また、特許文献1および特許文献2に開示された構成では、高屈折率かつ高分散の材料からなる負レンズを用いて色収差を補正するが、軸上色収差および倍率色収差の二次スペクトルの補正が難しい。このため、軸上色収差、倍率色収差、球面収差、および像面湾曲などの諸収差が良好に補正された光学系を実現することが困難である。
【0005】
そこで本発明は、諸収差が良好に補正された光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての光学系は、光軸と瞳近軸光線との交点よりも物体側または像側の少なくとも一方に配置された、負の屈折力の光学素子を有し、前記光学素子は、硝子材料からなり、前記光学素子のd線における屈折率Nd、d線におけるアッベ数νd、g線とF線に関する異常部分分散性θgFは、所定の条件式を満足する。
【0007】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施例において説明される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、諸収差が良好に補正された光学系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図9】近軸軸上光線および瞳近軸光線の説明図である。
【
図10】各実施例における光学系を備えた撮像装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1、
図3、
図5、および
図7はそれぞれ、無限遠合焦時における実施例1~4の光学系L0の断面図である。実施例1~4の光学系L0は、単焦点レンズである。各実施例の光学系L0は、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、放送用カメラ、銀塩フィルム用カメラ、または監視用カメラなどの撮像装置に適用可能である。なお各実施例は、単焦点レンズに限定されるものではなく、ズームレンズにも適用可能である。
【0012】
各断面図において、左側が物体側(拡大側)で、右側が像側(縮小側)である。SPは開口絞りである。IPは像面であり、各実施例の光学系L0をデジタルビデオカメラやデジタルスチルカメラ用の撮像光学系として用いる際には、像面IPにはCCDセンサまたはCMOSセンサなどの撮像素子(光電変換素子)の撮像面が配置される。一方、各実施例の光学系L0を銀塩フィルム用カメラ用の撮像光学系として用いる際には、像面IPにはフィルムの感光面が配置される。各断面図において「focus」と示されるレンズ群(第1レンズ群L1または第2レンズ群L2)は、フォーカシングに際して移動するレンズ群である。「focus」と共に示される矢印は、無限遠から近距離へのフォーカシングに際しての移動方向を示している。
【0013】
図2、
図4、
図6、および
図8はそれぞれ、無限遠合焦時における実施例1~4の光学系L0の縦収差図である。球面収差図において、FNoはFナンバーである。球面収差図では、d線(波長587.56nm)、g線(波長435.835nm)、C線(656.27nm)、F線(486.13nm)に対する球面収差量を示している。非点収差図において、Sはサジタル像面における非点収差量、Mはメリディオナル像面における非点収差量を示している。歪曲収差図では、d線に対する歪曲収差量を示している。色収差図では、g線、C線、F線における色収差量を示している。なお、ωは半画角(°)である。
【0014】
次に、各実施例の光学系L0の特徴的な構成および条件について説明する。各実施例の光学系L0は、光軸OAと瞳近軸光線とが交わる点をPとするとき、点Pよりも拡大側または縮小側の少なくとも一方に、硝子材料からなる光学素子Aを有する。光学素子Aは、少なくとも一つの負の屈折力を有し、後述の条件式(1)~(3)を満足する。
【0015】
ここで、
図9を参照して、近軸軸上光線および瞳近軸光線について説明する。
図9は、近軸軸上光線および瞳近軸光線の説明図である。近軸軸上光線とは、光学系(全系)L0の焦点距離を1に正規化したとき、光学系L0の光軸OAと平行に、光軸OAからの高さを1として入射させた近軸光線である。瞳近軸光線とは、光学系L0の焦点距離を1に正規化したとき、光軸OAに対して-45°で入射する光線のうち、光学系L0の入射瞳と光軸OAとの交点を通過する近軸光線である。
図9において、GF、GRはそれぞれ、光学系L0を構成する前群と後群である。前群は開口絞りSPよりも物体側(拡大側)に配置されたレンズ群であり、後群は開口絞りSPよりも像側(縮小側)に配置されたレンズ群である。Qは近軸軸上光線、Rは瞳近軸光線を示す。
図9に示されるように、開口絞りSPは点Pの周辺(近辺)に設けられることが多い。
【0016】
また各実施例の光学系L0は、後述の条件式(1)~(3)を満足する光学素子(レンズ)Aを有する。光学素子Aが点P(開口絞りSP)の拡大側(物体側)または縮小側(像側)の少なくとも一方に配置されている場合、光学素子Aの屈折力は負である。各実施例の光学系L0は、光学素子Aを有することで、軸上色収差の二次スペクトルを良好に補正することが可能となる。
【0017】
光学素子Aを構成する光学材料は、以下の条件式(1)~(3)を満足する。
【0018】
1.70<Nd<1.85 ・・・(1)
28.0<νd<39.0 ・・・(2)
-0.0100<θgF-(0.64168-0.00162×νd)<-0.0040 ・・・(3)
ここで、Ndは、d線における光学素子Aの屈折率である。νdは、光学素子Aのd線におけるアッベ数である。θgFは、光学素子Aのg線とF線に関する部分分散比である。なお、アッベ数νdおよび部分分散比θgFは、フラウンホーファー線のd線、F線、C線、g線における屈折率をそれぞれNd、NF、NC、Ngとするとき、以下の式(4)、(5)で表される。
【0019】
νd=(Nd-1)/(NF-NC) ・・・(4)
θgF=(Ng-NF)/(NF-NC) ・・・(5)
式(1)~(3)は、光学素子Aが高分散、低部分分散比、かつ高屈折率であることを示す。ここで、光学素子Aを用いて色収差、特に軸上色収差を補正することができる理由について説明する。
【0020】
光学系L0の任意の波長λにおける軸上色収差係数L(λ)および倍率色収差係数T(λ)はそれぞれ、以下の式(6)、(7)のように表される。
【0021】
L(λ)=Σ(hi2・Φi/νi(λ)) ・・・ (6)
T(λ)=Σ(hi・Hi・Φi/νi(λ)) ・・・(7)
ここで、iは物体側からレンズの枚数を数えたときの番号、Σはiに対する和をとることを示す。hiはi番目のレンズにおける近軸軸上光線の入射高さ、Hiはi番目のレンズにおける瞳近軸光線の入射高さ、Φiはi番目のレンズの屈折力である。νi(λ)は、i番目のレンズの屈折率をni(λ)とし、設計波長をλ0とするとき、以下の式(8)で定義される。
【0022】
νi(λ)=(ni(λ0)-1)/(ni(λ)-ni(λ0)) ・・・(8)
通常、
図9に示されるような大口径レンズの光学系において、L(λ)および T(λ)は、波長に対して全体の傾きが負で上に凸の特性を示す。そこで、光学素子A単体での軸上色収差係数LA(λ)は、以下の式(9)のように表される。
【0023】
LA(λ)=hA2・ΦA/νA(λ) ・・・(9)
ここで、hAは光学素子Aにおける近軸軸上光線の入射高さ、ΦAは光学素子Aの屈折力である。νA(λ)は、任意の波長λにおける光学素子Aの屈折率をnA(λ)、設計波長をλ0とするとき、以下の式(10)で定義される。
【0024】
νA(λ)=(nA(λ0)-1)/(nA(λ)-nA(λ0)) ・・・(10)
大口径レンズの光学系において軸上色収差を補正するには、LA(λ)の波長に対する変化とL(λ)の波長に対する変化とが互いに打ち消し合うようにすればよい。
図9より、光学素子Aを点P(光軸OAと瞳近軸光線との交点)よりも拡大側(物体側)または縮小側(像側)の少なくとも一方に配置する際において、ΦA<0の場合、LA(λ)は全体の傾きが正で上に凸となる。このため、L(λ)の波長に対する変化をLA(λ)によって打ち消すには、光学素子Aを負レンズとして点Pよりも拡大側(物体側)または縮小側(像側)の少なくとも一方に配置することが必要である。
【0025】
ただし、このときL(λ)とLA(λ)は共に上に凸の特性を有するため、短波長側で軸上色収差が残存してしまう。しかしながら、光学素子Aが負の異常部分分散性を有する場合、LA(λ)の短波長側での波長依存性を緩やかにできるため、残存する軸上色収差を低減することが可能である。従って、より広い波長範囲で軸上色収差を低減するには、光学素子Aは負の異常部分分散性を有することが好ましい。なお、異常部分分散性とは、部分分散特性が通常の硝子とは異なる性質であり、負の異常部分分散性とは短波長側での部分分散特性が通常の硝子よりも小さい性質をいう。
【0026】
しかしながら、従来の高分散かつ負の異常部分分散を示す材料は、屈折率が大きい傾向がある。このような既知の材料を用いて軸上色収差を補正しようとする場合、光学系のペッツバール和を0近傍の値にすることが難しく、像面湾曲を補正することが困難である。また、光学素子の比重が大きく、レンズ重量が増大する傾向があった。そこで各実施例の光学系L0は、高分散かつ低部分分散比でありながら、屈折率の比較的小さな光学材料を用いて光学素子Aを形成する。これにより、軸上色収差および像面湾曲を良好に補正することができる。
【0027】
条件式(1)は、光学素子Aのd線における屈折率を規定する条件である。条件式(1)の上限を超えて屈折率が大きくなると、ペッツバール和が正に大きくなり過ぎて像面湾曲の補正が困難になる。一方、条件式(1)の下限を超えた場合、ペッツバール和が負に大きくなり過ぎて像面湾曲が過補正になる。
【0028】
条件式(2)は、光学素子Aのアッベ数を規定する条件である。条件式(2)の上限を超えてアッベ数が大きくなると、分散が小さくなりすぎ、一次の軸上色収差を補正することが困難となる。一方、条件式(2)の下限を超えてアッベ数が小さくなると、光学材料として透過率が下がりやすくなったり安定性が低下したりするため好ましくない。
【0029】
条件式(3)は、光学素子Aの部分分散比を規定する条件である。特定の波長の色消しを行うには、アッベ数の小さな(高分散な)光学素子を使用するのが一般的であるが、部分分散比が適切な値でない場合には色収差の二次スペクトルを抑制することが困難となる。光学素子Aが条件式(3)を満足することは、光学素子Aが異常分散性を有することを意味する。異常分散性が条件式(3)の上限または下限を下回る場合、軸上色収差の二次スペクトルを十分に低減することが困難となる。
【0030】
実施例1において、物体側から数えて10番目のレンズが光学素子Aである。実施例2では、物体側から数えて8番目のレンズが光学素子Aである。実施例3では、物体側から数えて2番目のレンズが光学素子Aである。実施例4では、物体側から数えて3番目のレンズが光学素子Aである。
【0031】
好ましくは、条件式(1)~(3)の数値範囲の少なくとも一つは、以下の条件式(1a)~(3a)のようにそれぞれ設定される。
【0032】
1.72<Nd<1.84 ・・・(1a)
29.0<νd<38.9 ・・・(2a)
-0.0090<θgF-(0.64168-0.00162×νd)<-0.0043 ・・・(3a)
より好ましくは、条件式(1)~(3)の数値範囲の少なくとも一つは、以下の条件式(1b)~(3b)のようにそれぞれ設定される。
【0033】
1.74<Nd<1.83 ・・・(1b)
29.0<νd<38.8 ・・・(2b)
-0.0080<θgF-(0.64168-0.00162×νd)<-0.0045 ・・・(3b)
次に、光学素子Aの光学材料(硝子材料)について述べる。条件式(1)~(3)を満足する光学材料は、金属酸化物を含有しうる。金属酸化物としては、例えば、SiO2、TiO2、La2O3、Al2O3、Nb2O5、ZrO2、Gd2O3などがあるが、これらに限定されるものではない。ここで、例えば、TiO2は、屈折率を高め、アッベ数を小さくする(分散を高める)効果があり、TiO2を多く含有する硝子は、比較的高屈折率かつ比較的高分散を有する。また、Gd2O3は、屈折率を高め、アッベ数を大きくする(分散を低める)効果があり、Gd2O3を多く含有する硝子は、比較的高屈折率かつ比較的低分散を有する。これは、TiO2、Gd2O3がそれぞれ比較的高屈折率かつ比較的高分散、比較的高屈折率かつ比較的低分散を有するためである。このように光学硝子は、その含有成分によって光学特性が変化する。この点は、光学セラミックスにおいても同様であり、例えば、比較的高屈折率かつ比較的低分散な物質を多く含むことにより、比較的高屈折率かつ比較的低分散の光学セラミックスを得ることができる。よって、光学材料(光学硝子または光学セラミックスなど)は、例えば、種々の量で含有物(SiO2、TiO2、La2O3などの金属酸化物等)を含有(溶解または焼結)させることにより、種々の光学特性(屈折率およびアッベ数など)を有することができる。
【0034】
光学素子Aは、条件式(1)~(3)を満足する硝子材料で構成されていることが好ましい。硝子材料は、樹脂材料に比べて製造時の加工性に制約が少なく強い屈折力を付与できるという点で優れる。また硝子材料は、樹脂材料に比べて耐環境性(高湿度、温度変化等)に優れており、十分な硬度を有しているため、光学系L0の最も物体側に配置することが可能である。
【0035】
以上のように、光学系L0の構成を適切にし、条件式(1)~(3)を満足することにより、軸上色収差の二次スペクトルが良好に補正された光学系L0を得ることができる。実施例3において、光学素子Aは、点P(開口絞りSP)の縮小側(像側)に配置され、負の屈折力を有していることが好ましい。これにより、軸上色収差に加えて倍率色収差の二次スペクトルも良好に補正することが可能となる。実施例1において、光学素子Aは、最も像側(縮小側)のレンズ群(第2レンズ群L2)に設けられていることが好ましい。これにより、光学素子Aに対する軸外光線の入射高さを高くすることができ、有効に倍率色収差を補正することが可能となる。
【0036】
次に、各実施例の光学系L0が満足することが好ましい条件について述べる。各実施例の光学系L0は、以下の条件式(11)~(18)のうち少なくとも一つを満足することが好ましい。
【0037】
-6.00<fA/f<-0.20 ・・・(11)
-2.0<(rna+rnb)/(rna-rnb)<2.0 ・・・(12)
0.00<|ra/rb|<1.00 ・・・(13)
0.15<|ra|/f<3.00 ・・・(14)
1.55<nN<1.75 ・・・(15)
1.00<nP/nN<1.20 ・・・(16)
0.1<fF/fR<5.5 ・・・(17)
1.5<d<4.0 ・・・(18)
ここで、fAは光学素子Aの焦点距離である。fは光学系L0(全系)の焦点距離である。なお、光学系L0がズームレンズの場合には広角端での焦点距離である。rnaは光学素子Aの拡大側(物体側)の曲率半径、rnbは光学素子Aの縮小側(像側)の曲率半径である。raは光学素子Aの開口絞りSP側の曲率半径、rbは開口絞りSPとは反対側の曲率半径である。nNは光学系L0を構成する全ての負レンズの平均屈折率、nPは光学系L0を構成する全ての正レンズの平均屈折率である。fFは光学系L0のうち開口絞りSPよりも物体側(拡大側)に配置されたレンズ群(前群)の焦点距離、fRは光学系L0のうち開口絞りSPよりも像側(縮小側)に配置されたレンズ群(後群)の焦点距離である。dは光学素子Aの比重である。
【0038】
条件式(11)は、光学素子Aの焦点距離と光学系L0の焦点距離との関係を規定する。条件式(11)の上限を超えると、光学素子Aの屈折力が弱くなりすぎ、一次の色収差補正が不足し易くなる。一方、条件式(11)の下限を超えると、光学素子Aの屈折力が強くなりすぎ、色収差の補正には有利であるが、他の収差(特に色の像面湾曲)が発生し易くなる。
【0039】
条件式(12)は、光学素子Aのシェープファクタを規定する。条件式(12)を満足することで、色収差や像面湾曲、コマ収差等の諸収差を効果的に補正することができる。条件式(12)の上限を超えた場合、色収差、球面収差、像面湾曲、およびコマ収差などの諸収差を良好に補正することが難しくなる。一方、条件式(12)の下限を超えた場合も同様に、色収差、球面収差、像面湾曲、およびコマ収差などの諸収差を良好に補正することが難しくなる。
【0040】
条件式(13)は、光学素子Aの屈折力の大きい面(曲率半径の絶対値が小さい面)と開口絞りSPとの位置関係を規定する。条件式(13)の上限を超えた場合、高次の球面収差や高次のコマ収差を抑制することが難しくなる。
【0041】
条件式(14)は、光学素子Aの開口絞りSP側の曲率半径と光学系L0の焦点距離との関係を規定する。条件式(14)の上限を超えると、光学系L0の焦点距離に対し、光学素子Aの曲率半径が大きくなり、色収差、球面収差、像面湾曲、およびコマ収差などの諸収差を良好に補正することが難しくなる。一方、条件式(14)の下限を超えると、光学系L0の焦点距離に対し、光学素子Aの曲率が小さくなり、球面収差や像面湾曲などの諸収差の影響を受けやすくなる。
【0042】
条件式(15)は、光学系L0を構成する全ての負レンズの材料のd線における屈折率の平均値(平均屈折率)を規定する。条件式(15)の上限を超えて負レンズを多用すると、像面湾曲およびコマ収差などの諸収差を良好に補正することが困難になる。一方、条件式(15)の下限を超えて負レンズを多用すると、球面収差およびコマ収差などの諸収差を良好に補正することが困難になる。
【0043】
条件式(16)は、光学系L0を構成する全ての正レンズの材料のd線における屈折率の平均値と、光学系L0を構成する全ての負レンズの材料のd線における屈折率の平均値との比を規定する。条件式(16)の上限を超えて、正レンズの材料の屈折率が高くなると、像面湾曲の補正には有利であるが、正レンズのアッベ数が不足し、軸上色収差の補正が困難になる。一方、条件式(16)の下限を超えて、正レンズに使われている材料の屈折率が低くなると、ペッツバール和の改善が困難となり、所望の性能を確保しようとすると、レンズ全長が増大して好ましくない。
【0044】
条件式(17)は、光学系L0の開口絞りSPよりも拡大側(物体側)のレンズ群の焦点距離と縮小側(像側)のレンズ群の焦点距離との関係を規定し、像面湾曲の補正とレンズ全長の短縮を図るためのものである。条件式(17)の上限を超えて、開口絞りSPよりも物体側のレンズ群の焦点距離が長くなると、色収差および像面湾曲の補正には有利であるが、レンズ全長が増大して好ましくない。一方、条件式(17)の下限を超えて、開口絞りSPよりも像側のレンズ群の焦点距離が長くなると、バックフォーカスの確保が難しいため、好ましくない。
【0045】
条件式(18)は、光学素子Aの比重を規定する。条件式(18)の上限を超えるほど光学素子Aの比重が大きい場合、光学系L0のレンズ重量が大きくなる。一方、条件式(18)の下限を超えるほど光学素子Aの比重が小さい場合、光学素子Aを硝子材料で構成することが困難である。なお各実施例において、光学系L0が複数の光学素子Aを有する場合、最も屈折力の強い光学素子Aが条件式(11)~(18)の少なくとも一つを満足することが好ましい。
【0046】
より好ましくは、条件式(11)~(17)の少なくとも一つの数値範囲は、以下の条件式(11a)~(17a)のようにそれぞれ設定される。
【0047】
-2.50<fA/f<-0.35 ・・・(11a)
-1.2<(rna+rnb)/(rna-rnb)<1.5 ・・・(12a)
0.05<|ra/rb|<0.80 ・・・(13a)
0.30<|ra|/f<2.50 ・・・(14a)
1.60<nN<1.74 ・・・(15a)
1.00<nP/nN<1.15 ・・・(16a)
0.2<fF/fR<4.8 ・・・(17a)
更に好ましくは、条件式(11)~(17)の少なくとも一つの数値範囲は、以下の条件式(11b)~(17b)のようにそれぞれ設定される。
【0048】
-1.70<fA/f<-0.45 ・・・(11b)
-0.8<(rna+rnb)/(rna-rnb)<1.3 ・・・(12b)
0.09<|ra/rb|<0.62 ・・・(13b)
0.40<|ra|/f<2.10 ・・・(14b)
1.65<nN<1.73 ・・・(15b)
1.00<nP/nN<1.10 ・・・(16b)
0.3<fF/fR<4.2 ・・・(17b)
次に、各実施例の光学系L0の具体的構成について説明する。
【0049】
実施例1において、光学系L0は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2とからなる。フォーカシングに際して、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2との間隔は変化する。すなわちフォーカシングに際して、第1レンズ群L1は移動せず、第2レンズ群L2は移動する。第2レンズ群L2は光学素子Aおよび開口絞りSPを含み、光学素子Aは開口絞りSPよりも物体側に配置されている。
【0050】
実施例2において、光学系L0は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2とからなる。フォーカシングに際して、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2との間隔は変化する。すなわちフォーカシングに際して、第1レンズ群L1は移動し、第2レンズ群L2は移動しない。第1レンズ群L1は光学素子Aおよび開口絞りSPを含み、光学素子Aは開口絞りSPよりも像側に配置されている。
【0051】
実施例3、4において、光学系L0は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2と第3レンズ群L3とからなる。フォーカシングに際して、隣り合うレンズ群の間隔は変化する。すなわちフォーカシングに際して、第1レンズ群L1は移動せず、第2レンズ群L2は移動し、第3レンズ群L3は移動しない。第1レンズ群L1は光学素子Aを含み、第2レンズ群L2は開口絞りSPを含む。
【0052】
次に、実施例1~4にそれぞれ対応する数値実施例1~4を示す。
【0053】
各数値実施例において、光学系の各面には物体側からの面番号i(iは自然数)を付している。rは各面の曲率半径(mm)、dは面番号iの面と面番号(i+1)の面との間の光軸上のレンズ厚又は距離(空気間隔)(mm)、ndは各面を有する光学部材の材料のd線に対する屈折率である。νdは各面を有する光学部材の材料のd線に対するアッベ数である。θgFは光学部材の材料のg線とF線に対する部分分散比である。
【0054】
また各数値実施例の面データにおいて、非球面形状の光学面については面番号の後に*(アスタリスク)の符号を付加している。また、非球面データは各非球面の非球面係数を示している。非球面係数における「e±A」は「×10±A」を意味している。光学面の非球面形状は、光軸方向における面頂点からの変位量をx、光軸方向に垂直な方向における光軸からの高さをh、近軸曲率半径をR、円錐定数をk、非球面係数をA4、A6、A8、A10、A12とするとき、以下の式(19)により表される。
【0055】
x=(h2/R)/[1+{1-(1+k)(h/R)2}1/2 +A4×h4+A6×h6+A8×h8 +A10×h10+A12×h12
焦点距離(mm)、Fナンバーおよび半画角(°)は光学系が無限遠物体に合焦した状態での値である。レンズ全長は、光学系の最前面(最も物体側のレンズ面)から最終面(最も像側のレンズ面)までの光軸上の距離にバックフォーカスBFを加えた長さである。バックフォーカスBFは、光学系の最終面から像面IPまでの距離である。
【0056】
[数値実施例1]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd θgF
1 60.959 3.00 1.58313 59.4 0.5423
2* 29.142 9.62
3 462.700 1.70 1.48749 70.2 0.5300
4 30.589 8.76
5 -260.307 5.37 1.91082 35.2 0.5824
6 -64.211 4.42
7 -39.173 1.65 1.61340 44.3 0.5633
8 1166.558 0.15
9 122.591 3.28 1.91082 35.2 0.5824
10 -1275.641 0.20
11 69.589 12.30 1.59522 67.7 0.5442
12 -34.452 1.70 1.73800 32.3 0.5899
13 -54.993 (可変)
14 47.307 6.26 1.91082 35.2 0.5824
15 -310.702 0.15
16 100.701 6.80 1.59522 67.7 0.5442
17 -49.684 1.60 1.78000 35.0 0.5789
18 29.466 5.31
19(絞り) ∞ 5.69
20 -24.844 4.86 1.49700 81.5 0.5375
21 -17.684 1.50 1.73800 32.3 0.5899
22 -149.642 0.20
23 77.056 8.59 1.59522 67.7 0.5442
24 -32.641 0.20
25* -303.460 5.80 1.85400 40.4 0.5677
26 -46.961 (可変)
27 ∞ 2.00 1.51633 64.1 0.5353
28 ∞ (可変)
像面 ∞
非球面データ
第2面
K = 0.00000e+00 A 4=-1.27943e-06 A 6=-3.21044e-09 A 8= 5.02252e-12
A10=-1.14954e-14 A12= 7.17402e-18
第25面
K = 0.00000e+00 A 4=-6.79027e-06 A 6=-2.37631e-09 A 8= 1.50951e-12
A10=-2.46689e-14 A12= 3.17958e-17
焦点距離 34.20
Fナンバー 1.45
半画角 32.32
像高 21.64
レンズ全長(in air) 146.31
BF (in air) 38.68
d13 8.53
d26 36.36
d28 1.00
ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 167.40
2 14 57.46
3 27 ∞
[数値実施例2]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd θgF
1* 85.092 9.70 1.80400 46.6 0.5573
2 -61.222 1.64 1.68893 31.1 0.6004
3 50.501 0.20
4 40.811 7.14 2.00100 29.1 0.5997
5 ∞ 0.55
6 106.027 1.65 1.65412 39.7 0.5737
7 25.011 7.46
8 -108.216 1.34 1.66565 35.6 0.5824
9 35.371 6.51 1.95375 32.3 0.5898
10 484.039 2.77
11(絞り) ∞ 2.58
12 1074.745 8.10 1.49700 81.5 0.5375
13 -21.330 1.29 1.78000 35.0 0.5789
14 228.057 0.44
15 92.121 7.61 1.76385 48.5 0.5589
16 -32.596 1.28 1.66565 35.6 0.5824
17 109.379 2.12
18* 165.663 5.93 1.88300 40.8 0.5656
19 -42.129 (可変)
20 54.758 9.04 1.88300 40.8 0.5656
21 -59.689 1.54 1.60342 38.0 0.5835
22 39.726 6.97
23 -61.882 1.21 1.67300 38.3 0.5757
24 50.828 5.52 1.80400 46.6 0.5573
25* -309.051 (可変)
26 ∞ 2.00 1.51633 64.1 0.5353
27 ∞ (可変)
像面 ∞
非球面データ
第1面
K = 0.00000e+00 A 4=-1.57720e-06 A 6=-9.66433e-10 A 8= 1.71066e-12
A10=-3.11338e-15 A12= 2.36827e-18
第18面
K = 0.00000e+00 A 4=-1.95287e-06 A 6= 3.66252e-09 A 8=-1.79752e-11
A10= 4.68833e-14 A12=-4.81628e-17
第25面
K = 0.00000e+00 A 4= 3.34452e-06 A 6= 3.06239e-09 A 8=-1.46710e-13
A10= 4.38814e-15 A12= 1.50462e-19
焦点距離 51.27
Fナンバー 1.25
半画角 22.88
像高 21.64
レンズ全長(in air) 110.08
BF(in air) 14.60
d19 2.89
d25 12.28
d27 1.00
ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 61.65
2 20 535.22
3 26 ∞
[数値実施例3]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd θgF
1 62.414 16.10 1.49700 81.5 0.5375
2 -288.715 3.00 1.75000 38.7 0.5739
3 173.526 (可変)
4 77.582 4.33 2.00272 19.3 0.6452
5 119.471 0.30
6 39.887 11.14 1.49700 81.5 0.5375
7 235.878 8.68
8* 82.930 2.50 1.85478 24.8 0.6122
9 29.624 8.89
10(絞り) ∞ 2.87
11 -94.457 1.50 1.85478 24.8 0.6122
12 35.879 7.88 1.88300 40.8 0.5656
13 -75.577 1.42
14 -45.597 1.70 1.54072 47.2 0.5651
15 69.967 6.19 1.95375 32.3 0.5898
16 -61.056 (可変)
17 140.248 6.87 1.95375 32.3 0.5898
18 -51.742 2.20 1.67300 38.1 0.5754
19 55.509 6.38
20 -47.003 1.65 1.67270 32.1 0.5988
21 -1008.760 0.20
22 77.245 4.77 1.90043 37.4 0.5774
23 1395.353 (可変)
24 ∞ 2.00 1.51633 64.1 0.5353
25 ∞ (可変)
像面 ∞
非球面データ
第8面
K = 0.00000e+00 A 4=-3.41965e-06 A 6=-7.44591e-10 A 8= 1.00265e-12
A10=-3.57550e-16 A12=-0.00000e-00
焦点距離 86.48
Fナンバー 1.24
半画角 14.04
像高 21.64
レンズ全長(in air) 134.49
BF(in air) 14.67
d 3 19.23
d16 2.01
d23 12.35
d25 1.00
ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 306.49
2 4 87.17
3 17 -529.76
4 24 ∞
[数値実施例4]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd θgF
1 90.781 10.31 1.59282 68.6 0.5458
2 -786.212 7.77
3 50.573 7.58 1.49700 81.5 0.5375
4 172.424 1.98
5 794.806 3.50 1.82000 30.0 0.5889
6 87.565 7.20
7 55.796 5.29 1.49700 81.5 0.5375
8 217.460 0.30
9 31.843 2.50 1.59270 35.3 0.5933
10 25.469 9.62
11(絞り) ∞ (可変)
12 -272.206 3.33 2.00069 25.5 0.6136
13 -77.356 2.00 1.64000 60.1 0.5370
14 41.860 (可変)
15 -42.869 2.00 1.73800 32.3 0.5899
16 75.203 5.59 1.80400 46.6 0.5572
17 -54.335 0.20
18 109.208 3.74 1.88300 40.8 0.5667
19 -262.201 (可変)
20 ∞ 2.00 1.51633 64.1 0.5353
21 ∞ (可変)
像面 ∞
焦点距離 133.33
Fナンバー 2.06
半画角 9.22
像高 21.64
レンズ全長(in air) 153.32
BF(in air) 54.40
d11 1.54
d14 24.45
d19 52.08
d21 1.00
ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 99.48
2 12 -69.69
3 15 85.29
4 20 ∞
以下の表1に、各数値実施例における種々の値を示す。
【0057】
【0058】
[撮像装置]
次に、
図10を参照して、各実施例の光学系L0を備えた撮像装置(デジタルスチルカメラ)10について説明する。
図1は、撮像装置10の概略図である。撮像装置10は、カメラ本体11と、カメラ本体11に対して着脱可能なレンズ装置12とを有する。レンズ装置12は、実施例1~4のいずれかの光学系L0を含む。13はカメラ本体11に内蔵され、レンズ装置12によって形成された光学像を受光して光電変換するCCDセンサまたはCMOSセンサなどの撮像素子(光電変換素子)である。カメラ本体11は、クイックターンミラーを有する所謂一眼レフカメラでもよいし、またはクイックターンミラーを有さない所謂ミラーレスカメラでもよい。
【0059】
このように、各実施例の光学系L0をデジタルスチルカメラなどの撮像装置に適用することにより、軸上色収差の二次スペクトルが良好に補正された高い光学性能を得ることができる。このため各実施例によれば、諸収差が良好に補正された光学系および撮像装置を提供することができる。
【0060】
各実施例の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)
光軸と瞳近軸光線との交点よりも物体側または像側の少なくとも一方に配置された、負の屈折力の光学素子を有し、
前記光学素子は、硝子材料からなり、
前記光学素子のd線における屈折率をNd、d線におけるアッベ数をνd、g線とF線に関する異常部分分散性をθgFとするとき、
1.70<Nd<1.85
28.0<νd<39.0
-0.0100<θgF-(0.64168-0.00162×νd)<-0.0040
なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
(構成2)
前記光学系の焦点距離をf、前記光学素子の焦点距離をfAとするとき、
-6.00<fA/f<-0.20
なる条件式を満足することを特徴とする構成1に記載の光学系。
(構成3)
前記光学素子の物体側のレンズ面の曲率半径をrna、前記光学素子の像側のレンズ面の曲率半径をrnbとするとき、
-2.0<(rna+rnb)/(rna-rnb)<2.0
なる条件式を満足することを特徴とする構成1または2に記載の光学系。
(構成4)
開口絞りを更に有し、
前記光学素子のレンズ面のうち、前記開口絞りに近い側のレンズ面の曲率半径をra、前記開口絞りから遠い側のレンズ面の曲率半径をrbとするとき、
0.00<|ra/rb|<1.00
0.15<|ra|/f<3.00
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載の光学系。
(構成5)
前記光学系を構成する全ての負レンズの平均屈折率をnNとするとき、
1.55<nN<1.75
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至4のいずれかに記載の光学系。
(構成6)
前記光学系を構成する全ての正レンズの平均屈折率をnPとするとき、
1.00<nP/nN<1.20
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至5のいずれかに記載の光学系。
(構成7)
開口絞りを更に有し、
前記光学系のうち前記開口絞りよりも物体側に配置されたレンズ群の焦点距離をfF、前記光学系のうち前記開口絞りよりも像側に配置されたレンズ群の焦点距離をfRとするとき、
0.1<fF/fR<5.5
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至6のいずれかに記載の光学系。
(構成8)
前記光学素子の比重をdとするとき、
1.5<d<4.0
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至7のいずれかに記載の光学系。
(構成9)
前記光学系は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群と第2レンズ群とからなり、
フォーカシングに際して、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔は変化し、
前記第2レンズ群は、前記光学素子を含むことを特徴とする構成1乃至8のいずれかに記載の光学系。
(構成10)
前記光学系は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群と第2レンズ群とからなり、
フォーカシングに際して、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔は変化し、
前記第1レンズ群は、前記光学素子を含むことを特徴とする構成1乃至8のいずれかに記載の光学系。
(構成11)
前記光学系は、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群と第2レンズ群と第3レンズ群とからなり、
フォーカシングに際して、隣り合うレンズ群の間隔は変化し、
前記第1レンズ群は、前記光学素子を含むことを特徴とする構成1乃至8のいずれかに記載の光学系。
(構成12)
構成1乃至11のいずれか一項に記載の光学系と、該光学系によって形成される像を受光する撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。
【0061】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
A 光学素子
L0 光学系