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  • 特開-スクレパの取付構造 図1
  • 特開-スクレパの取付構造 図2
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  • 特開-スクレパの取付構造 図4
  • 特開-スクレパの取付構造 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163085
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】スクレパの取付構造
(51)【国際特許分類】
   A01D 43/04 20060101AFI20231101BHJP
   A01F 15/10 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
A01D43/04
A01F15/10 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073911
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000132909
【氏名又は名称】株式会社タカキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100111349
【弁理士】
【氏名又は名称】久留 徹
(72)【発明者】
【氏名】小林 優史
【テーマコード(参考)】
2B075
【Fターム(参考)】
2B075AA03
2B075AB05
2B075AC04
(57)【要約】
【課題】ローラーとスクレパの隙間を一定に保てるようにするとともに、迅速にスクレパを取り付けられるようにしたスクレパの取付構造を提供する。
【解決手段】作物を挟み込んで搬送する第一ローラー31から第四ローラー34で構成された搬送部3と、表面が滑らかに形成された第三ローラー33の外周面に対して一定の隙間を持って設けられ、当該第三ローラー33への作物の巻き付きを防止するためのスクレパ37と、当該第三ローラー33の端部を回転可能に保持する軸受フランジ36と、当該軸受フランジ36を取り付けるための左右のフレーム30と、を備え、前記軸受フランジ36に、前記スクレパ37を取り付けるための顎部36Bを設けるようにする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物を挟み込んで搬送する上下一対のローラーと、
前記ローラーの外周面に対して一定の距離を持って設けられ、当該ローラーへの作物の巻き付きを防止するためのスクレパと、
当該ローラーの端部を回転可能に保持する軸受フランジと、
当該軸受フランジを取り付けるための左右のフレームと、を備え、
前記軸受フランジに、前記スクレパを取り付けるための取付部を設けるようにしたことを特徴とするスクレパ取付構造。
【請求項2】
前記取付部が、
前記軸受フランジの外周部分から外側に向けて伸出させた顎部で構成されるものであり、
当該顎部にボルトを介してスクレパを取り付けるようにした請求項1に記載のスクレパ取付構造。
【請求項3】
前記取付部が、
前記軸受フランジの外周部分から外側に向けて伸出させた顎部で構成されるものであり、
当該顎部の下面側にスクレパを取り付けるようにした請求項1に記載のスクレパ取付構造。
【請求項4】
前記取付部が、
前記軸受フランジの外周部分から内側に向けて切り欠いた凹部と、
当該凹部の下方側で、軸受フランジの外周部分から外側に向けて伸出させた顎部と、を設けて構成されるものであり、
当該顎部にボルトを介してスクレパを取り付けるようにした請求項1に記載のスクレパ取付構造。
【請求項5】
前記ローラーによって搬送された作物を細断する固定刃および回転刃で構成された細断部を設け、
前記スクレパの表面を、前記固定刃の表面と一致させるようにした請求項1に記載のスクレパの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺状の作物を搬送する際に、搬送部を構成するローラーに、その作物を巻き付かせないようにしたスクレパの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圃場で育成された飼料用の作物は、収穫機によって刈り取られ、その後、細断されて飼料用の作物として使用される。
【0003】
このような飼料用の作物を収穫する収穫機の一例として、ロールベーラーなどが挙げられる。
【0004】
このロールベーラーは、長尺状の作物の根本付近を刈り取る刈取部と、その刈取部で刈り取られた作物を茎の長手方向に取り込んで搬送する搬送部と、その搬送部で搬送された作物を細断する細断部と、その細断部で細断された作物を、シューターを介して吹き上げて収集するホッパーと、そのホッパーで収集された作物を用いてロールベールを成形するロール成形室などを備えて構成される。
【0005】
ところで、このような収穫機において、刈り取られた長尺状の作物を搬送する場合、上下一対のローラーに作物を挟み込んで搬送させ、下流側の細断部で細断させるようにしているが、このとき、作物に水分が含まれていると、その水分によって作物がローラーに巻き付いてしまい、詰まりを生じたり、細断部に搬送されなくなったりしてしまうといった問題を生ずる。
【0006】
このため、従来では、ローラーの外周表面の近傍に、一定の隙間を空けてスクレパを取り付け、これによって、作物がローラーに巻き付かないようにしている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004-73137号公報
【特許文献2】特開2014-68567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来、スクレパをローラーの近傍に取り付ける際、ローラーを保持する左右のフレームにスクレパを溶接などで取り付けるようにしていた。具体的には、スクレパを取り付ける際、左右のフレームに、軸受フランジを介してローラーを取り付けるとともに、その取り付けられたローラーの外周表面に対して、僅かな隙間を持ってスクレパをフレームに溶接で取り付けるようにしていた。このため、スクレパを取り付ける際、ローラーとの隙間の調整に時間が掛かってしまい、また、作業者によっては、ローラーとの隙間が不均一になってしまう可能性があるといった問題があった。また、溶接時にスクレパにひずみを生じたり、あるいは、フレームのひずみ、ローラーの取付状態によっては、スクレパとローラーとの隙間がずれてしまい、作物がローラーに巻き付いてしまうといった問題もあった。
【0009】
そこで、本発明は上記課題に着目してなされたもので、ローラーとスクレパの隙間を一定に保てるようにするとともに、迅速にスクレパを取り付けられるようにしたスクレパの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、作物を挟み込んで搬送する上下一対のローラーと、前記ローラーの外周面に対して一定の距離を持って設けられ、当該ローラーへの作物の巻き付きを防止するためのスクレパと、当該ローラーの端部を回転可能に保持する軸受フランジと、当該軸受フランジを取り付けるための左右のフレームと、を備え、前記軸受フランジに、前記スクレパを取り付けるための取付部を設けるようにしたものである。
【0011】
このように構成すれば、ローラーの軸受フランジにスクレパを取り付けるようにしているため、ローラーとスクレパとの相対的な位置関係を常に一定に保つことができ、溶接時におけるスクレパの取付状態のひずみや、フレームのひずみ、ローラーの取付状態に依存することなく、スクレパを一定の位置に取り付けておくことができる。
【0012】
また、このような発明において、前記取付部を構成する場合、前記軸受フランジの外周部分から外側に向けて伸出させた顎部を設け、当該顎部にボルトを介してスクレパを取り付けるように構成する。
【0013】
このように構成すれば、軸受フランジ部から突出して設けられた顎部にスクレパを取り付けられるようにすることによって、左右のフレームの前方からスクレパを取り付けることができるようになる。
【0014】
さらに、このように設けられた顎部の下面側にスクレパを取り付けるようにする。
【0015】
このように構成すれば、スクレパの取り付け面積を大きく確保することができるとともに、対向して設けられた他のローラーとの接合面近傍にスクレパのエッジを位置させることができるようになる。
【0016】
また、前記取付部を設ける場合、前記軸受フランジの外周部分から内側に向けて切り欠いた凹部と、当該凹部の下方側で、軸受フランジの外周部分から外側に向けて伸出させた顎部と、を設けて構成し、当該顎部にボルトを介してスクレパを取り付けるようにする。
【0017】
このように構成すれば、凹部で形成された空間にボルトなどを挿入して、取り付けることができるようになる。
【0018】
また、前記ローラーによって搬送された作物を細断する固定刃および回転刃で構成された細断部を設け、前記スクレパの表面と前記固定刃の表面とを一致させるようにする。
【0019】
このように構成すれば、スクレパによって位置決めされた作物の束を、固定刃に受け渡して、回転刃で細断させることができるようになる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ローラーの軸受フランジにスクレパを取り付けるようにしているため、ローラーとスクレパとの相対的な位置関係を常に一定に保つことができ、溶接時におけるスクレパの取付状態のひずみや、フレームのひずみ、ローラーの取付状態に依存することなく、スクレパを一定の位置に取り付けておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施の形態におけるロールベーラーを示す図
図2】同形態における機体前方の刈取部、搬送部、細断部などを示す図
図3】同形態における搬送部の第三ローラーとフレームを示す分解斜視図
図4】同形態における軸受フランジとスクレパを示す図
図5】同形態における軸受フランジにスクレパを取り付けた状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
この実施の形態におけるスクレパの取付構造は、作物を搬送させる際に、その作物をローラーに巻き付かせないようにしたものであって、一例として、長尺状の作物を搬送して細断するロールベーラー1などに適用される。
【0024】
このロールベーラー1は、図1に示すように、機体の前方に設けられた左右一対のドラムカッターで構成された刈取部2と、その刈取部2で刈り取られた長尺状の作物を、作物の長手方向に沿って搬送する搬送部3と、この搬送部3で搬送された作物を細断する細断部4と、その細断部4で細断された作物をシューター5で吹き上げて回収するホッパー6と、そのホッパー6で回収され、コンベア71で搬送された作物から円柱状のロールベールを成形するロール成形室7などを有して構成される。そして、特徴的に、図4図5に示すように、作物を搬送する際に、第三ローラー33の軸受フランジ36にスクレパ37を取り付け、第三ローラー33とスクレパ37との隙間を一定にして、第三ローラー33に作物を巻き付かせないようにしたものである。以下、本実施の形態について詳細に説明する。
【0025】
まず、刈取部2は、機体の前方側に設けられるものであって、左右のディスクカッターで構成される。そして、これらのディスクカッターを互いに内向きに回転させて、作物の根本付近を刈り込み、その刈り込んだ作物を、根元付近から左右のディスクカッターの間から取り込めるように構成される。
【0026】
搬送部3は、図2に示すように、上流側に設けられた上下一対の第一ローラー31および第二ローラー32と、下流側に設けられた上下一対の第三ローラー33と第四ローラー34とを備え、第一ローラー31および第二ローラー32の間で作物を刈取部2から受け取り、下流側の第三ローラー33と第四ローラー34との間に作物の先端側を挟み込んで、作物を長手方向に搬送させるように構成されている。この第一ローラー31および第二ローラー32は、外周部分から突出する羽根を設けて作物を取り込み易くしており、また、第四ローラー34は、外周部分に小さな凹凸を設けて作物を搬送しやすくしている。一方、第三ローラー33は、表面を滑らかにした円柱状に構成されており、これによって第三ローラー33から細断部4の固定刃41に向けて作物を搬送させるようになっている。なお、この第一ローラー31は、第三ローラー33の端部に設けられたアーム35Aによって上下方向に動くようになっており、また、第四ローラー34は、第二ローラー32の端部に設けられたアーム35Bによって上下方向に動くように構成されている。そして、このように上下方向に動くようにすることによって、作物の厚みに対応して隙間幅を変えられるようになっている。
【0027】
細断部4は、搬送部3から搬送されてきた作物を細断できるようにしたものであって、図2に示すように、長手方向に沿って取り込まれた作物を、固定刃41と回転刃42で細断できるように構成されている。このように細断された作物は、シューター5を介して吹き上げられ、機体の上部に設けられたホッパー6に向けて放出される。この固定刃41は、搬送部3の第三ローラー33に設けられたスクレパ37の下面と同一面を形成するように設けられており、これによって、スクレパ37によって揃えられた作物を固定刃41で位置決めし、回転刃42で細断できるようにしている。
【0028】
このホッパー6に放出された作物は、機体の内部に設けられたコンベア71(図1参照)の上に落下し、そこからロール成形室7に運び込まれる。
【0029】
ロール成形室7は、コンベア71によって運び込まれた作物から円柱状のロールベールを成形するものであって、内側に設けられた周回部材72を円周状に周回させ、これによって、作物を自転させてロールベールを形成させるようになっている。このように形成されたロールベールには、ネット繰出部73から繰り出されたネットが巻き付けられ、その後、後部チャンバー74を開放させて、圃場に放出させるようになっている。
【0030】
このような構成のもと、この実施の形態では、搬送部3を構成する下流側の第三ローラー33の軸受フランジ36にスクレパ37を取り付け、長尺状の作物が第三ローラー33に巻き付かないようにしている。
【0031】
このスクレパ37は、図3に示すように、第三ローラー33の回転軸に沿った横長プレート状に構成されるものであって、第三ローラー33から僅かに離れた位置にエッジ38を位置させて、作物を第三ローラー33に巻き付かせないようにしている。このスクレパ37を取り付ける軸受フランジ36は、図4に示すように、径方向に対して垂直な方向に凹んだ凹部36Aを設けるとともに、その凹部36Aの下方側に、軸受フランジ36の外周部分から、径方向に対して垂直な外側に向けて延出させた顎部36Bを設け、その顎部36Bの下方にスクレパ37を取り付けられるように構成されている。そして、図5に示すように、凹部36Aにボルト39Aの頭部を入れ、顎部36Bの穴部を通して、スクレパ37の下方でナット39Bを用いて締結できるようにしている。これにより、軸受フランジ36と第三ローラー33およびスクレパ37の位置関係を常に一定にすることができ、また、溶接加工を行わなくてもスクレパ37を取り付けることができるようになる。
【0032】
なお、このようにスクレパ37を取り付ける場合、軸受フランジ36からフレーム30の前端を回って第三ローラー33の表面近傍にエッジ38を位置させる必要があるが、このとき、スクレパ37に、フレーム30の端部を回避するための溝などを設けて、フレーム30の端部を回避させるようにしてもよいが、このようにすると、スクレパ37に設けられた溝によって、スクレパ37の強度が弱くなって変形してしまう可能性がある。そこで、この実施の形態では、左右のフレーム30に、第三ローラー33側に向けて切り欠いた切欠部30Aを形成しておき、その切欠部30Aから軸受フランジ36の顎部36Bを前方に突出させて、スクレパ37を取り付けられるようにしている。これにより、スクレパ37を長方形状に形成しておくことができ、スクレパ37に強度を持たせて、変形などを防止することができるようになる。
【0033】
次に、このように構成されたロールベーラー1の作用について説明する。
【0034】
まず、ロールベーラー1を走行させて作物を刈取り、左右のドラムカッターの間に、作物の根本付近から作物を取り込む。
【0035】
このように取り込まれた作物は、第一ローラー31と第二ローラー32との間に取り込まれ、下流側に設けられた第三ローラー33と第四ローラー34に挟み込まれた状態で、作物の長手方向に沿って搬送される。このとき、表面が滑らかに構成された第三ローラー33には、水分を含有する作物が付着してしまう可能性があるが、軸受フランジ36に取り付けられたスクレパ37によって巻き付きが防止され、固定刃41に向けて作物が搬送される。
【0036】
このように搬送された作物は、スクレパ37と同一面を形成する固定刃41に向けて送り出され、固定刃41で作物が固定された状態で、回転刃42によって細断される。そして、回転刃42を回転させる際の風圧によって、細断された作物を、シューター5を介してホッパー6に放出する。
【0037】
このホッパー6に収集された作物は、機体の内部に設けられたコンベア71によって後方に搬送され、ロール成形室7の周回部材72を回転させることによって、円柱状のロールベールとして成形される。
【0038】
そして、ロールベールが一定の大きさに形成された後に、ネット繰出部73からネットを繰り出してロールベールの表面に巻き付け、後部チャンバー74を開放させて、ロールベールを圃場に放出する。
【0039】
このように上記実施の形態によれば、作物を挟み込んで搬送する第一ローラー31から第四ローラー34で構成された搬送部3と、表面が滑らかに形成された第三ローラー33の外周面に対して一定の隙間を持って設けられ、当該第三ローラー33への作物の巻き付きを防止するためのスクレパ37と、当該第三ローラー33の端部を回転可能に保持する軸受フランジ36と、当該軸受フランジ36を取り付けるための左右のフレーム30と、を備え、前記軸受フランジ36に、前記スクレパ37を取り付けるための凹部36Aや顎部36Bを設けるようにしたので、第三ローラー33とスクレパ37との相対的な位置関係を常に一定に保つことができ、第三ローラー33に作物が巻き付くことを防止することができるようになる。
【0040】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0041】
例えば、上記実施の形態では、ロールベーラー1を例に挙げて説明したが、長尺状の作物を搬送する装置であれば、どのような装置にも適用することができる。
【0042】
また、上記実施の形態では、軸受フランジ36の外周部分から突出する顎部36Bにスクレパ37を取り付けるようにしたが、軸受フランジ36の側面にスクレパ37を取り付けるための取付部を形成しておき、その取付部にスクレパ37を取り付けるようにしてもよい。
【0043】
さらに、上記実施の形態では、第三ローラー33にスクレパ37を取り付けるようにしたが、無端ベルトにスクレパを取り付ける場合も、同様に、その無端ベルトを駆動させるローラーの軸受フランジにスクレパを取り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1・・・ロールベーラー
2・・・刈取部
3・・・搬送部
30・・・フレーム
30A・・・切欠部
31・・・第一ローラー
32・・・第二ローラー
33・・・第三ローラー
34・・・第四ローラー
36・・・軸受フランジ
36A・・・凹部
36B・・・顎部(取付部)
37・・・スクレパ
38・・・エッジ
4・・・細断部
図1
図2
図3
図4
図5