IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タカキタの特許一覧

<>
  • 特開-シュートヘッド 図1
  • 特開-シュートヘッド 図2
  • 特開-シュートヘッド 図3
  • 特開-シュートヘッド 図4
  • 特開-シュートヘッド 図5
  • 特開-シュートヘッド 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163086
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】シュートヘッド
(51)【国際特許分類】
   A01D 43/077 20060101AFI20231101BHJP
【FI】
A01D43/077
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073912
(22)【出願日】2022-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000132909
【氏名又は名称】株式会社タカキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100111349
【弁理士】
【氏名又は名称】久留 徹
(72)【発明者】
【氏名】小林 優史
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA02
2B083BA15
2B083FA06
2B083FA09
2B083JA06
(57)【要約】
【課題】シューターの排出口近傍に作物が詰まった場合であっても、簡単にその作物を除去できるようにしたシューターを提供する。
【解決手段】機体前方の刈取部2で刈り取られ、細断部3で細断された作物を上方に向けて吹き上げてホッパー6に排出するシューター5において、そのシューター5の先端側の底面部52に、ヒンジ55を介して回動可能な開放面54に設け、シューター5に作物が詰まった場合に底面部52を開放させて、作物を除去できるようにする。また、ヒンジ55近傍に開口部54aを設けておき、開放面54を開放させることなく、排出口53近傍に作物を除去できるようにする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細断された作物を上方に向けて吹き上げ、収集部に向けて排出するシューターにおいて、
シューターを構成する上面部、側面部、底面部の少なくともいずれかの面に、当該上面部、側面部、底面部の一部を開閉可能に開放させる開放面に設けたことを特徴とするシューター。
【請求項2】
前記開放面が、ヒンジを介して回動可能に設けられるものである請求項1に記載のシューター。
【請求項3】
前記開放面が、底面部に設けられるものである請求項1に記載のシューター。
【請求項4】
前記開放面が、シューターの先端側に設けられたヒンジを介して基端部側を開放させるように構成されるものである請求項1に記載のシューター。
【請求項5】
前記開放面が、底面部に設けられるものであり、シューターの先端側に設けられたヒンジを介して基端側を開放させるように構成されるものであり、
当該開放面から基端側に連続するように設けられる底面部に、開放面を閉止状態に固定するための固定部を設けるようにした請求項1に記載のシューター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細断された作物を吹き上げて排出させるためのシュートヘッドに関するものであり、より詳しくは、吹き上げの際に詰まった内部の作物を簡単に除去できるようにしたシュートヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、飼料用作物を収穫する場合、特許文献1などに示されるようなロールベーラー1などが使用される。
【0003】
このロールベーラー1は、長尺状の作物の根本付近を刈り取る刈取部と、その刈取部で刈り取られた作物を茎の長手方向に取り込んで搬送する搬送部と、その搬送部で搬送された作物を細断する細断部と、その細断部で細断された作物を、ホッパーまで吹き上げるシューターと、ホッパーで収集された作物を用いてロールベールを成形するロール成形室などを備えて構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】意匠登録第1495108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような作物を細断して収集する場合、次のような問題がある。
【0006】
すなわち、従来では、細断された作物をシューターを介してホッパーに収集するようにしているが、作物に多くの水分が含まれているような場合、シューターの排出口付近で作物の排出速度が遅くなり、目詰まりを起こしてしまうことがあった。このため、従来では、シューターの排出口近傍の底面部に開口部を設け、その開口部から手を入れて作物を取り出すようにしていたが、シューターの奥深くで詰まりを起こしている場合は、手が届かず、その取り出しに時間がかかるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は上記課題に着目してなされたもので、シューターの排出口近傍に作物が詰まった場合であっても、簡単にその作物を除去できるようにしたシューターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、細断された作物を上方に向けて吹き上げ、収集部に向けて排出するシューターにおいて、シューターを構成する上面部、側面部、底面部の少なくともいずれかの面に、当該上面部、側面部、底面部の一部を開閉可能に開放させる開放面に設けようにしたものである。
【0009】
このように構成すれば、シューター内に作物が詰まっている場合であっても、開放面を開放させることによって、その作物を簡単に除去することができるようになる。
【0010】
また、このような発明において、前記開放面を、ヒンジを介して開閉可能に設けるようにする。
【0011】
このように構成すれば、簡単かつ小さな力で開放面を大きく開放させることができるようになる。
【0012】
さらに、このような開放面を、底面部に設けるようにする。
【0013】
このように構成すれば、開放面を開放させることによって、自重によって作物を落下させて除去することができるようになる。
【0014】
また、前記開放面を、シューターの先端側に設けられたヒンジを介して基端部側を開放させるように構成する。
【0015】
このように構成すれば、シューターの中段近傍を大きく開放させることができるため、シューターの中段近傍から基端部にかけて詰まりを生じている場合であっても、その詰まった作物を容易に除去することができるようになる。
【0016】
また、前記開放面を、底面部に設けるとともに、シューターの先端側に設けられたヒンジを介して基端側を開放させるように構成する場合、当該開放面側から基端側に向けて連続するように設けられる底面部に、開放面を閉止状態に固定するための固定部を設けるようにする。
【0017】
このように構成すれば、シューターを傾倒させることなく詰まりを除去する場合、低い位置に固定部が設けられているため、運転席の横から固定部を操作して、開放面を開放させることができるようになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、細断された作物を上方に向けて吹き上げ、収集部に向けて排出するシューターにおいて、シューターを構成する上面部、側面部、底面部の少なくともいずれかの面に、当該上面部、側面部、底面部の一部を開閉可能に開放させる開放面に設けようにしたので、シューター内に作物が詰まっている場合であっても、開放面を開放させることによって、その作物を簡単に除去することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施の形態におけるロールベーラー1を示す図
図2】同形態における刈取部、搬送部、細断部の近傍を示す図
図3】同形態における起立させたシューターの開放面の開閉状態を示す図
図4】同形態における傾倒させたシューターの開放面の開閉状態を示す図
図5】同形態におけるシューターの外観斜視図
図6】他の形態における開放面を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
この実施の形態におけるシューターは、細断された作物を吹き上げて、ホッパーに収集させるようにしたものであって、一例として、図1に示すようなロールベーラー1などに適用される。
【0022】
このロールベーラーは、機体の前方に設けられた左右一対のドラムカッターで構成された刈取部2と、その刈取部2で刈り取られた長尺状の作物を、作物の長手方向に沿って搬送する搬送部3と、この搬送部3で搬送された作物を細断する細断部4と、その細断部4で細断された作物を吹き上げるシューター5と、そのシューター5吹き上げられた作物を収集するホッパー6と、そのホッパー6で収集された作物からロールベールを成形するロール成形室7などを有して構成される。そして、特徴的に、図3から図5に示すように、湾曲状に構成されたシューター5の先端側の底面側に、ヒンジ55を介して開放可能に設けられた開放面54を設け、これによって、シューター5の内部に詰まった作物を容易に除去できるようにしたものである。以下、本実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
まず、刈取部2は、機体の前方側に設けられるものであって、左右のディスクカッターで構成される。そして、これらのディスクカッターを互いに内向きに回転させて、作物の根本付近を刈り込み、その刈り込んだ作物を、根元付近から左右のディスクカッターの間から取り込めるように構成される。
【0024】
搬送部3は、図2に示すように、上流側に設けられた上下一対の第一ローラー31および第二ローラー32と、下流側に設けられた上下一対の第三ローラー33と第四ローラー34とを備え、第一ローラー31および第二ローラー32の間で作物を刈取部2から受け取り、下流側の第三ローラー33と第四ローラー34との間に作物の先端側を挟み込んで、作物を長手方向に搬送させるように構成されている。
【0025】
細断部4は、搬送部3から搬送されてきた作物を細断できるようにしたものであって、図2に示すように、長手方向に沿って取り込まれた作物を、固定刃41と回転刃42で細断できるように構成されている。このように細断された作物は、シューター5を介して吹き上げられ、機体の上部に設けられたホッパー6に向けて放出される。
【0026】
シューター5は、細断部4の上部から機体の中央上部に設けられたホッパー6に向けて作物を吹き上げられるようにしたもので、細断部4の上側で鉛直軸を中心として回動できるようになっており、かつ、図4に示すように、水平方向に傾倒させられるようになっている。このシューター5は、湾曲状に構成されており、上面部50、側面部51、および底面部52を設けて、断面を中空とした矩形状とし、そこに作物を通せるようになっている。そして、その排出口53の上方に設けられた当板57を任意の角度に向けることで、排出口53から排出された作物を、ホッパー6に向けて排出させるようになっている。
【0027】
ホッパー6は、水平方向に排出された作物を受け取り、奥方に設けられた図示しない傾斜板に当てて作物を下方に落下させるように構成されている。そして、その収集した作物を、機体の中央下方に設けられたコンベア71に作物を載せ、ロール成形室7まで搬送させるようになっている。
【0028】
ロール成形室7は、コンベア71によって運び込まれた作物から円柱状のロールベールを成形するものであって、内側に設けられた周回部材72を円周状に周回させ、これによって、作物を自転させてロールベールを形成させるようになっている。このように形成されたロールベールには、ネット繰出部73から繰り出されたネットが巻き付けられ、その後、後部チャンバー74を開放させて、圃場に放出させるようになっている。
【0029】
このような構成のもと、この実施の形態では、湾曲状に構成されたシューター5の先端側の底面側に、ヒンジ55を中心として開放可能な開放面54を設けるようにしている。
【0030】
この開放面54は、図5などに示すように、シューター5の底面部52側に設けられており、排出口53側にヒンジ55を設け、シューター5の中段近傍を下方に開放させるようになっている。なお、これとは逆に、シューター5の中段近傍にヒンジ55を設けて、排出口53側を下方に向けて開放させるようにしてもよい。前者のように排出口53側にヒンジ55を設けた場合は(図3の状態)、開放面54を開放させることによって、シューター5の中段近傍から開放面54を遠ざけることができ、中段近傍から基端部側に詰まった作物を容易に除去することができるというメリットがある。また、開放面54を閉止状態に固定するための固定部56を設ける場合、その開放面54から連続する底面部52に固定部56を設けることができるというメリットがある。一方、後者のように、シューター5の中段近傍にヒンジを設けて排出口53側を開放させるようにした場合、排出口53の近傍を大きく開放することができるため、排出口53の近傍に詰まった作物を容易に除去することができるというメリットがある。なお、後者のように、シューター5の中段近傍にヒンジを設けるようにした場合、先端部分に排出口53が開口した状態で設けられているため、固定部56を設けることができない。このため、開放面54とシューター5の側面部51との間に跨って固定部56を設けるようにする。
【0031】
このようなシューター5に固定部56を設ける場合、キャッチクリップなどを取り付けて開放面54の閉止状態を固定できるようにしてもよいが、このようなキャッチクリップを取り付けると、その取り付けの際に使用されるボルトやナットなどがシューター5の内部に突出してしまい、その突起物に作物が当たって詰まりを起こしてしまう可能性がある。そこで、ここでは、底面部52および開放面54の接合部分に、底面部52および開放面54から直角に屈曲させた起立部52a、56aを設け、その起立部52a、56aに設けられた穴部52b、56bにピン56cを挿入して固定できるようにしている。これにより、シューター5の内部に突起物などが存在させることがなくなり、作物をスムーズに排出させることができるようになる。
【0032】
また、排出口53側にヒンジ55を設けるようにした場合、そのヒンジ55がシューター5の開口部分に近い位置に設けられていると、シューター5から排出された作物がヒンジ55に当たってしまい、排出口53付近で詰まりを生じてしまう可能性がある。そのため、左右の側面から下方に垂下する垂下壁51aにヒンジ55を取り付け、これによって、ヒンジ55を排出口53から離しておくようにする。
【0033】
さらに、ここでは、ヒンジ55と開放面54との境界部分に、開放面54を切り欠いた開口部54aを設けるようにしている(図5参照)。これにより、排出口53の近傍にだけ作物が詰まっている場合に、開放面54を開放させることなく、その開口部54aから作物を除去できるようにしている。
【0034】
次に、このように構成されたシューター5の作用、および、詰まった作物を除去する際の作業方法について説明する。
【0035】
まず、作物を収穫する場合、刈取部2で作物を刈り取り、搬送部3を介して細断部4に作物を搬送する。そして、その細断部4で作物を細断し、回転刃42を有する回転体に設けられた羽根の風圧によって、作物を上方に吹き上げる。
【0036】
このように吹き上げられた作物は、中段近傍でシューター5の上面部50に当たり、そこから、湾曲する方向に排出されるようになる。
【0037】
このように排出される作物は、シューター5の排出口53に設けられた当板57に当たり、ホッパー6に向けて排出される。
【0038】
このように作物を排出させている際に、作物に含まれる水分や、当板57の傾斜角度によって、排出口53の近傍で詰まりを生じた場合、収穫作業を続けていると、後から吹き上げられてきた作物によって、シューター5の中段近傍まで作物が詰まってしまう場合がある。
【0039】
このような場合、シューター5の基端部に設けられた傾倒部58を介してシューター5を水平方向に倒し(図4の状態)、開放面54と底面部52の起立部52aに刺し込まれたピン56cを引き抜く。すると、自重によって開放面54が回動し(破線の状態)、自重によって作物を落下させて詰まりを除去することができるようになる。
【0040】
そして、このように作物を除去した後、開放面54を閉止させる方向に回動させて、ピン56cを起立部52aに挿入して開放面54を閉止させ、シューター5を起立させて(図3の状態)、再び、ロールベーラー1を駆動させて、作物を収穫していく。
【0041】
このように上記実施の形態によれば、細断された作物を上方に向けて吹き上げ、ホッパー6に向けて排出するシューター5において、シューター5を構成する底面部52に、開放可能に取り付けた開放面54に設けるようにしたので、シューター5内に詰まりを生じた場合であっても、開放面54を開放させて、容易に作物の詰まりを除去することができるようになる。
【0042】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0043】
例えば、上記実施の形態では、底面部52を開放させるようにしたが、側面部51、あるいは、上面部50を開放させて、詰まりを除去できるようにしてもよい。
【0044】
また、上記実施の形態では、ヒンジ55を介して開放面54を回動させるようにしたが、図6に示すように、底面部52にスライド可能な開放面54を設けて置き、この開放面54をスライドさせることによって、内部の詰まりを除去できるようにしてもよい。なお、ここでは、底面部52にスライド可能な開放面54を設けるようにしたが、上面部50や側面部51に設けるようにしてもよい。
【0045】
さらに、上記実施の形態では、起立部52aとピン56cで固定部56を構成するようにしたが、他の手段で固定できるようにしてもよい。
【0046】
また、上記実施の形態では、シューター5の中段近傍から先端側にかけて開放面54を設けるようにしたが、基端部から中段近傍にかけて開閉可能な開放面54を設けるようにしてもよい。
【0047】
また、上記実施の形態では、ホッパー6に作物を排出する場合について説明したが、刈取装置と並行しながら走行する集積車両などに作物を排出させる場合についても適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1・・・ロールベーラー
2・・・刈取部
3・・・搬送部
4・・・細断部
5・・・シューター
50・・・上面部
51・・・側面部
52・・・底面部
52a・・・起立部
52b・・・穴部
53・・・排出口
54・・・開放面
54a・・・開口部
55・・・ヒンジ
56・・・固定部
56a・・起立部
56b・・・穴部
56c・・・ピン
57・・・当板
58・・・傾倒部
6・・・ホッパー
図1
図2
図3
図4
図5
図6