(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001631
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】安定床部材の製造方法及び前記方法を使用し得る型
(51)【国際特許分類】
B28B 7/16 20060101AFI20221226BHJP
【FI】
B28B7/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021102467
(22)【出願日】2021-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】521271598
【氏名又は名称】ヴィディーヴィ アールアンドディー,ベスローテム フェンノートシャップ メット ベペルクテ アーンスプラケリックヘイド
【氏名又は名称原語表記】VDV R&D, besloten vennootschap met beperkte aansprakelijkheid
【住所又は居所原語表記】Leemputten 20, 2310 Rijkevorsel Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル フェルデン,ドミニク
【テーマコード(参考)】
4G053
【Fターム(参考)】
4G053AA02
4G053AA11
4G053BA04
4G053BA06
4G053BC03
4G053DA01
4G053EA04
4G053EA08
4G053EA12
4G053EA22
4G053EA26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】安定床部材の品質が保証されるように、適用された補強材が、製造中及びコンクリートの硬化中に正しい位置に残るか、又は正しい位置になる安定床部材の製造方法、及び該方法で使用可能な型を提供する。
【解決手段】安定床部材の製造方法は、型を準備する工程、型の隆起部13間の型の底部11近くに頂部補強材を設ける工程、対向する孔18の対を通して取り外し可能な支持ロッドを設ける工程、支持ロッド上に構造補強材を配置する工程、型にコンクリートを流し込む工程、及び支持ロッドを除去する工程を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的にコンクリート製グリッド(2)から成り、相互に間隔(D)を開けて長手方向(AA')に延びる長手方向ビーム(2)を備え、前記長手方向ビーム(2)が横方向ビーム(4)によって相互に接続された安定床部材(1)の製造方法において、
・直立側壁(12)で囲まれた底部(11)を有する型(10)であって、長手方向び―む(3)及び横方向ビーム(4)間に形成されるキャビティ又は開口部(7)に対応する隆起部(13)を備え、一つ以上の対向する孔(18)の対が、型(10)の対向する側壁(14)に設けられ、各対向する孔(18)の対間で、一つ以上の支持柱(22)が型(10)の底部(11)から垂直に延び、前記支持柱(22)の頂部が、対向する孔(18)の各対間の線(H,H')に沿って整列された型(10)を準備する工程、
・型(10)の隆起部(13)間の型(10)の底部(11)近くに頂部補強材(27)を適用する工程、
・各対の対向する孔(18)を通して、取り外し可能な支持ロッド(26)を配置し、前記支持ロッド(26)が、中間支持柱(22)の頂部でも支持されるようにし、かつ、前記支持ロッド(26)が、それらの端部が型(10)の側壁(12,14)を通って延びるようにする工程、
・型(10)の隆起部(13)間に、一つ以上の支持ロッド(26)によって支持された状態で構造補強材(29)を設ける工程、
・型(10)にコンクリート(32)を流し込む工程、及び
・前記支持棒(26)を、それらの一端の位置で型(10)から引き抜くことで取り外す工程
を有することを特徴とする安定床部材の製造方法。
【請求項2】
取り除くべき支持ロッド(26)が、特定の時間枠内で型(10)から取り除かれるか、引き抜かれる
ことを特徴とする請求項1に記載の安定床部材の製造方法。
【請求項3】
型(10)内にコンクリート(32)を流し込む間、及び/又は後に、一定の振動期間中、コンクリート(32)を振動させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の安定床部材の製造方法。
【請求項4】
支持ロッド(26)が型(10)から引き抜かれる時間枠が振動期間内である
ことを特徴とする請求項2及び3に記載の安定床部材の製造方法。
【請求項5】
振動期間が、少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも85%、最も好ましくは少なくとも90%が経過した後に、支持ロッド(26)を型(10)から引き抜く
ことを特徴とする請求項4に記載の安定床部材の製造方法。
【請求項6】
支持棒(26)が、振動期間の95%前、好ましくは90%前、さらに好ましくは85%前、最も好ましくは80%前にのみ、支持ロッド(26)を型(10)から引き抜く
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の安定床部材の製造方法。
【請求項7】
振動期間が2分であり、振動期間が経過する10秒前に支持ロッド(26)の型(10)からの引き出しがが開始される
ことを特徴とする、請求項4から6の何れか一項に記載の安定床部材の製造方法。
【請求項8】
対向する孔(18)の対が、型(10)の長手方向の側壁(14)に設けられ、
支持ロッド(26)が延び、
支持ポスト(22)が形成されるべき横方向ビーム(4)の中心垂直面(CC')に応じて整列されている
ことを特徴とする、請求項1~7の何れか一項に記載の安定床部材の製造方法。
【請求項9】
構造補強材(29)が、より重い長手方向補強ロッド(30)が長手方向(AA')に延び、より軽い横方向補強ロッド(31)が横方向(BB')に延びる補強メッシュの形態であり、
長手方向及び横方向補強バー(30,31)が、溶接によって接合されるか、又は接合されている
ことを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の安定床部材の製造方法。
【請求項10】
構造補強材の補強メッシュ(29)が、横方向補強ロッド(31)を底部(11)に向けた状態で型(10)に挿入される
ことを特徴とする請求項9に記載の安定床部材の製造方法。
【請求項11】
コンクリート(32)が、型(10)の一方のヘッド端部(34)から型(10)の他方のヘッド端部(35)まで下流方向(X)に型(10)上を移動する容器(33)から型(10)内に注がれる
ことを特徴とする請求項1~10の何れか一項に記載の安定床部材の製造方法。
【請求項12】
構造補強材の補強メッシュ(29)が、横方向補強ロッド(31)が支持ロッド(26)に隣接して上流側(36)に配置されるように支持ロッド(26)上に敷設される
ことを特徴とする請求項9、11及び12に記載の安定床部材の製造方法。
【請求項13】
主に、互いに距離(D)を置いて長手方向(AA')に延びる長手方向ビーム(3)を備え、前記長手方向ビーム(3)が横方向ビーム(4)によって相互に連結されているコンクリート(32)製グリッド(2)で構成される安定床部材(1)の製造用の型(10)において、
型(10)が、直立側壁(12)によって囲まれた底部(11)を備え、
型(10)に、長手方向ビーム(3)及び横方向ビーム(4)間に形成されるキャビティ又は開口部(7)に対応する隆起部(12)が設けられ、
型(10)の対向する側壁(14)に、1対以上の対向する孔(18)が設けられ、
各対の対向する孔(18)の間に、1つ以上の支持柱(22)が型(10)の底部(11)から垂直に延び、
前記支持柱(22)の頂部(23)が、対向する孔(18)の各対間の線(HH')に沿って整列している
ことを特徴とする安定床部材製造用の型。
【請求項14】
支持柱(22)の頂部(23)が、フォーク(24)の形状に形成されているか、又は、上向きの凹面(25)を有する
ことを特徴とする請求項13に記載の型。
【請求項15】
対向する孔(18)の対が、型(10)の長手方向側壁(14)に設けられている
ことを特徴とする請求項13又は14に記載の型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一に、安定床部材の製造方法に関する。また、本発明は、前記方法を適用することによって安定床部材を製造するために使用され得る型に関する。
【背景技術】
【0002】
ここで製造される安定床部材は、本質的に、コンクリート製グリッドから成り、前記グリッドは、長手方向に互いに距離を置いて延びる長手方向ビームを備え、これら長手方向ビームは、横方向ビームによって相互に接続されている。
また、コンクリート製の安定床部材には、頂部補強材が設けられており、前記補強材は、使用時に上面となる床要素の平面のすぐ下に挿入されている。
前記頂部補強材は、輸送や設置の際に曲げにより生じる得る、安定床部材の上面におけるコンクリートの引張応力を吸収するように設計されている。
これらの状況では、前記したような安定床部材は、その中心部分がフォークリフトでによって持ち上げられ、その結果、自由ヘッド端部が重力の力で下方に向けて傾くことになる。また、安定床部材には、構造な補強材又は副補強材が設けられるべきであり、前記補強材又は副補強材は、使用時に底面を形成する安定床部材の平面付近に設けられる。
前記構造補強材は、安定床部材の設置後、安定床部材の下側のコンクリートに発生する引張応力を打ち消すものであり、この場合、安定床部材は、安定地下室(cellar)の上方に、ヘッド端部の位置で配置され、かつ、安定床部材は、動物及び/又は農業用車両の重量によって頂部に荷重がかけられる。
【0003】
このような安定床部材を製造する方法は既に知られているが、これらはまだ改良することができる。
公知の方法によれば、安定床部材は型の中で製造され、安定床部材は、型の中で上下逆に形成される。
具体的には、使用時に上面となる安定床部材の平面は、型の底部で形成される。
このような方法では、型にコンクリートを流し込む前に、底面から一定の距離をおいて構造補強材を設ける必要がある。
前記構造補強材は、網目状補強材として形成され、それなりに重くなければならず、いずれにしても、上部補強材に比べてはるかに重くなければならない。
【0004】
しかし、この周知の方法でしばしば起こる問題は、構造補強材、即ち、網目状補強材が、コンクリートを流し込む間に動いてしまったり、沈下や変形を始めたりすることにあり、その結果、コンクリートが硬化した後に、構造補強材が、安定床部材において望ましい最適な位置に埋め込まれず、それに伴って安定床部材の品質に影響を与えることにある。
【発明の概要】
【0005】
従って、本発明の目的は上述した問題及び/又は他の問題に対する解決手段を提供することにある。
より具体的には、本発明の目的は、安定床部材の品質が保証されるように、適用された補強材が、製造中及びコンクリートの硬化中に、正しい位置に残るか、又は正しい位置になる安定床部材の製造方法を提供することにある。
この目的のために、本発明は、本質的にコンクリート製グリッドから成り、前記グリッドが、長手方向に互いに間隔を空けて延在し、横方向ビームで相互に連結された長手方向ビームで構成されている安定床部材を製造する方法であって、
少なくとも以下の工程を含む方法に関するものである。
・直立側壁で囲まれた底部を備えた型を供給する工程であって、前記型には長手方向ビームと横方向ビームとの間に形成される凹部に対応する隆起部が設けられ、前記型の対向する側壁には一つ以上の対を成す対向する孔が設けられ、各対を成す対向する孔の間に、型の底部から垂直に延びる一つ以上の支持柱があり、前記支持柱が、各対の対向する孔の間の線に沿って整列されている工程
・型の隆起部間の型の底部近くに頂部補強材を適用する工程
・各対の対向する孔を通して、取り外し可能な支持ロッドを配置し、前記支持ロッドが、中間支持柱の頂部でも支持されるようにし、前記支持ロッドが、それらの端部が型の側部を通って延びるようにする工程
・型の隆起部間に、一つ以上の支持ロッドによって支持される構造補強材を設ける工程
・型にコンクリートを流し込む工程
・前記支持棒を、それらの一端で型から引き抜くことで取り外す工程
【0006】
本発明によるこのような方法の主な利点は、支持ロッド及び支持柱が、構造補強材が深く沈みすぎたり、型の底部に向かって曲がったりすることがなく、製造すべき安定床部材の底面に近い適切な高さに留まるか、又はコンクリートが注がれている間にコンクリートによって支持ロッドに押し付けられることを保証することにある。
【0007】
本発明によるこのような方法のさらなる利点は、構造補強材の支持が、型の側壁の孔を通って延びる取り外し可能な支持ロッドによって、非常に簡単な方法で達成されることにある。
【0008】
本発明によるこのような方法のさらに別の利点は、支持ロッドが単なる引っ張り動作によって比較的容易に取り外せることにある。
【0009】
本発明による好ましい方法では、対向する孔の対が、型の長手方向の側壁に設けられ、支持ロッドが形成されるべき横方向ビームの方向に延び、支持柱もこの方向に従って整列する。
【0010】
本発明によるこの方法の利点は、支持ロッドが可能な限り短い距離、即ち、型の幅にわたって支持を提供する必要があるだけであり、従って、必要とする支持柱がより少なくなることにある。
【0011】
さらに、この方法の別の利点は、型にコンクリートを流し込んだ後の支持ロッドの抜き取りが、長手方向に配置された場合よりも容易であるため、支持ロッドの抜き取りに必要なエネルギーと力が制限されることにある。
【0012】
本発明による好ましい方法では、構造補強材が、より重い長手方向補強ロッドが長手方向に延び、より軽い横方向補強ロッドが横方向に延び、長手方向補強ロッドと横方向補強ロッドが溶接によって接続されるか、または接続されている補強メッシュの形態であることを特徴とする。
【0013】
構造補強材のこのような構成は、明らかに有利である。なぜならば、重い長手方向補強ロッドは、安定床部材の幅に応じて延びる軽い横方向補強ロッドよりも長い長さをまたがなければならず、その結果、縦方向補強ロッドはまた、より大きな曲げモーメントを吸収しなければならないからである。
【0014】
本発明による別の好ましい方法では、補強メッシュは、横方向補強ロッドが底部に向くようにして型に追加的に適用される。
【0015】
この方法の大きな利点は、このように横方向補強ロッドがほぼ自動的に支持ロッドに隣接されることになるので、形成される横方向ロッドにおいて、横方向補強ロッドが自動的に適切に中心に配置されることにある。
【0016】
この目的のために、当然ながら、孔の対と支持ロッドとは、横方向ビームを形成するために使用される型の部分で中心決めされることに加えて、メッシュと整列するように配置されることも必要である。本発明によるさらに別の方法では、コンクリートは、型の一方のヘッド端部から型の他方のヘッド端部まで下流方向に型上を移動する容器から型内に注がれる。
【0017】
このようにして、コンクリートは、(多くの)追加の作業を必要とすることなく、非常に簡単かつ良好に型の上に分配される。
【0018】
本発明によるさらに別の興味深い方法では、補強メッシュは支持ロッドの上に配置され、上流側の横方向の補強ロッドは支持ロッドの隣に配置される。
【0019】
従って、コンクリートの入った容器の下流側の通過の際に、コンクリートが下流方向に流れるようにし、これにより、コンクリートが注がれている間、横方向の補強ロッドが支持ロッドに押し付けられ、支持ロッドが補強メッシュ全体を正しい高さだけでなく、正しい横方向の位置に保持し、下流方向への補強メッシュのそれ以上の移動を防止することができる。
【0020】
本発明によるさらに別の好ましい方法では、支持ロッドが取り外された後、取り外された支持ロッドの位置でキャビティをシールするようにコンクリートを振動させる。
【0021】
好ましくは、除去されるべき支持ロッドは、特定の時間枠内で型から除去又は引き抜かれ、コンクリートが型に注がれている間及び/又は後に、コンクリートは特定の振動期間の間振動される。
【0022】
支持ロッドが型から引き抜かれる時間枠は、本発明による振動期間内が最も良い。
【0023】
より具体的には、本発明による支持ロッドは、前述の振動期間の少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも85%、最も好ましくは少なくとも90%が経過した後にのみ、型から引き抜かれる。
【0024】
実際には、コンクリートを振動させている間に、支持ロッドを型から引き抜くのが遅ければ遅いほど、支持ロッドに支持されている構造補強材が、支持ロッドの取り外しによってコンクリート内に沈んでしまう危険性が小さくなる。
【0025】
一方、本発明によれば、支持ロッドは、振動期間の95%前、好ましくは90%前、さらに好ましくは85%前、最も好ましくは80%前に型から引き抜かれるのが好ましい。
【0026】
実際には、支持ロッドが取り外された後のコンクリートの振動時間が長ければ長いほど、支持ロッドが取り外された場所のコンクリートに空洞が残るリスクは小さくなる。
【0027】
良好な結果を得るためには、コンクリートを振動させている間に支持ロッドを早く外しすぎないようにして、構造補強材が沈下しないようにすることと、コンクリートを振動させている間に支持ロッドを遅く外しすぎないようにして、支持ロッドの領域に空洞ができないようにすることで、2つの相反する力の間でバランスを取る必要があることは明らかである。
【0028】
当然のことながら、複数の支持ロッドを同時に取り外すか否かのスピードも重要になる。
【0029】
これら全てが、完璧な品質の確保に大きく貢献していることは明らかである。
【0030】
本発明は、また、上記したタイプの安定床部材を製造するための型にも関しており、この型は、例えば、上述したような本発明による方法で使用することができる。
【0031】
本発明による型は、直立側壁によって囲まれた底部を備え、型に、長手方向ビーム及び横方向ビーム間に形成されるキャビティに対応する隆起部が設けられ、型の対向する側壁に、1対以上の対向する孔が設けられ、各対の対向する孔の間に、1つ以上の支持柱が型の底部から垂直に延び、前記支持柱の頂部が、対向する孔の各対間の線に沿って整列していることを特徴とする。
【0032】
このような型の利点は、明らかに、方法について上述したものと同じ性質のものである。
【0033】
本発明による好ましい型では、支持柱の頂部が、フォークの形状をしているか、又は上向きの凹面を有している。
【0034】
本発明による型の実施形態は、適用されるべき支持ロッドが支持柱の頂部に嵌め込まれるか、または良好な中央の位置決めのためにフォーク又は凹面に非常に容易に案内されるという利点を有する。
【0035】
本発明の特徴をよりよく説明するために、本発明に従った方法によって製造された安定床部材の好ましい実施形態、及び本発明に従った方法を適用してそのような安定床部材を製造するための型を、添付の図を参照して、何ら制限することなく例示としてのみ以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明による方法及び型を用いて製造された安定床部材の上面図である。
【
図2】
図1におけるF2-F2線に沿って切断した断面図である。
【
図3】
図1におけるF3-F3線に沿って切断した断面図である。
【
図5】
図4における矢印F5から見た側面図であり、コンクリートの供給を示し、かつ、コンクリートが注がれている間のその下流への移動方向を示している。
【
図7】
図6におけるF7-F7線に沿って切断した断面図である。
【
図8】本発明による方法に従って型内に補強材を設置する際の手順を示す図である。
【
図9】本発明による方法に従って型内に補強材を設置する際の手順を示す図である。
【
図10】本発明による方法に従って型内に補強材を設置する際の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1~
図3に示した安定床部材1は、主に、補強材が設けられたコンクリート製グリッド2の形態の部材である。
【0038】
前記グリッド2は、長手方向AA'に相互に距離Dを置いて平行に延びる長手方向ビーム3を備え、前記長手方向ビーム3は、長手方向AA'に直交する横方向BB'に沿って相互に距離Eを置いて平行に延びる横方向ビーム4によって連結されている。
【0039】
使用時に上面5を形成する安定床部材1の表面5は、この実施例では、グリップを強化するために、十字形プロファイル6で形成されている。
【0040】
長手方向ビーム3及び横方向ビーム4は円錐形であり、それらの幅B及びB'は上面5から大きくなっている。
【0041】
長手方向ビーム3及び横方向ビーム4の間には、上面5に向かって狭くなる円錐形プロファイルを有するキャビティ又は開口部7が形成されている。
【0042】
長手方向ビーム3は、その長さにわたって両側の上面5の領域の頂部8にノッチ9を備えており、前記ノッチ9は、ゴム部材をキャビティ又は開口部7に挿入し、ノッチ9によって形成されたエッジ上でそれらを支持するのに役立つ。
【0043】
本発明による方法を適用した安定床部材1の製造は、好ましくは、型10が使用される。型10の実施可能な実施例が
図4~
図7に示されている。
【0044】
型10は、直立した側壁12で囲まれた底部11を備えており、型10の内部には、長手方向ビーム3と横方向ビーム4との間に形成されるキャビティ又は開口部7に対応する隆起部13が設けられている。これらの隆起部13は、底部11から離れる方向に狭くなる円錐形の形状を有する底部11からの突出部の形態を有している。
【0045】
側壁12の長手方向部分14は、この実施例では、ギザギザパターン15に従った一定の輪郭を有する対称的なものであり、横方向ビーム4の自由端16を形成し、安定床部材1の対応する最も外側の長手方向ビーム16をわずかに超えて突出している。本発明によれば、1つ以上の対向する孔18の対が、型10の対向する側壁12に設けられている。
【0046】
図4の実施例では、2つのそのような対向する孔18の対が、側壁12の長手方向部分14に、より詳細には、安定床部材1の最も外側に位置する横方向ビーム20間に位置する横方向ビーム4の自由端16のためのギザギザパターン15によって形成された突出部19に設けられている。
【0047】
対向する孔18は、各横方向ビーム4用の型10における対応するギャップ21を2等分にする中央垂直面CC'には設けられてなく、距離Fだけ前記中央垂直面CC'に対して僅かにシフトした垂直面GG'に設けられている。この実施例では、対向する孔18の各対の間には、型10の底部11から垂直に延び、かつ、各孔18を通る垂直面GG'に対して対称となる2本の支持柱22が設けられている。もちろん、設けられるべき支持柱22の数は任意に選択することができる。これらの支持柱22の頂部23は、対向する孔18のそれぞれの対の間の線HH'に沿って整列している。
【0048】
支持柱22の頂部23は、好ましくはまた、フォーク24の形状に設計され、及び/又は上向きの凹面25を有するように設計されている。形状24及び/又は凹面25を有するこの実施形態は、好ましくは、直径Iを有する支持ロッド26を収容するのに適するようにされている。支持ロッド26の嵌め込みを容易にするために、孔18は、好ましくは、支持ロッド26の直径Iよりもわずかに大きい直径を有する。型10の外側、側壁12には、外側が広く、型10の側壁12に向かって狭くなっている内部通路を有する比較的長いシリンダ又はスリーブが設けられている。
【0049】
通路の円錐形の内部設計は、通路内に支持ロッド26を装着することを容易にする。従って、前記シリンダ又はスリーブには、円錐状のテーパーが付けられており、支持ロッド26を容易に挿入できるという利点がある。これらのスリーブ又はシリンダは交換可能である。実際、スリーブは経時的に摩耗する可能性があり、スリーブの交換は型10の交換よりもはるかに容易である。また、好ましくは、スリーブは、支持ロッド26を予め吊り下げて待機設置することを可能にするのに十分な長さを有する。また、支持柱22も円錐形であり、円錐形は底部11から離れて狭くなっている。
【0050】
上述した部材の円錐形の設計は、明らかに、安定床部材1の型10からのスムーズな取り外しを意図している。本発明による方法を適用する際には、まず、型10の隆起部分13間の型10の底部11の近くに上部補強材27を設ける。これは
図8に示されている。上部補強材27は、典型的には、補強バーが互いに直交するよう配置された補強鋼のメッシュで構成されている。上部補強材27を型10の底部11から多少離しておくために、補強鋼を爪止めしたり敷いたりすることができるノッチを備えたプラスチック製支持リング28が使用され得る。
【0051】
本発明による方法のさらなる工程は、型10の対向する孔18の各対に支持ロッド26を通すことである。この工程の目的は、これらの支持ロッド26を、中間支持柱22の頂部23上で、より詳細にはその凹面25で支持することにある。これらの支持ロッド26は、その端部が型10の長手方向の側壁14を貫通して延びており、後で型10から容易に引き抜くことができるようにされている。続いて、型10の隆起部13の間に構造補強材29が挿入され、前記構造補強材29は支持ロッド26上に載る。この構造的補強材29は、補強メッシュ29の形態でも実施され、直径Jを有するより重い長手方向補強ロッド30が長手方向AA'に延び、直径Kを有するより軽い横方向補強ロッド31が横方向BB'に延びる。従って、直径Kは直径Jよりも小さい。長手方向補強ロッド30及び横方向補強ロッド31は、好ましくは、溶接によって、又は他の適切な接合技術を利用して接合される。
【0052】
本発明による方法のさらなる工程では、コンクリート32が型10に注がれる。ここで、コンクリート32は、例えば、型10の一端34から型10の他端35まで下流方向Xに型10上を移動する容器33から、型10に注がれ得る。本発明によれば、補強メッシュ29又は構造補強材29が、横方向補強ロッド31を底部11に向けた状態で型10に挿入されるようにすることが特に有利である。さらに、好ましくは、横方向補強ロッド31が支持ロッド26の隣の上流側36に配置されるように、補強メッシュ29が支持ロッド26上に配置されることが保証される。
【0053】
従って、コンクリート32の流れによって及ぼされる力の下で、補強メッシュ29又は構造補強材29が支持棒26に密接にフィットすることが保証される。対向する孔18の対が、中央の垂直平面CC'に設けられているのではなく、支持ロッドの半径I/2と横方向補強ロッド31の半径K/2との合計に等しいかほぼ等しい距離Fの位置に設けられている理由も明らかになり、その結果、これらの横方向補強ロッド31が結果的に形成される横方向ビーム4の中央に位置するようになるか、平面CC'に位置するようになる。コンクリート32が注がれた後、支持ロッド26は、その端部の一方を枠10から引き抜くことによって取り外すことができる。好ましくは、取り外された支持ロッド26の位置にある空洞を埋めるために、その後もコンクリートを振動させるべきである。
【0054】
前文で説明したように、本発明によれば、構造補強材29が沈むのを防ぎ、コンクリート32に空洞を残さないようにするために、コンクリート32が振動されている間に、支持ロッド26が型10から早すぎず、遅すぎずに取り外され得ることが、最も確実になる。一実施形態では、振動期間が典型的に2分である場合、支持ロッド26の型10からの引き抜きは、例えば、この振動期間の終わりの10秒前に開始され得る。
【0055】
本発明によれば、より長い又は短い振動期間を適用することは排除されず、支持ロッド26を型10から引き抜くことは、より早く又は遅く開始することができることは明らかである。コンクリート32が硬化した後、構造補強材29がコンクリート32のその場所に完全に埋め込まれた状態で、安定床部材1を型枠10から取り出すことができる。このような安定床部材1の製造中、構造補強材31の位置決めが極めて速く、かつ自動的に行われるため、例えば構造補強材31を固定するための作業が全く必要ないことから、作業を非常に迅速かつ効率的に行うことができる点に留意すべきである。
【0056】
本発明は、実施例として説明され、かつ、図示された安定床部材1を製造するための本発明による方法に決して限定されるものではなく、本発明による方法は異なる形式で実施することができ、本文に記載されたものとは似ても似つかない安定床部材1をもたらすことができる。本発明は、実施例として説明した本発明による型10にも限定されず、それどころか、そのような型10は、依然として本発明の範囲内にありながら、他の方法で実現することができる。
【外国語明細書】