(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163104
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】組立が容易なヒューズ
(51)【国際特許分類】
H01H 85/143 20060101AFI20231101BHJP
H01H 85/08 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
H01H85/143
H01H85/08
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114535
(22)【出願日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】111116100
(32)【優先日】2022-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】510101697
【氏名又は名称】功得電子工業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Conquer Electoronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.26,Wucyuan 5th RD.,Wugu Dist.,New Taipei City,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】邱 鴻智
(72)【発明者】
【氏名】邱 柏碩
【テーマコード(参考)】
5G502
【Fターム(参考)】
5G502AA01
5G502AA11
5G502AA15
5G502AA20
5G502BB07
5G502BB14
5G502BC10
5G502BC11
5G502BD07
5G502BD20
5G502CC03
5G502JJ01
(57)【要約】
【課題】組立中にヒューズエレメントの位置を容易に固定させることができるヒューズを提供する。
【解決手段】ヒューズはヒューズエレメント10、支持台座20及び蓋30を備える。ヒューズエレメント10は支持台座20と係合する。蓋30は支持台座20及びヒューズエレメント10を覆い且つ支持台座20と係合する。ヒューズエレメント10と支持台座20との係合、及び蓋30と支持台座20との係合により、速やかな位置決めが可能になり、その結果、製造時にヒューズを速やかに組み立てることが可能になるので、製造工程の簡素化及び製造コストの削減が可能になる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒューズエレメントと、前記ヒューズエレメントを支持する支持台座と、前記ヒューズエレメント及び前記支持台座を覆う蓋とを備え、
前記ヒューズエレメントは、溶断部、二つの連結部及び二つの端子を有し、前記溶断部の両端は、前記連結部のうちの一つと夫々連結され、各前記連結部の両端は、前記溶断部と、前記端子のうちの一つと夫々連結され、
前記支持台座は、係合台座及び二つの端部台座を有し、前記係合台座の両側に、軸心を有する係合溝が夫々穿設され、前記ヒューズエレメントの前記溶断部は、前記係合溝と係合するように前記係合台座に貫設され、各前記端部台座は、前記係合台座の両側から外方へ延出していて軸心を有し、前記端部台座及び前記係合溝は、当該端部台座の軸心と当該係合溝の軸心とが同軸となるように配置され、前記係合台座の高さは前記端部台座の高さよりも大きく、各前記端部台座は、互いに対向する側に第1表面及び第2表面を有し、前記ヒューズエレメントの二つの連結部は、前記端部台座の第1表面上に夫々配置され、前記ヒューズエレメントの二つの端子は、前記端部台座の端部及び第2表面に沿って折れ曲がるように配置され、
前記蓋は、主壁部、環状壁部及び少なくとも一つの位置決め部材を有し、前記環状壁部は前記主壁部の外周部を囲うように形成され、前記主壁部及び前記環状壁部によって内部収容室が画定され、前記位置決め部材は前記主壁部に設けられて前記内部収容室内に延出し、前記位置決め部材は、前記支持台座の前記係合台座における係合溝のうちの少なくとも一つに嵌合されている、組立が容易なヒューズ。
【請求項2】
前記係合台座は内部が中空であって集熱室が設けられ、
前記係合溝は前記集熱室と連通し、
前記主壁部は、前記係合台座及び前記主壁部の間に前記集熱室が閉ざされるように、前記支持台座の係合台座の縁部に当接している、請求項1に記載の組立が容易なヒューズ。
【請求項3】
各前記端部台座の第1表面に集熱溝が凹設され、
前記ヒューズエレメントの二つの連結部は対応の集熱溝を覆っている、請求項1又は2に記載の組立が容易なヒューズ。
【請求項4】
封止体を更に備え、
前記蓋は前記内部収容室と連通する開口を更に有し、前記開口は、前記環状壁部に隣接し且つ前記主壁部と対向するように形成され、
前記封止体は前記蓋の開口から前記蓋の内部収容室内に充填されている、請求項1又は2に記載の組立が容易なヒューズ。
【請求項5】
封止体を更に備え、
前記蓋は前記内部収容室と連通する開口を有し、前記開口は、前記環状壁部に隣接し且つ前記主壁部と対向するように形成され、
前記封止体は前記蓋の開口から前記蓋の内部収容室内に充填されている、請求項3に記載の組立が容易なヒューズ。
【請求項6】
前記蓋の環状壁部は、前記開口に隣接する部位に凹設された二つの切欠きを有し、二つの前記端子は夫々、二つの前記切欠きのうちの一つから外方へ延出している、請求項4に記載の組立が容易なヒューズ。
【請求項7】
前記蓋の環状壁部は、前記開口に隣接する部位に凹設された二つの切欠きを有し、二つの前記端子は夫々、二つの前記切欠きのうちの一つから外方へ延出している、請求項5に記載の組立が容易なヒューズ。
【請求項8】
前記支持台座の係合台座の幅は、各前記端部台座の幅よりも大きいか又は同じである請求項1又は2に記載の組立が容易なヒューズ。
【請求項9】
前記ヒューズエレメントの前記溶断部、前記連結部及び前記端子は一体的に形成されたものである、請求項1又は2に記載の組立が容易なヒューズ。
【請求項10】
前記溶断部は、蛇腹状に折れ曲がっている、請求項1又は2に記載の組立が容易なヒューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒューズに関し、特に回路に実装されて回路を保護するヒューズに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のヒューズは、ケーシング内にヒューズエレメントを配置させて封止材で固定させることで製造されている。従来のヒューズはヒューズエレメントの位置決めが困難であり、ケーシング内に配置されたヒューズエレメントは、製造工程中に何らかの力を加えられると位置がずれてしまうことがある。ヒューズエレメントの位置のばらつきは、ヒューズ性能の不安定につながる。例えば、ヒューズエレメントの両端部間の距離にばらつきがあると、両端部間の距離が小さすぎるヒューズエレメントにおいては、溶断時に電気アークが発生することにより回路を即時に遮断できない虞がある。また、ヒューズエレメントとケーシングの壁面との間の距離によっても、ヒューズエレメントに対する外部の熱の影響は変化する。ヒューズエレメントとケーシングの壁面との間の距離が適切でない場合、過電流が流れる際に生じる高熱に応答してヒューズエレメントが即時に溶断されなくなり、その結果回路を即時に遮断できない虞がある。
【0003】
したがって、ケーシング内でのヒューズエレメントの位置をいかにして固定させるかが本分野の喫緊の技術課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、組立中にヒューズエレメントの位置を容易に固定させることができ、これにより、前述したようなヒューズエレメントの位置のばらつきによる問題点を回避できる、構造が改良されたヒューズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の組立が容易なヒューズは、
ヒューズエレメントと、前記ヒューズエレメントを支持する支持台座と、前記ヒューズエレメント及び前記支持台座を覆う蓋とを備え、
前記ヒューズエレメントは、溶断部、二つの連結部及び二つの端子を有し、前記溶断部の両端は、前記連結部のうちの一つと夫々連結され、各前記連結部の両端は、前記溶断部と、前記端子のうちの一つと夫々連結され、
前記支持台座は、係合台座及び二つの端部台座を有し、前記係合台座の両側に、軸心を有する係合溝が夫々穿設され、前記ヒューズエレメントの前記溶断部は、前記係合溝と係合するように前記係合台座に貫設され、各前記端部台座は、前記係合台座の両側から外方へ延出していて軸心を有し、前記端部台座及び前記係合溝は、当該端部台座の軸心と当該係合溝の軸心とが同軸となるように配置され、前記係合台座の高さは前記端部台座の高さよりも大きく、各前記端部台座は、互いに対向する側に第1表面及び第2表面を有し、前記ヒューズエレメントの二つの連結部は、前記端部台座の第1表面上に夫々配置され、前記ヒューズエレメントの二つの端子は、前記端部台座の端部及び第2表面に沿って折れ曲がるように配置され、
前記蓋は、主壁部、環状壁部及び少なくとも一つの位置決め部材を有し、前記環状壁部は前記主壁部の外周部を囲うように形成され、前記主壁部及び前記環状壁部によって内部収容室が画定され、前記位置決め部材は前記主壁部に設けられて前記内部収容室内に延出し、前記位置決め部材は、前記支持台座の前記係合台座における係合溝のうちの少なくとも一つに嵌合されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上述したような係合台座及び位置決め部材の配置、及び上述したような溶断部及び係合台座の協働により、ヒューズエレメント、支持台座及び蓋の組み立て時に、精密な器具を用いることなくこれらを容易に位置合わせすることができる。したがって、本発明によれば、組み立てにかかる手間を削減することができ、その結果、製造コストを削減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るヒューズを斜め上方から見た斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るヒューズを斜め下方から見た斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るヒューズの分解斜視図である。
【
図4A】本発明の第1実施形態に係るヒューズのヒューズエレメントを示す平面図である。
【
図4B】本発明の第2実施形態に係るヒューズのヒューズエレメントを示す平面図である。
【
図4C】本発明の第3実施形態に係るヒューズのヒューズエレメントを示す平面図である。
【
図4D】本発明の第3実施形態に係るヒューズのヒューズエレメントを示す平面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るヒューズのヒューズエレメント及び支持台座の組立状態を示す図である。
【
図6A】本発明の第1実施形態に係るヒューズの支持台座を示す斜視図である。
【
図6B】本発明の第2実施形態に係るヒューズの支持台座を示す斜視図である。
【
図7】本発明に係るヒューズの蓋を斜め下方から見た斜視図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係るヒューズの平面視断面図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係るヒューズの断面斜視図である。
【
図10】本発明の第1実施形態に係るヒューズの側面視断面図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係るヒューズの平面視断面図である。
【
図12】組み立て途中の本発明の第1実施形態に係るヒューズを斜め下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の意図する目的を達成するために採用された技術的手段を、実施形態を用いて図面を参照しながら説明する。 ここで、図面は、構成要素とそのアセンブリ間の関係を説明することによって構造又は方法に係る本発明を説明するためのものに過ぎないので、簡略化されている。したがって、図面に示された構成要素は、実際の数、実際の形状、実際の寸法及び実際のスケールで示されているわけではなく、図面に示された構成要素の寸法又はスケールは、拡大又は簡略化されている。より理解しやすいように、図中の構成要素を実際の数、実際の形状、実際の寸法やスケールから適宜変更しているが、実際の要素のレイアウトはより複雑である可能性がある。
【0009】
図1から3に示すように、本発明に係るヒューズはヒューズエレメント10、支持台座20、蓋30及び封止体40を備えている。
【0010】
ヒューズエレメント10は、溶断部11、二つの連結部12及び二つの端子13を有している。溶断部11の両端は、連結部12のうちの一つと夫々連結されている。各連結部12の両端は、溶断部11と、端子13のうちの一つと夫々連結されている。ある実施形態(
図4Aを参照)において、溶断部11の幅L
1は、連結部12の幅L
2よりも小さく、連結部12の幅L
2は端子13の幅L
3よりも小さい。
【0011】
ある実施形態(
図4Aを参照)において、溶断部11、連結部12及び端子13は一体的に形成されたものである。これに対し、他の実施形態(
図4Bを参照)において、溶断部11Aは溶接によって連結部12Aに固定されている。また、ある実施形態(
図4Aを参照)において、溶断部11は直線状となっている。これに対し、例えば0.5アンペア~10アンペアのような比較的小さい定格電流の回路の保護に用いられる他の実施形態(
図4C及び
図4D参照)のヒューズにおいて、溶断部11Bは、蛇腹状(非直線経路状)に折れ曲がっている。これにより、連結部12B間の距離を広げることなく、溶断部11Bの全長を長くすることができる。なお、蛇腹状に折れ曲がっているとは、
図4Cのように、溶断部11Bがその両端部の間の複数箇所において折れ曲がっており、これにより、溶断部11Bの両端部間が非直線経路状となることを意味する。更に、この実施形態のヒューズにおいて、溶断部11Bの幅を小さくするために、溶断部11Bの幅方向の両側部は下方に折れ曲がっていてもよい。
【0012】
図2、3、5に示すように、支持台座20はヒューズエレメント10を支持するものであり、係合台座21及び二つの端部台座22を有している。係合台座21は内部が中空であって集熱室210が設けられている。係合台座21の両側に、軸心を有する係合溝211が夫々穿設されており、これら係合溝211は集熱室210と連通している。ヒューズエレメント10の溶断部11は、係合溝211と係合するように係合台座21に貫設されている。各端部台座22は、係合台座21の両側から外方へ延出しており、軸心を有している。端部台座22及び係合溝211は、端部台座22の軸心と係合溝211の軸心とが同軸となるように配置されている。係合台座21の高さH
1は端部台座22の高さH
2よりも大きい。各端部台座22の第1表面220に集熱溝221が凹設されている。ヒューズエレメント10の二つの連結部12は、対応の集熱溝221を覆うように端部台座22の第1表面220上に夫々配置されている。集熱室210及び集熱溝221は熱を集める空間として機能する。ヒューズエレメント10の溶断部11を集熱室210に隣接して配置させたことで、溶断部11は集熱室210内に蓄積された熱によって効果的に加熱されることになり、また、ヒューズエレメント10の連結部12を集熱溝221に隣接して配置させたことで、連結部12は集熱溝221内に蓄積された熱によって効果的に加熱されることになる。すなわち、この構成によれば、ヒューズエレメント10に過電流が流れて瞬間的な高熱が生じた際に、ヒューズエレメント10の溶断部11及び連結部12は効果的に加熱されることになる。これにより、高熱に速やかに応答して溶断部11が溶断するので、本発明に係るヒューズは回路をより確実に保護することができる。
【0013】
ある実施形態(
図6Aを参照)において、係合台座21の幅W
11は各端部台座22の幅W
21よりも大きい。他の実施形態(
図6Bを参照)において、係合台座21Aの幅W
12は各端部台座22Aの幅W
22と同一である。これらの実施形態を比較すると、
図6Aに示す実施形態の集熱室210は
図6Bに示す実施形態の集熱室210Aよりも広くなっている。したがって、
図6Aに示す実施形態の係合台座21は、より優れた集熱効果を有し、また、溶断部11の溶断時に必要な空間を提供することが可能である。一方、
図6Aに示す実施形態の支持台座20と比べて、
図6Bに示す実施形態の支持台座20Aはより小型である。
【0014】
図3、7、9に示すように、蓋30は、ヒューズエレメント10及び支持台座20に覆設されている。蓋30は、主壁部31、環状壁部32及び少なくとも一つの位置決め部材33を有している。環状壁部32は主壁部31の外周部を囲うように形成されている。主壁部31及び環状壁部32により、内部収容室310が画定されている。蓋30は、内部収容室310と連通する開口300を更に有し、開口300は、環状壁部32に隣接し且つ主壁部31と対向するように形成されている。主壁部31は、係合台座21及び主壁部31の間に集熱室210が閉ざされるように、支持台座20の係合台座21の縁部に当接している。環状壁部32は、開口300に隣接する部位に凹設された二つの切欠き321を有している。切欠き321は、ヒューズエレメント10の端子13に夫々対応しており、各端子13は対応の切欠き321から外方へ延出している。位置決め部材33は、主壁部31に設けられて内部収容室310内に延出している。位置決め部材33は、蓋30と支持台座20とが互いに対して位置決めされるように、支持台座20の係合台座21における係合溝211のうちの少なくとも一つに嵌合されている。ある実施形態において、各位置決め部材33は、主壁部31に設けられた本体部331、突出ブロック332及び二つのストッパープレート333を有している。突出ブロック332は、本体部331の一方側から主壁部31に沿って延出するように形成されている。ストッパープレート333は、本体部331の両端部から内部収容室310へ延出するように形成されている。突出ブロック332は、対応する係合台座21の係合溝211に嵌合されている。ストッパープレート333は、支持台座20における対応の端部台座22の端部に当接している。これにより、蓋30及び支持台座20は互いに対してより安定的に連結されることになる。
【0015】
図2、3、10に示すように、封止体40は、ヒューズエレメント10、支持台座20及び蓋30を互いに対して固定させるためのものであり、開口300から蓋30の内部収容室310内に充填されている。支持台座20の集熱室210が蓋30の主壁部31によって閉ざされており、また、支持台座20の集熱溝221がヒューズエレメント10の連結部12によって覆われているため、集熱室210及び集熱溝221内に封止体40が充填されることはない。一例として、封止体40は、エポキシ樹脂(epoxy resin)、シリコーン樹脂(silicone resin)などのような耐熱性のゲルである。ある実施形態において(
図11を参照)、集熱室210及び集熱溝221には、例えばけい砂、防爆砂又は難燃剤のような防爆材料50を予め充填してもよい。難燃剤はメラミン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等であってよい。ヒューズエレメント10に過電流が流れてヒューズエレメント10が溶断し始めた際に、瞬間的な高熱によって炎が発生することがあるが、防爆材料50を設けることで燃焼現象の発生を防止することができる。
【0016】
本発明に係るヒューズは以下のようにして製造される。まず、ヒューズエレメント10を支持台座20に取付ける(
図5を参照)。このとき、係合溝211に溶断部11が係合すれば、連結部12及び端部台座22は自ずと位置合わせするので、支持台座20に対するヒューズエレメント10の位置決めは容易である。次に、蓋30をヒューズエレメント10及び支持台座20に取付ける(
図3及び
図7を併せて
図12を参照)。このとき、位置決め部材33と係合台座21の係合溝211とが互いに嵌合することで、蓋30及び支持台座20は互いに対して位置決めされる。最後に、封止体40を蓋30の内部収容室310内に充填した後(
図2を参照)、端子13を端部台座22の端部及び第2表面222に沿うように折り曲げる。これにより、ヒューズエレメント10、支持台座20及び蓋30の相対位置を固定させる。このように、溶断部11、係合台座21及び位置決め部材33の協働により、ヒューズエレメント10、支持台座20及び蓋30は、精密な器具を用いることなく容易に位置合わせすることができる。その結果、組み立てにかかる手間及びコストの削減が可能になる。
【0017】
他の実施形態において、相対位置の固定は、封止体40を用いることなく蓋30及び支持台座20の締りばめによって実現することもできる。蓋30及び支持台座20は、締りばめがより容易となるようにプラスチックで構成されてもよい。
【0018】
本発明を上記実施形態により説明したが、本発明はこれら開示された実施形態に限定されず、当業者であれば、本発明の技術的思想を逸脱することなく、様々な変更および修飾を加えて均等物とすることができる。したがって、上記実施形態に変更、改変および修飾を加えた内容もまた、本発明の技術的思想に含まれるものである。
【符号の説明】
【0019】
10 ヒューズエレメント
11 溶断部
12 連結部
13 端子
20 支持台座
21 係合台座
210 集熱室
211 係合溝
22 端部台座
220 第1表面
221 集熱溝
222 第2表面
30 蓋
300 開口
310 内部収容室
31 主壁部
32 環状壁部
321 切欠き
33 位置決め部材
331 本体部
332 突出ブロック
333 ストッパープレート
40 封止体
50 防爆材料
【手続補正書】
【提出日】2023-10-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒューズエレメントと、前記ヒューズエレメントを支持する支持台座と、前記ヒューズエレメント及び前記支持台座を覆う蓋とを備え、
前記ヒューズエレメントは、溶断部、二つの連結部及び二つの端子を有し、前記溶断部の両端は、前記連結部のうちの一つと夫々連結され、各前記連結部の両端は、前記溶断部と、前記端子のうちの一つと夫々連結され、
前記支持台座は、係合台座及び二つの端部台座を有し、前記係合台座の両側に、所定の軸心まわりに回転対称に配置された係合溝が夫々穿設され、前記ヒューズエレメントの前記溶断部は、前記係合溝と係合するように前記係合台座に貫設され、各前記端部台座は、前記係合台座の両側から外方へ延出していて所定の軸心まわりに回転対称に配置され、前記端部台座及び前記係合溝は、当該端部台座の軸心と当該係合溝の軸心とが同軸となるように配置され、前記係合台座の高さは前記端部台座の高さよりも大きく、各前記端部台座は、互いに対向する側に位置する第1表面及び第2表面と、端部とを有し、各前記第1表面は、対応の前記係合溝の底面に接続しており、且つ前記係合台座における対応の側から、対応の前記端部台座における前記端部に向かって延在し、各前記端部台座の前記第1表面に集熱溝が凹設され、各前記集熱溝の開口の周縁部は、対応の前記係合溝の前記底面から離間しており、前記ヒューズエレメントの二つの連結部は、前記端部台座の前記第1表面上に夫々配置されて対応の前記集熱溝を覆い、前記ヒューズエレメントの二つの端子は、前記端部台座の前記端部及び前記第2表面に沿って折れ曲がるように配置され、
前記蓋は、主壁部、環状壁部及び少なくとも一つの位置決め部材を有し、前記環状壁部は前記主壁部の外周部を囲うように形成され、前記主壁部及び前記環状壁部によって内部収容室が画定され、前記位置決め部材は前記主壁部に設けられて前記内部収容室内に延出し、前記位置決め部材は、前記支持台座の前記係合台座における係合溝のうちの少なくとも一つに嵌合されている、組立が容易なヒューズ。
【請求項2】
前記係合台座は内部が中空であって集熱室が設けられ、
前記係合溝は前記集熱室と連通し、
前記主壁部は、前記係合台座及び前記主壁部の間に前記集熱室が閉ざされるように、前記支持台座の係合台座の縁部に当接している、請求項1に記載の組立が容易なヒューズ。
【請求項3】
封止体を更に備え、
前記蓋は前記内部収容室と連通する開口を更に有し、前記開口は、前記環状壁部に隣接し且つ前記主壁部と対向するように形成され、
前記封止体は前記蓋の開口から前記蓋の内部収容室内に充填されている、請求項1又は2に記載の組立が容易なヒューズ。
【請求項4】
前記蓋の環状壁部は、前記開口に隣接する部位に凹設された二つの切欠きを有し、二つの前記端子は夫々、二つの前記切欠きのうちの一つから外方へ延出している、請求項3に記載の組立が容易なヒューズ。
【請求項5】
前記支持台座の係合台座の幅は、各前記端部台座の幅よりも大きいか又は同じである請求項1又は2に記載の組立が容易なヒューズ。
【請求項6】
前記ヒューズエレメントの前記溶断部、前記連結部及び前記端子は一体的に形成されたものである、請求項1又は2に記載の組立が容易なヒューズ。
【請求項7】
前記溶断部は、蛇腹状に折れ曲がっている、請求項1又は2に記載の組立が容易なヒューズ。