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特開2023-163110ホログラム製造装置およびホログラム製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163110
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】ホログラム製造装置およびホログラム製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03H 1/04 20060101AFI20231101BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
G03H1/04
G02B5/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135285
(22)【出願日】2022-08-26
(31)【優先権主張番号】P 2022073140
(32)【優先日】2022-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒木 要介
(72)【発明者】
【氏名】福井 厚司
(72)【発明者】
【氏名】上水 和平
(72)【発明者】
【氏名】高田 和政
【テーマコード(参考)】
2H249
2K008
【Fターム(参考)】
2H249AA02
2H249AA12
2H249AA25
2H249AA55
2K008BB04
2K008DD00
2K008EE01
2K008GG01
2K008HH03
2K008HH06
2K008HH16
2K008HH18
2K008HH19
2K008HH28
(57)【要約】
【課題】複製ホログラムの精度を向上させる。
【解決手段】第1実施形態に係るホログラム製造装置は、回折格子g1が形成されたマスタホログラム41と、マスタホログラム41と近接して配置された複製ホログラム42と、マスタホログラム41および複製ホログラム42に対して、回折格子g1におけるブラッグ回折条件を満たすレーザ光L1を出射する光源1と、マスタホログラム41および複製ホログラム42に対して、回折格子g1におけるブラッグ回折条件を満たさないレーザ光L2を出射する光源2と、レーザ光L3,L6を測定する受光センサ6を備え、受光センサ6の測定結果により、複製ホログラム42の露光を終了する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回折格子が形成されたマスタホログラムと、
前記マスタホログラムと近接して配置された複製ホログラムと、
前記マスタホログラムおよび前記複製ホログラムに対して、前記回折格子におけるブラッグ回折条件を満たす第1レーザ光を出射する第1光源と、
前記マスタホログラムおよび前記複製ホログラムに対して、前記回折格子におけるブラッグ回折条件を満たさない第2レーザ光を出射する第2光源と、
前記マスタホログラムおよび前記複製ホログラムを通過した後の前記第2レーザ光を測定する第1センサを備え、
前記第1センサの測定結果により、前記複製ホログラムの露光を終了する、ホログラム製造装置。
【請求項2】
前記第1および第2レーザ光は、互いに前記マスタホログラムに対する入射角度が異なる、請求項1記載のホログラム製造装置。
【請求項3】
前記第1および第2レーザ光は、側面視において、前記入射角度が互いに異なる、請求項2記載のホログラム製造装置。
【請求項4】
前記第1および第2レーザ光は、平面視において前記入射角度が互いに異なる、請求項2記載のホログラム製造装置。
【請求項5】
前記第1および第2レーザ光を合波するハーフミラーをさらに備える、請求項3記載のホログラム製造装置。
【請求項6】
前記第1および第2レーザ光は、互いに光の波長が異なる、請求項1記載のホログラム製造装置。
【請求項7】
前記第1および第2レーザ光を合波する第1波長フィルタをさらに備える、請求項6記載のホログラム製造装置。
【請求項8】
前記マスタホログラムおよび前記複製ホログラムと前記第1センサとの間に配置され、前記第1レーザ光を透過しない第2波長フィルタをさらに備える、請求項7記載のホログラム製造装置。
【請求項9】
回折格子が形成されたマスタホログラムと、
前記マスタホログラムと近接して配置された複製ホログラムと、
前記マスタホログラムおよび前記複製ホログラムに対して、前記回折格子におけるブラッグ回折条件を満たす第1レーザ光を出射する第1光源と、
前記マスタホログラムおよび前記複製ホログラムを通過した後の前記第1レーザ光を測定する第2センサを備え、
前記第2センサの測定結果により、前記複製ホログラムの露光を終了する、ホログラム製造装置。
【請求項10】
回折格子が形成されたマスタホログラムと複製ホログラムとを近接して配置するステップと、
前記マスタホログラムおよび前記複製ホログラムに対して、前記回折格子におけるブラッグ回折条件を満たす第1レーザ光を出射するとともに、前記回折格子におけるブラッグ回折条件を満たさない第2レーザ光を出射するステップと、
前記マスタホログラムおよび前記複製ホログラムを通過した後の前記第2レーザ光を測定し、前記測定の結果により、前記複製ホログラムの露光を終了する、ホログラム製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ホログラム製造装置およびホログラム製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、マスタホログラムを用いて、複製ホログラムを製造する装置が知られている。特許文献1では、マスタホログラムに対してレーザ光を入射させることにより回折光を発生させ、この回折光によって複製ホログラムのホログラム感光材(フォトポリマー)を露光させる。これにより、複製ホログラムの製造を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-321962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的に、複製ホログラムの製造は、フォトポリマーの露光時間を管理すること、すなわち、フォトポリマーに対する光照射時間に基づいて、フォトポリマーの屈折率変化量を管理することにより行われてきた。フォトポリマーの屈折率変化量は、光源の光強度と照射時間の積である積算露光量で主に決まるが、温度やフォトポリマー自体の屈折率変化の感度のロットばらつきなどにも影響される。
【0005】
また、複製ホログラムを製造するには、複製ホログラムに対する1次回折光が必要であるが、フォトポリマーの屈折率変化量が設計値通りであっても、フォトポリマーの厚みが設計値と異なると、1次回折光にも誤差が生じてしまう。特に、フォトポリマーは透明材料であるため、フォトポリマーを透明基板に挟むと、その厚み測定が非常に難しい。
【0006】
以上のことから、フォトポリマーに対する光照射時間のみによって、フォトポリマーの露光時間を管理した場合、複製ホログラムのフォトポリマー自体や、複製ホログラムに対する1次回折光が設計値と異なるおそれがあるため、複製ホログラムの精度が低下する可能性がある。
【0007】
そこで、本開示は、複製ホログラムの精度を向上させたホログラムの製造装置および製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本開示の一実施形態に係るホログラム製造装置は、回折格子が形成されたマスタホログラムと、前記マスタホログラムと近接して配置された複製ホログラムと、前記マスタホログラムおよび前記複製ホログラムに対して、前記回折格子におけるブラッグ回折条件を満たす第1レーザ光を出射する第1光源と、前記マスタホログラムおよび前記複製ホログラムに対して、前記回折格子におけるブラッグ回折条件を満たさない第2レーザ光を出射する第2光源と、前記マスタホログラムおよび前記複製ホログラムを通過した後の前記第2レーザ光を測定するセンサを備え、前記センサの測定結果により、前記複製ホログラムの露光を終了する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によると、複製ホログラムの精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るホログラム製造装置の模式図。
図2】第1実施形態に係るホログラム記録体の構成を説明するための図。
図3】第1実施形態に係るホログラム記録体の露光中の状態を示す断面図。
図4】第1実施形態に係る受光センサの受光面に形成されるスポット光を説明するための図。
図5】第2実施形態に係るホログラム製造装置の模式図。
図6】第3実施形態に係るホログラムの製造装置の模式図。
図7】第3実施形態に係る複製ホログラム作成時の回折効率と複製ホログラムの屈折率変化量Δnとの関係を示すグラフ。
図8】第4実施形態に係るホログラムの製造装置の模式図。
図9】第4実施形態に係る複製ホログラム作成時の複製ホログラムの断面図。
図10】第4実施形態に係る複製ホログラム作成時の回折効率と複製ホログラムの屈折率変化量Δnとの関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限することを意図するものでは全くない。なお、以下の説明では、同じ部分については同じ符号を付し、詳細な説明を適宜省略する。
【0012】
(第1実施形態)
(ホログラムの製造装置の全体構成)
図1は、第1実施形態に係るホログラムの製造装置の模式図である。なお、図1では、ホログラム記録体4の幅方向をX方向およびZ方向とし、ホログラム記録体4の厚み方向をY方向とする。
【0013】
図1に示すように、第1実施形態に係るホログラムの製造装置は、光源1,2と、ハーフミラー3と、ホログラム記録体4と、集光レンズ5と、受光センサ6とを備える。
【0014】
光源1(第1光源)は、レーザ光を照射する光源であり、レーザ光L1(露光光)を照射する。レーザ光L1は、可干渉距離(コヒーレンス長)が長いレーザ光であり、空間コヒーレンスが十分に高く、波面収差が小さい均一強度分布の平行光である。レーザ光L1は、後述するフォトポリマー412,422の有効領域を少なくとも含む領域を照射する。また、レーザ光L1の可干渉距離は、後述するマスタホログラム41と複製ホログラム42とを合わせた長さ以上であることが望ましい。なお、光源1は、LED(Light Emitting Diode)などで構成されてもよい。
【0015】
光源2(第2光源)は、レーザ光を照射する光源であり、レーザ光L2(参照光)を照射する。レーザ光L2は、レーザ光L1と同様に、可干渉距離(コヒーレンス長)が長いレーザ光であり、空間コヒーレンスが十分に高く、波面収差が小さい均一強度分布の平行光である。レーザ光L2は、マスタホログラム41および複製ホログラム42の有効領域のほぼ中央を照射する。なお、光源2は、LED(Light Emitting Diode)などで構成されてもよい。また、光源1,2は同一の光源であってもよく、レーザ光L2が、レーザ光L1から分離した光でもよい。
【0016】
ハーフミラー3は、光源1から照射されたレーザ光L1を反射させ、ホログラム記録体4に入射させる。また、ハーフミラー3は、光源2から照射されたレーザ光L2を透過させ、ホログラム記録体4に入射させる。ハーフミラー3は、反射率が十分高く、例えば、95%以上の反射率である。図1に示すように、ハーフミラー3によって、レーザ光L1は、レーザ光L2に対して、角度εをなすように、ホログラム記録体4に入射される。すなわち、レーザ光L1,L2は、ハーフミラー3によって合波されている。
【0017】
集光レンズ5は、ホログラム記録体4を透過したレーザ光L3~L6を集光するレンズである。ホログラム記録体4の図面下方には、測定用の開口7が形成されており、集光レンズ5は、開口7を介して、出射されたレーザ光L3~L6を集光する。なお、集光レンズ5の焦点距離はfである。
【0018】
受光センサ6(第1センサ)は、2次元の画素構造を有する受光センサである。例えば、受光センサ6は、CCDカメラやCMOSカメラなどである。受光センサ6は、集光レンズ5から距離fの位置に配置される。すなわち、受光センサ6は、集光レンズ5の出射側焦点面に配置される。
【0019】
(ホログラム記録体の構成)
図2(a)は第1実施形態に係るホログラム記録体の構成を示す断面図である。
【0020】
図1および図2(a)に示すように、ホログラム記録体4は、マスタホログラム41と、複製ホログラム42とで構成される。本実施形態では、マスタホログラム41に対して、レーザ光L1を照射することにより、マスタホログラム41に形成されている回折格子g1と同一の回折格子を複製ホログラム42に形成する。
【0021】
図1および図2(a)に示すように、マスタホログラム41は、透明基板411と、フォトポリマー412と、保護膜413とを備える。透明基板411とフォトポリマー412と保護膜413とは、積層されている。
【0022】
透明基板411は、透過率の高い平板であり、例えば、石英や光学ガラスなどが用いられる。また、透明基板411の図面上側の面には、反射防止膜が形成されている。
【0023】
フォトポリマー412は、例えば、可視光を受光すると屈折率が変化する光学材料で形成されている。フォトポリマー412の屈折率変化量は、フォトポリマー412が受光したエネルギー量、すなわち、光強度と時間の積で決定される。また、フォトポリマー412は、紫外線を照射することにより、屈折率変化を停止させることができる。フォトポリマー412には、あらかじめ光強度の強弱のある可視光を用いて屈折率分布(回折格子g1)が形成され、その後、紫外線照射により屈折率分布が変化しないように処理している。これにより、フォトポリマー412には、所定の干渉縞が形成されている。なお、フォトポリマー412の屈折率はおよそ1.5から1.6であり、可視光による屈折率変化量は0.01から0.1程度である。また、フォトポリマー412の厚みtは、1μmから100μmの間で形成される。なお、フォトポリマー412の厚みtが厚いほどフォトポリマー412での回折効率は高くできる。この場合、フォトポリマー412への入射角に対する1次回折光の特性も敏感になり、小さな入射角変化で1次回折光が大きく減衰する。
【0024】
保護膜413は、フォトポリマー412を保護するための薄い透明な保護層であり、例えば、薄い透過率の高いガラスなどの傷のつきにくい材質により形成される。また、保護膜413の図面上側の面には、反射防止膜が形成されている。保護膜413の厚みは、少なくとも、透明基板411よりも薄い。なお、透明基板411とフォトポリマー412の平均屈折率と保護膜413の屈折率とは、近しい屈折率であることが望ましい。
【0025】
複製ホログラム42は、透明基板421と、フォトポリマー422と、保護膜423とを備える。透明基板421とフォトポリマー422と保護膜423とは、積層されている。
【0026】
透明基板421とフォトポリマー422と保護膜423とは、透明基板411と、フォトポリマー412と、保護膜413とそれぞれ同じ構成である。ただし、フォトポリマー422は、フォトポリマー412と同じ厚みtであり、初期状態では、屈折率分布は形成されておらず、紫外線照射もされていない。
【0027】
図1に示すように、複製ホログラム42は、マスタホログラム41に対して、180°回転させた状態で、互いに平行となるように、近接して配置される。
【0028】
上述したように、フォトポリマー412には、予め屈折率分布(回折格子g1)が形成されている。フォトポリマー412の屈折率分布は、XY断面内で分布を持ち、Z軸方向には一様である。すなわち、フォトポリマー412は、いずれのZ軸の位置におけるXY断面でも屈折率分布は同じである。フォトポリマー412における屈折率分布は、屈折率の高い部分および低い部分が周期的に形成されている。フォトポリマー412には、いわゆる厚みのある屈折率分布による回折格子であるブラッグ回折格子が形成されている。この回折格子は、ピッチdで、XY面内においてY軸に対して角度φとなるように形成されている。したがって、X軸方向において、回折格子のピッチはd/cos(φ)となる。
【0029】
図2(b)は図2(a)のフォトポリマー412の断面A-Aおよび断面B-Bの屈折率を示すグラフである。図2(b)に示すように、断面A-Aおよび断面B-Bの屈折率は、正弦波状に変化する。平均屈折率はnであり、屈折率変化量はΔnである。断面A-Aと断面B-Bでの屈折率変化の違いは、波形が横ずれしているだけである。このような周期的な屈折率分布をもつマスタホログラム41に干渉性の高いレーザ光が入射するとブラッグ回折とよばれる光回折が生じる。ブラッグ回折の特徴として、特定の方向に強い回折光、すなわち、1次回折光を生じさせる。また、ブラッグ回折による出射光は、0次回折と1次光が大部分となり、高次の回折光がほとんど生じない。
【0030】
フォトポリマー412におけるブラッグ回折条件は、フォトポリマー412の平均屈折率がn、回折格子のピッチがd、回折格子への入射角がθ、入射光の波長がλのとき、2×n×d×sin(θ)=λとなる。なお、光線方向については、フォトポリマー412内では、屈折によりスネル則に基づいた角度変化が生じる。すなわち、空気中でのY軸に対する方位をαとすると、フォトポリマー412の屈折率がnであるため、フォトポリマー412内での方位βは、sin(α)=n×sin(β)である。
【0031】
フォトポリマー412においてブラッグ回折条件を満たすと、回折格子に入射する光が各回折格子で反射するときの光の位相が揃うため、回折格子に対して-θ方向に強い回折光が生じる。すなわち、Y軸に対して、φ+θの角度をなす光線L11がフォトポリマー412に入射すると、1次回折光としてY軸に対してφ-θの角度をなす光線L12が出射され、0次回折光(回折しない光)としてY軸に対してφ+θの角度をなす光線L13が出射(透過)される。なお、光線L12と光線L13とのなす角は、2θとなる。
【0032】
光線L11においてブラッグ回折条件から外れた入射光に対しては、回折格子の各層からの光の反射位相がずれることになり、1次回折光(光線L12)の光強度が低下し、0次回折光(光線L13)の光強度(透過する光)が増加する。
【0033】
図2(c)は、フォトポリマー412に対する入射光(光線L11)における1次回折光(光線L12)の光強度を示す。ブラッグ回折条件を満たす入射角θにおいて1次回折光の光強度が最大となり、θからずれるに従い、1次回折光の光強度は低下する。1次回折光の光強度が低下すると、0次回折光の光強度が上昇することになる。1次回折光の強度特性は、入射光(光線L12)の波長、フォトポリマー412の屈折率、フォトポリマー412の厚みにより変化する。
【0034】
図2(c)では、フォトポリマー412の厚みがtのときの1次回折光の光強度を破線で示し、フォトポリマー412の厚みが2×tのときの1次回折光の光強度を実線で示している。図2(c)に示すように、フォトポリマー412が厚くなるほど、ブラッグ回折格子への入射角に対する1次回折光の角度特性は、敏感になり、ブラッグ回折となる入射角からのズレによる1次回折光の低下が大きくなる。
【0035】
(ホログラムの製造装置の動作)
次に、複製ホログラム42を作成する際のホログラムの製造装置の動作を説明する。
【0036】
図1に示すように、平行光線であるレーザ光L1は、ハーフミラー3により反射され、マスタホログラム41に入射する。マスタホログラム41に入射したレーザ光L1は、透明基板411によってスネル則に基づき屈折して光線方位を変える。このとき、透明基板411、フォトポリマー412および保護膜413は、屈折率がほぼ同じであるため、透明基板411、フォトポリマー412および保護膜413内における光線方位がほぼ同じとなる。
【0037】
図2(a)に示すように、フォトポリマー412に形成された屈折率分布による回折格子は、Y軸に対してφの角度となるように形成されている。このため、レーザ光L1は、フォトポリマー412内において、Y軸に対してφ+θの角度で入射する。すなわち、レーザ光L1は、回折格子に対してθの角度で入射する。レーザ光L1が回折格子に対してθの角度で入射すると、フォトポリマー412におけるブラッグ回折条件を満たすため、回折格子に対して-θ方向に1次回折光(光線L11)、θ方向に0次回折光(光線L112)が生じる。すなわち、マスタホログラム41からは、光線L11,L12の2つの光線が出射される。
【0038】
マスタホログラム41から出射された光は、複製ホログラム42に入射すると再びスネル則による屈折が生じる。複製ホログラム42は、屈折率がマスタホログラム41の屈折率と同じであるため、複製ホログラム42内における光線方位は、マスタホログラム41内の光線方位と同じとなる。すなわち、光線L11はY軸に対してφ+θの角度で複製ホログラム42に入射し、光線L12はY軸に対してφ-θの角度で複製ホログラム42に入射する。光線L11と光線L12とのなす角は2θであり、光線L11と光線L12との中間方位はY軸に対してφの角度となる。光線L11と光線L12は、干渉性が高く、互いになす角が2θの平行光であるので、光強度の強弱である干渉縞が生じる。干渉縞の強度が強め合う条件は、2×n×d×sinθ=λであるので、縞ピッチは、XY面内でY軸にφ+90度方位においてピッチdである。Y軸にφの方位においては、光線L11と光線L12との光路長が一致するので、光強度分布が一様になる。同様にZ軸方向についても光強度分布は変化しない。したがって、複製ホログラム42のフォトポリマー422における干渉縞(回折格子)、すなわち、光強度の強弱の分布は、マスタホログラム41のフォトポリマー412の屈折率分布による回折格子g1の形状と同じである。フォトポリマー422では、光強度により屈折率が変化するため、複製ホログラム42から出射される0次回折光と1次回折光との比が、マスタホログラム41と同じ0次回折光と1次回折光の比になったときに複製ホログラム42への光照射を止めることで、マスタホログラム41と同じ屈折率分布の回折格子g1を複製ホログラム42に形成することができる。このとき、露光時間に誤差があった場合に作成した複製ホログラム42では、0次回折光に対する1次回折光の方向は変化しないが、0次回折光と1次回折光の比に誤差が生じる。ここで、複製ホログラム42の複製において、マスタホログラム41による0次回折光と1次回折光の方位が変化しない、すなわち、複製ホログラム42内に形成される回折格子のピッチが変化しないため、複製ホログラム42において、露光時間に誤差があっても1次回折光の方位が変化しない。露光時間の誤差により影響を受けるのは複製ホログラム42のフォトポリマー422内に形成される回折格子の屈折率差の大きさである。屈折率差が大きくなると0次回折光に対する1次回折光が大きくなり、逆に屈折率差が小さくなると1次回折光は小さくなる。
【0039】
図3は第1実施形態に係るホログラム記録体の露光中の状態を示す断面図である。
【0040】
図3に示すように、レーザ光L1がマスタホログラム41に入射すると、マスタホログラム41から0次回折光(光線L11)と1次回折光(光線L12)とが出射される。この光線L11,L12により、複製ホログラム42のフォトポリマー422に屈折率分布が生じる。光線L11がフォトポリマー422に入射すると、複製ホログラム42のブラッグ回折により、複製ホログラム42から0次回折光(光線L111)と1次回折光(光線L112)とが出射される。また、光線L12がフォトポリマー422に入射すると、複製ホログラム42のブラッグ回折により、複製ホログラム42から0次回折光(光線L121)と1次回折光(光線L122)とが出射される。複製ホログラム42の露光が進むにつれて、光線L11の透過光である光線L111の光強度が低下し、1次回折光である光線L112の光強度が増加する。同様に、光線L12の透過光である光線L122の光強度が減少し、1次回折光である光線L121の光強度が増加する。このとき、光線L111,L122は、光線方位が同じであり、光線L112,L121は光線方位が同じである。
【0041】
図3に示すように、レーザ光L2は、マスタホログラム41と複製ホログラム42でブラッグ回折し、露光光と同様に4つの回折光が生じる。光線L211,L222の光線方位が同じであり、光線L212,L221の光線方位が同じである。
【0042】
レーザ光L2について、レーザ光L1と同様に回折光量計算を行うと、マスタホログラム41の0次回折光(光線L21)の光強度を0.5+cとし、1次回折光(光線L22)の光強度を0.5-cとすると、複製ホログラム42の露光中の0次回折光と1次回折光の光量比は(1-b):bとなる。cは、レーザ光L2においてマスタホログラム41および複製ホログラム42に形成されたブラッグ回折格子のブラッグ回折条件からのずれにより生じる光量低下分である。cは、ブラッグ回折条件のとき0であり、ブラッグ回折条件の入射角からのずれが大きいほど大きくなる。すなわち、ブラッグ回折条件の入射角からのずれが大きいほど、1次回折光が減り、0次回折光が増えることになる。bは、複製ホログラム42において、露光によりフォトポリマー422内にブラッグ回折格子が形成されることで生じる1次回折光である。bは、露光開始時点で0であり、露光が進むにつれて大きくなる。
【0043】
複製ホログラム42から出射された、光線L211の光強度は(0.5+c)×(1-b)であり、光線L222の光強度は、(0.5-c)×bとなる。光線L211,L222を加算すると、光強度はQ=0.5+c-2×c×bとなる。よって、レーザ光L2をマスタホログラム41および複製ホログラム42のブラッグ回折条件を満たす入射角からずらして入射させることでc≠0となる。このため、複製ホログラム42の露光が進むにつれて、bが大きくなるので光強度Qが変化することになる。すなわち、複製ホログラム42の露光の進捗を測定することができる。したがって、複製ホログラム42の露光中に、複製ホログラム42のフォトポリマー422の屈折率差により生じる1次回折光と0次回折光との光量比を正確に測定できる。なお、光線L212,L221についても同様であるため、光線L212,L221を用いて、複製ホログラム42の進捗を測定してもよい。
【0044】
図1に示すように、複製ホログラム42からの出射光は、開口7を透過して、集光レンズ5によって集光される。なお、レーザ光L3が光線L211,L222に相当する光線であり、レーザ光L4が光線L111,L122に相当する光線であり、レーザ光L5が光線L112,L121に相当する光線であり、レーザ光L6が光線L212,L221に相当する光線である。
【0045】
受光センサ6は、集光レンズ5の焦点面に配置されている。複製ホログラム42の出射光は平行光であるので、受光センサ6の受光面上に4点のスポットを形成する(図4(a)参照)。スポット光S1~S4は、レーザ光L3~L6によって生じるスポット光である。
【0046】
図4(b)は、スポット光S1における光強度を示すグラフである。図4(b)に示すように、スポット光S1の光強度は、露光の進捗とともに減少していく。スポット光S1の光量が所定の光量となったところで、レーザ光L1の照射を終了することで、設計値通りの複製ホログラム42が得られる。露光終了となるスポット光S1の光量は、予め、実験により求めておけばよい。なお、スポット光S1に代えて、スポット光S4を用いて、露光を終了してもよい。
【0047】
複製ホログラム42の露光が終了した後、ホログラム記録体4からマスタホログラム41を外し、複製ホログラム42に対して紫外線光を照射することにより、フォトポリマー422において可視光での露光が進まないように処理される。
【0048】
以上の構成により、第1実施形態に係るホログラム製造装置は、回折格子g1が形成されたマスタホログラム41と、マスタホログラム41と近接して配置された複製ホログラム42と、マスタホログラム41および複製ホログラム42に対して、回折格子g1におけるブラッグ回折条件を満たすレーザ光L1(第1レーザ光)を出射する光源1(第1光源)と、マスタホログラム41および複製ホログラム42に対して、回折格子g1におけるブラッグ回折条件を満たさないレーザ光L2(第2レーザ光)を出射する光源2(第2光源)と、レーザ光L3,L6(マスタホログラム41および複製ホログラム42を通過した後のレーザ光L2)を測定する受光センサ6を備え、受光センサ6の測定結果により、複製ホログラム42の露光を終了する。
【0049】
この構成によると、レーザ光L2がマスタホログラム41に形成された回折格子のブラッグ条件を満たさないように、マスタホログラム41および複製ホログラム42に対して入射されるため、複製ホログラム42の露光時間に応じて、マスタホログラム41および複製ホログラム42を通過したレーザ光L2に相当するレーザ光L3,L6の光強度が変化する。これにより、複製ホログラム42の露光の進捗が測定することができるため、複製ホログラムの精度を向上させることができる。
【0050】
なお、第1実施形態では、光源2は、レーザ光L1の中央付近(マスタホログラム41の中央付近)にレーザ光L2が照射されるように、レーザ光L2を照射している。
【0051】
また、レーザ光L2の照射領域を小さくすることにより、局所的なフォトポリマーの厚みtの測定も可能であり、より精度の高い複製ホログラム作成が行うことができる。
【0052】
また、レーザ光L2を複製ホログラム42の未使用領域に照射することにより、複製ホログラム42の露光の進捗を管理してよい。
【0053】
また、複製ホログラム42の露光の進捗を管理するために、マスタホログラム41のフォトポリマー412におけるブラッグ回折条件を用いたが、フォトポリマー412の表面形状による透過回折における条件を用いてもよい。ただし、表面形状による透過回折では高次の回折光が出やすいので、複製ホログラムの誤差に繋がりやすくなる。
【0054】
また、マスタホログラム41の屈折率分布をZ軸方向に一様としたが、部分的にY軸周りに分布を回転させたものをつなぎ合わせたものでも構わない。
【0055】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係るホログラムの製造装置の模式図である。第1実施形態では、レーザ光L1,L2のマスタホログラム41に対する入射角(角度ε)をずらすことにより、複製ホログラム42の露光の進捗を測定していた。これに対して、第2実施形態では、レーザ光L1,L2の光の波長をずらすことにより、複製ホログラム42の露光の進捗を測定する。
【0056】
具体的には、レーザ光L1,L2は互いに異なる波長を有するレーザ光である。
【0057】
波長フィルタ8(第1波長フィルタ)は、レーザ光L1を反射し、レーザ光L2を透過する波長フィルタである。波長フィルタ8は、誘電体多層膜などで形成され、多層膜での光の干渉により、特定の波長帯域において光をほぼ100%の反射率で反射し、別の波長帯域において光をほぼ100%の透過率で透過する作用を持つ。レーザ光L2の波長は、レーザ光L1の波長と異なる波長であるため、波長フィルタ8は、レーザ光L1を高い反射率で反射し、レーザ光L2を高い透過率で透過させる。
【0058】
波長フィルタ9(第2波長フィルタ)は、集光レンズ5と受光センサ6との間に配置され、複製ホログラム205を透過した光のうち、レーザ光L2を透過する波長フィルタであり、レーザ光L1を吸収あるいは反射する。
【0059】
(ホログラムの製造装置の動作)
次に、ホログラムの製造装置の動作を説明する。なお、マスタホログラム41と複製ホログラム42との露光については、第1実施形態と同様である。具体的には、レーザ光L1を波長フィルタ8によって反射させ、マスタホログラム41に照射する。マスタホログラム41でのブラッグ回折による0次回折光と1次回折光により複製ホログラム内で干渉縞を生じさせて露光を行い、屈折率分布を形成する。
【0060】
第2実施形態では、レーザ光L1,L2の光線方位が同じであるが、レーザ光L1,L2の波長が異なる。これにより、レーザ光L2がブラッグ回折条件を満たさないようにしている。具体的には、ブラッグ回折条件は、2×n×d×sin(θ)=λとあらわされるので、入射角θを変化させるのと波長λを変化させるのは、等価である。
【0061】
ここで、複製ホログラム42から出射されるレーザ光L3,L4は平行となる。このため、レーザ光L3,L4は重なっている。波長フィルタ9が、レーザ光L3(レーザ光L2対応)を透過し、レーザ光L4(レーザ光L1に対応)を反射させるため、波長フィルタ9からはレーザ光L3のみが出射される。これにより、複製ホログラム42の露光の進捗を測定することができる。
【0062】
(第3実施形態)
図6は第3実施形態に係るホログラムの製造装置の模式図である。第1実施形態では、レーザ光L1,L2を用いて、複製ホログラム42の露光の進捗を測定していた。これに対して、第3実施形態では、レーザ光L2(参照光)を用いずに、レーザ光L1(露光光)のみを用いて、複製ホログラム42の露光の進捗を測定する。具体的には、図6では、図1の光源2が省略されている。このため、受光センサ6(ここでは、第2センサに相当)は、レーザ光L4,L5を測定する。
【0063】
図7は第3実施形態に係る複製ホログラム作成時の回折効率と複製ホログラムの屈折率変化量Δnとの関係を示すグラフである。具体的には、図7は、露光開示時の、マスタホログラム41および複製ホログラム42から射出されるレーザ光L4,L5の比が4:1である場合のグラフである。なお、図7では、レーザ光L4の変動を白い四角でプロットし、レーザ光L5の変動を黒い四角でプロットしている。
【0064】
図7に示すように、複製ホログラム42の露光が進む(屈折率変化量Δnが大きくなる)につれて、レーザ光L4,L5の回折効率が変化している。すなわち、レーザ光L1がマスタホログラム41および複製ホログラム42を透過したときの、0次回折光であるレーザ光L4および1次回折光であるレーザ光L5のみ(すなわち、レーザ光L1のみ)を測定することにより、複製ホログラム42の露光の進捗を測定することができる。
【0065】
(第4実施形態)
図8は第4実施形態に係るホログラムの製造装置の模式図である。第1実施形態では、レーザ光L1,L2のマスタホログラム41に対する入射角(角度ε)をずらすことにより、複製ホログラム42の露光の進捗を測定していた。これに対して、第2実施形態では、レーザ光L1,L2をXZ平面において異なる角度でマスタホログラム41および複製ホログラム42に入射させることで、複製ホログラム42の露光の進捗を測定する。
【0066】
図8に示すように、光源1は、レーザ光源11と、光アイソレータ12と、λ/2波長板13と、集光レンズ14と、ピンホール15と、コリメートレンズ16とを備える。
【0067】
レーザ光源11は、レーザ光L1を照射する光源である。レーザ光源11は、可干渉性が高く、平行光で、単色の直線偏光であるレーザ光L1を射出する。
【0068】
光アイソレータ12は、λ/2波長板13側からレーザ光源11への戻り光を抑制する。
【0069】
λ/2波長板13は、入射したレーザ光L1の偏光方向を制御する。これにより、レーザ光L1は、露光に最適な偏光方向に制御される。
【0070】
集光レンズ14は、λ/2波長板13を介して入射したレーザ光L1を回折限界まで集光する。
【0071】
ピンホール15は、集光レンズ14の焦点位置に配置され、レーザ光L1に含まれる光ノイズを低減する。例えば、集光レンズ14によるスポット光が1/e2となる光強度の直径より、ピンホール15の直径をわずかに大きくなるように設定することで、レーザ光L1に含まれる光ノイズを除去できる。
【0072】
コリメートレンズ16は、焦点位置がピンホール15となるように配置され、透過する光(レーザ光L1)を平行光とする。
【0073】
光源2は、レーザ光源21と、レンズ22とを備える。
【0074】
レーザ光源21は、レーザ光L2を照射する光源である。レーザ光源21は、フォトポリマー422に感度を有さない近赤外光であるレーザ光L2を射出する。
【0075】
レンズ22は、入射したレーザ光L2を平行光とする。
【0076】
ここで、図示は省略するが、レーザ光L1,L2は、平面視(マスタホログラム41および複製ホログラムを上から見たとき)において異なる角度でマスタホログラム41および複製ホログラム42に入射する。例えば、レーザ光L1がZ方向に沿ってマスタホログラム41および複製ホログラム42に入射する場合、レーザ光L2はZ方向に対してややずれた角度で入射する。この場合、レーザ光L2は、ブラッグ回折条件を満たすように、マスタホログラム41および複製ホログラム42に入射する。このため、レーザ光L1,L2は、マスタホログラム41および複製ホログラム42を透過した場合に異なる方向に透過することとなる。これにより、受光センサ6は、レーザ光L2を透過光であるレーザ光L7のみを測定可能となる。
【0077】
図9は第4実施形態に係る複製ホログラム作成時の複製ホログラムの断面図である。例えば、レーザ光L2に対する複製ホログラム42の干渉縞をθ’’とすると、λ=2×n×d×sinθ’’が成立するとき、レーザ光L2は、複製ホログラム42の干渉縞で反射した光同士(レーザ光L7)が干渉し、強め合うこととなる。この条件でレーザ光L2をマスタホログラム41および複製ホログラム42に入射させることで、受光センサ6によってレーザ光L2(L7)の測定が可能となる。
【0078】
図10は第4実施形態に係る複製ホログラム作成時の回折効率と複製ホログラムの屈折率変化量Δnとの関係を示すグラフである。具体的には、図10(a)は、露光開示時の、マスタホログラム41および複製ホログラム42から射出されるレーザ光L7の0次回折光と1次回折光との比が1:1である場合のグラフであり、図10(b)は、露光開示時のレーザ光L7の0次回折光と1次回折光との比が1:2である場合のグラフであり、図10(c)は、露光開示時のレーザ光L7の0次回折光と1次回折光との比が1:9である場合のグラフである。なお、図10の各図では、レーザ光L7の0次回折光の変動を白い四角でプロットし、レーザ光L7の1次回折光の変動を黒い四角でプロットしている。
【0079】
図10(a)~図10(c)に示すように、複製ホログラム42の露光が進む(屈折率変化量Δnが大きくなる)につれて、レーザ光L7の0次回折光および1次回折光の回折効率が変化している。すなわち、レーザ光L7の0次回折光と1次回折光とを測定することにより、複製ホログラム42の複製ホログラム42の露光の進捗を測定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本開示のホログラム製造装置は、プロジェクタ、ベッドマウントディスプレイ、ヘッドアップディスプレイなどのホログラム光学素子系に適用することができる。
【符号の説明】
【0081】
1,2 光源(第1光源、第2光源)
3 ハーフミラー
4 ホログラム記録体
41 マスタホログラム
42 複製ホログラム
412,422 フォトポリマー
5 集光レンズ
6 受光センサ(第1センサ、第2センサ)
8,9 波長フィルタ(第1波長フィルタ、第2波長フィルタ)
L1,L2 レーザ光(第1レーザ光、第2レーザ光)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10