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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163139
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】サンドイッチの成形器
(51)【国際特許分類】
   B26D 3/24 20060101AFI20231101BHJP
   A47J 43/20 20060101ALI20231101BHJP
   A21C 15/00 20060101ALI20231101BHJP
   B26D 3/00 20060101ALI20231101BHJP
   A23L 35/00 20160101ALN20231101BHJP
【FI】
B26D3/24 J
A47J43/20
A21C15/00 A
B26D3/00 602Z
A23L35/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023062632
(22)【出願日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】P 2022073394
(32)【優先日】2022-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】506204047
【氏名又は名称】プラスワン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】青木 尊利
【テーマコード(参考)】
4B031
4B036
4B053
【Fターム(参考)】
4B031CA09
4B031CB01
4B031CF01
4B031CF05
4B031CF13
4B031CF19
4B036LF15
4B036LP14
4B036LT29
4B053AA03
4B053CA30
(57)【要約】
【課題】簡素な構成にて、サンドイッチ成形のための板状パンの圧着及び切断のそれぞれを適切に行う。
【解決手段】2枚の板状パンが圧着されて成る密閉型のサンドイッチの成形器1は、上下方向に延び、成形すべきサンドイッチに応じた大きさの開口部3aを形成する周壁部3と、周壁部3における上下方向の一端に形成され、上下方向に重ねられた2枚の板状パンを圧着するための第1押圧部5と、周壁部3における上下方向の他端に形成され、第1押圧部5によって圧着された2枚の板状パンを切断するために、少なくとも第1押圧部5よりも幅が狭く形成された第1切断部7と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の板状パンが圧着されて成る密閉型のサンドイッチの成形器であって、
上下方向に延び、成形すべきサンドイッチに応じた大きさの開口部を形成する周壁部と、
前記周壁部における上下方向の一端に形成され、上下方向に重ねられた2枚の板状パンを圧着するための押圧部と、
前記周壁部における上下方向の他端に形成され、前記押圧部によって圧着された前記2枚の板状パンを切断するために、少なくとも当該押圧部よりも幅が狭く形成された切断部と、
を有する、ことを特徴とするサンドイッチの成形器。
【請求項2】
上下方向に延びると共に、前記開口部を横断するように前記周壁部の内側面に結合され、前記周壁部の前記押圧部及び前記切断部から成形されたサンドイッチを2枚以上に分割するための少なくとも1つの分割壁部を更に有し、
前記分割壁部における上下方向の一端には、前記2枚の板状パンを圧着するための押圧部が形成され、前記分割壁部における上下方向の他端には、当該分割壁部の押圧部によって圧着された前記2枚の板状パンを切断するために、少なくとも当該押圧部よりも幅が狭い切断部が形成されている、
請求項1に記載のサンドイッチの成形器。
【請求項3】
前記サンドイッチの成形器は、交差する2つ以上の前記分割壁部を有しており、前記2つ以上の分割壁部によって4枚以上のサンドイッチを成形する、
請求項2に記載のサンドイッチの成形器。
【請求項4】
前記周壁部の外側面には、前記サンドイッチの成形器を使用者の手により前記2枚の板状パンに対して押し付けるために用いられる、外方に突出した突出部が設けられている、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のサンドイッチの成形器。
【請求項5】
前記突出部は、前記周壁部の外側面において前記開口部を挟んで対向する位置に一対設けられている、
請求項4に記載のサンドイッチの成形器。
【請求項6】
一対の前記突出部は、前記周壁部の外側面に2つ設けられている、
請求項5に記載のサンドイッチの成形器。
【請求項7】
前記突出部は、前記周壁部の外側面において上下方向におけるほぼ中央位置に設けられている、
請求項4に記載のサンドイッチの成形器。
【請求項8】
前記分割壁部の少なくとも1つは、前記周壁部に対して着脱可能に構成されている、
請求項2又は3に記載のサンドイッチの成形器。
【請求項9】
前記周壁部の内側面には、着脱可能な前記分割壁部の長手方向における両端に位置し且つ上下方向に延びる一対の側辺部を、隙間なく受け入れる溝部が形成されている、
請求項8に記載のサンドイッチの成形器。
【請求項10】
前記分割壁部の前記側辺部の端部には凸部が形成され、前記周壁部の前記溝部の端部には、前記側辺部の前記凸部に係合する穴部が形成されている、
請求項9に記載のサンドイッチの成形器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚の板状パン(例えば食パン)が圧着されて成る密閉型のサンドイッチの成形器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、具材を挟んで重ねられた2枚の食パンの周縁などを圧着し、この圧着部分に沿って食パンを切断することで、密閉型のサンドイッチを成形する器具が知られている。例えば、特許文献1及び2には、開口部又は凹部(具材が挟まれた食パンの部分が入り込む部分)が形成された部材を用い、この部材の上下方向における端部に設けられた押圧部及び切断部を食パンに押し付けることで、2枚の食パンを圧着及び切断して密閉型のサンドイッチを成形する技術が記載されている。
【0003】
上記の特許文献1及び2に記載されたようなサンドイッチの成形器では、1つの部材に押圧部及び切断部が形成されており、この部材を食パンに押し付けることで圧着及び切断の両方を同時に行っていた。そのため、圧着及び切断の一方又は両方を適切に行うことができない場合があった。これは、基本的には、食パンを押圧部により適切に圧着するために食パンに付与すべき押し付け力と、食パンを切断部により適切に切断するために食パンに付与すべき押し付け力とが異なるものであるが、1つの部材に押圧部及び切断部が形成された成形器では、食パンに対して一定の押し付け力しか付与できないからである。つまり、この成形器により食パンに付与される押し付け力が、食パンを適切に圧着するためには不十分又は過剰であったり、或いは、食パンを適切に切断するためには不十分又は過剰であったりするのである。
【0004】
このような問題点を解決しようとした技術が、例えば特許文献3に記載されている。特許文献3には、食パンを圧着するための部材と、食パンを切断するための部材とが別体に構成されたサンドイッチの成形器が記載されている。これにより、2つの部材により別々に押し付け力を食パンに付与して、圧着及び切断を別々に行うので、これら圧着及び切断の両方が適切になされたサンドイッチを成形することができる。これと同様の技術が、特許文献4にも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3095214号公報
【特許文献2】特公昭57-784号公報
【特許文献3】特開2010-75638号公報
【特許文献4】登録実用新案第3162389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の特許文献3及び4に記載されたようなサンドイッチの成形器は、食パンの圧着及び切断を別々に行うべく別々の部材を用いていたため、つまり少なくとも2つの部材を組み合わせて用いていたため、成形器の構成が複雑化していた。したがって、成形器を製造するときに、これら部材を的確に組み合わせるための精度が要求されるため、製造コストがかかる傾向にあった。また、サンドイッチの成形器を洗ったり掃除したりするときに、手間や時間がかかる傾向にあった。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、簡素な構成にて、サンドイッチ成形のための板状パンの圧着及び切断のそれぞれを適切に行うことができるサンドイッチの成形器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、2枚の板状パンが圧着されて成る密閉型のサンドイッチの成形器であって、上下方向に延び、成形すべきサンドイッチに応じた大きさの開口部を形成する周壁部と、周壁部における上下方向の一端に形成され、上下方向に重ねられた2枚の板状パンを圧着するための押圧部と、周壁部における上下方向の他端に形成され、押圧部によって圧着された2枚の板状パンを切断するために、少なくとも当該押圧部よりも幅が狭く形成された切断部と、を有する、ことを特徴とする。
【0009】
このように構成された本発明によるサンドイッチの成形器では、1つの部材である周壁部の上下方向における両端(一方側の端部とその反対側の端部)に、板状パンを圧着するための押圧部と、板状パンを切断するための切断部がそれぞれ形成されている。このような本発明によるサンドイッチの成形器によれば、板状パンの圧着及び切断を1つの部材により行うので、上述したように板状パンの圧着及び切断を別々に行うべく別々の部材を用いるサンドイッチの成形器と比較して、成形器の構成を簡素化することができる。したがって、本発明によれば、別々の部材を組み合わせるための精度要求による製造コスト上昇を抑制することができると共に、サンドイッチの成形器を容易に洗ったり掃除したりすることができる。更に、本発明によれば、サンドイッチの成形器の上下方向における両端にそれぞれ形成された押圧部及び切断部により、別々に押し付け力を板状パンに付与して、圧着及び切断を別々に行うので、これら圧着及び切断が適切になされたサンドイッチを成形することができる。以上より、本発明によれば、簡素な構成にて、サンドイッチ成形のための板状パンの圧着及び切断のそれぞれを適切に行うことができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、上下方向に延びると共に、開口部を横断するように周壁部の内側面に結合され、周壁部の押圧部及び切断部から成形されたサンドイッチを2枚以上に分割するための少なくとも1つの分割壁部を更に有し、分割壁部における上下方向の一端には、2枚の板状パンを圧着するための押圧部が形成され、分割壁部における上下方向の他端には、当該分割壁部の押圧部によって圧着された2枚の板状パンを切断するために、少なくとも当該押圧部よりも幅が狭い切断部が形成されている。
このように構成された本発明によれば、押圧部及び切断部のそれぞれが上下方向における両端に形成された分割壁部により、簡素な構成にて、2枚以上のサンドイッチを成形するための板状パンの圧着及び切断のそれぞれを適切に行うことができる。
【0011】
本発明において好適には、サンドイッチの成形器は、交差する2つ以上の分割壁部を有しており、この2つ以上の分割壁部によって4枚以上のサンドイッチを成形してもよい。
【0012】
本発明において、好ましくは、周壁部の外側面には、サンドイッチの成形器を使用者の手により2枚の板状パンに対して押し付けるために用いられる、外方に突出した突出部が設けられている。
このように構成された本発明によれば、使用者は、周壁部の外側面に設けられた突出部を用いて、サンドイッチの成形器を手で板状パンに対して適切に押し付けることができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、突出部は、周壁部の外側面において開口部を挟んで対向する位置に一対設けられている。
このように構成された本発明によれば、サンドイッチの成形器を一対の突出部を介して、両手で板状パンに対して押し付けることができ、2枚の板状パンの圧着及び切断を的確に行うことができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、一対の突出部は、周壁部の外側面に2つ設けられている。
このように構成された本発明によれば、サンドイッチの成形器を様々な箇所(例えば前後方向の箇所及び左右方向の箇所)から手で板状パンに対して押し付けることができ、2枚の板状パンの圧着及び切断をより的確に行うことができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、突出部は、周壁部の外側面において上下方向におけるほぼ中央位置に設けられている。
このように構成された本発明によれば、周壁部において上下方向におけるほぼ中央位置に設けられた突出部を用いて、サンドイッチの成形器を一方側から押し付けることでなされる圧着と、サンドイッチの成形器を他方側から押し付けることでなされる切断の両方を適切に行うことができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、分割壁部の少なくとも1つは、周壁部に対して着脱可能に構成されている。
このように構成された本発明によれば、分割壁部を着脱することで、サンドイッチの成形器により成形するサンドイッチの枚数を変えることができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、周壁部の内側面には、着脱可能な分割壁部の長手方向における両端に位置し且つ上下方向に延びる一対の側辺部を、隙間なく受け入れる溝部が形成されている。
このように構成された本発明によれば、着脱可能な分割壁部を、周壁部の溝部を用いて、周壁部に的確に取り付けることができる。換言すると、溝部により、分割壁部の取り付けをガイドすることができる。また、溝部により、分割壁部を周壁部にしっかり固定することができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、分割壁部の側辺部の端部には凸部が形成され、周壁部の溝部の端部には、側辺部の凸部に係合する穴部が形成されている。
このように構成された本発明によれば、分割壁部の凸部を周壁部の穴部に係合することで、分割壁部を周壁部により確実に固定することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によるサンドイッチの成形器によれば、簡素な構成にて、サンドイッチ成形のための板状パンの圧着及び切断のそれぞれを適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態によるサンドイッチの成形器の斜視図である。
図2】本発明の実施形態によるサンドイッチの成形器を図1の矢印II方向から見た平面図である。
図3】本発明の実施形態によるサンドイッチの成形器を図1の矢印III方向から見た平面図である。
図4】本発明の実施形態によるサンドイッチの成形器を図2のIV-IV線に沿って見た断面図である。
図5】食パンの上に具材を乗せた後、この食パンの上に別の食パンを重ねる様子を示す説明図である。
図6】具材を挟んだ2枚の食パンを、本発明の実施形態によるサンドイッチの成形器により圧着及び切断する様子を示す説明図である。
図7】食パンを圧着しているときの、本発明の実施形態によるサンドイッチの成形器及び食パンの上下方向に沿った断面図である。
図8】食パンを切断しているときの、本発明の実施形態によるサンドイッチの成形器及び食パンの上下方向に沿った断面図である。
図9】本発明の実施形態によるサンドイッチの成形器により成形された密閉型のサンドイッチの具体例である。
図10】本発明の実施形態の変形例1によるサンドイッチの成形器の斜視図である。
図11】本発明の実施形態の変形例2によるサンドイッチの成形器の斜視図である。
図12】本発明の実施形態の変形例3によるサンドイッチの成形器の斜視図である。
図13】本発明の実施形態の変形例3によるサンドイッチの成形器の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるサンドイッチの成形器について説明する。ここでは、本実施形態によるサンドイッチの成形器により、2枚の食パンからサンドイッチを成形する例を説明するが、本実施形態によるサンドイッチの成形器は、食パンへの適用に限定はされず、種々の板状のパンに適用可能である。
【0022】
[サンドイッチの成形器の構成]
図1図4を参照して、本実施形態によるサンドイッチの成形器について説明する。図1は、本実施形態によるサンドイッチの成形器の斜視図であり、図2は、本実施形態によるサンドイッチの成形器を図1の矢印II方向から見た平面図であり、図3は、本実施形態によるサンドイッチの成形器を図1の矢印III方向から見た平面図であり、図4は、本実施形態によるサンドイッチの成形器を図2のIV-IV線に沿って見た断面図である。
【0023】
図1図2図3に示すように、サンドイッチの成形器1は、主として、上下方向に延び、平面視で矩形の枠状(フレーム状)の周壁部3を有する。この周壁部3は、成形すべきサンドイッチに応じた大きさを有する開口部3aを形成する。好適には、周壁部3は、平面視でほぼ正方形に形成されるが、これに限定はされない。具体的には、周壁部3を、平面視において、正方形以外の矩形に形成してもよいし、矩形以外の多角形に形成してもよいし、円形や楕円形に形成してもよいし、星形やハート形や花形などの特徴的な形に形成してもよい。
【0024】
周壁部3は、2枚の食パンから密閉型のサンドイッチを成形するために、当該サンドイッチの周縁を圧着すると共に、2枚の食パンの周縁部(パンの耳)を切り取るように、換言すると2枚の食パンからサンドイッチとして用いられる部分をくり抜くように構成されている。周壁部3の開口部3aは、2枚の食パンにおいてサンドイッチとして用いられる部分が入り込む部分となっている。なお、開口部3aは、上下方向に貫通していなくてもよく、上下方向の途中で閉じていてもよい(例えば周壁部3の内側に仕切り板を設けて開口部3aを上下方向に分断してもよい)。
【0025】
具体的には、周壁部3は、上下方向の一端に、上下方向に重ねられた2枚の食パンを圧着するために、食パンを押圧する第1押圧部5が形成され(図2)、上下方向の他端に、第1押圧部5によって圧着された食パンの部分(以下適宜「圧着部」と呼ぶ。)に沿って切断を行うための第1切断部7が形成されている(図3)。つまり、本実施形態によるサンドイッチの成形器1では、1つの部材である周壁部3の上下方向における一方側とその反対側に、第1押圧部5と第1切断部7がそれぞれ形成されている。
【0026】
図4に示すように、第1押圧部5は、周壁部3の端部において内方(外方でもよい)に突出するように形成され、2枚の食パンを圧着すべく食パンを押圧するために幅広に構成されている、より詳しくは食パン上に成形すべき圧着部に応じたサイズを有する。また、第1切断部7は、周壁部3の厚みが端部にいくにつれて窄まっていくことで形成され、食パン上に成形された圧着部を的確に切断できるように先鋭に構成されている(少なくとも第1押圧部5よりも幅狭に構成されている)。
【0027】
また、図1図2図3に示すように、サンドイッチの成形器1は、上下方向に延びると共に、開口部3aを横断するように周壁部3の内側面に結合され、周壁部3の第1押圧部5及び第1切断部7から成形されたサンドイッチを4枚に分割するための2つの分割壁部9を更に有する。この分割壁部9は、周壁部3と一体成形されている。また、2つの分割壁部9の各々は、周壁部3における一辺のほぼ中央部の内側から、周壁部3における当該一辺に対向する辺のほぼ中央部の内側まで延びている。そして、2つの分割壁部9は、開口部3aのほぼ中央において交差し、開口部3a内において平面視で十字型を形成している。
【0028】
分割壁部9も、周壁部3と同様に、上下方向の一端に、2枚の食パンを圧着するために食パンを押圧する第2押圧部11が形成され(図2)、上下方向の他端に、第2押圧部11によって圧着された食パンの圧着部を切断するための第2切断部13が形成されている(図3)。図4に示すように、分割壁部9の第2押圧部11は、周壁部3において第1押圧部5が設けられた側に設けられ、分割壁部9の第2切断部13は、周壁部3において第1切断部7が設けられた側に設けられている。つまり、分割壁部9の第2押圧部11と周壁部3の第1押圧部5は、サンドイッチの成形器1の上下方向における同じ側に設けられ、分割壁部9の第2切断部13と周壁部3の第1切断部7は、サンドイッチの成形器1の上下方向における同じ側に設けられている。
【0029】
具体的には、分割壁部9の第2押圧部11は、図4に示すように、分割壁部9の端部において両側(分割壁部9に沿った方向に直交する方向において一方側とその反対側)に突出するよう形成され、2枚の食パンを圧着すべく食パンを押圧するために幅広に構成されている、より詳しくは食パン上に成形すべき圧着部に応じたサイズを有する。また、分割壁部9の第2切断部13は、分割壁部9の厚みが端部にいくにつれて窄まっていくことで形成され、食パン上に成形された圧着部を的確に切断できるように先鋭に構成されている(少なくとも第2押圧部11よりも幅狭に構成されている)。
【0030】
また、図1図2図3に示すように、周壁部3の外側面には、サンドイッチの成形器1を使用者の手により2枚の食パンに対して押し付けるために用いられる、平面視で台形状の突出部15が設けられている。この突出部15は、周壁部3と一体成形されている。具体的には、周壁部3の外側面において開口部3aを挟んで対向する位置に、換言すると周壁部3の一辺上と当該一辺に対向する辺上に、一対の突出部15(2つの突出部15)が設けられている。特に、周壁部3の外側面には、この一対の突出部15が2つ設けられている。よって、周壁部3には、計4つの突出部15が設けられている。また、これらの突出部15は、周壁部3の外側面において上下方向におけるほぼ中央位置に設けられている(図4)。
【0031】
次に、図5図8を参照して、本実施形態によるサンドイッチの成形器1を使用して、密閉型のサンドイッチを成形するための方法について説明する。図5は、食パンA1の上に具材Bを乗せた後、この食パンA1の上に食パンA2を重ねる様子を示している。図5の上に示すように、サンドイッチの成形器1を食パンA1の上に重ねた状態で、具材Bを乗せると良い。具体的には、サンドイッチの成形器1の周壁部3及び分割壁部9によって区分けされた、食パンA1上の4つの部分(周壁部3及び分割壁部9によって画定された4つの開口部3aを介してアクセス可能である)の中央付近に、具材Bを乗せると良い。これにより、サンドイッチの成形器1により成形する各サンドイッチ用の具材Bを適切に配置することができる。
【0032】
次いで、図6は、図5に示したように具材Bを挟んだ2枚の食パンA1、A2を、本実施形態によるサンドイッチの成形器1により圧着及び切断する様子を示している。図7は、食パンA1、A2を圧着(押圧)しているときの、本実施形態によるサンドイッチの成形器1及び食パンA1、A2の上下方向に沿った断面図を示している。図8は、食パンA1、A2を切断しているときの、本実施形態によるサンドイッチの成形器1及び食パンA1、A2の上下方向に沿った断面図を示している。
【0033】
図6の上に示すように、まず、周壁部3の第1押圧部5及び分割壁部9の第2押圧部11を下向きにした状態でサンドイッチの成形器1を食パンA2上に配置することで、これら第1押圧部5及び第2押圧部11を食パンA2に当接させる。このようにサンドイッチの成形器1を配置した状態において、当該サンドイッチの成形器1を一対の突出部15を介して両手で食パンA1、A2に対して押し付けることにより、第1押圧部5及び第2押圧部11により食パンA1、A2に圧着部Cが成形される(図7)。具体的には、周壁部3の第1押圧部5は、食パンA1、A2の周縁(典型的にはパンの耳)の直ぐ内側に沿って、平面視で矩形(ほぼ正方形)の圧着部Cを成形し、分割壁部9の第2押圧部11は、食パンA1、A2の周縁の内側に平面視で十字型の圧着部Cを成形する。
【0034】
この後、サンドイッチの成形器1を食パンA1、A2から持ち上げて、サンドイッチの成形器1を表裏が逆になるようにひっくり返して、図6の下に示すように、周壁部3の第1切断部7及び分割壁部9の第2切断部13を下向きにした状態でサンドイッチの成形器1を食パンA2上に配置することで、これら第1切断部7及び第2切断部13を食パンA2に当接させる。この場合、第1切断部7及び第2切断部13が、上記のように第1押圧部5及び第2押圧部11により食パンA1、A2上に成形された圧着部C(凹んでいる部分)にぴったり合うように、サンドイッチの成形器1を食パンA1、A2上に配置するのが良い。このようにサンドイッチの成形器1を配置した状態において、当該サンドイッチの成形器1を一対の突出部15を介して両手で食パンA1、A2に対して押し付けることにより、第1切断部7及び第2切断部13により食パンA1、A2が切断される(図8)。具体的には、周壁部3の第1切断部7は、食パンA1、A2の周縁(典型的にはパンの耳)の直ぐ内側に成形された、平面視で矩形(ほぼ正方形)の圧着部Cに沿って切断を行い、分割壁部9の第2切断部13は、食パンA1、A2の周縁の内側に成形された、平面視で十字型の圧着部Cに沿って切断を行う。
【0035】
このようなサンドイッチの成形器1による圧着及び切断によって、図9に示すように、4枚の密閉型のサンドイッチDが成形される。これら4枚の密閉型のサンドイッチDは、それぞれ、具材Bを挟み込んだ食パンA1、A2が周縁の圧着部Cにおいて圧着されることで密閉されている。
【0036】
[作用及び効果]
次に、本実施形態によるサンドイッチの成形器1の作用及び効果について説明する。
【0037】
本実施形態によるサンドイッチの成形器1は、上下方向に延び、成形すべきサンドイッチに応じた大きさの開口部3aを形成する周壁部3と、周壁部3における上下方向の一端に形成され、上下方向に重ねられた2枚の食パンを圧着するための第1押圧部5と、周壁部3における上下方向の他端に形成され、第1押圧部5によって圧着された2枚の食パンを切断するために、第1押圧部5よりも幅狭に構成された第1切断部7と、を有する。つまり、本実施形態は、1つの部材(周壁部3)により構成されたサンドイッチの成形器1の上下方向における両端(一方側の端部とその反対側の端部)に、第1押圧部5と第1切断部7をそれぞれ形成している。
【0038】
このような本実施形態によるサンドイッチの成形器1によれば、食パンの圧着及び切断を1つの部材により行うので、上記の特許文献3及び4に記載されたような、食パンの圧着及び切断を別々に行うべく別々の部材を用いるサンドイッチの成形器と比較して、成形器の構成を簡素化することができる。したがって、本実施形態によれば、別々の部材を組み合わせるための精度要求による製造コスト上昇を抑制することができると共に、サンドイッチの成形器1を容易に洗ったり掃除したりすることができる。更に、本実施形態によれば、サンドイッチの成形器1の両側にそれぞれ形成された第1押圧部5及び第1切断部7により、別々に押し付け力を食パンに付与して、圧着及び切断を別々に行うので、これら圧着及び切断が適切になされたサンドイッチを成形することができる。以上より、本実施形態によれば、簡素な構成にて、サンドイッチ成形のための食パンの圧着及び切断のそれぞれを適切に行うことができる。
【0039】
また、本実施形態によれば、上下方向に延びると共に、開口部3aを横断するように周壁部3の内側面に結合され、周壁部3の第1押圧部5及び第1切断部7から成形されたサンドイッチを4枚に分割するための2つの分割壁部9を更に有し、分割壁部9における上下方向の一端には、2枚の板状パンを圧着するための第2押圧部11が形成され、分割壁部9における上下方向の他端には、第2押圧部11によって圧着された2枚の板状パンを切断するために当該第2押圧部11よりも幅狭に構成された第2切断部13が形成されている。このような本実施形態によれば、第2押圧部11及び第2切断部13を有する分割壁部9により、簡素な構成にて、4枚のサンドイッチを成形するための食パンの圧着及び切断のそれぞれを適切に行うことができる。
【0040】
ここで、上記の特許文献3に記載されたような、食パンの圧着を行うための部材及び切断を行うための部材(以下ではそれぞれ「第1部材」及び「第2部材」と呼ぶ。)を用いるサンドイッチの成形器(以下では「比較例に係るサンドイッチの成形器」と呼ぶ。)では、その構造上の理由から、本実施形態のように開口部3a内に分割壁部を設けることができない。そのため、比較例に係るサンドイッチの成形器では、第1及び第2部材によりサンドイッチを成形した後に、このサンドイッチを4枚に分割するための更に別の部材、より具体的には押圧部及び切断部が一体化した十字型の部材(以下では「第3部材」と呼ぶ。)を用いることが考えられる。これは、比較例に係るサンドイッチの成形器では、第1部材で食パンを圧着した後、この第1部材を食パンに配置した状態のままで、第2部材を第1部材の外側に被せるようにして切断を行うからである。こうするのは、第2部材を食パンに対して的確に位置決めするためである。第2部材が食パンに対して的確に位置決めされないと、第1部材により食パンに成形された圧着部以外の部分が切断されて、サンドイッチを適切に密閉できなくなってしまう。
【0041】
これに対して、本実施形態によるサンドイッチの成形器1では、上述したように、第1押圧部5及び第2押圧部11により食パンを圧着した後、第1切断部7及び第2切断部13が、第1押圧部5及び第2押圧部11により食パン上に成形された圧着部C、つまり凹んでいる部分に合うように、サンドイッチの成形器1を食パン上に配置すれば良い。したがって、本実施形態によれば、比較例と比較して、食パンに対するサンドイッチの成形器1の位置決めを容易に行うことができる。この場合、本実施形態によれば、食パンにおいてサンドイッチに使わない部分が外壁となって、これが食パンを切断するときのガイドとなる。
【0042】
また、本実施形態によれば、周壁部3の外側面には、サンドイッチの成形器1を使用者の手により2枚の食パンに対して押し付けるために用いられる、外方に突出した突出部15が設けられている。このような本実施形態によれば、周壁部3の外側面に設けられた突出部15を用いて、サンドイッチの成形器1を食パンに対して適切に押し付けることができる。
【0043】
ここで、食パンを圧着するときには第1切断部7が設けられた側からサンドイッチの成形器1を食パンに対して押し付けることになるが、突出部15が設けられていないと、第1切断部7が設けられた部分を手で触れて、サンドイッチの成形器1を押し付けることとなり、使用者が手を痛める可能性がある。しかしながら、本実施形態によれば、周壁部3において外方に突出するよう設けられた突出部15を介して、サンドイッチの成形器1を手で食パンに対して押し付けることができるので、押し付け時に手を痛めることを確実に抑制できる。
【0044】
また、本実施形態によれば、周壁部3の外側面において開口部3aを挟んで対向する位置に、一対の突出部15が設けられている。これにより、サンドイッチの成形器1を一対の突出部15を介して両手で食パンに対して押し付けることができ、2枚の食パンの圧着及び切断を的確に行うことができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、周壁部3の外側面には、一対の突出部15が2つ設けられている。これにより、サンドイッチの成形器1を様々な箇所(具体的には前後方向の箇所及び左右方向の箇所)から手で食パンに対して押し付けることができ、2枚の食パンの圧着及び切断をより的確に行うことができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、突出部15は、周壁部3の外側面において上下方向におけるほぼ中央位置に設けられている。これにより、サンドイッチの成形器1を一方側から押し付けることでなされる圧着と、サンドイッチの成形器1を他方側から押し付けることでなされる切断の両方を適切に行うことができる。
【0047】
[変形例]
以下では、上述した実施形態の変形例について説明する。
【0048】
図10は、本発明の実施形態の変形例1によるサンドイッチの成形器の斜視図である。上述した実施形態によるサンドイッチの成形器1では、サンドイッチを分割するための分割壁部9が設けられていたが、変形例1によるサンドイッチの成形器1aでは、このような分割壁部9が設けられていない。このサンドイッチの成形器1aでは、1枚のサンドイッチのみが成形される。変形例1によるサンドイッチの成形器1aによれば、簡素な構成にて、1枚のサンドイッチを成形するための食パンの圧着及び切断のそれぞれを適切に行うことができる。
【0049】
図11は、本発明の実施形態の変形例2によるサンドイッチの成形器の斜視図である。上述した実施形態によるサンドイッチの成形器1では、サンドイッチを4枚に分割するための2つの分割壁部9が設けられていたが、変形例2によるサンドイッチの成形器1bでは、サンドイッチを6枚に分割するための3つの分割壁部9が設けられている。この変形例2によるサンドイッチの成形器1bによれば、簡素な構成にて、6枚のサンドイッチを成形するための食パンの圧着及び切断のそれぞれを適切に行うことができる。なお、更なる変形例では、1つの分割壁部9を用いてサンドイッチを2枚に分割してもよいし、4つの分割壁部9を用いてサンドイッチを9枚に分割してもよい。
【0050】
図12は、本発明の実施形態の変形例3によるサンドイッチの成形器の斜視図であり、図13は、本発明の実施形態の変形例3によるサンドイッチの成形器の分解斜視図である。上述した実施形態によるサンドイッチの成形器1では、分割壁部9が周壁部3に固定(接合)されていたが、変形例3によるサンドイッチの成形器1cでは、少なくとも分割壁部9bが周壁部3に対して着脱可能に構成されている(特に図13参照)。これにより、分割壁部9bを着脱することで、サンドイッチの成形器1cにより成形するサンドイッチの枚数を、2枚と4枚とで変えることができる。
【0051】
また、変形例3では、周壁部3に固定された分割壁部9aは、その長手方向における中央位置に上下方向に延びるスリット部31が形成され、着脱可能な分割壁部9bは、その長手方向における中央位置に上下方向に延びるスリット部32が形成されている。これにより、分割壁部9bを周壁部3に取り付けたときに、分割壁部9aのスリット部31に分割壁部9bが嵌まり込むと共に、分割壁部9bのスリット部32に分割壁部9aが嵌まり込むようになっている。
【0052】
また、変形例3では、周壁部3の内側面には、分割壁部9bの長手方向における両端に位置し且つ上下方向に延びる一対の側辺部33を、隙間なく受け入れる溝部22が形成されている。これにより、周壁部3の溝部22を用いて、分割壁部9bを周壁部3に的確に取り付けることができる。換言すると、溝部22により、分割壁部9bの取り付けをガイドすることができる。また、溝部22により、分割壁部9bを周壁部3にしっかり固定することができる。
【0053】
また、変形例3では、分割壁部9bの側辺部33の端部には凸部34が形成され、周壁部3の溝部22の端部には、側辺部33の凸部34に係合する穴部23が形成されている。これにより、分割壁部9bの凸部34を周壁部3の穴部23に係合する(係止させる)ことで、分割壁部9bを周壁部3により確実に固定することができる。
【0054】
なお、変形例3の更なる変形例では、分割壁部9bだけでなく、分割壁部9aも周壁部3に対して着脱可能に構成してもよい。これにより、サンドイッチの成形器1cにより成形するサンドイッチの枚数を、1枚と2枚と4枚とで変えることができる。
【符号の説明】
【0055】
1、1a、1b、1c サンドイッチの成形器
3 周壁部
3a 開口部
5 第1押圧部
7 第1切断部
9、9a、9b 分割壁部
11 第2押圧部
13 第2切断部
15 突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13