(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163145
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】内視鏡装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/005 20060101AFI20231101BHJP
【FI】
A61B1/005 520
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066099
(22)【出願日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】111115935
(32)【優先日】2022-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】515343568
【氏名又は名称】施長碧
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】施長碧
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA12
4C161AA15
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF32
4C161FF35
4C161HH32
(57)【要約】
【課題】内視鏡装置において挿入部が不意に曲がってしまうおそれがあるといった従来技術の欠点を改善する。
【解決手段】内部空間30を有するように細長い中空管状に形成された屈曲可能な挿入管31と、挿入管31の先端に設けられて撮像を行うためのカメラレンズユニット32と、挿入管31の内部空間30に設けられている支持ユニット33と、を含む挿入部3を備える。支持ユニット33は、挿入管31の延伸方向Xに沿って延伸するよう挿入管31の内部空間30内に固定されていて挿入管31と共に屈曲可能である支持ブラケット331を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を有するように細長い中空管状に形成された屈曲可能な挿入管と、前記挿入管の先端に設けられて撮像を行うためのカメラレンズユニットと、前記挿入管の前記内部空間に設けられている支持ユニットと、を含む挿入部を備え、
前記支持ユニットは、前記挿入管の延伸方向に沿って延伸するよう前記挿入管の前記内部空間内に固定されていて前記挿入管と共に屈曲可能である支持ブラケットを有する、
内視鏡装置。
【請求項2】
前記支持ブラケットは、前記挿入管と同軸に延伸して一端が前記カメラレンズユニットに固定されている屈曲可能な支持ロッドを有する、
請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記支持ロッドの一端は、取り外し可能に前記カメラレンズユニットに固定されている、
請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記支持ブラケットは、前記挿入管の延伸方向と直交する径方向に向かって前記支持ロッドから張り出すように形成されると共に前記挿入管の内周面に固定されている支持ベースを更に有する、
請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記支持ユニットは、前記挿入管を前記径方向に沿って挿通して前記挿入管と前記支持ベースとを互いに固定する固定具を更に有する、
請求項4に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記挿入管の外周面に前記挿入管の周方向に延伸する外側環状溝が形成されており、
前記外側環状溝には、前記固定具の一部が露出していると共に、リング部材が嵌め込まれていて前記固定具の前記一部を覆っている、
請求項5に記載の内視鏡装置。
【請求項7】
前記挿入部には、スリーブ部材が、前記挿入管の延伸方向に沿って延伸すると共に前記挿入管に被せられて前記固定具を覆うように設置されている、
請求項5に記載の内視鏡装置。
【請求項8】
前記支持ブラケットは、前記支持ベースを複数有し、これら前記支持ベースは、前記挿入管の延伸方向において間隔をあけて配置されている、
請求項4に記載の内視鏡装置。
【請求項9】
前記支持ユニットは、前記挿入管をそれぞれ前記径方向に沿って挿通して前記挿入管を各前記支持ベースに固定する複数の固定具を更に有する、
請求項8に記載の内視鏡装置。
【請求項10】
前記挿入管の外周面に前記挿入管の延伸方向において互いに間隔をあけてそれぞれ前記挿入管の周方向に延伸する複数の外側環状溝が形成されており、
各前記外側環状溝には、前記固定具の一部が露出していると共に、リング部材が嵌め込まれていて前記固定具の前記一部を覆っている、
請求項9に記載の内視鏡装置。
【請求項11】
前記内部空間に配置される吸引チューブを含む吸引機構を更に備え、
前記支持ベースには貫通孔が開けられていて、
前記吸引チューブは、前記支持ベースの前記貫通孔に通されて前記挿入管の延伸方向に沿って延伸して一端が前記挿入管の先端に露出するように設けられている、
請求項4に記載の内視鏡装置。
【請求項12】
前記内部空間に配置される送出チューブを含む送出機構を更に備え、
前記支持ベースには前記貫通孔が複数開けられていて、
前記送出チューブは、前記支持ベースの前記吸引チューブが通された前記貫通孔以外の前記貫通孔に通されて前記挿入管の延伸方向に沿って延伸して一端が前記挿入管の先端に露出するように設けられている、
請求項11に記載の内視鏡装置。
【請求項13】
前記挿入部の後端に接続されていて、操作されることにより前記支持ブラケットを屈曲させることができる操作部を更に備える、
請求項1~12のいずれか一項に記載の内視鏡装置。
【請求項14】
前記挿入管は、前記操作部に後端が接続されている中空管状の管本体部と、前記管本体部の先端から更に中空管状に延伸すると共に延伸端が封止端となっている管先端部とを有し、
前記カメラレンズユニットは、前記管先端部の先端面に露出するように設けられていて、
前記管先端部の外周面および内周面の少なくとも一方には前記挿入管の延伸方向に沿って螺旋状に形成された螺旋溝が設けられている、
請求項13に記載の内視鏡装置。
【請求項15】
前記支持ロッドが中空管状に形成されている、
請求項2~12のいずれか一項に記載の内視鏡装置。
【請求項16】
前記支持ロッドが中実棒状に形成されている、
請求項2~12のいずれか一項に記載の内視鏡装置。
【請求項17】
前記支持ロッドがコイルばね状に形成されている、
請求項2または3に記載の内視鏡装置。
【請求項18】
前記支持ベースが、前記挿入管の内周面に密接している、
請求項4または8に記載の内視鏡装置。
【請求項19】
前記固定具は、前記挿入管を前記径方向に沿って挿通すると共に前記支持ベースに取り外し可能に螺接されている、
請求項5または9に記載の内視鏡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器に関し、より詳しくは内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の内視鏡は、挿入部が細長い柔軟な中空管となっており、挿入部の外郭を構成するスリーブにより形状が保たれるよう支持されている。しかしそのスリーブは、挿入部の外郭を構成するものであり体内組織に接触し得るため構造や材質に制限があり、そのため十分な支持力を提供できるように構成することが難しく、中空管と共に容易に屈曲する。よって、内視鏡を用いて例えば胃ろう造設や、尿道カテーテル設置施術を行う場合には、従来の内視鏡ではその挿入部の柔軟性により挿入部が不意に曲がってしまうおそれが有り施術の難易度が高まるという問題がある。
【0003】
例えば、内視鏡を用いて経鼻カテーテルの挿入を行う場合には、内視鏡の挿入部でカテーテルをガイドするため、内視鏡の挿入部が一定の支持力を有することが必要となる。しかし、上部消化管内視鏡は、一般に直径が1cm、経鼻用のものでは0.5cmと細く、また先端(挿入端)から支持点までは例えば60cmと距離が開くので、充分な支持力が得られにくい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Chang-Bih Shie, et al., “Clip-assisted endoscopic method for placement of a nasoenteric feeding tube into the distal duodenum.”, Journal of the Formosan Medical Association, 01 Jul 2003, 102(7):514-516
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の欠点を1つでも改善できる内視鏡装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は、内部空間を有するように細長い中空管状に形成された屈曲可能な挿入管と、前記挿入管の先端に設けられて撮像を行うためのカメラレンズユニットと、前記挿入管の前記内部空間に設けられている支持ユニットと、を含む挿入部を備え、前記支持ユニットは、前記挿入管の延伸方向に沿って延伸するよう前記挿入管の前記内部空間内に固定されていて前記挿入管と共に屈曲可能である支持ブラケットを有する、内視鏡装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、挿入管の内部空間に設けられる支持ユニットが、挿入管の延伸方向に沿って延伸するよう挿入管の内部空間内に固定されていて挿入管と共に屈曲可能である支持ブラケットを有するため、挿入管に対して挿入管の延伸方向における十分な支持力を与えるようにすることが容易になる。よって、内視鏡装置により例えば医療用チューブやカテーテルの挿入を行う際に、不意に屈曲してしまうことが防がれ、チューブやカテーテルの挿入作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明による内視鏡装置の一実施形態を示す概略側面図である。
【
図2】上記実施形態の挿入部を示す一部斜視図である。
【
図4】上記実施形態の支持ユニットを例示する一部斜視図である。
【
図5】挿入部の変化例を示す、
図3に類似した断面図である。
【
図6】挿入部の他の変化例を示す一部断面図である。
【
図7】挿入部のさらに他の変化例を示す、
図6に類似した断面図である。
【
図8】挿入部のさらに他の変化例を示す、
図6に類似した断面図である。
【
図9】本発明による内視鏡装置の別の実施形態における挿入部を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施形態の一例を挙げて詳しく説明する。なお、以下の説明における上下左右や前後など、方向を表す用語は図示と合わせて説明の便宜のために用いられるに過ぎず、本発明を限定する意図で用いるものではない。
【0010】
図1、
図2、
図3には、本発明による内視鏡装置200の一実施形態が示されている。内視鏡装置200は、例えば経鼻カテーテルを胃または十二指腸に挿入するため、またはカテーテルを尿道から膀胱に通すために用いられるものである。内視鏡装置200は、挿入部3と、挿入部3の端部(後端)と接続される操作部4と、挿入部3および操作部4に配置される吸引機構5および送出機構6とを含む。
【0011】
挿入部3は、管軸方向である延伸方向Xを有するように、且つ、即ち管腔である内部空間30を有するように細長い中空管状に形成された屈曲可能な挿入管31と、挿入管31の先端(挿入端)に設けられて撮像を行うためのカメラレンズユニット32と、挿入管31の内部空間30に設けられている支持ユニット33とを含む。
【0012】
挿入管31は、例えば、シリコーン材料、ゴム材料、またはその他の軟質で変形可能な医療用途材料からなるものであって、中空管状に形成された管本体部311と、管本体部311の先端から更に中空管状に延伸すると共に延伸端が封止端となっている管先端部312とを有し、管本体部311と管先端部312とにより連続した内部空間30が画成されている。管先端部312は、管本体部311よりもさらに屈曲しやすくするため、その外周面および内周面の少なくとも一方に、挿入管31の延伸方向Xに沿って螺旋状に形成された螺旋溝310が設けられている。なお本実施形態では、例えば
図3に示すように、管先端部312の外周面および内周面のいずれにも螺旋溝310が設けられているが、どちらか一方の面のみに設けられてもよい。
【0013】
挿入管31の内部空間30に面する内周面31aには、挿入管31の延伸方向Xにおいて互いに間隔をあけてそれぞれ挿入管31の周方向に延伸する複数の内側環状溝314が設けられており、内周面31aの反対側の外周面31bにも同様に、挿入管31の延伸方向Xにおいて互いに間隔をあけてそれぞれ挿入管31の周方向に延伸する複数の外側環状溝313が設けられている。なお、各内側環状溝314と各外側環状溝313とは、図示のように一対ずつそれぞれ挿入管31の延伸方向Xと直交する径方向において位置対応するように設けられる。
【0014】
カメラレンズユニット32は、挿入管31の管先端部312の先端面に露出するよう設けられていて、
図3に示されるように、管先端部312における内部空間30内に嵌め込まれるように固定されている取付座321と、取付座321に取り付けられていて管先端部312の前方の画像を撮影するためのレンズを含む撮像手段322と、撮像手段322を取り囲むように取付座321に設けられていて管先端部312の前方に向かって発光する複数の照明手段323とを含む。なお、内視鏡装置において撮像を行うためのカメラレンズユニット32の具体的な構成は、内視鏡技術の分野では周知のものであり、種類も多岐に渡るので、本発明においても各種従来のものを適宜用いることができ、その具体的な構成の説明は省略する。
【0015】
支持ユニット33は、
図2、
図3、
図4に示されるように、挿入管31の延伸方向Xに沿って延伸するよう挿入管31の内部空間30内に固定されていて挿入管31と共に屈曲可能である支持ブラケット331と、挿入管31を延伸方向Xと直交する径方向に沿って挿通すると共に支持ブラケット331に固定されることで挿入管31と支持ブラケット331とを互いに固定する固定具335とを有する。
【0016】
より詳しく説明すると、支持ブラケット331は、挿入管31と同軸に延伸して一端がカメラレンズユニット32の取付座321に連結固定されている屈曲可能な支持ロッド332と、挿入管31の上記径方向に向かって支持ロッド332から張り出すように形成されると共に挿入管31の内周面31aに固定されている支持ベース333とを有する。本実施形態においては、図示のように、支持ブラケット331は支持ベース333を複数有し、これら支持ベース333は、挿入管31の延伸方向Xにおいて間隔をあけて配置されている。なお、支持ロッド332の一端は、本実施形態においてはカメラレンズユニット32の取付座321に取り外し可能に固定されている。
【0017】
各支持ベース333は、円盤状に形成されていて、挿入管31の内周面31aにおける対応する1つの内側環状溝314にその周縁が嵌め込まれることで、挿入管31の内周面31aに密接している。また、各支持ベース333には、複数の貫通孔334が、支持ベース333間で貫通孔334の位置が延伸方向Xにおいて揃うように開けられている。
【0018】
固定具335は、本実施形態においては支持ブラケット331の支持ベース333に固定されるものであり、よって支持ベース333が複数あることに対応して固定具335も複数備わっている。各固定具335は、両端がそれぞれ外側環状溝313と内側環状溝314との内に位置するように挿入管31を挿通し、対応する支持ベース333に固定されている。例として固定具335はねじであり、頭部が外側環状溝313内に露出するように、挿入管31を径方向に沿って挿通すると共に支持ベース333に取り外し可能に螺接されることにより、挿入管31と支持ベース333とを互いに固定する。また、固定具335の頭部が位置する各外側環状溝313にはそれぞれ、露出している固定具335の頭部を覆うようにリング部材34が嵌め込まれていている。リング部材34は、例としてシリコーン材料からなるものであり、固定具335を外から覆うように外側環状溝313に嵌め込まれることで、固定具335の脱落を防止する。
【0019】
一実施形態において、支持ロッド332は、金属(例えば形状記憶合金)またはプラスチックにより中実棒状に形成されたものであり、支持ベース333は構成する材料は支持ロッド332を構成する材料と同じでもよく異なっていてもよい。また支持ロッド332は、本実施形態において上述のように一端がカメラレンズユニット32の取付座321に取り外し可能に固定されるよう構成したが、このような固定方法としては螺接を用いることができる。更に変形例として、支持ロッド332が取付座321に取り外し不可となるよう固定されてもよく、あるいは取付座321と一体に連続するよう構成されてもよい。
【0020】
他の実施形態として、支持ロッド332は、
図7に示すように中空管状に形成されてもよく、あるいは
図8に示すようにコイルばね状に形成されてもよい。
【0021】
操作部4は、
図1、
図3、
図4に示されるように、挿入部3の後端、より具体的には挿入管31および支持ロッド332のそれぞれの後端に接続されている操作ハンドル41と、操作ハンドル41に設けられていると共に支持ユニット33に連結されているアングル調整モジュール42と、操作ハンドル41に取り付けられ、カメラレンズユニット32と信号的に接続するユニバーサルコード43とを含む。
【0022】
本実施形態において、アングル調整モジュール42は、支持ベース333のそれぞれ異なる貫通孔334を通って挿入管31の延伸方向Xに沿って延伸すると共に、カメラレンズユニット32の取付座321に接続される2本の牽引ワイヤ421と、操作ハンドル41の外側に取り付けられ、牽引ワイヤ421と接続されるアングルノブ422とを備える。アングルノブ422は、操作されることにより牽引ワイヤ421を引っ張るまたは戻すことで支持ブラケット331を屈曲させることができ、これにより挿入管31を支持ブラケット331と共に屈曲させて挿入管31の先端の患者の体腔への挿入操作を可能にする。なお、内視鏡装置におけるこのようなアングル調整機構は、当業者によく知られたもので且つ種類も多いので、説明の簡潔さのため更なる説明は省略する。
【0023】
吸引機構5は、操作ハンドル41内および内部空間30に配置される吸引チューブ51と、操作ハンドル41に取り付けられ、吸引チューブ51と接続・連通する吸引バルブ52とを含む。吸引チューブ51は、内部空間30内においては支持ベース333の貫通孔334に通されて挿入管31の延伸方向Xに沿って延伸し、一端が挿入管31の先端に露出すると共に(
図2参照)、他端が操作ハンドル41において吸引バルブ52と接続されている。吸引バルブ52は、吸引チューブ51を介して挿入管31の先端において気体や液体の吸引を行うために、吸引装置(図示せず)と連通するように動作可能に設けられている。
【0024】
送出機構6は、操作ハンドル41内および内部空間30に配置される送出チューブ61と、操作ハンドル41に取り付けられ、送出チューブ61と接続・連通する液体送出バルブ62および気体送出バルブ63とを含む。送出チューブ61は、内部空間30内においては支持ベース333の吸引チューブ51が通された貫通孔334以外の貫通孔334に通されて挿入管31の延伸方向Xに沿って延伸し、一端が挿入管31の先端に露出すると共に(
図2参照)、他端が操作ハンドル41において液体送出バルブ62および気体送出バルブ63とに接続されている。液体送出バルブ62は、送出チューブ61を介して挿入管31の先端において液体を噴出させることができるように、液体ポンプ装置(図示せず)と連通するように動作可能に設けられている。気体送出バルブ63、送出チューブ61を介して挿入管31の先端において気体を噴出させることができるように、気体ポンプ装置(図示せず)と連通するように動作可能に設けられている。
【0025】
なお、吸引機構5および送出機構6についても、内視鏡装置の技術分野において当業者によく知られたもので且つ種類も多いので、説明の簡潔さのため更なる説明は省略する。
【0026】
上記のように構成された本発明の内視鏡装置200によれば、挿入管31の内部空間30に設けられる支持ユニット33が、挿入管31の延伸方向Xに沿って延伸するよう挿入管31の内部空間30内に固定されていて挿入管31と共に屈曲可能である支持ブラケット331を有するため、挿入管31に対してその延伸方向Xにおける十分な支持力を与えるようにすることが容易になる。
【0027】
本実施形態の内視鏡装置200を、経鼻チューブやカテーテル等のチューブの挿入に使用する場合、チューブに挿入部3を挿入し、挿入部3およびチューブを患者の体内に挿入する。この際、上述のように挿入管31の内部空間30に設けられる支持ユニット33により、チューブの挿入時に十分な支持力が与えられるので、不意に屈曲してしまうことが防がれ、チューブの挿入作業が容易になる。
【0028】
図3には、上述のように、複数の支持ベース333が挿入管31の延伸方向Xにおいて間隔をあけて配置される具体例が示されている。支持ベース333の数量は、支持ブラケット331の構造強度および支持ブラケット331と挿入管31との接続強度を考慮して、必要に応じて適宜変化させることができる。例えば、支持ベース333が支持ロッド332の先端部や中間部において1つだけ設けられるようにしてもよく(
図5参照)、あるいは、支持ベース333を設けずに支持ロッド332のみで支持ブラケット331を構成することも可能である(
図6~
図8参照)。なお、
図5に示されている例においては、支持ベース333は支持ロッド332の先端部に1つだけ設けられ、且つカメラレンズユニット32の取付座321と一体に連結されている。このような例では、アングル調整モジュール42の牽引ワイヤ421は、取付座321と一体になっている支持ベース333に接続される。上記の例のように支持ベース333の数量を1つのみとしたりあるいは支持ベース333を設けなくても、本発明においては支持ロッド332により支持ブラケット331が挿入管31に対して必要な支持力を与えるようにすることができる。
【0029】
また、支持ベース333は、その周縁が挿入管31の内周面31aに例えば粘着により直接固着されるように構成することもでき、この場合、リング部材34および固定具335は省略され得る。
【0030】
さらに、支持ベース333は、上記実施形態では円板状でありその周縁全体が挿入管31の内周面31aに密接しているが、これに限らず、変形例として、支持ベース333は、挿入管31の内周面31aに接する3つの円弧状の角を有する三角盤状に構成してもよく、この場合、固定具335は、挿入管31を貫通して支持ベース333の角と螺接するように設けられ得る。さらに、支持ベース333は、挿入管31の内周面31aに接する2つの円弧状の角を含む矩形盤状に構成してもよく、この場合も、固定具335は、挿入管31を貫通して支持ベース333の角と螺接するように設けられ得る。
【0031】
図9には、本発明による内視鏡装置200の別の実施形態における挿入部3が示されている。この実施形態は、上記実施形態と類似するが、挿入部3に、スリーブ部材35が、挿入管31の延伸方向Xに沿って延伸すると共に挿入管31に被せられて固定具335を覆うように設置されている点で異なる。
【0032】
スリーブ部材35は、シリコーン材料、ゴム材料などの医療用材料からなる薄膜であり、挿入管31の外郭に対応する形状を有するよう筒状に形成されていて、管本体部311および管先端部312を覆うように設けられ、よって固定具335をも覆い、挿入部3の体内への挿入中に固定具335が不意に脱落してしまうことを防止する。なお、この実施形態ではリング部材34は不要である。
【0033】
実際の使用において、内視鏡装置200は、例えば長さが約5~25cmのフォーリーカテーテルと共に使用され得る。この場合、挿入部3の長さとしては、フォーリーカテーテルよりもわずかに長くなるように設計することができ、挿入部3が比較的短いものである場合、支持ブラケット331および挿入管31を操作により屈曲させる必要はなくなるため、アングル調整モジュール42は不要となる。
【0034】
以上のように、内視鏡装置200においては、支持ユニット33の支持ブラケット331が挿入管31の内部空間30内に固定されるよう設けられていることで、支持ユニット33が挿入管31に対して挿入管31の延伸方向Xにおける十分な支持力を与えるように構成されるようになる。よって、内視鏡装置200により例えば医療用チューブやカテーテルの挿入を行う際に、不意に屈曲してしまうことが防がれ、チューブやカテーテルの挿入作業が容易になる。したがって、本願発明の目的を確実に達成できる。
【0035】
以上、本発明の実施形態の例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、最も広い解釈の精神および範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修飾および均等な構成を包含するものとする。例えば、上記の各実施形態および各例や、各図面に示されている例は、それぞれ互いに組み合わせて本発明の一つの実施例とすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明に係る内視鏡装置は、チューブやカテーテルの挿入作業を容易にすることができるため、医療上の各種処置に用いられる各種の内視鏡装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
200 内視鏡装置
3 挿入部
30 内部空間
31 挿入管
31a 内周面
31b 外周面
310 螺旋溝
311 管本体部
312 管先端部
313 外側環状溝
314 内側環状溝
32 カメラレンズユニット
321 取付座
322 撮像手段
323 照明手段
33 支持ユニット
331 支持ブラケット
332 支持ロッド
333 支持ベース
334 貫通孔
335 固定具
34 リング部材
35 スリーブ部材
4 操作部
41 操作ハンドル
42 アングル調整モジュール
421 牽引ワイヤ
422 アングルノブ
43 ユニバーサルコード
5 吸引機構
51 吸引チューブ
52 吸引バルブ
6 送出機構
61 送出チューブ
62 液体送出バルブ
63 気体送出バルブ
X 延伸方向