(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163154
(43)【公開日】2023-11-09
(54)【発明の名称】仮想世界システムを使用したロケーションベースの自律ナビゲーション
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20231101BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20231101BHJP
G01C 21/00 20060101ALI20231101BHJP
G05D 1/10 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
G05D1/02 P
G09B29/10 A
G01C21/00
G05D1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023070720
(22)【出願日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】17/730,987
(32)【優先日】2022-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.THUNDERBOLT
(71)【出願人】
【識別番号】520509030
【氏名又は名称】ティーエムアールダブリュー ファウンデーション アイピー エスエーアールエル
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ヤーリ, チェヴァット
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
5H301
【Fターム(参考)】
2C032HC08
2C032HD16
2C032HD21
2F129AA03
2F129AA11
2F129AA14
2F129BB22
2F129BB26
2F129CC15
2F129CC16
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2F129DD53
2F129EE52
2F129FF02
2F129FF18
2F129FF20
2F129FF32
2F129GG02
2F129GG17
2F129GG18
2F129HH02
2F129HH04
2F129HH19
2F129HH20
5H301AA06
5H301BB14
5H301CC04
5H301CC07
5H301DD15
5H301GG08
5H301GG09
5H301GG10
5H301GG17
5H301KK03
5H301QQ06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】仮想世界システムを使用したロケーションベースの自律ナビゲーションを可能にするシステムの提供。
【解決手段】対応する実世界物体の三次元地理位置座標に一致する仮想三次元地理位置座標によって空間的に規定される仮想物体を含む仮想世界システムと、ナビゲーション目的地データに基づき、仮想物体の三次元地理位置座標を考慮して、少なくとも1つの自律移動ロボットのナビゲーションルートを計算するように構成されているナビゲーションエンジンは、少なくとも1つの自律移動ロボットが、1つ又は複数の対応する運動メカニズム及び回路に接続されている仮想世界システムに含まれる少なくとも1つの自律移動ロボットの仮想レプリカを通じて実世界を自律的にナビゲートすることを可能にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサ及びメモリを備えるサーバコンピュータシステムの少なくとも1つのサーバコンピュータを備えるシステムであって、前記メモリが、
対応する実世界物体の三次元地理位置座標に一致する仮想三次元地理位置座標によって空間的に規定される少なくとも1つの仮想物体を含む仮想世界システムと、
ナビゲーション目的地データに基づき、前記少なくとも1つの仮想物体の前記三次元地理位置座標を考慮して、少なくとも1つの自律移動ロボットのナビゲーションルートを計算し、前記少なくとも1つの自律移動ロボットが、1つ又は複数の対応する運動メカニズム及び回路に接続されている前記仮想世界システムに含まれる仮想レプリカを通じて実世界を自律的にナビゲートすることを可能にするように構成されているナビゲーションエンジンと
を記憶している、システム。
【請求項2】
前記仮想世界システムの前記仮想物体のうちのいくつかが、前記実世界のナビゲート可能構造を表すナビゲーション仮想物体であり、前記ナビゲーション仮想物体が、前記少なくとも1つの自律移動ロボットの1つ又は複数の可能なナビゲーション経路を規定するナビゲーションデータ及び命令を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ナビゲーションルートが、前記ナビゲーション仮想物体の前記ナビゲーションデータを考慮して、前記ナビゲーションエンジンによってさらに算出され、動的に更新される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのナビゲーション仮想物体が、前記自律移動ロボットが前記実世界物体に近づくときに、要求に応じて、ネットワークを介して前記少なくとも1つの自律移動ロボットへ送信される、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの自律移動ロボットが、少なくとも1つのセンサをさらに備え、
前記ナビゲーションエンジンが、前記ナビゲーションルートをリアルタイムで更新するために前記少なくとも1つのセンサによって捕捉される前記データをさらに利用する、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記仮想物体が、実世界要素の前記仮想レプリカ、又は純粋な仮想物体、又はこれらの組合せを含み、
前記純粋な仮想物体のうちの少なくともいくつかが、仮想回廊と少なくとも2つの実世界物体の前記対応する仮想レプリカとの間の接続を介して前記少なくとも2つの実世界物体を仮想的に結合することによって、前記少なくとも1つの自律移動ロボットの前記ナビゲーションルートを規定する仮想回廊である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
少なくとも1つのサーバコンピュータのメモリに提供される仮想世界システムにおいて、少なくとも1つの対応する実世界物体の三次元地理位置座標に一致する少なくとも1つの仮想物体の仮想三次元地理位置座標を規定するステップと、
前記少なくとも1つのサーバコンピュータのメモリに記憶されているナビゲーションエンジンを通じて自律移動ロボットのナビゲーション目的地データを入力するステップと、
前記ナビゲーションエンジンによって、前記ナビゲーション目的地データに基づき、前記少なくとも1つの仮想物体の前記三次元地理位置座標を考慮して、少なくとも1つの自律移動ロボットのナビゲーションルートを計算し、前記少なくとも1つの自律移動ロボットが、1つ又は複数の対応する運動メカニズム及び回路に接続されている前記仮想世界システムに含まれる前記少なくとも1つの自律移動ロボットの仮想レプリカを通じて実世界を自律的にナビゲートすることを可能にするステップと
を含む、方法。
【請求項8】
前記仮想物体のうちのいくつかに、前記少なくとも1つの自律移動ロボットの1つ又は複数の可能なナビゲーション経路を規定するナビゲーションデータ及び命令を提供し、前記実世界のナビゲート可能構造を表すナビゲーション仮想物体を作成するステップ
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ナビゲーションエンジンによって、前記ナビゲーション仮想物体の前記ナビゲーションデータを考慮して、前記ナビゲーションルートを算出し、動的に更新するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記自律移動ロボットが前記実世界物体に近づくときに、前記少なくとも1つのナビゲーション仮想物体を、要求に応じて、ネットワークを介して前記少なくとも1つの自律移動ロボットへ送信するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記自律移動ロボットに搭載されている少なくとも1つのセンサによって捕捉されるデータを、前記ナビゲーション仮想物体の前記データとともに使用して、前記ナビゲーションルートをリアルタイムで更新するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記仮想物体が、実世界要素の前記仮想レプリカ、又は純粋な仮想物体、又はこれらの組合せを含み、
前記純粋な仮想物体のうちの少なくともいくつかが、前記少なくとも1つの自律移動ロボットのナビゲーション経路を規定する仮想回廊である、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記仮想回廊と少なくとも2つの実世界物体の前記対応する仮想レプリカとの間の接続を介して前記少なくとも2つの実世界物体を仮想的に結合するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
自律移動ロボットであって、
制御ユニットからの信号を前記自律移動ロボットの動きに変換する駆動ユニットと、
自律移動車両をネットワークに接続し、ナビゲーションエンジン及び仮想世界システムをメモリに記憶している少なくとも1つのサーバコンピュータへの接続を可能にする通信ユニットと、
少なくとも1つのプロセッサ及びメモリを備える制御ユニットと
を備え、
前記少なくとも1つのプロセッサが、対応する実世界物体の三次元地理位置座標に一致する前記仮想世界システムの仮想物体の三次元地理位置座標、及び、ナビゲーション目的地データを考慮して、前記少なくとも1つのサーバコンピュータの前記ナビゲーションエンジンによって計算されるナビゲーションルートを受信し、前記自律移動ロボットに、前記仮想世界システムに含まれる前記少なくとも1つの自律移動ロボットの仮想レプリカを通じて実世界を自律的にナビゲートするように促す、自律移動ロボット。
【請求項15】
前記仮想世界システムの前記仮想物体のうちのいくつかが、前記実世界のナビゲート可能構造を表すナビゲーション仮想物体であり、前記ナビゲーション仮想物体が、前記少なくとも1つの自律移動ロボットの1つ又は複数の可能なナビゲーション経路を規定するナビゲーションデータ及び命令を含む、請求項14に記載の自律移動ロボット。
【請求項16】
前記ナビゲーションルートが、前記ナビゲーション仮想物体の前記ナビゲーションデータを考慮して、前記ナビゲーションエンジンによってさらに算出され、動的に更新される、請求項15に記載の自律移動ロボット。
【請求項17】
前記少なくとも1つのナビゲーション仮想物体が、前記自律移動ロボットが前記実世界物体に近づくときに、要求に応じて、前記ネットワークを介して前記少なくとも1つの自律移動ロボットへ送信される、請求項15に記載の自律移動ロボット。
【請求項18】
前記少なくとも1つの自律移動ロボットが、少なくとも1つのセンサをさらに備え、前記ナビゲーションエンジンが、前記ナビゲーションルートをリアルタイムで更新するために前記少なくとも1つのセンサによって捕捉される前記データをさらに利用する、請求項16に記載の自律移動ロボット。
【請求項19】
前記仮想物体が、実世界要素の前記仮想レプリカ、又は純粋な仮想物体、又はこれらの組合せを含み、前記純粋な仮想物体のうちの少なくともいくつかが、仮想回廊と少なくとも2つの実世界物体の前記対応する仮想レプリカとの間の接続を介して前記少なくとも2つの実世界物体を仮想的に結合することによって、前記少なくとも1つの自律移動ロボットの前記ナビゲーションルートを規定する仮想回廊である、請求項14に記載の自律移動ロボット。
【請求項20】
プロセッサ及びメモリを備える少なくとも1つのメディアサーバコンピュータに、
少なくとも1つのサーバコンピュータのメモリに提供される仮想世界システムにおいて、少なくとも1つの対応する実世界物体の三次元地理位置座標に一致する少なくとも1つの仮想物体の仮想三次元地理位置座標を規定するステップと、
前記少なくとも1つのサーバコンピュータのメモリに記憶されているナビゲーションエンジンを通じて自律移動ロボットのナビゲーション目的地データを入力するステップと、
前記ナビゲーションエンジンによって、前記ナビゲーション目的地データに基づき、前記少なくとも1つの仮想物体の前記三次元地理位置座標を考慮して、少なくとも1つの自律移動ロボットのナビゲーションルートを計算し、前記少なくとも1つの自律移動ロボットが、1つ又は複数の対応する運動メカニズム及び回路に接続されている前記仮想世界システムに含まれる前記少なくとも1つの自律移動ロボットの仮想レプリカを通じて実世界を自律的にナビゲートすることを可能にするステップと、
を含むステップを実施させるように構成されている命令を記憶する、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的には、コンピュータシステムに関し、より詳細には、仮想世界システムを使用したロケーションベースの自律ナビゲーションを可能にするシステム、方法、自律移動ロボット及びコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
移動して自律的に複数のタスクを実施するように構成されているドローン、自律車両、及び他のコンピューティングデバイスを含む自律移動ロボットは、とりわけ、ロボット工学、人工知能、位置特定技術及びネットワークの向上に起因して、近年より広まってきている。
【0003】
現行の自律移動ロボットに存在する1つの課題は、複数の障害物を含む部屋などの特定の複雑な構造、又は階段などの登攀構造における移動である。これまでのところ、解決策は、人工知能及び機械学習アルゴリズムの漸進的な向上を別とすれば、自律移動ロボットに対する任意の危険を回避するために室内の任意の障害物を位置特定するために、光学センサ(たとえば、カメラ)、同時自己位置推定及び地図作成(SLAM:simultaneous localization and mapping)センサ、音響センサ等などのセンサを使用することであった。
【0004】
場合によっては、人間のオペレータからの多くの関与が、1つの領域から別の領域への(半)自律移動ロボットのより円滑な変位を保証するために必要な場合がある。さらに、センサ及び/又はSLAMによるリアルタイム生成地図の両方を使用して領域内の経路を位置特定するのに必要な余分な処理は面倒であり、自律移動ロボットのプロセッサには重い可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
本概要は、以下の詳細な説明でさらに記載される概念の選択を簡略化した形態で紹介するために提供されるものである。本概要は、特許請求される主題の主要な特徴を識別することを意図せず、特許請求される主題の範囲を決定する補助として使用されることも意図していない。
【0006】
本開示は、仮想世界システムを使用したロケーションベースの自律ナビゲーションを可能にするシステムを提供する。システムは、少なくとも1つのプロセッサ及びメモリを備えるサーバコンピュータシステムの少なくとも1つのサーバコンピュータを備え、メモリは、対応する実世界物体の三次元地理位置座標に一致する仮想三次元地理位置座標によって空間的に規定される少なくとも1つの仮想物体を含む仮想世界システムと、ナビゲーション目的地データに基づき、少なくとも1つの仮想物体の三次元地理位置座標を考慮して、少なくとも1つの自律移動ロボットのナビゲーションルートを計算するように構成されているナビゲーションエンジンとを記憶している。ナビゲーションエンジンは、少なくとも1つの自律移動ロボットが、1つ又は複数の対応する運動メカニズム及び回路に接続されている仮想世界システムに含まれる少なくとも1つの自律移動ロボットの仮想レプリカを通じて実世界を自律的にナビゲートすることを可能にする。
【0007】
いくつかの実施形態において、仮想世界システムの仮想物体のうちのいくつかは、実世界のナビゲート可能構造を表すナビゲーション仮想物体であり、ナビゲーション仮想物体は、少なくとも1つの自律移動ロボットの1つ又は複数の可能なナビゲーション経路を規定するナビゲーションデータ及び命令を含む。ナビゲーションデータ及び命令は、ナビゲーションエンジンによってナビゲーションルートを算出するために使用されてもよい三次元座標及び方向ベクトルを含む複数のナビゲーション経路を含んでもよい。複数のナビゲーション経路は、ナビゲーションルートの計算に使用される最適な経路を決定するために、自律移動ロボットに近い他のナビゲーション仮想物体を考慮に入れることができる。さらなる実施形態において、少なくとも1つのナビゲーション仮想物体は、自律移動ロボットが実世界物体に近づくときに、要求に応じて、ネットワークを介して少なくとも1つの自律移動ロボットへ送信される。
【0008】
いくつかの実施形態において、ナビゲーションルートは、ナビゲーション仮想物体のナビゲーションデータを考慮して、ナビゲーションエンジンによってさらに算出され、動的に更新される。他の実施形態において、少なくとも1つの自律移動ロボットは、少なくとも1つのセンサをさらに備える。ナビゲーションエンジンは、ナビゲーションルートをリアルタイムで更新するために少なくとも1つのセンサによって捕捉されるデータをさらに利用してもよい。したがって、ナビゲーションエンジンは、典型的にそうであり得るように、リアルタイム又は生成された地図(たとえば、同時自己位置推定及び地図作成(SLAM)地図)におけるセンサの機能に限定されることなく、自律移動ロボットのナビゲーションルートを算出、更新及び強化するために様々なソースからの複数のデータを取得し得る。さらに、ナビゲーションエンジンがナビゲーションルートを強化するためのナビゲーションデータをナビゲーション仮想物体に提供することによって、ナビゲーション仮想物体の各々がナビゲーションルートの算出において少なくとも1つのサーバコンピュータ及び自律移動ロボットをサポートすることができるため、代替的で計算効率的な方法を提供することができる。
【0009】
いくつかの実施形態において、仮想物体は、実世界要素の仮想レプリカ、又は純粋な仮想物体、又はこれらの組合せを含む。これらの実施形態において、純粋な仮想物体のうちの少なくともいくつかは、仮想回廊と少なくとも2つの実世界物体の対応する仮想レプリカとの間の接続を介して少なくとも2つの実世界物体を仮想的に結合することによって、少なくとも1つの自律移動ロボットのナビゲーションルートを規定する仮想回廊である。したがって、仮想回廊は、自律移動ロボットがナビゲートするためのさらなるナビゲーションルート計算代替形態を提供することができる。
【0010】
本開示の別の態様において、仮想世界を使用したロケーションベースの自律ナビゲーションを可能にする方法が開示される。本方法は、少なくとも1つのサーバコンピュータのメモリに提供される仮想世界システムにおいて、少なくとも1つの対応する実世界物体の三次元地理位置座標に一致する少なくとも1つの仮想物体の仮想三次元地理位置座標を規定するステップを含む。本方法は、少なくとも1つのサーバコンピュータのメモリに記憶されているナビゲーションエンジンを通じて自律移動ロボットのナビゲーション目的地データを入力するステップによって継続する。本方法は、ナビゲーションエンジンによって、ナビゲーション目的地データに基づき、少なくとも1つの仮想物体の三次元地理位置座標を考慮して、少なくとも1つの自律移動ロボットのナビゲーションルートを計算し、少なくとも1つの自律移動ロボットが、1つ又は複数の対応する運動メカニズム及び回路に接続されている仮想世界システムに含まれる少なくとも1つの自律移動ロボットの仮想レプリカを通じて実世界を自律的にナビゲートすることを可能にするステップによって終了する。
【0011】
いくつかの実施形態において、本方法は、仮想物体のうちのいくつかに、少なくとも1つの自律移動ロボットの1つ又は複数の可能なナビゲーション経路を規定するナビゲーションデータ及び命令を提供し、実世界のナビゲート可能構造を表すナビゲーション仮想物体を作成するステップをさらに含む。さらなる実施形態において、本方法は、ナビゲーションエンジンによって、ナビゲーション仮想物体のナビゲーションデータを考慮して、ナビゲーションルートを算出し、動的に更新するステップを含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、本方法は、自律移動ロボットが実世界物体に近づくときに、少なくとも1つのナビゲーション仮想物体を、要求に応じて、ネットワークを介して少なくとも1つの自律移動ロボットへ送信するステップを含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、本方法は、自律移動ロボットに搭載されている少なくとも1つのセンサによって捕捉されるデータを、ナビゲーション仮想物体のデータとともに使用して、ナビゲーションルートをリアルタイムで更新するステップをさらに含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、仮想物体は、実世界要素の仮想レプリカ、又は純粋な仮想物体、又はこれらの組合せを含む。これらの実施形態において、純粋な仮想物体のうちの少なくともいくつかは、少なくとも1つの自律移動ロボットのナビゲーション経路を規定する仮想回廊である。さらなる実施形態において、本方法は、仮想回廊と少なくとも2つの実世界物体の対応する仮想レプリカとの間の接続を介して少なくとも2つの実世界物体を仮想的に結合するステップを含む。
【0015】
本開示の別の態様において、自律移動ロボットであって、制御ユニットからの信号を自律移動ロボットの動きに変換する駆動ユニットと、自律移動車両をネットワークに接続し、ナビゲーションエンジン及び仮想世界システムをメモリに記憶している少なくとも1つのサーバコンピュータへの接続を可能にする通信ユニットと、少なくとも1つのプロセッサ及びメモリを備える制御ユニットとを備える、自律移動ロボットが提供される。少なくとも1つのプロセッサは、対応する実世界物体の三次元地理位置座標に一致する仮想世界システムの仮想物体の三次元地理位置座標、及び、ナビゲーション目的地データを考慮して、少なくとも1つのサーバコンピュータのナビゲーションエンジンによって計算されるナビゲーションルートを受信し、自律移動ロボットに、仮想世界システムに含まれる少なくとも1つの自律移動ロボットの仮想レプリカを通じて実世界を自律的にナビゲートするように促す。
【0016】
いくつかの実施形態において、仮想世界システムの仮想物体のうちのいくつかは、実世界のナビゲート可能構造を表すナビゲーション仮想物体であり、ナビゲーション仮想物体は、少なくとも1つの自律移動ロボットの1つ又は複数の可能なナビゲーション経路を規定するナビゲーションデータ及び命令を含む。さらなる実施形態において、ナビゲーションルートは、ナビゲーション仮想物体のナビゲーションデータを考慮して、ナビゲーションエンジンによってさらに算出され、動的に更新される。さらなる実施形態において、少なくとも1つのナビゲーション仮想物体は、自律移動ロボットが実世界物体に近づくときに、要求に応じて、ネットワークを介して少なくとも1つの自律移動ロボットへ送信される。
【0017】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの自律移動ロボットは、少なくとも1つのセンサをさらに備え、ナビゲーションエンジンは、ナビゲーションルートをリアルタイムで更新するために少なくとも1つのセンサによって捕捉されるデータをさらに利用する。
【0018】
いくつかの実施形態において、仮想物体は、実世界要素の仮想レプリカ、又は純粋な仮想物体、又はこれらの組合せを含む。これらの実施形態において、純粋な仮想物体のうちの少なくともいくつかは、仮想回廊と少なくとも2つの実世界物体の対応する仮想レプリカとの間の接続を介して少なくとも2つの実世界物体を仮想的に結合することによって、少なくとも1つの自律移動ロボットのナビゲーションルートを規定する仮想回廊である。
【0019】
本開示の別の態様において、コンピュータ可読媒体であって、プロセッサ及びメモリを備える少なくとも1つのサーバコンピュータに、複数のステップを実施させるように構成されている命令を記憶されている少なくとも1つのコンピュータ可読媒体を含む、コンピュータ可読媒体が提供される。ステップは、少なくとも1つのサーバコンピュータのメモリに提供される仮想世界システムにおいて、少なくとも1つの対応する実世界物体の三次元地理位置座標に一致する少なくとも1つの仮想物体の仮想三次元地理位置座標を提供するステップと、少なくとも1つのサーバコンピュータのメモリに記憶されているナビゲーションエンジンを通じて自律移動ロボットのナビゲーション目的地データを入力するステップと、ナビゲーションエンジンによって、ナビゲーション目的地データに基づき、少なくとも1つの仮想物体の三次元地理位置座標を考慮して、少なくとも1つの自律移動ロボットのナビゲーションルートを計算し、少なくとも1つの自律移動ロボットが、1つ又は複数の対応する運動メカニズム及び回路に接続されている仮想世界システムに含まれる少なくとも1つの自律移動ロボットの仮想レプリカを通じて実世界を自律的にナビゲートすることを可能にするステップとを含んでもよい。
【0020】
上記概要は、本開示のすべての態様の網羅的なリストを含まない。本開示が、上記で要約した様々な態様、及び、下記の詳細な説明において開示されており、特に、本出願とともに提出される特許請求の範囲に指摘されている態様のすべての適切な組合せから実践することができるすべてのシステム及び方法を含むことが企図される。そのような組合せは、上記概要に具体的に記載されていない利点を有する。本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面及び下記に続く詳細な説明から明らかとなる。
【0021】
本開示の特定の特徴、態様及び利点は、以下の説明及び添付の図面に関連して、より良好に理解されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】一実施形態による、ロケーションベースの自律ナビゲーションを可能にするシステムの概略図である。
【
図2】一実施形態による、本開示のロケーションベースの自律ナビゲーションを使用するロボットの概略図である。
【
図3】一実施形態による、ドローンによって2つの建造物の間を移動するために使用される、2つの建造物を接続する仮想回廊の概略図である。
【
図4】一実施形態による、ロケーションベースの自律ナビゲーションを使用する自律移動ロボットの概略図である。
【
図5】一実施形態による、ロケーションベースの自律ナビゲーションを可能にする方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の説明において、例示として、様々な実施形態を示す図面を参照する。また、様々な実施形態が、いくつかの実施例を参照することによって下記に説明される。実施形態は、特許請求された主題の範囲から逸脱することなく設計及び構造の変更を含むことができることは理解されたい。
【0024】
背景に開示されている技術的課題のいくつかは、本開示の1つ又は複数の態様によって解決することができ、システム、方法、自律移動ロボット及びコンピュータ可読媒体が、仮想世界システムを使用したロケーションベースの自律ナビゲーションを可能にする。本開示において、自律移動ロボットが屋内空間又は屋外空間内をナビゲートすることを可能にするためのナビゲーションルートを計算、更新及び強化するためのさらなるデータをナビゲーションエンジンに提供することができる、ナビゲーションルートを算出するための代替的なソースが有効化されてもよい。ナビゲーションエンジンは、少なくとも、ナビゲーション目的地データ、及び、少なくとも1つの自律移動ロボットのナビゲーション空間の実世界物体を表す少なくとも1つの仮想物体の三次元座標を取得することができる。当該データは、ナビゲーションエンジンによって、ナビゲーションルートを計算するために使用することができる。さらに、ナビゲーションエンジンは、実世界のナビゲート可能構造を表す少なくとも1つのナビゲーション仮想物体からのデータをさらに利用することができ、ナビゲーション仮想物体は、少なくとも1つの自律移動ロボットの1つ又は複数の可能なナビゲーション経路を規定するナビゲーションデータ及び命令を含む。ナビゲーションエンジンは、少なくとも1つの自律移動ロボットからのセンサデータを利用することによってナビゲーションルートをさらに更新及び強化することができる。ナビゲーションエンジンは、1つの領域又は仮想物体を別のものに接続する仮想回廊をさらに利用し、少なくとも1つの自律移動ロボットのナビゲーション経路を提供することができる。したがって、複数のナビゲーションソースによって、本開示のナビゲーションルートは、少なくとも1つの自律移動ロボットによるより円滑なナビゲーションを補助することができ、衝突の機会或いは内部若しくは外部環境、人間又は自律移動ロボット自体の構造に対する損傷を低減する。
【0025】
図1は、一実施形態による、ロケーションベースの自律ナビゲーションを可能にするシステム100の概略表現を示す。
【0026】
システム100は、少なくとも1つのプロセッサ104及びメモリ106を備えるサーバコンピュータシステムの少なくとも1つのサーバコンピュータ102を備え、メモリは、実世界118の対応する実世界物体116の三次元地理位置座標114に一致する仮想三次元地理位置座標112によって空間的に規定される少なくとも1つの仮想物体110を含む仮想世界システム108を記憶している。メモリは、ナビゲーション目的地データ126に基づき、少なくとも1つの仮想物体110の三次元地理位置座標112を考慮して、少なくとも1つの自律移動ロボット124のナビゲーションルート122を計算し、少なくとも1つの自律移動ロボット124が、1つ又は複数の対応する運動メカニズム及び回路に接続されている仮想世界システム108に含まれる少なくとも1つの自律移動ロボット124の仮想レプリカを通じて実世界を自律的にナビゲートすることを可能にするように構成されているナビゲーションエンジン120をさらに記憶している。少なくとも1つのサーバコンピュータ102は、ネットワーク128を介して少なくとも1つの自律移動ロボット122に接続する。
【0027】
本開示のシステム100は、すべてネットワーク128を通じて接続することができる、公衆若しくは私設クラウドサーバ、フォグサーバ、及び、企業システム、モバイルプラットフォーム、機械類、ロボット、センサ又はユーザデバイスなどのシステムを利用して、分散コンピューティング機能を実装することができる。このように、物理サーバ及びネットワーク機器を含むリソースは、リソース及びネットワークまでのユーザの距離並びにユーザから計算需要などの要因に応じて動的に配分することができる共有ストレージ及びコンピューティングを可能にする。
【0028】
一実施形態によれば、到来時刻(TOA)、到来角(AOA)、及び視覚イメージング技法のうちの1つ又は複数によって、デバイスの追跡が実施される。追跡は、レーダ技術、アンテナ、Wi-Fi、慣性測定ユニット、ジャイロスコープ、及び加速度計のうちの1つ又は複数によって実施されてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態において、ハードウェア需要及びネットワーク需要を低減し、ネットワークレイテンシの低減に寄与し、全般的な複合現実体験を向上させるために、システムは、第5世代ワイヤレスシステム通信(5G)などの、ミリ波(mmW)又はmmWとサブ6GHz通信システムとの組合せを含むネットワーク128を通じて接続してもよい。他の実施形態において、システムは、好ましくは60GHzにおいてデータを提供するワイヤレスローカルエリアネットワーキング(Wi-Fi)を通じて接続してもよい。提供される通信システムは、おおよそ低いエンドツーエンド(E2E)レイテンシ、及び、フィールドのエンドポイントまでの高いダウンリンク速度を可能にすることができる。この結果として、品質が高く、レイテンシが低く、リアルタイムのデジタルアプリケーションコンテンツストリーミングがもたらされる。他の実施形態において、システムは、第4世代ワイヤレスシステム通信(4G)を通じて通信可能に接続してもよく、4G通信システムによってサポートされてもよく、又は、他の有線若しくはワイヤレス通信システムを含んでもよい。
【0030】
例示的な実施形態において、自律移動ロボット124は、複雑な行動を自動的に実行することが可能なコンピュータプログラム可能機械などの、機械を指してもよい。本開示において、自律移動ロボット124は、ナビゲーションエンジン120から少なくとも1つのサーバコンピュータ102を通じてナビゲーション命令を受信し、ナビゲーションのために命令を処理する。たとえば、自律移動ロボット124は、塗装、溶接、組み立て、梱包、ラベル貼り、ピックアンドプレース(たとえば、プリント回路基板のための)などのような、複数のタスクに使用される1つ又は複数のロボットなどの、工場機械であってもよい。別の例示的な実施形態において、自律移動ロボット124は、航空車両(たとえば、飛行機、ドローン、ヘリコプターなど)、地上車両(たとえば、自律走行車、バイク、トラックなど)、及び海洋車両(たとえば、自律ボート、貨物船、潜水艦など)を指してもよい。
【0031】
いくつかの実施形態において、仮想世界システム108の仮想物体110のうちのいくつかは、実世界118のナビゲート可能構造を表すナビゲーション仮想物体130であり、ナビゲーション仮想物体130は、少なくとも1つの自律移動ロボットの1つ又は複数の可能なナビゲーション経路を規定するナビゲーションデータ132及び命令を含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、ナビゲーションデータ132は、ナビゲーションエンジンによってナビゲーションルートを算出するために使用されてもよい三次元座標及び方向ベクトルを含む複数のナビゲーション経路を含む。複数のナビゲーション経路は、ナビゲーションルートの計算に使用される最適な経路を決定するために、自律移動ロボット124に近い他のナビゲーション仮想物体130を考慮に入れることができる。たとえば、初期入力ナビゲーション目的地データのために台所に向かってナビゲートしている自律移動ロボット124が、台所と自律移動ロボット124の現在のロケーションとの間でテーブルに行き当たる。テーブルは、ナビゲーションエンジンに、ナビゲーションルートに統合されたときにテーブルとの衝突を回避する経路をとるためのコマンド信号をロボットに送る三次元座標及び方向ベクトルを提供することができるため、ナビゲーションエンジン120によってリアルタイムで算出及び更新されるナビゲーションルートは、自律移動ロボット124に、テーブルを飛び越えるように促すことができる。いくつかの実施形態において、ナビゲーション目的地データ126は、モバイルデバイス、パーソナルコンピュータ、タブレット、ゲームコンソール、メディアセンター、及びヘッドマウントディスプレイなどのユーザデバイス134を通じて入力され、当該データは、ナビゲーションエンジンによって、ナビゲーションルート122の計算において考慮されるために受信される。
【0033】
いくつかの実施形態において、仮想物体110は、実世界物体116の仮想レプリカ、又は純粋な仮想物体、又はこれらの組合せを含む。本開示において、「仮想レプリカ」という用語は、実世界要素116の正確で持続的な仮想表現を指す。一実施形態において、本開示の仮想レプリカは、実世界要素又はリアルツインの仮想バージョン又はバーチャルツインを指し、コンピュータ支援描画(CAD)若しくはコンピュータ支援エンジニアリング(CAE)方法、実世界物体116のコンピュータモデル(たとえば、建造物情報モデル-BIM)による入力又は他の適切な方法を通じてマッピング又はモデル化されてもよく、単に概観だけでなく、リアルツインの挙動も反映することができる。実世界物体116は、付加的に、仮想レプリカを補強し、それぞれの現実のカウンターパートと同期するためのマルチソース入力データを仮想レプリカに提供することができるセンサを含んでもよい。したがって、仮想レプリカは、1つ又は複数のソースから(たとえば、1つ又は複数の実世界物体、環境センサ、コンピューティングデバイスなどから)データを取得することができる。本明細書において使用される場合、「マルチソースデータ」という用語は、複数のソースから取得することができるデータを指す。
【0034】
上記で説明したように、仮想レプリカは、既知のパラメータ又は特徴を更新すること、追加のパラメータ又は特徴によって仮想レプリカを補強することなどによって、マルチソースデータに基づいて更新することができる。本開示において、「補強」という用語は、マルチソースデータに基づいて仮想レプリカにさらなる特性を与える行動を記述するために使用される。仮想レプリカを補強することは、仮想レプリカに以前は存在しなかった可能性がある1つ又は複数の新たな形態のデータによる仮想レプリカの特別な形態の更新と考えることができる。たとえば、仮想レプリカを補強することは、複数のデバイスの検知メカニズムから捕捉される実世界データを提供することを指してもよく、さらなる実世界データは、ビデオデータ、温度データ、リアルタイムエネルギー消費データ、リアルタイム水消費データ、速度又は加速度データなどを含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、ナビゲーションルート122は、ナビゲーション仮想物体130のナビゲーションデータ132を考慮して、ナビゲーションエンジン120によってさらに算出され、動的に更新される。
【0036】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの自律移動ロボット124は、少なくとも1つのセンサ130をさらに備える。ナビゲーションエンジン120は、ナビゲーションルート122をリアルタイムで更新するために少なくとも1つのセンサ130によって捕捉されるデータをさらに利用する。少なくとも1つのセンサ130は、自律移動ロボット400を基準平面内で位置特定するように構成されている、障害物を検出するための三角測量センサ、カメラ、レーザスキャナ、超音波スキャナ、触覚又は接触検知センサなどのような光学センサ及び/又は音響センサであってもよい。他の実施形態において、温度計、圧力センサ、湿度センサなどの、自律移動ロボット400又は周囲領域の他の特性のデータ表現を提供するためのセンサ、並びに、ロボットの位置及び動きの変化を判定するための慣性センサ(たとえば、IMU、加速度計、及びジャイロスコープ)又は車輪と床との間の接触を検出する車輪接触スイッチも含まれてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのナビゲーション仮想物体は、自律移動ロボットが実世界物体に近づくときに、要求に応じて、ネットワークを介して少なくとも1つの自律移動ロボットへ送信される。
【0038】
いくつかの実施形態において、仮想物体は、実世界要素の仮想レプリカ、又は純粋な仮想物体、又はこれらの組合せを含み、純粋な仮想物体のうちの少なくともいくつかは、仮想回廊であり、仮想回廊は、仮想回廊と少なくとも2つの実世界物体の対応する仮想レプリカとの間の接続を介して少なくとも2つの実世界物体を仮想的に結合することによって、少なくとも1つの自律移動ロボットのナビゲーションルートを規定する。
【0039】
図2は、一実施形態による、本開示のロケーションベースの自律ナビゲーションシステムを使用する屋内環境200の概略表現を示す。
【0040】
屋内環境200は、仮想屋内環境204として仮想世界システム202に記憶され、屋内環境200のすべて又はほとんどの実世界物体206が、ネットワーク224を介してロボット212に接続されている少なくとも1つのサーバコンピュータからの仮想世界システム210に記憶されている対応する仮想レプリカ208を含む。ロボット212は、ナビゲーションエンジン(たとえば、
図1のナビゲーションエンジン120)によって計算されるナビゲーションルートを受信し、以て、屋内環境200をナビゲートする。
【0041】
たとえば、ロボット212のメモリが、適切なネットワークを通じて、計算されたナビゲーションルートを受信することができ、これは、ロボット212の少なくとも1つのプロセッサによって、ロボットの移動を可能にする複数の運動メカニズム(たとえば、アクチュエータ及びエフェクタ)を作動させることによって、屋内環境200をナビゲートするために実行することができる。アクチュエータは、エフェクタが行動を実行することを可能にするメカニズムであり、電動機、液圧シリンダ、空気圧シリンダ、又はこれらの組合せを含んでもよい。エフェクタは、屋内環境200などの、ロボット212の環境に影響を与える任意のデバイスを指し、ロボットの脚、車輪、アーム、指などを含んでもよい。
【0042】
実世界物体204のいくつかは、屋内環境200のナビゲーション可能構造を表す対応するナビゲーション仮想物体214を含むナビゲーション実世界物体214である。ナビゲーション仮想物体214は、屋内環境200内のロボット212の1つ又は複数の可能なナビゲーション経路を規定するナビゲーションデータ及び命令を含む。たとえば、屋内環境200のナビゲーション仮想物体214は、扉216、床218、及び階段220を含む。ナビゲーションルートは、いくつかの実施形態において、ナビゲーション仮想物体214のナビゲーションデータを考慮して、ナビゲーションエンジンによってさらに算出され、動的に更新され得る。いくつかの実施形態において、ナビゲーション仮想物体は、ロボット212がナビゲーション実世界物体214に近づくときに、要求に応じて、ネットワークを介してロボット212へ送信される。いくつかの実施形態において、ロボット212は、少なくとも1つのセンサ222をさらに備える。ナビゲーションエンジンは、ロボット212のナビゲーションルートをリアルタイムで更新するために少なくとも1つのセンサ222によって捕捉されるデータをさらに利用する。
【0043】
図2の例示的な図解において、ロボット212は、仮想世界システムをホストする少なくとも1つのサーバコンピュータ及びナビゲーションルートを備えるナビゲーションエンジンによって処理されるデータ及び命令を受信し、実行することによって、階段220を登る。ナビゲーションルートは、ナビゲーションエンジンによって、少なくとも、たとえば人間又は人工知能のユーザによってナビゲーションエンジンに入力されるナビゲーション目的地データ、並びに、階段220の仮想三次元地理位置座標、階段220からのナビゲーションデータ、及び、ロボット212のセンサ222によって捕捉されるセンサデータのうちの1つ又は複数を使用することによって計算することができる。
【0044】
図3は、一実施形態による、ドローン306によって2つの建造物の間を移動するために使用される、2つの建造物304を接続する仮想回廊302を含む屋外環境300の概略表現を示す。屋外環境300は、少なくとも1つのクラウドサーバコンピュータに記憶されており、ネットワーク310を通じてドローン306のナビゲーションルートを計算するナビゲーションエンジンに接続されている仮想世界システム308に記憶されてもよい。仮想回廊302は、屋外環境300におけるドローン306の経路を仮想的に設定することによって、ドローン306の固定又は半固定のナビゲーションルートを規定することができる。
【0045】
1つの実施形態において、仮想回廊302は、任意の他のドローンなどの任意の自律移動ロボットによって使用することができる公衆仮想回廊302として、仮想世界システムに直接的に構成される。この実施形態において、ナビゲーションエンジンは、ドローン306にリアルタイムで送信され得る、仮想回廊302を含むようにナビゲーションルートを算出するための入力ナビゲーション目的地データを使用することのみを必要とし得る。他の実施形態において、仮想回廊302は、ナビゲーションエンジンによって、ナビゲーション目的地データ、並びに、建造物304の三次元地理位置座標、建造物304からのナビゲーションデータ、及び、ドローン306のセンサによって捕捉されるセンサデータなどの他のデータに基づいて、アドホックに算出される。
【0046】
図4は、一実施形態による、ロケーションベースの自律ナビゲーションを使用する自律移動ロボット400の概略表現を示す。
【0047】
自律移動ロボット400は、すべて少なくとも1つのプロセッサ412及びメモリ414を備える制御ユニット410に接続されている駆動ユニット402、センサユニット404、通信ユニット406、及び電源408などの、様々な動作構成要素を備えてもよい。通信ユニット406を通じて、自律移動ロボット400は、少なくとも1つのサーバコンピュータ418並びに内部に記憶されているナビゲーションエンジン420及び仮想世界システム422への接続を可能にするネットワーク416に接続する。ネットワーク416は、ナビゲーションルートに組み込むためにナビゲーションエンジン420によって受信し、処理することができるコマンド(たとえば、ナビゲーション目的地データ)を入力するように構成されている少なくとも1つのユーザデバイス424と自律移動ロボット400との接続をさらに可能にする。
【0048】
駆動ユニット402は、制御ユニットからの信号を自律移動ロボット400の動きに変換することによって、自律移動ロボット400が移動し、1つ又は複数の行動を実施することを可能にする複数の要素を備えてもよい。たとえば、駆動ユニット402は、モータ、変速機、車輪、羽根、アクチュエータ、及びエフェクタ、又は、自律移動ロボット400の動きを可能にする任意の他の部品及び対応する回路を備えることができる。
【0049】
センサユニット404は、自律移動ロボット400の位置及び向きを判定及び追跡し、サーバ416の仮想世界システム420と同期及び共有することができる、自律移動ロボット400の周りの物体及び空間に関するデータ点を提供し、実世界の現実の物体の1つ又は複数の物理特性のデータ表現をサーバ416に提供するように構成されている複数のセンサを備えてもよい。いくつかの実施形態において、センサユニット404は、自律移動ロボット400の複数の領域又は自律移動ロボット400の周囲の領域に実装されてもよい。たとえば、センサユニット404は、自律移動ロボット400の複数のジョイント及びコネクタに位置付けられてもよい。センサユニット404のセンサは、たとえば、障害物を検出するための三角測量センサ、カメラ、レーザスキャナ、超音波スキャナ、触覚又は接触検知センサなどのような光学センサ及び/又は音響センサを含んでもよい。他の実施形態において、温度計、圧力センサ、湿度センサなどの、自律移動ロボット400又は周囲領域の他の特性のデータ表現を提供するためのセンサ、並びに、ロボットの位置及び動きの変化を判定するための慣性センサ(たとえば、IMU、加速度計、及びジャイロスコープ)又は車輪と床との間の接触を検出する車輪接触スイッチも含まれてもよい。
【0050】
通信ユニット406は、ネットワーク416に通信可能に接続し、少なくとも1つのサーバコンピュータ418からコンピュータ可読プログラム命令を受信し、プロセッサ412による実行のためにメモリ414に記憶するためにコンピュータ可読プログラム命令を転送するためのコンピューティングソフトウェア及びハードウェアとして実装されてもよい。通信ユニットは、現実の物体102がアンテナからワイヤレス無線波を受信し、データをアンテナに送り返すことを可能にするように構成されているコンピューティングソフトウェア及びハードウェアとして実装することができる1つ又は複数のトランシーバ(図示せず)を備えてもよい。いくつかの実施形態において、アンテナからmmW波信号を受信し、没入型コンテンツとインタラクトするときに当該データをアンテナに送り返すように構成することができるミリ波(mW)トランシーバが採用されてもよい。トランシーバは、双方向通信トランシーバであってもよい。
【0051】
通信ユニット406は、ナビゲーション目的地データ及び/若しくはタスクコマンドなどの入力データを受信し、並びに/又は、仮想世界システムのロケーション、電池レベル、機能パラメータなどのような自律移動ロボットステータスを表示するための、自律移動ロボットの少なくとも1つのユーザデバイス424との接続をさらに可能にすることができる。前記ユーザデバイス424は、物体及び選択肢を選択するための外部コンピューティングポインティングデバイス(たとえば、タッチスクリーン、マウス、3D制御装置、ジョイスティック、レバー、ステアリングホイール、ゲームパッドなど)、及び/又は、自律移動ロボット400を通じて実世界の要素とインタラクトするように構成されている操作コマンドを入力するためのテキスト入力デバイス(たとえば、キーボード、ボタン、口述ツールなど)として実装されてもよい。
【0052】
電源408は、自律移動ロボット400に電力を供給するように構成されているコンピューティングハードウェアとして実装される。1つの実施形態において、電源408は、電池であってもよい。電源408は、自律移動ロボット400に内蔵されてもよく、又は、自律移動ロボット400から取り外し可能であってもよく、再充電可能又は再充電不能であってもよい。1つの実施形態において、デバイスは、1つの電源408を別の電源408に置き換えることによって、電力を再供給されてもよい。別の実施形態において、電源408は、パーソナルコンピュータに取り付けられている、ユニバーサルシリアルバス(「USB」)、FireWire(登録商標)、Ethernet(登録商標)、Thunderbolt、又はヘッドホンケーブルなどの充電ソースに取り付けられているケーブルによって再充電されてもよい。また別の実施形態において、電源408は、誘導充電によって再充電されてもよく、誘導充電器及び電源408が近接したときに電磁場が使用されて誘導充電器から電源408へとエネルギーが伝達され、誘導充電器及び電源408がケーブルを介して互いにプラグ接続される必要はない。別の実施形態において、ドッキング又はベースステーションが、充電を容易にするために使用されてもよい。
【0053】
制御ユニット410は、少なくとも1つのサーバコンピュータ418から受信される、メモリに記憶されている命令から自律移動ロボットに対するコマンドを生成するように構成することができる。制御ユニット410のプロセッサ412は、ユーザデバイス424を介して、又は、少なくとも1つのサーバコンピュータ418又はナビゲーションエンジン420から入来する操作命令を直接的に処理するように構成することができる。プロセッサ412は、対応する部品を動かし、結果として自律移動ロボットを動かし、又は自律移動ロボットにタスクを実施させるための処理された命令を駆動ユニット402に送る。プロセッサ412はまた、生データ低減又はフィルタリングなどのアナログ又はデジタル信号処理アルゴリズムを実装することも可能であり得る。いくつかの実施形態において、プロセッサ412は、少なくとも1つのサーバコンピュータ418といくつかの計算タスクを共有することができる。
【0054】
メモリ414は、アプリケーションプログラムを記憶し、たとえばナビゲーションエンジン420からデータを受信するように構成されているコンピューティングソフトウェア及びハードウェアとして実装されてもよい。メモリ414は、コンピュータ可読媒体、又は、ハードドライブ、メモリカード、フラッシュドライブ、ROM、RAM、DVD若しくは他の光ディスク、並びに他の書き込み可能メモリ及び読み出し専用メモリなどの、電子デバイスを用いることによって読み出すことができるデータを記憶する他の媒体を含む、プロセッサ412によってアクセス可能な情報を記憶することが可能な任意の適切なタイプのものであってもよい。メモリ306は、持続性記憶装置に加えて、一時的記憶装置を含んでもよい。
【0055】
図5は、一実施形態による、ロケーションベースの自律ナビゲーションを可能にする方法500の概略表現を示す。
【0056】
本方法は、ステップ502において、少なくとも1つのサーバコンピュータのメモリに提供される仮想世界システムにおいて、少なくとも1つの対応する実世界物体の三次元地理位置座標に一致する少なくとも1つの仮想物体の仮想三次元地理位置座標を規定することによって開始する。本方法は、ステップ504において、少なくとも1つのサーバコンピュータのメモリに記憶されているナビゲーションエンジンを通じて自律移動ロボットのナビゲーション目的地データを入力することによって継続する。
【0057】
続いて、ステップ506において、本方法は、ナビゲーションエンジンによって、ナビゲーション目的地データに基づき、少なくとも1つの仮想物体の三次元地理位置座標を考慮して、少なくとも1つの自律移動ロボットのナビゲーションルートを計算し、少なくとも1つの自律移動ロボットが、1つ又は複数の対応する運動メカニズム及び回路に接続されている仮想世界システムに含まれる少なくとも1つの自律移動ロボットの仮想レプリカを通じて実世界を自律的にナビゲートすることを可能にすることによって継続する。
【0058】
いくつかの実施形態において、本方法500は、仮想物体のうちのいくつかに、少なくとも1つの自律移動ロボットの1つ又は複数の可能なナビゲーション経路を規定するナビゲーションデータ及び命令を提供し、実世界のナビゲート可能構造を表すナビゲーション仮想物体を作成するステップをさらに含む。さらなる実施形態において、本方法500は、ナビゲーションエンジンによって、ナビゲーション仮想物体のナビゲーションデータを考慮して、ナビゲーションルートを算出し、動的に更新するステップを含む。ナビゲーションデータは、ナビゲーションエンジンによってナビゲーションルートを算出するために使用されてもよい三次元座標及び方向ベクトルを含む複数のナビゲーション経路を含む。複数のナビゲーション経路は、ナビゲーションルートの計算に使用される最適な経路を決定するために、自律移動ロボットに近い他のナビゲーション仮想物体を考慮に入れることができる。
【0059】
いくつかの実施形態において、本方法500は、自律移動ロボットが実世界物体に近づくときに、少なくとも1つのナビゲーション仮想物体を、要求に応じて、ネットワークを介して少なくとも1つの自律移動ロボットへ送信するステップをさらに含む。
【0060】
いくつかの実施形態において、本方法500は、自律移動ロボットに搭載されている少なくとも1つのセンサによって捕捉されるデータを、ナビゲーション仮想物体のデータとともに使用して、ナビゲーションルートをリアルタイムで更新するステップをさらに含む。
【0061】
いくつかの実施形態において、仮想物体は、実世界要素の仮想レプリカ、又は純粋な仮想物体、又はこれらの組合せを含み、純粋な仮想物体のうちの少なくともいくつかは、少なくとも1つの自律移動ロボットのナビゲーション経路を規定する仮想回廊である。さらなる実施形態において、本方法500は、仮想回廊と少なくとも2つの実世界物体の対応する仮想レプリカとの間の接続を介して少なくとも2つの実世界物体を仮想的に結合するステップをさらに含む。
【0062】
特定の実施形態が説明され、添付の図面に示されているが、様々な他の修正が当業者には想起され得るため、そのような実施形態は、例示に過ぎず、広範な本発明に対する限定ではなく、本発明は、図示及び説明されている特定の構築物及び構成には限定されないことは理解されたい。したがって、本明細書は、限定ではなく例示と考えられるべきである。
【外国語明細書】