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特開2023-163187中空筒状成形品の製造装置及び中空筒状成形品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163187
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】中空筒状成形品の製造装置及び中空筒状成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/46 20060101AFI20231102BHJP
   B29C 45/43 20060101ALI20231102BHJP
   B29C 45/44 20060101ALI20231102BHJP
   F16L 27/12 20060101ALI20231102BHJP
   B29L 23/18 20060101ALN20231102BHJP
【FI】
B29C33/46
B29C45/43
B29C45/44
F16L27/12 A
B29L23:18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073916
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】奥 信介
(72)【発明者】
【氏名】若松 洋平
【テーマコード(参考)】
3H104
4F202
【Fターム(参考)】
3H104LB01
3H104LB36
3H104LB37
4F202AA03
4F202AA13
4F202AA15
4F202AA45
4F202AG10
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK13
4F202CK33
4F202CM16
4F202CM31
(57)【要約】
【課題】中空筒状成形品をより適切にコア型から脱型することができる中空筒状成形品の製造装置及び中空筒状成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】中空筒状成形品10の製造装置20は、中空筒状に形成され、内壁14bに凹部14b1及び/または凸部14b2である内側形状部15を有し、弾性材で形成される中空筒状成形品10を製造する中空筒状成形品の製造装置であって、中空筒状成形品10の内側形状部15を形成する内側形状部形成部34bを有する中子コア型(コア型)32と、中空筒状成形品10をコア型32から取り外す際に、中空筒状成形品10とコア型32との間に気体を注入する注入装置50と、注入装置50により気体を注入する際に、内側形状部形成部34bを少なくとも覆うように配置する中空筒状のガイド60と、を備えている。
【選択図】 図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空筒状に形成され、内壁に凹部及び/または凸部である内側形状部を有し、弾性材で形成される中空筒状成形品を、製造する中空筒状成形品の製造装置であって、
前記中空筒状成形品の前記内側形状部を形成する内側形状部形成部を有する中子コア型と、
前記中空筒状成形品を前記中子コア型から取り外す際に、前記中空筒状成形品と前記中子コア型との間に気体を注入する注入装置と、
前記注入装置により前記気体を注入する際に、前記内側形状部形成部を少なくとも覆うように配置する中空筒状のガイドと、
を備えたことを特徴とする中空筒状成形品の製造装置。
【請求項2】
前記内側形状部は、蛇腹状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の中空筒状成形品の製造装置。
【請求項3】
前記ガイドの内径は、前記中空筒状成形品の外径の200%以下に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の中空筒状成形品の製造装置。
【請求項4】
前記ガイドの内壁面は、平坦であることを特徴とする請求項1に記載の中空筒状成形品の製造装置。
【請求項5】
前記弾性材は、熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の中空筒状成形品の製造装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れか一項に記載の前記中空筒状成形品の製造装置を用いた中空筒状成形品の製造方法であって、
金型の空洞内に前記内側形状部形成部を有する前記中子コア型を配置し、弾性材原料を前記空洞内に注入して前記中空筒状成形品を成形する成形工程と、
前記成形工程の後に、前記金型を開く第1脱型工程と、
前記第1脱型工程の後に、前記内側形状部形成部を少なくとも覆うように前記ガイドを配置する配置工程と、前記注入装置により前記中空筒状成形品と前記中子コア型との間に前記気体を注入する気体注入工程と、を有し、前記中空筒状成形品を前記中子コア型から取り外す第2脱型工程と、
を有することを特徴とする中空筒状成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空筒状成形品の製造装置及び中空筒状成形品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
中空筒状成形品の製造装置として、特許文献1には、アンダーカットとなる蛇腹部を有する樹脂製ホースを、ホース外面を形成するキャビティ型とホース内面を形成するコア型とで形成されるキャビティに熱可塑性エラストマを射出成形して形成した後、蛇腹部を拡径してコア型より引抜いて脱型する、樹脂製ホースの射出成形型が開示されている。この射出成形型においては、アンダーカットの蛇腹部をエア注入具等により膨らませて径を拡大させてコア型から無理抜きを行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-218266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に開示されている樹脂製ホースの射出成形型においては、中空筒状成形品をより適切にコア型から脱型することが要請されている。
【0005】
本発明は、上述した問題を解消するためになされたもので、中空筒状成形品をより適切にコア型から脱型することができる中空筒状成形品の製造装置及び中空筒状成形品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る中空筒状成形品の製造装置は、中空筒状に形成され、内壁に凹部及び/または凸部である内側形状部を有し、弾性材で形成される中空筒状成形品を製造する中空筒状成形品の製造装置であって、前記中空筒状成形品の前記内側形状部を形成する内側形状部形成部を有する中子コア型と、前記中空筒状成形品を前記中子コア型から取り外す際に、前記中空筒状成形品と前記中子コア型との間に気体を注入する注入装置と、前記注入装置により前記気体を注入する際に、前記内側形状部形成部を少なくとも覆うように配置する中空筒状のガイドと、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この発明に係る中空筒状成形品の製造装置によれば、中空筒状成形品を中子コア型から取り外すに際して、注入装置により気体を注入した場合に、中空筒状のガイドが中子コア型の内側形状部形成部を少なくとも覆うように配置されているので、中空筒状成形品の内側形状部が径方向に沿って拡張(膨張)されても中空筒状のガイドに接触することにより、それ以上中空筒状成形品の内側形状部が拡張するのを抑制することが可能となる。このように、中空筒状成形品の内側形状部が必要以上に拡張(拡径)するのを抑制し、すなわち中空筒状成形品の拡張具合を適切に制御することが可能となり、中空筒状成形品をより適切にコア型から脱型することが可能となる。
【0008】
また、本発明による中空筒状成形品の製造装置においては、中空筒状成形品の前記内側形状部は、蛇腹状に形成されていることが好ましい。これによれば、中空筒状成形品が複数の凹部及び/または凸部を有する蛇腹状の内側形状部を有している場合であっても、中空筒状成形品の蛇腹状の内側形状部が必要以上に拡張(拡径)するのを抑制し、すなわち蛇腹状の内側形状部の拡張具合を適切に制御することが可能となり、中空筒状成形品をより適切にコア型から脱型することが可能となる。
【0009】
また、本発明による中空筒状成形品の製造装置においては、前記ガイドの内径は、前記中空筒状成形品の外径の200%以下に設定されていることが好ましい。これによれば、中空筒状成形品の径方向の拡張具合をより適切に制御することが可能となる。
【0010】
また、本発明による中空筒状成形品の製造装置においては、前記ガイドの内壁面は、平坦であることが好ましい。これによれば、中空筒状成形品が軸方向に沿って拡張する場合に、中空筒状成形品の外壁面がガイドの内壁面に接触したとしても、中空筒状成形品の外壁の接触部をガイドの内壁面に沿って滑らかに案内することが可能となり、ひいては中空筒状成形品の外壁面が損傷するのを抑制することが可能となる。
【0011】
また、本発明による中空筒状成形品の製造装置においては、前記弾性材は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。これによれば、熱可塑性樹脂で形成された中空筒状成形品をより適切にコア型から脱型することが可能となる。
【0012】
また、本発明に係る中空筒状成形品の製造方法は、上述した各態様の中空筒状成形品の製造装置を用いた中空筒状成形品の製造方法であって、金型の空洞内に前記内側形状部形成部を有する前記中子コア型を配置し、弾性材原料を前記空洞内に注入して前記中空筒状成形品を成形する成形工程と、前記金型を開く第1脱型工程と、前記内側形状部形成部を少なくとも覆うように前記ガイドを配置する配置工程と、前記注入装置により前記中空筒状成形品と前記中子コア型との間に前記気体を注入する気体注入工程と、を有し、前記中空筒状成形品を前記中子コア型から取り外す第2脱型工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
この発明に係る中空筒状成形品の製造方法によれば、中空筒状成形品を中子コア型から取り外す第2脱型工程において、最初に、配置工程にて前記内側形状部形成部を少なくとも覆うように前記ガイドを配置し、次に、気体注入工程にて注入装置により前記中空筒状成形品と前記中子コア型との間に前記気体を注入することが可能となる。このとき、注入装置により気体を注入した場合に、中空筒状のガイドが中子コア型の内側形状部形成部を少なくとも覆うように配置されているので、中空筒状成形品の内側形状部が径方向に沿って拡張(膨張)されても中空筒状のガイドに接触することにより、それ以上中空筒状成形品の内側形状部が拡張するのを抑制することが可能となる。このように、中空筒状成形品の内側形状部が必要以上に拡張(拡径)するのを抑制し、すなわち中空筒状成形品の拡張具合を適切に制御することが可能となり、中空筒状成形品をより適切にコア型から脱型することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、中空筒状成形品をより適切にコア型から脱型することができる中空筒状成形品の製造装置及び中空筒状成形品の製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明による中空筒状成形品の製造装置20(中空筒状成形品の製造方法)により製造される中空筒状成形品10の一実施形態を示す断面図である。
図2A】本発明による中空筒状成形品の製造装置20(中空筒状成形品の製造方法)により製造される中空筒状成形品10の変形例を示す断面図である。
図2B】本発明による中空筒状成形品の製造装置20(中空筒状成形品の製造方法)により製造される中空筒状成形品10の変形例を示す断面図である。
図3A】本発明による中空筒状成形品の製造装置20の一実施形態を示す概要図である。
図3B図3Aに示す送風口53及びチャック54を示す正面図である。
図4図3Aに示す成形用金型30の閉型状態(閉型工程)を示す断面図である。
図5図3Aに示す成形用金型30の射出工程、冷却固化工程を示す断面図である。
図6図3Aに示す成形用金型30の第1脱型工程を示す断面図である。
図7図3Aに示す成形用金型30の第2脱型工程(配置工程)を示す断面図である。
図8図3Aに示す成形用金型30の第2脱型工程(気体注入工程)を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明による中空筒状成形品の製造装置及び中空筒状成形品の製造方法の一実施形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0017】
(中空筒状成形品)
図1に示すように、中空筒状成形品10は、弾性を有する弾性材で中空筒状に形成されている。中空筒状成形品10は、筒状に形成された本体11、本体11の一端部に設けられた第1開口部12、及び、本体11の他端部に設けられた第2開口部13を有している。本実施形態では、中空筒状成形品10は、円筒状に形成されているが、これに限定されず、断面楕円形状、断面方形状などの断面多角形状などに形成するようにしてもよい。また、中空筒状成形品10は、有底筒状に形成するようにしてもよい。この場合、本体11の両端開口部12,13のうち一方が閉じられている。さらに、中空筒状成形品としては、自動車用部品、家電用部品などが挙げられる。
【0018】
本体11は、蛇腹状に形成された蛇腹部14を有している。蛇腹部14の外壁14aには、外壁14aを凹ませて形成された凹部14a1、及び外壁14aを突出させて形成された凸部14a2が複数設けられており、蛇腹部14の内壁14bには、内壁14bを凹ませて形成された凹部14b1、及び内壁14bを突出させて形成された凸部14b2が複数設けられている。このように、中空筒状成形品10は、外壁14aに凹部14a1及び(/または)凸部14a2である外側形状部16を有している。また、中空筒状成形品10は、内壁14bに凹部14b1及び(/または)凸部14b2である内側形状部15を有している。尚、本実施形態では、内側形状部として、凹部と凸部の両方が形成されている(蛇腹状に形成されている)が、凹部のみが形成されるようにしてもよいし、凸部のみが形成されるようにしてもよい。
【0019】
図1及び図6に示すように、内壁14bの凸部14b2の内径φ11aは、第1開口部12の内径φ12より小径であり、内壁14bの凹部14b1の内径φ11bは、第1開口部12の内径φ12より大径である。尚、本実施形態では、第2開口部13の内径φ13は、第1開口部12の内径φ12と同径に設定されているが、異なる値に設定してもよい。一方、内壁14bの凹部14b1の内径φ11bはコア型32の凸部34b2の外径と同径であるため、コア型32の凸部34b2の外径が、中空筒状成形品10の内壁14bの凸部14b2の内径φ11a及び第1開口部12の内径φ12(または第2開口部13の内径φ13)より大径である。よって、コア型32を普通に引き抜く場合には、コア型32の凸部34b2が中空筒状成形品10の内壁14bの凸部14b2や第1開口部12または第2開口部13に引っ掛かり、容易に引き抜くことができないおそれがあった。
【0020】
尚、本実施形態では、内壁14bの凸部14b2の内径φ11a<第1開口部12の内径φ12<内壁14bの凹部14b1の内径φ11bとなるように、内壁14bを形成したが、図2Aに示すように、内壁14bの凸部14b2の内径φ11aと凹部14b1の内径φ11bの両方が第1開口部12の内径φ12より大径となるように内壁14bを形成してもよい。また、図2Bに示すように、内壁14bの凸部14b2の内径φ11aと凹部14b1の内径φ11bの両方が第1開口部12の内径φ12より小径となるように内壁14bを形成してもよい。
【0021】
また、本実施形態では、弾性材として、熱可塑性樹脂が採用されている。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリウレタン(PUR)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)、エチレン・ビニルアルコール樹脂(EVOH)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE、変性PPE、PPO)、ポリエステル(PEs)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸(PLA)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、非晶ポリアリレート(PAR)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)などを採用するのが好ましい。
【0022】
尚、弾性材としては、熱可塑性樹脂に限定されず、ゴムを採用してもよい。ゴムとしては、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、若しくは、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(イソプチレン・イソプレンゴム)(IIR)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(SR)、フッ素ゴムなどの合成ゴムを採用するのが好ましい。
【0023】
また、弾性材としては、熱可塑性樹脂に限定されず、動的架橋(加硫)型熱可塑性エラストマ(TPV)を採用するようにしてもよい。動的架橋型熱可塑性エラストマは、熱可塑性樹脂とゴムを溶融混錬させ熱可塑性樹脂のマトリックス中にゴムを架橋させて製造される。動的架橋型熱可塑性エラストマとしては、上述した熱可塑性樹脂と上述したゴムとの組み合わせが可能であり、例えば、ポリプロピレン(PP)とエチレンプロピレンゴム(EPDM)及びアクリルゴム(ACM)のうち何れか一つとを組み合わせたもの、ポリアミド(PA)とブチルゴム(IIR)、アクリルゴム(ACM)、ニトリルゴム(NBR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、及びシリコーンゴム(SR)のうち何れか一つとを組み合わせたもの、ポリブチレンテレフタレート(PBT)とブチルゴム(IIR)、アクリルゴム(ACM)、及びニトリルゴム(NBR)のうち何れか一つとを組み合わせたもの、ポリ乳酸(PLA)と天然ゴムとを組み合わせたもの、などを採用するのが好ましい。
【0024】
また、弾性材としては、スチレン系熱可塑性エラストマ(TPS)を採用するようにしてもよい。スチレン系熱可塑性エラストマ(TPS)は、ポリスチレン(PS)でブタジエン(B)を挟んで形成されるタイプのもの、ポリスチレン(PS)でイソプレン(I)を挟んで形成されるタイプのものなどを採用するのが好ましい。
【0025】
(中空筒状成形品の製造装置)
さらに、上述した中空筒状成形品10の製造装置20について図面を参照して説明する。製造装置20は、中空筒状成形品10を射出成形して製造するための装置であり、図3Aに示すように、成形用金型30、供給装置40、注入装置50、及びガイド60を備えている。注入装置50及びガイド60は、ロボット70に脱着可能に取付(装着)可能である。尚、注入装置50及びガイド60は、1つのロボット70に同時に取り付けるようにしてもよいし、2つのロボット70に別々に取り付けるようにしてもよい。また、注入装置50及びガイド60は、ロボット70に取り付けるのではなく、それぞれ単独な装置として製造ラインに設置するようにしてもよい。
【0026】
成形用金型30は、主として図4に示すように、キャビティ型(凹型)31とコア型(凸型)32とを備えている。成形用金型30は、ゲート、エジェクタピン(何れも不図示)などを備えている。
【0027】
キャビティ型31は、一対の第1キャビティ型31aと第2キャビティ型31bとを有している。第1キャビティ型31aには第1凹部31cが形成され、第2キャビティ型31bには、第1凹部31cに対向して配置可能である第2凹部31dが形成されている。第1凹部31cと第2凹部31dとによって内部空間31eが形成され、この内部空間31e内にはコア型32が配置可能である。
【0028】
第1キャビティ型31aの第1凹部31cの内壁面には、中空筒状成形品10の外壁を形成する外壁形成部33が形成されている。外壁形成部33は、第1開口部12の外壁面を形成する第1開口部形成部33a、外側形状部16を形成する外側形状部形成部33b、及び、第2開口部13の外壁面を形成する第2開口部形成部33c、を有している。外側形状部形成部33bは、外壁14aの凸部14a2を形成するための凹部33b1及び外壁14aの凹部14a1を形成するための凸部33b2を有している。また、第2キャビティ型31bの第2凹部31dの内壁面にも、第1キャビティ型31aの第1凹部31cの内壁面と同様に、中空筒状成形品10の外壁を形成する外壁形成部33が形成されている。
【0029】
コア型32は、柱状(棒状)に形成された、いわゆる中子コア型である。コア型32の外壁面には、中空筒状成形品10の内壁を形成する内壁形成部34が形成されている。内壁形成部34は、第1開口部12の内壁面を形成する第1開口部形成部34a、内側形状部15を形成する内側形状部形成部34b、及び、第2開口部13の内壁面を形成する第2開口部形成部34c、を有している。内側形状部形成部34bは、内壁14bの凸部14b2を形成するための凹部34b1及び内壁14bの凹部14b1を形成するための凸部34b2を有している。
【0030】
コア型32は、コア基端部32aと、コア基端部32aに脱着可能に取り付けられているコア先端部32bと、を有している。コア先端部32bは、成形時にはコア基端部32aにねじ止めなどにより固定され、脱型時にはコア基端部32aから取り外される。本実施形態では、コア基端部32aには、内側形状部形成部34b及び第2開口部形成部34cが形成され、コア先端部32bには、第1開口部形成部34aが形成されている。
【0031】
成形用金型30には、閉型時にキャビティ35(空洞と称する場合もある。)が形成される。第1キャビティ型31a及び第2キャビティ型31bがコア型32を挟むようにして閉じられると、両外壁形成部33,33が対向して配置され、さらに、両外壁形成部33,33で形成された内部空間31e内にて両外壁形成部33,33にコア型32の内壁形成部34が対向するようにコア型32が配置される。このように、キャビティ型31の外壁形成部33とコア型32の内壁形成部34とにより形成された空間によって、中空筒状成形品10を成形するためのキャビティ35が形成される。
【0032】
尚、本実施形態では、製造装置20の成形用金型30は、射出成形するための金型を採用するようにしたが、これに限定されず、押出成形用の金型、圧縮成形用の金型、トランスファ成形用の金型を採用するようにしてもよい。
【0033】
供給装置40は、成形用金型30の閉型時に形成されたキャビティ35内に中空筒状成形品10の成形材料の原料(弾性材原料)を供給・射出する装置である。供給装置40は、図3Aに示すように、供給部41と射出部42とを有している。供給部41は、原料(例えば、ペレット状)を射出部42のシリンダ(不図示)に供給する。射出部42は、供給された原料をシリンダに設けられたヒータ(不図示)によって加熱溶融し、溶融された溶融原料を圧送装置(例えばスクリュー(不図示))によって高速、高圧にてキャビティ35内に射出する。
【0034】
注入装置50は、中空筒状成形品10をコア型32から取り外す際に、中空筒状成形品10とコア型32との間に気体を注入する装置である。注入装置50は、図3Aに示すように、送風機51、ホース52、送風口53、及び、チャック54を有している。送風機51は、気体を吸って圧縮して送気口(不図示)から排出するものである。送風機51としては、ブロア、エアーコンプレッサーなどが採用される。気体としては、空気が採用されるが、これに限定されず、他の気体(窒素、酸素、二酸化炭素など)を採用するようにしてもよい。
【0035】
ホース52は、送風機51と送風口53とを接続するものである。ホース52の一端は、送風機51の送気口に接続され、ホース52の他端は、送風口53に接続されている。送風口53は、取付先である中空筒状成形品10の第1開口部12に脱着可能に接続され、送風機51からの空気を中空筒状成形品10内に送り込むものである。
【0036】
送風口53は、中空筒状成形品10の開口部の内側に挿入されるように設定されている。尚、送風口53は、中空筒状成形品10内に空気を送り込むことが可能な開口部に接続されるのが好ましく、中空筒状成形品10の第1開口部12に限定されず、第2開口部13に接続されてもよい。また、中空筒状成形品10の開口部を、送風口53の内側に挿入するように設定してもよい。
【0037】
具体的には、送風口53は、接続先である中空筒状成形品10の開口部(本実施形態では、第1開口部12)の断面形状に対応した断面形状、ひいてはその開口部を形成するためのコア型の断面形状に対応した断面形状の筒状に形成されるのが好ましい。また、送風口53は、中空筒状成形品10の第1開口部12に気密的に装着されるのが好ましく、密着または嵌着されるのがより好ましい。すなわち、送風口53の外径は、コア型32の第1開口部形成部34aの外径(中空筒状成形品10の第1開口部12の内径)と同径に設定されるのが好ましく、若干大径に設定されるようにしてもよい。
【0038】
チャック54は、送風口53に装着された中空筒状成形品10の開口部を送風口53と協働して把持するための装置である。中空筒状成形品10とコア型32との間に空気が送風された際に、中空筒状成形品10の開口部は送風口53とチャック54とにより把持されるため中空筒状成形品10がコア型32から飛び出すのを確実に抑制することが可能となる。
【0039】
チャック54は、図3Aに示すように、複数の爪部54aと、各爪部54aをそれぞれ径方向に沿って往復動させる駆動部54bと、を有している。爪部54aは、断面円弧状の板状に形成されており、例えば4個が所定間隔(90度)にて配置されている。爪部54aは、3個設けてもよく、この場合120度間隔にて配置するのが好ましい。尚、爪部54aは5個以上設けてもよい。駆動部54bは、爪部54aをエア(正圧・負圧)で駆動してもよく、モータで駆動してもよく、油圧で駆動してもよい。
【0040】
各爪部54aは、図3Bに示すように、送風口53の径方向外側に対向してそれぞれ配置されている。各爪部54aが径方向外側に向けて移動されると、各爪部54aは送風口53に装着された中空筒状成形品10の開口部から離れ、チャック54が開放される。一方、各爪部54aが径方向内側に向けて移動されると、各爪部54aは送風口53に装着された中空筒状成形品10の開口部に接触し、チャック54は閉じられて、中空筒状成形品10の開口部を送風口53と協働して把持する。
【0041】
ガイド60は、注入装置50により気体を注入する際に、コア型32の内側形状部形成部34bを少なくとも覆うように配置される中空筒状のガイドである(図7参照)。ガイド60は、内側形状部形成部34bを含めて内側形状部形成部34bより中空筒状成形品10が伸びる方向に所定量だけ延設するのが好ましい。中空筒状成形品10の第1開口部12がチャック54によって送風口53に固定されているため、中空筒状成形品10の伸びる方向は、中空筒状成形品10の解放端側方向である(図7にて右方向である)。所定量は、中空筒状成形品10の軸方向への弾性変形量に応じて設定されるのが好ましい。
【0042】
ガイド60の内径は、中空筒状成形品10の外径φ21の200%以下に設定されていることが好ましく、150%以下に設定されることがより好ましい。また、ガイド60の内径φ31は、中空筒状成形品10の外径φ21の110%以上に設定されていることが好ましい。すなわち、ガイド60の内径は、中空筒状成形品10の外径φ21の110%~150%の範囲が好ましい。また、ガイド60の内壁面は、平坦であることが好ましい。尚、ガイド60の内壁面は、平坦に限定されず、中空筒状成形品10が軸方向に拡張するのを抑制するためや所望の形状を得るための凸部や凹部を設けるようにしてもよい。
【0043】
ロボット70は、図3Aに示すように、いわゆる多関節ロボットであり、6軸の駆動軸を有する垂直多関節ロボットである。ロボット70は、複数の駆動軸(またはアーム)が直列に並んでいる、いわゆるシリアルリンク型のロボットアームである。ロボット70は、先端部に取り付けられたエンドエフェクタを所望の位置・角度に作動させる。図3Aにおいては、エンドエフェクタとして注入装置50(特に送風口53及びチャック54)及びガイド60が取り付けられている。尚、ロボット70は、垂直多関節ロボットに限定されず、水平多関節ロボット、直交ロボット、パラレルリンクロボット(スカラロボット)などを採用してもよい。
【0044】
尚、上述した製造装置20は、ロボット70に、注入装置50及びガイド60をそれぞれ装着した態様であったが、これに限定されず、注入装置50及びガイド60をそれぞれ単独に設置するような態様としてもよい。また、上述した実施形態では、注入装置50及びガイド60を1つのロボット70にまとめて装着するようにしたが、それぞれ別のロボット70に装着するようにしてもよい。
【0045】
上述した注入装置50及びガイド60の作動について説明する。ロボット70が駆動されて、先端部に装着されたガイド60が原位置から所定のガイド位置(図7参照)に移動される。このとき、先端部に装着されている注入装置50の送風口53も装着手前位置に移動される。装着手前位置の送風口53は、駆動部(不図示)により軸方向に沿って移動され中空筒状成形品10に向けて移動され、送風口53の端部が中空筒状成形品10の第1開口部12に装着される(装着位置;図7に示す位置)。このとき、チャック54も送風口53と一緒に移動される。その後、チャック54の駆動部54bが駆動されて、開位置(径方向外側の位置)に位置する複数の爪部54aが径方向内側に向けて移動され、複数の爪部54aと送風口53との挟持により中空筒状成形品10の第1開口部12が把持される。
【0046】
その後、注入装置50の送風機51が駆動されて、送風口53から空気が送出される。送出された空気は、チャック54によって第1開口部12が把持された中空筒状成形品10内ひいては中空筒状成形品10とコア型32との間に供給される。供給された空気が第1開口部12側から中空筒状成形品10を順次拡張しながら満たされ、その結果、中空筒状成形品10がコア型32から順次引き剥がされる。最終的に、中空筒状成形品10は第2開口部13まで引き剥がされて、供給されている空気が中空筒状成形品10の第2開口部13側から送出される(図8参照)。
【0047】
このとき、ガイド60は、中空筒状成形品10が順次引き剥がされている途中にて拡張される中空筒状成形品10が径方向にさらに拡張するのを確実に抑制する。特に、拡張しやすい蛇腹部14の径方向への拡張を抑制することが可能となる。その結果、ガイド60が設けられない場合には成形品(中空筒状成形品10)が降伏後に塑性変形になり荷重を除荷しても(空気の供給を停止しても)弾性変形分以上は成形品の形状が戻る(元の形状に戻る)ことはないのと比較して、成形品が変形してもガイド60によってそれ以上変形するのを抑制すること(降伏点を越えるような変形を抑制すること)が可能となり、すなわち成形品の変形を弾性変形に抑制することが可能となる。よって、荷重を除荷すれば成形品の形状を元の形状に戻すことが可能となる。
【0048】
そして、ロボット70が駆動されて、装着位置に位置する注入装置50の送風口53が原位置に移動される。このとき、チャック54も一緒に移動され、チャック54によって第1開口部12が把持された中空筒状成形品10も移動され、中空筒状成形品10がコア型32から引き抜かれる。尚、このとき、中空筒状成形品10内への送風は継続されるのが好ましい。その後、チャック54の駆動部54bが駆動されて、複数の爪部54aが径方向外側に向けて移動され、複数の爪部54aと送風口53との挟持が解除され、中空筒状成形品10の第1開口部12の把持が解除される。
【0049】
(中空筒状成形品の製造方法)
さらに、上述した製造装置20を用いた中空筒状成形品10の製造方法について説明する。中空筒状成形品10の製造方法は、成形工程、第1脱型工程、及び第2脱型工程を有している。
【0050】
(成形工程)
成形工程は、成形用金型30を閉じる閉型工程、溶融した原料(溶融原料)をキャビティ35内に射出する射出工程、成形用金型30内の原料が冷却し固化する冷却固化工程を有している。成形工程は、成形用金型30の内部空間31e内に内側形状部形成部34bを有するコア型32を配置し、弾性材原料をキャビティ35内に注入して中空筒状成形品10を成形する。
【0051】
閉型工程においては、第1キャビティ型31a及び第2キャビティ型31bがコア型32を挟むようにして閉じられる(図4参照)。このとき、両外壁形成部33,33が対向して配置され、さらに、両外壁形成部33,33で形成された内部空間31e内にて両外壁形成部33,33にコア型32の内壁形成部34が対向するようにコア型32が配置される。このように、キャビティ型31の外壁形成部33とコア型32の内壁形成部34とにより形成された空間によって、中空筒状成形品10を成形するためのキャビティ35が形成される。
【0052】
射出工程においては、供給装置40が成形用金型30の閉型時に形成されたキャビティ35内に中空筒状成形品10の成形材料の原料(弾性材原料)を溶融して射出する。冷却固化工程においては、溶融した原料が固化して成形品(中空筒状成形品10)が成形される(図5参照)まで待機する。
【0053】
(脱型工程・第1脱型工程)
脱型工程は、成形工程の後に、成形用金型30を開く第1脱型工程(開型工程)と、中空筒状成形品10をコア型32から取り外す第2脱型工程と、を有している。第1脱型工程は、上述した冷却固化工程の後に、すなわち溶融した原料が固化して中空筒状成形品10が成形された後に、第1キャビティ型31a及び第2キャビティ型31bがコア型32から離れる方向に移動されることにより、成形用金型30が開かれる(図6参照)。このとき、成形品である中空筒状成形品10がコア型32の外壁面に密着している。
【0054】
尚、脱型工程において、中空筒状成形品10をコア型32から取り外す際の中空筒状成形品10の温度は、40℃~60℃であることが好ましい。
【0055】
(第2脱型工程)
第2脱型工程は、第1脱型工程の後に、内側形状部形成部34bを少なくとも覆うようにガイド60を配置する配置工程と、注入装置50により中空筒状成形品10とコア型32との間に空気(気体)を注入する気体注入工程と、を有している。
【0056】
(配置工程)
最初に、コア型32のコア先端部32bがコア基端部32aから取り外される。コア先端部32bの取り外しは、作業者の手作業によって実施されてもよく、ロボット70によって自動的に実施されるようにしてもよい。次に、ロボット70が駆動されて、先端部に装着したガイド60が原位置から所定のガイド位置(図7参照)に移動される。このとき、先端部に装着されている注入装置50の送風口53も装着手前位置に移動される。ガイド60の先端側端(図7にて左側端)は、蛇腹部14ひいては内側形状部形成部34bの左端(一端)より先端側に位置しており、ガイド60の基端側端(図7にて右側端)は、蛇腹部14ひいては内側形状部形成部34bの右端(他端)より基端側に位置している。
【0057】
尚、本実施形態では、最初にコア先端部32bを取り外した後に、ガイド60をガイド位置に移動させたが、最初にガイド60をガイド位置に移動させた後に、コア先端部32bを取り外すようにしてもよい。
【0058】
(気体注入工程)
最初に、装着手前位置の送風口53が駆動部(不図示)により軸方向に沿って移動され中空筒状成形品10に向けて移動され、送風口53の端部が中空筒状成形品10の第1開口部12に装着される(装着位置;図7にて示す位置)。このとき、チャック54も送風口53と一緒に移動される。その後、チャック54の駆動部54bが駆動されて、複数の爪部54aが径方向内側に向けて移動され、複数の爪部54aと送風口53との挟持により中空筒状成形品10の第1開口部12が把持される。その後、注入装置50の送風機51が駆動されて、送風口53から空気が送出される。
【0059】
送出された空気は、チャック54によって第1開口部12が把持された中空筒状成形品10内ひいては中空筒状成形品10とコア型32との間に供給される。供給された空気が第1開口部12側から中空筒状成形品10を順次拡張しながら満たされ、その結果、中空筒状成形品10がコア型32から順次引き剥がされる。最終的に、中空筒状成形品10は第2開口部13まで引き剥がされて、供給されている空気が中空筒状成形品10の第2開口部13側から送出される(図8参照)。
【0060】
このとき、ガイド60は、拡張される中空筒状成形品10が径方向にさらに拡張するのを確実に抑制する。特に、拡張しやすい蛇腹部14の径方向への拡張を抑制することが可能となる。その結果、ガイド60が設けられない場合には成形品(中空筒状成形品10)が降伏後に塑性変形になり荷重を除荷しても(空気の供給を停止しても)弾性変形分以上は成形品の形状が戻る(元の形状に戻る)ことはないのと比較して、成形品が変形してもガイド60によってそれ以上変形するのを抑制すること(降伏点を越えるような変形を抑制すること)が可能となり、すなわち成形品の変形を弾性変形に抑制することが可能となる。よって、荷重を除荷すれば成形品の形状を元の形状に戻すことが可能となる。
【0061】
そして、ロボット70が駆動されて、装着位置に位置する注入装置50の送風口53が原位置に移動される。このとき、チャック54によって第1開口部12が把持された中空筒状成形品10も移動され、中空筒状成形品10がコア型32から引き抜かれる。その後、チャック54の駆動部54bが駆動されて、複数の爪部54aが径方向外側に向けて移動され、複数の爪部54aと送風口53との挟持が解除され、中空筒状成形品10の第1開口部12の把持が解除される。
【0062】
(実施形態の作用・効果)
上述した実施形態に係る中空筒状成形品10の製造装置20は、中空筒状に形成され、内壁14bに凹部14b1及び/または凸部14b2である内側形状部15を有し、弾性材で形成される中空筒状成形品10を製造する中空筒状成形品10の製造装置20であって、中空筒状成形品10の内側形状部15を形成する内側形状部形成部34bを有する中子コア型(コア型)32と、中空筒状成形品10をコア型32から取り外す際に、中空筒状成形品10とコア型32との間に気体を注入する注入装置50と、注入装置50により気体を注入する際に、内側形状部形成部34bを少なくとも覆うように配置する中空筒状のガイド60と、を備えている。
【0063】
この実施形態に係る中空筒状成形品10の製造装置20によれば、中空筒状成形品10をコア型32から取り外すに際して、注入装置50により気体を注入した場合に、中空筒状のガイド60がコア型32の内側形状部形成部34bを少なくとも覆うように配置されているので、中空筒状成形品10の内側形状部15が径方向に沿って拡張(膨張)されても中空筒状のガイド60に接触することにより、それ以上中空筒状成形品10の内側形状部15(蛇腹部14)が拡張するのを抑制することが可能となる。このように、中空筒状成形品10の内側形状部15が必要以上に拡張(拡径)するのを抑制し、すなわち中空筒状成形品10の拡張具合を適切に制御することが可能となり、中空筒状成形品10をより適切にコア型から脱型することが可能となる。
【0064】
また、本実施形態による中空筒状成形品10の製造装置20においては、ガイド60の内径は、中空筒状成形品10の外径の200%以下に設定されていることが好ましい。これによれば、中空筒状成形品10の径方向の拡張具合をより適切に制御することが可能となる。
【0065】
また、本実施形態による中空筒状成形品10の製造装置20においては、ガイド60の内壁面は、平坦であることが好ましい。これによれば、中空筒状成形品10が軸方向に沿って拡張する場合に、中空筒状成形品10の外壁面がガイド60の内壁面に接触したとしても、中空筒状成形品10の外壁の接触部をガイド60の内壁面に沿って滑らかに案内することが可能となり、ひいては中空筒状成形品10の外壁面が損傷するのを抑制することが可能となる。
【0066】
また、本実施形態による中空筒状成形品10の製造装置20においては、中空筒状成形品10の内側形状部15は、蛇腹状に形成されていることが好ましい。これによれば、中空筒状成形品10が複数の凹部14b1及び/または凸部14b2を有する蛇腹状の内側形状部15を有している場合であっても、中空筒状成形品10の蛇腹状の内側形状部15が必要以上に拡張(拡径)するのを抑制し、すなわち蛇腹状の内側形状部15の拡張具合を適切に制御することが可能となり、中空筒状成形品10をより適切にコア型から脱型することが可能となる。
【0067】
また、本実施形態による中空筒状成形品10の製造装置20においては、弾性材は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。これによれば、熱可塑性樹脂で形成された中空筒状成形品10をより適切にコア型から脱型することが可能となる。さらに、中空筒状成形品10を樹脂化することにより、ゴム材で形成する場合と比較して、部品の軽量化及び低コスト化を図ることができる。また、製造工程段階でのCO2排出量の削減を図ることができる。さらに、低エネルギーでのマテリアルリサイクルが可能となる。
【0068】
また、本実施形態に係る中空筒状成形品10の製造方法は、中空筒状成形品10の製造装置20を用いた中空筒状成形品10の製造方法であって、金型(成形用金型30)の空洞(キャビティ35)内に内側形状部形成部34bを有するコア型32を配置し、弾性材原料をキャビティ35内に注入して中空筒状成形品10を成形する成形工程と、金型30を開く第1脱型工程と、内側形状部形成部34bを少なくとも覆うようにガイド60を配置する配置工程と、注入装置50により中空筒状成形品10とコア型32との間に気体を注入する気体注入工程と、を有し、中空筒状成形品10をコア型32から取り外す第2脱型工程と、を有することを特徴とする。
【0069】
この実施形態に係る中空筒状成形品10の製造方法によれば、中空筒状成形品10をコア型32から取り外す第2脱型工程において、最初に、配置工程にて内側形状部形成部34bを少なくとも覆うようにガイド60を配置し、次に、気体注入工程にて注入装置50により中空筒状成形品10とコア型32との間に気体を注入することが可能となる。このとき、注入装置50により気体を注入した場合に、中空筒状のガイド60がコア型32の内側形状部形成部34bを少なくとも覆うように配置されているので、中空筒状成形品10の内側形状部15が径方向に沿って拡張(膨張)されても中空筒状のガイド60に接触することにより、それ以上中空筒状成形品10の内側形状部15が拡張するのを抑制することが可能となる。このように、中空筒状成形品10の内側形状部15が必要以上に拡張(拡径)するのを抑制し、すなわち中空筒状成形品10の拡張具合を適切に制御することが可能となり、中空筒状成形品10をより適切にコア型から脱型することが可能となる。
【0070】
なお、上述した実施形態においては、コア型32をコア基端部32aと送風口53を中空筒状成形品10に取り付ける際に取り外すコア先端部32bの2部品で形成するようにしたが、コア型32を1部品で形成するようにしてもよい。これによれば、製造装置20の構造を簡単にすることができ、製造工程を簡便にすることができる。この場合、送風口53の内径は、送風口53を中空筒状成形品10とコア型32との間に容易に挿入するため、第1開口部形成部34aの外径より大径、かつ、中空筒状成形品10の第1開口部12の外径より小径に設定されるのが好ましい。また、送風口53の厚みは、中空筒状成形品10とコア型32との間への挿入し易さの観点からできるだけ薄く設定されるのが好ましく、少なくとも中空筒状成形品10の開口部の厚みより薄く設定されるのが好ましい。送風口53は、接続先である中空筒状成形品10の開口部(本実施形態では、第1開口部12)の断面形状に対応した形状、ひいてはその開口部を形成するためのコア型の断面形状に対応した形状の筒状に形成されるのが好ましい。
【符号の説明】
【0071】
10…中空筒状成形品、14b…内壁、14b1…凹部、14b2…凸部、15…内側形状部、20…製造装置、30…金型(成形用金型)、32…中子コア型(コア型)、34b…内側形状部形成部、35…空洞(キャビティ)、50…注入装置、60…ガイド。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8