(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163192
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
H04N1/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073923
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鴇澤 正宗
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB23
5C062AB33
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC58
5C062AE03
5C062AE07
5C062AE15
5C062AF15
(57)【要約】
【課題】読み取った画像データの表裏を正確に判別する。
【解決手段】原稿の画像情報を読み取る画像読取手段70と、読取られた原稿の画像データの表裏面を判定する表裏面判定部74とを備え、表裏面判定部74は、画像データ内の第1の領域T、Bの検出処理を行い、第1の領域T、Bが検出できなかった場合、原稿の両面の画像データに対して第2の領域L、Rの検出処理を行い、その検出結果から原稿の表裏面を判定することを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像情報を読み取る画像読取手段と、
前記画像読取手段によって読み取られた画像データの表裏面を判定する表裏面判定部と、
を備え、
前記表裏面判定部は、画像データ内の第1の領域の検出処理を行い、第1の領域が検出できなかった場合、原稿の両面の画像データに対して第2の領域の検出処理を行い、その検出結果から原稿の表裏面を判定することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記第1の領域の検出処理は、原稿の第一面の画像データの予め定められた領域において第1の領域の検出を行い、第1の領域が無かった場合、原稿の第二面の画像データにおいて同様の検出を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記第2の領域の検出処理は、原稿の両面の画像データの第2の領域を検出した結果、片面にのみ第2の領域を検出した場合、第2の領域を有する面を表面と判定することを特徴とする請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記第2の領域の検出処理は、原稿の両面の画像データの第2の領域を検出した結果、両面ともに第2の領域を検出または第2の領域を検出しなかった場合、その旨を操作者に報知することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記表裏面判定部の判定結果に基づいて、画像を予め決められた順序に入れ替える画像順序入替部と、
前記画像順序入替部によって変更された順序で画像データを保存する画像データ保存部と
を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取る画像読取装置に関し、詳しくは、搬送経路に沿って搬送される原稿の一方の面の画像を読み取る第1画像読取部と他方の面の画像を読み取る第2画像読取部とを備えた画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に年賀状などのハガキを使用するユーザーは、官製ハガキなどで規定されたハガキのフォーマットに宛名、差出人の住所、メッセージ、写真等を印刷、または手書きで記入して送付する。
【0003】
特に年賀状を受け取るユーザーは、年始に大量に受け取る場合が多く、その整理や保管作業は大変である。このような大量の年賀状を、スキャンによる電子データ化により保管場所の削減や分類の効率化をさせたいというニーズがある。この時、スキャンするハガキの宛名面の向きや上下方向の向きを揃えておかなければ、スキャンデータの画像の向きが揃わず、スキャン後にユーザーが手動で画像データの回転処理や順序入れ替え処理を行う手間が発生してしまう。それに対し、例えば特許文献1では複数頁を組とする画像の表裏を予め決めた特徴を用いて判定し、順序を整列させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1では複数頁の画像内にある郵便番号枠や切手に相当する領域の有無から画像の順番を判定することを述べているが、郵便番号枠が印字や手書き文字と被って判別できない場合など、正確に画像の表裏を判定できないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記を鑑みて、本発明に係る画像読取装置は、
原稿の画像情報を読み取る画像読取手段と、
前記画像読取手段によって読み取られた画像データの表裏面を判定する表裏面判定部と、
を備え、前記表裏面判定部は、画像データ内の第1の領域の検出処理を行い、第1の領域が検出できなかった場合、原稿の両面の画像データに対して第2の領域の検出処理を行い、その検出結果から原稿の表裏面を判定することを特徴とする画像読取装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明の画像読取装置によれば、読み取ったハガキの画像データの表裏を正確に判別することができるため、大量のハガキを読み取る時に、それらの向きを気にすることなくハガキを画像読取装置に積載することができ、操作者の手間を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る原稿搬送装置(画像読取装置)の構成を概略的に示す部分断面図。
【
図2】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の制御部のブロック図。
【
図3】本発明の一実施形態に係る画像処理部の詳細ブロック図。
【
図4】本発明の一実施形態に係る表裏面判定部の制御フロー図。
【
図5】本発明の一実施形態に係る表裏面判定処理の説明図
【
図6】本発明の一実施形態に係る画像順序入替部の制御フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、添付図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を実施するための一例であり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲において本発明が使用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものである。
【0010】
〔第1の実施形態〕
まず、本発明の第1の実施形態に係る原稿搬送装置について説明する。
【0011】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る原稿搬送装置(画像読取装置)の構成を概略的に示す部分断面図である。
【0012】
<装置の構成>
画像読取装置Aは、載置台1に積載された一又は複数の搬送媒体Sを1つずつ装置内に経路RTにて搬送してその画像を読取、積載部材としての排出トレイ2に排出する装置である。読み取る搬送媒体Sは、例えば、はがき、OA紙、チェック、小切手、名刺、カード類等のシートであり、厚手のシートであっても、薄手のシートであってもよい。カード類は、例えば、保険証、免許証、クレジットカード等を挙げることができる。搬送媒体Sには、また、パスポートなどの冊子も含まれる。冊子を対象とする場合、ホルダを用いることができる。透明なホルダに見開き状態の冊子を収容して載置台1に載置することで、冊子がホルダと共に搬送され、その画像を読み取ることができる。
【0013】
<給紙>
経路RTに沿って搬送媒体Sを給送する給送機構としての第1搬送部10が設けられている。第1搬送部10は本実施形態の場合、送りローラ11と、送りローラ11に対向配置される分離ローラ12と、を備え、載置台1上の搬送媒体Sを搬送方向D1に一つずつ順次搬送する。送りローラ11には、モータ等の駆動部3から伝達部5を介して駆動力が伝達され、図中矢印方向(経路RTに沿って搬送媒体Sを搬送させる正方向)に回転駆動される。伝達部5は例えば電磁クラッチであり、駆動部3からの送りローラ11への駆動力を断続する。
【0014】
<駆動部>
駆動部3と送りローラ11とを接続する伝達部5は、例えば、本実施形態では、通常時において駆動力が伝達される状態とし、搬送媒体Sを逆送または停止する場合には駆動力を遮断する。送りローラ11は伝達部5により駆動力の伝達が遮断されると、自由回転可能な状態となる。なお、このような伝達部5は、送りローラ11を一方向のみに駆動させる場合には設けなくてもよい。
【0015】
<分離構造>
送りローラ11に対向配置される分離ローラ12は、搬送媒体Sを1枚ずつ分離するためのローラであり、送りローラ11に対して一定圧で圧接している。この圧接状態を確保するため、分離ローラ12は揺動可能に設けると共に送りローラ11へ付勢されるように構成される。分離ローラ12は、トルクリミッタ12aを介して駆動部3から駆動力が伝達され、実線矢印方向(送りローラ11の正方向とは逆方向))に回転駆動される。
【0016】
分離ローラ12はトルクリミッタ12aにより駆動力伝達が規制されるため、送りローラ11と当接している際は送りローラ11に連れ回りする方向(破線矢印方向)に回転する。これにより、複数の搬送媒体Sが送りローラ11と分離ローラ12との圧接部に搬送されてきた際には、一つを残して2つ以上の搬送媒体Sが下流に搬送されないようにせき止められる。
【0017】
なお、本実施形態では分離ローラ12と送りローラ11とで分離機構を構成したが、このような分離機構は必ずしも設けなくてもよく、経路RTに搬送媒体Sを1つずつ順次給送する給送機構であればよい。また、分離機構を設ける場合においては、分離ローラ12のような構成の代わりに、搬送媒体Sに摩擦力を付与する分離パッドを送りローラ11に圧接させて、同様の分離作用を持たせるようにしてもよい。
【0018】
<搬送構造>
第1搬送部10の搬送方向下流側にある搬送機構としての第2搬送部20は、駆動ローラ21と、駆動ローラ21に従動する従動ローラ22とを備え、第1搬送部10から搬送されてきた搬送媒体Sをその下流側へ搬送する。駆動ローラ21にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、図中矢印方向に回転駆動される。従動ローラ22は駆動ローラ21に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ21に連れ回る。この従動ローラ22は、バネ等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ21に対して付勢された構成としてもよい。
【0019】
このような第2搬送部20よりも搬送方向下流側にある第3搬送部30は、駆動ローラ31と、駆動ローラ31に従動する従動ローラ32とを備え、第2搬送部20から搬送されてきた搬送媒体Sを排出トレイ2へ搬送する。つまり、この第3搬送部30は排出機構として機能する。
【0020】
駆動ローラ31にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、図中矢印方向に回転駆動される。従動ローラ32は駆動ローラ31に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ31に連れ回る。この従動ローラ32は、バネ等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ31に対して付勢された構成としてもよい。
【0021】
原稿を積載する排出トレイ2は、画像読取装置Aに対して回動可能なように、画像読取装置Aの下方に設けられた第1ヒンジ101を介して軸支されている。また、第1ヒンジ101側の第1排出トレイ2aとその先端側に接続された第1延長トレイ2b、第2延長トレイ2c、第3延長トレイ2dとから構成されている。第1延長トレイ2bは第1排出トレイ2aに対して摺動して収納可能に支持されており、第2延長トレイ2cは第1延長トレイ2bに対して摺動して収納可能に支持されており、第3延長トレイ2dは第2延長トレイ2cに対して摺動して収納可能に支持されている。
【0022】
<画像読取構造、制御>
ここで、本実施形態の画像読取装置Aでは、第2搬送部20と第3搬送部30との間に配置される画像読取部70によって画像の読取を行うため、第2搬送部20及び第3搬送部30は搬送媒体Sを定速搬送する。搬送速度は常に第1搬送部10の搬送速度以上とすることで、先行搬送媒体Sに後続搬送媒体Sが追いついてしまう事態を確実に回避できる。例えば、本実施形態では、第2搬送部20及び第3搬送部30による搬送媒体Sの搬送速度を、第1搬送部10による搬送媒体Sの搬送速度よりも速くなるように速度制御するようにした。
【0023】
なお、第2搬送部20及び第3搬送部30による搬送媒体Sの搬送速度と、第1搬送部10による搬送媒体Sの搬送速度とを同一条件とした場合でも、駆動部3を制御して後続搬送媒体Sの給送開始タイミングを間欠的にずらすことにより先行搬送媒体Sと後続搬送媒体Sとの間に最低限の間隔を形成することも可能である。
【0024】
<重送検出>
第1搬送部10と第2搬送部20との間に配置される重送検出センサ40は、静電気等で紙などの搬送媒体S同士が密着し、第1搬送部10を通過してきた場合(つまり重なって搬送される重送状態の場合)に、これを検出するための検出センサ(シートの挙動や状態を検出するセンサ)の一例である。重送検出センサ40としては、種々のものが利用可能であるが本実施形態の場合には超音波センサであり、超音波の発信部41とその受信部42とを備え、紙等の搬送媒体Sが重送されている場合と1つずつ搬送されている場合とで、搬送媒体Sを通過する超音波の減衰量が異なることを原理として重送を検出する。
【0025】
<レジストセンサ>
このような重送検出センサ40よりも搬送方向下流側に配置される媒体検出センサ50は第2搬送部20よりも上流側で、第1搬送部10よりも下流側に配置された搬送路RT上流側の検出センサ(シートの挙動や状態を検出するセンサ)としての一例であり、第1搬送部10により搬送される搬送媒体Sの位置、詳細には、媒体検出センサ50の検出位置に搬送媒体Sの端部が到達又は通過したか否かを検出する。媒体検出センサ50としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合には光学センサであり、発光部51とその受光部52とを備え、搬送媒体Sの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを原理として搬送媒体Sを検出する。
【0026】
本実施形態の場合、搬送媒体Sの先端が媒体検出センサ50で検出された時点で、搬送媒体Sが重送検出センサ40により重送を検出可能な位置に到達しているように、上記の媒体検出センサ50は重送検出センサ40の近傍においてその下流側に設けられている。なお、この媒体検出センサ50は、上記の光学センサに限定されず、例えば、搬送媒体Sの端部が検知できるセンサ(イメージセンサ等)を用いてもよいし、経路RTに突出したレバー型のセンサでもよい。また、搬送方向に直交する方向に複数個設けて媒体が搬送路に対して斜行していることを検知しても良い。
【0027】
媒体検出センサ50とは別の媒体検出センサ60が画像読取部70よりも上流側に配置されている。第2搬送部20よりも下流側に配置された下流側の検出センサとしての一例であり、第2搬送部20により搬送される搬送媒体Sの位置を検出する。媒体検出センサ60としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合、媒体検出センサ50と同様に光センサであり、発光部61と受光部62とを備え、搬送媒体Sの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを原理として搬送媒体Sを検出する。なお、本実施形態では、第2搬送部20の搬送方向上流側と下流側のそれぞれに媒体検出センサ50、60を配置したが、何れか一方だけでもよい。
【0028】
<CISの配置>
媒体検出センサ60よりも下流側にある画像読取部70は、例えば、光学的に走査し、電気信号に変換して画像データとして読み取るものであり、内部にLED等の光源、イメージセンサ、レンズアレー等を備えている。画像読取部70はコンタクトイメージセンサ(CIS)ユニットである。ここでは画像読取部70はCISユニットとしたが、例えばイメージセンサとしてCCDを用いたユニットであっても良く、イメージセンサの種別を限定するものではない。本実施形態の場合、画像読取部70(以下、CISと同義)は経路RTの両側に一つずつ配置されており(70a、70b)、搬送媒体Sの表裏面を読み取る。しかし、経路RTの片側にのみ一つ配置して、搬送媒体Sの片面のみを読み取る構成としてもよい。また、本実施形態では、画像読取部70を経路RTの両側に対向配置した構造としているが、例えば、経路RTの方向に間隔をあけて配置してもよい。
【0029】
<ブロック図の説明>
図2および
図3を参照して本画像読取装置の基本構成について説明する。
図2は画像読取装置Aの制御部のブロック図である。
【0030】
画像読取装置Aは基本構成として、画像読取部70の一例としての画像読取部(表)70aと画像読取部(裏)70b、画像制御部71、画像処理部78、制御部80、搬送部86、および検知センサ部87を備える。画像読取部(表)70a、画像読取部(裏)70bは、画像制御部71から指示されたタイミングで発光素子を点灯し、1ラインの走査を行う。画像制御部71は、制御部80からの指示により画像読取部(表)70a、画像読取部(裏)70bから出力された画像信号をA/D変換、シェーディング補正等の処理を行い、後段のバッファメモリ72へ送出する。
【0031】
バッファメモリ72は、少なくとも数ライン分の画像データを一時的に格納するだけの容量を有しており、画像制御部71から送出された画像データは、バッファメモリ72の領域の中で送出部73へ送信すべきデータのない空き容量へ書き込まれる。つまり、送出部73へ送信された画像データが書き込まれていた領域が新たに画像制御部71から出力された画像データを書き込むための空き領域(空き容量)となる。
【0032】
画像制御部71は、バッファメモリ72の空き容量を監視し、バッファメモリ72の空き容量が所定値以下になると、制御部80へ、その旨を通知する。送出部73は、画像読取装置A外部のホストPCなどの外部装置200と通信する機能を有し、外部装置200の要求により画像データを送信する。外部装置200に送信された画像データは、外部装置200内部の画像処理部78で処理されたのち、ハードディスクドライブなどの記憶装置を用いた画像データ保存部79に保存される。画像の保存先などの各設定については、表示部202に表示された設定メニューに対し、操作部201などの外部装置200の操作手段により設定入力可能になっている。また、外部装置200と制御部80との送受信は送出部73を通して行われる。
【0033】
図3は画像処理部78内部の詳細を示した図である。画像処理部78は送出部73から送信された画像データを受信し、後述の画像表裏面判定部74にて受信した画像データの表裏を判定する。画像表裏面判定部74の結果をもとに後述の画像順序入替部75にて画像データの順序を決定する。画像データの順序が決定したのち、画像データは順序を入れ替えた状態で画像データ保存部79に保存される。
【0034】
図2の説明に戻り、制御部80は、画像読取装置A全体の動作を統括的に制御するCPUなどによって構成された制御装置である。搬送部86は、
図1に示す複数の駆動部や伝達部などからなり、制御部80からの指示により駆動制御される。検知センサ部87は、
図1に示す媒体検出センサ50、60、重送検出センサ40等のセンサから構成される。これらのセンサからの情報により制御部80は、現在の原稿の状態や位置を把握する。
【0035】
本実施形態の画像表裏面判定部74の制御の詳細について、
図4の制御フローおよび
図5を用いて説明する。
【0036】
本発明の実施形態の画像読取装置Aによって読み取られたハガキの画像データは、送出部73を経由して外部装置200の画像処理部78に送られる。ここで、1枚のハガキの両面を読み取って取得される2つの画像データを画像データ1、画像データ2として説明する。
【0037】
画像表裏面判定部74は、画像データ1内のあらかじめ決められた領域に郵便番号を記載する枠が有るか調べる(S101)。郵便番号枠は、例えばあらかじめ用意した5桁、または7桁の郵便番号枠のパターン情報と一致するパターンが画像データ内の予め決められた領域内にあるかどうかを確認し判定するようにすれば良い。これにより郵便番号枠を検出することができる。郵便番号枠の検出については、公知のパターンマッチングなどの技術によって実現可能である。
【0038】
ここで、予め決められた領域とは、
図5(a)に示すように一般的なハガキの郵便番号枠印刷箇所である画像データの上部領域Tを示す。この上部領域Tに郵便番号枠が有ると判定した場合(S101のY)、確認した画像(画像データ1)が表面であると確定する(S108)。ここで、画像データが
図5(b)の左図のような逆向きの場合には、上部領域Tに郵便番号枠が無いため、画像データを180度回転させると上部領域Tと重なる部分である下部領域Bを確認する。下部領域Bに郵便番号枠が有ると判定した場合には(S101のY)、確認した画像(画像データ1)が表面であると確定する(S108)。なお、下部領域Bを確認する時には、画像データを回転させずに、郵便番号枠の検出処理の対象領域のみを下部領域Bに対応するようにしても良く、郵便番号枠が有ると判定した場合に画像データを回転させるようにしても良い。
【0039】
郵便番号枠が無いと判定した場合(S101のN)、ハガキの反対面である次の画像データ2の確認を行う(S102)。画像データ2に対してもS101と同様に郵便番号枠が有るか調べ(S103)、郵便番号枠が有ると判定した場合(S103のY)、確認した画像(画像データ2)が表面であると確定する(S108)。
【0040】
S103においても郵便番号枠が無いと判定した場合(S103のN)、郵便番号枠による判定から切手領域(料額印面)の有無による判定に処理を変更する(S104)。
【0041】
切手領域は、例えばあらかじめ用意した複数の形状パターン情報と一致するパターンが画像データ内の決められた領域内にあるかどうかを確認し判定するようにすれば良い。切手には様々なデザインがあるが、マッチング用のパターンデータを複数用意しておくことで確実に切手領域を判定するようにすれば良い。切手領域は形状が単純であるため、画像データの片面のみ確認しただけでは判定が困難である。
【0042】
そのため、画像データ両面のあらかじめ決められた領域を調べ、判定精度を向上させる。ここで、あらかじめ決められた領域とは、
図5(a)に示すように一般的なハガキの切手が貼付けられる画像データの上部領域Lを示す。この時、判定手順は、具体的には、
図5(b)に示す画像データ1内の上部領域Lおよび下部領域Rと、画像データ2内の上部領域Lおよび下部領域Rに切手領域が含まれるかどうかを判定する(S105)。
【0043】
判定処理の結果、切手領域が片面のみであった場合(S106のY)、切手領域が有ると判定された画像が表面であると確定する(S111)。切手領域が両面共に有る、または両面共に無いと判定した場合(S106のN)、画像データの表裏面が判定できないため、その旨をユーザーに報知する(S107)。
【0044】
さらに本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置は、画像順序入替部75によって表裏面を判定した画像データを予め決められた順番に入れ替えて保存することができる。この処理について
図6のフローチャートを用いて説明する。画像順序入替部75に、あらかじめ画像データの保存順序(順序入替条件)を設定しておく。例えば、画像データ1ページ目から順番に表・裏・表・裏…の順番で並べて保存する設定を行った場合、画像順序入替部75は、その順序情報を設定する(S201)。
【0045】
読み取った画像データの1番目を確認し(S202)、画像データの保存順序に設定した条件と一致しているかを判定する(S203)。
【0046】
判定した結果、条件が一致していたら(S203のY)、画像データを保存し(S205)、次の画像データの確認を行う(S206)。
【0047】
条件が一致していなかった場合(S203のN)には、次の画像データを確認し(S204)、順序入替条件に設定した条件と一致しているかを判定する(S208)。条件が一致していた場合(S208のY)、前の画像データと順番を入れ替えて、両方の画像データを保存する(S211)。条件が一致していなかった場合(S208のN)、想定していない画像データであると判断し、ユーザーに報知する(S210)。
【0048】
また、S103で画像データが一致していて、S205で画像データを保存したあとは、次の画像データの確認を行い(S206)、順序入替条件に設定した条件と一致しているかを判定する(S207)。
【0049】
条件が一致していた場合(S207のY)、画像データを保存する(S209)。条件が一致していなかった場合(S207のN)、想定していない画像データであると判断し、ユーザーに報知する(S210)。
【0050】
S212では、これまでの一連の流れで処理を行った画像データが最終の画像データかを確認し、最終の画像データでなかった場合(S212のN)、次の画像データの確認を行う(S213)。最終の画像データであった場合(S212のY)、画像データの入替およびデータ保存処理を完了する(S214)。
【0051】
以上説明した処理を行うことで、操作者の手間を減らして効率的に画像データの保存を行うことができる。
【0052】
なお、以上説明した実施形態において、
図4で説明したフローのS105においては、官製ハガキである年賀ハガキの切手領域を主な対象として切手領域の検出を行ったが、これに限られず、普通切手をハガキに貼り付けた私製ハガキが対象となっても良い。この場合、切手の縁にギザギザした目打ちがあるため、画像データに目打ちに対応した模様が検出された場合に切手領域であると判定しても良い。
【0053】
また、上記実施形態においては、郵便番号の検出により画像データの表裏が判定できなかった場合に、切手領域を用いて表裏面の判別を行う例について説明した。本発明はこれに限られず、切手領域に替えて、ハガキに予め印刷された他の特徴領域を用いても良い。例えば「お年玉付郵便はがき」における下部に印刷されたくじ引き番号部分や、「年賀」などの特定の文字列によって表裏の判別を行っても良い。
【0054】
本実施形態では、画像処理部および画像データ保存部を画像読取装置外部に設けたが、画像読取装置内部に設ける構成でも良い。
【0055】
また、本実施形態で読み取る画像データは、年賀状などのハガキだけでなく、メッセージカードやクリスマスカードなどに適用しても良い。
【符号の説明】
【0056】
A 画像読取装置
S 搬送媒体
1 載置台
2 排出トレイ
3、4 駆動部
5 伝達部
11 送りローラ
12 分離ローラ
21、31 駆動ローラ
22、22 従動ローラ
40 重送検出センサ
50、60 媒体検出センサ
70、70a、70b 画像読取部
71 画像制御部
72 バッファメモリ
73 送出部
74 画像表裏面判定部
75 画像順序入替部
76 画像向き判定部
77 画像向き入替部
78 画像処理部
79 画像データ保存部
80 制御部
81 CPU
82 記憶部
83 操作部
84 通信部
85 インターフェイス部
86 アクチュエータ
87 センサ
201 操作部
202 表示部