(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163207
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
B65H 26/06 20060101AFI20231102BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20231102BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20231102BHJP
B41J 29/48 20060101ALI20231102BHJP
B41J 11/70 20060101ALI20231102BHJP
B41J 15/04 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B65H26/06
B41J29/38 204
B41J29/46 Z
B41J29/48 B
B41J29/48 E
B41J11/70
B41J15/04
B41J29/38 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073951
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】奥苑 大成
(72)【発明者】
【氏名】出浦 祐視
(72)【発明者】
【氏名】疇地 悠
(72)【発明者】
【氏名】中野 靖大
(72)【発明者】
【氏名】金澤 学郎
(72)【発明者】
【氏名】辻村 祐樹
【テーマコード(参考)】
2C058
2C060
2C061
3F105
【Fターム(参考)】
2C058AB16
2C058AC07
2C058AE04
2C058AF06
2C058AF20
2C058AF51
2C058LA02
2C058LB10
2C058LB19
2C058LB36
2C058LC04
2C060BA03
2C060BA10
2C060BC03
2C060BC12
2C060BC94
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS02
2C061AS06
2C061HN15
2C061HV09
2C061HV13
2C061HV26
2C061HV32
2C061HV33
2C061LL04
2C061LL07
3F105AA02
3F105AB04
3F105BA22
3F105CC01
3F105DA23
3F105DC03
(57)【要約】
【課題】ユーザの意図しない印刷が生じるのを抑制する。
【解決手段】プリンタの制御部は、記録指令に基づいてロール紙に印刷させる処理と、フラッシュメモリに記憶されたロール体の残量を、ロール紙の搬送量を差し引いた値に更新する処理と、記録指令を受け取ったときに印刷長さを決定する決定処理と、印刷長さがフラッシュメモリに記憶されたロール体の残量よりも長い場合、当該記録指令に基づく印刷を実行せず、ロール体の残量が不足していることを示す報知動作をタッチパネルディスプレイに実行させる処理と、搬送異常を検知した場合、フラッシュメモリに記憶されたロール体の残量から補正値を差し引いた値に補正する処理と、を実行可能である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状媒体がロール状に巻回されたロール体を支持する支持部と、
前記ロール体から巻き解かれたシート状媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送されるシート状媒体に画像を記録する記録部と、
記憶部と、
報知動作を実行可能な報知部と、
シート状媒体に搬送異常が生じたことを検知する異常検知部と、
制御部と、を備えており、
前記制御部は、
記録指令に基づいて、前記搬送部にシート状媒体を搬送させ且つ前記記録部に画像を記録させる画像記録処理と、
前記記憶部に記憶された前記ロール体の残量を、前記画像記録処理において搬送されたシート状媒体の搬送量を差し引いた値に更新する残量更新処理と、
前記記録指令を受け取ったときに、当該記録指令に基づく前記画像記録処理によって使用されるシート状媒体の長さを決定する決定処理と、
前記決定処理によって決定されたシート状媒体の長さが前記残量更新処理によって更新される前記ロール体の残量よりも長い場合、当該記録指令に基づく前記画像記録処理を実行せず、前記ロール体の残量が不足していることを示す前記報知動作を前記報知部に実行させる報知処理と、
前記異常検知部が前記搬送異常を検知した場合、前記残量更新処理によって更新される前記ロール体の残量を、前記搬送異常に基づく補正値を差し引いた値に補正する補正処理と、を実行可能であることを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
シート状媒体がロール状に巻回されたロール体を支持する支持部と、
前記ロール体から巻き解かれたシート状媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送されるシート状媒体に画像を記録する記録部と、
記憶部と、
報知動作を実行可能な報知部と、
シート状媒体に搬送異常が生じたことを検知する異常検知部と、
ユーザ操作に基づく信号を受け付ける受付部と、
制御部と、を備えており、
前記制御部は、
記録指令に基づいて、前記搬送部にシート状媒体を搬送させ且つ前記記録部に画像を記録させる画像記録処理と、
前記記憶部に記憶された前記ロール体の残量を、前記画像記録処理において搬送されたシート状媒体の搬送量を差し引いた値に更新する残量更新処理と、
前記記録指令を受け取ったときに、当該記録指令に基づく前記画像記録処理によって使用されるシート状媒体の長さを決定する決定処理と、
前記異常検知部が前記搬送異常を所定回数以上検知した場合、異常情報を前記記憶部に記憶させる異常情報記憶処理と、
前記決定処理によって決定されたシート状媒体の長さが前記残量更新処理によって更新される前記ロール体の残量よりも長く、且つ、前記記憶部に前記異常情報が記憶されている場合、前記ロール体の残量が不足している可能性があるが前記画像記録処理を実行するかを問い合わせる前記報知動作を前記報知部に実行させる報知処理と、を実行可能であり、
前記報知処理後に前記画像記録処理を実行することを示す信号が前記受付部に入力された場合、前記画像記録処理を実行することを特徴とする画像記録装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記決定処理によって決定されたシート状媒体の長さが前記残量更新処理によって更新される前記ロール体の残量よりも長く、且つ、前記記憶部に前記異常情報が記憶されていない場合、前記画像記録処理を実行せず、前記ロール体の残量が不足していることを示す前記報知動作を前記報知部に実行させることを特徴とする請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記補正処理において、前記異常検知部が前記搬送異常を検知したときのシート状媒体の先端位置に応じて決定した前記補正値を、前記残量更新処理によって更新される前記ロール体の残量から差し引くことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記搬送部によって搬送されるシート状媒体の搬送方向において、前記記録部よりも上流に配置され、前記搬送部によって搬送されるシート状媒体を切断する切断部を、さらに備えており、
前記制御部は、
前記補正処理において、前記異常検知部が前記搬送異常を検知したときのシート状媒体の先端が前記記録部と前記切断部との間に位置する場合、前記補正値を0と決定することを特徴とする請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記搬送部は、前記記録部に隣接する搬送ローラ対を有しており、
前記制御部は、
前記補正処理において、前記異常検知部が前記搬送異常を検知したときのシート状媒体の先端が前記記録部に到達しており且つ前記切断部によるシート状媒体の切断前の場合、前記搬送異常を検知してからの前記搬送ローラ対によるシート状媒体の搬送距離を前記補正値として決定し、前記異常検知部が前記搬送異常を検知したときのシート状媒体の先端が前記記録部に到達しており且つ前記切断部によるシート状媒体の切断後の場合、前記決定処理によって決定されたシート状媒体の長さから前記搬送異常を検知したときまでの前記搬送ローラ対による前記搬送距離を差し引いた長さを前記補正値として決定することを特徴とする請求項5に記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記補正処理において、前記異常検知部が前記搬送異常を検知したときのシート状媒体の先端が前記切断部に到達していない場合、第1所定長さを前記補正値として決定することを特徴とする請求項5又は6に記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記記憶部は、前記搬送異常の種類に応じた複数の前記補正値を記憶しており、
前記制御部は、
前記補正処理において、前記搬送異常の種類に応じて前記記憶部に記憶された前記複数の補正値の中から前記補正値を決定することを特徴とする請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記異常検知部が検知する前記搬送異常の累積回数を前記記憶部に記憶させる回数記憶処理を、さらに実行可能であり、
前記補正処理において、前記残量更新処理によって更新される前記ロール体の残量を、前記記憶部に記憶された前記累積回数と前記搬送異常に基づく第2所定長さとを乗じた補正値を差し引いた値に補正することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項10】
筐体と、
シート状媒体がロール状に巻回されたロール体が前記筐体に対して所定位置に装着されたことを検知する装着検知部と、
前記ロール体から巻き解かれたシート状媒体を搬送する搬送部と、
前記筐体に支持されており、前記搬送部によって搬送されるシート状媒体に画像を記録する記録部と、
記憶部と、
報知動作を実行可能な報知部と、
取得部と、
制御部と、を備えており、
前記制御部は、
記録指令に基づいて、前記搬送部にシート状媒体を搬送させ且つ前記記録部に画像を記録させる画像記録処理と、
前記取得部によって取得された前記ロール体の種類と関連付けられて前記記憶部に記憶された前記ロール体の残量を、前記画像記録処理において搬送されたシート状媒体の搬送量を差し引いた値に更新する残量更新処理と、
前記記録指令を受け取ったときに、当該記録指令に基づく前記画像記録処理によって使用されるシート状媒体の長さを決定する決定処理と、
前記決定処理によって決定されたシート状媒体の長さが前記残量更新処理によって更新される前記ロール体の残量よりも長い場合、当該記録指令に基づく前記画像記録処理を実行せず、前記ロール体の残量が不足していることを示す前記報知動作を前記報知部に実行させる報知処理と、を実行可能であり、
前記ロール体が前記筐体に対して前記所定位置に装着されたことを前記装着検知部が検知したときに、前記取得部を用いて前記ロール体の種類を取得する第1取得処理と、
前記第1取得処理で取得した前記ロール体の種類と関連付けられた前記ロール体の残量が前記記憶部に記憶されていない場合、前記取得部を用いて、前記第1取得処理で取得した前記ロール体の種類に対応したロール長を取得する第2取得処理と、
前記第2取得処理で取得したロール長を前記第1取得処理で取得した前記ロール体の種類と関連付けて、前記残量更新処理によって更新される前記ロール体の残量として前記記憶部に記憶させる記憶処理と、をさらに実行可能であることを特徴とする画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール体から巻き解かれたシート状媒体に画像を記録する画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロール紙(ロール体)が新たにセットされた時にロール紙の全長を残量として設定され、当該残量から使用されたロール紙の給紙長を減算することにより算出されたロール紙の残量と原稿の長さ(画像記録処理によって使用されるシート状媒体の長さ)とを比較し、原稿の長さがロール紙の残量よりも長い場合、印刷を禁止したり、その旨を示す警告情報を表示したりする画像形成装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ジャムなどによるロール紙の搬送異常が生じた場合、ジャムによって使用不可能になったロール紙の一部をユーザが切断すると、実際のロール紙の残量が算出されているロール紙の残量よりも短くなる可能性がある。また、例えば、残量のあるロール紙を一時的に取り外し再度そのロール紙を装着した場合に、当該ロール紙の未使用状態の全長が残量として設定され、実際のロール紙の残量が設定されたロール紙の残量よりも短くなる可能性がある。このように実際のロール紙の残量が画像記録装置に記憶されている残量よりも短い状態であると、画像記録装置に記憶されているロール紙の残量が印刷される画像の長さより長いにもかかわらず、実際は印刷の途中でロール紙が足りなくなる可能性がある。つまり、ユーザの意図しない印刷が生じる問題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、ユーザの意図しない印刷が生じるのを抑制することが可能な画像記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像記録装置は、第1の観点では、シート状媒体がロール状に巻回されたロール体を支持する支持部と、前記ロール体から巻き解かれたシート状媒体を搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送されるシート状媒体に画像を記録する記録部と、記憶部と、報知動作を実行可能な報知部と、シート状媒体に搬送異常が生じたことを検知する異常検知部と、制御部と、を備えている。そして、前記制御部は、記録指令に基づいて、前記搬送部にシート状媒体を搬送させ且つ前記記録部に画像を記録させる画像記録処理と、前記記憶部に記憶された前記ロール体の残量を、前記画像記録処理において搬送されたシート状媒体の搬送量を差し引いた値に更新する残量更新処理と、前記記録指令を受け取ったときに、当該記録指令に基づく前記画像記録処理によって使用されるシート状媒体の長さを決定する決定処理と、前記決定処理によって決定されたシート状媒体の長さが前記残量更新処理によって更新される前記ロール体の残量よりも長い場合、当該記録指令に基づく前記画像記録処理を実行せず、前記ロール体の残量が不足していることを示す前記報知動作を前記報知部に実行させる報知処理と、前記異常検知部が前記搬送異常を検知した場合、前記残量更新処理によって更新される前記ロール体の残量を、前記搬送異常に基づく補正値を差し引いた値に補正する補正処理と、を実行可能である。
【0007】
また、本発明の画像記録装置は、第2の観点では、シート状媒体がロール状に巻回されたロール体を支持する支持部と、前記ロール体から巻き解かれたシート状媒体を搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送されるシート状媒体に画像を記録する記録部と、記憶部と、報知動作を実行可能な報知部と、シート状媒体に搬送異常が生じたことを検知する異常検知部と、ユーザ操作に基づく信号を受け付ける受付部と、制御部と、を備えている。そして、前記制御部は、記録指令に基づいて、前記搬送部にシート状媒体を搬送させ且つ前記記録部に画像を記録させる画像記録処理と、前記記憶部に記憶された前記ロール体の残量を、前記画像記録処理において搬送されたシート状媒体の搬送量を差し引いた値に更新する残量更新処理と、前記記録指令を受け取ったときに、当該記録指令に基づく前記画像記録処理によって使用されるシート状媒体の長さを決定する決定処理と、前記異常検知部が前記搬送異常を所定回数以上検知した場合、異常情報を前記記憶部に記憶させる異常情報記憶処理と、前記決定処理によって決定されたシート状媒体の長さが前記残量更新処理によって更新される前記ロール体の残量よりも長く、且つ、前記記憶部に前記異常情報が記憶されている場合、前記ロール体の残量が不足している可能性があるが前記画像記録処理を実行するかを問い合わせる前記報知動作を前記報知部に実行させる報知処理と、を実行可能であり、前記報知処理後に前記画像記録処理を実行することを示す信号が前記受付部に入力された場合、前記画像記録処理を実行する。
【0008】
また、本発明の画像記録装置は、第3の観点では、筐体と、シート状媒体がロール状に巻回されたロール体が前記筐体に対して所定位置に装着されたことを検知する装着検知部と、前記ロール体から巻き解かれたシート状媒体を搬送する搬送部と、前記筐体に支持されており、前記搬送部によって搬送されるシート状媒体に画像を記録する記録部と、記憶部と、報知動作を実行可能な報知部と、取得部と、制御部と、を備えている。そして、前記制御部は、記録指令に基づいて、前記搬送部にシート状媒体を搬送させ且つ前記記録部に画像を記録させる画像記録処理と、前記取得部によって取得された前記ロール体の種類と関連付けられて前記記憶部に記憶された前記ロール体の残量を、前記画像記録処理において搬送されたシート状媒体の搬送量を差し引いた値に更新する残量更新処理と、前記記録指令を受け取ったときに、当該記録指令に基づく前記画像記録処理によって使用されるシート状媒体の長さを決定する決定処理と、前記決定処理によって決定されたシート状媒体の長さが前記残量更新処理によって更新される前記ロール体の残量よりも長い場合、当該記録指令に基づく前記画像記録処理を実行せず、前記ロール体の残量が不足していることを示す前記報知動作を前記報知部に実行させる報知処理と、を実行可能であり、前記ロール体が前記筐体に対して前記所定位置に装着されたことを前記装着検知部が検知したときに、前記取得部を用いて前記ロール体の種類を取得する第1取得処理と、前記第1取得処理で取得した前記ロール体の種類と関連付けられた前記ロール体の残量が前記記憶部に記憶されていない場合、前記取得部を用いて、前記第1取得処理で取得した前記ロール体の種類に対応したロール長を取得する第2取得処理と、前記第2取得処理で取得したロール長を前記第1取得処理で取得した前記ロール体の種類と関連付けて、前記残量更新処理によって更新される前記ロール体の残量として前記記憶部に記憶させる記憶処理と、をさらに実行可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像記録装置の第1の観点によると、搬送異常を考慮してロール体の残量を補正することが可能となる。このため、記憶部に記憶されたロール体の残量の信頼度が向上し、信頼度の向上した残量に基づいて報知処理を実行することが可能となる。この結果、ロール体の長さが足りないにも係わらず、画像記録処理が実行されるのを抑制することが可能となり、ユーザの意図しない印刷が生じるのを抑制することが可能となる。
本発明の画像記録装置の第2の観点によると、報知処理において、所定回数以上の搬送異常が生じていたことでロール体の残量が不足している可能性をユーザに報知した上で、画像記録処理を実行することを受け付けた場合に、当該画像記録処理を実行する。したがって、ユーザの意図しない印刷が生じるのを抑制することが可能となる。
本発明の画像記録装置の第3の観点によると、所定位置に装着されたロール体と同じ種類のロール体に関連付けられた残量が記憶部に記憶されていれば、その残量を所定位置に装着されたロール体の残量の初期値とするので、高い信頼度で残量を決定することができる。つまり、残量のある使用途中のロール体が取り外されて異なるロール体が装着されて使用された後、取り外されていた使用途中のロール体が再度装着されるなど、使用途中のロール体を何らかの理由で一時的に取り外し再度所定位置に装着した場合でも、当該ロール体と同じ種類のロール体に関連付けられた残量が記憶部に記憶されていれば、未使用状態のロール体の全長等が装着されたロール体の残量とされずに、当該記憶部に記憶された残量がロール体の残量として決定され、記憶部に記憶されたロール体の残量の信頼度が向上する。この結果、ロール体の長さが足りないにも係わらず、画像記録処理が実行されるのを抑制することが可能となり、ユーザの意図しない印刷が生じるのを抑制することが可能となる。一方、所定位置に装着されたロール体と同じ種類のロール体に関連付けられた残量が記憶部に記憶されていなければ、装着されたロール体の種類に対応したロール長を取得してロール体の残量の初期値とするので、高い信頼度でロール体の残量を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態にかかるプリンタの内部構造を示す概略側面図である。
【
図2】
図1に示すロール紙有無検知部を示しており、(a)はロール紙が給送ローラの直下に配置されていない状態を示し図であり、(b)はロール紙が給送ローラの直下に配置されている状態を示す図である。
【
図3】
図1に示すプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1に示すプリンタで印刷を実行する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図1に示すプリンタで印刷を実行する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図5に示すトレイ取り外し処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図5に示すトレイ装着処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】カレントロール体情報の設定画面を示す図である。
【
図9】カレントロール体情報のロール体長入力画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態にかかるプリンタ100について、図面を参照しつつ説明する。以下の説明においては、プリンタ100が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向及び前後方向が定義され、プリンタ100を前方から見て左右方向(
図1の紙面に垂直な方向)が定義される。
【0012】
プリンタ100は、
図1に示すように、筐体100a、給送カセット1、搬送部3、切断部4、ヘッド(本発明の「記録部」)5、排出トレイ6、ガイド部材7、制御部8、タッチパネルディスプレイ9、ロール紙有無検知部91、着脱センサ92、エンコーダ93a~93c(
図3参照)などを有する。
【0013】
給送カセット1は、筐体100a内においてヘッド5の下方に配置されている。また、給送カセット1は、
図1に示すように、トレイ11と、ロール体Rを収容可能なロール体収容部20とを有している。ロール体Rは、
図1に示すように、円筒状の芯部材Rcの外周面に長尺のロール紙(本発明の「シート状媒体」)Rpがロール状に巻回されたものである。
【0014】
トレイ11は、
図1に示すように、上方に開口した箱形状を有する。トレイ11は、筐体100aに対して前後方向に沿って挿抜可能である。
【0015】
ロール体収容部(本発明の「支持部」)20は、
図1に示すように、トレイ11の底壁11aの前方側に配置されており、ロール体Rの下側部分の外周面を支持しつつ当該ロール体Rを回転可能に支持する。ロール体Rは、その回転軸(芯部材Rcの中心軸)が左右方向(ロール紙Rpの幅方向)に沿った状態で、ロール体収容部20に収容される。
【0016】
ロール体収容部20は、
図1に示すように、ロール体Rを収容する凹部21を有する。凹部21の底部に、2つのローラ22,23が設けられている。2つのローラ22,23は、それぞれ、左右方向に延びる回転軸を中心として回転可能である。ロール体Rは、凹部21に収容されたとき、その下側部分の外周面が2つのローラ22,23に支持される。
【0017】
ロール体収容部20は、
図1に示すように、凹部21と連通しかつ上下方向に延びる孔25と、孔25と連通しかつ前後方向に延びる溝26とを有する。これら孔25及び溝26は、共に、ロール体収容部20の底面に開口している。また、孔25及び溝26は、左右方向に長尺に延在して形成されている。より詳細には、ロール紙Rpの左右方向の幅よりも長く形成されている。ロール体Rから巻き解かれたロール紙Rpは、孔25及び溝26を通り、ヘッド5に向けて搬送される。
【0018】
搬送部3は、給送部41、中間ローラ対42、搬送ローラ対43、及び、排出ローラ対44を有している。給送部41は、ロール紙Rpを後方に向かって給送カセット1から送り出す。給送部41は、給送カセット1の上方に配置されており、給送ローラ41a、アーム41b及び給送モータ41M(
図3参照)を有する。給送ローラ41aは、アーム41bの先端に軸支されている。アーム41bは、支軸41cに回動自在に支持されている。アーム41bは、バネなどにより給送ローラ41aがトレイ11の底壁11aに接触する方向に付勢されている。また、アーム41bは、給送カセット1を着脱する際に上方へ退避可能に構成されている。給送ローラ41aは、給送モータ41Mからの駆動力が伝達されることで回転する。制御部8の制御により給送モータ41Mが駆動されると給送ローラ41aが回転し、トレイ11内に収容されたロール紙Rpが後方に向かって送り出される。
【0019】
ガイド部材7は、
図1に示すように、筐体100a内であって搬送ローラ対43の後方に隣接して設けられている。ガイド部材7は、内ガイド7a及び内ガイド7aよりも外側に配置された外ガイド7bを有する。内ガイド7aと外ガイド7bとの間には、下方から前方に向かう湾曲経路W1が形成されている。湾曲経路W1は搬送経路Wの一部である。搬送経路Wは、搬送部3によってロール紙Rpが搬送方向に沿って搬送される経路であり、ガイド部材7や筐体100a内に設けられた図示しないガイド部材によって画定して構成される。
【0020】
中間ローラ対42は、中間モータ42M(
図3参照)の駆動により回転する駆動ローラと駆動ローラに連れ回る従動ローラとを有する。制御部8の制御により中間モータ42Mが駆動されると、中間ローラ対42がロール紙Rpを挟持しつつ回転してロール紙Rpを搬送する。中間ローラ対42は、トレイ11の後端部の上方に位置している。中間ローラ対42は、トレイ11から送り出されたロール紙Rpを挟持しつつ搬送する。
【0021】
搬送ローラ対43は、搬送モータ43M(
図3参照)の駆動により回転する駆動ローラと、駆動ローラに連れ回る従動ローラとで構成されている。排出ローラ対44は、排出モータ44M(
図3参照)の駆動により回転する駆動ローラと、駆動ローラに連れ回る従動ローラとで構成されている。制御部8の制御により搬送モータ43M及び排出モータ44Mが駆動されると、搬送ローラ対43及び排出ローラ対44がロール紙Rpを挟持しつつ回転してロール紙Rpを搬送する。
【0022】
搬送ローラ対43はヘッド5よりも後方に位置しており、排出ローラ対44はヘッド5よりも前方に位置している。搬送ローラ対43は、中間ローラ対42によって上方に搬送された後、ガイド部材7により前方に案内されるロール紙Rpを挟持しつつ前方に搬送する。排出ローラ対44は、搬送ローラ対43によって前方に搬送されるロール紙Rpを挟持しつつ前方に搬送する。
【0023】
切断部4は、トレイ11の後方端部と中間ローラ対42との間に位置している。切断部4は、左右方向に細長い固定刃4aと、固定刃4aと接触しつつ左右方向に移動可能な円板状の回転刃4bとを含んでいる。回転刃4bは、制御部8に制御された切断モータ4M(
図3参照)の駆動により、左右方向に沿って往復移動する。回転刃4bは、左右のどちらか一方向に移動するのに伴って、ロール紙Rp及び固定刃4aから回転モーメントを受けて従動回転する。ロール体Rから巻き解かれて搬送されたロール紙Rpは、切断部4により幅方向(左右方向)に切断される。これにより、排出トレイ6に送られるロール紙Rpに後端が形成される。
【0024】
ヘッド5は、複数のノズル(不図示)が形成されたノズル面を有する。ヘッド5は、ドライバIC5a(
図3参照)を有しており、制御部8の制御によりドライバIC5aが駆動されると、インクカートリッジ(不図示)から供給されたインクをノズルから吐出し、搬送ローラ対43によって搬送されたロール紙Rpに対して画像を記録する。画像が記録されたロール紙Rpは、排出ローラ対44によって前方に向かって搬送される。なお、ヘッド5は、位置が固定された状態でノズルからインクを吐出するライン式ヘッド、及び、左右方向に移動しつつノズルからインクを吐出するシリアル式ヘッドのいずれの方式のヘッドでもよい。
【0025】
排出トレイ6は、筐体100aの上部の前側の側壁を構成し、筐体100aに対して開閉可能である。ヘッド5により画像が形成されたロール紙Rpは、搬送部3により前方に搬送されて開状態の排出トレイ6に受容される。これにより、ロール紙Rpがプリンタ100(筐体100aの内部)から排出される。
【0026】
ロール紙有無検知部91は、ロール体収容部20に収容されたロール体Rから巻き解かれたロール紙Rpが給送ローラ41aの直下に配置されているか否かを検知することができる。つまり、給送ローラ41aによってロール紙Rpが給送可能な状態か否かを検知することができる。ロール紙有無検知部91は、アーム341bに取り付けられている。
【0027】
ロール紙有無検知部91は、
図2に示すように、アクチュエータ91a及びセンサ91bを含む。アクチュエータ91aは、回転軸91cを中心に回転可能にアーム41bに支持されている。回転軸91cの軸方向は左右方向と平行である。センサ91bは、アクチュエータ91aを検知するセンサである。センサ91bは、アーム41bに取り付けられている。センサ91bは、例えば、発光素子及び受光素子(不図示)を有するフォトセンサである。ロール紙Rpが給送ローラ41aと接触する位置に配置されていないときは、
図2(a)に示すように、アクチュエータ91aは光路を遮蔽することがなくセンサ91bに検知されていない。つまり、センサ91bは、ロール紙Rpが無いことを示す無し信号を制御部8に出力する。ロール紙Rpが給送ローラ41aと接触する位置に配置されているときは、
図2(b)に示すように、底壁11a上に配置されたロール紙Rpがアクチュエータ91aに接触する。すると、アクチュエータ91aは、ロール紙Rpによって押されることで回転軸91cを中心に回転し(
図2(b)の実線矢印)、光路を遮蔽するためセンサ91bによって検知される。つまり、センサ91bは、ロール紙Rpが有ることを示す有り信号を制御部8に出力する。このようにロール紙有無検知部91は、ロール体Rから巻き解かれたロール紙Rpが給送ローラ41aの直下に配置されているか否かを検知することができる。
【0028】
着脱センサ(本発明の「装着検知部」)92は、
図1に示すように、トレイ11が筐体100aに装着されたときにトレイ11の後端と当接可能な筐体100a内に配置されている。着脱センサ92は、トレイ11と当接しているときに、トレイ11が筐体100aに装着されていることを示す装着信号を制御部8に出力する。また、着脱センサ92は、トレイ11が筐体100aから取り外され、トレイ11と当接していないときに、トレイ11が筐体100aから取り外されていることを示す取り外し信号を制御部8に出力する。このように着脱センサ92は、トレイ11が筐体100aの所定位置(すなわち、トレイ11が着脱センサ92に当接する位置)に装着されているか否かを検知することができる。
【0029】
3つのエンコーダ93a~93cは、給送ローラ41a、搬送ローラ対43及び排出ローラ対44のそれぞれの回転量を制御部8に出力する。制御部8は、エンコーダ93a~93cから回転量を示す信号に基づいてロール紙Rpの搬送量を導出する。
【0030】
例えば、印刷時に、3つのエンコーダ93a~93cのうち、本来信号を出力すべきエンコーダ93a~93cから制御部8に信号が出力されない場合、ロール紙Rpのジャム、すなわち、搬送異常が生じている。このような場合、制御部8が、エンコーダ93a~93cからの信号に基づいて搬送異常が生じているか否かを検知する。このように本実施形態においては、エンコーダ93a~93c及び制御部8により、搬送異常を検知する異常検知部として機能する。
【0031】
タッチパネルディスプレイ(本発明の「報知部及び取得部」)9は、ユーザに対して情報を報知する報知動作を行うためのものである。また、タッチパネルディスプレイ9は、画面をタッチすることで、ユーザからの入力を受け付ける受付部としても機能する。本実施形態においては、報知部として、タッチパネルディスプレイ9を採用しているが、ユーザに対して情報を報知する報知動作を行うことが可能であれば、スピーカやディスプレイなどであってもよい。また、タッチパネルディスプレイ9に代えて、ユーザからの情報を入力可能な入力部を有していてもよい。
【0032】
次に、
図3を参照しつつ、プリンタ100の制御構成について説明する。プリンタ100の制御部8は、プリンタ100全体の制御を司り、バス94aによって互いに接続された、CPU(Central Processing Unit)81、ROM(Read Only Memory)82及びRAM(Random Access Memory)83、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)84、フラッシュメモリ(本発明の「記憶部」)85などを含む。また、制御部8のASIC84は、バス94bによって、ドライバIC5a、給送モータ41M、中間モータ42M、搬送モータ43M、排出モータ44M、切断モータ4M、タッチパネルディスプレイ9、エンコーダ93a~93c、センサ91b、着脱センサ92と接続されている。そして、これらCPU81、ROM82及びRAM83、ASIC84、フラッシュメモリ85が協働して、ドライバIC5a、給送モータ41M、中間モータ42M、搬送モータ43M、排出モータ44M、切断モータ4M、タッチパネルディスプレイ9などの動作を制御する。フラッシュメモリ85は、カレントロール体情報及び前ロール体情報が記憶可能に構成されている。カレントロール体情報は、トレイ11が筐体100aの所定位置に装着された状態のロール体Rの情報を示す。前ロール体情報は、トレイ11が筐体100aから取り外されたときのロール体Rの情報が記憶されることで構成される。
【0033】
なお、制御部8は、CPU81のみが各種処理を行うものであってもよいし、ASIC84のみが各種処理を行うものであってもよいし、CPU81とASIC84とが協働して各種処理を行うものであってもよい。また、制御部8は、1つのCPU81が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のCPU81が処理を分担して行うものであってもよい。また、制御部8は、1つのASIC84が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のASIC84が処理を分担して行うものであってもよい。
【0034】
また、
図3に示すように、プリンタ100は、制御部8と接続された通信インターフェース97を有する。通信インターフェース97は、ネットワーク98に接続されている。また、ロール体Rの種類及び新品時の種類毎のロール長などの情報を記憶されたサーバ99もネットワーク98に接続されている。これにより、制御部8は、通信インターフェース97及びネットワーク98を介して、サーバ99と接続されている。また、制御部8は、通信インターフェース97又は通信インターフェース97及びネットワーク98を介してPC(パーソナルコンピュータ)などの外部装置(不図示)と接続されている。また、ROM82にも、ロール体Rの種類及び新品時の種類毎のロール長などの情報が記憶されていてもよい。
【0035】
<印刷時の制御>
続いて、ロール紙Rpに画像を記録するときの印刷時の制御について説明する。プリンタ100では、印刷を実行するための記録指令を受け取ったときに、制御部8が、
図4及び
図5のフローに沿って処理を行う。記録指令は、プリンタ100でロール紙Rpに画像を記録することを指示する信号であって、外部装置などから制御部8に送信される。また、記録指令は、プリンタ100のタッチパネルディスプレイ9から印刷を選択することで、タッチパネルディスプレイ9から制御部8に出力される。なお、本実施形態においては、ロール紙Rpの先端が切断部4付近に配置された状態として説明する。
【0036】
図4及び
図5のフローについてより詳細に説明すると、制御部8は、まず、記録指令を受け取ったか否かを判定する(S1)。記録指令を受け取っていない場合(S1:NO)、S1を繰り返す。記録指令を受け取った場合(S1:YES)、制御部8は、記録指令に基づいて使用されるロール紙Rpの印刷長さLを決定する(S2:本発明の「決定処理」)。印刷長さLは、記録指令に含まれる画像データ長さに基づいて印刷長さLを決定する。変形例として、ユーザがタッチパネルディスプレイ9から入力した長さであってもよい。また、プリンタ100にADF(Auto Document Feeder:自動原稿送り装置)が設けられており、当該ADFで読み取った原稿を印刷する場合は、ADFで読み取った原稿長さを印刷長さLとして決定してもよい。
【0037】
次に、制御部8は、カレントロール体情報の搬送異常回数CN×所定長さL1を補正値として決定し、カレントロール体情報の残量CLから補正値(すなわち、搬送異常回数CN×所定長さL1)を差し引く(S3:本発明の「補正処理」)。フラッシュメモリ85に記憶されたカレントロール体情報には、ロール体Rの種類(例えば、媒体の種類など)毎のロール体Rの残量CL、搬送異常回数CNを含む。また、フラッシュメモリ85には、所定長さL1(例えば、5cm:本発明の「第2所定長さ」)、及び、後述の所定長さL2(例えば、3cm:本発明の「第1所定長さ:補正値」)を記憶している。
【0038】
次に、制御部8は、印刷長さLがS3の残量CL-(搬送異常回数CN×所定長さL1)よりも長いか否かを判定する(S4)。印刷長さLが(残量CL-(搬送異常回数CN×所定長さL1)以下の場合(S4:NO)、制御部8は、ロール紙印刷を開始する(S5)。制御部8は、まずは、搬送部3によりロール紙Rpをヘッド5に向けて搬送を開始する(本発明の「画像記録処理」)。
【0039】
次に、制御部8は、ロール紙Rpの先端がヘッド5に到達したか否かを判定する(S6)。制御部8は、エンコーダ93a,93bからの回転量を示す信号に基づいてロール紙Rpの搬送量を導出する。そして、その搬送量が切断部4からヘッド5までの搬送経路Wに沿った距離となったときに、ロール紙Rpの先端がヘッド5に到達したと判定する。ロール紙Rpの先端がヘッド5に到達した場合(S6:YES)、制御部8はロール紙Rpへの画像記録を開始する(S7)。つまり、制御部8がドライバIC5aを制御し、ノズルからインクをロール紙Rpに吐出して画像を記録する(本発明の「画像記録処理」)。
【0040】
次に、制御部8は、搬送ローラ対43による搬送量H1を残量CLから差し引く(S8)。つまり、制御部8はエンコーダ93bからの回転量を示す信号に基づいて搬送量H1を導出する。そして、フラッシュメモリ85に記憶された残量CLから搬送量H1を差し引いた値に更新する(本発明の「残量更新処理」)。
【0041】
次に、制御部8は、搬送ローラ対43による搬送量H1が印刷長さLから切断部4から搬送ローラ対43までの搬送経路Wに沿った距離HL1を差し引いた長さに達したか否かを判定する(S9)。搬送量H1が印刷長さLから距離HL1を差し引いた長さに達した場合(S9:YES)、切断処理を実行する(S10)。つまり、制御部8は、S10において、切断モータ4Mを駆動し、切断部4でロール紙Rpを切断し、ロール紙Rpに後端を形成する。
【0042】
次に、制御部8は、搬送ローラ対43による搬送量H1が印刷長さLに達したか否かを判定する(S11)。搬送量H1が印刷長さLに達した場合(S11:YES)、制御部8は、距離HL1に相当する搬送量H1を残量CLから差し引く(S12)。つまり、制御部8は、印刷開始時における残量CLから今回の印刷による印刷長さLを差し引いた値となるように更新する(本発明の「残量更新処理」)。
【0043】
次に、制御部8は、エンコーダ93cからの回転量を示す信号に基づいて切断部4で切断されたロール紙Rpが排出トレイ6に排出されたか否かを判定する(S13)。排出されていない場合、すなわち、ロール紙Rpの後端が排出ローラ対44を通過していない場合(S13:NO)、S13を繰り返す。一方、ロール紙Rpが排出された場合(S13:YES)、フローを終了する。
【0044】
S4に戻って、印刷長さLが(残量CL-(搬送異常回数CN×所定長さL1)よりも長い場合(S4:YES)、制御部8は、搬送異常回数CNが0であるか否かを判定する(S14)。搬送異常回数CNが0である場合(S14:YES)、制御部8は残量CLが0となるように更新する(S15)。
【0045】
次に、制御部8は、ロール体Rの残量が不足している旨を報知する動作を報知動作としてタッチパネルディスプレイ9に実行させる(S16:本発明の「報知処理」)。つまり、タッチパネルディスプレイ9に「ロール体Rの不足が生じているため、ロール体Rを交換してください」などのメッセージを表示させる。このとき、制御部8は、ロール体Rの残量が不足していることを示す残量不足フラグをフラッシュメモリ85に記憶させる。そして、後述のS50のトレイ取り外し処理に進む。
【0046】
一方、CNが0でない場合(S14:NO)、制御部8は、ロール体残量が不足する可能性がある旨を報知する動作を報知動作としてタッチパネルディスプレイ9に実行させる(S17)。つまり、タッチパネルディスプレイ9に「ロール体残量が不足する可能性があります。印刷を続行しますか?YES/NO」などのメッセージを表示させる。
【0047】
次に、制御部8は、ユーザが印刷の続行を指示するか否かを判定する(S18)。つまり、ユーザが、タッチパネルディスプレイ9により印刷を続行しない「NO」を入力した場合(S18:NO)、S15に進む。一方、ユーザがタッチパネルディスプレイ9により印刷を続行する「YES」を入力した場合(S18:YES)、S5に進む。
【0048】
また、制御部8は、S6において、ロール紙Rpの先端がヘッド5に到達していない場合(S6:NO)、搬送異常が発生したか否かを判定する(S19)。エンコーダ93a,93bから信号が出力されており、搬送異常が生じていない場合(S19:NO)、S6を繰り返す。一方、何らかの原因によりロール紙Rpが搬送できない状態となって、エンコーダ93a,93bから信号が出力されておらず、搬送異常が生じている場合(S19:YES)、制御部8は搬送異常回数CNに1を足す(S20)。つまり、制御部8は、搬送異常回数CNが+1されるようにフラッシュメモリ85に記憶させる(本発明の「異常情報記憶処理及び回数記憶処理」)。
【0049】
ここで生じる搬送異常としては、ロール紙Rpの先端がヘッド5に到達する前に搬送経路W内で詰まることなどが考えられる。このときにロール紙Rpを再セットする場合、トレイ11を筐体100aから取り外してロール紙Rpの先端をトレイ側から引き戻す必要がある。また、このとき、ロール紙Rpの先端が折れ曲がっていることがある。この場合、ユーザはハサミなどで当該折れ曲がったロール紙Rpの先端部を除去することがある。このロール紙Rpの先端部の除去分を残量CLに考慮するために、S20で搬送異常回数CNを+1とし、上述のS3での補正値の決定の際に反映する。換言すると、S20では、搬送異常回数CN以外の補正値としては0と決定する。したがって、S20の補正処理では、後述のS26のような補正値を残量CLから差し引かない。
【0050】
次に、制御部8は、搬送異常が生じている旨を報知する動作を報知動作としてタッチパネルディスプレイ9に実行させる(S21)。このとき、タッチパネルディスプレイ9に「搬送異常が生じているため、ロール紙Rpを再セットしてください」などのメッセージを表示させる。この後、後述のS50のトレイ取り外し処理に進む。ここで生じる搬送異常としては、ロール紙Rpの先端がヘッド5に到達する前に搬送経路W内で詰まることなどが考えられる。このときにロール紙Rpを再セットする場合、トレイ11を筐体100aから取り外してロール紙Rpの先端をトレイ側から引き戻す必要がある。また、このとき、ロール紙Rpの先端が折れ曲がっていることがある。この場合、ユーザはハサミなどで当該折れ曲がったロール紙Rpの先端部を除去することがある。このロール紙Rpの先端部の除去分を残量CLに考慮するために、S20で搬送異常回数CNを+1し、上述のS3での補正値の決定の際に反映する。
【0051】
また、制御部8は、S9において、搬送量H1が印刷長さLから距離HL1を差し引いた長さに達していない場合(S9:NO)、搬送異常が発生したか否かを判定する(S22)。エンコーダ93bから信号が出力されており、搬送異常が生じていない場合(S22:NO)、S8に戻る。一方、何らかの原因によりロール紙Rpが搬送できない状態となって、エンコーダ93bから信号が出力されておらず、搬送異常が生じている場合(S22:YES)、制御部8はカレントロール体の搬送異常回数CNに1を足す(S23:本発明の「異常情報記憶処理及び回数記憶処理」)。ここでも上述のS3での補正値の決定の際に反映する。
【0052】
次に、制御部8は、搬送異常が生じている旨を報知する動作を報知動作としてタッチパネルディスプレイ9に実行させる(S24)。このとき、タッチパネルディスプレイ9に「搬送異常が生じています。異常の生じたロール紙部分の除去が完了したましたか?YES/NO」などのメッセージを表示させる。
【0053】
ここで生じる搬送異常としては、給送ローラ41aからヘッド5までの搬送経路W内で生じることが考えられる。このときにロール紙Rpを再セットする場合、ロール紙Rpの先端が排出トレイ6側に排出されてきているため、ユーザはロール紙Rpを排出トレイ6側に引き出す。そして、搬送異常によって異常の生じたロール紙Rp部分をハサミなどで切断する。この後、トレイ11を筐体100aから取り外して、直前に切断して形成したロール紙Rpの先端をトレイ側から引き戻す。このため、制御部8は、搬送異常によって異常の生じたロール紙部分の除去が完了したか否かを判定する(S25)。
【0054】
異常の生じたロール紙部分の除去が完了し、ユーザが「YES」を入力するまで(S25:NO)、S25を繰り返す。一方、ユーザが「YES」を入力した場合(S25:YES)、S26に進む。
【0055】
次に、制御部8は、S26において、搬送異常の発生後の搬送ローラ対43による搬送量H2を残量CLから差し引く。つまり、制御部8はエンコーダ93bからの回転量を示す信号に基づいて、ユーザによって引き出されたロール紙Rpの長さを導出し、搬送量H2を補正値として決定する。そして、フラッシュメモリ85に記憶された残量CLから搬送量H2を差し引いた値に更新する(本発明の「補正処理」)。そして、後述のS50のトレイ取り外し処理に進む。
【0056】
また、制御部8は、S11において、搬送量H1が印刷長さLに達していない場合(S11:NO)、搬送異常が発生したか否かを判定する(S27)。エンコーダ93bから信号が出力されており、搬送異常が生じていない場合(S27:NO)、S11を繰り返す。一方、何らかの原因によりロール紙Rpが搬送できない状態となって、エンコーダ93bから信号が出力されておらず、搬送異常が生じている場合(S27:YES)、S28に進む。ここで搬送異常が生じていても、ロール紙Rpはすでに切断部4で切断されている。したがって、制御部8は、S28において、印刷長さLから搬送異常が生じた時点での搬送量H1(本発明の「搬送距離」)を引いた長さを補正値と決定する。そして、フラッシュメモリ85に記憶された残量CLからその補正値を差し引いた値に更新する(本発明の「補正処理」)。つまり、制御部8は、印刷開始時における残量CLから今回の印刷による印刷長さLを差し引いた値となるように更新する。
【0057】
次に、制御部8は、搬送異常が生じている旨を報知する動作を報知動作としてタッチパネルディスプレイ9に実行させる(S29)。このとき、タッチパネルディスプレイ9に「搬送異常が生じているため、ロール紙Rpを再セットしてください」などのメッセージを表示させる。これにより、ユーザが異常の生じたロール紙Rpを排出トレイ6側から除去し、ロール紙Rpを再セットする。この後、後述のS50のトレイ取り外し処理に進む。
【0058】
次に、制御部8は、
図5に示すように、S50において、トレイ取り外し処理を実行する。ここで、
図6を参照してトレイ取り外し処理について詳述する。トレイ取り外し処理では、まず、トレイ11が取り外されたか否かを判定する。つまり、制御部8が、着脱センサ92からの取り外し信号を受信したか否かで判定する(S51)。取り外し信号を受信していない場合(S51:NO)、S51を繰り返す。一方、トレイ11が筐体100aから取り外されて、取り外し信号を受信した場合(S51:YES)、制御部8はフラッシュメモリ85に残量不足フラグが記憶されているか否かを判定する(S52)。
【0059】
残量不足フラグが記憶されている場合(S52:YES)、制御部8は、カレントロール体の種類に対応する前ロール体情報の記憶をフラッシュメモリ85から消去する(S53)。フラッシュメモリ85に記憶された前ロール体情報には、ロール体Rの種類(例えば、媒体の種類など)毎のロール体Rの残量BL、搬送異常回数BNを含む。フラッシュメモリ85に記憶された前ロール体情報に種類が互いに異なる2つのロール体Rの情報が含まれている場合、カレントロール体の種類に対応するロール体Rに関する情報のみを消去する。このとき、制御部8は、残量不足フラグの記憶もフラッシュメモリ85から消去する。
【0060】
残量不足フラグが記憶されていない場合(S52:NO)、制御部8は、カレントロール体情報の種類、残量CL、搬送異常回数CNを、前ロール体情報として種別毎の情報をフラッシュメモリ85に記憶させる(S54)。そして、
図5に示すS60に進む。
【0061】
次に、制御部8は、S60において、トレイ装着処理を実行する。ここで、
図7を参照してトレイ装着処理について詳述する。トレイ装着処理では、まず、トレイ11が装着されたか否かを判定する。つまり、制御部8が、着脱センサ92からの装着信号を受信したか否かで判定する(S61)。装着信号を受信していない場合(S61:NO)、S61を繰り返す。一方、トレイ11が筐体100aに装着されて、装着信号を受信した場合(S61:YES)、制御部8は、
図8に示すカレントロール体情報の設定画面G1をタッチパネルディスプレイ9に表示させる(S62)。これにより、ユーザが設定画面G1にロール体Rの種類(例えば、Plain Roll)を入力する。こうして、ロール体Rの種類を取得する(本発明の「第1取得処理」)。なお、ロール体Rの種類として、Fabric RollやCustom Rollなどであってもよい。
【0062】
次に、制御部8は、フラッシュメモリ85に記憶された前ロール体情報に設定画面G1で入力されたロール体Rの種類と一致するロール体Rの種類があるか否かを判定する(S63)。一致するロール体Rの種類がある場合(S63:YES)、制御部8は一致するロール体Rに関連付けられた前ロール体情報の搬送異常回数BNをカレントロール体情報の搬送異常回数CNとしてフラッシュメモリ85に記憶させる(S64)。
【0063】
次に、制御部8は、一致するロール体Rに関連付けられた前ロール体情報の残量BLをカレントロール体情報の残量CLとしてフラッシュメモリ85に記憶させる(S65)。そして、制御部8は、S62でユーザが入力したロール体Rの種類をカレントロール体情報の残量CL及び搬送異常回数CNと関連づけてフラッシュメモリ85に記憶させる(S66)。この後、後述のS80に進む。
【0064】
S63に戻って、一致するロール体Rの種類がない場合(S63:NO)、制御部8は、サーバ99に記憶された情報内に一致するロール体Rの種類があるか否かを判定する(S67)。一致するロール体Rの種類がある場合(S67:YES)、制御部8はカレントロール体情報の搬送異常回数CNを0としてフラッシュメモリ85に記憶させる(S68)。
【0065】
次に、制御部8は、サーバ99に記憶された一致するロール体Rの種類のロール体長をカレントロール体情報の残量CLとしてフラッシュメモリ85に記憶させる(S69:本発明の「第2取得処理」)。そして、上述のS66を経由して後述のS80に進む。
【0066】
また、制御部8は、S67において、一致するロール体Rの種類がない場合(S67:NO)、制御部8がROM82に記憶された情報内に一致するロール体Rの種類があるか否かを判定する(S70)。一致するロール体Rの種類がある場合(S70:YES)、制御部8はS68と同様の処理を実行する(S71)。
【0067】
次に、制御部8は、
図9に示すロール体長入力画面G2をタッチパネルディスプレイ9に表示させる(S72)。このとき、ROM82に記憶された一致するロール体Rの種類のロール体長をロール体長入力画面G2の初期値として表示させる。
【0068】
次に、制御部8は、ロール体長の確認指示があるか否かを判定する(S73)。ユーザは、表示されたロール体長を確認した後、必要に応じてロール体長を入力し、ロール体長入力画面G2のOKボタン(不図示)を選択する。これにより、タッチパネルディスプレイ9からロール体長の確認指示を示す信号が制御部8に出力される。ロール体長の確認指示がない場合(S73:NO)、S73が繰り返される。一方、ロール体長の確認指示がある場合(S73:YES)、制御部8は、確認したロール体長をカレントロール体情報の残量CLとしてフラッシュメモリ85に記憶させる(S74:本発明の「第2取得処理」)。そして、S66に進む。
【0069】
また、制御部8は、S70において、一致するロール体Rの種類がない場合(S70:NO)、制御部8はS68と同様の処理を実行する(S75)。
【0070】
次に、制御部8は、
図9に示すロール体長入力画面G2をタッチパネルディスプレイ9に表示させる(S76)。そして、S73に進み、ユーザがS73においてロール体長を入力しOKボタンを選択することで、上述のS74及びS66を経由して後述のS80に進む。
【0071】
次に、制御部8は、S80において、エンコーダ93aからの回転量を示す信号に基づいてロール紙Rpの給送量H3を導出する。給送ローラ41aによる給送量H3が給送ローラ41aから切断部4までの搬送経路Wに沿った距離HL2に達したか否かを判定する。給送量H3が距離HL2に達した場合(S80:YES)、装着されたトレイ11のロール体Rのロール紙Rpが正常に搬送されている。このため、S3に進む。
【0072】
一方、給送量H3が距離HL2に達していない場合(S80:NO)、制御部8はロール紙Rpが給送ローラ41aの直下にあるか否かを判定する。つまり、制御部8は、センサ91bから出力される信号に基づいて判定する(S81)。センサ91bから無し信号が出力されている場合(S81:NO)、制御部8はロール紙Rpを給送ローラ41aの直下に配置することを示すメッセージをタッチパネルディスプレイ9に表示させる(S82)。
【0073】
次に、制御部8は、ロール紙セット完了の確認指示があるか否かを判定する(S83)。ユーザは、ロール紙Rpが給送ローラ41aに直下に配置されているかを確認した後、ロール紙Rpのセットが完了したことを示す、タッチパネルディスプレイに表示されたOKボタン(不図示)を選択する。これにより、タッチパネルディスプレイ9からロール紙セット完了の確認指示を示す信号が制御部8に出力される。ロール紙セット完了の確認指示がない場合(S83:NO)、S83が繰り返される。一方、ロール紙セット完了の確認指示がある場合(S83:YES)、S81に戻る。なお、S81が連続して複数回、繰り返される場合は、所定回数繰り返すことでS84の処理に移行してもよい。
【0074】
制御部8は、S81において、センサ91bから有り信号が出力されている場合(S81:YES)、搬送異常が発生したか否かを判定する(S84)。エンコーダ93から信号が出力されており、搬送異常が生じていない場合(S84:NO)、S80に戻る。一方、何らかの原因によりロール紙Rpが搬送できない状態となって、エンコーダ93aから信号が出力されておらず、搬送異常が生じている場合(S84:YES)、制御部8は、フラッシュメモリ85に記憶された所定長さL2を補正値として決定し、フラッシュメモリ85に記憶された残量CLから所定長さL2を差し引いた値に更新する(S85:本発明の「補正処理」)。給送時に搬送異常が生じる場合、ロール紙Rpの先端部が斜めに切断された状態や当該先端部に折れが生じていることがある。この場合、ユーザはハサミなどでロール紙Rpの先端部を除去することがある。このように除去された分を考慮するため、制御部8は、フラッシュメモリ85に記憶されたカレントロール体情報の残量CLが所定長さL2を差し引いた値となるように更新する。
【0075】
次に、制御部8は、S20と同様な処理を実行する(S86)。この後、後述のS50のトレイ取り外し処理に進む。以上のような処理が適宜行われることで、最終的にフローが終了する。
【0076】
以上に述べたように、本実施形態のプリンタ100によると、搬送異常を考慮してロール体Rの残量CLを補正することが可能となる。このため、フラッシュメモリ85に記憶されたロール体Rの残量CLの信頼度が向上し、信頼度の向上した残量CLに基づいてS16の報知処理を実行することが可能となる。この結果、ロール体Rの長さが足りないにも係わらず、印刷が実行されるのを抑制することが可能となり、ユーザの意図しない印刷が生じるのを抑制することが可能となる。
【0077】
また、搬送異常回数CNが0でないとき、すなわち、1以上(本発明の「所定回数以上」)の搬送異常が生じていた場合、S17の報知処理が実行される。S17においては、ロール体Rの残量が不足している可能性をユーザに報知した上で、印刷を実行することを受け付けた場合に、当該印刷を実行する。したがって、ユーザの意図しない印刷が生じるのを抑制することが可能となる。
【0078】
また、S14、S15,S16と順に進んできた場合、搬送異常が生じていないため、ロール体Rの残量CLの信頼度が高い。この場合、S3の決定処理によって決定された印刷長さLがロール体Rの残量CLよりも長いと、印刷が実行されない。このため、ユーザに印刷の実行に関する判断の手間を取らせずに、ユーザの意図しない印刷が生じるのを抑制することが可能となる。
【0079】
また、S26、S28及びS85の各処理では、搬送異常が生じたときのロール紙Rpの先端位置に応じて決定された補正値により、ロール体Rの残量CLを補正することが可能となる。
【0080】
また、S19において、搬送異常が生じてもロール紙Rpの先端が切断部4とヘッド5との間に位置する場合、補正値を0と決定することが可能となる。
【0081】
また、S26とS28とを実行可能であるため、搬送異常が生じたときのロール紙Rpの先端がヘッド5に到達しており、切断部4によるロール紙Rpの切断前及び切断後に応じて、補正値を決定することが可能となる。このため、搬送異常が生じたときのロール紙Rpの先端がヘッド5に到達後であっても、ロール紙Rpの切断の有無に基づいて、補正値を考慮することが可能となり、ロール体Rの残量CLの信頼度がより向上する。
【0082】
また、搬送異常が生じたときのロール紙Rpの先端が切断部4に到達していない場合、ロール紙Rpの先端部に折れなどの不具合が生じていることが多く、ユーザがロール紙Rpの先端部を所定長さL2だけ切断する。S85を実行可能であるため、所定長さL2のロール紙Rpの切断を考慮することが可能となり、ロール体Rの残量CLの信頼度がより向上する。
【0083】
また、フラッシュメモリ85には所定長さL1,L2が記憶されており、搬送異常の種類に応じて、S20,S23及びS85の各処理で所定長さL1,L2を用いて適宜、補正値を決定することができる。このため、ロール体Rの残量CLの信頼度がより向上する。
【0084】
また、S3において、残量CLから搬送異常回数CN×所定長さL1の補正値を差し引く。このため、搬送異常の累積回数を考慮してロール体Rの残量CLを補正することが可能となる。このため、信頼度の向上したロール体Rの残量CLに基づいてS16の報知処理を実行することが可能となる。
【0085】
また、本実施形態のプリンタ100によると、トレイ11が所定位置に装着されたときに、トレイ11内のロール体Rと同じ種類のロール体Rに関連付けられた残量BLがフラッシュメモリ85に記憶されていれば、その残量BLをロール体Rの残量CLの初期値とするので、高い信頼度で残量CLを決定することができる。つまり、残量のある使用途中のロール体Rが取り外されて異なるロール体Rが装着されて使用された後、取り外されていた使用途中のロール体Rが再度装着されるなど、使用途中のロール体Rを何らかの理由で一時的に取り外し再度装着した場合でも、当該ロール体Rと同じ種類のロール体Rに関連付けられた残量BLがフラッシュメモリ85に記憶されていれば、未使用状態のロール体Rの全長等が装着されたロール体Rの残量CLとされずに、当該フラッシュメモリ85に記憶された残量BLがロール体Rの残量CLとして決定され、フラッシュメモリ85に記憶されたロール体Rの残量CLの信頼度が向上する。この結果、ロール体Rの長さが足りないにも係わらず、印刷が実行されるのを抑制することが可能となり、ユーザの意図しない印刷が生じるのを抑制することが可能となる。一方、トレイ11が所定位置に装着されたときに、トレイ11内のロール体Rと同じ種類のロール体Rに関連付けられた残量BLがフラッシュメモリ85に記憶されていなければ、装着されたロール体Rの種類に対応したロール長を取得してロール体Rの残量CLの初期値とするので、高い信頼度でロール体Rの残量CLを決定することができる。
【0086】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、搬送異常に基づいて残量CLを差し引く処理として、S3(S20)、S26、S28、S85のうちのいずれかが実行されておればよい。また、フラッシュメモリ85には、所定長さL1,L2のうちのいずれかだけが記憶されていてもよい。
【0087】
また、S67及びS70の各判定処理がなくてもよい。この場合、S63からS75に進んでもよい。また、S63から直接、S68やS71へ進んでもよい。
【0088】
また、搬送経路Wに沿ってロール紙Rpを検出するセンサが複数設けられている場合、これらセンサによるロール紙Rpの検出時間に基づいて、搬送部3によるロール紙Rpの搬送量を導出してもよい。
【0089】
また、タッチパネルディスプレイ9で、ロール体Rが不足している旨を示すメッセージは適宜設定すればよい。また、報知動作を、タッチパネルディスプレイ9に代えて、外部装置の表示部や音声発生部で実行してもよい。
【0090】
本発明は、インク吐出式の記録部を備えるインクジェットプリンタとしての画像記録装置だけでなく、レーザで感光体を露光することにより静電潜像が形成されるレーザ式の記録部や、LEDで感光体を露光することにより静電潜像が形成されるLED式の記録部を備える電子写真プリンタに適用することもできる。また、シート状媒体は用紙に限定されず、シート状であれば布やプラスチックフィルムなどであってもよい。
【符号の説明】
【0091】
3 搬送部
4 切断部
5 ヘッド(記録部)
8 制御部
9 タッチパネルディスプレイ(報知部、取得部、受付部)
20 ロール体収容部(支持部)
43 搬送ローラ対
85 フラッシュメモリ(記憶部)
92 着脱センサ(装着検知部)
93a~93c エンコーダ(異常検知部)
100 プリンタ(画像記録装置)
100a 筐体