IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラザー工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-印刷装置及び印刷方法 図1
  • 特開-印刷装置及び印刷方法 図2
  • 特開-印刷装置及び印刷方法 図3
  • 特開-印刷装置及び印刷方法 図4
  • 特開-印刷装置及び印刷方法 図5
  • 特開-印刷装置及び印刷方法 図6
  • 特開-印刷装置及び印刷方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163219
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】印刷装置及び印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/325 20060101AFI20231102BHJP
   B41J 31/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B41J2/325 A
B41J31/00 C
B41J2/325 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022073977
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100152515
【弁理士】
【氏名又は名称】稲山 朋宏
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 聡
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅也
(72)【発明者】
【氏名】武智 美奈
(72)【発明者】
【氏名】松元 春樹
(72)【発明者】
【氏名】穂苅 有希
【テーマコード(参考)】
2C065
2C068
【Fターム(参考)】
2C065AA01
2C065AF02
2C065DA22
2C065DA33
2C065DC03
2C065DC11
2C065DC29
2C068AA06
2C068AA15
2C068BD27
2C068BD37
(57)【要約】
【課題】多色印刷が可能であり、且つ、構成を簡単にできるため小型化や良好なメンテナンス性を実現できる印刷装置、及び印刷方法を提供する。
【解決手段】印刷装置は、基材層、第1インクを含む第1インク層、及び、第1インクと異なる第2インクを含む第2インク層が、基材層、第1インク層、及び第2インク層の順に積層されたインクリボンRと被印刷媒体Mとを副走査方向に搬送する。印刷装置は、サーマルヘッド5の複数の発熱素子5Aのうち第1発熱素子51に第1エネルギーを印加してインクリボンRを加熱し、第1発熱素子と異なる第2発熱素子52に第2エネルギーを印加してインクリボンRを加熱する。印刷装置は、第1エネルギーの印加によりインクリボンRから第1インク及び第2インクを被印刷媒体Mに転写する。印刷装置は、第2エネルギーの印加によりインクリボンRから第2インクを被印刷媒体Mに転写する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層、第1インクを含む第1インク層、及び、前記第1インクと異なる第2インクを含む第2インク層が、前記基材層、前記第1インク層、及び前記第2インク層の順に積層されたインクリボンを、副走査方向に搬送する第1搬送部と、
前記インクリボンに対して前記第2インク層と対向するように重ねられた被印刷媒体を、前記副走査方向に搬送する第2搬送部と、
前記副走査方向と直交する主走査方向に並ぶ複数の発熱素子を有し、前記第1搬送部により搬送される前記インクリボンに前記基材層側から前記複数の発熱素子を接触させて前記インクリボンを加熱するラインサーマルヘッドと、
前記ラインサーマルヘッドよりも前記副走査方向の下流に配置され、前記第1搬送部により搬送される前記インクリボンを前記被印刷媒体から剥離することにより、前記ラインサーマルヘッドにより加熱された前記インクリボンから、前記第1インク及び前記第2インク、又は前記第2インクを前記被印刷媒体に転写する転写部と、
前記第1搬送部、前記第2搬送部、前記ラインサーマルヘッド、及び前記転写部を制御する制御部と
を備えた印刷装置であって、
前記制御部は、
前記ラインサーマルヘッドの前記複数の発熱素子のうち第1発熱素子に第1エネルギーを印加して、前記インクリボンを加熱する第1加熱手段と、
前記ラインサーマルヘッドの前記複数の発熱素子のうち前記第1発熱素子と異なる第2発熱素子に、前記第1エネルギーとは異なる第2エネルギーを印加して、前記インクリボンを加熱する第2加熱手段と
を実行し、
前記転写部は、
前記第1加熱手段によって加熱された前記インクリボンから、前記第1インク及び前記第2インクを前記被印刷媒体に転写し、
前記第2加熱手段によって加熱された前記インクリボンから、前記第2インクを前記被印刷媒体に転写する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記第2エネルギーは前記第1エネルギーより高いことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第1加熱手段は、第1電力を第1時間印加することにより、前記第1エネルギーを前記第1発熱素子に印加し、
前記第2加熱手段は、前記第1電力を、前記第1時間より長い第2時間印加することにより、前記第2エネルギーを前記第2発熱素子に印加する
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第1加熱手段は、第1電力を第1時間印加することにより、前記第1エネルギーを前記第1発熱素子に印加し、
前記第2加熱手段は、前記第1電力より大きい第2電力を、前記第1時間印加することにより、前記第2エネルギーを前記第2発熱素子に印加する
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第2エネルギーは前記第1エネルギーより低いことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記第1加熱手段は、第1電力を第1時間印加することにより、前記第1エネルギーを前記第1発熱素子に印加し、
前記第2加熱手段は、前記第1電力を、前記第1時間より短い第2時間印加することにより、前記第2エネルギーを前記第2発熱素子に印加する
ことを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記第1加熱手段は、第1電力を第1時間印加することにより、前記第1エネルギーを前記第1発熱素子に印加し、
前記第2加熱手段は、前記第1電力より小さい第2電力を、前記第1時間印加することにより、前記第2エネルギーを前記第2発熱素子に印加する
ことを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記第1加熱手段により前記インクリボンが加熱された場合、
前記第1インク層と前記第2インク層との間の接着力、及び、前記第2インク層と前記被印刷媒体との間の接着力よりも、前記基材層と前記第1インク層との間の接着力の方が小さくなり、
前記第2加熱手段により前記インクリボンが加熱された場合、
前記基材層と前記第1インク層との間の接着力、及び、前記第2インク層と前記被印刷媒体との間の接着力よりも、前記第1インク層と前記第2インク層との間の接着力の方が小さくなる
ことを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の印刷装置。
【請求項9】
基材層、第1インクを含む第1インク層、及び、前記第1インクと異なる第2インクを含む第2インク層が、前記基材層、前記第1インク層、及び前記第2インク層の順に積層されたインクリボンを、副走査方向に搬送する第1搬送工程と、
前記インクリボンに対して前記第2インク層と対向するように重ねられた被印刷媒体を、前記副走査方向に搬送する第2搬送工程と、
前記副走査方向と直交する主走査方向に並ぶ複数の発熱素子を有するラインサーマルヘッドを、前記第1搬送工程により搬送される前記インクリボンに前記基材層側から接触させて、前記複数の発熱素子により前記インクリボンを加熱する加熱工程と、
前記ラインサーマルヘッドよりも前記副走査方向の下流に配置され、前記第1搬送工程により搬送される前記インクリボンを前記被印刷媒体から剥離することにより、前記ラインサーマルヘッドにより加熱された前記インクリボンから、前記第1インク及び前記第2インクの少なくとも一方を前記被印刷媒体に転写する転写工程と
を備えた印刷方法であって、
前記加熱工程は、
前記ラインサーマルヘッドの前記複数の発熱素子のうち第1発熱素子に第1エネルギーを印加して、前記インクリボンを加熱する第1加熱工程と、
前記ラインサーマルヘッドの前記複数の発熱素子のうち前記第1発熱素子と異なる第2発熱素子に、前記第1エネルギーとは異なる第2エネルギーを印加して、前記インクリボンを加熱する第2加熱工程と
を有し、
前記転写工程は、
前記第1加熱工程によって加熱された前記インクリボンから、前記第1インク及び前記第2インクを前記被印刷媒体に転写し、
前記第2加熱工程によって加熱された前記インクリボンから、前記第2インクを前記被印刷媒体に転写する
ことを特徴とする印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多色印刷が可能な熱転写式の印刷装置が提案されている。特許文献1は、複数の異なる色のインクリボンを用いて用紙に印字を行う熱転写式カラープリンターを開示する。熱転写式カラープリンターは、複数のインクリボンの各々に対応する複数のサーマルヘッドを有する。複数のサーマルヘッドは、対応するインクリボンを加熱し、用紙にインクを転写する。複数のインクリボンから異なる色のインクが順番に用紙に転写されることにより、多色印刷が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-200874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の熱転写式カラープリンターは、多色印刷を実現する為に複数のインクリボンや複数のサーマルヘッドを必要とする。このため、構成が複雑化するという問題点がある。又、複数のインクリボンおよび複数のサーマルヘッドを本体に収容することにより、本体が大型化するという問題点がある。又、インクリボンやサーマルヘッドの交換等のメンテナンスに手間がかかるという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、多色印刷が可能であり、且つ、構成を簡単にできるため小型化や良好なメンテナンス性を実現できる印刷装置、及び印刷方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る印刷装置は、基材層、第1インクを含む第1インク層、及び、前記第1インクと異なる第2インクを含む第2インク層が、前記基材層、前記第1インク層、及び前記第2インク層の順に積層されたインクリボンを、副走査方向に搬送する第1搬送部と、前記インクリボンに対して前記第2インク層と対向するように重ねられた被印刷媒体を、前記副走査方向に搬送する第2搬送部と、前記副走査方向と直交する主走査方向に並ぶ複数の発熱素子を有し、前記第1搬送部により搬送される前記インクリボンに前記基材層側から前記複数の発熱素子を接触させて前記インクリボンを加熱するラインサーマルヘッドと、前記ラインサーマルヘッドよりも前記副走査方向の下流に配置され、前記第1搬送部により搬送される前記インクリボンを前記被印刷媒体から剥離することにより、前記ラインサーマルヘッドにより加熱された前記インクリボンから、前記第1インク及び前記第2インク、又は前記第2インクを前記被印刷媒体に転写する転写部と、前記第1搬送部、前記第2搬送部、及び前記ラインサーマルヘッドを制御する制御部とを備えた印刷装置であって、前記制御部は、前記ラインサーマルヘッドの前記複数の発熱素子のうち第1発熱素子に第1エネルギーを印加して、前記インクリボンを加熱する第1加熱手段と、前記ラインサーマルヘッドの前記複数の発熱素子のうち前記第1発熱素子と異なる第2発熱素子に、前記第1エネルギーとは異なる第2エネルギーを印加して、前記インクリボンを加熱する第2加熱手段とを実行し、前記転写部は、前記第1加熱手段によって加熱された前記インクリボンから、前記第1インク及び前記第2インクを前記被印刷媒体に転写し、前記第2加熱手段によって加熱された前記インクリボンから、前記第2インクを前記被印刷媒体に転写することを特徴とする。
【0007】
印刷装置は、第1インク層と第2インク層とを含むインクリボンをラインサーマルヘッドで加熱することにより、第1インク及び第2インクを被印刷媒体に転写したり、第2インクを被印刷媒体に転写したりできる。従って印刷装置は、インクリボン及びラインサーマルヘッドを1つずつ用いて多色印刷を行うことができるので、機器構成を簡素化できる。又、ラインサーマルヘッドを用いることにより、主走査方向に延びる1ライン分の中で第1インクによる模様と、第2インクによる模様とをそれぞれ印刷することができる。従って、印刷装置は、多色印刷を実現しつつ構成を簡単にできる。これにより印刷装置は、小型化や良好なメンテナンス性を実現できる。
【0008】
第1態様において、前記第2エネルギーは前記第1エネルギーより高くてもよい。印刷装置は、第1インク及び第2インクを被印刷媒体に転写する為に必要なエネルギー(第1エネルギー)よりも、第2インクを被印刷媒体に転写する為に必要なエネルギー(第2エネルギー)の方が高い場合において、多色印刷を行うことができる。
【0009】
第1態様において、前記第1加熱手段は、第1電力を第1時間印加することにより、前記第1エネルギーを前記第1発熱素子に印加し、前記第2加熱手段は、前記第1電力を、前記第1時間より長い第2時間印加することにより、前記第2エネルギーを前記第2発熱素子に印加してもよい。印刷装置は、複数の発熱素子に印加する電力を変化させずに、第1エネルギーよりも第2エネルギーを高くできる。
【0010】
第1態様において、前記第1加熱手段は、第1電力を第1時間印加することにより、前記第1エネルギーを前記第1発熱素子に印加し、前記第2加熱手段は、前記第1電力より大きい第2電力を、前記第1時間印加することにより、前記第2エネルギーを前記第2発熱素子に印加してもよい。印刷装置は、複数の発熱素子に電力を印加する時間を変化させずに、第1エネルギーよりも第2エネルギーを高くできる。
【0011】
第1態様において、前記第2エネルギーは前記第1エネルギーより低くてもよい。印刷装置は、第1インク及び第2インクを被印刷媒体に転写する為に必要なエネルギー(第1エネルギー)よりも、第2インクを被印刷媒体に転写する為に必要なエネルギー(第2エネルギー)の方が低い場合において、多色印刷を行うことができる。
【0012】
第1態様において、前記第1加熱手段は、第1電力を第1時間印加することにより、前記第1エネルギーを前記第1発熱素子に印加し、前記第2加熱手段は、前記第1電力を、前記第1時間より短い第2時間印加することにより、前記第2エネルギーを前記第2発熱素子に印加してもよい。印刷装置は、複数の発熱素子に印加する電力を変化させずに、第1エネルギーよりも第2エネルギーを低くできる。
【0013】
第1態様において、前記第1加熱手段は、第1電力を第1時間印加することにより、前記第1エネルギーを前記第1発熱素子に印加し、前記第2加熱手段は、前記第1電力より小さい第2電力を、前記第1時間印加することにより、前記第2エネルギーを前記第2発熱素子に印加してもよい。印刷装置は、複数の発熱素子に電力を印加する時間を変化させずに、第1エネルギーよりも第2エネルギーを低くできる。
【0014】
第1態様において、前記第1加熱手段により前記インクリボンが加熱された場合、前記第1インク層と前記第2インク層との間の接着力、及び、前記第2インク層と前記被印刷媒体との間の接着力よりも、前記基材層と前記第1インク層との間の接着力の方が小さくなり、前記第2加熱手段により前記インクリボンが加熱された場合、前記基材層と前記第1インク層との間の接着力、及び、前記第2インク層と前記被印刷媒体との間の接着力よりも、前記第1インク層と前記第2インク層との間の接着力の方が小さくなってもよい。印刷装置は、第1発熱素子に第1エネルギーを印加することにより、最も接着力が弱い基材層と第1インク層との間を破断させることができるので、第1インク及び第2インクを被印刷媒体に転写できる。又、印刷装置は、第2発熱素子に第2エネルギーを印加することにより、最も接着力が弱い第1インク層と第2インク層との間を剥離させることができるので、第2インクを被印刷媒体に転写できる。
【0015】
本発明の第2態様に係る印刷方法は、基材層、第1インクを含む第1インク層、及び、前記第1インクと異なる第2インクを含む第2インク層が、前記基材層、前記第1インク層、及び前記第2インク層の順に積層されたインクリボンを、副走査方向に搬送する第1搬送工程と、前記インクリボンに対して前記第2インク層と対向するように重ねられた被印刷媒体を、副走査方向に搬送する第2搬送工程と、前記副走査方向と直交する主走査方向に並ぶ複数の発熱素子を有するラインサーマルヘッドを、前記第1搬送工程により搬送される前記インクリボンに前記基材層側から接触させて、前記複数の発熱素子により前記インクリボンを加熱する加熱工程と、前記ラインサーマルヘッドよりも前記副走査方向の下流に配置され、前記第1搬送工程により搬送される前記インクリボンを前記被印刷媒体から剥離することにより、前記ラインサーマルヘッドにより加熱された前記インクリボンから、前記第1インク及び前記第2インクの少なくとも一方を前記被印刷媒体に転写する転写工程とを備えた印刷方法であって、前記加熱工程は、前記ラインサーマルヘッドの前記複数の発熱素子のうち第1発熱素子に第1エネルギーを印加して、前記インクリボンを加熱する第1加熱工程と、前記ラインサーマルヘッドの前記複数の発熱素子のうち前記第1発熱素子と異なる第2発熱素子に、前記第1エネルギーとは異なる第2エネルギーを印加して、前記インクリボンを加熱する第2加熱工程とを有し、前記転写工程は、前記第1加熱工程によって加熱された前記インクリボンから、前記第1インク及び前記第2インクを前記被印刷媒体に転写し、前記第2加熱工程によって加熱された前記インクリボンから、前記第2インクを前記被印刷媒体に転写してもよい。第2態様によれば、第1態様と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】印刷装置1の概要を示す図である。
図2】サーマルヘッド5を用いて被印刷媒体Mに印刷模様が印刷される様子を示す図である。
図3】インクリボンRの断面図である。
図4】第1インク71A及び第2インク72Aが被印刷媒体Mに転写される様子を示す図である。
図5】第1エネルギーE1と第2エネルギーE2との関係を示す図である。
図6】印刷装置1の電気的構成を示すブロック図である。
図7】印刷処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る印刷装置1の一実施形態について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0018】
<印刷装置1の概要>
図1を参照し、印刷装置1の概要について説明する。印刷装置1は熱転写式のプリンタであり、インクリボンRを加熱してインクを被印刷媒体Mに転写することで印刷を行う。印刷装置1には、被印刷媒体Mが巻回されたロールMRが着脱可能に収容される。印刷装置1には、ロール支持部21、プラテン22、リボン供給スプール31、リボン巻取スプール32、インクリボン剥離部材33、及びサーマルヘッド5等が設けられる。
【0019】
ロール支持部21は、ロールMRの芯を回転可能に支持する。プラテン22は、被印刷媒体Mに接触した状態で、後述のモータ44(図6参照)の駆動により回転する。これによりプラテン22は、ロールMRから被印刷媒体Mを繰り出し、印刷装置1の筐体11に設けられた排出部10に向けて搬送する。被印刷媒体Mの搬送方向は、副走査方向に対応する。
【0020】
リボン供給スプール31にはインクリボンRが巻回される。リボン巻取スプール32は、リボン供給スプール31から未使用のインクリボンRを引き出すとともに、印刷に使用されたインクリボンRを巻き取る。インクリボンRの搬送経路は、リボン供給スプール31から、被印刷媒体Mのうちプラテン22側と反端側の面に接触して被印刷媒体Mの搬送経路と並走し、インクリボン剥離部材33に接触して屈曲し、被印刷媒体Mから離隔する向きに延び、リボン巻取スプール32に至る。インクリボンRの搬送経路のうち被印刷媒体Mの搬送経路と並走する部分の搬送方向は、被印刷媒体Mの搬送方向(即ち、副走査方向)と一致する。以下、インクリボンRの搬送経路のうち被印刷媒体Mと並走する部分の搬送方向を、「インクリボンRの搬送方向」という。
【0021】
サーマルヘッド5は、リボン供給スプール31から引き出されたインクリボンRのうち、被印刷媒体Mが配置される側と反対側の面に接触する。サーマルヘッド5は、プラテン22との間にインクリボンR及び被印刷媒体Mを挟む。図2Aに示すように、サーマルヘッド5はラインサーマルヘッドである。サーマルヘッド5は、副走査方向と直交する主走査方向に並ぶ複数の発熱素子5Aを有する。複数の発熱素子5Aのうち主走査方向の両端部に位置する2つの発熱素子5Aの間の間隔は、被印刷媒体Mの主走査方向の長さと略同一である。サーマルヘッド5は、インクリボンRに接触した状態で複数の発熱素子5Aを選択的に発熱させることにより、インクリボンRを加熱する。
【0022】
印刷装置1は、被印刷媒体M及びインクリボンRを搬送方向に搬送しながら、サーマルヘッド5の複数の発熱素子5Aを発熱させる。これにより、インクリボンRのインクは溶融し、被印刷媒体Mに接着する。図2B図2Cに示すように、インクリボンRは、サーマルヘッド5による加熱後、サーマルヘッド5よりも搬送方向の下流に位置するインクリボン剥離部材33の位置で、被印刷媒体Mから剥離する。このとき、被印刷媒体Mに接着したインクは、インクリボンRから分離して被印刷媒体Mに転写される。これにより、被印刷媒体Mに対する印刷模様の印刷が実行される。
【0023】
<インクリボンR>
図3を参照し、インクリボンRについて説明する。インクリボンRは、基材層70、第1インク層71、中間層73、及び第2インク層72を有する。基材層70、第1インク層71、中間層73、及び第2インク層72は、この順番で積層される。
【0024】
基材層70は、PET製の基材70Aを含む。第1インク層71は、第1インク71Aを含む。第2インク層72は、第1インク71Aと異なる第2インク72Aを含む。中間層73は、第1インク層71と第2インク層72との間に介在する。
【0025】
<印刷方法の概要>
図4Aに示すように、印刷装置1による印刷過程において、被印刷媒体Mは、インクリボンRに対して第2インク層72と対向するように重ねられる。又、サーマルヘッド5の複数の発熱素子5Aは、インクリボンRのうち基材層70と対向する位置に配置され、基材層70に接触する。印刷装置1は、サーマルヘッド5の複数の発熱素子5Aに印加するエネルギーを選択的に制御することにより、インクリボンRのうち第1インク層71の第1インク71Aと第2インク層72の第2インク72Aとを被印刷媒体Mに転写するか(図4B参照)、又は、インクリボンRのうち第2インク層72の第2インク72Aを被印刷媒体Mに転写するか(図4C参照)を切り替える。
【0026】
例えば印刷装置1は、サーマルヘッド5の複数の発熱素子5Aのうち一部(以下、「第1発熱素子」という。)に第1エネルギーE1を印加することにより、インクリボンRを加熱する。この場合、図4Bに示すように、第1インク層71と第2インク層72との間の接着力C2、及び、第2インク層72と被印刷媒体Mとの間の接着力C3よりも、基材層70と第1インク層71との間の接着力C1の方が小さくなる。
【0027】
インクリボン剥離部材33によって被印刷媒体MからインクリボンRが剥離されることにより、インクリボンRは、接着力が相対的に小さい基材層70と第1インク層71との間で破断する。結果、第1発熱素子により加熱されたインクリボンRから、第1インク層71の第1インク71A、中間層73、及び、第2インク層72の第2インク72Aが被印刷媒体Mに転写される。この場合、第1インク71Aが露出するので、被印刷媒体Mには、第1インク71Aの色の印刷模様が形成される。
【0028】
一方、例えば印刷装置1は、サーマルヘッド5の複数の発熱素子5Aのうち第1発熱素子を除く発熱素子5Aの一部(以下、「第2発熱素子」という。)に、第1エネルギーE1と異なる第2エネルギーE2を印加することにより、インクリボンRを加熱する。この場合、図4Cに示すように、基材層70と第1インク層71との間の接着力C1、及び、第2インク層72と被印刷媒体Mとの間の接着力C3よりも、第1インク層71と第2インク層72との間の接着力C2の方が小さくなる。
【0029】
インクリボン剥離部材33によって被印刷媒体MからインクリボンRが剥離されることにより、インクリボンRは、接着力が相対的に小さい第1インク層71と第2インク層72との間、即ち、中間層73で破断する。結果、第2発熱素子により加熱されたインクリボンRから、中間層73の一部と第2インク層72の第2インク72Aとが被印刷媒体Mに転写される。この場合、中間層73を介して第2インク72Aが露出するので、被印刷媒体Mには、第2インク72Aの色の印刷模様が形成される。
【0030】
例えば図2Bに示すように、印刷装置1は、サーマルヘッド5の複数の発熱素子5Aのうち第1発熱素子51に第1エネルギーE1を印加し、第2発熱素子52に第2エネルギーE2を印加する。これにより、主走査方向に並ぶ印刷模様「ABCD」のうち「AB」が第1インク71Aの色となり、「CD」が第2インク72Aの色となる。又、例えば図2Cに示すように、印刷装置1は、サーマルヘッド5の複数の発熱素子5Aのうち第1発熱素子51A、51Bに第1エネルギーE1を印加し、第2発熱素子52A、52Bに第2エネルギーE2を印加する。これにより、主走査方向に並ぶ印刷模様「ABCD」のうち「A」「C」が第1インク71Aの色となり、「B」「D」が第2インク72Aの色となる。このように印刷装置1は、複数の発熱素子5Aの夫々に印加するエネルギーを制御することにより、主走査方向において異なる種類のインクを用いた印刷模様を短時間で印刷することができる。
【0031】
<印加条件>
印刷装置1は、サーマルヘッド5の第1発熱素子に印加する第1エネルギーE1及び第2発熱素子に印加する第2エネルギーE2の夫々の印加条件を、使用されるインクリボンRの種類に応じて切り替える。以下、図5を参照し、第1~第4印加条件について説明する。
【0032】
第1印加条件では、第1エネルギーE1よりも第2エネルギーE2を大きくする(E1<E2)。又、印刷装置1は、第1電力P1を第1時間T1印加することにより、第1エネルギーE1を第1発熱素子に印加する。第1エネルギーE1と、第1電力P1及び第1時間T1とは、「E1=P1×T1」の関係を満たす。一方、印刷装置1は、第1電力P1を、第1時間T1より長い第2時間T2(T1<T2)印加することにより、第2エネルギーE2を第2発熱素子に印加する。第2エネルギーE2と、第1電力P1及び第2時間T2とは、「E2=P1×T2」の関係を満たす。
【0033】
第2印加条件では、第1印加条件と同様、第1エネルギーE1よりも第2エネルギーE2を大きくする(E1<E2)。又、印刷装置1は、第1電力P1を第1時間T1印加することにより、第1エネルギーE1を第1発熱素子に印加する。一方、印刷装置1は、第1電力P1よりも大きい第2電力P2(P1<P2)を第1時間T1印加することにより、第2エネルギーE2を第2発熱素子に印加する。第2エネルギーE2と、第2電力P2及び第1時間T1とは、「E2=P2×T1」の関係を満たす。
【0034】
第3印加条件では、第1エネルギーE1よりも第2エネルギーE2を小さくする(E1>E2)。又、印刷装置1は、第1電力P1を第1時間T1印加することにより、第1エネルギーE1を第1発熱素子に印加する。一方、印刷装置1は、第1電力P1を、第1時間T1より短い第2時間T2(T1>T2)印加することにより、第2エネルギーE2を第2発熱素子に印加する。
【0035】
第4印加条件では、第3印加条件と同様、第1エネルギーE1よりも第2エネルギーE2を小さくする(E1>E2)。又、印刷装置1は、第1電力P1を第1時間T1印加することにより、第1エネルギーE1を第1発熱素子に印加する。一方、印刷装置1は、第1電力P1よりも小さい第2電力P2(P1>P2)を第1時間T1印加することにより、第2エネルギーE2を第2発熱素子に印加する。
【0036】
<印刷装置1の電気的構成>
図6に示すように、印刷装置1は、CPU41、記憶部42、入力部43、モータ44、45、及びドライバ46を有する。
【0037】
CPU41は、印刷装置1の制御全体を司る。記憶部42には、CPU41が実行する為のプログラム、印刷データ等が記憶される。入力部43は、印刷装置1に各種設定を行う為のスイッチである。モータ44は、駆動によりプラテン22を回転させる。これにより、被印刷媒体Mは搬送方向に搬送される。モータ45は、駆動によりリボン巻取スプール32を回転させる。これにより、インクリボンRのうち被印刷媒体Mに接触する部分、即ち、リボン供給スプール31からインクリボン剥離部材33までの間の部分は、搬送方向に搬送される。ドライバ46は、サーマルヘッド5を駆動し、複数の発熱素子5Aを選択的に発熱させる。
【0038】
<印刷処理>
図7を参照し、印刷処理について説明する。CPU41は、印刷模様の印刷を開始する指示を入力部43により検出した場合、記憶部42に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって印刷処理を開始する。
【0039】
はじめにCPU41は、使用されるインクリボンRの種別を取得する(S11)。次にCPU41は、取得されたインクリボンRの種別に基づき、サーマルヘッド5の複数の発熱素子5Aにエネルギーを印加するときの印加条件として、第1~第4印加条件(図5参照)の何れかを設定する(S13)。
【0040】
CPU41は、モータ45を駆動してリボン巻取スプール32を回転させることにより、インクリボンRの搬送を開始する(S15)。次にCPU41は、モータ44を駆動してプラテン22を回転させることにより、被印刷媒体Mの搬送を開始する(S17)。
【0041】
CPU41は、サーマルヘッド5の複数の発熱素子5Aの発熱により一度に印刷が可能な1ライン分の印刷データを、記憶部42から取得する(S19)。CPU41は、複数の発熱素子5Aのうち第1インク71Aの色で印刷模様を印刷するために使用される発熱素子を、取得した1ライン分の印刷データに基づいて選択する。CPU41は、選択した発熱素子を第1発熱素子として設定する(S21)。又、CPU41は、複数の発熱素子5Aのうち第2インク72Aの色で印刷模様を印刷するために使用される発熱素子を、取得した1ライン分の印刷データに基づいて選択する。CPU41は、選択した発熱素子を第2発熱素子として設定する(S23)。CPU41は、複数の発熱素子5Aのうち第1発熱素子及び第2発熱素子の何れにも設定されなかった発熱素子を、発熱させない第3発熱素子として設定する。(S25)。
【0042】
CPU41は、S13の処理によって設定された印加条件に基づき、第1エネルギーE1及び第2エネルギーE2の夫々を複数の発熱素子5Aに印加する場合の電力Pと時間Tとの条件を決定する。CPU41は、S21により設定された第1発熱素子に対し、第1エネルギーE1を印加する。CPU41は、S23により設定された第2発熱素子に対し、第2エネルギーE2を印加する(S27)。
【0043】
CPU41は継続してリボン巻取スプール32によりインクリボンRを搬送し且つプラテン22により被印刷媒体Mを搬送する。これにより、インクリボンRのうちサーマルヘッド5の複数の発熱素子5Aにより加熱された部分は、インクリボン剥離部材33により被印刷媒体Mから剥離する。このとき、インクリボンRのうち第1発熱素子により加熱された部分から、第1インク71A及び第2インク72Aが被印刷媒体Mに転写される。又、インクリボンRのうち第2発熱素子により加熱された部分から、第2インク72Aが被印刷媒体Mに転写される(S29)。
【0044】
CPU41は、印刷模様を構成する全てのラインについて印刷が完了したか判定する(S31)。CPU41は、印刷模様を構成するラインのうち印刷されていないラインが残っている場合(S31:NO)、処理をS19に戻す。CPU41は、印刷が完了していないラインの印刷データを記憶部42から取得し(S19)、S21~S29の処理を繰り返す。一方、CPU41は、印刷模様を構成する全てのラインを全て印刷したと判定した場合(S31:YES)、処理をS33に進める。
【0045】
CPU41は、モータ44の駆動を終了してプラテン22の回転を停止させることにより、被印刷媒体Mの搬送を停止する(S33)。CPU41は、モータ45を終了してリボン巻取スプール32の回転を停止させることにより、インクリボンRの搬送を停止する(S35)。CPU41は、印刷処理を終了させる。
【0046】
<本実施形態の作用、効果>
印刷装置1は、第1インク層71と第2インク層72とを含むインクリボンRをサーマルヘッド5で加熱することにより、第1インク71A及び第2インク72Aを被印刷媒体Mに転写したり、第2インク72Aを被印刷媒体Mに転写したりできる。従って印刷装置1は、インクリボンR及びサーマルヘッド5を1つずつ用いて多色印刷を行うことができるので、機器構成を簡素化できる。又、サーマルヘッド5としてラインサーマルヘッドを用いることにより、主走査方向に延びる1ライン分の印刷を一度に行うことができる。従って、印刷装置1は、1ライン分の中で第1インクによる模様と第2インクによる模様とをそれぞれ印刷することができる。従って、印刷装置1は、多色印刷を実現しつつ構成を簡単にできる。これにより印刷装置1は、小型化や良好なメンテナンス性を実現できる。
【0047】
第1印加条件及び第2印加条件において、第1インク71A及び第2インク72Aを被印刷媒体Mに転写する為に必要な第1エネルギーE1よりも、第2インク72Aを被印刷媒体Mに転写する為に必要な第2エネルギーE2の方が高い(E1<E2)。印刷装置1は、この印加条件でサーマルヘッド5の複数の発熱素子5Aにエネルギーを印加することにより多色印刷を行うことができる。
【0048】
印刷装置1は、第1印加条件において、第1電力P1を第1時間T1印加することにより、第1エネルギーE1を第1発熱素子に印加し、第1電力P1を、第1時間T1より長い第2時間T2(T1<T2)印加することにより、第2エネルギーE2を第2発熱素子に印加する。この場合、印刷装置1は、複数の発熱素子5Aに印加する電力を変化させずに、第1エネルギーE1よりも第2エネルギーE2を高くできる。
【0049】
印刷装置1は、第2印加条件において、第1電力P1を第1時間T1印加することにより、第1エネルギーE1を第1発熱素子に印加し、第1電力P1よりも大きい第2電力P2(P1<P2)を第1時間T1印加することにより、第2エネルギーE2を第2発熱素子に印加する。この場合、印刷装置1は、複数の発熱素子5Aに電力を印加する時間を変化させずに、第1エネルギーE1よりも第2エネルギーE2を高くできる。
【0050】
第3印加条件及び第4印加条件において、第1インク71A及び第2インク72Aを被印刷媒体Mに転写する為に必要な第1エネルギーE1よりも、第2インク72Aを被印刷媒体Mに転写する為に必要な第2エネルギーE2の方が低い(E1>E2)。印刷装置1は、この印加条件でサーマルヘッド5の複数の発熱素子5Aにエネルギーを印加することにより多色印刷を行うことができる。
【0051】
印刷装置1は、第3印加条件において、第1電力P1を第1時間T1印加することにより、第1エネルギーE1を第1発熱素子に印加し、第1電力P1を、第1時間T1より短い第2時間T2(T1>T2)印加することにより、第2エネルギーE2を第2発熱素子に印加する。この場合、印刷装置1は、複数の発熱素子5Aに印加する電力を変化させずに、第1エネルギーE1よりも第2エネルギーE2を低くできる。
【0052】
印刷装置1は、第4印加条件において、第1電力P1を第1時間T1印加することにより、第1エネルギーE1を第1発熱素子に印加し、第1電力P1よりも小さい第2電力P2(P1>P2)を第1時間T1印加することにより、第2エネルギーE2を第2発熱素子に印加する。この場合、印刷装置1は、複数の発熱素子5Aに電力を印加する時間を変化させずに、第1エネルギーE1よりも第2エネルギーE2を低くできる。
【0053】
印刷装置1は、第1発熱素子に第1エネルギーE1を印加することにより、基材層70と第1インク層71との間の接着力C1を最も小さくして破断させることができるので、第1インク71A及び第2インク72Aを被印刷媒体Mに転写できる。又、印刷装置1は、第2発熱素子に第2エネルギーE2を印加することにより、第1インク層71と第2インク層72との間の接着力C2を最も小さくして中間層73を破断させることができるので、第2インク72Aを被印刷媒体Mに転写できる。
【0054】
<変形例>
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。印刷装置1は、インクリボンR及び被印刷媒体Mが収容されたカートリッジを着脱可能に装着してもよい。インクリボンR及び被印刷媒体Mは、共通する搬送機構により搬送されてもよい。印刷装置1は、被印刷媒体M及びインクリボンRに対してサーマルヘッド5を副走査方向に移動させてもよい。エネルギーの印加条件は、入力部43を介してユーザにより設定されてもよい。又、印刷装置1は、温度環境、被印刷媒体Mの種類等に応じ、第1~第4印加条件のうち何れかを選択してもよい。
【0055】
インクリボンRは、中間層73を有さなくてもよい。この場合、第1インク層71と第2インク層72とが接触してもよい。基材層70と第1インク層71との間に、溶着材からなる溶着層が介在していてもよい。溶着層により、基材層70と第1インク層71との間の接着力が調整されてもよい。基材層70に対して第1インク層71側と反対側の面に背面層が設けられていても良い。また、第2インク層72に対して第1インク層71側と反対側の面の少なくとも一方に、接着層が設けられてもよい。
【0056】
複数の発熱素子5Aに対するエネルギーの印加は、所定の電力P(第1電力P1又は第2電力P2)を所定の時間T(第1時間T1又は第2時間T2)連続的に印加することにより行われてもよいし、別の方法で行われてもよい。例えば、複数の発熱素子5Aに対し、所定の電力Pが間欠的に印加されてもよい。この場合、間欠的な印加時間の合計が所定の時間Tとなる。又、間欠的な電力Pの印加がされる場合の周期は一定でもよいし、一定でなくてもよい。
【0057】
複数の発熱素子5Aの夫々は、可変抵抗により構成されていてもよい。印刷装置1は、複数の発熱素子5Aの夫々で抵抗値を個別に調整することにより、複数の発熱素子5Aに印加される電力が調整されてもよい。
【0058】
<その他>
リボン巻取スプール32は、本発明の「第1搬送部」の一例である。プラテン22は、本発明の「第2搬送部」の一例である。サーマルヘッド5は、本発明の「ラインサーマルヘッド」の一例である。インクリボン剥離部材33は、本発明の「転写部」の一例である。CPU41は、本発明の「制御部」の一例である。S27の処理を行うCPU41は、本発明の「第1加熱手段」「第2加熱手段」の一例である。S15の処理は、本発明の「第1搬送工程」の一例である。S17の処理は、本発明の「第2搬送工程」の一例である。S27の処理は、本発明の「加熱工程」「第1加熱工程」「第2加熱工程」の一例である。29の処理は、本発明の「転写工程」の一例である。
【符号の説明】
【0059】
1 :印刷装置
5 :サーマルヘッド
5A :発熱素子
22 :プラテン
32 :リボン巻取スプール
33 :インクリボン剥離部材
41 :CPU
70 :基材層
70A :基材
71 :第1インク層
71A :第1インク
72 :第2インク層
72A :第2インク
M :被印刷媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7