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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016324
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20230126BHJP
【FI】
H01L21/306 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120561
(22)【出願日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】390005050
【氏名又は名称】東邦化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(72)【発明者】
【氏名】牛田 慧
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 憲一郎
【テーマコード(参考)】
5F043
【Fターム(参考)】
5F043AA22
5F043BB15
5F043DD19
5F043DD30
5F043EE07
5F043EE08
5F043EE32
5F043GG10
(57)【要約】
【課題】 基板を対象とした処理への意図しない影響を低減することが可能な基板処理装置を提供すること。
【解決手段】 基板91を処理するために処理液92を貯めることが可能なカップ1と、カップ内1を鉛直方向zに延びる昇降軸31に沿って昇降可能になされたステージ2と、ステージ2上に設けられ、基板91を載置する載置台4と、載置台4に対して、昇降軸31を中心とする周方向θに沿った回動軸51周りに回動可能に取り付けられた回動部材5と、を備え、回動部材5は、回動軸51よりも径方向rの内側に位置する保持部52と、回動軸51よりも径方向rの外側に位置する当接部53と、を有し、ステージ2の下降に伴い、当接部53がカップ1に当接することにより回動部材5が回動して、基板91を挟んで保持部52と載置台4との間隔が縮小する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するために処理液を貯めることが可能なカップと、
前記カップ内を鉛直方向に延びる昇降軸に沿って昇降可能になされたステージと、
前記ステージ上に設けられ、前記基板を載置する載置台と、
前記載置台に対して、前記昇降軸を中心とする周方向に沿った回動軸周りに回動可能に取り付けられた回動部材と、を備え、
前記回動部材は、前記回動軸よりも径方向の内側に位置する保持部と、前記回動軸よりも径方向の外側に位置する当接部と、を有し、
前記ステージの下降に伴い、前記当接部が前記カップに当接することにより前記回動部材が回動して、前記基板を挟んで前記保持部と前記載置台との間隔が縮小する、
基板処理装置。
【請求項2】
前記カップは、前記昇降軸周りに回転することにより、前記処理液を径方向外方に排出する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記カップは、上端部と、前記上端部に繋がる側面部と、前記側面部の下方に繋がる底面部と、を有し、
前記底面部のすべてが、鉛直方向に沿って視て、前記上端部の内側に含まれる、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記当接部は、前記上端部に当接する、請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記当接部は、前記側面部に当接する、請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記当接部は、前記回動軸から延在する延在部と、前記延在部に設けられた調整部に結合した突起部と、を有し、
前記突起部が、前記上端部に当接する、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記当接部は、前記回動軸から延在する延在部と、前記延在部に設けられた調整部に螺合した突起部と、を有し、
前記ステージの下降に伴い、前記延在部が前記上端部に当接した後に、前記突起部が前記側面部に当接する、請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記基板の処理時には、前記処理液の液面は、前記基板よりも上方に位置する、請求項1ないし7のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記昇降軸は、前記カップ内においてベローズ部材によって覆われている、請求項1ないし7のいずれかに記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
Si(シリコン)をはじめとする半導体等からなる基板に所定の処理を行う基板処理装置が種々に提案されている。特許文献1には、従来の基板処理装置の一例が開示されている。同文献に開示された基板処理装置は、基板に形成されたレジスト層と、このレジスト層上に積層された金属層とを一括して除去するリフトオフ処理を行う装置である。この基板処理装置は、カップ、載置台および回動部材を備える。カップは、リフトオフ処理を行うための処理液を貯めるものである。載置台は、カップ内に配置されており、基板が載置されるものである。載置台は、カップに対して昇降可能とされている。回動部材は、載置台に対して回動可能に支持されている。カップ内には、当接部材が設けられている。載置台に基板が置かれた状態で下降すると、回動部材が当接部材に当接する。これにより、回動部材が回動し、載置台と回動部材との間に基板が保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2017-147354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、当接部材は、カップ内の処理液の流動を不当に乱してしまうおそれがある。あるいは、リフトオフ処理によって除去されたレジスト層や金属層が、当接部材に付着してしまうことが懸念される。このように、基板を対象とした処理において、当接部材が、意図しない影響を及ぼすという問題があった。
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、基板を対象とした処理への意図しない影響を低減することが可能な基板処理装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供される基板処理装置は、基板を処理するために処理液を貯めることが可能なカップと、前記カップ内を鉛直方向に延びる昇降軸に沿って昇降可能になされたステージと、前記ステージ上に設けられ、前記基板を載置する載置台と、前記載置台に対して、前記昇降軸を中心とする周方向に沿った回動軸周りに回動可能に取り付けられた回動部材と、を備え、前記回動部材は、前記回動軸よりも径方向の内側に位置する保持部と、前記回動軸よりも径方向の外側に位置する当接部と、を有し、前記ステージの下降に伴い、前記当接部が前記カップに当接することにより前記回動部材が回動して、前記基板を挟んで前記保持部と前記載置台との間隔が縮小する。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記カップは、前記昇降軸周りに回転することにより、前記処理液を径方向外方に排出する。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記カップは、上端部と、前記上端部に繋がる側面部と、前記側面部の下方に繋がる底面部と、を有し、前記底面部のすべてが、鉛直方向に沿って視て、前記上端部の内側に含まれる。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記当接部は、前記上端部に当接する。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記当接部は、前記側面部に当接する。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記当接部は、前記回動軸から延在する延在部と、前記延在部に設けられた調整部に結合した突起部と、を有し、前記突起部が、前記上端部に当接する。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記当接部は、前記回動軸から延在する延在部と、前記延在部に設けられた調整部に螺合した突起部と、を有し、前記ステージの下降に伴い、前記延在部が前記上端部に当接した後に、前記突起部が前記側面部に当接する。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記基板の処理時には、前記処理液の液面は、前記基板よりも上方に位置する。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記昇降軸は、前記カップ内においてベローズ部材によって覆われている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、基板を対象とした処理への意図しない影響を低減することができる。
【0016】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置を示す要部平面図である。
図2図1のII-II線に沿う要部断面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置を示す要部拡大断面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の動作を示す要部断面図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の動作を示す要部拡大断面図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の動作を示す要部断面図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の動作を示す要部拡大断面図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の動作を示す要部断面図である。
図9】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の動作を示す要部断面図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る基板処理装置を示す要部断面図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る基板処理装置を示す要部拡大断面図である。
図12】本発明の第2実施形態に係る基板処理装置の動作を示す要部断面図である。
図13】本発明の第2実施形態に係る基板処理装置の動作を示す要部拡大断面図である。
図14】本発明の第2実施形態に係る基板処理装置の動作を示す要部断面図である。
図15】本発明の第2実施形態に係る基板処理装置の動作を示す要部拡大断面図である。
図16】本発明の第3実施形態に係る基板処理装置の動作を示す要部拡大断面図である。
図17】本発明の第4実施形態に係る基板処理装置の動作を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0019】
本開示における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単に識別のために用いたものであり、それらの対象物に順列を付することを意図していない。
【0020】
<第1実施形態>
図1図9は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置を示している。本実施形態の基板処理装置A1は、カップ1、ステージ2、駆動部3、載置台4、回動部材5および排液チャンバ6を備えている。本発明に係る基板処理装置が、基板91を対象として実行する処理の種類は、何ら限定されない。以降においては、基板91に形成されたレジスト層と、このレジスト層上に積層された金属層とを一括して除去するリフトオフ処理を実行する構成を例に説明する。なお、基板91を対象とした処理としては、リフトオフ処理の他に、たとえばカップ1に貯められた処理液92中に、基板91を沈めた状態で長時間維持し、レジスト層を膨潤させることによって溶解させる処理が挙げられる。
【0021】
図1は、基板処理装置A1を示す要部平面図である。図2は、図1のII-II線に沿う要部断面図である。図3は、基板処理装置A1を示す要部拡大断面図である。図4は、基板処理装置A1の動作を示す要部断面図である。図5は、基板処理装置A1の動作を示す要部拡大断面図である。図6は、基板処理装置A1の動作を示す要部断面図である。図7は、基板処理装置A1の動作を示す要部拡大断面図である。図8および図9は、基板処理装置A1の動作を示す要部断面図である。これらの図において、鉛直方向zは、ステージ2が昇降する方向である。周方向θは、後述の鉛直方向zに延びる昇降軸31を中心とする周方向であり、径方向rは、昇降軸31を中心とする径方向である。図2図4は、後述のステージ2の昇降において、ステージ2が上端に位置した状態を示している。図6図8は、ステージ2が下端に位置した状態を示している。
【0022】
〔カップ1〕
カップ1は、基板91を処理するために処理液92を貯めることが可能なものである。カップ1の形状および材質は、何ら限定されない。カップ1は、たとえば、ステンレス等の金属からなる。本実施形態のカップ1は、図1および図2に示すように、上端部11、側面部12および底面部13を有する。また、図示された例においては、カップ1は、さらに外壁部14を有する。なお、処理液92を貯めることが可能なカップ1とは、所定期間において一定量の処理液92を貯めるといった用途に用いられるものに限定されず、たとえば、所定工程において処理液92がカップ1に常時供給され、処理液92がカップ1に一時的に滞留した後に順次排出されるといった用途に用いられるものも含む概念である。
【0023】
上端部11は、カップ1のうち鉛直方向zの上端に位置する部分である。上端部11の具体的な形状は何ら限定されず、図示された例においては、円環形状の板状部位である。図2および図3に示す状態において、上端部11は、回動部材5の突起部532の鉛直方向zにおける下方に位置しており、鉛直方向zに沿って視て、突起部532と重なっている。なお、後述するように、突起部532の具体的な構成は何ら限定されない。
【0024】
側面部12は、上端部11から鉛直方向zの下方に繋がっている。側面部12の鉛直方向zの高さは、ステージ2、駆動部3、載置台4および回動部材5を収容可能な高さとされる。また、側面部12の鉛直方向zの高さは、処理液92の液面を、基板91に対して所定の高さに維持可能な高さとされる。図示された例においては、側面部12は、鉛直方向zの上方から下方に向けて径方向rの寸法が小さくなるテーパ状の傾斜部とされている。側面部12は、鉛直方向zに沿って視て、円環形状である。側面部12の傾斜角度は何ら限定されず、たとえば水平面(径方向rおよび周方向θが含まれる面)に対して30°~75°程度の角度をなし、図示された例においては、水平面に対して60°程度の角度をなす。
【0025】
底面部13は、側面部12の鉛直方向zの下方に繋がっている。底面部13の形状は、何ら限定されず、図示された例においては、円形状である。底面部13のすべてが、鉛直方向zに沿って視て、上端部11の内側に含まれる。図示された例においては、上端部11が円環形状であり、底面部13が円形であるため、鉛直方向zに沿って視て、上端部11の内径が、底面部13の外径よりも大きい関係となっている。底面部13の中央部には、後述の昇降軸31を挿通させるための開口が設けられている。
【0026】
外壁部14は、上端部11の径方向rの外周端に繋がっており、上端部11から鉛直方向zの下方に延びている。外壁部14は、鉛直方向zの高さが側面部12よりも低い、円筒形状である。
【0027】
〔ステージ2〕
ステージ2は、カップ1内を鉛直方向zに昇降可能とされており、載置台4を支持している。ステージ2の具体的な構成は何ら限定されず、図示された例においては、ベース21および円盤部22を有する。
【0028】
ベース21は、後述の昇降軸31の上端に固定された部位である。ベース21は、たとえばステンレス等の金属や樹脂等からなる。円盤部22は、ベース21に固定されており、ベース21から径方向rに広がっている。円盤部22は、たとえば鉛直方向zに沿って視て円形の板状の部位である。円盤部22は、たとえばステンレス等の金属からなる。
【0029】
〔駆動部3〕
駆動部3は、ステージ2を昇降させるための駆動機能を有するものである。また、本実施形態においては、駆動部3は、カップ1を回転させるための駆動機能を有する。駆動部3の具体的構成は何ら限定されず、本実施形態においては、昇降軸31、支持部32、ベローズ部材33、昇降駆動機構34および回動駆動機構35を有する。
【0030】
昇降軸31は、その上端がステージ2のベース21に固定されており、ステージ2を鉛直方向zに沿って昇降させるための軸である。昇降軸31は、カップ1の底面部13の開口を通じて、鉛直方向zの下方に延出している。
【0031】
支持部32は、カップ1の底面部13の開口に取り付けられている。支持部32の内部には、昇降軸31が挿通されている。支持部32が昇降軸31周りに回転させられると、カップ1およびステージ2が共に回転する。また、カップ1およびステージ2と共に、ベローズ部材33が回転する。また、昇降軸31がカップ1およびステージ2と共に回転してもよい。なお、駆動部3の具体的構成により、カップ1とステージ2とが別々に回転可能な構成であってもよい。
【0032】
ベローズ部材33は、鉛直方向zに伸縮可能な蛇腹構造の部材である。ベローズ部材33の材質は何ら限定されず、ステンレス等の金属や樹脂等からなる。ベローズ部材33は、上端がステージ2のベース21に取り付けられており、下端が支持部32に取り付けられている。ベース21と支持部32との間で、ベローズ部材33の内部と外部とは、気密状態で区画されている。
【0033】
昇降駆動機構34は、昇降軸31を昇降させる駆動機構である。昇降駆動機構34の具体的な構成は何ら限定されず、モータ、シリンダ等を適宜採用可能である。図示された例においては、昇降駆動機構34は、昇降軸31の下端に連結されているが、昇降駆動機構34が設けられる位置は、何ら限定されない。
【0034】
回動駆動機構35は、カップ1およびステージ2を昇降軸31周りに回転させる駆動機構である。回動駆動機構35の具体的な構成は何ら限定されず、モータおよびギヤ等を適宜採用可能である。図示された例においては、回動駆動機構35は、支持部32を介してカップ1およびステージ2を回転させる構成であるが、回動駆動機構35の構成は何ら限定されない。たとえば、カップ1を直接回転させる構成であってもよい。また、図示された例においては,回動駆動機構35は、支持部32の側方に配置されているが、回動駆動機構35が設けられる位置は、何ら限定されない。回動駆動機構35によるカップ1およびステージ2の回転速度は、たとえば、後述するように、カップ1に貯められた処理液92が、カップ1の回転による遠心力によって十分に排出することが可能な程度の回転速度に設定される。
【0035】
〔載置台4〕
載置台4は、ステージ2に設けられており、基板91が載置されるものである。載置台4の具体的構成は何ら限定されず、図示された例においては、複数のブロック41を有する。複数のブロック41は、ステージ2の円盤部22上に固定されており、周方向θに沿って等ピッチで配置されている。図示された例においては、4つのブロック41が90°のピッチで配置されているが、これは一例であり、ブロック41の個数やピッチの大きさは、何ら限定されない。ブロック41の形状や材質は何ら限定されない。ブロック41の材質としては、基板91を適切に支持しつつ、基板91との不要な反応や損傷を生じさせないものが好ましく、たとえば樹脂等からなる。
【0036】
図2および図3に示すように、各ブロック41は、載置面411を有する。載置面411は、鉛直方向zの上方を向く平坦な面である。載置面411の位置や形状は何ら限定されない。図示された例においては、載置面411は、鉛直方向zにおいてベース21の上方に位置しており、後述の基板91を対象とした処理において、載置された基板91がカップ1に貯められる処理液92の液面よりも低い位置となるように設定されている。また、図示された例においては、載置面411の大きさは、基板91の外周端付近の部分を支持する大きさとされている。
【0037】
〔回動部材5〕
回動部材5は、載置台4(ブロック41)に対して回動可能に取り付けられている。回動部材5の個数は、何ら限定されず、図示された例においては、4つのブロック41に対応して、4つの回動部材5が設けられている。回動部材5は、回動軸51、保持部52および当接部53を有する。
【0038】
回動軸51は、周方向θに沿った軸であり、たとえば、ボルトやシャフト等によって構成されている。なお、回動軸51が周方向θに沿った軸であるとは、昇降軸31を中心とする円の接線方向に沿った軸であることを指し、回動軸51が、円弧状に湾曲したことを指すものではない。回動軸51は、ブロック41に固定されている。
【0039】
保持部52は、回動軸51よりも径方向rの内側に位置する部位である。当接部53は、回動軸51よりも径方向rの外側に位置する部位である。保持部52および当接部53の具体的な構成は、何ら限定されない。図示された例においては当接部53の径方向rの大きさは、保持部52の径方向rの大きさよりも大きい。保持部52および当接部53は、1つの一体的な部材によって構成されていてもよいし、複数の部材が組み合わされることによって構成されていてもよい。図示された例においては、回動部材5は、本体部50、延在部531および突起部532を有する。
【0040】
本体部50は、回動軸51が貫通する部位であり、鉛直方向zに沿って視て径方向rを長手方向とする略矩形状の部位である。本体部50の材質は何ら限定されず、たとえば樹脂等からなる。本体部50のうち回動軸51よりも径方向rの内側に位置する部分によって、保持部52が構成されている。また、図示された例の保持部52は、突出部521を有する。突出部521は、保持部52の鉛直方向z上方部分が、径方向rの内側に向かって突出した部分である。突出部521は、載置面411との間に所定の隙間を構成するための部位である。
【0041】
一方、本体部50のうち回動軸51よりも径方向rの外側に位置する部分と延在部531および突起部532とによって、当接部53が構成されている。延在部531は、本体部50の鉛直方向zの下端面に取り付けられており、全体として本体部50から径方向rの外側に延在している。延在部531の形状や材質等は何ら限定されない。図示された例においては、延在部531は、たとえばステンレス等の金属からなり、第1延出部5311、第2延出部5312および傾斜部5313を有する屈曲形状である。
【0042】
第1延出部5311は、本体部50の下端面に取り付けられており、この下端面に沿って径方向rの外側に延出している。後述するように、ステージ2が下端に位置する図6および図7に示す状態においては、第1延出部5311は、径方向rに沿って延びている。
【0043】
第2延出部5312は、第1延出部5311よりも径方向rの外側に位置しており、図6および図7に示す状態において、第1延出部5311よりも鉛直方向zの上方に位置している。第2延出部5312は、第1延出部5311と同じ方向に延びており、図6および図7に示す状態においては、径方向rに沿って延びている。第2延出部5312には、調整部5314が形成されている。調整部5314は、突起部532が結合される部位である。
【0044】
傾斜部5313は、第1延出部5311と第2延出部5312との間に位置する部分である。図6および図7に示す状態において、傾斜部5313は、径方向rの外側に向かうほど鉛直方向zの上方に位置するように傾斜している。また、この状態において、傾斜部5313は、側面部12に対して隙間を隔てて平行となるように設定されている。
【0045】
突起部532は、第2延出部5312に設けられた調整部5314に結合しており、延在部531に対して、図3に示す矢印の方向に移動調整が可能とされている。突起部532および調整部5314の具体的な構成は、何ら限定されない。突起部532が延在部531に対して保持され、且つ使用者の所定の操作等により延在部531に対して突起部532の位置調整が可能であることにより、延在部531から突起部532が突出する量を調整可能な構成が、適宜採用される。このような突起部532と調整部5314とが結合する形態としては、たとえば以下に述べる螺合が挙げられる。また、突起部532および調整部5314の一方が他方を挟持する構成であって、挟持力を変更可能であることにより突起部532の移動調整が行われてもよい。あるいは、突起部532と調整部5314との結合に、磁力を利用してもよい。
【0046】
図示された例においては、突起部532は、いわゆる六角穴止めネジ等の雄ネジを有する部材によって構成されている。調整部5314は、雌ネジを有する構成であり、たとえば延在部531を構成する金属板部材に、六角ナットを固定することによって構成されている。これにより、突起部532と調整部5314とは、螺合によって互いに結合されている。なお、雌ネジを有する調整部5314としては、延在部531を構成する金属板部材自体に、雌ネジ孔を形成することによって設けてもよい。図6および図7に示す状態において、突起部532の鉛直方向zの下端は、第2延出部5312から鉛直方向zの下方に突出している。
【0047】
〔排液チャンバ6〕
排液チャンバ6は、処理を終えた処理液92がカップ1から排出されるものである。排液チャンバ6の具体的構成は何ら限定されない。また、本発明に係る基板処理装置は、カップ1から排出される処理液92を受け止めるための、排液チャンバ6のような構造物を備えない構成であってもよい。本実施形態においては、排液チャンバ6は、たとえばステンレス等からなる金属板によって形成されており、上板部61、下板部62、内板部63および排出路64を有する。
【0048】
上板部61は、鉛直方向zの上方に位置する部位であり、図示された例においてはたとえば円環形状である。上板部61は、カップ1の上端部11よりも鉛直方向zにおいて上方に位置している。また、上端部11は、鉛直方向zに沿って視て、上端部11と重なっている。ステージ2は、鉛直方向zに沿って視て、上板部61の内側に位置している。
【0049】
下板部62は、上板部61に対して鉛直方向zの下方に位置しており、たとえば鉛直方向zに沿って視て円環形状である。下板部62は、鉛直方向zに沿って視て、概ね上板部61と重なる形状および大きさとされている。下板部62は、鉛直方向zにおいて、外壁部14の下端よりも下方に位置している。
【0050】
内板部63は、下板部62の径方向rの内端縁から鉛直方向zの上方に延びており、円筒形状である。鉛直方向zに沿って視て、内板部63は、カップ1の側面部12と外壁部14との間に位置しており、上端部11と重なっている。内板部63の下端は、鉛直方向zにおいて、外壁部14の下端よりも下方に位置している。内板部63の上端は、鉛直方向zにおいて、外壁部14の下端よりも上方に位置しており、上板部61よりも下方に位置している。すなわち、径方向rの外側から視て、外壁部14と内板部63とが部分的に重なる構成である。
【0051】
排出路64は、カップ1から排出された処理液92を、所定の場所に導くための流路である。図示された例においては、排出路64は、上板部61、下板部62および内板部63によって囲まれた円環形状の空間から径方向rの外側に延びている。
【0052】
次に、基板処理装置A1の動作について説明する。
【0053】
図2は、基板91を対象とした処理を開始する状態を示している。この状態では、ステージ2が、駆動部3の昇降駆動機構34によって上昇させられており、鉛直方向zの上端に位置している。回動部材5は、載置台4に対して回動可能に支持されており、たとえばカップ1等に当接していない。当接部53が保持部52よりも径方向rにおいて大きい構成であることから、重力に従うバランスにより、当接部53が鉛直方向zの下方に位置し、保持部52が鉛直方向zの上方に位置する姿勢となっている。この状態では、回動部材5の保持部52は、鉛直方向zに沿って視て載置台4の載置面411とは重なっておらず、載置面411に対して径方向rの外側に位置している。
【0054】
次いで、図4に示すように、基板91を載置する。基板91の載置は、たとえば図示しないホルダ等によって、基板91を鉛直方向zの上方から下降させる。そして、図3に示すように、載置台4の載置面411に基板91の外周端付近の部分を当接させ、基板91を載置する。
【0055】
次いで、駆動部3の昇降駆動機構34によって、ステージ2を鉛直方向zの下方に下降させる。これにより、ステージ2とともに載置台4、回動部材5および基板91がカップ1に対して下降する。図3および図4において、互いに離間していた上端部11と回動部材5の突起部532とが、ステージ2の下降に伴って、図5に示すように当接する。なお、この当接は、突起部532の下端が当接してもよいし、第2延出部5312の径方向rの外方端が当接してもよい。この状態からさらにステージ2が下降すると、回動部材5の回動軸51が下降する一方、突起部532は、上端部11によって下降が阻止される。これにより、回動軸51周りに、回動部材5が回転する(図5においては、時計回りに回転する)。
【0056】
図6および図7は、ステージ2の下降が完了し、ステージ2が鉛直方向zにおける下端に位置した状態を示している。図5に示す状態以降では、突起部532がカップ1の上端部11に当接した状態が維持されながら、カップ1、ステージ2、載置台4および基板91が下降する。これに伴い、回動軸51は、順次回動し、図6および図7に示す姿勢となっている。この状態では、第1延出部5311および第2延出部5312が径方向rに沿って延びている。傾斜部5313は、側面部12に対して隙間を隔てて平行となっている。また、第2延出部5312は、上端部11に対して隙間を隔てて平行となっている。
【0057】
図6および図7に示す状態に至るステージ2の下降に伴う回動部材5の回動により、保持部52の突出部521と載置台4の載置面411との間隔が縮小する。この動作において、突出部521と載置面411との間には、基板91の一部が存在している。したがって、ステージ2が下端に到達すると、突出部521と載置面411との間隔が基板91を挟んで最も縮小する。この際、突出部521は、基板91に接してもよいし、基板91から僅かな隙間を隔てて離れていてもよい。
【0058】
次に、カップ1に処理液92を注ぐ。本実施形態においては、図8に示すように、たとえばノズル82によって、処理液92をカップ1に注ぐ。処理液92の具体的な種類等は何ら限定されず、基板91に施す処理に併せて適宜選択される。
【0059】
基板91に対してリフトオフ処理を施す場合、処理液92としては、たとえば2種類の液体を順次選択する例が挙げられる。1種類目は、レジスト層に対して溶解性が無い不溶解性液体である。不溶解性液体としては、たとえば純水が挙げられる。たとえば、処理液92として、不溶解性液体である純水を、ノズル82からカップ1に注ぐ。処理液92の注入量は、載置台4に載置された基板91が、処理液92に十分に浸漬する量に設定される。この場合、処理液92の液面は、基板91よりも鉛直方向zの上方に位置し、図示された例においては、ブロック41の全体および回動部材5の本体部50の全体よりも鉛直方向zの上方に位置している。一方、当接部53の延在部531は、処理液92の液面を超えて、処理液92から上方に突出している。
【0060】
不溶解性液体である処理液92をカップ1に注いだ後は、たとえば、超音波発生部81を用いて、処理液92を介して基板91に超音波を作用させる。超音波発生部81の具体的な構成は何ら限定されず、たとえばホーン型超音波発生器等である。超音波発生部81からの超音波により、たとえば、レジスト層上に積層された金属層の殆どと、レジスト層の一部とを基板91から剥離させる。超音波を基板91に作用させる際には、超音波発生部81を図中に示した矢印のように、たとえば径方向rに往復動させることが好ましい。また、ノズル82の径方向rの往復動に併せて、ステージ2、載置台4、回動部材5および基板91を、周方向θに低速で回転させることが好ましい。これにより、基板91の全面に超音波発生部81からの超音波を作用させることができる。
【0061】
超音波発生部81から超音波が作用されると、除去すべき金属層のほとんどとレジスト層の一部とが、処理液92に浮遊または沈殿した状態となる。続いて、この処理液92をカップ1から排出する。本実施形態においては、処理液92の排出は、カップ1を昇降軸31周りに回転させることによる遠心力を利用して行う。
【0062】
図9に示すように、駆動部3の回動駆動機構35によって、支持部32を回転させる。これにより、カップ1が回転する。この際の回転速度は、カップ1内の処理液92を十分に排出させる速度であることが求められ、たとえば超音波発生部81から超音波を作用させた工程における回転速度よりも顕著に速い。カップ1の回転による遠心力により、処理液92は、カップ1の側面部12に沿って径方向rの外側であって鉛直方向zの上方に向けて流動する。この結果、上端部11を超えて、カップ1の径方向rの外側に順次排出される。
【0063】
カップ1から排出された処理液92は、上端部11と上板部61との隙間から下板部62へと落下する。そして、排出路64を通じて、所定の廃液箇所に流出する。この際、径方向rの外側から視て、カップ1の外壁部14と排液チャンバ6の内板部63とが重なっていることにより、処理液92が支持部32、昇降駆動機構34および回動駆動機構35等が配置された領域に飛散すること等を抑制することができる。なお、本実施形態においては、カップ1とともに、載置台4、回動部材5および基板91が回転する構成とされているが、本発明はこれに限定されず、たとえば、処理液92の排出においては、カップ1のみが高速で回転する構成であってもよい。
【0064】
処理液92としての不溶解性液体の排出が完了すると、本例においては、2種類目の処理液92として、レジスト層に対して溶解性を有する溶解性液体をカップ1に注ぐ。このような処理液92としては、たとえばIPA(イソプロピルアルコール)が挙げられる。溶解性液体である処理液92の注入においては、処理液92を基板91に吹きかけるように注入することが好ましい。これにより、基板91の表面に残存したレジスト層が、溶解性液体である処理液92によって溶解される。処理液92による残存したレジスト層の溶解が完了した後は、図9を参照して説明した手法と同様の手法により、カップ1の回転による遠心力を利用して、処理液92を排出する。
【0065】
処理液92の排出が完了した後は、昇降駆動機構34によってステージ2を上端まで上昇させる。これにより、図3および図4に示す状態に復帰する。この後は、図示しない所定のホルダ等によって基板91を載置台4から取り上げる。これにより、基板91に対するリフトオフ処理が完了する。なお、処理液92の排出の後、ステージ2を上昇させる前に、基板91に残存した処理液92を乾燥等させるために、たとえば基板91に所定の気体を吹き付けてもよい。
【0066】
次に、基板処理装置A1の作用について説明する。
【0067】
本実施形態によれば、ステージ2の下降に伴い、回動部材5の当接部53がカップ1に当接することにより回動部材5が回動し、基板91を保持する。このため、回動部材5に当接させるための当接部材をカップ1内に設ける必要がない。これにより、当接部材によって、カップ1内の処理液92の流動を不当に乱してしまうことを防止することが可能である。あるいは、リフトオフ処理によって除去されたレジスト層や金属層が、当接部材に付着してしまうことを回避可能である。したがって、基板91を対象とした処理への意図しない影響を低減することができる。
【0068】
基板処理装置A1においては、図9に示すように、カップ1を回転させることにより、処理液92をカップ1から排出する。本実施形態とは異なり、たとえば特許文献1のようにカップ1の底面部13に設けられた排出口から処理液92を排出する場合、処理液92に浮遊した金属層やレジスト層の小片または粉等が、基板91の上面に再付着して残存してしまうおそれがある。本実施形態によれば、カップ1の回転による遠心力を利用して、処理液92を径方向rの外側に向けて排出する。このため、処理液92に含まれる金属層やレジスト層の小片または粉等が、処理液92とともに径方向rの外側に飛ばされる格好となる。したがって、金属層やレジスト層の小片や粉等が基板91に残存することを抑制することができる。さらに、特許文献1のように、カップ1に排出口を設けたり当接部材を接合したりといった余分な加工をする必要が無く、装置を簡素化することができる。
【0069】
カップ1の側面部12は、テーパ状の傾斜部とされている。このため、処理液92の排出においてカップ1を回転させた際に、処理液92が側面部12に沿って、斜め上向きに流動し、上端部11を超えてよりスムーズに排出させることができる。図7に示すように、処理液92の排出時に、回動部材5の延在部531の傾斜部5313が、側面部12と隙間を隔てて平行に設定されていることにより、側面部12と傾斜部5313との隙間を処理液92がスムーズに流動することが可能であり、処理液92を適切に排出することができる。
【0070】
図5図7に示すように、回動部材5の当接部53は、カップ1の上端部11に当接し、これにより、回動部材5が回動する。これにより、回動部材5の当接部53が上端部11に当接した後に、さらにステージ2が下降する際に、回動部材5とカップ1とが強く擦れ合って回動部材5のスムーズな回動が阻害されたり、回動部材5の回動が不規則となってしまったりするような事態を回避することができる。
【0071】
当接部53は、突起部532を有しており、突起部532が上端部11と当接する。突起部532は、延在部531に対して螺合により取り付けられており、延在部531に対して相対動可能である。これにより、たとえば、図6および図7に示す状態において、保持部52の突出部521と載置台4の載置面411との間隔が、基板91の保持に適した大きさとなるように、延在部531に対する突起部532の位置を調整することができる。突起部532の位置調整が一旦完了すると、それ以降の基板処理装置A1の動作においては、保持部52の突出部521と載置台4の載置面411との間隔を適切な大きさに再現性良く設定することができる。これは、基板処理装置A1を動作させるたびに上述の間隔がばらついてしまうことを抑制するのに適している。また、長期間の使用により、カップ1の上端部11に変形等が生じた場合であっても、突起部532の位置調整により、基板91の保持を適切に行うことができる。
【0072】
カップ1内に、ベローズ部材33を設けることにより、処理液92を貯めた状態であっても、昇降軸31等に処理液92が付着してしまうこと等を防止することができる。
【0073】
図10図17は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0074】
<第2実施形態>
図10図15は、本発明の第2実施形態に係る基板処理装置を示している。本実施形態の基板処理装置A2は、主に、回動部材5の構成が上述した基板処理装置A1と異なっている。図10および図11は、図2および図3と同様の状態の基板処理装置A2を示している。図14および図15は、図6および図7と同様の状態の基板処理装置A2を示している。図12および図13は、図10および図11に示す状態と、図14および図15に示す状態との間の状態の基板処理装置A2を示している。
【0075】
基板処理装置A2の回動部材5では、延在部531が、本体部50の上端面に取り付けられている。延在部531は、第1延出部5311および傾斜部5313を有しており、第2延出部5312を有していない。
【0076】
第1延出部5311は、本体部50の上端面に沿って径方向rの外側に延出している。第1延出部5311は、図14および図15に示す状態において、径方向rに沿って延出している。
【0077】
傾斜部5313は、第1延出部5311の径方向rの外方端から径方向rの外側に延出している。傾斜部5313は、図14および図15に示す状態において、第1延出部5311の外方端から径方向rの外側に向かうほど鉛直方向zの上方に位置するように傾斜している。また、この状態において、傾斜部5313は、側面部12に対して隙間を隔てて平行となるように設定されている。
【0078】
本実施形態においては、傾斜部5313に調整部5315が設けられており、この調整部5315に突起部532が螺合によって結合している。調整部5315は、延在部531を構成する金属板部材に、六角ナットを固定することによって構成されている。なお、調整部5315は、延在部531を構成する金属板部材自体に、雌ネジ孔を形成することによって設けてもよい。また、上述した調整部5314と同様に、調整部5315の構成は何ら限定されない。
【0079】
基板処理装置A1の回動部材5における調整部5314の径方向rにおける位置よりも、調整部5315は、径方向rの内側に配置されている。すなわち、基板処理装置A2の回動部材5においては、突起部532よりも径方向rの外側に傾斜部5313がより大きく突出している。図10および図11に示す状態において、傾斜部5313は、鉛直方向zに沿って視て、一部が上端部11と重なっている。一方、突起部532は、鉛直方向zに沿って視て、上端部11よりも径方向rの内側に位置しており、側面部12と重なっている。
【0080】
基板処理装置A2においても、基板91を対象とした処理を行うために、基板処理装置A1において説明した動作と同様の動作を行う。基板91が載置台4に載置されると、回動駆動機構35によってステージ2、載置台4、回動部材5および基板91が、カップ1に対して下降する。すると、図12および図13に示すように、傾斜部5313が上端部11(または、上端部11と側面部12との境界部分)に当接する。この状態よりもさらに、ステージ2、載置台4および基板91が下降すると、回動部材5は、傾斜部5313が上端部11(または、上端部11と側面部12との境界部分)に当接した状態で、昇降軸31周りに回動する。
【0081】
さらに、ステージ2、載置台4および基板91を下降させ、図14および図15に示す下端位置に到達した状態では、突起部532が側面部12に当接し、その一方で傾斜部5313が上端部11から離れている。すなわち、図12および図13に示す状態から、図14および図15に示す状態に向けて下降する間に、傾斜部5313と上端部11(または、上端部11と側面部12との境界部分)とが当接し、且つ突起部532と側面部12とが当接する状態を迎える。そして、直ちに、傾斜部5313が上端部11から離れ、突起部532と側面部12とが当接した状態で、ステージ2等が下降し、図14および図15に示す状態を迎える。図14および図15に示す状態では、突出部521と載置面411との間隔が基板91を挟んで最も縮小している。
【0082】
本実施形態によっても、基板91を対象とした処理への意図しない影響を低減することができる。また、本実施形態においては、図13および図15に示すように、まず、傾斜部5313が上端部11(または、上端部11と側面部12との境界部分)に当接することにより、回動部材5の回動が開始する。そして、ステージ2が下端にまで下降した状態では、突起部532が側面部12に当接することにより、突出部521と載置面411との間隔の大きさが決定される。傾斜部5313が上端部11に当接することにより、その後の下降に伴う回動部材5の回動において、傾斜部5313とカップ1とが強く擦れ合って回動部材5のスムーズな回動が阻害されたり、回動部材5の回動が不規則となってしまったりするような事態を回避することができる。また、側面部12は、全体がテーパ形状の筒状の部位である。このような側面部12は、剛性が高く、変形等が生じにくい。このため、突起部532の当接によって、突出部521と載置面411との間隔をより確実に所定の大きさに設定することができる。
【0083】
<第3実施形態>
図16は、本発明の第3実施形態に係る基板処理装置を示している。本実施形態の基板処理装置A3においては、ステージ2の下降に伴い、当接部53が、側面部12に当接し、上端部11には当接しない。
【0084】
本実施形態の当接部53は、延在部531を有する。延在部531は、たとえば先端が上方に湾曲した形状である。また、本実施形態の側面部12は、水平面となす角度が基板処理装置A1,A2と比べて小さく、たとえば40°程度である。
【0085】
ステージ2が上端の位置から下降すると、延在部531の先端部分が側面部12に当接する。そして、さらにステージ2が下降し下端位置に到達すると、図示されたように、本体部50が径方向rに沿った状態となり、基板91の保持が完了する。
【0086】
本実施形態によっても、基板91を対象とした処理への意図しない影響を低減することができる。また、本実施形態から理解されるように、本発明の回動部材5の当接部53は、カップ1に当接することにより回動する構成であればよく、側面部12のみに当接し、上端部11には当接しない構成であってもよい。また、本実施形態に突起部および調整部を設けてもよい。
【0087】
<第4実施形態>
図17は、本発明の第4実施形態に係る基板処理装置を示している。本実施形態の基板処理装置A4では、カップ1の側面部12に平坦領域121が設けられている。平坦領域121は、側面部12の一部に折り曲げ加工や絞り加工等を施された部位であり、水平面を有する部位である。平坦領域121は、ステージ2が下端に位置する状態において、基板91や回動軸51よりも下方に位置しており、図示された例においては、ブロック41よりも下方に位置している。
【0088】
本実施形態の回動部材5では、当接部53が、延在部531および先端部533を有する。図示された例においては、延在部531は、本体部50から斜め下方に屈曲した形状とされている。先端部533は、延在部531の先端に取り付けられており、回動可能であることが好ましい。ステージ2が上端に位置する状態において、先端部533は、鉛直方向zに沿って視て平坦領域121と重なっている。なお、先端部533に代えて、上述の突起部および調整部を採用してもよい。
【0089】
本実施形態においては、ステージ2が下降すると、先端部533が、側面部12の平坦領域121に当接する。これにより、回動軸51周りに回動部材5が回動する。そして、ステージ2が下端に位置すると、回動部材5の突出部521と載置台4の載置面411とによって、基板91の保持が完了する。
【0090】
本実施形態によっても、基板91を対象とした処理への意図しない影響を低減することができる。また、本実施形態から理解されるように、側面部12の形状は何ら限定されず、回動部材5の当接部53が当接することにより、回動部材5を回動させ得る形状であればよい。側面部12に平坦領域121が形成されたカップ1であっても、従来技術における当接部材がカップ内に設けられた構成と比べて、カップ1内の処理液29の流動を不当に乱してしまうことを抑制可能であり、リフトオフ処理によって除去されたレジスト層や金属層が、当接部材に付着してしまうことを解消することができる。
【0091】
本発明に係る基板処理装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る基板処理装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0092】
A1,A2,A3,A4:基板処理装置
1 :カップ
2 :ステージ
3 :駆動部
4 :載置台
5 :回動部材
6 :排液チャンバ
11 :上端部
12 :側面部
13 :底面部
14 :外壁部
21 :ベース
22 :円盤部
29 :処理液
31 :昇降軸
32 :支持部
33 :ベローズ部材
34 :昇降駆動機構
35 :回動駆動機構
41 :ブロック
50 :本体部
51 :回動軸
52 :保持部
53 :当接部
61 :上板部
62 :下板部
63 :内板部
64 :排出路
81 :超音波発生部
82 :ノズル
91 :基板
92 :処理液
121 :平坦領域
411 :載置面
521 :突出部
531 :延在部
532 :突起部
533 :先端部
5311 :第1延出部
5312 :第2延出部
5313 :傾斜部
5314,5315:調整部
r :径方向
z :鉛直方向
θ :周方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17