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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163253
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】遊技場管理システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
A63F7/02 328
A63F7/02 352L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074015
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】591085972
【氏名又は名称】日本ゲームカード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】小田 直樹
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088CA02
2C088CA23
(57)【要約】
【課題】特賞状態でのパンクを防ぐために行う緊急の遊技媒体貸出を、遊技店のリスクを抑えて実行できる遊技場管理システムを提供する。
【解決手段】遊技場PPに設置された遊技機1や遊技媒体貸出装置2等を管理装置3によって管理する遊技場管理システムは、遊技機1で遊技中の遊技客に紐付いた情報として確認可能な信用情報が貸出可能条件を満たすと共に、特賞状態におけるパンク発生の危険性が高い特例条件が成立することに基づいて、遊技媒体貸出装置2が遊技媒体を貸し出す処理を行う。これにより、遊技店のリスクを抑えて特賞状態中のパンク発生を防ぐ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技場に設置されて所定の遊技媒体を用いた遊技が可能な遊技機と、該遊技機に対応付けて設置され前記遊技媒体を遊技客に貸し出す処理が可能な遊技媒体貸出装置と、前記遊技機および前記遊技媒体貸出装置を含む前記遊技場内の諸装置に対する管理が可能な管理装置と、を含む遊技場管理システムであって、
前記遊技媒体貸出装置は、
少なくとも、遊技客が所持する有価価値を消費して、前記遊技機での遊技に供し得る前記遊技媒体を貸し出す処理を行う遊技媒体貸出手段と、
遊技客が前記遊技機での遊技進行により獲得した前記遊技媒体を、前記遊技機での遊技に供し得る持ち玉として記憶し、前記持ち玉を減じることで前記遊技媒体を前記遊技機での遊技に供する処理を行う持ち玉処理手段と、
前記遊技機で遊技中の遊技客に紐付いた情報として確認可能な信用情報が所定の貸出可能条件を満たすと共に、予め定めた特例条件が成立することに基づいて、前記遊技媒体を貸し出す処理を行う特例遊技媒体貸出手段と、
を備えることを特徴とする遊技場管理システム。
【請求項2】
前記特例遊技媒体貸出手段は、前記遊技機での遊技進行中に発生する状態であって、短時間に多くの前記遊技媒体を獲得できる可能性の高い特賞状態が発生した第1条件と、前記持ち玉処理手段により記憶された前記持ち玉の数が遊技継続に必要十分な基準残数に満たない第2条件と、遊技客が所持する前記有価価値が前記遊技媒体貸出手段による前記遊技媒体の貸し出しを受けるために消費できる前記有価価値に満たない第3条件と、が同時に成立することを前記特例条件の成立と判定することを特徴とする請求項1に記載の遊技場管理システム。
【請求項3】
前記持ち玉処理手段は、前記特例遊技媒体貸出手段が前記遊技媒体を貸し出した後の遊技結果として新たに前記遊技媒体を獲得した場合、獲得した前記遊技媒体の数のうち前記特例遊技媒体貸出手段が貸し出した前記遊技媒体の数を除いた数を前記持ち玉として記憶することを特徴とする請求項1に記載の遊技場管理システム。
【請求項4】
前記持ち玉処理手段は、前記特例遊技媒体貸出手段が前記遊技媒体を貸し出した後の遊技結果として新たに前記遊技媒体を獲得した場合、獲得した前記遊技媒体の数のうち前記特例遊技媒体貸出手段が貸し出した前記遊技媒体の数を除いた数を前記持ち玉として記憶することを特徴とする請求項2に記載の遊技場管理システム。
【請求項5】
前記遊技媒体貸出手段は、投入された遊技客の記録媒体に記録された特定情報と紐付けされた前記有価価値を消費して、前記遊技媒体を貸し出す処理が可能で、
前記特例遊技媒体貸出手段は、前記特例条件の成立に基づいて前記遊技媒体を貸し出してから、貸し出した前記遊技媒体の数と同数の前記遊技媒体を遊技結果として獲得するまでの間、投入された前記記録媒体の返却を規制することを特徴とする請求項1~請求項4の何れか1項に記載の遊技場管理システム。
【請求項6】
前記遊技媒体貸出装置は、
前記遊技媒体貸出手段および前記特例遊技媒体貸出手段が貸し出した前記遊技媒体の数に係る貸出数信号を前記管理装置に対して送信する貸出数送信手段と、
前記記録媒体の返却が規制されている間、前記貸出数送信手段による前記貸出数信号の送信を規制する送信規制手段と、
前記記録媒体の返却規制が解除されて前記記録媒体が返却されたとき、前記送信規制手段による前記貸出数信号の送信規制を解除して、前記貸出数送信手段が前記貸出数信号を前記管理装置に対して送信可能にする送信規制解除手段と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の遊技場管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場に設置されて所定の遊技媒体を用いた遊技が可能な遊技機と、該遊技機に対応付けて設置され前記遊技媒体を遊技客に貸し出す処理が可能な遊技媒体貸出装置と、前記遊技機および前記遊技媒体貸出装置を含む前記遊技場内の諸装置に対する管理が可能な管理装置と、を含む遊技場管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技場では遊技媒体を使用した遊技機による遊技を提供している。遊技を行うには、遊技機での遊技に使用できる遊技媒体を遊技店から借り受ける必要があるので、遊技媒体貸出装置に金銭を投入、あるいはチャージ済みのカードを投入し、使用可能な金銭の範囲内で遊技媒体の貸し出しを受ける。例えば、弾球遊技機では、遊技球を遊技媒体として借り受け、遊技球を遊技盤面に打ち込んで遊技を行う。遊技盤面には、複数の入賞領域(入賞口)が設けられており、当該入賞領域を遊技球が通過したことに基づいて、所定個数の遊技球が賞遊技媒体として遊技者に付与される。一方、回胴式遊技機では、遊技メダルを遊技媒体として借り受け、遊技メダルの投入により回胴リールを回転させ、リール図柄の停止状況に基づいて、所定枚数の遊技メダルが賞遊技媒体として遊技者に付与される。また、封入式の弾球遊技機や、メダルレスの回胴式遊技機が市場に導入される見込みであり、これらの遊技機では、遊技球や遊技メダルの数を電子的に管理することで、遊技客が遊技媒体を取り扱う煩雑さが解消される。
【0003】
このように、遊技機での遊技中は、遊技に使用して遊技媒体を消費したり、遊技結果として賞遊技媒体を獲得したりすることで、遊技者の所持する遊技媒体は増減してゆく。手持ちの遊技媒体を消尽すると、遊技機での遊技を続けられないので、遊技終了となるが、追加の遊技媒体を借り受けて更に遊技を継続することもできる。また、遊技中には、短時間に比較的多くの賞遊技媒体を獲得できる可能性が高い特賞状態(いわゆる大当り)が発生することがある。大当りになると、弾球遊技機では大入賞口が開かれて入賞の機会が増大し、多くの遊技球を獲得できる。また、回胴式遊技機では図柄が揃う抽選確率が上がったり、遊技進行のアシストが受けられたりして、多くの遊技メダルを獲得できる。
【0004】
大当りになると、遊技を進めることで多くの賞遊技媒体を獲得できるのであるが、たまたま特賞状態になる直前、あるいは直後に手持ちの遊技媒体を使い果たしてしまうと、遊技を継続することができず、折角の特賞状態が終了(いわゆるパンク)してしまうおそれがある。このような場合でも、遊技媒体貸出装置に投入した金銭やカードの残額があれば、急いで追加の遊技媒体を借り受け、特賞状態が終了する前に遊技を進行できる。運悪く、遊技媒体貸出装置に投入した金銭やカードの残額も無かった場合、遊技媒体貸出装置に追加の金銭を投入しないで、近くの遊技客から少量の遊技球を借りるなどして遊技進行を行うこともあったが、本来、遊技客同士で遊技媒体の貸し借りを行うことは望ましくない。
【0005】
そこで、遊技機で特賞状態が発生した場合、その特賞状態で獲得される賞遊技媒体数の期待値に対応する数の遊技媒体を貸し出す前借り処理を実行可能な遊技媒体貸出装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載の遊技媒体貸出装置は、特賞状態が発生したときに使用可能な遊技媒体の残数が所定数以下の場合に、遊技媒体の貸出の対価を徴収することなく遊技媒体を貸し出すので、遊技客にとっては利便性の高いサービスである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5599247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、前借り処理で貸し出した数の遊技媒体を、特賞状態中の遊技で獲得した賞遊技媒体から清算することを前提としており、清算できなかった場合の担保がなく、遊技店の損害となるリスクが有るため、実用的とはいえない。
【0008】
そこで、本発明は、特賞状態でのパンクを防ぐために行う緊急の遊技媒体貸出を、遊技店のリスクを抑えて実行できる遊技場管理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、遊技場に設置されて所定の遊技媒体を用いた遊技が可能な遊技機と、該遊技機に対応付けて設置され前記遊技媒体を遊技客に貸し出す処理が可能な遊技媒体貸出装置と、前記遊技機および前記遊技媒体貸出装置を含む前記遊技場内の諸装置に対する管理が可能な管理装置と、を含む遊技場管理システムであって、前記遊技媒体貸出装置は、少なくとも、遊技客が所持する有価価値を消費して、前記遊技機での遊技に供し得る前記遊技媒体を貸し出す処理を行う遊技媒体貸出手段と、遊技客が前記遊技機での遊技進行により獲得した前記遊技媒体を、前記遊技機での遊技に供し得る持ち玉として記憶し、前記持ち玉を減じることで前記遊技媒体を前記遊技機での遊技に供する処理を行う持ち玉処理手段と、前記遊技機で遊技中の遊技客に紐付いた情報として確認可能な信用情報が所定の貸出可能条件を満たすと共に、予め定めた特例条件が成立することに基づいて、前記遊技媒体を貸し出す処理を行う特例遊技媒体貸出手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、上記構成において、前記特例遊技媒体貸出手段は、前記遊技機での遊技進行中に発生する状態であって、短時間に多くの前記遊技媒体を獲得できる可能性の高い特賞状態が発生した第1条件と、前記持ち玉処理手段により記憶された前記持ち玉の数が遊技継続に必要十分な基準残数に満たない第2条件と、遊技客が所持する前記有価価値が前記遊技媒体貸出手段による前記遊技媒体の貸し出しを受けるために消費できる前記有価価値に満たない第3条件と、が同時に成立することを前記特例条件の成立と判定してもよい。
【0011】
また、上記構成において、前記持ち玉処理手段は、前記特例遊技媒体貸出手段が前記遊技媒体を貸し出した後の遊技結果として新たに前記遊技媒体を獲得した場合、獲得した前記遊技媒体の数のうち前記特例遊技媒体貸出手段が貸し出した前記遊技媒体の数を除いた数を前記持ち玉として記憶してもよい。
【0012】
また、上記構成において、前記遊技媒体貸出手段は、投入された遊技客の記録媒体に記録された特定情報と紐付けされた前記有価価値を消費して、前記遊技媒体を貸し出す処理が可能で、前記特例遊技媒体貸出手段は、前記特例条件の成立に基づいて前記遊技媒体を貸し出してから、貸し出した前記遊技媒体の数と同数の前記遊技媒体を遊技結果として獲得するまでの間、投入された前記記録媒体の返却を規制してもよい。
【0013】
また、上記構成において、前記遊技媒体貸出装置は、前記遊技媒体貸出手段および前記特例遊技媒体貸出手段が貸し出した前記遊技媒体の数に係る貸出数信号を前記管理装置に対して送信する貸出数送信手段と、前記記録媒体の返却が規制されている間、前記貸出数送信手段による前記貸出数信号の送信を規制する送信規制手段と、前記記録媒体の返却規制が解除されて前記記録媒体が返却されたとき、前記送信規制手段による前記貸出数信号の送信規制を解除して、前記貸出数送信手段が前記貸出数信号を前記管理装置に対して送信可能にする送信規制解除手段と、を備えるものでもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、遊技機で遊技中の遊技客に紐付いた情報として確認可能な信用情報が所定の貸出可能条件を満たすと共に、予め定めた特例条件が成立することに基づいて、特例遊技媒体貸出手段が遊技媒体を貸し出す処理を行う。すなわち、貸出可能条件を満たす遊技客に対してのみ、特例の遊技媒体貸出を行うことにより、遊技店のリスクを抑えて緊急の遊技媒体貸出を行える遊技場管理システムとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る遊技場管理システムの概略構成図である。
図2】(A)は弾球遊技機に対応する遊技媒体貸出装置の概略正面図である。(B)は回胴式遊技機に対応する遊技媒体貸出装置の概略正面図である。
図3】遊技媒体貸出装置に設けられる表示操作部の正面図である。
図4】第1構成例に係る遊技媒体貸出装置の概略構成図である。
図5】第1構成例に係る遊技媒体貸出装置の特例有価価値処理手段が行う特例有価価値設定処理のフローチャートである。
図6】第1構成例に係る遊技媒体貸出装置の特例有価価値処理手段が行う特例有価価値設定処理に伴って表示操作部の表示内容が遷移する過程を示す説明図である。
図7】第1構成例に係る管理装置の概略構成図である。
図8】第1構成例に係る遊技媒体貸出装置の特例遊技媒体貸出手段が行う特例遊技媒体貸出処理の主ルートを示すフローチャートである。
図9】第1構成例に係る遊技媒体貸出装置の特例遊技媒体貸出手段が行う特例遊技媒体貸出処理の副ルートを示すフローチャートである。
図10】第1構成例に係る遊技媒体貸出装置の特例遊技媒体貸出手段が行う特例遊技媒体貸出処理に伴って表示操作部の表示内容が遷移する過程を示す説明図である。
図11】第2構成例に係る遊技媒体貸出装置の概略構成図である。
図12】第2構成例に係る遊技媒体貸出装置の特例遊技媒体処理手段が行う特例遊技媒体設定処理のフローチャートである。
図13】第2構成例に係る遊技媒体貸出装置の特例遊技媒体処理手段が行う特例遊技媒体設定処理に伴って表示操作部の表示内容が遷移する過程を示す説明図である。
図14】第2構成例に係る管理装置の概略構成図である。
図15】第2構成例に係る遊技媒体貸出装置の特例遊技媒体貸出手段が行う特例遊技媒体貸出処理の主ルートを示すフローチャートである。
図16】第2構成例に係る遊技媒体貸出装置の特例遊技媒体貸出手段が行う特例遊技媒体貸出処理の副ルートを示すフローチャートである。
図17】第2構成例に係る遊技媒体貸出装置の特例遊技媒体貸出手段が行う特例遊技媒体貸出処理に伴って表示操作部の表示内容が遷移する過程を示す説明図である。
図18】カードIDに紐付けて管理されている諸情報をカードID毎のレコードにまとめて生成した管理テーブルの一例を示すイメージ図である。
図19】賞品交換POSの概略構成図である。
図20】第3構成例に係る遊技媒体貸出装置と管理装置の機能ブロック図である。
図21】第4構成例に係る遊技媒体貸出装置と管理装置の機能ブロック図である。
図22】第5構成例に係る遊技媒体貸出装置と管理装置の機能ブロック図である。
図23】第6構成例に係る遊技媒体貸出装置と管理装置の機能ブロック図である。
図24】第7構成例に係る遊技媒体貸出装置と管理装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、添付図面に基づいて、本発明に係る遊技場管理システムの実施形態を詳細に説明する。図1に示すように、遊技場PPには、複数の遊技機1が設置され、各遊技機1と通信可能な遊技媒体貸出装置2が併設され、遊技媒体貸出装置2で貸し出された遊技媒体を用いて遊技機1で遊技を行うことができる。また、遊技場PP内には、遊技機1や遊技媒体貸出装置2を管理する管理装置3のほか、賞品交換POS4、精算機5等が設置されている。遊技場PP内の諸装置は、場内ネットワーク6を介して接続されており、管理装置3は、遊技媒体貸出装置2の設定情報管理や、遊技媒体貸出装置2から送信される処理結果情報の管理を行う。この管理装置3は、各遊技機1における遊技結果の計数管理機能や遊技場PP内の諸装置に対する管理機能などを一体に備えるものとしたが、機能毎に異なる装置として構成してもよい。遊技機1での遊技結果として獲得した遊技媒体数は、遊技媒体貸出装置2で電子データ化され、遊技客は賞品交換POS4にて賞品と交換できる。また、遊技媒体貸出装置2に投入した紙幣の残金がある場合、遊技客は精算機5で精算できる。
【0017】
また、遊技場PPに設置される遊技機1には、遊技に用いる遊技媒体の違いから、弾球遊技機1Aと回胴式遊技機1Bが設けられる。弾球遊技機1Aでは、遊技球を遊技媒体として用い、遊技球を遊技盤面に打ち込んで遊技を行う。遊技盤面には、複数の入賞領域(入賞口)が設けられており、遊技進行によって遊技球が入賞領域を通過すると、所定個数の遊技球が賞遊技媒体として遊技者に付与される。一方、回胴式遊技機1Bでは、遊技メダルを遊技媒体として用い、遊技メダルの投入により回胴リールを回転させ、停止ボタンの操作あるいは時間経過によりリールが停止するような遊技進行となる。そして、リール図柄の停止状況が賞に該当していれば、所定枚数の遊技メダルが賞遊技媒体として遊技者に付与される。遊技球を遊技媒体とする弾球遊技機1Aには、遊技媒体として遊技球を貸し出す制御が可能な遊技媒体貸出装置2Aが対応し、遊技メダルを遊技媒体とする回胴式遊技機1Bには、遊技媒体として遊技メダルを貸し出す制御が可能な遊技媒体貸出装置2Bが対応する。
【0018】
なお、以下の説明では、弾球遊技機1Aか回胴式遊技機1Bかを区別する必要が無い場合、単に遊技機1とよび、これに接続する遊技媒体貸出装置2A,2Bも単に遊技媒体貸出装置2とよぶ。また、遊技機1での遊技により獲得した遊技媒体は、遊技球あるいは遊技メダルと区別せずに、遊技機1での遊技に供し得る持ち玉として扱う。一方、遊技媒体貸出装置2には、遊技客が所持する有価価値(後に詳述)を消費して、遊技機1での遊技に供し得る遊技媒体を貸し出す処理を行い、貸し出された遊技媒体を遊技機1の球皿やメダル皿等へ払い出すタイプのものがある。このようなタイプの遊技媒体貸出装置2で遊技媒体を借り受けた場合、遊技媒体貸出装置2から借り受けた遊技媒体(貸し玉)が、既に持ち玉の入っている球皿やメダル皿等へ払い出され、持ち玉と貸し玉を区別ができなくなる。そこで、以下の説明では、貸し玉も持ち玉として扱い、遊技媒体貸出装置2にて残数を記録管理する。しかしながら、遊技媒体を機外に払い出さない封入式の遊技機1では、持ち玉と貸し玉を区別して電子的に管理できるので、遊技に供する遊技媒体として持ち玉を優先的に使い、持ち玉がなくなった後に貸し玉を遊技に供するような制御も可能である。便宜上、「持ち玉」には「持ち遊技球」と「持ち遊技メダル」の意味が含まれるものとする。遊技客が所持する持ち玉は、遊技場PPの同一店舗内、同一営業日付に限り、再度遊技に使用したり、賞品と交換したりできる。また、遊技客が氏名、住所、電話番号などの諸情報を登録して会員になると、会員カード等である記録媒体(後に詳述)が発行され、持ち玉を貯玉に変えるサービスを受けられる。貯玉とは、遊技場PPの同一店舗内に限り、翌日以降も再度遊技に使用したり、賞品と交換したりできるように、遊技終了時の持ち玉を当該遊技場PPに預けておけるサービスである。また、条件により、貯玉を持ち玉に変換して使用できるサービスを提供しても良い。貯玉を持ち玉に変換する際には、手数料分を貸出遊技媒体数より減算しても良い。
【0019】
次に、図2を参照して、遊技媒体貸出装置2の概要を説明する。遊技媒体貸出装置2Aは、遊技媒体として遊技球を扱う装置であり、弾球遊技機1Aの左側に設置される。また、遊技媒体貸出装置2Bは、遊技媒体として遊技メダルを扱う装置であり、回胴式遊技機1Bの右側に設置される。遊技媒体貸出装置2A,2Bには、紙幣投入部21、表示操作部22、記録媒体挿排口23が共通で設けられており、遊技媒体貸出装置2Aには遊技球供給部24及び遊技球計数器25が、遊技媒体貸出装置2Bには遊技メダル貸出部26及び遊技メダル計数部27がそれぞれ設けられている。
【0020】
会員カード等である記録媒体7を所持していない遊技客は、まず初めに紙幣投入部21に紙幣を投入する。紙幣投入部21から内部へ取り込まれた紙幣は、真正な紙幣か偽造が疑われる紙幣かの真贋判定が行われる。真正な紙幣と認識すると、遊技媒体貸出装置2は、その紙幣を内部に取り込むと同時に紙幣の価値に応じた金額を預り金(電子データ)として記録する。記録された預り金は、表示操作部22に自動表示(あるいは遊技客による所定の表示操作による選択表示)で確認できる。なお、預り金を金額表示にするか、金額に相当する遊技媒体数で表示するかは、管理装置3による設定動作によって決定される。また、投入された金額を預り金として管理するために、遊技媒体貸出装置2は、仮のカードIDを発行する。これにより、遊技媒体貸出装置2は、遊技客には手渡されていない記録媒体7の特定情報(カードID)と紐付けて預り金を管理すると共に、このカードIDと紐付けて持ち玉の記録処理(後に詳述)を行う。そして、遊技終了時に残額や持ち玉数がカード価値を上回っていれば、カード発行条件を満たすので、仮のカードIDを正式のカードIDとして記録した記録媒体7を発行する。なお、遊技終了時の残額や持ち玉数が殆ど残っておらず、カード発行条件を満たしていない場合は、記録媒体7を発行しないで、適宜な残玉処理を行えばよい。
【0021】
表示操作部22のパネル表示例を図3に示す。表示操作部22は、大きく分けて、情報表示用の表示部221とタッチ操作用の操作部222により構成されている。操作部222には、賞品選択ボタン222a、メニュー表示ボタン222b、返却ボタン222c、貸出ボタン222d、計数ボタン222e等を設け、遊技客が何れかのボタンを選択操作(操作部222におけるボタン表示領域をタッチ)することで、操作に応じた動作が遊技媒体貸出装置2によって行われる。
【0022】
例えば、表示操作部22の表示部221にて残高(使用可能な預り金)が確認できる状態で、操作部222の貸出ボタン222dを押下することにより、遊技媒体が貸し出される。遊技媒体が遊技球である遊技媒体貸出装置2Aの場合には、遊技球供給部24から弾球遊技機1Aの球皿に遊技球が供給され、遊技媒体が遊技メダルである遊技媒体貸出装置2Bの場合には、遊技メダル貸出部26から回胴式遊技機1Bのメダル皿に遊技メダルが供給される。なお、紙幣投入部21に投入された紙幣が真正紙幣と判定されて取り込まれた際、貸出ボタン222dを押下することなく、最低紙幣単価に該当する数の遊技媒体を貸し出し、最低紙幣単価分の預り金を減算する自動貸出モードで稼動するように設定すれば、利便性が向上する。遊技媒体貸出装置2に対する自動貸出モードの設定は、管理装置3からの制御や、遊技店の係員による手動操作などで行える。
【0023】
貸し出された遊技媒体を使用して遊技機1にて遊技を行った結果として獲得した遊技媒体は、遊技球計数器25あるいは遊技メダル計数部27により計数することで、持ち玉として電子データ化を行うことができる。獲得した遊技媒体の計数動作は、遊技媒体の検出による自動計数が基本であるが、図3の表示操作部22に例示するように、計数ボタン222eを備え、計数ボタン222eが押下される毎に計数を実行するシステムも存在する。また、近年注目されている遊技媒体封入式の遊技機1に於いては、遊技媒体貸出装置2ではなく、遊技機1側に獲得遊技媒体計数用のボタンが設けられている。
【0024】
預り金もしくは持ち玉が残っており、カード発行条件を満たす場合には、返却ボタン222cを押下することにより、預り金もしくは持ち玉の価値情報を利用できるように、記録媒体7を記録媒体挿排口23より発行し、遊技客に提供する。発行する記録媒体7には、残金や持ち玉数を直接書き込まず、記録媒体7の特定情報(例えば、カードID)と紐付けて、残金や持ち玉数を管理装置3にて管理する。記録媒体7として、ICチップを含む薄板状のICカード7Aやコイン形状のICコイン7Bが用いられているが、電気的に認識可能な識別子(特定情報)を含んでいれば、媒体の種類は特に限定されるものではない。例えば、遊技客が所持するスマートフォンやタブレット端末のような携帯端末装置を記録媒体7として用いても構わない。また、記録媒体7は、付与する遊技客に応じて2種類ある。個人情報が特定された会員の遊技客には会員カードとなる記録媒体7が付与され、会員以外の遊技客には一般カードとなる記録媒体7が付与される。なお、一般カードでは、ICを内蔵するカード自体に価値があるので、一般カードの盗難等を防止するため、預り金もしくは持ち玉の価値が、カード自体の価値に達しない場合はカード発行条件を満たさないと判断し、カードの発行を禁止する機能を遊技媒体貸出装置2が備える。
【0025】
遊技客は、遊技媒体貸出装置2から排出された記録媒体7を使用して、賞品への交換を行ったり、他の遊技機1へ移動して再び遊技を行ったりできる。記録媒体7の特定情報と紐付けて記憶されている持ち玉を使用して賞品交換を行う場合、賞品交換POS4を使う。なお、賞品交換POS4へ行かずに賞品交換サービスを利用できる機能を遊技媒体貸出装置2に設けた場合は、賞品選択ボタン222aを押下することで賞品の選択画面が表示され、遊技客が希望する交換賞品を選択できる。他の遊技機1へ移動する場合には、目的の遊技機1に併設された遊技媒体貸出装置2の記録媒体挿排口23に記録媒体7を挿入すると、記録媒体7の特定情報と紐付いて管理されている預り金及び持ち玉の情報が移動先の遊技媒体貸出装置2に表示され、再び遊技を行うことが可能となる。
【0026】
また、記録媒体7の特定情報と紐付いた預り金に残金がある場合、精算機5にて預り金を精算できる。預り金の精算は現金であるが、遊技客の選択により、電子マネー等への加算が行えるようなサービスを提供できるようにしても良い。精算金額を電子マネー等へ加算する場合、わざわざ精算機5へ行かずに、遊技媒体貸出装置2で精算できるようにすれば、遊技客の利便性が一層向上する。
【0027】
次に、遊技媒体貸出装置2の内部機能の一例として、弾球遊技機1Aに対応する遊技媒体貸出装置2Aの第1構成例(以下、遊技媒体貸出装置2-1)について、図4に示す機能ブロック図に基づき説明する。遊技媒体貸出装置2-1は、制御部201-1、記憶部202-1、紙幣識別部203、表示操作部22、カード処理部204、遊技球払出部205、遊技球計数部206、外部通信部207、遊技機通信部208を有する。
【0028】
紙幣識別部203は、紙幣投入部21より投入された紙幣の真贋判定を行う。紙幣識別部203により、真正の紙幣と判定された場合には、当該紙幣の金種を識別判定した後に内部へ格納する。一方、真贋判定に失敗した場合(紙幣識別部203により真正の紙幣と判定されなかった場合)には、当該紙幣を遊技客へ返却する。なお、紙幣識別部203にて真正の紙幣と判定されて内部へ格納した場合、当該紙幣の金額が、制御部201-1の預り金管理部201aにより記憶部202-1の預り金データ記憶領域202aに記憶され、以後も預り金として管理される。ただし、預り金の一部を特例有価価値(後に詳述)に設定した場合は、特例有価価値に設定されていない残高のみが使用可能な預り金として管理される。また、持ち玉管理部201bは、遊技客が弾球遊技機1Aでの遊技進行により獲得した遊技媒体や借り受けた遊技媒体を、弾球遊技機1Aでの遊技に供し得る持ち玉として記憶部202-2の持ち玉データ記憶領域に記憶させ、持ち玉を減じることで遊技媒体を弾球遊技機1Aでの遊技に供する処理を行う。
【0029】
表示操作部22は、前述したように、残高(使用可能な預り金額)、持ち玉数、特例貸出残高(特例有価価値に設定された預り金の残高)などの諸表示を表示部221に表示すると共に、遊技媒体の貸出要求や返却などの操作を受け付ける入出力装置である。表示操作部22に対する表示制御は、制御部201-1の表示制御部201cで行い、遊技媒体貸出や返却などの操作制御は、操作制御部201dで行う。また、表示操作部22における表示部221には、LCDや有機ELパネル等を用いた薄型表示パネルを用いて実現でき、表示操作部22における操作部222には、抵抗膜方式や静電容量方式等を用いたタッチパネルを用いて実現できる。
【0030】
カード処理部204は、カード制御部201eの制御により、記録媒体挿排口23に挿入されたカード(薄板カード状の記録媒体7)を内部に取り込み、カード識別子(遊技客が所持する記録媒体7に記録された特定情報)を読み込む装置である。読み込んだカード識別子は、記憶部202-1のカードデータ記憶領域202dに記憶し、このカード識別子と紐付けられた持ち玉情報など(後に詳述)を管理装置3から受け取る。また、カード処理部204には、誤動作防止の為にロック機能が設けられ、カードを内部に取り込んだ後には、カードロック機能を作動させる。遊技客が表示操作部22の返却ボタン222cを押下すると、カード返却の諸条件(後に詳述)が達成されることでカードロックを解除し、カードを返却する。また、新規にカードを発行する制御も、主としてカード処理部204が行う。なお、遊技客が所持する携帯無線端末装置を記録媒体7として用いた場合など、カードに記録されたカード識別子を近距離無線通信にて送信可能であれば、カード処理部204に記録媒体7をかざすことでカード識別子を読み込めるので、遊技客の利便性を高めることができる。
【0031】
カード処理部204によって、カード識別子が特定されると、管理装置3へカード識別子の照会を行い、管理装置3によって管理されている持ち玉情報や貯玉情報、預り金があれば、管理装置3から照会元である遊技媒体貸出装置2-1へ諸情報が送信される。これにより、遊技客が所持している持ち玉や貯玉、預り金を遊技媒体貸出装置2-1で使うことができる。遊技球の貸出要求に対しては、制御部201-1の預り金管理部201aによって、記憶部202-1の預り金データ記憶領域202aに記憶された残額データから遊技媒体の貸出可否が判断される。預り金管理部201aが貸出可能と判断すると、球払出制御部201fに遊技球払出の指示を出し、貸し出した遊技球数に相当する金額を残額データから減算し、新たな残額を預り金データ記憶領域202aに記憶する。また、カード識別子に紐付いた貯玉情報を記憶しておく貯玉データ記憶領域202cに、貸出要求分の貯玉がある場合には、例えば、持ち玉管理部201bの制御によって、貯玉を持ち玉に変換できるようにしてもよい。
【0032】
遊技球払出部205は、表示操作部22の貸出ボタン222dの押下により、遊技客が要望した個数の遊技球を貸し出すとき、制御部201-1の球払出制御部201fの制御により、例えば、弾球遊技機1Aの発射球供給皿に遊技球を払い出す。なお、遊技媒体封入式の遊技機1が接続されている場合には、遊技球払出部205による遊技球の払出動作を行わないので、球払出制御部201fにより貸し出した個数分の遊技球を電子データ上の貸出遊技媒体として持ち玉管理部201bが管理すればよい。
【0033】
遊技球計数部206は、球払出制御部201fの制御により、遊技球計数器25に投入された遊技球を計数する。計数された遊技球数は、持ち玉管理部201bの制御により、記憶部202-1の持ち玉データ記憶領域202bに持ち玉情報として記憶する。なお、遊技媒体封入式の遊技機1が接続されている場合には、遊技球計数部206による遊技球の計数動作を行わないので、遊技機1から送信される遊技結果により払い出した個数分の遊技球を電子データ上の獲得遊技媒体として持ち玉管理部201bが管理すればよい。
【0034】
外部通信部207は、場内ネットワーク6を介して接続された管理装置3等との通信を可能にするものである。例えば、外部通信制御部201gの制御により、遊技媒体貸出装置2-1が動作する為に必要な設定データや画像データ等のダウンロード、記録媒体挿排口23に挿入された記録媒体7の特定情報に紐付いた諸情報を管理装置3より受領する。記録媒体7の特定情報に紐付いた諸情報は、例えば、預り金データ記憶領域202a、持ち玉データ記憶領域202b、貯玉データ記憶領域202cなどに記憶するデータである。また、外部通信部207は、記憶部202-1に記憶した諸情報を管理装置3へ出力する処理、遊技機上方に設けられた遊技機データ表示装置に当該遊技機1のデータを出力する処理等も行う。
【0035】
外部通信部207を介して外部装置へ出力する信号には、例えば、入金信号、貸出信号、貯玉払出信号、持ち玉払出信号、計数信号などがある。入金信号は、紙幣投入部21に投入された紙幣が紙幣識別部203により真贋判定および金種の識別判定が適正に行われた場合に、金種に対応して出力する信号である。貸出信号は、制御部201-1の球払出制御部201fの制御により預り金データ記憶領域202aに記憶された預り金の一部または全部を遊技媒体数に変換し、遊技球として貸し出した際、貸出個数に対応して出力する信号である。貯玉払出信号は、球払出制御部201fの制御により貯玉データ記憶領域202cに記憶された貯玉データの一部または全部を遊技に供し得る遊技媒体に変換した際、変換個数に対応して出力する信号である。持ち玉払出信号は、球払出制御部201fの制御により持ち玉データ記憶領域202bに記憶された持ち玉データの一部または全部を遊技に供し得る遊技媒体に変換した際、変換個数に対応して出力する信号である。計数信号は、球払出制御部201fの制御により遊技球を計数し、記憶部202-1の持ち玉データ記憶領域202bに持ち玉として加算記憶した際、計数個数に対応して出力する信号である。
【0036】
また、返却ボタン222cの押下により、外部通信部207は、記憶部202-1の預り金データ記憶領域202a、持ち玉データ記憶領域202b、貯玉データ記憶領域202c、カードデータ記憶領域202dの各記憶データを管理装置3に送る。これらのデータを受けた管理装置3は、特定情報(例えば、記録媒体7に付されたユニークなカードID)に紐付いた持ち玉管理情報や預り金管理情報を更新する。管理装置3へ諸情報が適正に送信された後、記憶部202-1の預り金データ記憶領域202a、持ち玉データ記憶領域202b、貯玉データ記憶領域202c、カードデータ記憶領域202dの記憶内容は消去され、カード処理部403によってカードの返却処理が行われる。
【0037】
遊技機通信部208は、遊技機1と専用ケーブルで接続されており、遊技機通信制御部201hにより、セキュリティ確認や、弾球遊技機1Aの変化情報が通信される。また、遊技に関連する信号として、遊技球が何れかの入賞領域を通過して入賞したことを示すセーフ信号、入賞しなかった遊技球がアウト口から回収されたことを示すアウト信号、遊技球が特定入賞領域に入賞したことを示すスタート信号、遊技者に有利な特別遊技状態が発生していることを示す特賞状態信号なども遊技機1から遊技媒体貸出装置2-1へ入力される。貸出ボタン222dの押下により遊技媒体を貸し出す場合、遊技媒体貸出装置2-1から遊技媒体封入式の遊技機1に対して遊技媒体貸出情報を通信することもある。なお、遊技機1の中には通信機能を備えていない機種があり、このような機種の遊技機1に対応するために、遊技機通信部208を設けていない遊技媒体貸出装置2-1もある。
【0038】
制御部201-1に設けた特例有価価値処理部201iは、預り金管理部201aが預り金を検知したとき、預り金の一部を、遊技媒体を貸し出すために消費できないように制限されている特例有価価値に設定し、特定情報と紐付けて特例有価価値記憶領域202eに記憶する処理を行う。また、特例有価価値処理部201iは、所定の貸出可能条件を満たすと共に予め定めた特例条件が成立することに基づいて、特例有価価値を消費して遊技媒体を貸し出す処理(以下、特例貸出動作という)を行う。さらに、特例有価価値処理部201iは、特例貸出動作を行った場合、特例有価価値を消費して貸し出した遊技媒体の数に対応する消費価値を特例有価価値から減算して残特例有価価値に更新する特例有価価値更新処理を行う。なお、特例有価価値処理部201iは、特例有価価値を使用して遊技媒体が貸し出された後の遊技で獲得した遊技媒体を、特例遊技媒体貸出手段により消費された消費価値分の補填に充てることで、残特例有価価値を当初の初期価値に戻す処理を行っても良い。このように、特例有価価値処理部201iが諸動作を行うためには、預り金管理部201aとの連携が必要であるから、特例有価価値処理部201iの機能を預り金管理部201aに含ませておいても良い。
【0039】
上述した構成例の遊技媒体貸出装置2-1においては、制御部201-1、記憶部202-1、紙幣識別部203、表示操作部22、カード処理部204、遊技球払出部205等が協働することで、遊技媒体貸出手段として機能する。遊技媒体貸出手段は、少なくとも、遊技客が所持する有価価値を消費して、遊技機1での遊技に供し得る遊技媒体を貸し出す処理を行う。また、遊技媒体貸出手段は、遊技客が所持する記録媒体7に記録された特定情報(カードID)と紐付けされた有価価値(預り金)を消費して、遊技機1での遊技に供し得る遊技媒体を貸し出す処理を行う。なお、記録媒体7を持っていない遊技客が紙幣を投入して遊技媒体を借り受ける場合も、仮想的に発行した記録媒体7のカードIDに紐付けて預り金を管理しているので、実質的に、遊技客が所持する記録媒体7に記録された特定情報と紐付けされた有価価値を消費していることになる。
【0040】
また、本構成例の遊技媒体貸出装置2-1においては、制御部201-1、記憶部202-1、遊技球計数部206、遊技機通信部208等が協働することにより、持ち玉処理手段として機能する。持ち玉処理手段は、遊技客が前記遊技機での遊技進行により獲得した遊技媒体を、遊技機1での遊技に供し得る持ち玉として記憶し、持ち玉を減じることで遊技媒体を遊技機1での遊技に供する処理を行う。なお、遊技者が所持している持ち玉の総数は、遊技媒体貸出装置2Aの遊技球計数器25や遊技媒体貸出装置2Bの遊技メダル計数部27によって計数することにより確定させるのが本来である。しかしながら、遊技客が外部から遊技媒体を持ってきたり、外部へ持ち出したりしなければ、遊技機1から賞として排出された遊技媒体の総数を示すデータと、遊技媒体貸出装置2-1から貸し出した遊技媒体の総数を示すデータと、に基づいて演算した持ち玉数は、実際の持ち玉数と一致する。よって、外部から遊技機1への遊技球の入出がない前提とすれば、遊技結果として獲得した遊技媒体のデータと、有価価値を消費して貸し出した遊技媒体のデータと、に基づいて演算することで、持ち玉処理手段は適正に持ち玉の記録処理を行える。なお、遊技媒体貸出装置2Aの遊技球計数器25や遊技媒体貸出装置2Bの遊技メダル計数部27によって計数した持ち玉数が、演算による持ち玉数と異なっていた場合は、異常発生として管理装置3等へ報せても良い。
【0041】
そして、本構成例の遊技媒体貸出装置2-1においては、制御部201-1、記憶部202-1、紙幣識別部203、表示操作部22、カード処理部204等が協働することで、特例遊技媒体貸出手段として機能する。特例遊技媒体貸出手段は、遊技機1で遊技中の遊技客に紐付いた情報として確認可能な信用情報が所定の貸出可能条件を満たすと共に、予め定めた特例条件が成立することに基づいて、遊技媒体を貸し出す処理を行う。また、特例遊技媒体貸出手段は、特例有価価値を消費して貸し出した後の遊技結果として新たに遊技媒体を獲得した場合、新たに獲得した遊技媒体数が持ち玉処理手段によって持ち玉数に加算されることを規制し、獲得した遊技媒体数を特例遊技媒体貸出手段により消費された消費価値分の補填に充てる処理を行っても良い。すなわち、持ち玉処理手段は、特例遊技媒体貸出手段が遊技媒体を貸し出した後の遊技結果として新たに遊技媒体を獲得した場合、獲得した遊技媒体の数のうち特例遊技媒体貸出手段が貸し出した遊技媒体の数を除いた数を持ち玉として記憶するのである。
【0042】
このように、特例遊技媒体貸出手段を遊技媒体貸出装置2-1に設けておき、特賞状態でのパンクを防ぐように特例条件を設定すれば、パンク防止のために特例貸出動作を迅速に行うことが可能となる。特例遊技媒体貸出手段が判定する特例条件の一例は、以下の三条件が同時に成立することである。第1条件は、遊技機1での遊技進行中に発生する状態であって、短時間に多くの遊技媒体を獲得できる可能性の高い特賞状態が発生したことである。第2条件は、持ち玉処理手段により記憶された持ち玉数が遊技継続に必要十分な基準残数に満たないことである。第3条件は、遊技客が所持する有価価値が遊技媒体貸出手段による遊技媒体の貸し出しを受けるために消費できる有価価値に満たないことである。これら三条件が同時に成立した場合、特賞状態が発生しているにもかかわらず、遊技を継続することが困難であるから、特例貸出動作を行って遊技媒体を貸し出せば、遊技客は遊技を継続することが可能になるので、パンク防止に有効である。
【0043】
ただし、特例遊技媒体貸出手段が稼動する前提として、遊技機1で遊技中の遊技客に紐付いた情報として確認可能な信用情報が所定の貸出可能条件を満たす必要がある。第1構成例の遊技媒体貸出装置2-1における特例遊技媒体貸出手段は、遊技客が所持する記録媒体7に記録された特定情報と紐付けされた特例有価価値を信用情報として確認し、遊技機1での遊技に供し得る遊技媒体を貸し出すために消費できる特例有価価値があれば貸出可能条件を満たすと判定する。すなわち、記憶部202-1における特例有価価値記憶領域202eに十分な特例有価価値があることを信用情報として確認しておけば、特例条件の成立時には、特例有価価値を消費して遊技媒体を貸し出せるので、特例貸出動作を行うことに伴う遊技店のリスクは無い。
【0044】
なお、遊技客が所持する記録媒体7に記録された特定情報と紐付けて、特例有価価値を特例遊技媒体貸出手段が管理している場合、記録媒体7はカード処理部204に取り込まれており、遊技客の手元には無い状態である。そこで、特例遊技媒体貸出手段は、特例条件の成立に基づいて遊技媒体を貸し出してから、貸し出した遊技媒体の数と同数の遊技媒体を遊技結果として獲得するまでの間、投入された記録媒体の返却を規制してもよい。特例貸出動作を受けることでパンクを回避し、特賞状態での遊技が順調に進行すれば、遊技客が特例貸出で借り受けた遊技媒体の数よりも遙かに多くの遊技媒体を獲得できるのであるから、特例貸出に消費した特例有価価値を獲得した遊技媒体で補填することが遊技客の負担になるとは考え難い。そこで、少なくとも、貸し出した遊技媒体の数と同数の遊技媒体を遊技結果として獲得するまでの間、記録媒体7の返却を規制しておき、その後に記録媒体7の返却が選択された場合、特例貸出に消費した特例有価価値を補填した上で、残余の遊技媒体を持ち玉に計上して遊技を終了できる。
【0045】
また、遊技媒体貸出装置2-1は、貸し出した前記遊技媒体の数に係る貸出数信号を管理装置3に対して送信する機能を標準的に備えている。第1構成例の遊技媒体貸出装置2-1は、遊技媒体貸出手段に加えて特例遊技媒体貸出手段の機能を有するので、遊技媒体貸出手段および特例遊技媒体貸出手段が貸し出した遊技媒体の数に係る貸出数信号を管理装置3に対して送信する貸出数送信手段としての機能を備えるものとした。この貸出数送信手段が、特例遊技媒体貸出手段により特例有価価値を消費して貸し出された遊技媒体の数を貸出数信号として管理装置3へ送信してしまうと、特例貸出に消費した特例有価価値を獲得遊技媒体で補填した場合には、管理装置3へ送信した貸出数を減ずる処理等が必要になり、煩雑である。そこで、遊技媒体貸出装置2-1には、送信規制手段と送信規制解除手段とを設けておく。送信規制手段は、特例遊技媒体貸出手段によって記録媒体7の返却が規制されている間、貸出数送信手段による貸出数信号の送信を規制する。一方、送信規制解除手段は、特例遊技媒体貸出手段によって記録媒体7の返却規制が解除されて記憶媒体7が返却されたとき、送信規制手段による貸出数信号の送信規制を解除して、貸出数送信手段が貸出数信号を管理装置3に対して送信可能にする。すなわち、特例貸出動作のために消費された特例有価価値分の貸出数が貸出数信号として管理装置3へ送信されることを送信規制手段が規制し、消費分の特例有価価値が補填されることに伴って記録媒体7が返却されると、送信規制解除手段によって貸出数信号の送信規制が解除される。これにより、特例有価価値の消費および補填によって遊技媒体の貸出数が増減してしまう煩雑さを解消できる。
【0046】
ここで、遊技媒体貸出装置2-1による特例有価価値設定処理の一例を、図5及び図6を参照して説明する。図5は、特例有価価値設定処理の流れを示すフローチャートであり、図6は、その流れに沿って表示操作部22の表示画面が遷移する過程を示す説明図である。なお、図5では、遊技媒体貸出装置2-1に紙幣が投入されたときのみ特例有価価値設定処理を行う場合を示したが、預り金の有る記録媒体7が挿入されたことを検知して、預り金の一部を特例有価価値に設定する特例有価価値設定処理を行うようにしても良い。
【0047】
特例有価価値設定処理においては、先ず、遊技媒体貸出装置2-1への入金を検知したか否かを判断し(ステップS101)、入金がなければ、特例有価価値設定処理の実行サイクル期間が経過した後、改めてステップS101の判断を行う。遊技機1での遊技が行われていない空き状態のとき、対応する遊技媒体貸出装置2-1の表示操作部22には、残高も持ち玉も無いことを示す表示画面SD1-0が表示されている。ここで、遊技客が遊技媒体貸出装置2-1の紙幣投入部21に紙幣(例えば、10000円)を投入し、紙幣識別部203により真正の紙幣と判断されて内部に取り込まれると、入金10000円が表示操作部22に表示される(図6の表示画面SD1-1を参照)。
【0048】
これにより、上記ステップS101で入金検知と判定されるので、表示操作部22に特例有価価値設定画面(表示画面SD1-2)を表示する(ステップS102)。この表示画面SD1-2にて、投入金額の一部(例えば、500円)を特例有価価値に設定するか、設定しないかの選択を遊技客に促す。遊技客が特例有価価値の設定を選択したか否かを判定し(ステップS103)、遊技客が特例有価価値の設定を選択していれば、入金額の一部を特例有価価値に設定し(ステップS104)、特例有価価値設定画面を非表示にし(ステップS105)、次の金銭投入に備えてステップS101の判定処理に戻る。よって、遊技客が特例有価価値の設定を選択した場合は、表示画面SD1-3Aに示すように、残高9500円、持ち玉0個、特例貸出残高500円が表示操作部22に表示された状態となる。一方、上記ステップS103で遊技客が特例有価価値の設定を選択していなければ、そのまま特例有価価値設定画面を非表示にし(ステップS105)、次の金銭投入に備えてステップS101の判定処理に戻る。よって、遊技客が特例有価価値の設定を選択しなかった場合は、表示画面SD1-3Bに示すように、残高10000円、持ち玉0個が表示操作部22に表示された状態となる。なお、図5に示す特例有価価値設定処理においては、金銭投入が検知される毎に特例有価価値の設定を遊技客に問い合わせるものとしたが、これに限らず、既に特例有価価値が設定されている場合には、改めて遊技客に特例有価価値の設定可否を問い合わせずに、全額を預り金とする処理を行っても良い。また、図5に示す特例有価価値設定処理においては、投入金額の一部を特例有価価値の設定に用いるものとしたが、投入金額は全て通常の預り金として処理し、特例有価価値設定用の金銭投入を別途要求して、特例有価価値の設定を行うようにしても良い。
【0049】
上記のようにして、遊技媒体貸出装置2-1により特例有価価値が設定されると、遊技客の特定情報を紐付けた適切な管理が管理装置3にて行われる。図7に示す第1構成例の管理装置3-1には、持ち玉管理手段31、預り金管理手段32、動作管理手段33、特例有価価値管理手段34等を設ける。なお、管理装置3-1は、単一のハードウエアに各種機能を搭載するように構成してもよいし、それぞれ異なるハードウエアで構成しても良い。また、特例有価価値の設定および処理する機能を遊技媒体貸出装置2-1に持たせるか否かの切替設定は、管理装置3-1から自動で行っても良いし、遊技店の係員等が所持するリモコンを用いて台毎に個別に切替設定できるようにしても良い。
【0050】
持ち玉管理手段31は、遊技媒体貸出装置2-1の持ち玉処理手段に記憶された持ち玉を、遊技客が所持する記録媒体7の特定情報(例えば、カードID)と紐付けて記憶する情報管理を行う。預り金管理手段32は、遊技媒体貸出装置2-1の遊技媒体貸出手段が遊技媒体の貸出に使っていない預り金を、遊技客が所持する記録媒体7の特定情報(例えば、カードID)と紐付けて記憶する情報管理を行う。動作管理手段33は、遊技場PP内に設置された諸装置(遊技機1、遊技媒体貸出装置2-1、管理装置3-1、賞品交換POS4、精算機5など)に対する動作を設定するための設定情報を生成し、対応する装置に対して設定情報を送信することで、当該装置の動作を管理する。
【0051】
特例有価価値管理手段34は、遊技媒体貸出装置2-1の特例遊技媒体貸出手段により設定された特例有価価値を、遊技客が所持する記録媒体7の特定情報(例えば、カードID)と紐付けて記憶する情報管理を行う。特例有価価値とは、通常時には遊技媒体の貸出に使用できない預り金であるから、基本的な管理内容は、預り金管理手段32と同様である。したがって、預り金管理手段32に特例貸出用預り金管理機能34′(図7中、二点鎖線で示す)を設けることで、預り金管理手段32が特例有価価値管理手段34として動作する構成でも構わない。なお、特例有価価値管理手段34による特例有価価値の情報更新のタイミングは特に限定されるものではない。例えば、遊技機1での遊技終了時にカード返却を行うタイミングで遊技媒体貸出装置2-1から特例有価価値の記憶情報を送信させ、この特例有価価値の情報を特例有価価値管理手段34が受信したタイミングで特例有価価値の情報更新を行っても良い。或いは、特例有価価値の利用に関する情報更新が行われる都度、遊技媒体貸出装置2-1から特例有価価値の記憶情報を送信させ、特例有価価値管理手段34が特例有価価値の情報更新を細かく行えるようにしても良い。なお、遊技媒体貸出装置2-1へ送信する設定情報として、適宜な特例有価価値の情報更新タイミングとなる設定情報を動作管理手段33によって生成し、該当する遊技媒体貸出装置2-1へ送信すれば、特例有価価値の利用状況などに応じた情報更新タイミングを個別に設定できるので、利便性が高まる。
【0052】
また、前述した遊技媒体貸出装置2-1では、設定した特例有価価値を特例有価価値記憶領域202eに記憶しておき、特例有価価値の消費および補填に伴う特例有価価値のデータ更新を特例有価価値処理部201iが行うものとしたが、この機能を管理装置3-1の特例有価価値管理手段34が担っても構わない。すなわち、特例有価価値管理手段34が、遊技媒体貸出装置2-1の特例遊技媒体貸出手段が使用可能な特例有価価値を、遊技客が所持する記録媒体7の特定情報と紐付けて管理するのである。このようにすれば、各記録媒体7に紐付けられた特例有価価値を管理装置3-1で一括管理でき、各遊技媒体貸出装置2-1に特例有価価値が直接書き込まれることがないので、データ漏洩に対するセキュリティ向上を期せる。
【0053】
次に、遊技媒体貸出装置2-1で特例有価価値を用いた遊技媒体の貸出である特例遊技媒体貸出処理の一例を、図8図10を参照して説明する。図8は、特例遊技媒体貸出処理の主ルートを示すフローチャートである。図9は、特例遊技媒体貸出処理の副ルートを示すフローチャートであり、図10は、特例遊技媒体貸出処理の流れに沿って表示操作部22の表示画面が遷移する過程を示す説明図である。
【0054】
なお、以下に説明する特例遊技媒体貸出処理は、遊技機1で遊技中の遊技客に紐付いた情報として確認可能な信用情報が所定の貸出可能条件を満たす場合にのみ行われるものである。前述した通り、遊技客が所持する記録媒体7に記録された特定情報と紐付けされた特例有価価値を信用情報として確認し、遊技機1での遊技に供し得る遊技媒体を貸し出すために消費できる特例有価価値があれば貸出可能条件を満たすと判定するのである。本構成例の遊技媒体貸出装置2-1においては、特例有価価値記憶領域202eに記憶されている特例有価価値としての特例貸出残高が、特例貸出動作1回分(例えば、100円)以上有る場合に限り、特例遊技媒体貸出処理を行う。この貸出可能条件を満たしていれば、特例有価価値を消費して特例遊技媒体の貸出を行えるので、特例貸出動作を実行したにもかかわらずパンクが発生して遊技客が相応の遊技利益を獲得できなかった場合でも、遊技店の不利益とならず、特例貸出動作に伴う遊技店のリスクを抑制できる。
【0055】
そして、特例遊技媒体貸出処理において判定する特例条件は、遊技機1での遊技進行中に発生する状態であって、短時間に多くの遊技媒体を獲得できる可能性の高い特賞状態が発生した第1条件と、持ち玉処理手段により記憶された持ち玉数が遊技継続に必要十分な基準残数に満たない第2条件と、遊技客が所持する有価価値が遊技媒体貸出手段による遊技媒体の貸し出しを受けるために消費できる有価価値に満たない第3条件と、が同時に成立することとした。すなわち、比較的短時間に多くの遊技球を獲得できる可能性が高い特賞状態が発生しているにもかかわらず、遊技を進行するために使える手持ちの遊技球が無く、追加の遊技球を借り受けることもできないために、いわゆるパンクしてしまう危険性が高い状態であれば、特例貸出を受けられるようにするのである。なお、第1~第3条件が同時に成立してパンクの危険性が高い状態であっても、遊技客が事前に特例有価価値を設定していなければ、特例貸出を受けることはできない。また、第2条件における基準残数は、任意であり、5~10個程度に設定しても良いし、貸出動作1回分(例えば、25個)に設定しても良い。この第2条件の判定に用いる基準残数の設定手法も特に限定されるものではなく、管理装置3-1から複数の遊技媒体貸出装置2-1に対して一括設定あるいは個別設定できるようにしても良いし、遊技店の係員等が所持するリモコンから各遊技機媒体貸出装置2-1に対して設定できるようにしても良い。
【0056】
遊技媒体貸出装置2-1にて実行される特例遊技媒体貸出処理では、最初に前述した特例条件の成否を判定する。先ず、遊技機1からの特賞状態信号を監視して特賞状態が発生しているか否かを判定する(ステップS201)。特賞状態が発生していなければ、特例遊技媒体貸出処理の実行サイクル期間が経過した後、改めてステップS201の判定を行う。そして、図10の表示画面SD2-0に示すように、遊技媒体貸出装置2-1の表示操作部22に、残高0円、持ち玉0個、特例貸出残高500円が表示され、遊技を継続するための遊技球が残っておらず、遊技媒体を新たに借り受けるための有価価値である預り金の残高も無くなったときに特賞状態が発生したと仮定する。
【0057】
このような状況で特賞状態が発生して第1条件が成立すると、上記ステップS201で特賞状態発生と判定した後、残っている持ち玉数が基準残数に満たない状態か否かの判定を行う(ステップS202)。このとき、遊技媒体貸出装置2-1が記憶している情報では、遊技に供し得る持ち玉は0個であり、残っている持ち玉数が基準残数に満たないと上記ステップS202で判定されるので、第2条件が成立する。次いで、遊技客が所持する有価価値の残高が最低貸出金額に満たない状態か否かの判定を行う(ステップS203)。このとき、遊技媒体貸出装置2-1が記憶している情報では、有価価値の残高は0円であり、残っている有価価値が遊技媒体貸出手段による遊技媒体貸出の最低金額(例えば、100円)に満たないと上記ステップS203で判定されるので、第3条件が成立する。すなわち、第1~第3条件が同時に成立して特例貸出条件が成立しているので、特例有価価値を消費して遊技媒体を貸し出せるように、特例貸出ボタン222f(図10の表示画面SD2-1を参照)を表示操作部22に表示する(ステップS204)。なお、特賞状態が発生した直後には、少量の持ち玉が残っていたり、少額の預り金が残っていたりすると、特例条件が成立しないので、上記ステップS202或いはステップS203にて否と判定され、特例有価価値を消費せずに遊技を継続して行くこととなる。しかしながら、その後に持ち玉を使い果たし、預り金の残高も無く、未だ特賞状態が継続していれば、特例条件が成立するので、特例貸出ボタン222fが表示され、特例貸出を受けられる。
【0058】
続いて、特例貸出ボタン222fが押下されたか否かを判定し(ステップS205)、特例貸出ボタン222fが押下されれば、特例有価価値を消費して遊技媒体を貸し出す特例遊技媒体貸出動作を実行し(ステップS206)、消費した特例有価価値分を減じた残りの特例有価価値に更新する(ステップS207)。このとき、特例有価価値が消費されたことを、遊技媒体貸出装置2-1から管理装置3-1等の外部へ報せるようにしても良いが、本構成例の遊技媒体貸出装置2-1では、消費した特例有価価値分を遊技で獲得された遊技媒体で補填するので、貸出数送信手段による貸出数信号の送信を送信規制手段が規制する。そのため、特例遊技媒体貸出動作を実行した際には、カード返却フラグをセットし(ステップS208)、記録媒体7が返却されることを規制しておき、記録媒体7の返却が規制されている間は、送信規制手段によって貸出数信号の送信が規制される。
【0059】
特例遊技媒体貸出動作を実行して特例有価価値を更新すると、図10の表示画面SD2-2に示すように、特例貸出実行25個、特例貸出残高400円と表示操作部22に表示される。なお、特賞状態が発生していると、入賞の確率が上がっているので、入賞に基づく賞遊技媒体を容易に獲得できる可能性が高いことから、特例貸出ボタン222fの操作では最低金額分(例えば、100円分)の玉貸を行うものとした。しかしながら、複数の貸出金額に対応させて複数の特例貸出ボタン222fを表示しておき、遊技客が貸出金額を選択できるようにしても良い。
【0060】
上記のようにして特例貸出を受けた後、およびステップS205で特例貸出ボタン222fが押下されていないと判定した場合には、特賞状態が終了したか否かを判定する(ステップS209)。特賞状態が未だ終了していなければ、再びステップS205に戻り、特例貸出ボタン222fが押下されたか否かの判定を行う。すなわち、特例条件が成立した後は、特賞状態が継続している限り、特例有価価値の範囲内で何度でも特例遊技媒体貸出動作を実行できるので、安定して賞遊技媒体を獲得できるようになるまで、特例有価価値の範囲内で遊技客は追加の遊技媒体を借り受けることができる。
【0061】
なお、本構成例の遊技媒体貸出装置2-1では、特例遊技媒体貸出動作による遊技媒体の貸出を受けて遊技を継続した場合、入賞に基づいて獲得した賞遊技媒体を遊技に供することはできるが、持ち玉処理手段が遊技機1での遊技に供する処理の対象とは扱わず、持ち玉に加算されない遊技球として別途記憶して行く。よって、特賞状態中に入賞があった場合には、図10の表示画面SD3-3Aに示すように、遊技球500個、貸出分25個のように、表示操作部22に表示される。また、特賞状態中に遊技客が計数ボタン222eを押下して持ち玉を確定しようとした場合、特賞状態中の入賞に基づいて獲得した賞遊技媒体が持ち玉として持ち玉処理手段に記憶・処理されることを規制する。これは、特賞状態中の入賞により獲得した遊技媒体を、特例貸出により消費された特例有価価値分の補填に充てるためである。なお、遊技媒体貸出装置2-1にて設定する特例有価価値は遊技客からの預り金であるから、特例貸出で消費した消費価値分の補填を行わず、消費後の特例貸出残高のままにしておくのであれば、特賞状態中の入賞に基づいて獲得した賞遊技媒体を持ち玉処理手段が持ち玉として記録処理できるようにしても構わない。しかしながら、遊技媒体貸出装置2-1にて設定する特例有価価値は、緊急時の特例貸出を実行するのに十分な預り金額として設定している有価価値であるから、特例有価価値を設定当初の初期価値(例えば、500円)に戻しておいた方が、緊急時の特例貸出本来の機能を確実に果たせるので、特例貸出で消費した消費価値分を補填することが望ましい。
【0062】
上記ステップS209で特賞状態の終了を判定されると、表示操作部22の特例貸出ボタン222fを非表示にし(ステップS210)、特賞状態中の獲得玉数が特例有価価値を消費して貸し出した特例貸出数より多いか否かを判定する(ステップS211)。すなわち、特例貸出で消費した特例有価価値分を、特賞状態中の入賞に基づいて獲得した賞遊技媒体で補填できるか否かを判定するのである。図10の表示画面SD2-3Aに示すように、「遊技球500個>特例貸出分25個」であれば、表示画面SD2-4Aに示すように、遊技球500個から特例貸出分25個を減算して特例有価価値を補填する(ステップS212)。特例有価価値の補填が完了すれば、図10の表示画面SD2-5Aに示すように、残高0円、持ち玉0個、遊技球475個、特例貸出残高500円と、表示操作部22に表示される。特例有価価値の補填が完了すると、カード返却不可フラグを解除して(ステップS213)、記録媒体7の返却を可能にすると共に、送信規制手段による貸出数信号の送信規制を送信規制解除手段によって解除し、貸出数送信手段による貸出数信号の送信を可能にする。また、特例有価価値の補填完了に伴うカード返却不可フラグの解除が実行された後には、特例有価価値を補填した後の獲得玉数(遊技球475個)を計数して持ち玉数に加算する(ステップS214)。これにより、持ち玉475個が確定する。この後は、再びステップS201に戻って特賞状態の発生確認を行う。
【0063】
以上が、特賞状態の発生後に特例貸出を行い、特賞状態の終了後に、特例貸出で消費した特例有価価値分を獲得遊技媒体で補填する主ルートの流れである。通常は、特賞状態の発生後に特例貸出を受けて遊技を継続できれば、十分な賞遊技媒体を獲得できるはずであるが、何らかの事情により入賞が無いまま特賞状態が終了してしまう可能性も有る。そのような場合は、図10の表示画面SD2-3Bに示すように、特例貸出実行25個、特例貸出残高400円、入賞がありませんと表示操作部22に表示され、特例貸出分の消費価値を補填できないことを遊技客も確認できる。
【0064】
そして、そのまま特賞状態が終了すると、上記ステップS211において獲得玉数が特例貸出数に満たないと判定されるので、図10の表示画面SD2-4Bに示すように、入賞が無かったため特例貸出残高は戻りませんと表示され、特例貸出分の補填を促される。その後、一定時間(例えば、予め設定した1分の補填猶予時間)が経過するまで、特例貸出で消費した消費価値分の補填を可能にしておく。なお、極めて希なケースであるが、特賞状態中に入賞が有ったにもかかわらず、入賞に基づいて獲得した賞遊技媒体の総数が特例貸出分に満たない事態も起こり得る。そのような場合には、獲得した遊技媒体で特例貸出残高を戻せない旨を遊技客に報せるように、表示画面SD2-3B,SD2-4Bの表示内容を変更すれば良い。
【0065】
特賞状態中の入賞による賞遊技媒体を十分に獲得していない場合(上記ステップS211で否と判定された場合)の流れを示す副ルートでは、先ず、特例貸出数がゼロか否かの判定を行う(ステップS215)。特例貸出数がゼロであれば、特例有価価値の残高は初期価値(例えば、500円)のままであり、特例有価価値の補填を行う必要はないので、再びステップS201に戻って特賞状態の発生確認を行う。
【0066】
一方、特賞状態中に特例有価価値を消費して特例遊技媒体の貸出を受けており、上記ステップS215で否(特例貸出数が1個以上)と判定された場合には、補填猶予時間の計時を開始する(ステップS216)。続いて、入金または遊技球の増加を検知したか否かを判定し(ステップS217)、遊技客によって紙幣の追加投入も、遊技球の追加投入も行われていなければ、上記ステップS217で否と判定されるので、補填猶予時間が経過したか否かを判定する(ステップS218)。補填猶予時間が経過していなければ、ステップS217に戻り、遊技客による紙幣の追加投入あるいは遊技球の追加投入を待つ。
【0067】
補填猶予時間が経過する前に、前記ステップS217で入金または遊技球の追加投入を検知したと判定した場合には、増加分が特例貸出数以上であるか否かを判定する(ステップS219)。例えば、特例貸出数が25個であった場合には、増加した遊技球が25個以上または預り金額の増加分が100円以上であれば、上記ステップS219の判定条件を満たし、残特例有価価値を初期価値に戻すことができる。しかしながら、増加分が特例貸出数未満であった場合には、上記ステップS219で否と判定され、上記ステップS217にて更なる入金または遊技球の増加を待つこととなる。
【0068】
上記ステップS219で入金または遊技球の増加分が特例貸出数以上であると判定された場合には、新たに投入された金額または遊技球数から消費した特例有価価値分の金額または球数を減算して特例有価価値を補填する(ステップS220)。特例有価価値を補填した後に、未だ残っている残額があれば遊技客の預り金として加算し、未だ残っている遊技球があれば遊技客の持ち玉として加算し(ステップS221)、遊技客の所持分を更新する。このように、特例有価価値の補填が適正に行われれば、カード返却不可フラグを解除し(ステップS222)、再びステップS201に戻って特賞状態の発生確認を行う。
【0069】
一方、上記ステップS219で増加分が特例貸出数以上であると判定されないまま、上記ステップS218で補填猶予時間が経過したと判定された場合には、特例貸出後に残っている特例有価価値を新たな特例有価価値に決定する(ステップS223)。すなわち、補填猶予時間が経過するまでに遊技客が特例有価価値を補填する行動を行わなかったということは、特例有価価値を補填する意思がないものと推認できるので、図10の表示画面SD2-5Bに示すように、残高0円、持ち玉0個、特例貸出残高400円と表示操作部22に表示して、特例有価価値の残高を更新したことを遊技者に報せる。このように、特例有価価値が補填されないまま残額を更新した場合にも、カード返却不可フラグを解除し(ステップS222)、再びステップS201に戻って特賞状態の発生確認を行う。なお、特賞状態の発生中に特例貸出動作によって遊技媒体を借り受けた場合には、消費分の特例有価価値を補填して初期価値に戻すことを、遊技継続あるいは遊技終了の必須条件としてもよい。消費分の特例有価価値の補填を必須条件とする場合、例えば、補填猶予時間が経過すると、特例有価価値の補填が未実行であることを報せる信号を管理装置3-1等へ出力し、遊技店の係員等に対応して貰うようにしても良い。
【0070】
なお、特例有価価値が管理装置3-1の特例有価価値管理手段34によって管理されている場合は、特例条件の成立を判定した遊技媒体貸出装置2-1の特例遊技媒体貸出手段から消費分の特例有価価値情報を取得し、特例有価価値管理手段34にて特例有価価値の消費や補填を適切に管理する。すなわち、管理装置3-1にて特例有価価値を管理する場合でも、特例条件が成立すれば、遊技媒体貸出装置2-1の特例遊技媒体貸出手段と管理装置3-1の特例有価価値管理手段34が協働することにより、特例有価価値を消費して遊技媒体を貸し出せるので、特賞状態での遊技を継続でき、特賞状態でのパンク発生を効果的に防ぐことができる。
【0071】
次に、遊技媒体貸出装置2Aの第2構成例(以下、遊技媒体貸出装置2-2)について、図11に示す機能ブロック図に基づき説明する。遊技媒体貸出装置2-2は、制御部201-2、記憶部202-2、紙幣識別部203、表示操作部22、カード処理部204、遊技球払出部205、遊技球計数部206、外部通信部207、遊技機通信部208を有する。なお、前述した第1構成例の遊技媒体貸出装置2-1と同一機能の構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0072】
この遊技媒体貸出装置2-2においては、遊技客が所持する記録媒体7に記録された特定情報と紐付けされた特例遊技媒体の情報を信用情報として確認し、特例遊技媒体があれば貸出可能条件を満たすと判定する。このため、制御部201-2に設けた特例遊技媒体処理部201jは、遊技球計数部206によって計数された遊技媒体を検知したとき、計数された遊技媒体の一部を、通常は遊技に供することができないように制限されている特例遊技媒体に設定し、特定情報と紐付けて特例遊技媒体記憶領域202fに記憶する処理を行う。また、特例遊技媒体処理部201jは、上述した貸出可能条件を満たすと共に予め定めた特例条件が成立することに基づいて、特例遊技媒体の数を減じて遊技媒体を貸し出す処理(以下、特例貸出動作という)を行う。すなわち、記憶部202-2における特例遊技媒体記憶領域202fに十分な特例遊技媒体があることを信用情報として確認しておけば、特例条件の成立時には、特例遊技媒体を減じて遊技媒体を貸し出せるので、特例貸出動作を行うことに伴う遊技店のリスクは無い。
【0073】
本構成例の遊技媒体貸出装置2-2においては、制御部201-2、記憶部202-2、遊技球払出部205、遊技球計数部206等が協働することで、特例遊技媒体貸出手段として機能する。なお、特例遊技媒体処理部201jは、特例貸出動作により遊技媒体が貸し出された後の遊技で獲得した遊技媒体をそのまま持ち玉に加算せず、特例遊技媒体として貸し出した遊技媒体数分の補填に充てることで、残特例遊技媒体を当初の初期玉数に戻す処理を行っても良い。すなわち、持ち玉処理手段は、特例遊技媒体貸出手段が遊技媒体を貸し出した後の遊技結果として新たに遊技媒体を獲得した場合、獲得した遊技媒体の数のうち特例遊技媒体貸出手段が貸し出した遊技媒体の数を除いた数を持ち玉として記憶するのである。このように、特例遊技媒体処理部201jが諸動作を行うためには、持ち玉管理部201bとの連携が必要であるから、特例遊技媒体処理部201jの機能を持ち玉管理部201bに含ませておいても良い。
【0074】
なお、遊技客が所持する記録媒体7に記録された特定情報と紐付けて、特例遊技媒体を特例遊技媒体貸出手段が管理している場合、記録媒体7はカード処理部204に取り込まれており、遊技客の手元には無い状態である。そこで、特例遊技媒体貸出手段は、特例条件の成立に基づいて遊技媒体を貸し出してから、貸し出した遊技媒体の数と同数の遊技媒体を遊技結果として獲得するまでの間、投入された記録媒体の返却を規制してもよい。特例貸出動作を受けることでパンクを回避し、特賞状態での遊技が順調に進行すれば、遊技客が特例貸出で借り受けた遊技媒体の数よりも遙かに多くの遊技媒体を獲得できるのであるから、特例貸出動作により貸し出した遊技媒体の貸出分を獲得した遊技媒体で補填することが遊技客の負担になるとは考え難い。そこで、特例貸出動作を行った後の遊技結果として遊技客が新たに遊技媒体を獲得した場合、特例遊技媒体貸出手段は、新たに獲得した遊技媒体数が持ち玉処理手段によって持ち玉数に加算されることを規制し、遊技で獲得した遊技媒体を特例貸出動作により貸し出された遊技媒体の補填に充てる処理を行っても良い。すなわち、持ち玉処理手段は、特例遊技媒体貸出手段が遊技媒体を貸し出した後の遊技結果として新たに遊技媒体を獲得した場合、獲得した遊技媒体の数のうち特例遊技媒体貸出手段が貸し出した遊技媒体の数を除いた数を持ち玉として記憶するのである。
【0075】
また、遊技媒体貸出装置2-2は、貸し出した前記遊技媒体の数に係る貸出数信号を管理装置3-2に対して送信する機能を標準的に備えている。第2構成例の遊技媒体貸出装置2-2は、遊技媒体貸出手段に加えて特例遊技媒体貸出手段の機能を有するので、遊技媒体貸出手段および特例遊技媒体貸出手段が貸し出した遊技媒体の数に係る貸出数信号を管理装置3-2に対して送信する貸出数送信手段としての機能を備えるものとした。この貸出数送信手段が、特例遊技媒体貸出手段により特例遊技媒体の数を減じて貸し出された遊技媒体の数を貸出数信号として管理装置3へ送信してしまうと、特例貸出分の遊技媒体数を獲得遊技媒体で補填した場合には、管理装置3へ送信した貸出数を減ずる処理等が必要になり、煩雑である。そこで、遊技媒体貸出装置2-2には、送信規制手段と送信規制解除手段とを設けておく。送信規制手段は、特例遊技媒体貸出手段によって記録媒体7の返却が規制されている間、貸出数送信手段による貸出数信号の送信を規制する。一方、送信規制解除手段は、特例遊技媒体貸出手段によって記録媒体7の返却規制が解除されて記憶媒体7が返却されたとき、送信規制手段による貸出数信号の送信規制を解除して、貸出数送信手段が貸出数信号を管理装置3-2に対して送信可能にする。すなわち、特例貸出動作のために消費された特例遊技媒体分の貸出数が貸出数信号として管理装置3へ送信されることを送信規制手段が規制し、消費分の特例遊技媒体が補填されることに伴って記録媒体7が返却されると、送信規制解除手段によって貸出数信号の送信規制が解除される。これにより、特例遊技媒体の貸出および補填によって遊技媒体の貸出数が増減してしまう煩雑さを解消できる。
【0076】
ここで、遊技媒体貸出装置2-2による特例遊技媒体設定処理の一例を、図12及び図13を参照して説明する。図12は、特例遊技媒体設定処理の流れを示すフローチャートであり、図13は、その流れに沿って表示操作部22の表示画面が遷移する過程を示す説明図である。なお、図12では、遊技媒体貸出装置2-2の遊技球計数部206にて遊技球の計数動作が実行されたときのみ特例遊技媒体設定処理を行う場合を示したが、紙幣の投入、あるいは預り金の有る記録媒体7が挿入されたことを検知して、預り金の一部を特例遊技媒体に設定する特例遊技媒体設定処理を行うようにしても良い。
【0077】
特例遊技媒体設定処理においては、先ず、遊技媒体貸出装置2-2が遊技媒体の計数を検知したか否かを判断し(ステップS301)、遊技媒体の計数を検知できなければ、特例遊技媒体設定処理の実行サイクル期間が経過した後、改めてステップS301の判断を行う。遊技機1での遊技が行われていない空き状態のとき、対応する遊技媒体貸出装置2-2の表示操作部22には、残高も持ち玉も無いことを示す表示画面SD3-0が表示されている。ここで、遊技客が遊技媒体貸出装置2-2の遊技球計数部206へ遊技球(例えば、500個)を投入して計数されると、計数結果として計数500個が表示操作部22に表示される(図13の表示画面SD3-1を参照)。
【0078】
これにより、上記ステップS301で計数検知と判定されるので、表示操作部22に特例遊技媒体設定画面(表示画面SD3-2)を表示する(ステップS302)。この表示画面SD3-2にて、投入個数の一部(例えば、125個)を特例遊技媒体に設定するか、設定しないかの選択を遊技客に促す。遊技客が特例遊技媒体の設定を選択したか否かを判定し(ステップS303)、遊技客が特例遊技媒体の設定を選択していれば、計数した遊技媒体の一部を特例遊技媒体に設定し(ステップS304)、特例遊技媒体設定画面を非表示にし(ステップS305)、次の遊技媒体計数に備えてステップS301の判定処理に戻る。よって、遊技客が特例遊技媒体の設定を選択した場合は、表示画面SD3-3Aに示すように、残高0円、持ち玉375個、特例貸出個数125個が表示操作部22に表示された状態となる。
【0079】
一方、上記ステップS303で遊技客が特例遊技媒体の設定を選択していなければ、そのまま特例遊技媒体設定画面を非表示にし(ステップS305)、次の金銭投入に備えてステップS301の判定処理に戻る。よって、遊技客が特例遊技媒体の設定を選択しなかった場合は、表示画面SD3-3Bに示すように、残高0円、持ち玉500個が表示操作部22に表示された状態となる。なお、図12に示す特例遊技媒体設定処理においては、遊技媒体の計数が検知される毎に特例遊技媒体の設定を遊技客に問い合わせるものとしたが、これに限らず、既に特例遊技媒体が設定されている場合には、改めて遊技客に特例遊技媒体の設定可否を問い合わせずに、全ての遊技媒体を持ち玉に加算する処理を行っても良い。また、図12に示す特例遊技媒体設定処理においては、投入された遊技媒体の一部を特例遊技媒体の設定に用いるものとしたが、投入された遊技媒体は全て通常の持ち玉として処理し、特例遊技媒体設定用の遊技媒体投入を別途要求して、特例遊技媒体の設定を行うようにしても良い。
【0080】
上記のようにして、遊技媒体貸出装置2-2により特例遊技媒体が設定されると、遊技客の特定情報を紐付けた適切な管理が管理装置3にて行われる。図14に示す第2構成例の管理装置3-2には、持ち玉管理手段31、預り金管理手段32、動作管理手段33、特例遊技媒体管理手段35等を設ける。なお、管理装置3-2は、単一のハードウエアに各種機能を搭載するように構成してもよいし、それぞれ異なるハードウエアで構成しても良い。また、特例遊技媒体の設定および処理する機能を遊技媒体貸出装置2-2に持たせるか否かの切替設定は、管理装置3-2から自動で行っても良いし、遊技店の係員等が所持するリモコンを用いて台毎に個別に切替設定できるようにしても良い。なお、前述した第1構成例の管理装置3-1と同一機能の構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0081】
特例遊技媒体管理手段35は、遊技媒体貸出装置2-2の特例遊技媒体貸出手段により設定された特例遊技媒体を、遊技客が所持する記録媒体7の特定情報(例えば、カードID)と紐付けて記憶する情報管理を行う。特例遊技媒体とは、通常時には遊技機1での遊技に供することができない遊技媒体であるから、基本的な管理内容は、持ち玉管理手段31と同様である。したがって、持ち玉管理手段31に特例貸出用持ち玉管理機能35′(図14中、二点鎖線で示す)を設けることで、持ち玉管理手段31が特例遊技媒体管理手段35として動作する構成でも構わない。なお、特例遊技媒体管理手段35による特例遊技媒体の情報更新のタイミングは特に限定されるものではない。例えば、遊技機1での遊技終了時にカード返却を行うタイミングで遊技媒体貸出装置2-2から特例遊技媒体の記憶情報を送信させ、この特例遊技媒体の情報を特例遊技媒体管理手段35が受信したタイミングで特例遊技媒体の情報更新を行っても良い。或いは、特例遊技媒体の利用に関する情報更新が行われる都度、遊技媒体貸出装置2-2から特例遊技媒体の記憶情報を送信させ、特例遊技媒体管理手段35が特例遊技媒体の情報更新を細かく行えるようにしても良い。なお、遊技媒体貸出装置2-2へ送信する設定情報として、適宜な特例遊技媒体の情報更新タイミングとなる設定情報を動作管理手段33によって生成し、該当する遊技媒体貸出装置2-2へ送信すれば、特例遊技媒体の利用状況などに応じた情報更新タイミングを個別に設定できるので、利便性が高まる。
【0082】
また、前述した遊技媒体貸出装置2-2では、設定した特例遊技媒体を特例遊技媒体記憶領域202fに記憶しておき、特例遊技媒体の消費および補填に伴う特例遊技媒体のデータ更新を特例遊技媒体処理部201jが行うものとしたが、この機能を管理装置3-2の特例遊技媒体管理手段35が担っても構わない。すなわち、特例遊技媒体管理手段35が、遊技媒体貸出装置2-2の特例遊技媒体貸出手段が使用可能な特例遊技媒体を、遊技客が所持する記録媒体7の特定情報と紐付けて管理するのである。このようにすれば、各記録媒体7に紐付けられた特例遊技媒体を管理装置3-2で一括管理でき、各遊技媒体貸出装置2-2に特例遊技媒体が直接書き込まれることがないので、データ漏洩に対するセキュリティ向上を期せる。
【0083】
次に、遊技媒体貸出装置2-2で特例遊技媒体を用いた遊技媒体の貸出である特例遊技媒体貸出処理の一例を、図15図17を参照して説明する。図15は、特例遊技媒体貸出処理の主ルートを示すフローチャートである。図16は、特例遊技媒体貸出処理の副ルートを示すフローチャートであり、図17は、特例遊技媒体貸出処理の流れに沿って表示操作部22の表示画面が遷移する過程を示す説明図である。
【0084】
なお、遊技媒体貸出装置2-2においては、遊技客が所持する記録媒体7に記録された特定情報と紐付けされた特例遊技媒体を信用情報として確認し、遊技機1での遊技に供し得る遊技媒体を貸し出せる特例遊技媒体があれば貸出可能条件を満たすと判定するのである。また、本構成例の遊技媒体貸出装置2-2が行う特例遊技媒体貸出処理において判定する特例条件は、前述した第1構成例の遊技媒体貸出装置2-1と同様、遊技機1での遊技進行中に発生する状態であって、短時間に多くの遊技媒体を獲得できる可能性の高い特賞状態が発生した第1条件と、持ち玉処理手段により記憶された持ち玉数が遊技継続に必要十分な基準残数に満たない第2条件と、遊技客が所持する有価価値が遊技媒体貸出手段による遊技媒体の貸し出しを受けるために消費できる有価価値に満たない第3条件と、が同時に成立することとした。
【0085】
遊技媒体貸出装置2-2にて実行される特例遊技媒体貸出処理では、最初に前述した特例条件の成否を判定する。先ず、遊技機1からの特賞状態信号を監視して特賞状態が発生しているか否かを判定する(ステップS401)。特賞状態が発生していなければ、特例遊技媒体貸出処理の実行サイクル期間が経過した後、改めてステップS401の判定を行う。そして、図17の表示画面SD4-0に示すように、遊技媒体貸出装置2-2の表示操作部22に、残高0円、持ち玉0個、特例貸出個数125個が表示され、遊技を継続するための遊技球が残っておらず、遊技媒体を新たに借り受けるための有価価値である預り金の残高も無くなったときに特賞状態が発生したと仮定する。
【0086】
このような状況で特賞状態が発生して第1条件が成立すると、上記ステップS401で特賞状態発生と判定した後、残っている持ち玉数が基準残数に満たない状態か否かの判定を行う(ステップS402)。このとき、遊技媒体貸出装置2-2が記憶している情報では、遊技に供し得る持ち玉は0個であり、残っている持ち玉数が基準残数に満たないと上記ステップS402で判定されるので、第2条件が成立する。次いで、遊技客が所持する有価価値の残高が最低貸出金額に満たない状態か否かの判定を行う(ステップS403)。このとき、遊技媒体貸出装置2-2が記憶している情報では、有価価値の残高は0円であり、残っている有価価値が遊技媒体貸出手段による遊技媒体貸出の最低金額(例えば、100円)に満たないと上記ステップS403で判定されるので、第3条件が成立する。すなわち、第1~第3条件が同時に成立して特例貸出条件が成立しているので、特例遊技媒体の数を減じて遊技媒体を貸し出せるように、特例貸出ボタン222f(図17の表示画面SD4-1を参照)を表示操作部22に表示する(ステップS404)。なお、特賞状態が発生した直後には、少量の持ち玉が残っていたり、少額の預り金が残っていたりすると、特例条件が成立しないので、上記ステップS402或いはステップS403にて否と判定され、特例遊技媒体を消費せずに遊技を継続して行くこととなる。しかしながら、その後に持ち玉を使い果たし、預り金の残高も無く、未だ特賞状態が継続していれば、特例条件が成立するので、特例貸出ボタン222fが表示され、特例貸出を受けられる。
【0087】
続いて、特例貸出ボタン222fが押下されたか否かを判定し(ステップS405)、特例貸出ボタン222fが押下されれば、特例遊技媒体の数を減じて遊技媒体を貸し出す特例遊技媒体貸出動作を実行し(ステップS406)、貸し出した遊技媒体数分を減じた残りの特例遊技媒体数に更新する(ステップS407)。このとき、特例遊技媒体が減ぜられたことを、遊技媒体貸出装置2-2から管理装置3-2等の外部へ報せるようにしても良いが、本構成例の遊技媒体貸出装置2-2では、減ぜられた特例遊技媒体数分を遊技で獲得された遊技媒体で補填するので、貸出数送信手段による貸出数信号の送信を送信規制手段が規制する。そのため、特例遊技媒体貸出動作を実行した際には、カード返却フラグをセットし(ステップS408)、記録媒体7が返却されることを規制しておき、記録媒体7の返却が規制されている間は、送信規制手段によって貸出数信号の送信が規制される。
【0088】
特例遊技媒体貸出動作を実行して特例遊技媒体の残数を更新すると、図17の表示画面SD4-2に示すように、特例貸出実行25個、特例貸出残数100個と表示操作部22に表示される。なお、特賞状態が発生していると、入賞の確率が上がっているので、入賞に基づく賞遊技媒体を容易に獲得できる可能性が高いことから、特例貸出ボタン222fの操作では最低金額分の玉貸(例えば、遊技球25個の貸出)を行うものとした。しかしながら、複数の貸出個数に対応させて複数の特例貸出ボタン222fを表示しておき、遊技客が貸出個数を選択できるようにしても良い。
【0089】
上記のようにして特例貸出を受けた後、およびステップS405で特例貸出ボタン222fが押下されていないと判定した場合には、特賞状態が終了したか否かを判定する(ステップS409)。特賞状態が未だ終了していなければ、再びステップS405に戻り、特例貸出ボタン222fが押下されたか否かの判定を行う。すなわち、特例条件が成立した後は、特賞状態が継続している限り、特例遊技媒体の範囲内で何度でも特例遊技媒体貸出動作を実行できるので、安定して賞遊技媒体を獲得できるようになるまで、特例遊技媒体の残数の範囲内で遊技客は追加の遊技媒体を借り受けることができる。
【0090】
なお、本構成例の遊技媒体貸出装置2-2では、特例遊技媒体貸出動作による遊技媒体の貸出を受けて遊技を継続した場合、入賞に基づいて獲得した賞遊技媒体を遊技に供することはできるが、持ち玉処理手段が遊技機1での遊技に供する処理の対象とは扱わず、持ち玉に加算されない遊技球として別途記憶して行く。よって、特賞状態中に入賞があった場合には、図17の表示画面SD4-3Aに示すように、遊技球500個、特例貸出分25個のように、表示操作部22に表示される。また、特賞状態中に遊技客が計数ボタン222eを押下して持ち玉を確定しようとした場合、特賞状態中の入賞に基づいて獲得した賞遊技媒体が持ち玉として持ち玉処理手段に記憶・処理されることを規制する。これは、特賞状態中の入賞により獲得した遊技媒体を、特例貸出により減ぜられた特例遊技媒体数分の補填に充てるためである。なお、遊技媒体貸出装置2-2にて設定する特例遊技媒体数は遊技客から預った遊技媒体であるから、特例貸出で減ぜられた遊技媒体数分の補填を行わず、特例遊技媒体貸出動作を実行した後の特例貸出残数のままにしておくのであれば、特賞状態中の入賞に基づいて獲得した賞遊技媒体を持ち玉処理手段が持ち玉として記録処理できるようにしても構わない。しかしながら、遊技媒体貸出装置2-2にて設定する特例遊技媒体は、緊急時の特例貸出を実行するのに十分な遊技媒体数として設定しているのであるから、特例遊技媒体の数を設定時の初期数(例えば、125個)に戻しておいた方が、緊急時の特例貸出本来の機能を確実に果たせるので、特例貸出で減ぜられた特定遊技媒体数分を補填することが望ましい。
【0091】
上記ステップS409で特賞状態の終了を判定されると、表示操作部22の特例貸出ボタン222fを非表示にし(ステップS410)、特賞状態中の獲得玉数が特例遊技媒体を消費して貸し出した特例貸出数より多いか否かを判定する(ステップS411)。すなわち、特例貸出で消費した特例遊技媒体分を、特賞状態中の入賞に基づいて獲得した賞遊技媒体で補填できるか否かを判定するのである。図17の表示画面SD4-3Aに示すように、「遊技球500個>特例貸出分25個」であれば、表示画面SD4-4Aに示すように、遊技球500個から特例貸出分25個を減算して特例遊技媒体を補填する(ステップS412)。特例遊技媒体の補填が完了すれば、図17の表示画面SD4-5Aに示すように、残高0円、持ち玉0個、遊技球475個、特例貸出残数125個と、表示操作部22に表示される。特例遊技媒体の補填が完了すると、カード返却不可フラグを解除して(ステップS413)、記録媒体7の返却を可能にすると共に、送信規制手段による貸出数信号の送信規制を送信規制解除手段によって解除し、貸出数送信手段による貸出数信号の送信を可能にする。また、特例遊技媒体の補填完了に伴うカード返却不可フラグの解除が実行された後には、特例遊技媒体を補填した後の獲得玉数(遊技球475個)を計数して持ち玉数に加算する(ステップS414)。これにより、持ち玉475個が確定する。この後は、再びステップS401に戻って特賞状態の発生確認を行う。
【0092】
以上が、特賞状態の発生後に特例貸出を行い、特賞状態の終了後に、特例貸出で減ぜられた特例遊技媒体分を獲得遊技媒体で補填する主ルートの流れである。通常は、特賞状態の発生後に特例貸出を受けて遊技を継続できれば、十分な賞遊技媒体を獲得できるはずであるが、何らかの事情により入賞が無いまま特賞状態が終了してしまう可能性も有る。そのような場合は、図17の表示画面SD4-3Bに示すように、特例貸出実行25個、特例貸出残数100個、入賞がありませんと表示操作部22に表示され、特例貸出分の遊技媒体を補填できないことを遊技客も確認できる。
【0093】
そして、そのまま特賞状態が終了すると、上記ステップS411において獲得玉数が特例貸出数に満たないと判定されるので、図17の表示画面SD4-4Bに示すように、入賞が無かったため特例貸出残数は戻りませんと表示され、特例貸出分の補填を促される。その後、一定時間(例えば、予め設定した1分の補填猶予時間)が経過するまで、特例貸出で減ぜられた遊技媒体数分の補填を可能にしておく。なお、極めて希なケースであるが、特賞状態中に入賞が有ったにもかかわらず、入賞に基づいて獲得した賞遊技媒体の総数が特例貸出分に満たない事態も起こり得る。そのような場合には、獲得した遊技媒体で特例貸出残高を戻せない旨を遊技客に報せるように、表示画面SD4-3B,SD4-4Bの表示内容を変更すれば良い。
【0094】
特賞状態中の入賞による賞遊技媒体を十分に獲得していない場合(上記ステップS411で否と判定された場合)の流れを示す副ルートでは、先ず、特例貸出数がゼロか否かの判定を行う(ステップS415)。特例貸出数がゼロであれば、特例遊技媒体の残数は初期値(例えば、125個)のままであり、特例遊技媒体の補填を行う必要はないので、再びステップS401に戻って特賞状態の発生確認を行う。
【0095】
一方、特賞状態中に特例遊技媒体を消費して特例遊技媒体の貸出を受けており、上記ステップS415で否(特例貸出数が1個以上)と判定された場合には、補填猶予時間の計時を開始する(ステップS416)。続いて、入金または遊技球の増加を検知したか否かを判定し(ステップS417)、遊技客によって紙幣の追加投入も、遊技球の追加投入も行われていなければ、上記ステップS417で否と判定されるので、補填猶予時間が経過したか否かを判定する(ステップS418)。補填猶予時間が経過していなければ、ステップS417に戻り、遊技客による紙幣の追加投入あるいは遊技球の追加投入を待つ。
【0096】
補填猶予時間が経過する前に、前記ステップS417で入金または遊技球の追加投入を検知したと判定した場合には、増加分が特例貸出数以上であるか否かを判定する(ステップS419)。例えば、特例貸出数が25個であった場合には、増加した遊技球が25個以上または預り金額の増加分が100円以上であれば、上記ステップS419の判定条件を満たし、特例遊技媒体の残数を初期値に戻すことができる。しかしながら、増加分が特例貸出数未満であった場合には、上記ステップS419で否と判定され、上記ステップS417にて更なる入金または遊技球の増加を待つこととなる。
【0097】
上記ステップS419で入金または遊技球の増加分が特例貸出数以上であると判定された場合には、新たに投入された金額または遊技球数から減ぜられた特例遊技媒体分の金額または球数を減算して特例遊技媒体を補填する(ステップS420)。特例遊技媒体を補填した後に、未だ残っている残額があれば遊技客の預り金として加算し、未だ残っている遊技球があれば遊技客の持ち玉として加算し(ステップS421)、遊技客の所持分を更新する。このように、特例遊技媒体の補填が適正に行われれば、カード返却不可フラグを解除し(ステップS422)、再びステップS401に戻って特賞状態の発生確認を行う。
【0098】
一方、上記ステップS419で増加分が特例貸出数以上であると判定されないまま、上記ステップS418で補填猶予時間が経過したと判定された場合には、特例貸出後に残っている特例遊技媒体の残数を新たな特例遊技媒体数に決定する(ステップS423)。すなわち、補填猶予時間が経過するまでに遊技客が特例遊技媒体を補填する行動を行わなかったということは、特例遊技媒体を補填する意思がないものと推認できるので、図17の表示画面SD4-5Bに示すように、残高0円、持ち玉0個、特例貸出残数100個と表示操作部22に表示して、特例遊技媒体の残数を更新したことを遊技者に報せる。このように、特例遊技媒体が補填されないまま残数を更新した場合にも、カード返却不可フラグを解除し(ステップS422)、再びステップS401に戻って特賞状態の発生確認を行う。なお、特賞状態の発生中に特例貸出動作によって遊技媒体を借り受けた場合には、減数分の特例遊技媒体を補填して初期値に戻すことを、遊技継続あるいは遊技終了の必須条件としてもよい。減数分の特例遊技媒体の補填を必須条件とする場合、例えば、補填猶予時間が経過すると、特例遊技媒体の補填が未実行であることを報せる信号を管理装置3-2等へ出力し、遊技店の係員等に対応して貰うようにしても良い。
【0099】
なお、特例遊技媒体が管理装置3-2の特例遊技媒体管理手段35によって管理されている場合は、特例条件の成立を判定した遊技媒体貸出装置2-2の特例遊技媒体貸出手段から減数分の特例遊技媒体情報を取得し、特例遊技媒体管理手段35にて特例遊技媒体の減算や補填を適切に管理する。すなわち、管理装置3-2にて特例遊技媒体を管理する場合でも、特例条件が成立すれば、遊技媒体貸出装置2-2の特例遊技媒体貸出手段と管理装置3-2の特例遊技媒体管理手段35が協働することにより、特例遊技媒体を減じて遊技媒体を貸し出せるので、特賞状態での遊技を継続でき、特賞状態でのパンク発生を効果的に防ぐことができる。
【0100】
以上、特例有価価値を信用情報として貸出可能条件の判定を行う第1構成例の遊技媒体貸出装置2-1と、特例遊技媒体を信用情報として貸出可能条件の判定を行う第2構成例の遊技媒体貸出装置2-2について説明したが、これら2つの貸出可能条件を判定可能な遊技媒体貸出装置2を構成することもできる。すなわち、特例有価価値記憶手段と特例遊技媒体記憶手段の両方を備える遊技媒体貸出装置2においては、特例有価価値もしくは特例遊技媒体の何れか遊技客の希望する一方、もしくは両方を特例遊技媒体貸出手段が設定できるようにしておくことで、特例条件の成立時には、特例有価価値もしくは特例遊技媒体の何れかを用いた特例貸出動作が可能となる。
【0101】
ここで、管理装置3-2にてカードIDに紐付けて管理されている諸情報をカードID毎のレコードにまとめて生成した管理テーブルの一例を図18に示す。カードIDに紐付いた預り金の項目は、預り金管理手段32が管理する通常の有価価値(使用可金額)と特例有価価値管理手段34が管理する特例有価価値(使用不可金額)の情報である。カードIDに紐付いた持ち玉の項目(遊技球が2種類、遊技メダルが1種類)は、持ち玉管理手段31が管理する使用可能遊技媒体(使用可球数および使用可枚数)と特例遊技媒体管理手段35が管理する特例遊技媒体(使用不可球数および使用不可枚数)の情報である。カードIDに紐付いた特例貸出利用状況の項目は、特例有価価値管理手段34および特例遊技媒体管理手段35が管理している特例貸出利用状況の情報(遊技媒体貸出装置2-1,2-2の特例遊技媒体貸出手段および特例遊技媒体処理手段から送信された情報)である。すなわち、この管理テーブルでは、特例有価価値を設定した第1構成例の遊技媒体貸出装置2-1、特例遊技媒体を設定した第2構成例の遊技媒体貸出装置2-2、特例有価価値と特例遊技媒体の両方を設定できる遊技媒体貸出装置2の全てを管理できる。また、この管理テーブルでは、使用可能な遊技媒体の価値が異なる複数種類の遊技機(例えば、遊技球1個の価値が4円の遊技機と、遊技球1個の価値が1円の遊技機の2種類)を管理できると共に、使用可能な遊技媒体の種類が異なる複数種類の遊技機(例えば、遊技球を使用可能な弾球遊技機1Aと遊技メダルを使用可能な回胴式遊技機1Bの2種類)を管理できる。
【0102】
カードID001は、特例有価価値である使用不可金額500円のみが残っており、特例貸出は未だ利用していないが、特賞状態が発生すれば、特例貸出を受けられる状態である。カードID002は、特例貸出を利用して特例有価価値から100円分を借り受け、使用不可金額が400円に減った状態である。カードID003は、特例貸出を利用中で、使用不可金額500円と使用可球数として4円の遊技球(4円球)が475個残っている状態である。なお、使用可能な持ち玉(4円球)があるにもかかわらず、特例貸出を利用できるのは、1円貸しの弾球遊技機1Aあるいは20円貸しの回胴式遊技機1Bでは、4円球を使って遊技を行えないからである。しかしながら、遊技客の利便性を考慮し、使用可能遊技媒体および特例遊技媒体の何れにおいても、4円球と1円球と20円メダルを等価で相互変換できるようにしても良い(後に詳述)。カードID004は、10000円を入金して使用不可金額500円を設定し、使用可金額が9500円になった状態で、当然ながら特例貸出は利用していない。カードID005は、特例有価価値および特例遊技媒体の設定を行わず、使用可能な4円球を375個、使用可能な1円球を200個、使用可能な20円メダルを300枚保有している状態で、当然ながら特例貸出は利用できない。
【0103】
一方、カードID006は、使用可能な4円球375個と特例遊技媒体である4円球が125個残っている状態で、特例貸出を利用していないので、このまま遊技を終了することが可能である。このカードID006が付された記録媒体7を所持する遊技客が賞品交換POS4へ赴いて賞品交換を行う場合には、使用可能な4円球375個と使用不可設定された4円球125個を合算して交換できる。したがって、カードID006が付された記録媒体7を所持する遊技客は、4円球500個と等価な賞品に交換できる。例えば、図18に示すような賞品管理テーブル41を賞品交換POS4が備えている場合、貸単価Pが4円で交換数Pが125個である「金賞品 小」4つと交換できる。このように、賞品交換を行う際には、特例遊技媒体を通常の遊技媒体と合算して扱えるようにしたので、特例遊技媒体を別途精算する手間がかからず、遊技客にとっても遊技店にとっても利便性が高い。
【0104】
次に、第3構成例の遊技媒体貸出装置2-3と第3構成例の管理装置3-3によって特例貸出を可能にする遊技場管理システムについて、図20を参照して説明する。
【0105】
遊技場には、使用可能な遊技媒体の価値が異なる複数種類の遊技機が設置されている。例えば、遊技媒体の貸単価がP1である弾球遊技機1-3A1と、遊技媒体の貸単価がP2である弾球遊技機1-3A2の2種類が設置されている。そして、弾球遊技機1-3A1に対応させて貸単価P1の遊技媒体を貸し出せる遊技媒体貸出装置2-3A1を接続し、弾球遊技機1-3A2に対応させて貸単価P2の遊技媒体を貸し出せる遊技媒体貸出装置2-3A2を接続する。管理装置3-3は、遊技媒体貸出装置2-3A1および遊技媒体貸出装置2-3A2の管理が可能である。
【0106】
遊技媒体貸出装置2-3A1,2-3A2は共に、遊技媒体を貸し出すための標準機能に加えて、特例貸出動作を行うための機能を備える。図20では、特例貸出動作を行うための主要な機能を抽出して示してある。遊技媒体貸出手段2001は、少なくとも、遊技客が所持する有価価値を消費して、弾球遊技機1-3A1,1-3A2での遊技に供し得る遊技媒体を貸し出す処理を行う。持ち玉処理手段2002は、遊技客が弾球遊技機1-3A1,1-3A2での遊技進行により獲得した遊技媒体を遊技に供し得る持ち玉として記憶し、持ち玉を減じることで遊技媒体を弾球遊技機1-3A1,1-3A2での遊技に供する処理を行う。記録媒体処理手段2003は、少なくとも、遊技客が所持する記録媒体7に記録された特定情報(例えば、カードID)を読み出す機能を備える。特例遊技媒体貸出手段2004-3は、弾球遊技機1-3A1,1-3A2で遊技中の遊技客に紐付いた情報として確認可能な信用情報が所定の貸出可能条件を満たすと共に、予め定めた特例条件が成立することに基づいて、遊技媒体を貸し出す処理を行うものである。なお、特例遊技媒体貸出手段2004-3は、前述した第1,第2構成例の遊技媒体貸出装置2-1,2-2と同様に、貸出可能条件判定機能、特例条件判定機能、特例貸出処理機能を備えているが、後述するように貸出可能条件が異なる。
【0107】
一方、第3構成例の管理装置3-3は、前述した第1,第2構成例の管理装置3-1,3-2と同様の持ち玉管理手段31、預り金管理手段32、動作管理手段33を備える。持ち玉管理手段31は、遊技媒体貸出装置2-3A1,2-3A2の持ち玉処理手段2002に記憶された持ち玉を、遊技客が所持する記録媒体7の特定情報と紐付けて記憶する情報管理を行う。預り金管理手段32は、遊技媒体貸出装置2-3A1,2-3A2の遊技媒体貸出手段2001が遊技媒体の貸出に使っていない預り金を、遊技客が所持する記録媒体7の特定情報と紐付けて記憶する情報管理を行う。動作管理手段33は、遊技場PP内に設置された諸装置(弾球遊技機1-3A1,1-3A2、遊技媒体貸出装置2-3A1,2-3A2、管理装置3-3、賞品交換POS4、精算機5など)に対する動作を設定するための設定情報を生成し、対応する装置に対して設定情報を送信することで、当該装置の動作を管理する。
【0108】
さらに、管理装置3-3は、貯遊技媒体管理手段361、再遊技処理手段362、遊技媒体価値変換手段363を備える。貯遊技媒体管理手段361は、遊技客が所持する記録媒体7に記録された特定情報と紐付けられた遊技媒体を預かり、預かった遊技媒体を貯遊技媒体として異なる価値および異なる種類毎に管理する。再遊技処理手段362は、貯遊技媒体管理手段361が管理する貯遊技媒体を、対応する種類の遊技機1(弾球遊技機1-3A1あるいは弾球遊技機1-3A2)での遊技に使用可能とする。遊技媒体価値変換手段363は、貯遊技媒体管理手段361が管理する貯遊技媒体を、異なる種類の遊技機1で使用可能な異なる価値の貯遊技媒体に変換(例えば、弾球遊技機1-3A1で使用可能な貸単価4円の遊技球1個を、弾球遊技機1-3A2で使用可能な貸単価1円の遊技球4個に変換)する。
【0109】
すなわち、管理装置3-3は、遊技客が預けた遊技媒体を翌日以降に引き出して使えるサービス(いわゆる貯玉サービス)を提供できると共に、貯遊技媒体を異なる価値の貯遊技媒体に変換して提供することが可能である。例えば、遊技客の貯遊技媒体が貸単価P1の遊技球のみであった場合、貯遊技媒体を引き出して使えるのは、貸単価P1の弾球遊技機1-3A1に対応する遊技媒体貸出装置2-3A1のみであり、貸単価P2の弾球遊技機1-3A2に対応する遊技媒体貸出装置2-3A2では引き出せないので、遊技客にとっての利便性が悪い。しかしながら、管理装置3-3のように遊技媒体価値変換手段363を備えていれば、貸単価P1の遊技球を貸単価P2の遊技球に変換して引き出せるので、貸単価P1の貯遊技媒体しか所持していない遊技客でも、遊技媒体貸出装置2-3A2で貯遊技媒体を引き出し、貸単価P2の弾球遊技機1-3A2で遊技できる。逆に、貸単価P2の貯遊技媒体しか所持していない遊技客でも、貸単価P2の遊技球を貸単価P1の遊技球に変換して引き出せるので、遊技媒体貸出装置2-3A1で貯遊技媒体を引き出し、貸単価P1の弾球遊技機1-3A1で遊技できる。ただし、このような異なる価値の貯遊技媒体を相互変換するサービスを提供できる管理装置3-3を備えていても、このようなサービスを採用していない遊技場では、遊技媒体価値変換手段363による遊技媒体価値の相互変換機能を活かすことはできない。しかしながら、遊技客のパンク防止のための特例貸出動作に、遊技媒体価値変換手段363による遊技媒体価値の相互変換機能を限定的に使えば、有用なサービスとなる。
【0110】
上述したように、貯遊技媒体管理手段361、再遊技処理手段362、遊技媒体価値変換手段363を備える管理装置3-3によって、各遊技媒体貸出装置2-3A1,2-3A2を管理している場合、貯遊技媒体の価値と、遊技中の弾球遊技機1-3A1あるいは弾球遊技機1-3A2で使える遊技媒体の価値とが異なっていても、貯遊技媒体を引き出して再遊技を行える可能性がある。これは、貸単価P1の貯遊技媒体を所持している遊技客は、実質的に貸単価P2の弾球遊技機1-3A2で遊技可能な貯遊技媒体を所持していると看做せる情報となる。そこで、第3構成例の遊技媒体貸出装置2-3A1,2-3A2における特例遊技媒体貸出手段2004-3は、遊技客が所持する記録媒体7に記録された特定情報と紐付けされて管理装置3-3の貯遊技媒体管理手段361に管理されている貯遊技媒体を信用情報として確認する。
【0111】
更に、遊技媒体貸出装置2-3A1,2-3A2の特例遊技媒体貸出手段2004-3は、対応する弾球遊技機1-3A1で使用可能な価値(例えば、貸単価P1)の貯遊技媒体が無く、弾球遊技機1-3A1で使用できない価値(例えば、貸単価P2)の貯遊技媒体が有り、管理装置3-3の遊技媒体価値変換手段363によって弾球遊技機1-3A1で使用できない価値の貯遊技媒体を弾球遊技機1-3A1で使用可能な価値の貯遊技媒体に変換できれば貸出可能条件を満たすと判定する。一例として、貸単価4円の遊技球を使える弾球遊技機1-3A1で遊技を行っている最中に、特賞状態が発生し、持ち玉も有価価値も無く、貸単価1円の貯玉は有るものの貸単価4円の貯玉がないために貯玉を引き出せない場合、貸出可能条件を満たすと共に、特例条件が成立する。特例条件の成立により、遊技媒体貸出装置2-3A1,2-3A2の特例遊技媒体貸出手段2004-3は、特例貸出動作を行うのであるが、特例貸出のための遊技媒体をどのように取り出すかは特に限定されず、予め特例有価価値や特例遊技媒体を設定しておいても良い。しかしながら、本構成例では、管理装置3-3の貯遊技媒体管理手段361が管理している貯遊技媒体を遊技媒体価値変換手段363により価値変換し、該当する遊技媒体貸出装置2-3A1,2-3A2の特例遊技媒体貸出手段2004-3が価値変換した貯遊技媒体の数を減じて遊技媒体を貸し出すことで、特例貸出動作を実現した。
【0112】
第3構成例の遊技媒体貸出装置2-3A1,2-3A2と管理装置3-3が協働することで行う特例貸出処理では、特例貸出専用の特例有価価値や特例遊技媒体を事前に設定しておく必要が無く、標準的な会員サービスとして広く採用されている貯遊技媒体を活用して特例貸出動作を行うので、遊技客の利便性を高められる。しかも、遊技客が所持する貯遊技媒体を原資として遊技媒体の特例貸出を行うので、遊技店のリスクを抑えて特例貸出動作を実行できる。なお、特例貸出動作を行った後の遊技結果として遊技客が新たに遊技媒体を獲得した場合、特例遊技媒体貸出手段2004-3は、新たに獲得した遊技媒体数が持ち玉処理手段2002によって持ち玉数に加算されることを規制し、特賞状態中の遊技で獲得した遊技媒体から特例貸出分の遊技媒体数を減じて、価値変換による特例貸出に用いた貯遊技媒体を補填しても良い。すなわち、持ち玉処理手段2002は、特例遊技媒体貸出手段2004-3が遊技媒体を貸し出した後の遊技結果として新たに遊技媒体を獲得した場合、獲得した遊技媒体の数のうち特例遊技媒体貸出手段2004-3が貸し出した遊技媒体の数を除いた数を持ち玉として記憶するのである。特例貸出に用いた貯遊技媒体を補填する場合、特例遊技媒体貸出手段2004-3は、特例条件の成立に基づいて遊技媒体を貸し出してから、貸し出した遊技媒体の数と同数の遊技媒体を遊技結果として獲得するまでの間、投入された記録媒体7の返却を規制しても良い。
【0113】
また、第3構成例の遊技媒体貸出装置2-3A1,2-3A2は、遊技媒体貸出手段2001および特例遊技媒体貸出手段2004-3が貸し出した遊技媒体の数に係る貸出数信号を管理装置3-3に対して送信する貸出数送信手段としての機能を備える。この貸出数送信手段が、特例遊技媒体貸出手段2004-3により貸し出された遊技媒体の数を貸出数信号として管理装置3-3へ送信してしまうと、価値変換による特例貸出に用いた貯遊技媒体を獲得遊技媒体で補填した場合には、管理装置3-3へ送信した貸出数を減ずる処理等が必要になり、煩雑である。そこで、遊技媒体貸出装置2-3A1,2-3A2には、送信規制手段と送信規制解除手段とを設けておく。送信規制手段は、特例遊技媒体貸出手段2004-3によって記録媒体7の返却が規制されている間、貸出数送信手段による貸出数信号の送信を規制する。一方、送信規制解除手段は、特例遊技媒体貸出手段2004-3によって記録媒体7の返却規制が解除されて記憶媒体7が返却されたとき、送信規制手段による貸出数信号の送信規制を解除して、貸出数送信手段が貸出数信号を管理装置3-3に対して送信可能にする。すなわち、特例貸出動作のために価値変換された貯遊技媒体分の貸出数が貸出数信号として管理装置3-3へ送信されることを送信規制手段が規制し、価値変換された貯遊技媒体が補填されることに伴って記録媒体7が返却されると、送信規制解除手段によって貸出数信号の送信規制が解除される。これにより、価値変換による貯遊技媒体の貸出および補填によって遊技媒体の貸出数が増減してしまう煩雑さを解消できる。
【0114】
なお、第3構成例の遊技媒体貸出装置2-3A1,2-3A2と管理装置3-3が協働することで行う特例貸出処理では、貯遊技媒体の価値が特例貸出動作により貸し出すための遊技媒体数以上確保されていなければ、特例遊技媒体貸出手段2004-3による特例貸出動作を行うことはできない。しかしながら、特賞状態の発生中にパンクの危険があっても、特例貸出を行って遊技を継続できれば十分な遊技媒体を獲得できるのが通常であり、特例貸出分の遊技媒体を補填できない状況となることは極めて希である。そこで、第3構成例の遊技媒体貸出装置2-3A1,2-3A2の改変例として、特例遊技媒体貸出手段2004-3は、遊技客が所持する記録媒体7に記録された特定情報と紐付けされて管理装置3-3の貯遊技媒体管理手段361に管理されている貯遊技媒体を信用情報として確認し、遊技中の遊技機1で使用可能な価値の貯遊技媒体(例えば、弾球遊技機1-3A1で使用可能な価値P1の貯遊技球)が無く、遊技中の遊技機1で使用できない価値の貯遊技媒体(例えば、弾球遊技機1-3A2で使用可能な価値P2の貯遊技球)が有れば貸出可能条件を満たすと判定する。すなわち、この改変例では、特例貸出動作を行って貸し出した遊技媒体を補填できる価値の貯遊技媒体が有るか否かを問わず、貯遊技媒体が有れば、特例貸出の対象とするのである。貯遊技媒体を所持している遊技者は、過去にも当遊技場PPを利用しているのであるから、この改変例では、常連客へのサービスとして、特例貸出分の遊技媒体を担保とすること無く、特例貸出動作を行うことができる。また、この改変例では、貯遊技媒体の価値を変換する必要が無いので、管理装置3-3に遊技媒体価値変換手段363を設ける必要はない。
【0115】
次に、第4構成例の遊技媒体貸出装置2-4と第4構成例の管理装置3-4によって特例貸出を可能にする遊技場管理システムについて、図21を参照して説明する。
【0116】
遊技場には、使用可能な遊技媒体の種類が異なる複数種類の遊技機1が設置されている。例えば、遊技媒体種が遊技球である弾球遊技機1-4Aと、遊技媒体種が遊技メダルである回胴式遊技機1-4Bの2種類が設置されている。そして、弾球遊技機1-4Aに対応させて遊技球を貸し出せる遊技媒体貸出装置2-4Aを接続し、回胴式遊技機1-4Bに対応させて遊技メダルを貸し出せる遊技媒体貸出装置2-4Bを接続する。管理装置3-4は、遊技媒体貸出装置2-4Aおよび遊技媒体貸出装置2-4Bの管理が可能である。
【0117】
遊技媒体貸出装置2-4A,2-4Bは共に、遊技媒体を貸し出すための標準機能に加えて、特例貸出動作を行うための機能を備える。図21では、特例貸出動作を行うための主要な機能を抽出して示してある。遊技媒体貸出手段2001は、少なくとも、遊技客が所持する有価価値を消費して、弾球遊技機1-4Aあるいは回胴式遊技機1-4Bでの遊技に供し得る遊技媒体を貸し出す処理を行う。持ち玉処理手段2002は、遊技客が弾球遊技機1-4Aあるいは回胴式遊技機1-4Bでの遊技進行により獲得した遊技媒体を遊技に供し得る持ち玉として記憶し、持ち玉を減じることで遊技媒体を弾球遊技機1-4Aあるいは回胴式遊技機1-4Bでの遊技に供する処理を行う。記録媒体処理手段2003は、少なくとも、遊技客が所持する記録媒体7に記録された特定情報(例えば、カードID)を読み出す機能を備える。特例遊技媒体貸出手段2004-4は、弾球遊技機1-4Aあるいは回胴式遊技機1-4Bで遊技中の遊技客に紐付いた情報として確認可能な信用情報が所定の貸出可能条件を満たすと共に、予め定めた特例条件が成立することに基づいて、遊技媒体を貸し出す処理を行うものである。なお、特例遊技媒体貸出手段2004-4は、前述した第1~第3構成例の遊技媒体貸出装置2-1~2-3と同様に、貸出可能条件判定機能、特例条件判定機能、特例貸出処理機能を備えているが、後述するように貸出可能条件が異なる。
【0118】
一方、第4構成例の管理装置3-4は、前述した第1~第3構成例の管理装置3-1~3-3と同様の持ち玉管理手段31、預り金管理手段32、動作管理手段33を備える。持ち玉管理手段31は、遊技媒体貸出装置2-4A,2-4Bの持ち玉処理手段2002に記憶された持ち玉を、遊技客が所持する記録媒体7の特定情報と紐付けて記憶する情報管理を行う。預り金管理手段32は、遊技媒体貸出装置2-4A,2-4Bの遊技媒体貸出手段2001が遊技媒体の貸出に使っていない預り金を、遊技客が所持する記録媒体7の特定情報と紐付けて記憶する情報管理を行う。動作管理手段33は、遊技場PP内に設置された諸装置(弾球遊技機1-4A、回胴式遊技機1-4B、遊技媒体貸出装置2-4A,2-4B、管理装置3-4、賞品交換POS4、精算機5など)に対する動作を設定するための設定情報を生成し、対応する装置に対して設定情報を送信することで、当該装置の動作を管理する。
【0119】
さらに、管理装置3-4は、貯遊技媒体管理手段361、再遊技処理手段362、遊技媒体種類変換手段364を備える。貯遊技媒体管理手段361は、遊技客が所持する記録媒体7に記録された特定情報と紐付けられた遊技媒体を預かり、預かった遊技媒体を貯遊技媒体として異なる価値および異なる種類毎に管理する。再遊技処理手段362は、貯遊技媒体管理手段361が管理する貯遊技媒体を、対応する種類の遊技機1(弾球遊技機1-4Aあるいは回胴式遊技機1-4B)での遊技に使用可能とする。遊技媒体種類変換手段364は、貯遊技媒体管理手段361が管理する貯遊技媒体を、異なる種類の遊技機1で使用可能な異なる種類の貯遊技媒体に変換(例えば、回胴式遊技機1-4Bで使用可能な貸単価20円の遊技メダル1枚を弾球遊技機1-4Aで使用可能な貸単価4円の遊技球5個に変換)する。
【0120】
すなわち、管理装置3-4は、遊技客が預けた遊技媒体を翌日以降に引き出して使えるサービス(いわゆる貯玉サービス)を提供できると共に、貯遊技媒体を異なる種類の貯遊技媒体に変換して提供することが可能である。例えば、遊技客の貯遊技媒体が貸単価P1の遊技球のみであった場合、貯遊技媒体を引き出して使えるのは、貸単価P1の弾球遊技機1-4Aに対応する遊技媒体貸出装置2-4Aのみであり、貸単価P3の遊技メダルを使用する回胴式遊技機1-4Bに対応する遊技媒体貸出装置2-4Bでは引き出せないので、遊技客にとっての利便性が悪い。しかしながら、管理装置3-4のように遊技媒体種類変換手段364を備えていれば、貸単価P1の遊技球を貸単価P3の遊技メダルに変換して引き出せるので、貸単価P1の貯遊技媒体しか所持していない遊技客でも、遊技媒体貸出装置2-4Bで貯遊技媒体を引き出し、貸単価P3の回胴式遊技機1-4Bで遊技できる。逆に、貸単価P3の遊技メダルしか所持していない遊技客でも、貸単価P3の遊技メダルを貸単価P1の貯遊技媒体に変換して引き出せるので、遊技媒体貸出装置2-4Aで貯遊技媒体を引き出し、貸単価P1の弾球遊技機1-4Aで遊技できる。ただし、このような異なる種類の貯遊技媒体を相互変換するサービスを提供できる管理装置3-4を備えていても、このようなサービスを採用していない遊技場では、遊技媒体種類変換手段364による遊技媒体種類の相互変換機能を活かすことはできない。しかしながら、遊技客のパンク防止のための特例貸出動作に、遊技媒体種類変換手段364による遊技媒体種類の相互変換機能を限定的に使えば、有用なサービスとなる。
【0121】
上述したように、貯遊技媒体管理手段361、再遊技処理手段362、遊技媒体種類変換手段364を備える管理装置3-4によって、各遊技媒体貸出装置2-4A,2-4Bを管理している場合、貯遊技媒体の種類と遊技中の遊技機1(弾球遊技機1-4Aあるいは回胴式遊技機1-4B)で使える遊技媒体の種類が異なっていても、貯遊技媒体を引き出して再遊技を行える可能性がある。これは、弾球遊技機1-4Aで使用可能な貸単価P1の貯遊技媒体を所持している遊技客は、実質的に回胴式遊技機1-4Bで使用可能な貸単価P3の貯遊技媒体を所持していると看做せる情報となる。そこで、第4構成例の遊技媒体貸出装置2-4A,2-4Bにおける特例遊技媒体貸出手段2004-4は、遊技客が所持する記録媒体7に記録された特定情報と紐付けされて管理装置3-4の貯遊技媒体管理手段361に管理されている貯遊技媒体を信用情報として確認する。
【0122】
更に、遊技媒体貸出装置2-4Aの特例遊技媒体貸出手段2004-4は、対応する弾球遊技機1-4Aで使用可能な種類の貯遊技媒体(例えば、貸単価P1の遊技球)が無く、弾球遊技機1-4Aで使用できない種類の貯遊技媒体(例えば、貸単価P3の遊技メダル)が有り、管理装置3-4の遊技媒体種類変換手段364によって、弾球遊技機1-4Aで使用できない種類の貯遊技媒体(例えば、貸単価P3の遊技メダル)を弾球遊技機1-4Aで使用可能な種類の貯遊技媒体(例えば、貸単価P1の遊技球)に変換できれば貸出可能条件を満たすと判定する。同様に、遊技媒体貸出装置2-4Bの特例遊技媒体貸出手段2004-4は、対応する回胴式遊技機1-4Bの種類で使用可能な種類の貯遊技媒体(例えば、貸単価P3の遊技メダル)が無く、回胴式遊技機1-4Bで使用できない種類の貯遊技媒体(例えば、貸単価P1の遊技球)が有り、管理装置3-4の遊技媒体種類変換手段364によって、回胴式遊技機1-4Bで使用できない種類の貯遊技媒体(例えば、貸単価P1の遊技球)を回胴式遊技機1-4Bで使用可能な種類の貯遊技媒体(例えば、貸単価P3の遊技メダル)に変換できれば貸出可能条件を満たすと判定する。一例として、貸単価4円の遊技球を使える弾球遊技機1-4Aで遊技を行っている最中に、特賞状態が発生し、持ち玉も有価価値も無く、貸単価20円の貯玉(遊技メダル)は有るものの貸単価4円の貯玉(遊技球)がないために貯玉を引き出せない場合、貸出可能条件を満たすと共に、特例条件が成立する。特例条件の成立により、遊技媒体貸出装置2-4Aの特例遊技媒体貸出手段2004-4は、特例貸出動作を行うのであるが、特例貸出のための遊技媒体をどのように取り出すかは特に限定されず、予め特例有価価値や特例遊技媒体を設定しておいても良い。しかしながら、本構成例では、管理装置3-4の貯遊技媒体管理手段361が管理している貯遊技媒体を遊技媒体種類変換手段364により種類変換し、該当する遊技媒体貸出装置2-4A,2-4Bの特例遊技媒体貸出手段2004-4が種類変換した貯遊技媒体の数を減じて遊技媒体を貸し出すことで、特例貸出動作を実現した。
【0123】
第4構成例の遊技媒体貸出装置2-4A,2-4Bと管理装置3-4が協働することで行う特例貸出処理では、特例貸出専用の特例有価価値や特例遊技媒体を事前に設定しておく必要が無く、標準的な会員サービスとして広く採用されている貯遊技媒体を活用して特例貸出動作を行うので、遊技客の利便性を高められる。しかも、遊技客が所持する貯遊技媒体を原資として遊技媒体の特例貸出を行うので、遊技店のリスクを抑えて特例貸出動作を実行できる。なお、特例貸出動作を行った後の遊技結果として遊技客が新たに遊技媒体を獲得した場合、特例遊技媒体貸出手段2004-4は、新たに獲得した遊技媒体数が持ち玉処理手段2002によって持ち玉数に加算されることを規制し、特賞状態中の遊技で獲得した遊技媒体から特例貸出分の遊技媒体数を減じて、遊技媒体種類の変換によって特例貸出に用いた貯遊技媒体を補填しても良い。すなわち、持ち玉処理手段2002は、特例遊技媒体貸出手段2004-4が遊技媒体を貸し出した後の遊技結果として新たに遊技媒体を獲得した場合、獲得した遊技媒体の数のうち特例遊技媒体貸出手段2004-4が貸し出した遊技媒体の数を除いた数を持ち玉として記憶するのである。特例貸出に用いた貯遊技媒体を補填する場合、特例遊技媒体貸出手段2004-4は、特例条件の成立に基づいて遊技媒体を貸し出してから、貸し出した遊技媒体の数と同数の遊技媒体を遊技結果として獲得するまでの間、投入された記録媒体7の返却を規制しても良い。
【0124】
また、第4構成例の遊技媒体貸出装置2-4A,2-4Bは、遊技媒体貸出手段2001および特例遊技媒体貸出手段2004-4が貸し出した遊技媒体の数に係る貸出数信号を管理装置3-4に対して送信する貸出数送信手段としての機能を備える。この貸出数送信手段が、特例遊技媒体貸出手段2004-4により貸し出された遊技媒体の数を貸出数信号として管理装置3-4へ送信してしまうと、遊技媒体種類の変換によって特例貸出に用いた貯遊技媒体を獲得遊技媒体で補填した場合には、管理装置3-4へ送信した貸出数を減ずる処理等が必要になり、煩雑である。そこで、遊技媒体貸出装置2-4A,2-4Bには、送信規制手段と送信規制解除手段とを設けておく。送信規制手段は、特例遊技媒体貸出手段2004-4によって記録媒体7の返却が規制されている間、貸出数送信手段による貸出数信号の送信を規制する。一方、送信規制解除手段は、特例遊技媒体貸出手段2004-4によって記録媒体7の返却規制が解除されて記憶媒体7が返却されたとき、送信規制手段による貸出数信号の送信規制を解除して、貸出数送信手段が貸出数信号を管理装置3-4に対して送信可能にする。すなわち、特例貸出動作のために遊技媒体種類変換された貯遊技媒体分の貸出数が貸出数信号として管理装置3-4へ送信されることを送信規制手段が規制し、特例貸出分の貯遊技媒体が補填されることに伴って記録媒体7が返却されると、送信規制解除手段によって貸出数信号の送信規制が解除される。これにより、遊技媒体種類変換された貯遊技媒体の貸出および補填によって遊技媒体の貸出数が増減してしまう煩雑さを解消できる。
【0125】
なお、第4構成例の遊技媒体貸出装置2-4A,2-4Bと管理装置3-4が協働することで行う特例貸出処理では、異なる種類の貯遊技媒体の価値が特例貸出動作により貸し出すための遊技媒体数以上確保されていなければ、特例遊技媒体貸出手段2004-4による特例貸出動作を行うことはできない。しかしながら、特賞状態の発生中にパンクの危険があっても、特例貸出を行って遊技を継続できれば十分な遊技媒体を獲得できるのが通常であり、特例貸出分の遊技媒体を補填できない状況となることは極めて希である。そこで、第4構成例の遊技媒体貸出装置2-4A,2-4Bの改変例として、特例遊技媒体貸出手段2004-4は、遊技客が所持する記録媒体7に記録された特定情報と紐付けされて管理装置3-4の貯遊技媒体管理手段361に管理されている貯遊技媒体を信用情報として確認し、遊技中の遊技機1で使用可能な種類の貯遊技媒体(例えば、弾球遊技機1-4Aで使用可能な貸単価4円の貯遊技球)が無く、遊技中の遊技機1で使用できない種類の貯遊技媒体(例えば、回胴式遊技機1-4Bで使用可能な貸単価20円の貯遊技メダル)が有れば貸出可能条件を満たすと判定する。すなわち、この改変例では、特例貸出動作を行って貸し出した遊技媒体の価値を補填できる価値が、異なる種類の貯遊技媒体に有るか否かを問わず、異なる種類の貯遊技媒体が有れば、特例貸出の対象とするのである。貯遊技媒体を所持している遊技者は、過去にも当遊技場PPを利用しているのであるから、この改変例では、常連客へのサービスとして、特例貸出分の遊技媒体を担保とすること無く、特例貸出動作を行うことができる。また、この改変例では、貯遊技媒体の価値を変換する必要が無いので、管理装置3-4に遊技媒体種類変換手段364を設ける必要はない。
【0126】
次に、第5構成例の遊技媒体貸出装置2-5と第5構成例の管理装置3-5によって特例貸出を可能にする遊技場管理システムについて、図22を参照して説明する。
【0127】
遊技場には、使用可能な遊技媒体の種類が異なる複数種類の遊技機1が設置されている。例えば、遊技媒体種が遊技球である弾球遊技機1-5Aと、遊技媒体種が遊技メダルである回胴式遊技機1-5Bの2種類が設置されている。そして、弾球遊技機1-5Aに対応させて遊技球を貸し出せる遊技媒体貸出装置2-5Aを接続し、回胴式遊技機1-5Bに対応させて遊技メダルを貸し出せる遊技媒体貸出装置2-5Bを接続する。管理装置3-5は、遊技媒体貸出装置2-5Aおよび遊技媒体貸出装置2-5Bの管理が可能である。さらに、弾球遊技機1-5Aあるいは回胴式遊技機1-5Bで遊技中の遊技客が所持する携帯端末装置8は、遊技媒体貸出装置2-5A,2-5Bと通信可能である。
【0128】
遊技媒体貸出装置2-5A,2-5Bは共に、遊技媒体を貸し出すための標準機能に加えて、特例貸出動作を行うための機能を備える。図22では、特例貸出動作を行うための主要な機能を抽出して示してある。遊技媒体貸出手段2001は、少なくとも、遊技客が所持する有価価値を消費して、弾球遊技機1-5Aあるいは回胴式遊技機1-5Bでの遊技に供し得る遊技媒体を貸し出す処理を行う。持ち玉処理手段2002は、遊技客が弾球遊技機1-5Aあるいは回胴式遊技機1-5Bでの遊技進行により獲得した遊技媒体を遊技に供し得る持ち玉として記憶し、持ち玉を減じることで遊技媒体を弾球遊技機1-5Aあるいは回胴式遊技機1-5Bでの遊技に供する処理を行う。記録媒体処理手段2003は、少なくとも、遊技客が所持する記録媒体7に記録された特定情報(例えば、カードID)を読み出す機能を備える。特例遊技媒体貸出手段2004-5は、弾球遊技機1-5Aあるいは回胴式遊技機1-5Bで遊技中の遊技客に紐付いた情報として確認可能な信用情報が所定の貸出可能条件を満たすと共に、予め定めた特例条件が成立することに基づいて、遊技媒体を貸し出す処理を行うものである。なお、特例遊技媒体貸出手段2004-5は、前述した第1~第4構成例の遊技媒体貸出装置2-1~2-4と同様に、貸出可能条件判定機能、特例条件判定機能、特例貸出処理機能を備えているが、後述するように貸出可能条件が異なる。さらに、遊技媒体貸出装置2-5A,2-5Bは、遊技客が所持する携帯端末装置8と通信可能な携帯端末装置用通信手段2005を備える。
【0129】
遊技客が所持する携帯端末装置8は、携帯端末装置用通信手段2005を介して遊技媒体貸出装置2-5A,2-5Bと通信可能となるので、遊技に関連する参照データを携帯端末装置8に表示させるサービスや、遊技媒体の貸出に関連する設定を遊技客が携帯端末装置8で行えるサービス等を提供できる。なお、携帯端末装置8は、遊技客が個人的に所有しているスマートフォンやタブレット端末などの通信機器でも良いし、遊技客の来店時に遊技店が貸し出す通信機能を備えた端末装置でも良い。また、遊技媒体貸出装置2-5A,2-5Bと携帯端末装置8が無線通信を行う場合、遊技客が遊技中の弾球遊技機1-5Aあるいは回胴式遊技機1-5Bと対応していない遊技媒体貸出装置2-5A,2-5Bと携帯端末装置8が誤接続してしまう可能性があるので、遊技媒体貸出装置2-5A,2-5Bと携帯端末装置8との標準的な離隔距離に応じた近距離無線通信を使用することが望ましい。或いは、遊技媒体貸出装置2-5A,2-5Bに接続端子付きの端末載置部を設けたり、有線接続用のケーブルを設けたりして、遊技媒体貸出装置2-5A,2-5Bと携帯端末装置8を直接接続する通信方式としても構わない。また、携帯端末装置用通信手段2005は、通信開始時に行う携帯端末装置8との相互認証によって固有情報(例えば、機器のシリアル番号や割り当てられた電話番号など)を取得し、以降はこの固有情報を用いて接続対象の携帯端末装置8を特定する。
【0130】
上記のように、遊技媒体貸出装置2-5A,2-5Bと通信可能な携帯端末装置8は、弾球遊技機1-5Aあるいは回胴式遊技機1-5Bでの遊技に供し得る遊技媒体を貸し出すために消費できる特例有価価値を記憶する特例有価価値記憶手段81を備える。この特例有価価値記憶手段81は、例えば、携帯端末装置8が最初に遊技媒体貸出装置2-5A,2-5Bと通信接続するタイミングで、遊技媒体貸出装置2-5A,2-5Bから特例有価価値設定の要求を行い、これを受け入れることで生成される。或いは、遊技店や遊技媒体貸出用カードの発行会社等が提供するアプリをインストールすることで、携帯端末装置8に特例有価価値記憶手段81が生成される。なお、遊技店が貸し出す通信機能を備えた端末装置の場合は、特例有価価値記憶手段81を標準的に設けておいても良い。この特例有価価値記憶手段81に記憶しておく特例有価価値は、遊技客が所持する記録媒体7に紐付けられた有価価値の一部を特例有価価値に充てても良いし、遊技媒体貸出装置2-5A,2-5Bに紙幣を投入して特例有価価値分をチャージする方法でも構わない。そのほか、遊技客が遊技店に預けている貯遊技媒体を特例有価価値に充てても良いし、携帯端末装置8にて管理している電子マネー等を使って特例有価価値を購入する方法でも良い。
【0131】
一方、第5構成例の管理装置3-5は、前述した第1~第4構成例の管理装置3-1~3-4と同様の持ち玉管理手段31、預り金管理手段32、動作管理手段33を備える。持ち玉管理手段31は、遊技媒体貸出装置2-5A,2-5Bの持ち玉処理手段2002に記憶された持ち玉を、遊技客が所持する記録媒体7の特定情報と紐付けて記憶する情報管理を行う。預り金管理手段32は、遊技媒体貸出装置2-5A,2-5Bの遊技媒体貸出手段2001が遊技媒体の貸出に使っていない預り金を、遊技客が所持する記録媒体7の特定情報と紐付けて記憶する情報管理を行う。動作管理手段33は、遊技場PP内に設置された諸装置(弾球遊技機1-5A、回胴式遊技機1-5B、遊技媒体貸出装置2-5A,2-5B、管理装置3-5、賞品交換POS4、精算機5など)に対する動作を設定するための設定情報を生成し、対応する装置に対して設定情報を送信することで、当該装置の動作を管理する。
【0132】
さらに、管理装置3-5は、貯遊技媒体管理手段361、再遊技処理手段362、特例有価価値管理手段365を備える。貯遊技媒体管理手段361は、遊技客が所持する記録媒体7に記録された特定情報と紐付けられた遊技媒体を預かり、預かった遊技媒体を貯遊技媒体として異なる価値および異なる種類毎に管理する。再遊技処理手段362は、貯遊技媒体管理手段361が管理する貯遊技媒体を、対応する種類の遊技機1(弾球遊技機1-5Aあるいは回胴式遊技機1-5B)での遊技に使用可能とする。特例有価価値管理手段365は、遊技客が所持する携帯端末装置8の固有情報と紐付けて、携帯端末装置8の特例有価価値記憶手段81に記憶された特例有価価値を管理する。このように、携帯端末装置8の特例有価価値記憶手段81に記憶された特例有価価値を管理装置3-5においても管理していれば、携帯端末装置8でのデータ書き換えなどの不正を防止できると共に、不意のデータ消失などに起因して特例有価価値記憶手段81がクリアされた場合でも特例有価価値記憶手段81の復元ができ、信頼性を高めることができる。
【0133】
そして、遊技媒体貸出装置2-5A,2-5Bにおける特例遊技媒体貸出手段2004-5は、通信中の携帯端末装置8の特例有価価値記憶手段81に記憶された特例有価価値を消費して遊技媒体を貸し出すことができる。すなわち、特例遊技媒体貸出手段2004-5は、携帯端末装置用通信手段2005により通信中の携帯端末装置8の特例有価価値記憶手段81に記憶された特例有価価値を信用情報として確認し、弾球遊技機1-5Aあるいは回胴式遊技機1-5Bでの遊技に供し得る遊技媒体を貸し出すために特例有価価値を消費可能であれば貸出可能条件を満たすと判定するので、特例条件の成立により特例貸出動作を実行できる。
【0134】
第5構成例の遊技媒体貸出装置2-5A,2-5Bと携帯端末装置8が協働することで行う特例貸出処理では、遊技客が所持する携帯端末装置8に特例貸出専用の特例有価価値を事前に設定しておけるので、遊技客の利便性を高められる。しかも、遊技客が所持する携帯端末装置8に記憶された特例有価価値を原資として遊技媒体の特例貸出を行うので、遊技店のリスクを抑えて特例貸出動作を実行できる。なお、特例貸出動作を行った後の遊技結果として遊技客が新たに遊技媒体を獲得した場合、特例遊技媒体貸出手段2004-5は、新たに獲得した遊技媒体数が持ち玉処理手段2002によって持ち玉数に加算されることを規制し、特賞状態中の遊技で獲得した遊技媒体から特例貸出分の遊技媒体数を減じて、特例貸出に用いた特例有価価値を補填しても良い。すなわち、持ち玉処理手段2002は、特例遊技媒体貸出手段2004-5が遊技媒体を貸し出した後の遊技結果として新たに遊技媒体を獲得した場合、獲得した遊技媒体の数のうち特例遊技媒体貸出手段2004-5が貸し出した遊技媒体の数を除いた数を持ち玉として記憶するのである。特例貸出に用いた貯遊技媒体を補填する場合、特例遊技媒体貸出手段2004-5は、特例条件の成立に基づいて遊技媒体を貸し出してから、貸し出した遊技媒体の数と同数の遊技媒体を遊技結果として獲得するまでの間、投入された記録媒体7の返却を規制しても良い。
【0135】
また、第5構成例の遊技媒体貸出装置2-5A,2-5Bは、遊技媒体貸出手段2001および特例遊技媒体貸出手段2004-5が貸し出した遊技媒体の数に係る貸出数信号を管理装置3-5に対して送信する貸出数送信手段としての機能を備える。この貸出数送信手段が、特例遊技媒体貸出手段2004-5により貸し出された遊技媒体の数を貸出数信号として管理装置3-5へ送信してしまうと、特例貸出に用いた特例有価価値(携帯端末装置8の特例有価価値記憶手段81に記憶された特例有価価値)を獲得遊技媒体で補填した場合には、管理装置3-5へ送信した貸出数を減ずる処理等が必要になり、煩雑である。そこで、遊技媒体貸出装置2-5A,2-5Bには、送信規制手段と送信規制解除手段とを設けておく。送信規制手段は、特例遊技媒体貸出手段2004-5によって記録媒体7の返却が規制されている間、貸出数送信手段による貸出数信号の送信を規制する。一方、送信規制解除手段は、特例遊技媒体貸出手段2004-5によって記録媒体7の返却規制が解除されて記憶媒体7が返却されたとき、送信規制手段による貸出数信号の送信規制を解除して、貸出数送信手段が貸出数信号を管理装置3-5に対して送信可能にする。すなわち、特例貸出動作のために消費した特例有価価値(携帯端末装置8の特例有価価値記憶手段81に記憶された特例有価価値)分の貸出数が貸出数信号として管理装置3-5へ送信されることを送信規制手段が規制し、消費分の特例有価価値が補填されることに伴って記録媒体7が返却されると、送信規制解除手段によって貸出数信号の送信規制が解除される。これにより、特例有価価値の消費および補填によって遊技媒体の貸出数が増減してしまう煩雑さを解消できる。
【0136】
なお、第5構成例の遊技媒体貸出装置2-5A,2-5Bと携帯端末装置8が協働することで行う特例貸出処理では、特例貸出動作により貸し出すための特例有価価値が携帯端末装置8の特例有価価値記憶手段81に確保されていなければ、特例遊技媒体貸出手段2004-5による特例貸出動作を行うことはできない。しかしながら、特賞状態の発生中にパンクの危険があっても、特例貸出を行って遊技を継続できれば十分な遊技媒体を獲得できるのが通常であり、特例貸出分の遊技媒体を補填できない状況となることは極めて希である。そこで、第5構成例の遊技媒体貸出装置2-5A,2-5Bの改変例として、特例遊技媒体貸出手段2004-5は、携帯端末装置用通信手段2005との相互認証によって取得した携帯端末装置8の固有情報を信用情報として確認し、固有情報の携帯端末装置8と通信中であれば貸出可能条件を満たすと判定する。すなわち、この改変例では、携帯端末装置8を使って遊技媒体貸出装置2-5A,2-5Bと通信接続している常連客へのサービスとして、特例貸出分の特例有価価値を担保とすること無く、特例貸出動作を行うことができる。
【0137】
次に、第6構成例の遊技媒体貸出装置2-6と第6構成例の管理装置3-6によって特例貸出を可能にする遊技場管理システムについて、図23を参照して説明する。
【0138】
遊技場には、使用可能な遊技媒体の種類が異なる複数種類の遊技機1が設置されている。例えば、遊技媒体種が遊技球である弾球遊技機1-6Aと、遊技媒体種が遊技メダルである回胴式遊技機1-6Bの2種類が設置されている。そして、弾球遊技機1-6Aに対応させて遊技球を貸し出せる遊技媒体貸出装置2-6Aを接続し、回胴式遊技機1-6Bに対応させて遊技メダルを貸し出せる遊技媒体貸出装置2-6Bを接続する。管理装置3-6は、遊技媒体貸出装置2-6Aおよび遊技媒体貸出装置2-6Bの管理が可能である。
【0139】
遊技媒体貸出装置2-6A,2-6Bは共に、遊技媒体を貸し出すための標準機能に加えて、特例貸出動作を行うための機能を備える。図23では、特例貸出動作を行うための主要な機能を抽出して示してある。遊技媒体貸出手段2001は、少なくとも、遊技客が所持する有価価値を消費して、弾球遊技機1-6Aあるいは回胴式遊技機1-6Bでの遊技に供し得る遊技媒体を貸し出す処理を行う。持ち玉処理手段2002は、遊技客が弾球遊技機1-6Aあるいは回胴式遊技機1-6Bでの遊技進行により獲得した遊技媒体を遊技に供し得る持ち玉として記憶し、持ち玉を減じることで遊技媒体を弾球遊技機1-6Aあるいは回胴式遊技機1-6Bでの遊技に供する処理を行う。記録媒体処理手段2003は、少なくとも、遊技客が所持する記録媒体7に記録された特定情報(例えば、カードID)を読み出す機能を備える。この特定情報は、遊技店の会員管理(後に詳述)にも利用する。特例遊技媒体貸出手段2004-6は、弾球遊技機1-6Aあるいは回胴式遊技機1-6Bで遊技中の遊技客に紐付いた情報として確認可能な信用情報が所定の貸出可能条件を満たすと共に、予め定めた特例条件が成立することに基づいて、遊技媒体を貸し出す処理を行うものである。なお、特例遊技媒体貸出手段2004-6は、前述した第1~第5構成例の遊技媒体貸出装置2-1~2-5と同様に、貸出可能条件判定機能、特例条件判定機能、特例貸出処理機能を備えているが、後述するように貸出可能条件が異なる。
【0140】
一方、第6構成例の管理装置3-6は、前述した第1~第5構成例の管理装置3-1~3-5と同様の持ち玉管理手段31、預り金管理手段32、動作管理手段33を備える。持ち玉管理手段31は、遊技媒体貸出装置2-6A,2-6Bの持ち玉処理手段2002に記憶された持ち玉を、遊技客が所持する記録媒体7の特定情報と紐付けて記憶する情報管理を行う。預り金管理手段32は、遊技媒体貸出装置2-6A,2-6Bの遊技媒体貸出手段2001が遊技媒体の貸出に使っていない預り金を、遊技客が所持する記録媒体7の特定情報と紐付けて記憶する情報管理を行う。動作管理手段33は、遊技場PP内に設置された諸装置(弾球遊技機1-6A,回胴式遊技機1-6B、遊技媒体貸出装置2-6A,2-6B、管理装置3-6、賞品交換POS4、精算機5など)に対する動作を設定するための設定情報を生成し、対応する装置に対して設定情報を送信することで、当該装置の動作を管理する。
【0141】
さらに、管理装置3-6は、貯遊技媒体管理手段361、再遊技処理手段362、会員管理手段366を備える。貯遊技媒体管理手段361は、遊技客が所持する記録媒体7に記録された特定情報と紐付けられた遊技媒体を預かり、預かった遊技媒体を貯遊技媒体として異なる価値および異なる種類毎に管理する。再遊技処理手段362は、貯遊技媒体管理手段361が管理する貯遊技媒体を、対応する種類の遊技機1(弾球遊技機1-6Aあるいは回胴式遊技機1-6B)での遊技に使用可能とする。会員管理手段366は、遊技客が所持する記録媒体7の特定情報と紐付けた遊技客個人に関する会員情報を管理する。会員登録に際しては、身元確認のために身分証明書(例えば、免許証、健康保険証、パスポートなど)を提示して貰うので、会員管理手段366による管理対象となっている会員は、身元が保証されているとみなせる。なお、会員登録された遊技客に対しては、預かった貯遊技媒体を翌日以降に引き出して再遊技できる貯玉サービス、系列店での優待サービス、利用金額に応じて景品交換等に使えるポイントが貯まるポイントサービスなどを受けられるメリットがある。
【0142】
そして、特例遊技媒体貸出手段2004-6は、遊技客が所持する記録媒体7に記録された特定情報と紐付けされた会員情報を信用情報として確認し、遊技客の会員情報が会員管理手段366に管理されていれば貸出可能条件を満たすと判定するので、特例条件の成立により特例貸出動作を実行できる。すなわち、第6構成例の遊技媒体貸出装置2-6A,2-6Bと管理装置3-6が協働することで行う特例貸出処理では、会員サービスの一つとして、特例貸出分の特例有価価値や特例遊技媒体等を担保とすること無く、特例貸出動作を行うことができる。
【0143】
第6構成例の遊技媒体貸出装置2-6A,2-6Bと管理装置3-6が協働することで行う特例貸出処理では、遊技客が会員登録されていれば、特例条件の成立時に特例貸出を受けて特賞状態での遊技を継続できるので、遊技客の利便性を高められる。なお、特例貸出動作を行った後の遊技結果として遊技客が新たに遊技媒体を獲得した場合、特例遊技媒体貸出手段2004-6は、新たに獲得した遊技媒体数が持ち玉処理手段2002によって持ち玉数に加算されることを規制し、特賞状態中の遊技で獲得した遊技媒体から特例貸出分の遊技媒体数を減じて、特例貸出に用いた遊技媒体数分を補填しても良い。すなわち、持ち玉処理手段2002は、特例遊技媒体貸出手段2004-6が遊技媒体を貸し出した後の遊技結果として新たに遊技媒体を獲得した場合、獲得した遊技媒体の数のうち特例遊技媒体貸出手段2004-6が貸し出した遊技媒体の数を除いた数を持ち玉として記憶するのである。特例貸出に用いた遊技媒体を補填する場合、特例遊技媒体貸出手段2004-6は、特例条件の成立に基づいて遊技媒体を貸し出してから、貸し出した遊技媒体の数と同数の遊技媒体を遊技結果として獲得するまでの間、投入された記録媒体7の返却を規制しても良い。
【0144】
また、第6構成例の遊技媒体貸出装置2-6A,2-6Bは、遊技媒体貸出手段2001および特例遊技媒体貸出手段2004-6が貸し出した遊技媒体の数に係る貸出数信号を管理装置3-6に対して送信する貸出数送信手段としての機能を備える。この貸出数送信手段が、特例遊技媒体貸出手段2004-6により貸し出された遊技媒体の数を貸出数信号として管理装置3-6へ送信してしまうと、特例貸出に用いた遊技媒体の数を獲得遊技媒体で補填した場合には、管理装置3-6へ送信した貸出数を減ずる処理等が必要になり、煩雑である。そこで、遊技媒体貸出装置2-6A,2-6Bには、送信規制手段と送信規制解除手段とを設けておく。送信規制手段は、特例遊技媒体貸出手段2004-6によって記録媒体7の返却が規制されている間、貸出数送信手段による貸出数信号の送信を規制する。一方、送信規制解除手段は、特例遊技媒体貸出手段2004-6によって記録媒体7の返却規制が解除されて記憶媒体7が返却されたとき、送信規制手段による貸出数信号の送信規制を解除して、貸出数送信手段が貸出数信号を管理装置3-6に対して送信可能にする。すなわち、特例貸出による遊技媒体の貸出数が貸出数信号として管理装置3-6へ送信されることを送信規制手段が規制し、貸出分の遊技媒体が補填されることに伴って記録媒体7が返却されると、送信規制解除手段によって貸出数信号の送信規制が解除される。これにより、特例貸出動作による遊技媒体の貸出および補填によって遊技媒体の貸出数が増減してしまう煩雑さを解消できる。
【0145】
次に、第7構成例の遊技媒体貸出装置2-7と第7構成例の管理装置3-7によって特例貸出を可能にする遊技場管理システムについて、図24を参照して説明する。
【0146】
遊技場には、使用可能な遊技媒体の種類が異なる複数種類の遊技機1が設置されている。例えば、遊技媒体種が遊技球である弾球遊技機1-7Aと、遊技媒体種が遊技メダルである回胴式遊技機1-7Bの2種類が設置されている。そして、弾球遊技機1-7Aに対応させて遊技球を貸し出せる遊技媒体貸出装置2-7Aを接続し、回胴式遊技機1-7Bに対応させて遊技メダルを貸し出せる遊技媒体貸出装置2-7Bを接続する。管理装置3-7は、遊技媒体貸出装置2-7Aおよび遊技媒体貸出装置2-7Bの管理が可能である。
【0147】
遊技媒体貸出装置2-7A,2-7Bは共に、遊技媒体を貸し出すための標準機能に加えて、特例貸出動作を行うための機能を備える。図24では、特例貸出動作を行うための主要な機能を抽出して示してある。遊技媒体貸出手段2001は、少なくとも、遊技客が所持する有価価値を消費して、弾球遊技機1-7Aあるいは回胴式遊技機1-7Bでの遊技に供し得る遊技媒体を貸し出す処理を行う。持ち玉処理手段2002は、遊技客が弾球遊技機1-7Aあるいは回胴式遊技機1-7Bでの遊技進行により獲得した遊技媒体を遊技に供し得る持ち玉として記憶し、持ち玉を減じることで遊技媒体を弾球遊技機1-7Aあるいは回胴式遊技機1-7Bでの遊技に供する処理を行う。記録媒体処理手段2003は、少なくとも、遊技客が所持する記録媒体7に記録された特定情報(例えば、カードID)を読み出す機能を備える。この特定情報は、自己申告プログラム(後に詳述)による利用制限対象者に紐付けて利用する。特例遊技媒体貸出手段2004-7は、弾球遊技機1-7Aあるいは回胴式遊技機1-7Bで遊技中の遊技客に紐付いた情報として確認可能な信用情報が所定の貸出可能条件を満たすと共に、予め定めた特例条件が成立することに基づいて、遊技媒体を貸し出す処理を行うものである。なお、特例遊技媒体貸出手段2004-7は、前述した第1~第6構成例の遊技媒体貸出装置2-1~2-6と同様に、貸出可能条件判定機能、特例条件判定機能、特例貸出処理機能を備えているが、後述するように貸出可能条件が異なる。
【0148】
一方、第7構成例の管理装置3-7は、前述した第1~第6構成例の管理装置3-1~3-6と同様の持ち玉管理手段31、預り金管理手段32、動作管理手段33を備える。持ち玉管理手段31は、遊技媒体貸出装置2-7A,2-7Bの持ち玉処理手段2002に記憶された持ち玉を、遊技客が所持する記録媒体7の特定情報と紐付けて記憶する情報管理を行う。預り金管理手段32は、遊技媒体貸出装置2-7A,2-7Bの遊技媒体貸出手段2001が遊技媒体の貸出に使っていない預り金を、遊技客が所持する記録媒体7の特定情報と紐付けて記憶する情報管理を行う。動作管理手段33は、遊技場PP内に設置された諸装置(弾球遊技機1-7A、回動式遊技機1-7B、遊技媒体貸出装置2-7A,2-7B、管理装置3-7、賞品交換POS4、精算機5など)に対する動作を設定するための設定情報を生成し、対応する装置に対して設定情報を送信することで、当該装置の動作を管理する。
【0149】
さらに、管理装置3-7は、貯遊技媒体管理手段361、再遊技処理手段362、利用制限情報管理手段367を備える。貯遊技媒体管理手段361は、遊技客が所持する記録媒体7に記録された特定情報と紐付けられた遊技媒体を預かり、預かった遊技媒体を貯遊技媒体として異なる価値および異なる種類毎に管理する。再遊技処理手段362は、貯遊技媒体管理手段361が管理する貯遊技媒体を、対応する種類の遊技機1(弾球遊技機1-7Aあるいは回胴式遊技機1-7B)での遊技に使用可能とする。利用制限情報管理手段367は、遊技客が所持する記録媒体7の特定情報と紐付けた当該遊技客の遊技場利用制限に関する利用制限情報を管理する。利用制限情報とは、ギャンブル等依存症対策のために遊技客本人が遊技店の利用制限を申し込む自己申告プログラムの運用を行うための諸情報であり、例えば、1回に使用する上限金額、1ヶ月間に来店できる上限回数、1回の来店で遊技できる上限時間などである。
【0150】
そして、特例遊技媒体貸出手段2004-7は、遊技客が所持する記録媒体7に記録された特定情報と紐付けされた利用制限情報を信用情報として確認し、当該遊技客の利用制限情報が利用制限情報管理手段367に管理されていれば貸出可能条件を満たすと判定するので、特例条件の成立により特例貸出動作を実行できる。すなわち、第7構成例の遊技媒体貸出装置2-7A,2-7Bと管理装置3-7が協働することで行う特例貸出処理では、自己申告プログラムを運用中の遊技客に対するサービスとして、特例貸出分の特例有価価値や特例遊技媒体等を担保とすること無く、特例貸出動作を行うことができる。
【0151】
第7構成例の遊技媒体貸出装置2-7A,2-7Bと管理装置3-7が協働することで行う特例貸出処理では、遊技客が自己申告プログラムの対象者であれば、特例条件の成立時に特例貸出を受けて特賞状態での遊技を継続できるので、遊技客の利便性を高められる。なお、特例貸出動作を行った後の遊技結果として遊技客が新たに遊技媒体を獲得した場合、特例遊技媒体貸出手段2004-7は、新たに獲得した遊技媒体数が持ち玉処理手段2002によって持ち玉数に加算されることを規制し、特賞状態中の遊技で獲得した遊技媒体から特例貸出分の遊技媒体数を減じて、特例貸出に用いた遊技媒体数分を補填しても良い。すなわち、持ち玉処理手段2002は、特例遊技媒体貸出手段2004-7が遊技媒体を貸し出した後の遊技結果として新たに遊技媒体を獲得した場合、獲得した遊技媒体の数のうち特例遊技媒体貸出手段2004-7が貸し出した遊技媒体の数を除いた数を持ち玉として記憶するのである。特例貸出に用いた遊技媒体を補填する場合、特例遊技媒体貸出手段2004-7は、特例条件の成立に基づいて遊技媒体を貸し出してから、貸し出した遊技媒体の数と同数の遊技媒体を遊技結果として獲得するまでの間、投入された記録媒体7の返却を規制しても良い。
【0152】
また、第7構成例の遊技媒体貸出装置2-7A,2-7Bは、遊技媒体貸出手段2001および特例遊技媒体貸出手段2004-7が貸し出した遊技媒体の数に係る貸出数信号を管理装置3-7に対して送信する貸出数送信手段としての機能を備える。この貸出数送信手段が、特例遊技媒体貸出手段2004-7により貸し出された遊技媒体の数を貸出数信号として管理装置3-7へ送信してしまうと、特例貸出に用いた遊技媒体の数を獲得遊技媒体で補填した場合には、管理装置3-7へ送信した貸出数を減ずる処理等が必要になり、煩雑である。そこで、遊技媒体貸出装置2-7A,2-7Bには、送信規制手段と送信規制解除手段とを設けておく。送信規制手段は、特例遊技媒体貸出手段2004-7によって記録媒体7の返却が規制されている間、貸出数送信手段による貸出数信号の送信を規制する。一方、送信規制解除手段は、特例遊技媒体貸出手段2004-7によって記録媒体7の返却規制が解除されて記憶媒体7が返却されたとき、送信規制手段による貸出数信号の送信規制を解除して、貸出数送信手段が貸出数信号を管理装置3-7に対して送信可能にする。すなわち、特例貸出による遊技媒体の貸出数が貸出数信号として管理装置3-7へ送信されることを送信規制手段が規制し、貸出分の遊技媒体が補填されることに伴って記録媒体7が返却されると、送信規制解除手段によって貸出数信号の送信規制が解除される。これにより、特例貸出動作による遊技媒体の貸出および補填によって遊技媒体の貸出数が増減してしまう煩雑さを解消できる。
【0153】
以上、本発明に係る遊技場管理システムを実施形態に基づき説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない限りにおいて実現可能な全ての遊技場管理システムを権利範囲として包摂するものである。
【符号の説明】
【0154】
1 遊技機
2 遊技媒体貸出装置
22 表示操作部
201 制御部
202 記録部
203 紙幣識別部
204 カード処理部
207 外部通信部
208 遊技機通信部
3 管理装置
31 持ち玉管理手段
32 預り金管理手段
33 動作管理手段
34 特例有価価値管理手段
6 場内ネットワーク
PP 遊技場
図1
図2
図3
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図23
図24