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特開2023-163255レンズ駆動装置およびこれを備えたレンズ鏡筒、カメラ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163255
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】レンズ駆動装置およびこれを備えたレンズ鏡筒、カメラ
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20231102BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20231102BHJP
【FI】
G02B7/04 D
G02B7/04 E
G03B17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074017
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】鮎川 修平
(72)【発明者】
【氏名】梅田 真
【テーマコード(参考)】
2H044
2H100
【Fターム(参考)】
2H044BD11
2H044BD16
2H044BD20
2H044BE01
2H100BB06
2H100BB11
(57)【要約】
【課題】レンズ鏡筒が大型化することなく、レンズ駆動枠のガタを抑制することが可能なレンズ駆動装置およびこれを備えたレンズ鏡筒、カメラを提供する。
【解決手段】レンズ駆動装置は、ボイスコイルモータ20、フォーカスレンズユニット13、主軸15a、挿入孔13ba、ネジ30を備える。主軸15aは、光軸方向において移動するフォーカスレンズユニット13を案内する。挿入孔13baは、フォーカスレンズユニット13に設けられ、主軸15aが挿入される。ネジ30は、フォーカスレンズユニット13に設けられ、ボイスコイルモータ20のマグネット22の磁力によってフォーカスレンズユニット13とともに所定の方向へ引き付けられることで、挿入孔13baと主軸15aとの間に生じるガタを抑制する。ボイスコイルモータ20は、フォーカスレンズユニット13におけるネジ30が設けられた位置よりも鉛直方向における下方に配置されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネットと、前記マグネットに対して相対移動可能な状態で配置される電磁コイルとを有する電磁駆動機構と、
レンズを保持しており、前記電磁コイルが装着され、前記電磁駆動機構によって前記レンズの光軸方向に沿って前後に駆動されるレンズ駆動枠と、
前記レンズの光軸方向に沿って配置されており、前記光軸方向において移動する前記レンズ駆動枠を案内する第1ガイド軸と、
前記レンズ駆動枠に設けられており、前記第1ガイド軸が挿入される第1軸支持部と、
前記レンズ駆動枠に設けられており、前記マグネットの磁力によって前記レンズ駆動枠とともに所定の方向へ引き付けられることで、前記第1軸支持部と前記第1ガイド軸との間に生じる前記レンズ駆動枠のガタを抑制する磁性体と、
を備え、
前記電磁駆動機構は、前記レンズ駆動枠における前記磁性体が設けられた位置よりも鉛直方向における下方に配置されている、
レンズ駆動装置。
【請求項2】
前記レンズの光軸方向に沿って配置されており、前記光軸方向において前記レンズ駆動枠を案内する第2ガイド軸と、
前記レンズ駆動枠に形成され、前記第2ガイド軸が挿入される第2軸支持部と、
をさらに備えている、
請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記電磁駆動機構は、前記レンズ駆動枠における前記第1軸支持部と前記第2軸支持部とを結ぶ直線よりも下方に配置されている、
請求項2に記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
前記電磁駆動機構に接続されており前記電磁コイルへ電力を供給するフレキシブルプリント基板を、さらに備えている、
請求項1から3のいずれか1項に記載のレンズ駆動装置。
【請求項5】
前記フレキシブルプリント基板は、前記第1ガイド軸を挟み込むように前記電磁駆動機構の反対側へ配置されており、前記レンズ駆動枠に対して、前記レンズの光軸を中心とする径方向内側に向かって付勢力を付与し、
前記付勢力を受けた前記レンズ駆動枠は、鉛直方向に略平行であって、前記第1ガイド軸を中心にした円の接線方向に向かって付勢される、
請求項4に記載のレンズ駆動装置。
【請求項6】
前記電磁駆動機構は、前記レンズ駆動枠に保持された駆動コイルと、前記駆動コイルに鎖交磁界を印加する駆動マグネットと、を有している、
請求項1から3のいずれか1項に記載のレンズ駆動装置。
【請求項7】
前記磁性体は、前記電磁駆動機構との間の距離を調整する調整機構を有している、
請求項1から3のいずれか1項に記載のレンズ駆動装置。
【請求項8】
前記磁性体は、前記レンズ駆動枠に螺合するネジである、
請求項1から3のいずれか1項に記載のレンズ駆動装置。
【請求項9】
前記磁性体は、前記ネジと、前記レンズ駆動枠と前記ネジとの間に固定される座金とを含む、
請求項8に記載のレンズ駆動装置。
【請求項10】
マグネットと、前記マグネットに対して相対移動可能な状態で配置される電磁コイルとを有する電磁駆動機構と、
レンズを保持しており、前記電磁コイルが装着され、前記電磁駆動機構によって前記レンズの光軸方向に沿って前後に駆動されるレンズ駆動枠と、
前記レンズの光軸方向に沿って配置されており、前記光軸方向において移動する前記レンズ駆動枠を案内する第1ガイド軸と、
前記レンズ駆動枠に設けられており、前記第1ガイド軸が挿入される第1軸支持部と、
前記電磁駆動機構に接続されており前記電磁コイルへ電力を供給するとともに、前記第1ガイド軸を挟み込むように前記電磁駆動機構の反対側へ配置されており、前記レンズ駆動枠に対して、前記レンズの光軸を中心とする径方向内側に向かって付勢力を付与するフレキシブルプリント基板と、
を備え、
前記付勢力を受けた前記レンズ駆動枠は、鉛直方向に略平行であって、前記第1ガイド軸を中心にした円の接線方向に向かって鉛直方向下向きに付勢される、
レンズ駆動装置。
【請求項11】
前記レンズ駆動枠に設けられており、前記マグネットの磁力によって前記レンズ駆動枠とともに所定の方向へ引き付けられることで、前記第1軸支持部と前記第1ガイド軸との間に生じる前記レンズ駆動枠のガタを抑制する磁性体を、さらに備えている、
請求項10に記載のレンズ駆動装置。
【請求項12】
請求項1または10に記載のレンズ駆動装置と、
前記電磁駆動機構に含まれるマグネットが固定される固定枠と、
を備えたレンズ鏡筒。
【請求項13】
請求項12に記載のレンズ鏡筒と、
前記レンズ鏡筒が取り付けられるカメラ本体と、
を備えたカメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レンズを保持するレンズ駆動枠を光軸方向に沿って駆動するレンズ駆動装置およびこれを備えたレンズ鏡筒およびこれを備えたレンズ鏡筒、カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ等の光学機器において、レンズを保持したレンズ駆動枠を光軸方向に沿って前後に駆動する機構が用いられている。
例えば、特許文献1には、レンズ鏡筒の嵌合がたを少なくし高精度化するために、レンズを保持するレンズ保持部材と、該レンズ保持部材をガイド部材に沿って駆動するボイスコイルモータとを有するレンズ鏡筒において、レンズ保持部材に磁性体部材を固定し、該磁性体部材とボイスコイルモータのマグネットとの間に作用する磁気吸着力を用いて、レンズ保持部材をガイド部材に対して一方向に寄せる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-151988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のレンズ鏡筒では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示されたレンズ鏡筒では、レンズ保持部材をガイド部材に対して一方向に寄せることで、ある程度のガタツキを抑制することができる。しかし、上記レンズ鏡筒では、ボイルコイルモータが上部に配置されているため、付勢力と重力の方向を略一致させるためには磁性体をレンズ鏡筒の外周側に配置する必要がある。このため、レンズ鏡筒の径方向における寸法が大きくなり、レンズ鏡筒の小型化を阻害する要因となってしまう。
【0005】
本開示の課題は、レンズ鏡筒が大型化することなく、レンズ駆動枠のガタを抑制することが可能なレンズ駆動装置およびこれを備えたレンズ鏡筒、カメラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るレンズ駆動装置は、電磁駆動機構と、レンズ駆動枠と、第1ガイド軸と、第1軸支持部と、磁性体と、を備えている。電磁駆動機構は、マグネットと、マグネットに対して相対移動可能な状態で配置される電磁コイルとを有する。レンズ駆動枠は、レンズを保持しており、電磁コイルが装着され、電磁駆動機構によってレンズの光軸方向に沿って前後に駆動される。第1ガイド軸は、レンズの光軸方向に沿って配置されており、光軸方向において移動するレンズ駆動枠を案内する。第1軸支持部は、レンズ駆動枠に設けられており、第1ガイド軸が挿入される。磁性体は、レンズ駆動枠に設けられており、マグネットの磁力によってレンズ駆動枠とともに所定の方向へ引き付けられることで、第1軸支持部と第1ガイド軸との間に生じるレンズ駆動枠のガタを抑制する。電磁駆動機構は、レンズ駆動枠における磁性体が設けられた位置よりも鉛直方向における下方に配置されている。
【0007】
また、本開示に係るレンズ駆動装置は、電磁駆動機構と、レンズ駆動枠と、第1ガイド軸と、第1軸支持部と、磁性体と、フレキシブルプリント基板と、を備えている。電磁駆動機構は、マグネットと、マグネットに対して相対移動可能な状態で配置される電磁コイルとを有する。レンズ駆動枠は、レンズを保持しており、電磁コイルが装着され、電磁駆動機構によってレンズの光軸方向に沿って前後に駆動される。第1ガイド軸は、レンズの光軸方向に沿って配置されており、光軸方向において移動するレンズ駆動枠を案内する。第1軸支持部は、レンズ駆動枠に設けられており、第1ガイド軸が挿入される。フレキシブルプリント基板は、電磁駆動機構に接続されており電磁コイルへ電力を供給するとともに、第1ガイド軸を挟み込むように電磁駆動機構の反対側へ配置されており、レンズ駆動枠に対して、レンズの光軸を中心とする径方向内側に向かって付勢力を付与する。付勢力を受けたレンズ駆動枠は、鉛直方向に略平行であって、第1ガイド軸を中心にした円の接線方向に向かって鉛直方向下向きに付勢される。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るレンズ駆動装置によれば、レンズ鏡筒が大型化することなく、レンズ駆動枠のガタを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係るレンズ駆動装置を備えたレンズ鏡筒と、カメラ本体とを含むカメラ全体の構成示す図。
図2図1のカメラに取り付けられるレンズ鏡筒の構成を示す分解斜視図。
図3図2のレンズ鏡筒の内部に収納される磁気駆動機構等の構成を示す分解斜視図。
図4図3の磁気駆動機構に含まれるコイル、マグネット、ヨークの構成を示す斜視図。
図5図4の磁気駆動機構とネジとの位置関係を示す斜視図。
図6A図5のネジの一例を示す斜視図。
図6B図6Aとは異なる形状のネジの一例を示す斜視図。
図7図2のレンズ鏡筒に含まれるレンズ駆動枠に係る重力の方向とネジと磁気駆動機構との間に生じる磁力の方向とを示す光軸方向から見た正面図。
図8図2のレンズ鏡筒に含まれるレンズ駆動枠に係る重力の方向とフレキシブルプリント基板からレンズ駆動枠に対して付与される付勢力の方向とを示す光軸方向から見た正面図。
図9】本開示の他の実施形態に係るレンズ駆動装置に含まれる磁性体の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、出願人は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0011】
(実施形態1)
本開示の一実施形態に係るレンズ駆動装置およびこれを備えたレンズ鏡筒10、カメラ100について、図1図8を用いて説明すれば以下の通りである。
(1)レンズ鏡筒10の構成
本実施形態に係るレンズ鏡筒10は、図1に示すように、カメラ本体50(本体部51の被写体側に設けられたマウント部52)に対して交換可能な状態で取り付けられることで、カメラ100として使用される。レンズ鏡筒10は、複数のレンズを内包しており、レンズの光軸OP方向において被写体側から入射した光を、カメラ本体50の本体部51に内蔵された撮像素子53に導くことで、撮像素子53によって被写体像を撮像し、画像信号を生成する。
【0012】
レンズ鏡筒10は、図2に示すように、主として、前枠ユニット11、後枠ユニット12、フォーカスレンズユニット(レンズ駆動枠、レンズ駆動装置)13、固定枠14、主軸(第1ガイド軸)15a、副軸(第2ガイド軸)15bおよびボイスコイルモータ(電磁駆動機構)20を備えている。
前枠ユニット11は、図2に示すように、レンズ鏡筒10の外装部分を形成する略円筒状の部材であって、第1レンズ群L1を含む複数のレンズを内包しており、レンズ鏡筒10を構成する部材のうち、光軸OP方向において最も被写体側に配置されている。また、前枠ユニット11は、略円筒状の外表面に、回転操作可能な状態で取り付けられたフォーカスリング11aを有している。
【0013】
後枠ユニット12は、図2に示すように、レンズ鏡筒10を構成する部材のうち、最も像面側の端部に取り付けられた略円筒状の部材であって、前枠ユニット11とともにレンズ鏡筒10の外装部分を構成する。そして、後枠ユニット12は、カメラ本体50の本体部51側に設けられたマウント部52に対してその端部が装着される。これにより、本実施形態のカメラ100では、レンズ鏡筒10がカメラ本体50に対して着脱可能な状態で取り付けられる。
【0014】
フォーカスレンズユニット(レンズ駆動枠、レンズ駆動装置)13は、図2に示すように、フォーカスレンズFLを保持しており、後述するレンズ駆動装置によって光軸OP方向において前後に駆動される。また、フォーカスレンズユニット13は、図3に示すように、本体部13aと、後述する主軸15aが光軸OP方向に沿って挿入される挿入孔13baと、副軸15bが光軸OP方向に沿って挿入される挿入孔13bbと、を有している。
【0015】
挿入孔13baは、本体部13aにおいて光軸OP方向に略平行に形成され主軸15aが挿入される貫通孔であって、フォーカスレンズユニット13の外周部に設けられている。挿入孔13baは、内周面側において、主軸15aの外周面との間に隙間が形成されている。
挿入孔13bbは、本体部13aにおいて光軸OP方向に略平行に形成され副軸15bが挿入される貫通孔であって、フォーカスレンズユニット13の外周部であって、挿入孔13baの略反対側に設けられている。挿入孔13baは、副軸15bが挿入されることで、主軸15aを中心とするフォーカスレンズユニット13の回転を規制する回り止めとして機能する。
【0016】
固定枠14は、図2に示すように、後枠ユニット12の内周面側に設けられた略円筒状の部材であって、後述するレンズ駆動装置を構成するボイスコイルモータ20が内周面側に取り付けられている。
主軸15aは、フォーカスレンズユニット13を光軸OP方向に沿って前後に移動させるガイド軸であって、光軸OP方向に沿って配置されている。また、主軸15aの光軸OP方向における、被写体側の第1端部は前枠ユニット11に固定され、像面側の第2端部は固定枠14に固定されている。
【0017】
ここで、主軸15aの外周面と挿入孔13baの内周面との間には、上述したように、フォーカスレンズユニット13のスムーズな移動を阻害しないように、所定の隙間が形成される。このため、この隙間によって、フォーカスレンズユニット13は、光軸OP方向に交差する方向における移動(ガタ)が生じるおそれがある。
本実施形態のレンズ鏡筒では、後述するレンズ駆動装置の構成により、フォーカスレンズユニット13が所定の方向へ片寄せされることで、ガタの発生が抑制される。
【0018】
副軸15bは、フォーカスレンズユニット13の主軸15aを中心とする回転を規制するためのガイド軸であって、光軸OP方向に沿って配置されている。また、副軸15bの光軸OP方向における、被写体側の第1端部は前枠ユニット11に固定され、像面側の第2端部は固定枠14に固定されている。
ボイスコイルモータ(電磁駆動機構)20は、フォーカスレンズユニット13をフォーカスレンズFLの光軸OP方向に沿って前後に駆動する。そして、ボイスコイルモータ20は、図2および図3に示すように、固定枠14の内周面に固定されたヨーク21およびマグネット22と、フォーカスレンズユニット13の外周部に取り付けられた電磁コイル23とを含む。
【0019】
また、ボイスコイルモータ20は、カメラ本体50の正対姿勢(図7等の破線参照)において、主軸15aおよび副軸15bを結ぶ直線(図7中の一点鎖線参照)よりも鉛直方向における下方に設けられている。
ここで、ボイスコイルモータ20は、図4に示すように、ヨーク21と、マグネット22と、電磁コイル23とを含む。
【0020】
ヨーク21は、鉄製の板金の積層体をプレス加工で打ち抜いて作成されている。ヨーク21は、図4に示すように、略U字状のメインヨーク21aと、略U字状のメインヨーク21aの2本の腕部分に略平行にその中央部分に取り付けられたセンターヨーク21bと、メインヨーク21aの略U字状の開放側の端部に取り付けられたサブヨーク21cとを有している。
【0021】
マグネット22は、例えば、Nd系の焼結磁石であって、それぞれ単極着磁されている。マグネット22は、図4に示すように、略U字状のメインヨーク21aの2本の腕部分における内面側にそれぞれ配置されている。
電磁コイル23は、フォーカスレンズユニット13に取り付けられており、後述するFPC(フレキシブルプリント基板)35から電流が供給されると、マグネット22の磁力と、電磁コイル23に流れる電流の向きに応じてローレンツ力を受けることで、光軸OP方向において移動する。すなわち、電流の供給によってローレンツ力を受ける電磁コイル23は、フォーカスレンズユニット13に取り付けられている。このため、電磁コイル23に通電することにより、電磁コイル23が固定されたフォーカスレンズユニット13ごと、光軸OP方向において移動させることができる。このとき、電磁コイル23に流す電流の向きを切り替えることで、電磁コイル23にかかるローレンツ力の方向を切り替えて、電磁コイル23(フォーカスレンズユニット13)の移動方向を切り替えることができる。
【0022】
電磁コイル23は、上述したように、後述するFPC35から電流が供給され、図4に示すように、ヨーク21のうち、センターヨーク21bの一部を覆うように卷回されており、センターヨーク21bの長手方向に沿って移動する。
また、レンズ鏡筒10は、フォーカスレンズユニット13を光軸OP方向において前後に移動させるレンズ駆動装置(ボイスコイルモータ20等)を備えている。なお、レンズ駆動装置の詳細な構成については、後段にて詳述する。
【0023】
(2)レンズ駆動装置の構成
本実施形態に係るレンズ駆動装置は、図5に示すように、ボイスコイルモータ(電磁駆動機構)20と、フォーカスレンズユニット(レンズ駆動枠)13と、主軸(第1ガイド軸)15aと、挿入孔(第1軸支持部)13baと、ネジ(磁性体)30と、を備えている。
【0024】
ボイスコイルモータ20は、マグネット22と、マグネット22に対して相対移動可能な状態で配置される電磁コイル23とを有する。
フォーカスレンズユニット13は、フォーカスレンズFLを保持しており、電磁コイル23が装着され、ボイスコイルモータ20によってフォーカスレンズFLの光軸OP方向に沿って前後に駆動される。
【0025】
主軸15aは、フォーカスレンズFLの光軸方向に沿って配置されており、光軸方向において移動するフォーカスレンズユニット13を案内する。
挿入孔13baは、フォーカスレンズユニット13に設けられており、主軸15aが挿入される。
ネジ30は、磁性体によって形成されており、フォーカスレンズユニット13に設けられており、マグネット22の磁力によってフォーカスレンズユニット13とともに所定の方向へ引き付けられる。これにより、挿入孔13baと主軸15aとの間に生じるフォーカスレンズユニット13のガタが抑制される。
【0026】
なお、ネジ30がマグネット22に対して引き付けられる吸着力は、例えば、フォーカスレンズユニット13を含む可動部の自重×重力加速度の20%以上であることが好ましい。
また、ネジ30に使用される材料としては、例えば、炭素鋼(冷間圧造用炭素鋼線)を用いることができる。あるいは、例えば、ケイ素鉄やパーマロイ等の特殊材料を用いることもできる。さらに、加工後の焼鈍処理をすることで透磁率を挙げることで、同じネジ形状であっても付勢力の大きさを異ならせることも可能である。
【0027】
ネジ30は、ボイスコイルモータ20に含まれるマグネット22の磁力によって引き付けられる磁性体であって、図6Aに示すように、ネジ部(調整機構)31と、フランジ部32とを有している。
ネジ部31は、図6Aに示すように、外表面にネジ溝が形成された略円柱状の部分であって、フォーカスレンズユニット13の外表面に形成された雌ネジを有するネジ穴に螺合することで、ネジ30をフォーカスレンズユニット13に対して固定する。また、ネジ部31は、フォーカスレンズユニット13に螺合する量を調整することで、ネジ部31、特に、フランジ部32と、ボイスコイルモータ20のマグネット22との間の距離を調整する調整機構として機能する。
【0028】
フランジ部32は、図6Aに示すように、略円柱状のネジ部31の一方の端部に設けられたフランジ状の部分であって、ネジ部31がフォーカスレンズユニット13に螺合した状態で、フォーカスレンズユニット13の外表面に露出したままとなる。
なお、磁性体としてフォーカスレンズユニット13に取り付けられるネジ30は、ネジ部31の螺合量によって、ボイスコイルモータ20のマグネット22との間の吸着力を調整しているが、他の方法によって吸着力を調整してもよい。
【0029】
例えば、図6Bに示すように、フランジ部132の厚みを大きくすることで磁性体の体積を増大させ、図6Aに示すネジ30よりもマグネット22に対する吸着力を増大させたネジ130であってもよい。
また、本実施形態のレンズ駆動装置では、図7に示すように、カメラ本体50(図中破線参照)の正対姿勢(カメラで横向きの写真を撮影する時における姿勢)において、ボイスコイルモータ20は、フォーカスレンズユニット13におけるネジ30が設けられた位置よりも鉛直方向における下方に配置されている。
【0030】
これにより、図7に示すように、レンズ鏡筒10に含まれるフォーカスレンズユニット13に係る重力Gの方向と、フォーカスレンズユニット13(ネジ30)がボイスコイルモータ20のマグネット22に対して吸着される方向とを、略鉛直下向きの方向に揃えることができる。
よって、フォーカスレンズユニット13は、挿入孔13baの内周面が、主軸15aの外周面に対して略鉛直下向きの方向へ片寄せされた状態で、光軸OP方向において前後に駆動されるため、ガタの発生を効果的に抑制することができる。
【0031】
また、本実施形態では、ボイスコイルモータ20がカメラ本体50(図中破線参照)の正対姿勢(カメラで横向きの写真を撮影する時における姿勢)において、主軸15aと副軸15bとを結ぶ直線(図中一点鎖線参照)よりも下方に配置されている。
これにより、フォーカスレンズユニット13を鉛直下向きに吸着させるために設けられたネジ(磁性体)30を、ボイスコイルモータ20よりも内周側に配置することができる。
【0032】
よって、レンズ鏡筒10は、径方向において大型化することなく、フォーカスレンズユニット13と主軸15aとの間に生じるガタを抑制しつつ光軸OP方向において前後に駆動することができる。
また、本実施形態のレンズ駆動装置は、図8に示すように、ボイスコイルモータ20の電磁コイル23に電流を供給するFPC(フレキシブルプリント基板)35を備えている。
【0033】
FPC35は、ボイスコイルモータ20に接続されており電磁コイル23へ電力を供給するとともに、主軸15aを挟み込むようにボイスコイルモータ20の反対側へ配置されており、フォーカスレンズユニット13に対して、フォーカスレンズFLの光軸OPを中心とする径方向内側に向かって付勢力を付与する。
そして、付勢力を受けたフォーカスレンズユニット13は、図8に示すように、鉛直方向に略平行であって、主軸15aを中心にした円の接線方向(図中に点鎖線の円弧参照)に向かって鉛直方向下向きに付勢される。
【0034】
これにより、フォーカスレンズユニット13を鉛直下向きに付勢することで、レンズ鏡筒10に含まれるフォーカスレンズユニット13に係る重力Gの方向と、フォーカスレンズユニット13(ネジ30)がFPC35によって付勢される方向とを、略鉛直下向きの方向に揃えることができる。
よって、フォーカスレンズユニット13を所望の方向(略鉛直方向下向き)に片寄せすることができるため、フォーカスレンズユニット13と主軸15aとの間に生じるガタを抑制しつつ光軸OP方向において前後に駆動することができる。
【0035】
[他の実施形態]
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、フォーカスレンズユニット13に対して、重力Gと同じ略鉛直方向下向きに、磁性体(ネジ30)とマグネット22との吸着力、およびFPC35による付勢力とを組み合わせて、フォーカスレンズユニット13を主軸15aに対して片寄せすることで、フォーカスレンズユニット13のガタの発生を効果的に抑制する例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
【0036】
例えば、磁性体(ネジ30)とマグネット22との吸着力、およびFPC35による付勢力のうち、いずれか一方のみを採用した構成であってもよい。
具体的には、磁性体(ネジ等)とマグネットとの吸着力と重力の方向とが略同じ構成であってもよい。あるいは、フレキシブルプリント基板(FPC)による付勢力と重力の方向とが略同じ構成であってもよい。
【0037】
いずれの場合でも、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
(B)
上記実施形態では、ボイスコイルモータ20が、主軸15aおよび副軸15bという2本のガイド軸(第1・第2ガイド軸)を用いて、フォーカスレンズユニット13を光軸OP方向において前後に駆動する例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
【0038】
例えば、レンズ駆動枠(フォーカスレンズユニット)を光軸方向において前後に案内するガイド軸としては、1本であってもよいし、3本以上であってもよい。
(C)
上記実施形態では、図7等に示すように、フォーカスレンズユニット13の外周側における互いに対向する位置に配置された主軸15aおよび副軸15bのうち、主軸15aの近傍にボイスコイルモータ20が配置された例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
【0039】
例えば、電磁駆動機構(ボイスコイルモータ)が、第1ガイド軸(主軸)よりも第2ガイド軸(副軸)の近傍に配置された構成であってもよい。
(D)
上記実施形態では、レンズ駆動枠として、フォーカスレンズユニット13を用いた例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
【0040】
例えば、ズームレンズ等のフォーカスレンズ以外のレンズを保持しており光軸方向において前後に駆動される他のレンズ駆動枠に対して、本発明を適用してもよい。
(E)
上記実施形態では、磁性体として設けられたネジ30のねじ込み量を調整することで、ボイスコイルモータ20のマグネット22とネジ30との距離を調整して、互いの吸着力を調整する例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
【0041】
例えば、マグネットと磁性体との吸着力を調整する機構としては、ネジのねじ込み量の調整以外に、大きさ、形状等が異なる磁性体に交換する等、他の手段を用いてもよい。
また、磁性体としてネジを用いた構成において、図9に示すように、ネジ30とフォーカスレンズユニット13の外周面との間に、座金(ワッシャ)135等の第3部品を追加することで、吸着力を調整する構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本開示のレンズ駆動装置は、レンズ鏡筒が大型化することなく、レンズ駆動枠のガタを抑制することができるという効果を奏することから、レンズ鏡筒等の光学機器に搭載されるレンズ駆動装置に対して広く適用可能である。
【符号の説明】
【0043】
10 レンズ鏡筒
11 前枠ユニット
11a フォーカスリング
12 後枠ユニット
13 フォーカスレンズユニット(レンズ駆動枠、レンズ駆動装置)
13a 本体部
13ba 挿入孔(第1軸支持部)
13bb 挿入孔(第2軸支持部)
14 固定枠
15a 主軸(第1ガイド軸、レンズ駆動装置)
15b 副軸(第2ガイド軸、レンズ駆動装置)
20 ボイスコイルモータ(電磁駆動機構、レンズ駆動装置)
21 ヨーク
21a メインヨーク
21b センターヨーク
21c サブヨーク
22 マグネット
23 電磁コイル
30 ネジ(磁性体、レンズ駆動装置)
31 ネジ部(調整機構、レンズ駆動装置)
32 フランジ部
35 FPC(フレキシブルプリント基板、レンズ駆動装置)
50 カメラ本体
51 本体部
52 マウント部
53 撮像素子
100 カメラ
130 ネジ(磁性体)
132 フランジ部
135 座金
L1 第1レンズ群
OP 光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9