(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163258
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】管状部材の取付構造、および取付構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
F02M 35/12 20060101AFI20231102BHJP
B29C 49/20 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
F02M35/12 N
B29C49/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074022
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】品田 雅史
(72)【発明者】
【氏名】半田 和也
【テーマコード(参考)】
4F208
【Fターム(参考)】
4F208AD12
4F208AG07
4F208AH16
4F208AH17
4F208LA09
4F208LB01
4F208LB12
4F208LJ05
(57)【要約】
【課題】レゾネータと連結部材との間の気密性を向上可能にした管状部材の取付構造、および取付構造の製造方法を提供する。
【解決手段】レゾネータと、レゾネータの嵌合筒部に挿嵌される管状の連結部材と、嵌合筒部の内周面と連結部材の外周面とに挟まれたシール部材と、を備える連結部材の取付構造であって、レゾネータは、中空空間を区切る壁部の外部に位置するベース部材をさらに備え、ベース部材は、嵌合筒部の筒端部を覆い、かつ嵌合筒部の外周面に一体化した環状を有し、筒端部を覆う部分が、嵌合筒部の内周面と面一である内周面を備え、連結部材を締結される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空空間を区切る壁部と、前記壁部の外部に向けて前記壁部から延びる嵌合筒部と、を備えたブロー成形部材であるレゾネータであって、前記嵌合筒部が前記中空空間と前記壁部の外部とを連通させる前記レゾネータと、
前記嵌合筒部の内部に挿嵌される管状を有した連結部材と、
前記嵌合筒部の内周面と前記連結部材の外周面とに挟まれたシール部材と、
を備える管状部材の取付構造であって、
前記レゾネータは、
前記壁部の外部に位置するベース部材をさらに備え、
前記ベース部材は、
前記嵌合筒部の筒端部を覆い、かつ前記嵌合筒部の外周面に一体化した環状を有し、
前記筒端部を覆う部分が、前記嵌合筒部の内周面と面一である内周面を備え、
前記連結部材を締結される
管状部材の取付構造。
【請求項2】
前記連結部材の外周面は、前記連結部材の周方向に延びる嵌合溝を備え、
前記シール部材は、前記嵌合溝に嵌め込まれたOリングである
請求項1に記載の管状部材の取付構造。
【請求項3】
前記ベース部材は、前記嵌合筒部の外周面に一体化した本体部と、前記本体部に一体化したボルトと、を備え、
前記連結部材は、前記ボルトに締結されるフランジを備える
請求項1または2に記載の管状部材の取付構造。
【請求項4】
前記ベース部材のなかで前記筒端部を覆う前記部分の内周面と、前記嵌合筒部の内周面とは、切削加工面である
請求項1または2に記載の管状部材の取付構造。
【請求項5】
前記ベース部材のなかで前記嵌合筒部を囲む内周面と、前記ベース部材の外周面とは、前記レゾネータと一体化している
請求項1または2に記載の管状部材の取付構造。
【請求項6】
中空空間を区切る壁部と、前記壁部の外部に向けて前記壁部から延びる嵌合筒部と、を備えたレゾネータをブロー成形することと、
管状を有した連結部材の外周面と前記嵌合筒部の内周面とがシール部材を挟むように、前記嵌合筒部に前記連結部材を挿嵌することと、を含む
取付構造の製造方法であって、
前記ブロー成形することは、前記嵌合筒部の筒端部と前記嵌合筒部の外周面とを覆う蓋部材を前記レゾネータにインサート成形することを含み、
前記嵌合筒部の筒内を通じて前記中空空間と前記壁部の外部とを連通する孔を前記蓋部材に切削することによって、前記連結部材を締結するベース部材を前記蓋部材から形成することをさらに含む、
取付構造の製造方法。
【請求項7】
前記ベース部材を前記蓋部材から形成することは、前記嵌合筒部の内周面と前記ベース部材の内周面とが面一であるように、前記嵌合筒部を塞ぐ前記筒端部と前記蓋部材とに孔を切削する
請求項6に記載の取付構造の製造方法。
【請求項8】
前記レゾネータに前記蓋部材をインサート成形することは、前記連結部材を締結するためのボルトを一体化した前記蓋部材を前記レゾネータにインサート成形する
請求項6または7に記載の取付構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レゾネータに連結部材を取り付ける管状部材の取付構造、および取付構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した取付構造の第1例は、ブロー成形部材の一例である燃料タンクと、連結部材の一例であるチューブ取付部材と、を備える。第1例は、連結部材にブロー成形部材を溶着させながら、ブロー成形部材をブロー成形する(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
上述した取付構造の第2例は、ブロー成形部材の一例である燃料タンク、連結部材の一例であるニップル、およびシール部材を備える。第2例は、連結部材とブロー成形部材との間にシール部材を介在させながら、ブロー成形部材をブロー成形する(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-87606号公報
【特許文献2】特開平9-290814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、上述した取付構造の第1例であれ、取付構造の第2例であれ、インサート部材に連結部材を用いるブロー成形は、インサート部材とブロー成形部材との間に、少なからず溶着の不足を生じさせる。インサート部材とブロー成形部材との間に生じる溶着の不足は、連結部材とブロー成形部材との間で密着性の向上を妨げると共に、連結部材とブロー成形部材との間で気密性の向上を妨げる。仮に、連結部材とブロー成形部材との間にシール部材を介在させながらブロー成形を行うとしても、シール部材の潰し代にばらつきを生じさせてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための管状部材の取付構造は、中空空間を区切る壁部と、前記壁部の外部に向けて前記壁部から延びる嵌合筒部と、を備えたブロー成形部材であるレゾネータであって、前記嵌合筒部が前記中空空間と前記壁部の外部とを連通させる前記レゾネータと、前記嵌合筒部の内部に挿嵌される管状を有した連結部材と、前記嵌合筒部の内周面と前記連結部材の外周面とに挟まれたシール部材と、を備える管状部材の取付構造である。前記レゾネータは、前記壁部の外部に位置するベース部材をさらに備え、前記ベース部材は、前記嵌合筒部の筒端部を覆い、かつ前記嵌合筒部の外周面に一体化した環状を有し、前記筒端部を覆う部分が、前記嵌合筒部の内周面と面一である内周面を備え、前記連結部材を締結される。
【0007】
上記課題を解決するための取付構造の製造方法は、中空空間を区切る壁部と、前記壁部の外部に向けて前記壁部から延びる嵌合筒部と、を備えたレゾネータをブロー成形することと、管状を有した連結部材の外周面と前記嵌合筒部の内周面とがシール部材を挟むように、前記嵌合筒部に前記連結部材を挿嵌することと、を含む取付構造の製造方法である。前記ブロー成形することは、前記嵌合筒部の筒端部と前記嵌合筒部の外周面とを覆う蓋部材を前記レゾネータにインサート成形することを含む。取付構造の製造方法は、前記嵌合筒部の筒内を通じて前記中空空間と前記壁部の外部とを連通する孔を前記蓋部材に切削することによって、前記連結部材を締結するベース部材を前記蓋部材から形成することをさらに含む。
【0008】
上記取付構造の製造方法において、前記ベース部材を前記蓋部材から形成することは、前記嵌合筒部の内周面と前記ベース部材の内周面とが面一であるように、前記嵌合筒部を塞ぐ前記筒端部と前記蓋部材とに孔を切削してもよい。
【0009】
上記各構成によれば、レゾネータのベース部材がレゾネータの嵌合筒部と一体に成形される。そのため、ブロー成形部材であるレゾネータの厚さが嵌合筒部の周囲で厚くなる。そして、管状を有した連結部材がシール部材を介してレゾネータの嵌合筒部に挿嵌されると共に、レゾネータの嵌合筒部や壁部ではなく、厚さを確保されやすいベース部材に、連結部材が締結される。これにより、シール部材の潰し代が連結部材の挿嵌によって定まると共に、嵌合筒部に対する連結部材の位置が連結部材の締結によって保たれる。結果として、レゾネータと連結部材との間の気密性が高まる。
【0010】
また、嵌合筒部の内周面がベース部材の内周面と面一である。そのため、ベース部材に連結部材を挿嵌することが、嵌合筒部に連結部材を挿嵌することと同じ程度に、円滑に進められる。結果として、嵌合筒部と連結部材との間にシール部材を挟み込むことが、円滑に進められる。
【0011】
上記管状部材の取付構造において、前記連結部材の外周面は、前記連結部材の周方向に延びる嵌合溝を備え、前記シール部材は、前記嵌合溝に嵌め込まれたOリングでもよい。
上記構成によれば、連結部材の挿嵌によるOリングの位置ずれが嵌合溝によって抑えられるため、レゾネータと連結部材との間の気密性がさらに高まる。
【0012】
上記管状部材の取付構造において、前記ベース部材は、前記嵌合筒部の外周面に一体化した本体部と、前記本体部に一体化したボルトと、を備え、前記連結部材は、前記ボルトに締結されるフランジを備えてもよい。
【0013】
上記取付構造の製造方法において、前記レゾネータに前記蓋部材をインサート成形することは、前記連結部材を締結するためのボルトを一体化した前記蓋部材を前記レゾネータにインサート成形する。
上記各構成によれば、嵌合筒部に対する連結部材の位置がボルトの締結によって保たれるため、レゾネータと連結部材との間の気密性がさらに高まる。
【0014】
上記管状部材の取付構造において、前記ベース部材のなかで前記筒端部を覆う前記部分の内周面と、前記嵌合筒部の内周面とは、切削加工面でもよい。
上記構成によれば、嵌合筒部の内周面に対するベース部材の内周面の位置が、切削加工によって定まる。そのため、嵌合筒部に連結部材を挿嵌しやすいように、ベース部材に加工を施すことができる。
【0015】
上記管状部材の取付構造において、前記ベース部材のなかで前記嵌合筒部を囲む内周面と、前記ベース部材の外周面とは、前記レゾネータと一体化してもよい。
上記構成によれば、壁部や嵌合筒部に対するベース部材の位置がベース部材とレゾネータとの一体化によって固定される。そのため、ベース部材に締結される連結部材の位置がレゾネータに対して保たれやすい。
【発明の効果】
【0016】
上記管状部材の取付構造、および取付構造の製造方法によれば、レゾネータと連結部材との間の気密性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、管状部材の取付構造を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、管状部材の取付構造を示す断面図である。
【
図3】
図3は、取付構造の製造方法におけるインサート工程を示す断面図である。
【
図4】
図4は、取付構造の製造方法における切削工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、管状部材の取付構造、および取付構造の製造方法について一実施形態を示す。
まず、
図1、および
図2を参照して管状部材の取付構造を説明する。次に、
図3、および
図4を参照して取付構造の製造方法を説明する。
【0019】
[取付構造の概要]
図1が示すように、管状部材の取付構造は、ブロー成形部材の一例であるレゾネータ10を備える。レゾネータ10は、樹脂製中空体である。レゾネータ10は、所定容量の中空空間10S(
図2を参照)を区切る壁部11を備える。壁部11が区切る中空空間10Sは、内燃機関の吸気バルブが開閉することによる吸気の脈動音を低減する。
なお、壁部11に対する中空空間10Sの側は、レゾネータ10の内側であり、かつ壁部11の内側である。壁部11に対する中空空間10Sとは反対側は、レゾネータ10の外側であり、かつ壁部11の外側である。
【0020】
レゾネータ10の壁部11は、熱可塑性樹脂からなる1つの層から構成される単層構造体でもよいし、熱可塑性樹脂からなる層を積み重ねた多層構造体でもよい。レゾネータ10の壁部11が多層構造体である場合、各層を構成する熱可塑性樹脂は、相互に異なる種類でもよいし、相互に同じ種類でもよい。レゾネータ10の壁部11を構成する熱可塑性樹脂の一例は、タルクを添加されたポリプロピレン系樹脂でもよいし、タルクを添加されたポリアミド系樹脂でもよい。レゾネータ10は、ベース部材20を備える。
【0021】
ベース部材20は、壁部11の外表面に位置する。ベース部材20は、壁部11の外表面に追従する環状の樹脂製部材である。ベース部材20は、レゾネータ10の壁部11とは別に成形される射出成形部品である。ベース部材20は、壁部11のブロー成形に先駆けて形成される。ベース部材20は、インサート部品の一例である。ベース部材20を構成する熱可塑性樹脂の一例は、ポリプロピレン系樹脂でもよいし、ポリアミド系樹脂でもよい。ベース部材20は、環状の本体部20Bと、上端部20E(
図2を参照)と、本体部20Bと一体化した2つのボルト21と、を備える。
【0022】
2つのボルト21は、ベース部材20からレゾネータ10の外側に向けて延びる。2つのボルト21は、レゾネータ10のベース部材20と一体化されている。ボルト21は、レゾネータ10に連結部材30(
図2を参照)を締結するための締結部の一例である。連結部材30は、フランジ31を備える。フランジ31は、ボルト21を挿通する2つの貫通孔を備える。連結部材30は、フランジ31に挿通されたボルト21にナット22を締め付けることによって、レゾネータ10に締結されている。
【0023】
レゾネータ10は、導管40に接続されている。導管40は、内燃機関に空気を導入する。導管40は、平滑な内面を備える管部材である。導管40の断面形状は、円形状である。なお、導管40の断面形状は、楕円形状でもよいし、多角形状でもよい。導管40は、レゾネータ10の壁部11とは別に成形される、射出成形品である。導管40を構成する熱可塑性樹脂の一例は、ポリプロピレン系樹脂でもよいし、ポリアミド系樹脂でもよい。
【0024】
[取付構造の内部構成]
図2は、管状部材の取付構造における断面構造を示す。なお、
図2は、管状部材の取付構造における内部構成を説明する便宜上から、導管40を割愛して示す。
【0025】
図2が示すように、レゾネータ10は、嵌合筒部12を備える。嵌合筒部12は、壁部11と一体である。嵌合筒部12は、壁部11と共にブロー成形される。嵌合筒部12は、壁部11の外部に向けて壁部11から延びる。嵌合筒部12は、壁部11が区切る中空空間10Sと、壁部11の外部とを連通させる。
【0026】
嵌合筒部12は、レゾネータ10の筒状部である。嵌合筒部12は、内周面12S1と、外周面12S2とを備える。嵌合筒部12の内周面12S1は、中空空間10Sを区切る平滑面である。嵌合筒部12の外周面12S2は、ベース部材20と一体化している。嵌合筒部12における内側の筒端部E1は、壁部11と一体であり、かつ壁部11が区切る中空空間10Sに開口する。嵌合筒部12における外側の筒端部E2は、壁部11の外側に位置し、かつベース部材20の上端部20Eに覆われている。
【0027】
嵌合筒部12の断面形状は、円形状である。なお、嵌合筒部12の断面形状は、楕円形状でもよいし、多角形状でもよい。嵌合筒部12を構成する熱可塑性樹脂の一例は、壁部11と同一であり、タルクを添加されたポリプロピレン系樹脂でもよいし、タルクを添加されたポリアミド系樹脂でもよい。
【0028】
ベース部材20は、嵌合筒部12を囲う環状を有する。ベース部材20は、嵌合筒部12の全周にわたり嵌合筒部12を囲う。ベース部材20の上端部20Eは、嵌合筒部12の筒端部E2を覆う。ベース部材20の上端部20Eは、内周面20Sを備える。上端部20Eの内周面20Sは、嵌合筒部12の内周面12S1と面一である。嵌合筒部12の内周面12S1と、ベース部材20の内周面20Sとは、相互に連続する切削加工面である。
【0029】
ベース部材20の本体部20Bにおける内周面は、嵌合筒部12の外周面12S2に一体化している。ベース部材20の外周面は、壁部11の一部と一体化している。ベース部材20は、壁部11と嵌合筒部12とを形成するブロー成形において、嵌合筒部12の筒端部E2を覆い、かつ嵌合筒部12の外周面12S2と一体化するように、インサート成形される。
【0030】
管状部材の取付構造は、連結部材30を備える。連結部材30は、嵌合筒部12の内部に挿嵌される管状を有する。連結部材30の外周面30Sは、連結部材30の全周にわたる嵌合溝32を備える。連結部材30の外周面30Sと、嵌合筒部12の内周面12S1とは、シール部材50を挟む。シール部材50の一例は、Oリングである。シール部材50は、連結部材30の嵌合溝32に嵌め込まれている。
【0031】
[取付構造の製造方法]
取付構造の製造方法は、レゾネータ10をブロー成形する工程と、ベース部材20を切削加工する工程と、を備える。まず、
図3を参照してブロー成形する工程を説明する。次に、
図4を参照して切削加工する工程を説明する。
【0032】
図3が示すように、レゾネータ10のブロー成形は、中空空間10Sを区切る壁部11を形成すると共に、壁部11の外部に向けて壁部11から延びるように、嵌合筒部12を形成する。
【0033】
この際、嵌合筒部12を閉蓋する蓋部材20Aがインサート成形される。すなわち、蓋部材20Aが嵌合筒部12の筒端部E2と一体化し、かつ蓋部材20Aが嵌合筒部12の外周面12S2と一体化するように、蓋部材20Aがインサート成形される。これにより、嵌合筒部12の筒端部E2は、蓋部材20Aに追従する形状を有し、かつ嵌合筒部12を塞ぐような、閉蓋状の筒端を構成する。
【0034】
図4が示すように、切削加工は、蓋部材20Aと嵌合筒部12とを通じる孔Hを形成する。孔Hは、嵌合筒部12の筒内を通じて中空空間10Sと壁部11の外部とを連通する。
【0035】
この際、孔Hは、蓋部材20Aを貫通すると共に、嵌合筒部12の内周面12S1を拡径する。これにより、連結部材30が挿嵌される嵌合筒部12の内周面12S1が形成される。また、嵌合筒部12の内周面12S1と、上端部20Eにおける内周面20Sと、が面一であるように、ベース部材20が蓋部材20Aから形成される。そして、連結部材30の外周面30Sと嵌合筒部12の内周面12S1とがシール部材50を挟むように、嵌合筒部12に連結部材30を挿嵌する。これによって、管状部材の取付構造が製造される。
【0036】
以上、上記実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)ベース部材20が嵌合筒部12と一体に成形されるため、ブロー成形部材であるレゾネータ10の厚さが嵌合筒部12の周囲で厚くなる。そして、連結部材30がシール部材50を介して嵌合筒部12に挿嵌されると共に、連結部材30が嵌合筒部12や壁部11ではなく、厚さを確保されやすいベース部材20に、連結部材30が締結される。
【0037】
これにより、シール部材50の潰し代が連結部材30の挿嵌によって定まると共に、嵌合筒部12に対する連結部材30の位置が連結部材30の締結によって保たれる。結果として、レゾネータ10と連結部材30との間の気密性が高まる。
【0038】
(2)取付構造のなかで、連結部材30が導管40とレゾネータ10とを連通する機能を担い、かつベース部材20がレゾネータ10に連結部材30を締結する機能を担う。すなわち、レゾネータ10と導管40との連通機能と、レゾネータ10に対する導管40の位置決め機能とを、各別の部材が担う。
【0039】
これにより、ブロー成形時の熱が、壁部11、嵌合筒部12、およびベース部材20に加わる一方、連結部材30には加わらない。そして、壁部11にベース部材20を溶着させたり、嵌合筒部12にベース部材20を溶着させたりすることに特化した熱を、ブロー成形時に加えることが可能ともなる。結果として、連結部材30、およびシール部材50における熱的な寸法精度のばらつきを抑えて、連結部材30と導管40との接続の確度を高めることが可能にもなる。
【0040】
(3)嵌合筒部12の内周面12S1がベース部材20の上端部20Eにおける内周面20Sと面一である。そのため、ベース部材20に連結部材30を挿嵌することが、嵌合筒部12に連結部材30を挿嵌することと同じ程度に、円滑に進められる。結果として、嵌合筒部12と連結部材30との間にシール部材50を挟み込むことが、円滑に進められる。
【0041】
(4)連結部材30の外周面30Sにおける嵌合溝32にシール部材50であるOリングが嵌め込まれている。そのため、連結部材30の挿嵌によるシール部材50の位置ずれが嵌合溝32によって抑えられるから、レゾネータ10と連結部材30との間の気密性がさらに高まる。
【0042】
(5)ベース部材20がボルト21を備えると共に、ボルト21に締結されるフランジ31を連結部材30が備える。これにより、嵌合筒部12に対する連結部材30の位置がボルト21の締結によって保たれるため、レゾネータ10と連結部材30との間の気密性がさらに高まる。また、中空空間10Sのなかに位置する連結部材30の長さが締結によって定まるため、レゾネータ10による音響効果の再現性も高まる。
【0043】
(6)ベース部材20の上端部20Eが嵌合筒部12の筒端部E2を覆い、かつ上端部20Eの内周面20Sが嵌合筒部12の内周面12S1と面一の切削加工面である。これにより、ベース部材20の内周面20Sに対する、嵌合筒部12の内周面12S1の位置が切削加工によって確保される。結果として、嵌合筒部12に連結部材30を挿嵌するための構成をベース部材20に施すことが容易ともなる。
【0044】
(7)ベース部材20の内周面と外周面とが嵌合筒部12や壁部11と一体化しているため、壁部11や嵌合筒部12に対するベース部材20の位置がレゾネータ10において固定されやすい。そのため、ベース部材20に締結される連結部材30の位置が、レゾネータ10に対して保たれやすい。
【0045】
上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
[シール部材]
・連結部材30の外周面30Sは、シール部材50が嵌め込まれる嵌合溝32を割愛してもよい。なお、上述したように、外周面30Sが嵌合溝32を備える構成であれば、連結部材30に対するシール部材50の位置ずれが抑えられるため、嵌合筒部12に連結部材30を挿嵌する作業が容易ともなる。
【0046】
・シール部材50は、連結部材30の外周面30Sに追従するシートリングでもよいし、連結部材30の外周面30Sに巻き付けられたシールテープでもよい。
【0047】
[締結部]
・ベース部材20は、ボルト21を割愛すると共に、ベース部材20に連結部材30を位置決め固定するための締結爪を備えてもよいし、ベース部材20に連結部材30を位置決め固定するためのボルト21を差し込むボルト孔を備えてもよい。
【0048】
・ベース部材20に連結部材30を位置決め固定する構成は、ボルト21とナット22とに限らず、締結ピンや締結ベルトに変更することもできる。
【0049】
[切削加工]
・切削加工は、嵌合筒部12を拡径することなく、嵌合筒部12の内周面12S1と面一になるように、蓋部材20Aのみに、孔Hを形成してもよい。
・切削工程は、嵌合筒部12の内周面12S1よりも大径の内周面20Sを、蓋部材20Aに形成してもよい。
【0050】
・嵌合筒部12の内周面12S1は、ベース部材20の上端部20Eにおける内周面20Sと等しい表面粗さを備えてもよい。各内周面12S1,20Sが等しい表面粗さを備える構成は、蓋部材20Aと嵌合筒部12とに、共通する切削加工を施すことを容易なものとする。
【符号の説明】
【0051】
E1,E2…筒端部
H…孔
10…レゾネータ
10S…中空空間
11…壁部
12…嵌合筒部
12S1…内周面
12S2…外周面
20…ベース部材
20A…蓋部材
20E…上端部
21…ボルト
22…ナット
30…連結部材
31…フランジ
32…嵌合溝
40…導管
50…シール部材