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▶ アントビー株式会社の特許一覧

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  • 特開-アロマキャンドル 図1
  • 特開-アロマキャンドル 図2
  • 特開-アロマキャンドル 図3
  • 特開-アロマキャンドル 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163265
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】アロマキャンドル
(51)【国際特許分類】
   C11C 5/00 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
C11C5/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074032
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】511108574
【氏名又は名称】アントビー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150142
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 礼路
(74)【代理人】
【識別番号】100174849
【弁理士】
【氏名又は名称】森脇 理生
(72)【発明者】
【氏名】長門 康之
【テーマコード(参考)】
4H059
【Fターム(参考)】
4H059DA09
4H059DA18
4H059DA19
4H059EA01
4H059EA31
4H059EA35
(57)【要約】
【課題】 炎の揺らぎを見ることにより癒し効果を与えるだけでなく、香りを広範囲に拡散させることが可能なアロマキャンドルを提供する。
【解決手段】 本発明のアロマキャンドルは、香料を含有する紙製のカード10と、カードの周囲をコーティングした蝋11とを備えるため、炎の揺らぎを見ることにより癒し効果を与えるだけでなく、炎を線状とすることによって香りを広範囲に拡散させることができる。また、使用時まで香料を拡散することなく保存することができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
香料を含有する紙製のカードと、
前記カードの周囲をコーティングした蝋と
を備えた、アロマキャンドル。
【請求項2】
前記カードを収容する容器をさらに備えた、請求項1に記載のアロマキャンドル。
【請求項3】
前記容器の開口部分に装着される蓋部材をさらに備えた、請求項2に記載のアロマキャンドル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香りを拡散させるとともに、炎の揺らぎを見ることにより癒し効果を与えることができるアロマキャンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のロウソクあるいはキャンドルは、糸または紐などの芯材の周囲に蝋を円柱状に固めたものである。近年、ロウソクは、単なる照明としてではなく、炎の揺らぎを見ることによる癒し効果や、香りによるリラックス効果等を得るために用いられることも多い。香りを拡散させるロウソクとして、アロマキャンドルが知られている。
【0003】
香りを拡散させることを目的としたロウソク(アロマキャンドル)として、たとえば特許文献1には、常温で固体である蝋内に、芯材を、その一部が外部に突出するようにして埋設してなるアロマキャンドルにおいて、前記蝋内に、内部に香料が揮発しないように密封され、かつ点火後一定時間経過後に、蝋の溶融温度で溶融するようにしたカプセルを埋設したことを特徴とするアロマキャンドルが記載されている(請求項1)。
【0004】
また、特許文献2には、上部が開放部からなる容器と、前記容器内部に収容され、芯が提供されたロウソク本体と、前記ロウソク本体の周辺を囲みながら容器内部に収容されてロウソク本体の非燃焼時には装飾部の役割を果たし、ロウソク本体の燃焼時には共に燃焼しながら視覚的な効果を発揮すると共に香りを発散する装飾燃焼材と、を含むロウソクが記載されている(請求項1)。
【0005】
上述した従来のアロマキャンドルに使用されているロウソクは、芯が紐状であり、一点で火が燃えるため、香りを広範囲に拡散させることは困難である。また、従来のロウソクは芯が紐状であり細いため、芯に香料を染み込ませることが困難である。
【0006】
一方、香料を蝋に配合させたアロマキャンドルも知られているが、蝋に香料を配合させた場合には、長期間の放置によって香料が放散してしまい、香りが失われてしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014-12847号公報
【特許文献2】特表2015-530438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、炎の揺らぎを見ることにより癒し効果を与えるだけでなく、香りを広範囲に拡散させることが可能なアロマキャンドルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、香りを染み込ませた紙製のカードを蝋でコーティングすることを見出した。蝋でコーティングしたカードを燃やしたところ、線状に燃えるため、香りを広範囲に拡散させることができることを見出した。また、紙製のカードであるため、任意の形状に折り曲げることができる。さらに、蝋でコーティングされていることにより、紙に含有させた香料が拡散することなく、香料を閉じ込めたまま保存することができる。一方、使用時には、蝋が燃焼および溶解することによってコーティングが除去され、香料を拡散することができる。
【0010】
本発明は、香料を含有する紙製のカードと、カードの周囲をコーティングした蝋とを備えた、アロマキャンドルを提供する。
【0011】
本発明はまた、上記カードを収容する容器をさらに備えたアロマキャンドルを提供する。
【0012】
本発明はまた、上記容器の開口部分に装着される蓋部材をさらに備えたアロマキャンドルを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のアロマキャンドルは、カードとして利用されるだけでなく、アロマキャンドルとして使用することができる。また、本発明のアロマキャンドルは、使用時まで香料を拡散させることなく、保存することができる。本発明のアロマキャンドルは、香料を含有する紙製のカードと、カードの周囲をコーティングした蝋とを備えた構成のため、炎の揺らぎを見ることにより癒し効果を与えるだけでなく、炎を線状とすることによって香りを広範囲に拡散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のアロマキャンドルの一実施形態を示す図。
図2】本発明のアロマキャンドルの他の実施形態を示す図。
図3】本発明のアロマキャンドルの他の実施形態を示す図。
図4】本発明のアロマキャンドルを作製する方法および作り直す方法の一例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のアロマキャンドルは、香料を含有する紙製のカードと、該カードの周囲をコーティングした蝋とを備える。
【0016】
本明細書において、アロマキャンドルとは、一般に使用されるアロマキャンドルと同様のロウソクを指し、芳香を生じるロウソクを含む。アロマキャンドルは、ロウソク自体が芳香を生じるロウソクだけでなく、芯および下記に示すとおり紙が芳香を生じるロウソクを含む。
【0017】
紙製のカードは、紙により構成された薄い板状の物体であり、紙片ということもできる。カードの形状は、特に限定されず、四角形、長方形、ひし形、台形、円形、楕円形および星形などの任意の形状であることができる。カードは、特に限定されないが、手に持てる程度の大きさおよび薄さであることができ、たとえば名刺大であることができる。また、カードの厚さは、所望の厚さであることができるが、たとえば0.01mm~3mm、0.1mm~2mmおよび0.2mm~0.5mmであることができる。
【0018】
カードの材質は、紙であれば特に限定されない。ここで、「紙」とは、「植物繊維その他の繊維を膠着させて製造したもの(日本工業規格)」のみならず、同様に形成されたものも含む。たとえば、植物繊維に動物繊維および人工繊維等を混入したものも紙に含まれる。カードが紙製であることにより、蝋を吸収しやすく、また気化させやすいため、香りを広く拡散させることができる。
【0019】
本発明のアロマキャンドルに用いる紙製のカードは、たとえば名刺およびメッセージカードなどであることができる。本発明のアロマキャンドルにおける紙製のカードには、メッセージ等の文章およびイラスト等が記入可能になっていてもよく、メッセージ等の文章およびイラスト等が予め記入されていてもよく、アロマキャンドルが融解したときに、カードに書かれている文章およびイラスト等を明瞭に浮かび上がらせることができる。
【0020】
紙製のカードは、香料を含有する。香料は、たとえば紙製のカードに染み込ませることにより、カードに含有させることができる。カードが紙製であることにより、香料を容易に染み込ませることができる。香料は、たとえばカードに香料を噴霧すること、カードを香料に浸漬すること、さらに乾燥させること等の手順によってカードに含有させることができる。
【0021】
香料は、任意の香料であることができ、たとえば植物性香料、動物性香料およびその他の香料物質を用いることができる。植物性香料には、サンダルウッド油、ラベンダー油、レモングラス油、セージ油、タイム油およびローズマリー油などが含まれる。動物性香料には、たとえばムスクおよびシベットなどが含まれる。香料物質には、リナロール、ゲラニオールおよびフェニルエチルアルコールなどのアルコール類、シトラールおよびシトロネラールなどのアルデヒド類、インドールおよびスカトール等の含窒素化合物、ならびにフェニルエチルアセテートなどのエステル類が含まれる。紙製のカードは、1種類の香料を単独で含有してもよいし、2種類以上の香料を組み合わせて含有してもよい。
【0022】
本発明のアロマキャンドルにおいて、蝋は、カードの周囲に形成される。蝋は、たとえばカードの周囲に薄い層としてコーティングされてもよい。また、蝋は、カードの周囲に形成されていれば、特に限定されず、円柱状、多角柱状および球状などの任意の形状であることができる。蝋のコーティングの厚さは、所望の厚さであることができるが、たとえば0.1mm~5mm、0.5mm~3mmおよび1mm~2mmであることができる。
【0023】
蝋には、通常ロウソクに用いられる公知の材料を用いることができ、たとえばパラフィンワックス、ステアリン酸ワックス、大豆ワックス、ココナッツワックス、みつろうおよびパームワックスなどを用いることができる。
【0024】
カードの周囲に蝋をコーティングする方法には、従来公知の方法を用いることができる。たとえば、融解した蝋をカードに塗布する方法、容器の中で蝋を加熱して融解し、融解した蝋の中にカードを差し込んだ後に冷まして固める方法などを用いることができる。
【0025】
本発明のアロマキャンドルは、紙製のカードおよびカードを収容する容器をさらに備えてもよい。容器は、アロマキャンドルを収容可能な任意の大きさおよび形状であることができる。容器は、特に限定されないが、上部を開口した中空の円柱状および多角柱状などであることができる。
【0026】
容器の内部には、カード立てを備えていてもよい。カード立てが形成されていることにより、使用後にカードを容易に交換して容器内部に立てて設置することによって再度使用することができる。
【0027】
容器の材質は、耐熱性の素材であることができ、たとえば耐熱性のスチールおよびアルミニウム等の金属、耐熱性の樹脂および耐熱性のガラス等であることができる。
【0028】
本発明のアロマキャンドルは、容器の開口部分に装着される蓋部材をさらに備えてもよい。蓋部材の材質は、特に限定されず、木製、紙製、プラスチック、スチール、アルミニウムおよびガラス等であることができる。
【0029】
たとえば、図2に示すように、容器2は、枠22、容器本体21および蓋部材24を備え、紙製のカード20が容器本体21内部に設置される。
【0030】
容器本体21は、容器上の構造、すなわち上部が開口し、底部を有する中空の筒状、たとえば円柱状の構造である。容器本体21は、内部にカード立て25を備える。カード立て25は、図2および図3に示すように、容器本体21内にカード20を垂直に立てて配置することができるように設置される。カード立て25は、容器本体21の底部にカード25を挟むことができるように、重りを2つ儲けることによって形成してもよい。また、カード立て25は、容器本体21の内側側面や底部にカード20を挟むことができる溝を形成することができる。カード20の両端を溝に挟んでカードを立てて保持することができる。
【0031】
枠22は、上部および下部が開口した中空の筒状、たとえば円柱状の構造である。枠22は、その内面に、容器本体21を支えるための支持部材23を備える。支持部材23は、任意の形状であることができるが、たとえば、図2に示すように、枠22の内側の面に取り付けられた短い棒状の部材であることができる。支持部材23は、枠22の任意の位置に設置することができるが、たとえば図2に示すように枠22の下方に設置すされる。支持部材23があることにより、アロマキャンドルおよび容器本体21を枠22の中で支持することができる。また、枠22は、内部に容器本体21を収容できるように、容器本体21の外径よりも大きい内径を有する。
【0032】
蓋部材24は、容器本体21の上部の開口を蓋することができる形状であれば、任意の形状であることができる。また、蓋部材24は、図3に示すように、容器本体21のみを蓋する形状であってもよく、容器本体21および枠22の両者を蓋することができる形状であってもよい。容器は、たとえば図3に示すように、枠22の内部の支持部材23の上に容器本体21を収容し、さらに容器本体21内にカード20を収容し、さらに蓋部材24で容器本体21を蓋することにより、本発明のアロマキャンドルを容器と共に一体として提供することができる。
【0033】
なお、本発明において、枠22の形状は、円柱状に限らず、多角形状等であってもよい。また、支持部材23は、1個であってもよいし、2個あるいは4個以上であってもよい。支持部材は、図2および3に示す形状に限らず、容器本体21が落下しないように枠内に支持することが可能な形状であることができる。枠22および支持部材23の材質には、耐熱性のガラス、スチールおよびアルミニウム等の金属、ならびに耐熱性の樹脂等を用いることができる。枠の材質が、パイレックス(登録商標)等の透明なガラスであれば、枠22を通して横からもアロマキャンドルを視認することができる。
【0034】
本発明のアロマキャンドルは、使用時に火を付けることによってカードがロウソクの芯となって燃焼すると共に、芳香を拡散することができる。カードを用いることにより、炎が線状となって広範囲で燃えるため、香りを広範囲に拡散させることができる。また、炎を線状にすることができるため、リビングテーブルなどに置いた際に、小さな焚火または絵画を眺めるようなリラックスできる空間および時間を作り出すことができる。本発明のアロマキャンドルは、燃焼時に視覚的にも高いリラックス効果を与えることができる。
【実施例0035】
本発明のアロマキャンドルの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0036】
図1は、本発明のアロマキャンドルの一実施形態を示す図である。
【0037】
図1に示すアロマキャンドルは、カード型のアロマキャンドル1であり、蝋によりコーティングされた紙製のカードを備える。アロマキャンドル1は、紙製のカード2と、カードの周囲にコーティングされた薄い蝋の層3とを備える。図1左側に示したカードの破線における断面図を図1右側に示してあり、周囲が蝋の層3でコーティングされているカード2の模式図である。紙製のカードには、香料が染み込んでいる。カードに香料をしみこませる手順として、市販のアロマオイルを容器にいれカードを液体に浸す。アロマオイルが染み込んだカードを、熱を加えて液体状になった蝋に浸す。カードがすべて蝋に浸かったら取り出して、カードを乾燥させる。この手順により、カード表面に蝋がコーティングされたアロマキャンドルを作製することができる。アロマキャンドル1は、たとえば耐熱性の容器内またはカードホルダー等に立てて燃やすことにより用いることができる。アロマキャンドル1を燃やすと、カードがロウソクの信組なって燃焼し、炎が線状となり、香りを広範囲に拡散させることができる。カード1には、香料が染み込んでいるので、火をつけると炎が線状となって香りを広く拡散することができる。
【0038】
図2は、本発明のアロマキャンドルの実施形態を示す図である。図2に示すアロマキャンドルは、ガラス製の枠22と、容器本体21と、紙製のカード20と、蓋部材24とを備える。紙製のカード20には香料が染み込んでいる。
【0039】
図2において、容器本体21は、底部を有する円筒状の形状として示してある。容器本体21内には、カード立て25を容器本体21の底部に二つの球状の磁石として設置する例を示してある。二つの球状の磁石の間にカード20を挟むことによって、カード20を立てて設置することができる。また、容器本体21の底部中央には、球状の磁石が移動しにくいように突起を設けてある。あるいは、カード立て25は、容器本体21の側面に対向する2箇所、すなわち180°の位置にそれぞれ溝が設けることによって、溝にカード20を収容してもよい。
【0040】
枠22は、透明のガラスにより構成された、上部および下部が開口した中空の円柱状の構造である。枠22は、その内面の下方の3箇所に、アロマキャンドルを支えるための支持部材23を備える。支持部材23は、枠22の内側の面に取り付けられた短い棒状の部材である。支持部材23があることにより、アロマキャンドルの容器本体21を枠22の中で支持することができる。また、枠22は、内部に容器本体21を収容できるように、容器本体21の外径よりも大きい内径を有する。
【0041】
図2に示すアロマキャンドルは、カードおよび蝋が燃えてなくなった後に、図4に示す方法でロウソクを簡単に作り直すことができる。図4は、本発明のキャンドルを作り直す方法の一例を説明する図である。図4に示す容器本体31、枠32は、図2に示す容器本体21、枠22と同じ構成である。アロマキャンドルを作り直す際には、図2に示す枠22の上下をひっくり返して図4の枠32のように設置する。図2に示す枠22をひっくり返して設置することにより、支持部材23は、図4のように枠32の内側の面の上方に位置する。次に、容器本体31の中に蝋を入れて支持部材33の上に載せる。容器本体31の下にできた空間にロウソク33を置いて燃やすことにより、容器本体31の下から蝋を加熱して融解することができる。融解した蝋の中に新たなカード30を差し込み、冷まして蝋を固めることにより、ロウソクを作り直すことができる。容器本体31に入れる蝋は、特に限定されないが、たとえば蜜蝋などの粒状のビーズワックスなどを用いることができる。カード30がロウソクの芯となり、線状に燃焼するロウソクを形成することができる。
【0042】
なお、本発明のアロマキャンドルは、上述した方法に限らず、たとえば容器内に蝋を入れ、任意の方法で加熱して蝋を融解した後、蝋の中にカードを差し込んで冷ますことにより作製することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
また、容器12を備えることによって、融解した蝋の透明な液面に線状の炎が浮かび、海、水平線あるいは地平線に浮かぶ朝焼けを連想させ、視覚的に高いリラックス効果を与えることができる
【0044】
本発明は、香りを広範囲に拡散させることができるアロマキャンドルに利用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1・・・アロマキャンドル
10、20、30・・・紙製のカード
11・・・蝋
12、21、31・・・容器本体
22、32・・・枠
23、33・・・支持部材
24・・・蓋部材
図1
図2
図3
図4