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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163285
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】多目的洗浄器
(51)【国際特許分類】
   A61H 35/00 20060101AFI20231102BHJP
   A61H 33/00 20060101ALI20231102BHJP
   A61C 17/02 20060101ALI20231102BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
A61H35/00 P
A61H33/00 T
A61C17/02 B
B65D83/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074060
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】紅谷 翔太
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 博
【テーマコード(参考)】
3E014
4C094
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB03
3E014PC02
3E014PC03
3E014PD13
3E014PE19
3E014PE20
3E014PE24
3E014PE30
3E014PF10
4C094BC12
4C094DD12
4C094EE17
4C094GG05
4C094GG18
(57)【要約】
【課題】持ち運びに便利な多目的洗浄器を提供する。
【解決手段】胴周壁14から口頸部18を起立する容器体10と、前記口頸部18に装着され、前記容器体10内から吸い上げた液体を供給させるための供給口54を有するヘッド部44を備えたディスペンサー30と、前記供給口54に接続された柔軟なチューブ62の先部62bに、人体の特定部位を洗浄するための吐出部64を着脱可能に取り付けてなる管状ノズル60とを具備する。前記吐出部64の付け替えにより複数の特定部位に適したモードに変更できる。前記胴周壁14の外面に、縦溝状の収納凹部20が設けられている。前記供給口54から前記チューブ62が垂下された状態で、当該チューブ62の先部62b及び前記吐出部64を前記収納凹部20内へ収納させる。また収納凹部20の側方開口部24を覆う覆合手段Cを具備する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴周壁(14)から口頸部(18)を起立する容器体(10)と、
前記口頸部(18)に装着され、前記容器体(10)内から吸い上げた液体を供給させるための供給口(54)を有するヘッド部(44)を備えたディスペンサー(30)と、
前記供給口(54)に接続された柔軟なチューブ(62)の先部(62b)に、人体の特定部位を洗浄するための吐出部(64)を着脱可能に取り付けてなる管状ノズル(60)と
を具備し、前記吐出部(64)の付け替えにより複数の特定部位に適したモードに変更できるように構成した多目的洗浄器において、
前記胴周壁(14)の外面に、縦溝状の収納凹部(20)が設けられており、前記供給口(54)から前記チューブ(62)が垂下された状態で、当該チューブ(62)の先部(62b)及び前記吐出部(64)を前記収納凹部(20)内へ収納させることが可能に設けたことを特徴とする多目的洗浄器。
【請求項2】
前記収納凹部(20)は上方側及び側方側に開口しており、
この収納凹部(20)の側方開口部(24)を覆う筒状の覆合手段(C)が、前記胴周壁(14)を包囲するように配備されており、
この覆合手段(C)は、周方向の一部に切り欠き(78)を有しており、前記容器体(10)に対する回転操作により、前記切り欠き(78)が少なくとも前記収納凹部(20)の上半部(24a)に重なり、当該切り欠き(78)を介して、前記チューブ(62)の先部(62b)及び前記吐出部(64)を前記収納凹部(20)から取り出すことが可能に設けたことを特徴とする、請求項1に記載の多目的洗浄器。
【請求項3】
前記覆合手段(C)は、前記胴周壁(14)を包囲するとともに前記側方開口部(24)の下半部(24b)を覆う下側カバー周壁(4)と、この下側カバー周壁(4)の上部(4b)に嵌合され、当該上部(4b)及び前記ディスペンサー(30)を包囲するとともに前記側方開口部(24)の上半部(24a)を覆う上側カバー周壁(72)とで構成され、
前記上側カバー周壁(72)の上部分に前記切り欠き(78)を形成するとともに、
前記上側カバー周壁(72)を前記下側カバー周壁(4)に対して回転動作に伴って下降させることにより、前記切り欠き(78)が前記側方開口部(24)の上半部(24a)と重なる位置へ移動することが可能に設けたことを特徴とする、請求項2に記載の多目的洗浄器。
【請求項4】
前記下側カバー周壁(4)及び前記上側カバー周壁(72)との間には、前記下側カバー周壁(4)の回りでの前記上側カバー周壁(72)の回転操作に伴って、この上側カバー周壁(72)を前記下側カバー周壁(4)に対して昇降させる昇降機構(R)を設けたことを特徴とする、請求項3に記載の多目的洗浄器。
【請求項5】
前記容器体(10)の下方に、当該容器体(10)を支えるための脚台(80)を取り外し可能に配備させており、
この脚台(80)は、中空筒体として形成され、当該筒体内に、前記チューブ(62)の先部(62b)に取り付けるための予備用吐出部(64R)を収納する収納空間(S)を有することを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれかに記載した多目的洗浄器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多目的洗浄器、特に人体の複数の特定部位を洗浄するのに適した多目的洗浄器に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の特定部位(例えば歯・目・鼻腔・舌)を洗浄するための多目的洗浄器が知られている(特許文献1)。この多目的洗浄器は、容器体の口頸部に、容器体内の液体を供給させるための供給口を有するディスペンサーを装着するとともに、前記供給口に接続された柔軟なチューブの先部に、特定部位を洗浄するための吐出部を着脱可能に取り付けてなるノズルを備え、異種の吐出部への付け替えにより別の特定部位に適したモードに変更できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-61975
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多目的洗浄器は、持ち運びして使用することがあるが、特許文献1の多目的洗浄器は、ノズルが長く、使用前や使用後に当該ノズルを収納するスペースがないので、持ち運びしにくく、かつ、衛生面に難点があった。
【0005】
本発明の第1の目的は、持ち運びに便利な多目的洗浄器を提供することである。
本発明の第2の目的は、衛生面で好適な多目的洗浄器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、胴周壁14から口頸部18を起立する容器体10と、
前記口頸部18に装着され、前記容器体10内から吸い上げた液体を供給させるための供給口54を有するヘッド部44を備えたディスペンサー30と、
前記供給口54に接続された柔軟なチューブ62の先部62bに、人体の特定部位を洗浄するための吐出部64を着脱可能に取り付けてなる管状ノズル60と
を具備し、前記吐出部64の付け替えにより複数の特定部位に適したモードに変更できるように構成した多目的洗浄器において、
前記胴周壁14の外面に、縦溝状の収納凹部20が設けられており、前記供給口54から前記チューブ62が垂下された状態で、当該チューブ62の先部62b及び前記吐出部64を前記収納凹部20内へ収納させることが可能に設けた。
【0007】
本手段では、図1に示す如く、胴周壁14から口頸部18を起立する容器体10と、前記口頸部18に装着され、供給口54を有するヘッド部44を備えたディスペンサー30と、前記供給口54に接続された柔軟なチューブ62の先部62bに、人体の特定部位を洗浄するための吐出部64を着脱可能に取り付けてなる管状ノズル60とを具備する。
前記胴周壁14の外面に、縦溝状の収納凹部20が設けられており、前記供給口54から前記チューブ62が垂下された状態で、当該チューブ62の先部62b及び前記吐出部64を前記収納凹部20内へ収納させることが可能である。
この構造によれば、管状ノズル60が長くとも、使用前及び使用後に邪魔にならないように収納でき、持ち運びが便利であり、かつ使い勝手もよい。
【0008】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ前記収納凹部20は上方側及び側方側に開口しており、
この収納凹部20の側方開口部24を覆う筒状の覆合手段Cが、前記胴周壁14を包囲するように配備されており、
この覆合手段Cは、周方向の一部に切り欠き78を有しており、前記容器体10に対する回転操作により、前記切り欠き78が少なくとも前記収納凹部20の上半部24aに重なり、当該切り欠き78を介して、前記チューブ62の先部62b及び前記吐出部64を前記収納凹部20から取り出すことが可能に設けた。
【0009】
本手段では、図1に示すように、前記収納凹部20は上方側及び側方側に開口している。
この収納凹部20の側方開口部24を覆う筒状の覆合手段Cが、前記胴周壁14を包囲するように配備されている。
この覆合手段Cは、図1に想像線で、また図2(B)に実線で示すように、周方向の一部に切り欠き78を有している。
そして、図2(B)に矢示する方向への前記容器体10に対する回転操作により、前記切り欠き78が少なくとも前記収納凹部20の上半部24aに重なり、当該切り欠き78を介して、前記チューブ62の先部62b及び前記吐出部64を前記収納凹部20内から取り出すことが可能である。
この構造によれば、チューブ62の先部62b及び吐出部64が収納凹部20から不意に離脱することを防止できるので、使い勝手がよい。また、当該離脱により他物に接触して汚れが付着することも避けられるので、衛生面で好適である。
【0010】
第3の手段は、第2の手段を有し、かつ前記覆合手段Cは、前記胴周壁14を包囲するとともに前記側方開口部24の下半部24bを覆う下側カバー周壁4と、この下側カバー周壁4の上部4bに嵌合され、当該上部4b及び前記ディスペンサー30を包囲するとともに前記側方開口部24の上半部24aを覆う上側カバー周壁72とで構成され、
前記上側カバー周壁72の上部分に前記切り欠き78を形成するとともに、
前記上側カバー周壁72を前記下側カバー周壁4に対して回転動作に伴って下降させることにより、前記切り欠き78が前記側方開口部24の上半部24aと重なる位置へ移動することが可能に設けた。
【0011】
本手段では、図1に示すように、前記覆合手段Cは、前記胴周壁14を包囲するとともに前記側方開口部24の下半部24bを覆う下側カバー周壁4と、この下側カバー周壁4の上部4bに嵌合され、当該上部4b及び前記ディスペンサー30を包囲するとともに前記側方開口部24の上半部24aを覆う上側カバー周壁72とで構成されている。
そして、前記上側カバー周壁72の上部分に形成した前記切り欠き78が、前記上側カバー周壁72の回転動作により、前記側方開口部24の上半部24aと重なるように設けた。
この構造によれば、簡単な操作により、チューブ62の先部62b及び吐出部64を収納凹部20内から容易に取り出すことができる。
【0012】
第4の手段は、第3の手段のいずれかを有し、かつ前記下側カバー周壁4及び前記上側カバー周壁72との間には、前記下側カバー周壁4の回りでの前記上側カバー周壁72の回転操作に伴って、この上側カバー周壁72を前記下側カバー周壁4に対して昇降させる昇降機構Rを設けた。
【0013】
本手段では、図1に示すように、前記下側カバー周壁4及び前記上側カバー周壁72との間に昇降機構Rを設けている。
この昇降機構Rは、前記下側カバー周壁4の回りでの前記上側カバー周壁72の回転操作に伴って、この上側カバー周壁72を前記下側カバー周壁4に対して昇降させる。
この構造によれば、回転操作により上側カバー周壁72が下降するので、管状ノズル60を引き出す作業が容易となり、操作性がよい。
【0014】
第5の手段は、第1の手段から第4の手段のいずれかを有し、かつ前記容器体10の下方に、当該容器体10を支えるための脚台80を取り外し可能に配備させており、
この脚台80は、中空筒体として形成され、当該筒体内に、前記チューブ62の先部62bに取り付けるための予備用吐出部64Rを収納する収納空間Sを有する。
【0015】
本手段では、図6に示すように、前記容器体10の下方に、当該容器体10を支えるための脚台80を取り外し可能に配備させている。
この脚台80は、中空筒体として形成され、当該筒体内に、前記チューブ62の先部62bに取り付けるための予備用吐出部64Rを収納する収納空間Sを有する。
この構造によれば、前記吐出部64の付け替えが容易であり、使い勝手がよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ノズルを収納するための収納凹部20を備えるので、持ち運びに便利であり、また衛生面でも好適である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る多目的洗浄器を側方から見た断面図である。
図2図1に示す多目的洗浄器の横断面図であり、同図(A)はII(A)- II(A)方向から見た構造を、同図(B)はI(B)-II(B)方向から見た構造をそれぞれ示している。
図3図1に示す多目的洗浄器の正面図である。
図4図1に示す多目的洗浄器から上側カバー部材を省略した構成の側面図である。
図5図1に示す多目的洗浄器の使用状態の説明図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る多目的洗浄器の要部を示しており、同図(A)は当該要部の断面図、同図(B)は当該要部をVI(B)- VI(B)方向から見た横断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1から図5は、本発明の実施形態に係る多目的洗浄器1を示している。本実施形態の多目的洗浄器1は、図1に示す如く、下側カバー部材2と、容器体10と、ディスペンサー30と、管状ノズル60と、上側カバー部材70とで構成されている。
これら各部材は、例えば合成樹脂材や金属で形成することができる。
【0019】
下側カバー部材2は、前記容器体10を収容可能な外ケースである。
図示例の前記下側カバー部材2は、平板状の底板3の周端から、後述の容器体10の胴周壁14を包囲するための下側カバー周壁4を立設してなる。
この構造は適宜変更することができ、例えば前記底板3は省略することができる。
本実施形態においては、前記下側カバー周壁4は、上端開口の円筒体である。
前記下側カバー周壁4の周方向の一部には、当該下側カバー周壁4の下部4aから上部に亘って、後述の収納凹部20と連通させるための連通口6が縦設されている。図示例の連通口6は、図5に点線で示す如く、縦長の帯状に形成されている。
また前記下側カバー周壁4の下部4aの内面には、後述の受溝b2と係合させるための複数本の回り止め用リブb1が縦設されている。
前記下側カバー周壁4の上部4bの外面には、後述の上側カバー周壁72が嵌合されているとともに、上側カバー周壁72の内面に設けた後述の摺動突子76を案内するための一対の案内溝8が形成されている(図4参照)。これら案内溝8と摺動突子76とにより、昇降機構Rが形成されている。
この昇降機構Rは、前記下側カバー周壁4の回りでの前記上側カバー周壁72の回転操作に伴って、この上側カバー周壁72を前記下側カバー周壁4に対して昇降させる機能を有する。
この構造によれば、回転操作により後述の切り欠き78を後述の側方開口部24に合致させることができるとともに、図5に示すように、上側カバー周壁72が下降することにより、管状ノズル60の上半部(後述のチューブ62の基部62a)が外部に露出するので、この露出部分を摘まんで管状ノズル60を簡単に引き出すことができ、操作性がよい。
もっとも前記構造は適宜変更することができる。
図示例では、前記案内溝8は、図4に示す如く、前記下側カバー周壁4の上端から下方へ短く延びる縦溝部8aと、縦溝部8aの下端から周方向の一方へ向かうに従って下がる傾斜溝部8bと、傾斜溝部8bの下端から当該一方へ短く延びる横溝部8cとからなる。
また、前記傾斜溝部8bの両側には、前記摺動突子76が強制乗り越え可能な一対のクリック用突子iが付設されている。当該突子を摺動突子76が乗り越えるときに生ずるクリック感により、摺動突子76が縦溝部8aから傾斜溝部8bへ、また傾斜溝部8bから横溝部8cへ移動したことが、使用者に判る。
【0020】
容器体10は、人体の特定部位を洗浄するための液体(例えば水)を収納するための液体容器である。
本実施形態では、前記容器体10は、底壁12の周端から直筒状の胴周壁14を立設するとともに、この胴周壁14から肩部16を介して口頸部18を起立している。
この口頸部18の外面には、後述の装着筒32aに螺合させるためのオネジnが形成されている。
また胴周壁14の下部外面には、前記回り止め用リブb1を昇降可能に嵌入させるための受溝b2が縦設されている。そして、これら回り止め用リブb1と受溝b2とで、回り止め機構Bを形成している。
また前記胴周壁14の外面の適所(図示例では前記受溝b2の溝基部)には、下側カバー周壁4の内面にくい込む圧接部15が形成されており、当該圧接により、下側カバー周壁4から胴周壁14が上方へ抜出すことを規制している。
なお、圧接部15の構造及び配置は適宜変更することができ、例えば受溝形成箇所以外の場所で周方向に延びる圧接リブとしてもよい。
【0021】
前記胴周壁14の周方向の一部には、縦溝状の収納凹部20が設けられている。
前記収納凹部20は、後述の管状ノズル60のチューブ62及びこのチューブ62の先部62bに取り付けられた吐出部64を収納するための部位である。
具体的には、前記収納凹部20は、後述のヘッド部44の供給口54から後述の管状ノズル60のチューブ62が垂下された状態で、当該チューブ62の先部62b及び前記吐出部64を収納させるように構成している。
この構造によれば、前記供給口54にチューブ62を接続したままで、その先部62b及び吐出部64を収納凹部20内に収納しているから、これら先部62b及び吐出部64を引き出した後に直ちにヘッド部44を押し下げることができ、チューブ62の上流側端部Uを給液管52に取り付ける作業が必要ないから、使い勝手がよい。
収納凹部20は、前記供給口54から垂下されるチューブ62の先部62b及び吐出部64を収納することが可能な長さを有する。図示例では、収納凹部20は、胴周壁14の垂直方向のほぼ全長に亘って形成されているが、この構造は適宜変更することができる。
本実施形態において、前記収納凹部20は上方側及び側方側に開口しており、図5に示す如く相互に連続する上方開口部22及び側方開口部24を有する。
図示例において、前記上方開口部22は、前記供給口54のほぼ真下に位置しており、当該供給口54から垂下されたチューブ62が前記上方開口部22を通過して前記収納凹部20内に収納されるように配置されている。
前記側方開口部24は、図5に示すY方向に、前記上方開口部22と同程度の横幅を有し、かつ、上方開口部22と空間的に連続している。
図示例において、前記収納凹部20は、図2(A)に示すように、垂直な基部20aと一対の溝側部20bとで画成される、上面から見て略矩形の形状に形成されている。
同図において基部20aのY方向の幅Wy及び溝側部20bのX方向の幅Wxは、前記チューブ62の径d1及び吐出部64の径d2より大である。
また前記底壁12からは、図1に示す如く、前記収納凹部20の下端面を画成する端壁部26を延設している。
【0022】
ディスペンサー30は、前記口頸部18に装着され、前記容器体10内から吸い上げた液体を供給させるための供給口54を有するヘッド部44を備えている。
ディスペンサー30の構成について、公知の事柄を簡略化して或いは省略して簡潔に解説する。
前記ディスペンサー30は、前記口頸部18に装着された装着部材32から、前記容器体10内へシリンダ34を、またこのシリンダ34の下端から液体吸上げパイプ37をそれぞれ垂下するとともに、前記シリンダ34内へ、作動部材40の下半部を上方付勢状態で昇降可能に嵌挿させてなる。また、前記シリンダ34の上部側には作動部材40の下部の抜止め部材38が配備されている。
前記作動部材40は、シリンダ34内から起立するステム42の上端に前記ヘッド部44を付設している。このヘッド部44は、円板状の頂板46から前記ステム42への連結筒部48、及び、連結筒部48を囲むヘッド周壁50を垂設するとともに、このヘッド周壁50を貫通させて前記連結筒部48の上部から外方へ給液管52を突設してなる。この給液管52の先端には前記供給口54が開口されている。
そしてヘッド部44の昇降により、容器体10内の液体が第1逆止弁V1を介してシリンダ34内へ吸引するとともに、シリンダ34内の液体が第2逆止弁V2を介して供給口54側へ圧送されるように形成されている。
前記装着部材32は、前記口頸部18の外面に螺合された装着筒32aの上端から内向きフランジ32bを内方に突出しており、この内向きフランジ32bと前記口頸部18との間に、前記シリンダ34の上端に付設した鍔部35を挟持している。この鍔部35からは係止筒jが起立している。前記抜止め部材38は、ステム42を囲むリング板38aの裏面から垂設する2重筒38bの間に、前記係止筒jを挟持させてなる。
もっともこれらの構造は適宜変更することができる。
【0023】
管状ノズル60は、前記供給口54に接続された柔軟なチューブ62の先部62bに、管状の吐出部64を着脱可能に取り付けてなる。
なお、本明細書において、前記チューブ62のうちで、図1に示す状態で前記収納凹部20の上方開口部22より上方にある部分を、チューブ62の基部62aといい、また、前記上方開口部22より下側にある部分を、チューブ62の先部62bという。
【0024】
前記チューブ62は、液体を前記供給口54から人体の特定部位付近へ導く導液手段であり、柔軟でかつ変形自在(折曲げ可能)な素材で形成されている。
前記チューブ62の基部62aは、前記給液管52の外面に嵌着された上流側端部Uを含み、この上流側端部Uから真下へ垂下している。
前記基部62aは、図5に示す如く、前記上側カバー部材70を下降させた状態で、外部に露出するように配置されている。これにより、チューブ62の先部62b及び吐出部64を収納凹部20から引き出すときに、当該基部62aを摘まんで外方へ引っ張ることにより、先部62b及び吐出部64の引き出しが可能である。
前記チューブ62の先部62bは、前記収納凹部20内へ挿入されている。図示例では、当該先部62bの下端部(下流側端部L)は、図1に示すように、前記連通口6の下端より下側に位置している。
【0025】
前記吐出部64は、前記チューブ62側から供給された液体を、人体の特定箇所へ供給するための吐出孔66を有する中空の部材である。
本実施形態では、前記吐出部64は、全体として縦長の筒状(吐出管)として形成されている。具体的には、前記吐出部64は、厚肉で円管形の管壁部64aの下端側に半球状の終端部64bを付設するとともに、前記管壁部64aの上端から小外径の筒状の連結部64cをしており、前記管壁部の適所(図示例では管径方向の両側)及び終端部64bにそれぞれ吐出孔66を開口してなる。
前記吐出部64の形態は、人体の特定部位の深さや広さに応じた形態とするとよい。例えば、鼻孔用では円錐型の栓状のもの(特許文献1の図6参照)、デリケートゾーン用では細長い形状のものが知られている。
なお、前述の2種類の特定部位以外の人体の部位に対応する吐出部の構成を採用しても構わない。
前記連結部64cは、前記チューブ62の下流側端部Lに着脱自在に嵌合されている。
こうすることにより、前記吐出部64の付け替えにより複数の特定部位に適したモードに変更できる。
【0026】
上側カバー部材70は、前記下側カバー周壁4の上部4b及びディスペンサー30の周囲を覆う外カバーである。
この上側カバー部材70は、前記下側カバー部材2に対して、回転操作に伴う昇降可能に取り付けられている。
本実施形態の上側カバー部材70は、図1に示すように、上側カバー周壁72と、リング状頂壁74で形成されている。
【0027】
前記上側カバー周壁72は、図1に示す如く、前記下側カバー周壁4の上部4bに嵌合され、当該上部4b及びディスペンサー30を包囲するように、前記下側カバー周壁4の上部4bより上方へ延びている。
これら上側カバー周壁72及び下側カバー周壁4により、前記収納凹部20の側方開口部24を覆う筒状の覆合手段Cを形成させている。具体的には、前記下側カバー周壁4が前記側方開口部24の上半部24aを、前記下側カバー周壁4が前記側方開口部24の下半部24bをそれぞれ覆っている。
こうすることにより、前記チューブ62の先部62b及び吐出部64が前記収納凹部20から外れることを防止している。
【0028】
また前記上側カバー周壁72の外面には、一対の摺動突子76が付設されている。各摺動突子76は、前記案内溝8内へ摺動可能にそれぞれ挿入されており、これら摺動突子76及び案内溝8により、昇降機構Rが形成されている。
これにより、前記下側カバー周壁4に対する上側カバー周壁72の回転操作により、下側カバー部材2に対して上側カバー部材70を螺下降及び螺上昇させることができる。
なお、摺動突子76及び案内溝8の数は適宜変更することができる。
【0029】
前記上側カバー周壁72の周方向の一部には、図2(A)に示すように、切り欠き78が形成されている。
図示例の切り欠き78は、図1に一点鎖線で示すように、上側カバー周壁72の上部に開口されている。
そして、前記上側カバー周壁72を前記下側カバー周壁4に対して回転動作に伴って下降させることにより、前記切り欠き78が前記側方開口部24の上半部24aと重なる位置(図5参照)へ移動することが可能に設けている。
図示例において、前記切り欠き78の形状は、前記収納凹部20の側方開口部24の上半部24aに対応させて、縦長の帯状としている。
なお、前記切り欠き78は、上側カバー周壁72のうちで図1中の紙面に現れない一半部(図2(B)で下側に現れる半部)に形成されており、当該一半部における配置が前記一点鎖線で示されている。
前述の切り欠き78の構造は、適宜変更することができる。例えば、前記切り欠き78は、図示例では、前述の如く上側カバー周壁72の上半部に形成されているが、これを、上側カバー周壁72の上端から下端近くまで形成してもよく、これにより、上側カバー周壁72を下降させずに回転させるだけで、連通口6と切り欠き78とを合致するようにしてもよい。この場合には、前記昇降機構Rを省略することができる。
【0030】
前記リング状頂壁74は、前記上側カバー周壁72の上端から内方へ一体的に突設されている。
図示例では、図3に示すように、前記リング状頂壁74の上面と前記頂板46の上面とがほぼ面一に連なるように、前記リング状頂壁74を配置している。
そして、図1に示すように、前記リング状頂壁74の内端と前記頂板46の外端とは相互に近接(又は当接)している。
この構成によれば、管状ノズル60は、頂板46と上側カバー部材70と下側カバー部材とにより、外部から遮蔽されている。
【0031】
前記構成において、図1の状態では、下側カバー部材2及び上側カバー部材70が容器体10の胴周壁14及びディスペンサー30のヘッド部44を包囲しており、当該ヘッド部44の供給口54から垂下された管状ノズル60も外部から遮蔽されている。
そして、当該管状ノズル60のチューブ62の先部62b及び吐出部64は、前記収納凹部20内に収納されている。この収納凹部20の側方開口部24は、下側カバー周壁4及び上側カバー周壁72によって覆われている。
この状態で多目的洗浄器1を衛生的に持ち運ぶことができ、管状ノズル60が長くても、使用前及び使用後において、当該管状ノズル60が持ち運びの邪魔になることもない。
図1の状態から、下側カバー部材2に対して上側カバー部材70を開方向(図2(A)に矢示する方向)回転させると、前記摺動突子76が前記案内溝8の傾斜溝部8b内を摺動することにより、上側カバー部材70が螺下降する。これにより、前記切り欠き78が前記収納凹部20の上半部24aと重なる位置へ移動する。
そして、管状ノズル60のチューブ62の基部62aを指で摘まんで側外方(図1のX方向外側)へ引っ張ることにより、チューブ62の先部62b及び吐出部64が、前記側方開口部24の上半部24aを介して、前記収納凹部20から引き出される。
この吐出部64を人体の特定部位に当てて、前記ヘッド部44を押し下げることにで、前記吐出部64から液体が吐出され、特定部位を洗浄することができる。
また人体の別の特定部位を洗浄するときには、その部位に対応した形態の吐出部64を、前記チューブ62の下流側端部Lに付け替えればよい。
洗浄作業が終ったら、再び、チューブ62の先部62b及び吐出部64を収納凹部20内へ収納し、次に、前記上側カバー部材70を閉方向へ回転させると、下側カバー部材2に対して上側カバー部材70が螺上昇し、図1の状態に戻る。
【0032】
前記構成及び作用によれば、容器体10の胴周壁14に縦溝状の収納凹部20を設け、かつヘッド部44の供給口54に接続されたチューブ62の先部62bに吐出部64を取り付け、それら先部62b及び前記吐出部64を前記収納凹部20内へ収納させたから、使用前及び使用後に管状ノズル60が邪魔にならず、持ち運びが便利である。
前記胴周壁14を包囲するとともに周方向の一部に切り欠き78を有する覆合手段Cを具備しており、覆合手段Cの回転操作により、前記切り欠き78が前記収納凹部20に重なり、当該切り欠き78を介して、チューブ62の先部62b及び前記吐出部64を収納凹部20から取り出せるから、使い勝手がよく、衛生面で好適である。
前記覆合手段Cは、収納凹部20の側方開口部24の下半部24bを覆う下側カバー周壁4と、前記側方開口部24の上半部24aを覆う上側カバー周壁72とからなり、前記上側カバー周壁72の上部分に切り欠き78を設けたから、上側カバー周壁72の回転動作により、チューブ62の先部62b及び吐出部64を簡単に取り出せる。
前記下側カバー周壁4及び前記上側カバー周壁72との間には、前記下側カバー周壁4の回りでの前記上側カバー周壁72の回転操作に伴って、この上側カバー周壁72を前記下側カバー周壁4に対して昇降させる昇降機構Rを設けたから、管状ノズル60を外部に引き出すことが容易であり、操作性がよい。
【0033】
以下、本発明の他の実施形態を説明する。これらの説明において第1実施形態と同じ構造については解説を省略する。
【0034】
図6は、本発明の第2実施形態の多目的洗浄器の主要部を示している。
本実施形態では、図6(A)に示す如く、前記容器体10の下方に、当該容器体10を支えるための脚台80を取り外し可能に配備させている。
「容器体を支える」とは、容器体及びディスペンサーの荷重を支えることが可能であればよい。従って、容器体10を直接支持する形態だけではなく、他の物(図示例では下側カバー部材2の底板3)を介在して支える形態を含むものとする。
前記脚台80は、中空筒体として形成され、当該筒体内に、前記チューブ62の先部62bに取り付けるための予備用吐出部64Rを収納する収納空間Sを有する。
本実施形態では、前記脚台80は、平坦な接地用部である基板部82の周端から脚周壁84を起立してなる。
図示例では、前記下側カバー周壁4の下部に、下向きの段差部eを介して縮径する小外径部fを形成しており、この小外径部fに前記脚周壁84の上部を嵌着している。
さらに図示例では、前記脚周壁84の内面の上端部に、第1環状リブm1を、また前記小外径部fの外面に、前記第1環状リブm1の下側に接する第2環状リブm2をそれぞれ周設し、これら第1環状リブm1及び第2環状リブm2により抜止め手段Mを形成している。
これらの構造は適宜変更することができる。
また本実施形態では、前記基板部82から上端開口の保持筒部86を起立し、この保持筒部86に予備用吐出部64Rを保持させている。図面では、簡単のために、予備用吐出部64R同士、及び、既にチューブ62の下流側端部Lに取り付けた吐出部64を同一の構造に描いているが、人体の複数の特定部位に対応した相互に異なる形態の予備用吐出部64Rを、保持筒部86に保持させるとよい。
【0035】
本実施形態では、前記容器体10の下方に配備させた脚台80内に、前記チューブ62の先部62bに取り付けるための予備用吐出部64Rを収納する収納空間Sを有するから、前記吐出部64の付け替えが容易であり、使い勝手がよい。
【符号の説明】
【0036】
1…多目的洗浄器 2…下側カバー部材(外ケース) 3…底板 4…下側カバー周壁
4a…下部 4b…上部 6…連通口 8…案内溝 8a…縦溝部
8b…傾斜溝部 8c…横溝部
10…容器体 12…底壁 14…胴周壁 15…圧接部 16…肩部
18…口頸部 20…収納凹部 20a…基部 20b…凹側部 22…上方開口部
24…側方開口部 24a…上半部 24b…下半部 26…端壁部
30…ディスペンサー 32…装着部材 32a…装着筒 32b…内向きフランジ
34…シリンダ 35…鍔部 37…液体吸上げパイプ
38…抜止め部材 38a…リング状板 38b…2重筒
40…作動部材 42…ステム 44…ヘッド部 46…頂板 48…連結筒部
50…ヘッド周壁 52…給液管 54…供給口
60…管状ノズル 62…チューブ 62a…基部 62b…先部 64…吐出部
64a…管壁部 64b…終端部 64c…連結部 64R…予備用吐出部
66…吐出孔
70…上側カバー部材(外カバー) 72…上側カバー周壁 74…リング状頂壁
76…摺動突子 78…切り欠き
80…脚台 82…基板部 84…脚周壁 86…保持筒部
B…回り止め機構 b1…回り止め用リブ b2…受溝 C…覆合手段
e…段差部 f…小外径部 i…クリック用突部 j…係止筒 L…下流側端部
M…抜止め手段 m1…第1環状リブ m2…第2環状リブ n…オネジ
R…昇降機構 S…収納空間 U…上流側端部 V1…第1逆止弁 V2…第2逆止弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6