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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163303
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/88 20060101AFI20231102BHJP
   G01S 13/36 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
G01S13/88
G01S13/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074113
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 浩樹
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB17
5J070AB24
5J070AC02
5J070AC20
5J070AD08
5J070AD14
5J070AE09
5J070AF01
5J070AH31
5J070AH35
5J070AH40
5J070AK40
(57)【要約】
【課題】検査対象の所持品を効率良く検査する検査システムを提供すること。
【解決手段】実施形態に係る検査システムは、第1回路部と、アンテナと、第2回路部と、第3回路部を具備する。第1回路部は、検査対象が所定物を持っているか否かを推定する。アンテナは、電波を受信可能である。第2回路部は、アンテナにより受信された電波に基づいて、電子機器が所定範囲に存在するか否かを判定する。第3回路部は、第1回路部の推定結果と第2回路部の判定結果に基づいて、検査対象が所定物を持っているか否かを判定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象が所定物を持っているか否かを推定する第1回路部と、
第1電波を受信可能なアンテナ部と、
前記アンテナ部により受信された前記第1電波に基づいて、電子機器が所定範囲に存在するか否かを判定する第2回路部と、
前記第1回路部の推定結果と前記第2回路部の判定結果に基づいて、前記検査対象が前記所定物を持っているか否かを判定する第3回路部と、
を備える検査システム。
【請求項2】
前記第1回路部は前記検査対象が前記所定物を持っていると推定し、前記第2回路部は前記電子機器が前記所定範囲に存在すると判定する場合、前記第3回路部は前記検査対象が前記所定物を持っていないと判定する請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記第1回路部は、前記所定物の位置を推定可能であり、
前記第2回路部は、前記電子機器の位置を判定可能であり、
前記第1回路部は前記検査対象が前記所定物を持っていると推定し、前記第2回路部は前記電子機器が前記所定範囲に存在すると判定し、前記第1回路部が推定した前記所定物の位置と前記第2回路部が判定した前記電子機器の位置が一致する場合、前記第3回路部は前記検査対象が前記所定物を持っていないと判定する請求項1に記載の検査システム。
【請求項4】
前記第1回路部は前記検査対象が前記所定物を持っていると推定し、前記第2回路部は前記電子機器が前記所定範囲に存在しないと判定する場合、前記第3回路部は前記検査対象が前記所定物を持っていると判定する請求項1に記載の検査システム。
【請求項5】
前記第1回路部は、前記所定物の位置を推定可能であり、
前記第2回路部は、前記電子機器の位置を判定可能であり、
前記第1回路部は前記検査対象が前記所定物を持っていると推定し、前記第2回路部は前記電子機器が前記所定範囲に存在すると判定し、前記第1回路部が推定した前記所定物の位置と前記第2回路部が判定した前記電子機器の位置が一致しない場合、前記第3回路部は前記検査対象が前記所定物を持っていると判定する請求項1に記載の検査システム。
【請求項6】
前記第1回路部は、
前記検査対象に第2電波を送信し、前記検査対象で反射された前記第2電波を受信するレーダに備えられた回路部、又は
磁場の変化を検出し、前記磁場の変化に基づいて、前記検査対象が前記所定物を持っているか否かを推定する金属探知機に備えられた回路部である、
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項7】
前記第2回路部は、前記アンテナ部により受信された前記第1電波の受信信号をスペクトラム解析、又はスニファ解析により解析し、解析結果に基づいて、前記電子機器が前記所定範囲に存在するか否かを判定する請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項8】
前記第1電波は、データ、音声信号、チャネルサウンディング、ビーコン、又はデバイスディスカバリを送信する電波を含む請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項9】
前記電子機器に前記第1電波を送信させるための要求信号を送信する第4回路部をさらに具備し、
前記要求信号は、プローブリクエスト信号を送信させるビーコン信号、又はスキャンリクエスト信号を送信させるアドバタイズ信号を含む請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項10】
前記第1回路部は、前記検査対象に第2電波を送信し、前記検査対象で反射された前記第2電波を受信するレーダに備えられ、
前記第2電波の受信信号と、前記第1回路部の推定結果と、前記第2回路部の判定結果とそれぞれが含む複数のデータセットを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記複数のデータセットに基づいて、前記第1回路部が出力する推定結果を変更する第5回路部と、
をさらに具備する請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項11】
前記アンテナ部は、2次元アレイ状に配置された複数のアンテナ、1次元アレイ状に配置された複数のアンテナ、又は1次元アレイ状に配置された複数のアレイアンテナを具備し、前記複数のアレイアンテナの各々は、複数のアンテナを含む、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項12】
前記所定物は、金属物体、又は粉物体である請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項13】
前記電子機器は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、携帯電話機、携帯ゲーム機、センサ内蔵のリストウォッチ、センサ内蔵の衣服、又はセンサ内蔵のシューズである請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、検査対象者の所持品を検査する検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
このような検査システムの一例として、レーダを利用するシステムがある。検査システムは、検査対象者に電波を送信し、反射電波を受信する。検査システムは、反射電波の強度に基づいて、検査対象者が金属や爆薬等の危険物を所持しているか否かを判定する。検査システムは、反射電波の強度に基づいて生成した画像に写っている物体の形状に基づいて、検査対象者がナイフ等の危険物を所持しているか否かを判定することもできる。電波の送信中、検査対象者は静止している必要はなく、歩行していてもよい。そのため、この検査システムは、検査効率がよい。
【0003】
しかし、反射電波の強度や画像の形状に基づく判定では、スマートフォン等の電子機器を危険物であると誤って判断してしまうことがある。誤判定を防ぐためには、検査対象者は、電子機器をカバン、ポケットから取り出し、電子機器を検査システムのオペレータに預ける必要がある。検査対象者は、検査の際、歩行を一時的に停止する。これにより、検査効率が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0291148号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2021/0063536号明細書
【特許文献3】国際公開第2012/140587号
【特許文献4】米国特許第6970087号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、検査対象の所持品を効率良く検査する検査システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る検査システムは、第1回路部と、アンテナと、第2回路部と、第3回路部を具備する。第1回路部は、検査対象が所定物を持っているか否かを推定する。アンテナは、電波を受信可能である。第2回路部は、アンテナにより受信された電波に基づいて、電子機器が所定範囲に存在するか否かを判定する。第3回路部は、第1回路部の推定結果と第2回路部の判定結果に基づいて、検査対象が所定物を持っているか否かを判定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る検査システムの一例について説明するための図。
図2】第1実施形態に係る検査システムの電気的な構成の一例を示すブロック図。
図3】第1実施形態に係る検査システムの一部分の電気的な構成の一例を示すブロック図。
図4】第1実施形態に係る検査システムのプライマリ装置から送信されるチャープ信号の一例を示す図。
図5】第1実施形態に係るプライマリ装置の動作の一例を説明するための図。
図6】第1実施形態に係るプライマリ装置の処理の流れの一例を示すフローチャート。
図7】第1実施形態に係る検査システムのセカンダリ装置の処理の流れの一例を示すフローチャート。
図8】第1実施形態に係る検査システムの判定処理の流れの一例を示すフローチャート。
図9】第2実施形態に係る検査システムの一例について説明するための図。
図10】第3実施形態に係る検査システムのアンテナパネルの一例について説明するための図。
図11】第3実施形態に係るアンテナパネルの他の例について説明するための図。
図12】第3実施形態に係る検査システムの判定処理の流れの一例を示すフローチャート。
図13】第4実施形態に係る検査システムの電気的な構成の一例を示すブロック図。
図14】第4実施形態に係る検査システムが電子機器から電波を受信する処理の一例について説明するための図。
図15】第4実施形態に係る検査システムが電子機器から電波を受信する処理の他の例について説明するための図。
図16】第4実施形態に係る検査システムが電子機器へ送信するアドバタイズ信号の一例を説明するための図。
図17】第5実施形態に係る検査システムの電気的な構成の一例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、実施形態を説明する。以下の説明は、実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、実施形態の技術的思想は、以下に説明する構成要素の構造、形状、配置、材質等に限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各要素のサイズ、厚み、平面寸法又は形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、互いの寸法の関係や比率が異なる要素が含まれることもある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して重複する説明を省略する場合もある。いくつかの要素に複数の呼称を付す場合があるが、これら呼称の例はあくまで例示であり、これらの要素に他の呼称を付すことを否定するものではない。また、複数の呼称が付されていない要素についても、他の呼称を付すことを否定するものではない。なお、以下の説明において、「接続」は直接接続のみならず、他の要素を介した接続も含む場合もある。
【0009】
以下、図面を参照しながら本実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る検査システムの一例について説明するための図である。検査システムの一例は、例えば駅、バスターミナル、空港、ショッピングモール、コンサートホール、展示会場等の多数の人が集まる施設に設置されるセキュリティシステムに関する。実施形態は、歩行中の人物の所持品を検査するが、静止している人物の所持品も検査できる。
【0011】
通路12の一方の側壁14にアンテナパネル16とカメラ20が配置される。通路12は、駅の改札口、部屋の入退出管理ゲート等を含む。通路12は、多数の人物が通行・滞在可能な領域でもよい。通路12の他方の側壁にアンテナパネル18が配置される。通路12の長手方向はX方向と称される。通路12の高さ方向はY方向と称される。通路12の幅方向はZ方向と称される。
【0012】
アンテナパネル16、18は互いに平行である。アンテナパネル16、18の電波送受信領域は、検査対象領域と称される。2枚のアンテナパネル16、18を設けることは必須ではなく、1枚のアンテナパネルのみを設けてもよい。
【0013】
カメラ20の撮影範囲は、検査対象領域である。検査システムは、カメラ20が撮影した画像に基づき、検査対象者10が検査対象領域に侵入したことを検知する。カメラ20の代わりに、検査対象者10を検知する光学センサを用いてもよい。あるいは、アンテナパネル16、18による電波の送受信により検査対象者10が検査対象領域に侵入したことを検知しても良い。
【0014】
アンテナパネル16は、基板と、複数の第1アンテナ22と、複数の第2アンテナ24を含む。第2アンテナ24の数は、第1アンテナ22の数と同じでもよいし、図1は、第2アンテナ24の数が第1アンテナ22の数より小さい例を示す。
【0015】
複数の第1アンテナ22は、検査対象領域に第1電波を送信し、検査対象領域に存在する検査対象者10からの反射電波を受信できるように、アンテナパネル16の基板に2次元アレイ状に配置される。複数の第1アンテナ22の数は、複数の第1アンテナ22の電波送受信範囲が検査対象領域を含むように決められている。
【0016】
もし、単一の第1アンテナ22の電波送受信範囲が検査対象領域を含む場合、複数の第1アンテナ22の代わりに単一の第1アンテナ22を用いてもよい。第1アンテナ22の電波の送受信方向が機械的又は電子的に2次元的に可変である場合、複数の第1アンテナ22の代わりに1個のこのような第1アンテナ22を用いてもよい。第1アンテナ22の電波の送受信方向が機械的又は電子的に1次元的に可変である場合、2次元アレイ状に配置された複数の第1アンテナ22の代わりに、1次元アレイ状に配置された1列のこのような第1アンテナ22を用いてもよい。
【0017】
複数の第1アンテナ22の間隔は等間隔である。間隔として任意の間隔を選ぶことができる。間隔の一例は、第1アンテナ22から送信される第1電波に含まれる複数の電波の波長の中の最も強度が高い波長λの略半分(略半波長)である。なお、略半波長は、例えば、半波長λ/2の±30%までの誤差を含む。
【0018】
第1の電波として任意の電波を選ぶことができる。第1電波の一例は、波長が1センチメートルから100マイクロメートルの電波である。波長が1ミリメートルから1センチメートル(周波数が30GHzから300GHz)の電波は、ミリ波とも称される。波長が100マイクロメートルから1ミリメートル(周波数が300GHzから3THz)の電波は、サブミリ波又はテラヘルツ波とも称される。
【0019】
検査対象者10に第1電波が送信されると、第1電波の伝搬路上に存在する物体で第1電波は反射される。ある距離で反射された第1電波の反射強度を測定することにより、その距離に存在する物体が人体であるか、又は所定物であるかを判定でき、検査対象者10が所定物を持っているか否かを判定できる。所定物とは、検査システムの設置場所で、所持することが許可されていない、いわゆる危険物である。危険物の例は、拳銃、ナイフ等の金属物体や、爆薬等の粉体やガソリン等の液体である。危険物の例は、麻薬等の粉体や金の延べ棒などの不正持ち込み品でもよい。
【0020】
複数の第2アンテナ24は、第2電波を受信可能である。第2の電波として任意の電波を選ぶことができる。第2電波の一例は、周波数が3GHzから30GHz(波長が1センチメートルから10センチメートル)の電波である。周波数が3GHzから30GHzの電波は、マイクロ波とも称される。第2電波の周波数の他の例は、920MHzである。第2電波のさらに他の例は、ミリ波やサブミリ波である。
【0021】
第2電波の周波数は、第1電波の周波数と異なっていればよいので、マイクロ波の一部が第2電波として利用されない場合、第2電波として使用されてないマイクロ波の一部を第1電波として利用してもよい。
【0022】
検査システムが第2電波と第1電波を区別できればよいので、第2電波の周波数が第1電波の周波数と同じでもよい。例えば、第2電波と第1電波で、変調方式を変えたり、直線偏波の向きを変えたり、円偏波の回転方向を変えたりすれば、同じ周波数の第2電波と第1電波を区別できる。
【0023】
複数の第2アンテナ24は、検査対象領域から送信される第2電波を受信できるように、アンテナパネル16の基板に2次元アレイ状に配置される。複数の第2アンテナ24の数は、複数の第2アンテナ24の電波受信範囲が検査対象領域を含むように決められている。
【0024】
もし、単一の第2アンテナ24の電波受信範囲が検査対象領域を含む場合、複数の第2アンテナ24の代わりに単一の第2アンテナ24を用いてもよい。第2アンテナ24の電波の受信方向が機械的又は電子的に2次元的に可変である場合、複数の第2アンテナ24の代わりに1個のこのような第2アンテナ24を用いてもよい。第2アンテナ24の電波の受信方向が機械的又は電子的に1次元的に可変である場合、2次元アレイ状に配置された複数の第2アンテナ24の代わりに、1次元アレイ状に配置された1列のこのような第2アンテナ24を用いてもよい。
【0025】
複数の第2アンテナ24で受信した第2電波の受信信号を解析すると、第2電波を送信する電子機器が検査対象領域に存在するか否かを判定することができる。
【0026】
アンテナパネル18は、アンテナパネル16と同様に構成される。アンテナパネル18は、基板と、複数の第1アンテナ26と、複数の第2アンテナ28を含む。第1アンテナ26は、アンテナパネル16の第1アンテナ22に対応する。第2アンテナ28は、アンテナパネル16の第2アンテナ24に対応する。
【0027】
第1アンテナ22、26と第2アンテナ24、28は同一のアンテナパネル基板に配置せず、別々の基板に配置してもよい。
【0028】
図2は、第1実施形態に係る検査システムの電気的な構成の一例を示すブロック図である。検査システムは、プライマリ装置62と、セカンダリ装置64と、判定回路50、表示部58、及び警報部60を含む。
【0029】
セカンダリ装置64は、第2アンテナ24又は28で受信する第2電波の受信信号を処理するパッシブ型の装置である。セカンダリ装置64は、第2電波を送信する機能は備えない。検査対象領域に存在する電子機器が第2電波を送信する。セカンダリ装置64は、電子機器が所定範囲に存在するか否かを判定する。所定範囲の例は、検査対象領域である。
【0030】
電子機器の一例は、通信機能を備えた機器である。電子機器の例は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、携帯電話機、携帯ゲーム機、センサ内蔵のリストウォッチ、センサ内蔵の衣服、センサ内蔵のシューズである。センサ内蔵のリストウォッチ、衣服、シューズは、心拍数、血圧、歩数等を計測するセンサと、計測値をスマートフォン等へ送信する送信器を内蔵する。
【0031】
これらの電子機器は、インターネットに接続されている間、基地局又はアクセスポイントにデータ通信のためのデータを送信する。携帯電話機能を備える電子機器は、通話中、基地局に音声信号を送信する。セカンダリ装置64は、電子機器から送信されるデータ又は音声信号を第2電波として受信する。
【0032】
電子機器は、インターネットに接続されていない間、又は非通話中、特定の信号を送信する場合がある。
【0033】
例えば、携帯電話機能がオンの場合、スマートフォン等の電話機は、基地局にチャネルサウンディング信号を周期的に送信する。基地局は、スケジューリングのために伝搬特定を評価する必要がある。基地局は、この評価のためにチャネルサウンディング信号を使う。セカンダリ装置64は、チャネルサウンディング信号を第2電波として受信する。
【0034】
デザリング機能がオンの場合、電子機器はアクセスポイントとして機能する。電子機器(アクセスポイント)は、ビーコン信号を周期的へ送信する。セカンダリ装置64は、ビーコン信号を第2電波として受信する。
【0035】
BLE(Bluetooth Low Energy)(登録商標)機能がオンの場合、電子機器はペリフェラルとして機能する。電子機器(ペリフェラル)は、セントラルとの接続開始のためにビーコン信号を周期的に送信する。セカンダリ装置64は、ビーコン信号を第2電波として受信する。
【0036】
UWB(Ultra Wide Band)機能がオンの場合、電子機器は、他のUWB機器を探すためのデバイスディスカバリ(device discovery)信号を周期的に送信する。セカンダリ装置64は、デバイスディスカバリ信号を第2電波として受信する。
【0037】
検査システムは、データ、音声信号、又は特定の信号を第2電波として受信することにより、電子機器が所定範囲(検査対象領域)に存在するか否かを判定する。
【0038】
プライマリ装置62は、第1電波を検査対象者10の各点へ送信し、各点の反射電波の受信信号を処理して、反射物体が何であるかを判定するアクティブ型のレーダ装置である。プライマリ装置62は、検査対象者10が危険物を持っているか否かを推定する。
【0039】
図2は、アンテナパネル16に接続されるプライマリ装置62と、セカンダリ装置64を示す。プライマリ装置62は、複数の第1アンテナ22とカメラ20に接続される。セカンダリ装置64は、複数の第2アンテナ24に接続される。
【0040】
プライマリ装置62は、セレクタ30、送信回路32、受信回路34、信号処理回路36、推定回路38、及びコントローラ40を含む。セレクタ30は、第1アンテナ22-1から第1アンテナ22-nに接続される。nは任意の正整数である。送信回路32と受信回路34がセレクタ30に接続される。受信回路34から出力される検査対象者10の各点の受信信号が信号処理回路36へ送信される。信号処理回路36は、受信信号を蓄積し、検査対象者10の各点の反射特性を表す処理結果を推定回路38へ送信する。反射特性は、反射強度、又はドプラシフト量である。ドプラシフト量は、検査対象者10の移動に伴って生じる周波数シフト量である。
【0041】
推定回路38は、処理結果に基づいて、検査対象者10が危険物を持っているか否かを推定し、推定結果を判定回路50へ送信する。
【0042】
推定回路38の例は、畳み込みニューラルネットワークである。畳み込みニューラルネットワークは、入力層、プーリング層、全結合層、出力層を含む。畳み込みニューラルネットワークは、多数の画像信号を教師データとして、危険物所持の判定結果を学習している。検査対象者10の各点の反射特定を示す画像信号が入力層に入力される。
【0043】
推定回路38は、危険物であると推定できる形状の物体を画像信号が含む場合、「検査対象者10が危険物を持っている」と推定する。推定回路38は、危険物であると推定できる形状の物体を画像が含まない場合、「検査対象者10が危険物を持っていない」と推定する。
【0044】
カメラ20の出力信号がコントローラ40に入力される。コントローラ40は、カメラ20が撮影した検査対象領域の画像に基づき、送信回路32、受信回路34、及び信号処理回路36に制御信号を送信し、送信回路32、受信回路34、及び信号処理回路36の動作タイミングを制御する。
【0045】
セカンダリ装置64は、受信回路52、解析回路54、及び判定回路56を含む。受信回路52は、複数の第2アンテナ24に接続される。受信回路52から出力される受信信号が解析回路54へ送信される。解析回路54は、受信信号を解析して、第2電波の特性を表す解析結果信号を判定回路56へ送信する。判定回路56は、解析結果信号に基づいて、第2電波を送信した電子機器が所定範囲(検査対象領域)に存在するか否かを判定し、判定結果を判定回路50へ送信する。
【0046】
コントローラ40は、カメラ20が撮影した検査対象領域の画像に基づき、受信回路52に制御信号を送信し、受信回路52の動作タイミングを制御する。
【0047】
判定回路50は、推定回路38の推定結果と、判定回路56の判定結果に基づいて、検査対象者10が危険物を持っているか否かを判定する。推定回路38は、電子機器も危険物として誤認定する可能性がある。判定回路50は、判定回路56の判定結果に基づいて、推定回路38の推定結果から電子機器を危険物として誤認定した影響を取り除き、検査対象者10が電子機器ではない危険物を持っているか否かを判定する。
【0048】
判定回路50は、判定結果を出力装置に送信する。出力装置の例は、表示部58と警報部60である。表示部58と警報部60は、「検査対象者10が危険物を持っている」こと、あるいは「検査対象者10が危険物を持っていない」ことを、検査システムのオペレータに知らせる。
【0049】
アンテナパネル18に対しても、プライマリ装置62とセカンダリ装置64と同様なプライマリ装置とセカンダリ装置が接続される。アンテナパネル18に接続されるプライマリ装置とセカンダリ装置の出力が、判定回路50と同様な判定回路に供給される。表示部58と警報部60は、アンテナパネル16とアンテナパネル18に対して共通でもよいし、別々に設けてもよい。
【0050】
信号処理回路36、推定回路38、コントローラ40、判定回路50、解析回路54、及び判定回路56は、ハードウェアにより構成されてもよいし、ソフトウェアを実行することにより、信号処理回路36、推定回路38、コントローラ40、判定回路50、解析回路54、及び判定回路56として機能するコンピュータにより構成されてもよい。信号処理回路36、推定回路38、コントローラ40、判定回路50、解析回路54、及び判定回路56は、クラウドシステムにより構成されてもよい。
【0051】
図3は、第1実施形態に係る検査システムのプライマリ装置62の送信回路32、受信回路34、及びセレクタ30の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
【0052】
セレクタ30は、セレクタ72とセレクタ74を含む。セレクタ72とセレクタ74は、コントローラ40からの制御信号に基づいて接続を切り替える。
【0053】
セレクタ72は、第1アンテナ22-1から第1アンテナ22-nのいずれかに接続される。セレクタ72は、コントローラ40からの制御信号に基づいて、接続先の第1アンテナ22-1から第1アンテナ22-nを切り替える。
【0054】
セレクタ74は、セレクタ72、送信回路32、及び受信回路34に接続される。セレクタ74は、送信回路32又は受信回路34をセレクタ74に接続する。セレクタ72は、コントローラ40からの制御信号に基づいて、接続先の送信回路32又は受信回路34を切り替える。
【0055】
送信回路32は、シンセサイザ76と送信アンプ78を含む。
【0056】
プライマリ装置62は、時間の経過に応じて周波数が直線的に増加する線形の周波数変調連続波(L-FMCW:Linear Frequency Modulated Continuous Wave)方式のレーダ機能を備える。シンセサイザ76は、L-FMCW信号(以降、チャープ信号と称される)を発生する。
【0057】
シンセサイザ76から出力されたチャープ信号は、送信アンプ78、セレクタ74、及びセレクタ72を介して第1アンテナ22-1から第1アンテナ22-nのいずれかへ送信される。第1アンテナ22-1から第1アンテナ22-nのいずれかは、コントローラ40により検査対象者10がアンテナパネル16と18の間に侵入されることが検出されると、検査対象者10にチャープ信号を送信する。
【0058】
送信されたチャープ波は、伝搬路上に存在する物体で反射される。第1アンテナ22-1から第1アンテナ22-nのいずれかで受信されたチャープ信号は、セレクタ74、74を介して、受信回路34へ送信される。
【0059】
受信回路34は、受信アンプ80、ミキサ82、ローパスフィルタ(LPF)84、A/D変換器(ADC)86、及び高速フーリエ変換回路(FFT)88を含む。
【0060】
セレクタ74の出力信号が受信アンプ80に供給される。受信アンプ80から出力される受信信号は、ミキサ82の第1入力端子に入力される。ミキサ82の第2入力端子にはシンセサイザ76が発生したチャープ信号が入力される。ミキサ82は、受信信号とチャープ信号とを乗算し、中間周波数(IF)信号を生成する。
【0061】
ミキサ82が出力するIF信号は、LPF84、ADC86を介してFFT回路88に供給される。FFT回路88は、第1アンテナ22-1から第1アンテナ22-nが受信した電波の強度を求める。
【0062】
コントローラ40はクロック信号も生成し、クロック信号を送信回路32と受信回路34に供給する。送信回路32と受信回路34の動作タイミングは、クロック信号により制御される。
【0063】
図3は、複数の第1アンテナ22に対して1つの送信回路32及び1つの受信回路34を設ける例であるが、複数の第1アンテナ22に対して複数の送信回路32及び複数の受信回路34を設けてもよい。この場合、セレクタ72、74は不要である。
【0064】
図4は、第1実施形態に係るプライマリ装置62から送信されるチャープ信号の一例を示す。図4(a)は、振幅Aを時間tの関数として表すチャープ信号を示す。図4(b)は、周波数fを時間tの関数として表すチャープ信号を示す。図4(b)に示すように、チャープ信号は、中心周波数fc、変調帯域幅fb、信号時間幅Tbにより表される。チャープ信号の傾きは周波数の変化レート(チャープレート)γと称される。
【0065】
チャープ信号の送信信号St(t)は、式1で表される。
【0066】
St(t)=cos[2π(fc×t+γt/2)] 式1
チャープレートγは式2で表される。
【0067】
γ=fb/Tb 式2
アンテナパネル16から距離Rだけ離れた物体からの反射電波は、送信タイミングからΔt=2R/cだけ遅れて観測される。cは光速である。受信信号Sr(t)は物体の反射強度をaとすると式3で表される。
【0068】
Sr(t)=a×cos[2πfc(t-Δt)+πγ(t-Δt)
式3
図5は、第1実施形態に係るプライマリ装置62の動作の一例を説明するための図である。図5は、複数、例えば3つの物体が存在する場合の物体の検出原理を示す。図5(a)は送信信号と時間の関係と、受信信号と時間の関係を示す。図5(a)に示すように、送信信号は時間とともに周波数が線形的に変化する。受信信号は、送信信号に対してΔtだけ遅延している。複数の物体が存在する場合、破線で示す最も近い物体からの反射電波が最も早く受信され、一点鎖線で示す最も遠い物体からの反射電波が最も遅く受信される。
【0069】
図3に示すように、受信信号はミキサ82でチャープ信号と乗算され、IF信号z(t)とされる。IF信号z(t)は、式4で表される。
【0070】
z(t)=a×cos(2πΔtγt) 式4
図5(b)はIF信号の周波数と時間の関係を示す。ノイズ等がない理想的な環境下では、反射電波毎に周波数が一定となる。破線で示す最も近い物体からの反射電波のIF信号の周波数が最も低く、一点鎖線で示す最も遠い物体からの反射電波のIF信号の周波数が最も高い。
【0071】
式4に示す時間領域のIF信号z(t)をFFT回路88においてFFTすることにより、周波数領域の反射強度が計算できる。したがって、IF信号のFFTの結果である周波数領域の各点での振幅がアンテナパネル16からの距離毎の反射強度に対応する。周波数fifと距離Rは式5の関係がある。
【0072】
if=Δtγ=2Rγ/c 式5
時間領域のIF信号をFFTすることで得られる反射強度と周波数の関係を図5(c)に示す。このように、IF信号の周波数領域信号の振幅を求めることにより、アンテナパネル16からの距離毎の反射強度を求めることができる。
【0073】
第1アンテナ22から送信された電波は、物体で反射されるとともに、検査対象者10の皮膚でも反射される。金属の反射率は皮膚の反射率より高い。金属の反射電波の強度は、皮膚の反射電波の強度より高い。電波は、爆薬等の粉体では吸収される。粉体の反射率は皮膚の反射率より低い。粉体の反射電波の強度は、皮膚の反射電波の強度より低い。反射電波の強度は、皮膚、金属、粉体等の電波が反射される点の物質の種類により決まる。そのため、信号処理回路36は、反射電波の強度から、反射点の物質の種類を求めることができる。
【0074】
図6は、第1実施形態に係るプライマリ装置62の処理の流れの一例を示すフローチャートである。カメラ20が撮影した画像はコントローラ40に供給される。コントローラ40は、カメラ20が撮影した画像に基づいて、検査対象者10が検査対象領域に侵入したか否かを判定する。コントローラ40は、検査対象者10が検査対象領域に侵入したことを検出すると、プライマリ装置62を動作させ、図6の処理を開始させる。
【0075】
セレクタ72は、1つの第1アンテナ22を選択する(S12)。例えば、セレクタ72は、第1アンテナ22-1を選択する。
【0076】
セレクタ74は、送信回路32を選択する(S14)。これにより、送信回路32がセレクタ72、74を介して1つの第1アンテナ22に接続される。
【0077】
シンセサイザ76から出力されるチャープ信号が第1アンテナ22へ送信される。第1アンテナ22は、検査対象者10へチャープ波を送信する(S16)。
【0078】
セレクタ74は受信回路34を選択する(S18)。これにより、1つの第1アンテナ22がセレクタ72、74を介して受信回路33に接続される。
【0079】
受信回路34は、第1アンテナ22で受信した反射電波を表す受信信号を信号処理回路36へ送信する(S20)。
【0080】
コントローラ40は、全ての第1アンテナ22が送受信したかを判断する(S22)。送受信していない第1アンテナ22が残っている場合(S22;No)、コントローラ40は、送受信していない第1アンテナ22の中の1つの第1アンテナ22に対してS12からS22の処理を再び実行する。
【0081】
全ての第1アンテナ22が送受信した場合(S22;Yes)、信号処理回路36は受信信号を処理し、処理結果を推定回路38へ送信する(S24)。
【0082】
推定回路38は、信号処理回路36から送信された処理結果に基づいて、検査対象者10が危険物を持っているか否かを推定する(S26)。
【0083】
推定回路38は、推定結果を判定回路50へ送信する。
【0084】
図6は、1つのアンテナ22で送信したチャープ波を同じ1つのアンテナ22で受信する動作を説明したが、1つのアンテナ22で送信したチャープ波を送信アンテナを含む複数のアンテナ22で同時に受信してもよい。また、全てのアンテナ22-1から22-nからチャープ波を送信したが、送信アンテナはアンテナ22-1から22-nの中から選ばれた少数のアンテナでもよい。
【0085】
図7は、第1実施形態に係る検査システムのセカンダリ装置64の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0086】
受信回路52は、第2アンテナ24で受信した反射電波に対応する受信信号を解析回路54へ送信する(S32)。
【0087】
第2アンテナ24の個数が複数であり、受信回路52の個数が1つである場合、複数の第2アンテナ24の受信信号はセレクタを介して1つの受信回路52に送信される。第2アンテナ24の個数が複数であり、受信回路52の個数が複数である場合、複数の第2アンテナ24の受信信号は複数の受信回路52にそれぞれ送信される。
【0088】
電子機器が複数の周波数の第2電波を送信する場合、広帯域の電波を受信可能な第2アンテナ24を設け、受信する電波の周波数を順次切り替え、第2アンテナ24が異なる周波数の電波を時分割的に受信するように構成してもよい。電子機器が複数の周波数の第2電波を送信する場合、複数の周波数の電波をそれぞれ受信する複数の第2アンテナ24を設け、第2アンテナ24が異なる周波数の電波を同時に受信するように構成してもよい。
【0089】
解析回路54は、受信信号を解析し、解析結果を判定回路56へ送信する(S34)。
【0090】
解析の例は、スペクトラム解析、スニファ解析である。
スペクトラム解析の例は、周波数解析と時間周波数解析である。周波数解析結果は、受信信号の周波数を表す。時間周波数解析結果は、受信信号の帯域幅や信号占有率、及びデューティ比を表す。
【0091】
スニファ解析とは、受信信号パケットのデータ構造を解析し、電波の送信元の電子機器を特定できる情報を見つけることである。電子機器を特定できる情報の例は、BLE通信の場合は、Manufacture NameやModel Numberである。
【0092】
判定回路56は、解析結果に基づいて、「電子機器が所定範囲に存在する」、又は「電子機器が所定範囲に存在しない」と判定する(S36)。所定範囲の例は、検査対象領域である。
【0093】
判定回路56は、周波数解析結果に基づいて、受信信号の中に電子機器から送信される可能性のある周波数の信号が含まれており、その信号のパワーが十分にあると判断した場合、「電子機器が所定範囲に存在する」と判定する。判定回路56は、周波数解析結果に基づいて、受信信号の中に電子機器から送信される可能性のある周波数の信号が含まれているが、その信号のパワーが十分にないと判断した場合、「電子機器が所定範囲に存在しない」と判定する。判定回路56は、周波数解析結果に基づいて、受信信号の中に電子機器から送信される可能性のある周波数の信号が含まれていないと判断した場合、「電子機器が所定範囲に存在しない」と判定する。
【0094】
判定回路56は、時間周波数解析結果に基づいて、受信信号の帯域幅、信号占有率、又はデューティ比の少なくとも1つが電子機器から送信される可能性のある信号の帯域幅、信号占有率、又はデューティ比の少なくとも1つと等しいと判断した場合、「電子機器が所定範囲に存在する」と判定する。判定回路56は、時間周波数解析結果に基づいて、受信信号の帯域幅、信号占有率、及びデューティ比のいずれもが電子機器から送信される可能性のある信号の帯域幅、信号占有率、及びデューティ比のいずれとも等しくないと判断した場合、「電子機器が所定範囲に存在しない」と判定する。
【0095】
判定回路56は、スニファ解析結果に基づいて、受信信号パケットが非定常デバイスを特定する情報を含むと判断した場合、「電子機器が所定範囲に存在する」と判定する。検査システムの設置環境によっては、検査対象者10が検査対象領域に入っていなくても、セカンダリ装置64は、第3者が設置したWiFi(登録商標)通信におけるアクセスポイントから送信された電波を、定常的に検出する。このような定常的に検出される電子機器は定常デバイスとして記憶しておく。検査対象者10が検査対象領域に入っている場合、判定回路56は、定常デバイス以外の電子機器を検出すると、「非定常デバイスあり(電子機器が所定範囲に存在する)」と判断する。判定回路56は、スニファ解析結果に基づいて、受信信号パケットが電子機器の種類を特定する情報を含まないと判断した場合、「電子機器が所定範囲に存在しない」と判定する。
【0096】
判定回路56は、判定結果を判定回路50へ送信する。
【0097】
図8は、第1実施形態に係る検査システムの判定回路50の判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0098】
判定回路50は、推定回路38の推定結果が「検査対象者10が危険物を持っている」であるか否かを判定する(S42)。
【0099】
推定回路38の推定結果が「検査対象者10が危険物を持っていない」である場合(S42;No)、判定回路50は、「検査対象者10が危険物を持っていない」と判定し、判定結果を表示部58により表示、または警報部60により通報する(S44)。
【0100】
これにより、検査システムのオペレータは、検査対象者10に対する2次検査が不要であることを認識する。
【0101】
推定回路38の推定結果が「検査対象者10が危険物を持っている」である場合(S42;Yes)、判定回路50は、判定回路56の判定結果が「電子機器が所定範囲に存在する」であるか否かを判定する(S46)。
【0102】
判定回路56の判定結果が「電子機器が所定範囲に存在する」である場合(S46;Yes)、推定回路38は検査対象者10が持っている電子機器を危険物として誤認定し、「検査対象者10が危険物を持っている」と推定した可能性が高い。そのため、判定回路50は、「検査対象者10が危険物を持っていない」と判定し、判定結果を表示部58により表示、または警報部60により通報する(S44)。
【0103】
判定回路56の判定結果が「電子機器が所定範囲に存在しない」である場合(S46;No)、推定回路38の推定結果は正しい可能性が高い。そのため、判定回路50は、「検査対象者10が危険物を持っている」と判定し、判定結果を表示部58により表示、または警報部60により通報する(S48)。
【0104】
図8には示されていないが、推定回路38により検査対象者10が複数の危険物を持っていると推定され、かつ、判定回路56により1または複数の電子機器が所定範囲に存在すると判定される場合、推定される危険物の数が判定される電子機器の数よりも多ければ、判定回路50は、「検査対象者10が危険物を持っている」と判定し、判定結果を表示部58により表示、または警報部60により通報しても良い。
【0105】
なお、図8には示されていないが、電子機器の持ち込みが禁止されている施設等においては、推定回路38の推定結果が「検査対象者10が危険物を持っていない」であり、判定回路56の判定結果が「電子機器が所定範囲に存在する」である場合、「持ち込み違反品を隠蔽している」と判定し、判定結果を表示部58により表示、または警報部60により通報しても良い。
【0106】
これにより、本検査システムのオペレータは、検査対象者10に対する2次検査が必要であることを認識し、2次検査を実施する。2次検査の例は、検査者による接触検査や、より高精度な検査システムによる再検査である。
【0107】
S42の判定と、S44の判定の順番は、図8の逆でもよい。
【0108】
第1実施形態によれば、検査対象者10は、検査の際、立ち止まる必要が無く、効率良く所持品を検査できる。プライマリ装置62が「検査対象者10が危険物を持っている」と推定しても、セカンダリ装置64が「電子機器が所定範囲に存在する」と判定すると、プライマリ装置62の推定結果は、検査対象者10が持っている電子機器を危険物であると誤認識したためであると考えられる。この場合、判定回路50は、「検査対象者10が危険物を持っていない」と判定する。このため、2次検査は不要と判断され、検査効率の低下が防止される。
【0109】
(第2実施形態)
第2実施形態は、靴の中に存在する危険物の検査に適する実施形態である。第2実施形態は、アンテナパネルの変形に関するものである。検査システムの電気的な構成は、図2に示した第1実施形態の構成と同じであるので、図示省略する。
【0110】
図9は、第2実施形態に係る検査システムの一例について説明するための図である。アンテナパネル92が通路12の床面に配置される。カメラ20の撮影範囲である検査対象領域は、アンテナパネル92の上部の領域である。
【0111】
アンテナパネル92は、複数の第1アンテナ94と、複数の第2アンテナ96を含む。複数の第1アンテナ94は、第1実施形態の複数の第1アンテナ22、26に対応する。複数の第1アンテナ94は、図2に示したプライマリ装置62に接続される。複数の第2アンテナ96は、第1実施形態の複数の第2アンテナ24、28に対応する。複数の第2アンテナ96は、図2に示したセカンダリ装置64に接続される。第2アンテナ24、28は、アンテナパネル16の中央部に2次元アレイ状に配置されていたが、第2アンテナ96は、検査対象者10の移動方向に沿ってX軸方向に1次元アレイ状に配置されている。
【0112】
第2実施形態は、第1実施形態の効果に加えて、次の効果を奏する。第2実施形態によれば、検査対象者10の足に近い位置にアンテナパネル92が配置されているので、靴の中に隠し持っているナイフ等の危険物を正確に検知できる。さらに、センサ内蔵のシューズのセンサを危険物として誤認定することに起因する誤判定が防止され、検査効率の低下が防止される。
【0113】
第2実施形態と第1実施形態を組み合わせることも可能である。すなわち、通路12の側面(両側面又は片側面)と床面にアンテナパネルを配置してもよい。さらに、通路12の両側面と床面と天井面に、検査対象者10を上下左右の4方向から囲むように4枚のアンテナパネルを配置してもよい。
【0114】
(第3実施形態)
第3実施形態は、アンテナパネルの変形に関するものである。検査システムの電気的な構成は、図2に示した第1実施形態の構成と略同じであるので、図示省略する。
【0115】
推定回路38は、検査対象者10が危険物を持っているか否かを推定するとともに、第1アンテナ22、26の受信信号に基づいて、危険物であると推定できる物体のY軸方向の位置を推定する。推定回路38は、「検査対象者10が危険物を持っている」か否かの推定結果と、危険物のY軸方向の位置の推定結果を判定回路50に送信する。
【0116】
図10は、第3実施形態に係る検査システムのアンテナパネル16、18の一例について説明するための図である。複数の第2アンテナ24、28は、Y軸方向に沿って1次元アレイ状に配置されている。
【0117】
このようなアンテナパネル16、18に接続されるセカンダリ装置の判定回路56は、電子機器が所定範囲に存在するか否かを判定するとともに、第2アンテナ24、28の受信信号に基づいて電子機器のY軸方向の位置を判定する。判定回路56は、複数の第2アンテナ24、28の受信信号のレベルの中で一番大きいレベルの第2アンテナ24、28の位置が電子機器の位置であると判定する。判定回路56は、「電子機器が所定範囲に存在する」か否かの判定結果と、電子機器のY軸方向の位置の判定結果を判定回路50に送信する。
【0118】
図11は、第3実施形態に係る検査システムのアンテナパネル16、18の他の例について説明するための図である。4つの第2アンテナ24、28が1つのアレイアンテナ29として構成される。3つのアレイアンテナ29がY軸方向の異なる位置に配置されている。
【0119】
このようなアンテナパネル16、18に接続されるセカンダリ装置の判定回路56は、電子機器が所定範囲に存在するか否かを判定するとともに、アレイアンテナ29の受信信号に基づいて電子機器のY軸方向の位置を判定する。判定回路56は、3つのアレイアンテナ29の受信信号に基づき到来方向推定を行い、電子機器のY軸方向の位置を判定する。判定回路56は、「電子機器が所定範囲に存在する」か否かの判定結果と、電子機器のY軸方向の位置の判定結果を判定回路50に送信する。
【0120】
図12は、第3実施形態に係る検査システムの判定回路50の判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0121】
S42で、第1実施形態と同様に、判定回路50は、推定回路38の推定結果が「検査対象者10が危険物を持っている」であるか否かを判定する。推定回路38の推定結果が「検査対象者10が危険物を持っていない」である場合(S42;No)、第1実施形態と同様に、判定回路50は、「検査対象者10が危険物を持っていない」と判定し、判定結果を表示部58により表示、または警報部60により通報する(S44)。
【0122】
推定回路38の推定結果が「検査対象者10が危険物を持っている」である場合(S42;Yes)、第1実施形態と同様に、判定回路50は、判定回路56の判定結果が「電子機器が所定範囲に存在する」であるか否かを判定する(S46)。判定回路56の判定結果が「電子機器が所定範囲に存在する」である場合(S46;Yes)、第1実施形態と同様に、判定回路50は、「検査対象者10が危険物を持っていない」と判定し、判定結果を表示部58により表示、または警報部60により通報する(S44)。
【0123】
判定回路56の判定結果が「電子機器が所定範囲に存在しない」である場合(S46;No)、判定回路50は、推定回路38が推定した危険物のY軸方向の位置と判定回路56が判定した電子機器のY軸方向の位置が一致するか否かを判定する(S60)。
【0124】
推定回路38が推定した危険物のY軸方向の位置と判定回路56が判定した電子機器のY軸方向の位置が一致しない場合(S60;No)、推定回路38の推定結果は正しい可能性が高い。そのため、第2実施形態と同様に、判定回路50は、「検査対象者10が危険物を持っている」と判定し、判定結果を表示部58により表示、または警報部60により通報する(S48)。これにより、本検査システムのオペレータは、検査対象者10に対する2次検査が必要であることを認識し、2次検査を実施する。
【0125】
推定回路38が推定した危険物のY軸方向の位置と判定回路56が判定した電子機器のY軸方向の位置が一致した場合(S60;Yes)、推定回路38は検査対象者10が持っている電子機器を危険物として誤認定した結果、「検査対象者10が危険物を持っている」と推定した可能性が高い。そのため、判定回路50は、「検査対象者10が危険物を持っていない」と判定し、判定結果を表示部58により表示、または警報部60により通報する(S44)。
【0126】
図12には示されていないが、推定回路38により検査対象者10が複数の位置の危険物を持っていると推定され、かつ、判定回路56により電子機器が所定範囲の1または複数位置に存在すると判定される場合、推定される危険物の数が判定される電子機器の数よりも多ければ、判定回路50は、「検査対象者10が危険物を持っている」と判定し、判定結果を表示部58により表示、または警報部60により通報しても良い。
【0127】
第3実施形態は、第1実施形態の効果に加えて、次の効果を奏する。第3実施形態によれば、電子機器と危険物の位置が一致した場合のみ、推定回路38の推定結果「検査対象者10が危険物を持っている」を「検査対象者10が危険物を持っていない」に変更して判定結果とする。そのため、電子機器を危険物として誤認定する可能性が減少し、検査効率の低下が防止される。
【0128】
(第4実施形態)
第1実施形態乃至第3実施形態のセカンダリ装置64は、電子機器から送信される第2電波を受信するパッシブ装置である。第1実施形態乃至第3実施形態は、インターネット非接続中、又は非通話中でも、電子機器が特定信号を送信することを前提としている。
【0129】
しかし、場合によっては、インターネット非接続中、又は非通話中、電子機器が特定信号を送信しない可能性がある。第4実施形態の検査システムは、第1実施形態乃至第3実施形態の検査システムの機能に加えて、電子機器に電波を送信させる機能を備える。
【0130】
図13は、第4実施形態の検査システムの一例を説明するためのブロック図である。第4実施形態のセカンダリ装置64は、アンテナ102と送信回路104を含む。送信回路104は、コントローラ40からの制御信号に応じて動作する。送信回路104は、アンテナ102を介して検査対象領域に存在する電子機器へ送信要求信号を送信する。第4実施形態の検査システムの他の構成は、図2に示した第1実施形態の検査システムの構成と同じである。
【0131】
送信要求信号の一例を説明する。図14は、WiFi通信におけるアクセスポイント(AP)とSTAの間の通信開始手順の一例を示す。
【0132】
アクセスポイントはビーコン信号を送信する。ビーコン信号を受信したSTAはプローブリクエスト信号を送信する。プローブリクエスト信号を受信したアクセスポイントは、プローブレスポンス信号を送信する。プローブレスポンス信号を受信したSTAは認証リクエスト信号を送信する。認証リクエスト信号を受信したアクセスポイントは、認証レスポンス信号をSTAへ送信する。認証レスポンス信号を受信したSTAはアソシエーションリクエスト信号を送信する。アソシエーションリクエスト信号を受信したアクセスポイントは、アソシエーションレスポンス信号をSTAへ送信する。この後、アクセスポイントとSTAの間でデータ通信が開始される。
【0133】
セカンダリ装置64はWiFi通信のアクセスポイントとして機能し、電子機器はSTAとして機能する。電子機器の例は、スマートフォンである。セカンダリ装置64(AP)は、検査対象領域にビーコン信号を周期的に送信する。検査対象領域に存在するスマートフォン(STA)は、WiFi機能がオンの場合、ビーコン信号を受信すると、プローブリクエスト信号を送信する。
【0134】
セカンダリ装置64は、スマートフォンと通信する必要はないので、プローブリクエスト信号を受信しても、プローブレスポンス信号を送信しない。そのため、セカンダリ装置64とスマートフォンの間で、図14に示すWiFi通信開始手順の中の認証リクエスト/認証レスポンス、アソシエーションリクエスト/アソシエーションレスポンスは通信されず、データ通信も行われない。
【0135】
このように、インターネット非接続中、又は非通話中であっても、WiFi機能がオンであれば、電子機器は、セカンダリ装置64から送信されたビーコン信号を受信すると、セカンダリ装置64へプローブリクエスト信号を送信する。このため、セカンダリ装置64は、インターネット非接続中、又は非通話中の電子機器から送信されたプローブリクエスト信号を第2電波として受信することができる。
【0136】
図15は、BLE通信におけるセントラルとペリフェラルの間の通信開始手順の一例を示す。
【0137】
セントラルはアドバタイズ信号を送信する。図16は、アドバタイズ信号に含まれるモードの例を示す。モードは、ペリフェラルにスキャンリクエストの送信を許可する(scannable)か否(non-scannable)かを表す2ビットのデータである。モードが00bと01bの場合は、スキャンリクエストの送信を許可しないことを表す。モードが10bの場合は、スキャンリクエストの送信を許可することを表す。11bのモードは将来の利用のためにリザーブされている。
【0138】
アドバタイズ信号を受信したペリフェラルは、モードが10bであれば、スキャンリクエスト信号を送信する。スキャンリクエスト信号を受信したセントラルは、スキャンレスポンス信号を送信する。スキャンレスポンス信号を受信したペリフェラルは接続リクエスト信号を送信する。接続リクエスト信号を受信したセントラルは、接続レスポンス信号をペリフェラルへ送信する。接続レスポンス信号を受信したペリフェラルはキー要求信号を送信する。キー要求信号を受信したセントラルは、キー信号をペリフェラルへ送信する。この後、セントラルとペリフェラルの間でペアリングが実行され、データ通信が開始される。
【0139】
セカンダリ装置64はBLE通信のセントラルとして機能し、スマートフォンはペリフェラルとして機能する。セカンダリ装置64(セントラル)は、検査対象領域にアドバタイズ信号を周期的に送信する。アドバタイズ信号のモードは10bに設定されている。検査対象領域に存在するスマートフォン(ペリフェラル)は、BLE機能がオンの場合、アドバタイズ信号を受信すると、モードが10bであるので、スキャンリクエスト信号を送信する。
【0140】
セカンダリ装置64は、スマートフォンと通信する必要はないので、スキャンリクエスト信号を受信しても、スキャンレスポンス信号を送信しない。そのため、セカンダリ装置64とスマートフォンの間で、図15に示すBLE通信開始手順の中の接続リクエスト/接続レスポンス、キー要求/キーは通信されず、ペアリング、データ通信も行われない。
【0141】
このように、インターネット非接続中、又は非通話中であっても、BLE機能がオンであれば、電子機器は、セカンダリ装置64から送信されたアドバタイズ信号を受信すると、セカンダリ装置64へスキャンリクエスト信号を送信する。このため、セカンダリ装置64は、インターネット非接続中、又は非通話中の電子機器から送信されたスキャンリクエスト信号を第2電波として受信することができる。
【0142】
第4実施形態は、第1実施形態の効果に加えて、次の効果を奏する。第4実施形態によれば、インターネット非接続中、又は非通話中の電子機器であっても、電子機器は第2電波を送信するので、電子機器が所定範囲に存在するか否かを必ず判定できる。
【0143】
第1実施形態を変形した第4実施形態を説明したが、第2実施形態又は第3実施形態を変形して第4実施形態を実現してもよい。
【0144】
(第5実施形態)
図17は、第5実施形態に係る検査システムの電気的な構成の一例を示すブロック図である。第5実施形態の検査システムは、データベース112と自動学習回路114を含む。第5実施形態の検査システムの他の構成は、図13に示した第4実施形態の検査システムの構成と同じである。
【0145】
データベース112は、信号処理回路36の処理結果、推定回路38の推定結果、及び判定回路56の判定結果のデータセットを多数記憶する。例えば、検査対象者10の各点の反射特定を示す画像信号、「検査対象者10が危険物を持っている/持っていない」の推定結果、及び「電子機器が所定範囲に存在する/存在しない」の判定結果の組を多数蓄積する。
【0146】
判定回路50は、推定回路38の推定結果が「検査対象者10が危険物を持っている」であり、判定回路56の判定結果が「電子機器が所定範囲に存在する」である場合、「検査対象者10が危険物を持っていない」と判定する。すなわち、判定回路56の判定結果が「電子機器が所定範囲に存在する」である場合、判定回路50は、推定回路38の「検査対象者10が危険物を持っている」という推定結果は誤りであると判断し、「検査対象者10が危険物を持っている」という推定結果を、「検査対象者10が危険物を持っていない」という判定結果に実質的に変更する。このように、推定回路38は誤推定する可能性がある。
【0147】
自動学習回路114は、推定回路38の誤推定を減らすために、判定回路56の判定結果が「電子機器が所定範囲に存在する」である場合、「検査対象者10が危険物を持っている」という推定結果を「検査対象者10が危険物を持っていない」という推定結果に変更するよう、推定回路38に学習させる。
【0148】
推定回路38が畳み込みニューラルネットワークにより構成されている場合、自動学習回路114は、畳み込みニューラルネットワークの入力層とプーリング層との結合の係数、プーリング層と全結合層の結合の係数、全結合層と出力層の結合の係数を変更することを含む。結合の係数が変更されると、同じ画像信号に対する推定結果が変わる。自動学習回路114は、判定回路56が「電子機器が所定範囲に存在する」と判定した時に推定回路38に入力された画像信号に対する推定結果が「検査対象者10が危険物を持っていない」となるように、推定回路38の畳み込みニューラルネットワークの結合の係数を変更する。
【0149】
これにより、推定回路38は、「電子機器が所定範囲に存在する」場合、「検査対象者10が危険物を持っていない」と推定し、推定精度が向上する。
【0150】
第4実施形態を変形した第5実施形態を説明したが、第1実施形態乃至第3実施形態を変形して第5実施形態を実現してもよい。
【0151】
(変形例)
実施形態は、アンテナとして、実アレイアンテナを説明した。実アレイアンテナの代わりに、仮想アレイアンテナを用いてもよい。仮想アレイアンテナの例は、MIMO(Multi Input Multi Output)アレイアンテナである。
【0152】
プライマリ装置62は、電波を利用するレーダに限らない。危険物が金属物体の場合、金属探知機をプライマリ装置62として利用してもよい。金属探知機の例は、プローブを変位させて磁場の変化を検出し、磁場の変化に基づいて、金属を検知するものである。
【0153】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0154】
22…第2アンテナ24…第2アンテナ、32…送信回路、34…受信回路、36…信号処理回路、38…推定回路、40…コントローラ、52…受信回路、54…解析回路、56…判定回路
図1
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図16
図17