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特開2023-163324管理装置、ネットワークシステムおよびネットワークの保守方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163324
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】管理装置、ネットワークシステムおよびネットワークの保守方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 41/084 20220101AFI20231102BHJP
【FI】
H04L41/084
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074157
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 泰弘
(57)【要約】
【課題】ネットワーク機器の交換時に、交換後の機器の設定情報が管理装置に登録されていない場合であっても管理装置から必要な設定を行うことを可能にする。
【解決手段】管理装置は、複数のネットワーク機器の間の接続に関する接続情報をネットワークを介して取得する接続情報管理部と、複数のネットワーク機器の各々の設定に関する設定情報を管理する設定情報管理部とを備え、接続情報管理部が、取得された接続情報に基づいて、ネットワークに設置された新たなネットワーク機器が、複数のネットワーク機器のうちの1つのネットワーク機器と交換されたことを判断した場合、設定情報管理部は、当該1つのネットワーク機器である交換前のネットワーク機器の設定情報に基づいて、新たなネットワーク機器のための設定情報を作成し、作成した設定情報に従って新たなネットワーク機器を設定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のネットワーク機器により構成されたネットワークを管理する管理装置であって、
前記複数のネットワーク機器の間の接続に関する接続情報を前記ネットワークを介して取得する接続情報管理部と、
前記複数のネットワーク機器の各々の設定に関する設定情報を管理する設定情報管理部とを備え、
前記接続情報管理部が、取得された前記接続情報に基づいて、前記ネットワークに設置された新たなネットワーク機器が、前記複数のネットワーク機器のうちの1つのネットワーク機器と交換されたことを判断した場合、前記設定情報管理部は、当該1つのネットワーク機器である交換前のネットワーク機器の前記設定情報に基づいて、前記新たなネットワーク機器のための前記設定情報を作成し、作成した前記設定情報に従って前記新たなネットワーク機器を設定する、管理装置。
【請求項2】
前記接続情報は、前記複数のネットワーク機器が使用するポートの情報を含み、
前記接続情報管理部が、前記接続情報に基づいて、前記新たなネットワーク機器の接続ポートが前記交換前のネットワーク機器の接続ポートとは異なることを検出した場合、前記設定情報管理部は、前記新たなネットワーク機器のための前記設定情報の作成において、前記新たなネットワーク機器の前記接続ポートが反映されるように、前記交換前のネットワーク機器の前記設定情報を変更する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記ネットワークが利用不可の状態である間は、前記接続情報管理部は、前記ネットワーク機器の交換に関する判断を保留する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項4】
前記接続情報管理部は、前記接続情報に基づいて、前記新しいネットワーク機器に接続された配線の数が、前記交換前のネットワーク機器に接続された配線の数と一致し、かつ、前記配線の接続先の機器および前記接続先の機器において前記配線が接続される前記ポートの組み合わせが、前記交換前のネットワーク機器の前記接続情報における、前記配線の前記接続先の機器および前記接続先の機器において前記配線が接続される前記ポートの組み合わせと一致すると判断した場合には、前記交換前のネットワーク機器が前記新しいネットワーク機器に交換されたと判断する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項5】
前記接続情報管理部は、前記接続情報に基づいて、前記新しいネットワーク機器に接続された配線の数が、前記交換前のネットワーク機器に接続された配線の数に対して1つ以上少ないと判断した場合には、接続エラーを検出し、
前記設定情報管理部は、前記接続エラーが検出されたことに応じて、前記新しいネットワーク機器に対する前記設定情報を作成しないと判断する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項6】
複数のネットワーク機器により構成されたネットワークと、
前記複数のネットワーク機器の間の接続に関する接続情報を前記ネットワークを介して取得して、取得された前記接続情報に基づいて前記複数のネットワーク機器の各々の設定に関する設定情報を管理する管理装置とを備え、前記管理装置は、
前記取得された前記接続情報に基づいて、前記ネットワークに設置された新たなネットワーク機器が、前記複数のネットワーク機器のうちの1つのネットワーク機器と交換されたことを判断した場合、当該1つのネットワーク機器である交換前のネットワーク機器の前記設定情報に基づいて、前記新たなネットワーク機器のための前記設定情報を作成し、作成した前記設定情報に従って前記新たなネットワーク機器を設定する、ネットワークシステム。
【請求項7】
複数のネットワーク機器により構成されたネットワークの保守方法であって、
前記複数のネットワーク機器の各々の設定情報を管理する管理装置が、前記ネットワークを介して、前記複数のネットワーク機器の間の接続に関する接続情報を繰り返し取得するステップと、
前記複数のネットワーク機器のうちの1つのネットワーク機器を新しいネットワーク機器に交換するために、当該1つのネットワーク機器である交換前のネットワーク機器を停止させるステップと、
前記交換前のネットワーク機器に接続された配線を前記新しいネットワーク機器につなぎ替えるステップと、
前記新しいネットワーク機器を起動するステップと、
前記管理装置が、取得した前記接続情報に基づいて、前記交換前のネットワーク機器から前記新しいネットワーク機器への交換を検出するステップと、
前記管理装置が、前記交換前のネットワーク機器の設定情報に基づいて、前記新たなネットワーク機器のための設定情報を作成するステップと、
前記作成するステップにおいて作成された前記設定情報に従って、前記管理装置が、前記新たなネットワーク機器を設定するステップとを備える、ネットワークの保守方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理装置、ネットワークシステムおよびネットワークの保守方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークに接続された機器の設定を自動化する機能またはサービスとして、ゼロタッチプロビジョニングが提供されている。ゼロタッチプロビジョニングを利用したシステムの例が、たとえば特開2020-141291号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
ゼロタッチプロビジョニングとは、ネットワークに接続された機器の起動時に、当該ネットワークの管理サーバが、その機器の設定を自動的に行うという技術である。管理サーバには、ネットワーク機器を特定する固有情報(たとえば、機器のMAC(Media Access Control)アドレス、シリアル番号など)と、そのネットワーク機器に投入する情報(設定あるいはスクリプト類)が予め登録される。ネットワーク機器の電源がオンになると、機器側からパケットが発せられる。管理サーバはパケットに含まれる情報に基づいてネットワーク機器を特定し、そのネットワーク機器に対して必要な設定を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-141291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
故障などの理由により機器を交換する場合、交換後の機器に対して、元の機器の設定と同じ設定が適用されるのは明らかである。しかし、従来の管理サーバは、交換前の機器の設定を新しい機器に適用できるかどうかを判断することができない。
【0006】
このため、故障などの理由によってネットワーク機器を交換する場合、ゼロタッチプロビジョニングでは、機器の新設時と同様に、新しい機器(交換後の機器)の固有情報と設定情報とを管理サーバに登録する必要があった。しかし、機器の交換作業だけでなく、管理サーバに登録された情報を変更するための作業が必要となるため、機器の交換作業の効率が悪くなるという課題がある。さらに、管理サーバに登録された情報を変更する際に、人的エラーが発生する可能性がある。したがって自動設定のメリットを活かすことができない。
【0007】
また、新しい機器の動作環境が交換前の機器の動作環境と異なる場合、交換前の機器の設定情報を新しい機器にそのまま引き継いだとしても、新しい機器の動作に不具合が生じる可能性がある。たとえば、新しい機器において、交換前の機器で使用されるポートと同じポートを使用できない場合には、元の設定情報を変更する必要がある。この場合にも人手による作業が生じるので、効率が低下する可能性および人的エラーが発生する可能性を排除できない。
【0008】
本開示の目的は、ネットワーク機器の交換時に、交換後の機器の設定情報が管理装置に登録されていない場合であっても管理装置から必要な設定を行うことを可能にする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の管理装置は、複数のネットワーク機器により構成されたネットワークを管理する管理装置であって、複数のネットワーク機器の間の接続に関する接続情報をネットワークを介して取得する接続情報管理部と、複数のネットワーク機器の各々の設定に関する設定情報を管理する設定情報管理部とを備え、接続情報管理部が、取得された接続情報に基づいて、ネットワークに設置された新たなネットワーク機器が、複数のネットワーク機器のうちの1つのネットワーク機器と交換されたことを判断した場合、設定情報管理部は、当該1つのネットワーク機器である交換前のネットワーク機器の設定情報に基づいて、新たなネットワーク機器のための設定情報を作成し、作成した設定情報に従って新たなネットワーク機器を設定する。
【0010】
本開示のネットワークシステムは、複数のネットワーク機器により構成されたネットワークと、複数のネットワーク機器の間の接続に関する接続情報をネットワークを介して取得して、取得された接続情報に基づいて複数のネットワーク機器の各々の設定に関する設定情報を管理する管理装置とを備え、管理装置は、取得された接続情報に基づいて、ネットワークに設置された新たなネットワーク機器が、複数のネットワーク機器のうちの1つのネットワーク機器と交換されたことを判断した場合、当該1つのネットワーク機器である交換前のネットワーク機器の設定情報に基づいて、新たなネットワーク機器のための設定情報を作成し、作成した設定情報に従って新たなネットワーク機器を設定する。
【0011】
複数のネットワーク機器により構成されたネットワークの保守方法であって、複数のネットワーク機器の各々の設定情報を管理する管理装置が、ネットワークを介して、複数のネットワーク機器の間の接続に関する接続情報を繰り返し取得するステップと、複数のネットワーク機器のうちの1つのネットワーク機器を新しいネットワーク機器に交換するために、当該1つのネットワーク機器である交換前のネットワーク機器を停止させるステップと、交換前のネットワーク機器に接続された配線を新しいネットワーク機器につなぎ替えるステップと、新しいネットワーク機器を起動するステップと、管理装置が、取得した接続情報に基づいて、交換前のネットワーク機器から新しいネットワーク機器への交換を検出するステップと、管理装置が、交換前のネットワーク機器の設定情報に基づいて、新たなネットワーク機器のための設定情報を作成するステップと、作成するステップにおいて作成された設定情報に従って、管理装置が、新たなネットワーク機器を設定するステップとを備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、ネットワーク機器の交換時に、交換後の機器の設定情報が管理装置に登録されていない場合であっても管理装置から必要な設定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本開示の一実施の形態に係るネットワークシステムの構成例を示した図である。
図2図2は、管理サーバの構成例を模式的に示したブロック図である。
図3図3は、図1に示すようにネットワークが構成された状態において管理サーバに保存される機器登録情報の例を示した図である。
図4図4は、設定情報の例を示す図である。
図5図5は、図1に示すようにネットワークが構成された状態において管理サーバに保存される機器接続情報の例を示した図である。
図6図6は、本開示の一実施の形態に係るネットワークシステムにおいて、ネットワーク内の機器が交換された状態を示した図である。
図7図7は、ネットワーク機器の電源投入時に管理サーバにより実行される設定処理を説明するシーケンス図である。
図8図8は、ネットワーク機器を新しい機器に交換したときに、その新しい機器を検出して、初期設定を行う処理を説明するシーケンス図である。
図9図9は、図8に示すステップS17の状態において管理サーバに保存される機器登録情報の例を示した図である。
図10図10は、図8に示すステップS17の状態において管理サーバに保存される機器接続情報の例を示した図である。
図11図11は、図8に示したステップS10以後の処理を説明するシーケンス図である。
図12図12は、機器の交換後に更新された機器接続情報の例を示す図である。
図13図13は、交換後の機器用に作成された設定情報の例を示す図である。
図14図14は、ネットワークシステムを一時的に利用不可としつつネットワーク機器を交換する場合の管理サーバの動作を簡略化して説明したシーケンス図である。
図15図15は、管理サーバの機器接続情報管理部によって実行される機器の交換の有無の判定処理の例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0015】
(1) 本開示の実施形態に係る管理装置は、複数のネットワーク機器により構成されたネットワークを管理する管理装置であって、複数のネットワーク機器の間の接続に関する接続情報をネットワークを介して取得する接続情報管理部と、複数のネットワーク機器の各々の設定に関する設定情報を管理する設定情報管理部とを備え、接続情報管理部が、取得された接続情報に基づいて、ネットワークに設置された新たなネットワーク機器が、複数のネットワーク機器のうちの1つのネットワーク機器と交換されたことを判断した場合、設定情報管理部は、当該1つのネットワーク機器である交換前のネットワーク機器の設定情報に基づいて、新たなネットワーク機器のための設定情報を作成し、作成した設定情報に従って新たなネットワーク機器を設定する。
【0016】
ネットワーク機器の交換において、基本的には、交換後の機器には、交換前の機器の設定が適用可能である。上記の構成によれば、ネットワーク機器の交換時に、新しいネットワーク機器(交換後の機器)の設定情報が管理装置に登録されていない場合であっても、管理装置により、新しいネットワーク機器に対して必要な設定を行うことができる。さらに、上記の構成によれば、交換作業の作業効率を高めることができる。
【0017】
(2) 上記(1)の管理装置において、接続情報は、複数のネットワーク機器が使用するポートの情報を含む。接続情報管理部が、接続情報に基づいて、新たなネットワーク機器の接続ポートが交換前のネットワーク機器の接続ポートとは異なることを検出した場合、設定情報管理部は、新たなネットワーク機器のための設定情報の作成において、新たなネットワーク機器の接続ポートが反映されるように、交換前のネットワーク機器の設定情報を変更する。
【0018】
上記の構成によれば、新しいネットワーク機器で使用されるポートの少なくとも一部が、交換前の機器で使用されたポートが異なっていたとしても、交換前の機器の設定情報に基づいて新しいネットワーク機器のための設定情報を作成することができる。これにより、管理装置は、新しいネットワーク機器に対する設定を行うことができる。
【0019】
(3) 上記(1)または(2)の管理装置において、ネットワークが利用不可の状態である間は、接続情報管理部は、ネットワーク機器の交換に関する判断を保留する。
【0020】
たとえばネットワーク機器を交換するために、ネットワークを一時的に利用不可にすることがある。ネットワークが利用不可の間は、管理装置は、接続情報を取得することができない。この状態で管理装置が交換後の機器に対して設定を行った場合、誤った設定が行われる可能性がある。上記構成によれば、ネットワークが利用不可の間、管理装置はネットワーク機器の交換に関する判断を保留する。これにより、交換後の機器に誤った設定が行われた状態で動作することを回避することができる。
【0021】
(4) 上記(1)から(3)のいずれかの管理装置において、接続情報管理部は、接続情報に基づいて、新しいネットワーク機器に接続された配線の数が、交換前のネットワーク機器に接続された配線の数と一致し、かつ、配線の接続先の機器および接続先の機器において配線が接続されるポートの組み合わせが、交換前のネットワーク機器の接続情報における、配線の接続先の機器および接続先の機器において配線が接続されるポートの組み合わせと一致すると判断した場合には、交換前のネットワーク機器が新しいネットワーク機器に交換されたと判断する。
【0022】
交換前のネットワーク機器に接続されていた配線の全てが、新しいネットワーク機器につなぎ替えられた場合、新しいネットワーク機器に接続された配線の数が、交換前のネットワーク機器に接続された配線の数に一致する。さらに、新しいネットワーク機器に接続された配線の接続先の情報(機器およびポートの組み合わせ)が交換前のネットワーク機器に接続されていた配線の接続先の情報(機器およびポートの組み合わせ)と一致する。これにより、交換前のネットワーク機器に接続されていた配線が、新しいネットワーク機器にネットワークに正しくつなぎ替えられたと判断できる。したがって、管理装置は、交換前の機器の設定に基づいて、新しいネットワーク機器(すなわち交換後の機器)に対して設定を行うことができる。
【0023】
(5) 上記(1)から(3)のいずれかの管理装置において、接続情報管理部は、接続情報に基づいて、新しいネットワーク機器に接続された配線の数が、交換前のネットワーク機器に接続された配線の数に対して1つ以上少ないと判断した場合には、接続エラーを検出し、設定情報管理部は、接続エラーに応じて、新しいネットワーク機器に対する設定情報を作成しないと判断する。
【0024】
新しいネットワーク機器に接続された配線の数が、交換前のネットワーク機器に接続された配線の数に対して1つ以上少ないとは、1本以上未接続の配線が存在するということである。上記の構成によれば、未接続の配線が残っている場合には、管理装置は、新しいネットワーク機器に対する設定情報を作成しないので、新しいネットワーク機器に誤った設定がされることを避けることができる。
【0025】
(6) 本開示の実施の形態に係るネットワークシステムは、複数のネットワーク機器により構成されたネットワークと、複数のネットワーク機器の間の接続に関する接続情報をネットワークを介して取得して、取得された接続情報に基づいて複数のネットワーク機器の各々の設定に関する設定情報を管理する管理装置とを備え、管理装置は、取得された接続情報に基づいて、ネットワークに設置された新たなネットワーク機器が、複数のネットワーク機器のうちの1つのネットワーク機器と交換されたことを判断した場合、当該1つのネットワーク機器である交換前のネットワーク機器の設定情報に基づいて、新たなネットワーク機器のための設定情報を作成し、作成した設定情報に従って新たなネットワーク機器を設定する。
【0026】
上記の構成によれば、ネットワーク機器の交換時に、交換後の機器の設定情報が管理装置に登録されていない場合であっても管理装置から必要な設定を行うことができる。また、上記の構成によれば、新しいネットワーク機器の設定情報を管理装置が作成することにより、交換作業の作業効率を高めることができる。
【0027】
(7) 本開示の実施の形態に係るネットワークの保守方法は、複数のネットワーク機器により構成されたネットワークの保守方法であって、複数のネットワーク機器の各々の設定情報を管理する管理装置が、ネットワークを介して、複数のネットワーク機器の間の接続に関する接続情報を繰り返し取得するステップと、複数のネットワーク機器のうちの1つのネットワーク機器を新しいネットワーク機器に交換するために、当該1つのネットワーク機器である交換前のネットワーク機器を停止させるステップと、交換前のネットワーク機器に接続された配線を新しいネットワーク機器につなぎ替えるステップと、新しいネットワーク機器を起動するステップと、管理装置が、取得した接続情報に基づいて、交換前のネットワーク機器から新しいネットワーク機器への交換を検出するステップと、管理装置が、交換前のネットワーク機器の設定情報に基づいて、新たなネットワーク機器のための設定情報を作成するステップと、作成するステップにおいて作成された設定情報に従って、管理装置が、新たなネットワーク機器を設定するステップとを備える。
【0028】
上記の構成によれば、ネットワーク機器の交換時に、交換後の機器の設定情報が管理装置に登録されていない場合であっても管理装置から必要な設定を行うことができる。さらに、上記の構成によれば、新しいネットワーク機器の設定情報を管理装置が作成することにより、保守作業の作業効率を高めることができる。
【0029】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0030】
図1は、本開示の一実施の形態に係るネットワークシステム1の構成例を示した図である。図1に示すように、ネットワークシステム1は、複数のネットワーク機器により構成されるネットワーク10と、ネットワーク10を管理する管理装置である管理サーバ20とを含む。
【0031】
ネットワーク10は、相互に接続されたネットワーク機器10A,10B,10C,10D,10Eを含む。ネットワーク機器10A~10Eは、たとえばスイッチ、ルータ等の機器である。図1では、5台のネットワーク機器が例示されているが、ネットワーク10を構成する複数のネットワーク機器の台数は限定されない。なお、以下の説明では、ネットワーク機器10A,10B,10C,10D,10Eを端的に「機器A」、「機器B」、「機器C」、「機器D」、「機器E」と表現することもある(図1を参照)。
【0032】
ネットワーク機器10A,10B,10C,10D,10Eの各々は複数のポートを有する。図示の都合上、図1では、各ネットワーク機器の複数のポートのうち、5つのポート(ポートp1~p5)を示す。ネットワーク機器同士は、ポートに接続された配線を介して接続される。
【0033】
管理サーバ20は、ネットワーク機器の電源投入時に、そのネットワーク機器の設定を行う。さらに、本開示の実施の形態では、管理サーバ20は、ネットワーク上のあるネットワーク機器が新しいネットワーク機器に交換されたときに、交換前のネットワーク機器の設定情報に基づいて、新しいネットワーク機器の設定情報を作成する。管理サーバ20は、その作成した情報に基づいて新しいネットワーク機器の設定を行う。
【0034】
交換前のネットワーク機器と、交換後のネットワーク機器(新しいネットワーク機器)とは同一種類の機器であり、互換性を有する。したがって、新しいネットワーク機器は、交換前のネットワーク機器の設定を引き継ぐことができる。なお、交換前のネットワーク機器の設定を引き継ぐことができるのであれば、新しいネットワーク機器が交換前のネットワーク機器に対して上位互換性を有していてもよい。
【0035】
図2は、管理サーバ20の構成例を模式的に示したブロック図である。管理サーバ20は、管理部21と、記憶部22と、インターフェース部23とを含む。管理部21は、機器登録情報管理部24と、機器接続情報管理部25とを含む。
【0036】
機器登録情報管理部24は、各ネットワーク機器の設定情報および固有情報を含む機器登録情報を管理する。したがって、本開示の実施形態において、機器登録情報管理部24は、複数のネットワーク機器の各々の設定に関する設定情報を管理する設定情報管理部に相当する。機器接続情報管理部25は、本開示の実施形態において、複数のネットワーク機器の間の接続に関する接続情報をネットワークを介して取得する接続情報管理部に相当する。記憶部22は、機器登録情報26および機器接続情報27を格納する。
【0037】
以下に、機器登録情報管理部24および機器接続情報管理部25の各々の機能を説明する。
【0038】
(1)機器登録情報管理部24の機能
(a)機器登録情報管理部24は、ユーザインタフェースとして機能するインターフェース部23から、ネットワーク機器の登録を受け付ける。この場合、機器登録情報管理部24は、ネットワーク機器ごとに、固有情報と設定情報とを機器登録情報26に記録する。
【0039】
(b)機器登録情報管理部24は、ネットワーク機器に付与した管理用IPアドレスおよび、ネットワーク機器への管理IPアドレスの付与状況を管理する。機器登録情報管理部24は、管理用IPアドレスおよび、管理用IPアドレスの付与状況を機器登録情報26に記録する。
【0040】
(c)機器登録情報管理部24は、ネットワーク機器からのIPアドレス割り当て要求を受信したときには、そのネットワーク機器にIPアドレスを割り当てて、ネットワーク機器にIPアドレスを通知する。さらに、機器登録情報管理部24は、固有情報に基づき機器登録情報26を検索して、そのネットワーク機器の機器登録情報にIPアドレスを登録する。IPアドレスの割り当てには、たとえばDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)のような手法が利用される。
【0041】
(d)機器登録情報管理部24は、ネットワーク機器から設定情報の要求を受信したときには、そのネットワーク機器のIPアドレスに基づいて機器登録情報26を検索して、当該ネットワーク機器に関する設定情報の登録の有無を確認する。設定情報が機器登録情報26に登録されている場合は、登録されている設定情報をネットワーク機器へ送信する。これにより、設定情報の要求を出したネットワーク機器が、管理サーバ20によって設定される。一方、設定情報が登録されていない未登録機器の場合、機器登録情報管理部24は、未登録機器に対して、当該機器が隣接の機器と接続情報を交換するための最低限の設定のための情報(ミニマム設定)を送信する。機器登録情報管理部24は、その未登録機器の情報を、機器接続情報管理部25へ通知する。
【0042】
(e)機器接続情報管理部25から機器交換の通知を受信したときには、機器登録情報管理部24は、機器固有情報に基づき機器登録情報26を検索して、該当の未登録機器を登録状態にする。
【0043】
(f)機器登録情報管理部24は、交換前の機器と、交換後の機器との間の接続情報の差分に基づいて、交換前の機器の設定情報を更新する。これにより、交換後の機器のための設定情報が作成される。機器登録情報管理部24は、ミニマム設定状態で動作している機器に、その設定情報を送信して、機器を使用可能状態にする。
【0044】
(2)機器接続情報管理部25の機能
(a)機器接続情報管理部25は、ネットワーク機器の接続情報を管理するとともに、その接続情報を機器接続情報27に記録する。
【0045】
(b)機器接続情報管理部25は、機器接続情報をネットワーク機器から繰り返し収集して、その収集した接続情報を保存する。具体的には、機器接続情報管理部25は、機器接続情報27に登録された各ネットワーク機器から、定期的に接続情報を収集して、その収集した情報により機器接続情報27を更新する。機器接続情報27は、一定期間(たとえば数日あるいは数週間など)、記憶部22に保持される。
【0046】
(c)機器接続情報管理部25は、未登録のネットワーク機器を機器接続情報27に登録する。具体的には、機器登録情報管理部24から、未登録のネットワーク機器の通知を受信した場合、機器接続情報管理部25は、機器接続情報27に当該未登録の機器の情報を追加する。
【0047】
(d)機器接続情報管理部25は、次回の機器接続情報の収集時に、未登録のネットワーク機器の接続情報と過去の機器接続情報とを比較して、未登録のネットワーク機器の追加が機器交換に該当するか否かを判定する。機器交換に該当すると判定した場合、機器接続情報管理部25は、交換前の機器と交換後の機器との間の接続情報の差分を抽出する。機器接続情報管理部25は、機器登録情報管理部24に対し、機器交換であるとの判定結果および機器接続情報が変更されたことを通知する。
【0048】
図3は、図1に示すようにネットワーク10が構成された状態において管理サーバ20に保存される機器登録情報26の例を示した図である。図3に示すように、機器登録情報26には、機器A~機器Eのそれぞれの固有情報、設定情報およびIPアドレスの付与状況が登録される。図3の例では、機器登録情報26には、機器A~機器Eのすべての固有情報、設定情報、およびIPアドレスが登録される。機器A~機器EのすべてにIPアドレスが割り当て済みであるので、機器登録情報26の「IPアドレス付与状況」の欄には、各機器に割り当てられたIPアドレスが登録される。
【0049】
図4は、設定情報の例を示す図である。図4では、機器Aの設定情報として、ポートとの関連が深いVLAN(Virtual Local Area Network)の設定が例示される。「VLAN10」、「VLAN20」、「VLAN100」、「VLAN300」のそれぞれのVLANについて、対応する機器Aのポート、および、対向機器のポートが登録される。図4において、たとえば「B-p3」との表記は、機器Bのポートp3を意味する(以後説明する図においても同様)。
【0050】
「VLAN10」で表わされるVLANを例に、設定情報について説明する。機器Aのポートp1,p2が使用されることが記号「v」で示される。さらに、機器Aのポートp1に対する対向機器のポート(機器Bのポートp3)および、機器Aのポートp2に対する対向機器ポート(機器Cのポートp1)が登録される。なお、本明細書では、使用されている(すなわち配線が接続されている)ポートを「接続ポート」と呼ぶ。
【0051】
図5は、図1に示すようにネットワーク10が構成された状態において管理サーバ20に保存される機器接続情報27の例を示した図である。図5に示すように、機器接続情報27には、機器A~機器Eのそれぞれから収集された接続情報の登録状況および、機器間の接続の情報が登録される。「機器間の接続の情報」とは、具体的には、ある機器のポートp1~p5の接続先のポートに関する情報である。図5に示す表の中の空欄は、その欄に対応するポートが未接続であることを表わしている。
【0052】
図5の例では、機器A~機器Eのすべての接続情報が登録済みである。たとえば機器Aについて、機器接続情報27には、機器Aのポートp1,p2,p3,p5が、それぞれ、機器Bのポートp3、機器Cのポートp1,機器Dのポートp1,機器Eのポートp1に接続され、機器Aのポートp4が未接続であることが登録されている。機器B~機器Eについても、同様の接続情報が機器接続情報27に登録されている。
【0053】
図6は、本開示の一実施の形態に係るネットワークシステム1において、ネットワーク10内の機器が交換された状態を示した図である。図1との比較から理解されるように、図6に示すネットワークシステム1の状態は、機器A(ネットワーク機器10A)が、機器A’(ネットワーク機器10A1)に交換された状態である。なお、説明の理解を容易にするため、機器A’は機器Aと同一型式の機器であるとする。
【0054】
機器Aから機器A’への交換に際しては、確実な交換の観点から、機器Aのポートに接続された配線を、機器A’の同一のポートにつなぎ替えることが望ましい。しかしながら、たとえば配線の引き回しの制限などの様々な理由によって、機器Aと機器A’とでは異なるポートに配線をつなぎ替えなければならない可能性がある。
【0055】
図6において、図1に示す配線と異なる配線を太い実線により表わす。機器A’と機器Aとでは、他の機器に接続されるポートが異なる。たとえば、機器Aのポートp1は、機器Bのポートp3に接続される。これに対して、機器A’のポートp1は、機器Cのポートp3に接続される。また、機器Aではポートp4が未接続のポートであるのに対して、機器A’では、ポートp3が未接続のポートである。
【0056】
図6に示される状態において、管理サーバ20は、機器A’が機器Aと交換された機器であると判断して、機器A’の設定情報を作成する。管理サーバ20は、その設定情報を機器A’に送信する。これにより、機器A’がネットワーク10において動作可能な状態となる。このような管理サーバ20の処理について、さらに詳細に説明する。
【0057】
図7は、ネットワーク機器の電源投入時に管理サーバにより実行される設定処理を説明するシーケンス図である。図7では、図1に示す機器Aの電源投入時における設定シーケンスが示される。機器Aの設定情報は管理サーバ20に事前登録されている。また、ネットワーク10の他の機器(機器B~機器E)は既に稼働中であるとする。
【0058】
図7に示すように、まず、機器Aに電源が投入される。機器Aは、管理サーバ20の機器登録情報管理部24に対して、IPアドレス割り当て要求を受信する(ステップS1)。要求に応じて、機器登録情報管理部24は、機器登録情報26を検索して、機器Aの登録状況を確認する。機器登録情報26には機器Aの情報が登録されているため、機器登録情報管理部24は、機器登録情報26に登録された機器AのIPアドレスを機器Aに付与する(ステップS2)。
【0059】
次に、機器Aは、機器登録情報管理部24に対して、設定情報を要求する(ステップS3)。要求に応じて、機器登録情報管理部24は、機器登録情報26を検索して、機器Aの設定情報を確認する。機器登録情報26には機器Aの設定情報が事前に登録されている。したがって、機器登録情報管理部24は、機器Aの設定情報を機器Aに送信する(ステップS4)。さらに、機器登録情報管理部24は、機器Aの情報を機器接続情報管理部25へ通知する(ステップS5)。
【0060】
機器Aは、他の機器(図1の例では、機器B~機器E)との間で接続情報を交換する(ステップS6)。接続情報は、たとえば、自機の情報およびポートの接続情報を含みうる。なお、機器A~機器Eの間での接続情報の交換には、たとえばIEEE802.1ABで標準化されているLLDP(Link Layer Discovery Protocol)のような手法を用いることができる。
【0061】
管理サーバ20の機器接続情報管理部25は、機器A~機器Eの各々から接続情報を収集する(ステップS7)。これにより、機器接続情報管理部25は、複数のネットワーク機器の間の接続に関する接続情報をネットワークを介して取得する。機器接続情報管理部25は、収集した接続情報を機器接続情報27に記録して、機器接続情報27を更新する。なお、機器A~機器Eの間では接続情報が繰り返し交換されて、機器接続情報管理部25は、機器A~機器Eの各々から接続情報を収集する。なお、ステップS6,S7の処理は、繰り返し実行されるが、図9では、繰り返し実行される処理をステップS8,S9の処理として表わす。
【0062】
図8は、ネットワーク機器を新しい機器に交換したときに、その新しい機器を検出して、初期設定を行う処理を説明するシーケンス図である。図8に示す例では、機器Aが故障したことにより、機器Aが機器A’に交換される。
【0063】
機器Aの故障が発生することにより、機器Aの電源がオフされる(ステップS11)。これにより、機器A(交換前のネットワーク機器)を停止させる。次に、機器Aが機器A’(新しいネットワーク機器)に交換される(ステップS12)。交換作業において、機器Aのポートに接続された配線を機器A’のポートにつなぎ替える。機器A’への配線が完了すると機器A’に電源が投入される。
【0064】
機器A’に電源が投入されて機器A’が起動する。機器A’は、管理サーバ20の機器登録情報管理部24に対して、IPアドレス割り当て要求を受信する(ステップS13)。要求に応じて、機器登録情報管理部24は、機器登録情報26を検索して、機器A’の登録状況を確認する。しかし機器A’の情報が機器登録情報26に登録されていない。この場合、機器登録情報管理部24は、機器A’に新しいIPアドレスを付与する(ステップS14)。
【0065】
機器A’は、機器登録情報管理部24に対して、設定情報を要求する(ステップS15)。要求に応じて、機器登録情報管理部24は、機器登録情報26を検索して、機器A’の設定情報を確認する。機器登録情報26には機器A’の設定情報が事前に登録されていない。したがって、機器登録情報管理部24は、未登録機器である機器A’に対して、隣接の機器と接続情報の交換をできるようにするだけの最低限の設定のための情報(ミニマム設定)を送信する(ステップS16)。さらに、機器登録情報管理部24は、機器A’の情報を機器接続情報管理部25へ通知する(ステップS17)。
【0066】
図9は、図8に示すステップS17の状態において管理サーバ20に保存される機器登録情報26の例を示した図である。図9に示すように、機器A’にIPアドレスが割り当てられているものの、機器A’の固有情報および設定情報は機器登録情報26に登録されていない。
【0067】
図10は、図8に示すステップS17の状態において管理サーバ20に保存される機器接続情報27の例を示した図である。図10に示すように、管理サーバ20が機器A’から接続情報を取得できていないため、機器A’の接続情報は機器接続情報27に登録されていない。
【0068】
図8を再び参照して、機器A’は、LLDPなどの手法を用いて、他の機器(図6の例では、機器B~機器E)との間で接続情報を交換する(ステップS18)。管理サーバ20の機器接続情報管理部25は、機器A’および他の機器から接続情報を収集する(ステップS19)。機器接続情報管理部25は、収集した接続情報を機器接続情報27に記録する。
【0069】
図11は、図8に示したステップS10以後の処理を説明するシーケンス図である。図11に示すように、機器A’は、他の機器との間で接続情報を交換する(ステップS20)。管理サーバ20の機器接続情報管理部25は、機器A’~機器Eから接続情報を収集する(ステップS21)。機器接続情報管理部25は、収集した接続情報を機器接続情報27に登録する。これにより機器接続情報27が更新される。
【0070】
図12は、機器の交換後に更新された機器接続情報27の例を示す図である。図12に示されるように、機器接続情報27には、機器A’の接続情報が登録済みである。機器接続情報管理部25は、更新後の機器接続情報27を、更新前の機器接続情報27と比較して、新たに設置された機器A’と同じ機器およびポートの組合せを持つ機器があるかどうかを確認する。
【0071】
この場合、機器接続情報管理部25は、更新後の機器接続情報27から、機器A’が、ポートB-p3、ポートC-p1、ポートD-p1、ポートE-p1と接続していることを認識する。さらに機器接続情報管理部25は、機器A’の情報を、機器A~Eのそれぞれの接続情報と比較する。この結果、機器接続情報管理部25は、機器Aと機器A’との間で、接続先の機器および接続先のポートの組合せが同じであることを確認する。
【0072】
機器接続情報管理部25は、機器の交換の有無の判定において、接続先の機器およびポートの組合せが同じであれば機器の交換が有りと判定する。機器A’の接続ポートは機器Aの接続ポートと異なっている。しかし、機器接続情報管理部25は、機器の交換の有無の判定において、接続ポートの同一性を考慮しない。図12に示す例では、機器Aと機器A’との間で接続情報が一致する。機器接続情報管理部25は、取得した接続情報に基づいて、交換前のネットワーク機器(機器A)から新しいネットワーク機器(機器A’)への交換を検出する(ステップS22)。
【0073】
図11を再び参照して、機器接続情報管理部25は、機器登録情報管理部24に対して、機器交換であるとの判定結果を通知するとともに、機器接続情報が変更されたことを通知する(ステップS23)。
【0074】
一致する接続情報を持つ機器が無い場合には、機器接続情報管理部25は、機器A’を未登録機器の接続として扱う。さらに機器接続情報管理部25は、機器A’の各通信ポートを閉塞し使用不可の状態に設定する。
【0075】
機器登録情報管理部24は、機器接続情報管理部25からの通知に応じて、機器Aと機器A’との間の接続情報の差を確認する。差がない場合には、機器登録情報管理部24は、機器Aの設定情報を機器A’の設定情報に利用することで機器A’の設定情報を作成する。接続情報の差がある場合、機器登録情報管理部24は、機器Aと機器A’との間の接続情報の差に基づき機器Aの接続情報を変更して機器A’用の設定情報を作成する。
【0076】
図13は、交換後の機器用に作成された設定情報の例を示す図である。図4図13との比較から理解されるように、機器A’用の設定情報では、たとえばVLAN設定が機器A用の設定から変更される。具体的には、機器の交換前には「VLAN10」にポートp1,p2が所属するよう設定されている。これに対して、機器の交換後には、機器A’の接続情報に基づき、「VLAN10」にポートp1,p4が所属するように設定される。このように、本実施の形態では、新たなネットワーク機器の接続ポートが交換前のネットワーク機器の接続ポートとは異なることを検出した場合、新たなネットワーク機器のための設定情報の作成において、新たなネットワーク機器の接続ポートが反映されるように、交換前のネットワーク機器の設定情報を変更する。
【0077】
再び図11を参照して、機器登録情報管理部24は、機器A’用の設定情報を機器A’に送信する(ステップS24)。これにより、機器A’用の設定情報に従って機器A’が設定され、機器A’が動作可能となる。なお、機器A’の設定後も、機器接続情報管理部25は、機器A’および他の機器から接続情報を繰り返し収集する。機器接続情報管理部25は、収集した接続情報を機器接続情報27に記録する(ステップS25)。
【0078】
上記の実施の形態では、ネットワーク10を構成する複数のネットワーク機器のうち1台が交換され、残りのネットワーク機器は動作を継続している。しかしながら、たとえばネットワークシステムのメンテナンス等の理由により、一時的にネットワークシステムを利用不可とするとともに、複数のネットワーク機器のうちの交換対象の機器を新しい機器に交換することが想定される。
【0079】
図14は、ネットワークシステムを一時的に利用不可としつつネットワーク機器を交換する場合の管理サーバの動作を簡略化して説明したシーケンス図である。たとえば、図1に示した機器Aの故障によってネットワークシステムの復旧作業が必要となったために、ネットワーク10が一時的に利用不可とされたとする。このような場合にも、機器Aの電源がオフにされて、機器Aが機器A’に交換される。機器Aに接続された配線を機器A’につなぎ替える。そして機器A’に電源を投入することにより機器A’を起動させる。
【0080】
しかし、ネットワーク10が利用不可の間は、管理サーバ20(機器接続情報管理部25)は、ネットワーク10を介して接続情報を収集することができない。したがって、管理サーバ20(機器接続情報管理部25)は、ネットワーク10が利用不可の間は、ネットワーク10に新しい機器が追加されたか否かの判断、あるいは、ネットワーク10のうちのある機器が別の機器に交換されたか否かの判断を保留する。管理サーバ20には機器接続情報27が記憶されているものの、この機器接続情報27は最新の情報でない。したがって、管理サーバ20が判断を保留することにより、機器A’に誤った設定が行われた状態で機器A’が動作することを回避することができる。
【0081】
たとえば機器B~機器Eの各々に電源が投入されると、管理サーバ20は、機器B~機器Eに設定情報を送信して機器B~機器Eを動作させる。これにより、ネットワーク10が利用可能な状態になる。ネットワーク10が利用可能な状態において、機器接続情報管理部25は、ネットワーク10に新しい機器が追加されたか否かの判断、あるいは、ネットワーク10のうちのある機器が別の機器に交換されたか否かの判断を再開する。以後、図10図13を参照して説明した処理の流れと同じ流れに従って、管理サーバ20は、機器A’のための設定情報を作成し、その設定情報に従って機器A’を設定する。
【0082】
このように、本開示の実施の形態では、管理サーバ20が、機器Aの設定情報を変更して、機器A’用の設定情報を作成するとともに、その設定情報に基づいて機器A’を設定する。これにより、交換後の機器に対する設定を、人手を介すことなく自動的に行うことができる。
【0083】
なお、上述のように、機器Aから機器A’への交換に際して、機器Aに接続された配線を機器A’に移し替える必要がある。配線の数が多くなると、作業者が配線を移し替える際に、機器A’に本来接続されるべき配線が未接続のままとなる可能性がある。本開示の実施の形態では、機器A’の設定を行うか否かの判断の判断要素として、未接続の配線の数を含めてもよい。
【0084】
図15は、管理サーバの機器接続情報管理部によって実行される機器の交換の有無の判定処理の例を示したフローチャートである。図15を参照して、ステップS31において、機器接続情報管理部25は、機器接続情報27の比較により、新しいネットワーク機器の情報が機器接続情報27に含まれていることを検出する。ステップS32において、機器接続情報管理部25は、機器接続情報27において、新しいネットワーク機器に未接続となっている配線の数を判定する。
【0085】
機器接続情報27において、交換前の機器(たとえば機器A)のどのポートが他の機器のポートに接続されているかを確認することにより、機器接続情報管理部25は、交換前の機器において配線が接続されていたポート(「接続ポート」と呼ぶ)の数を把握することができる。同様に、機器接続情報管理部25は、機器接続情報27に登録された、新しいネットワーク機器(たとえば機器A’)のどのポートが他の機器のポートに接続されているかを確認することにより、新しいネットワーク機器の接続ポートの数を把握することができる。
【0086】
交換前の機器の接続ポートの数に対する、新しいネットワーク機器の接続ポートの数の差が、新しいネットワーク機器に未接続となっている配線の数に相当する。新しいネットワーク機器に接続される配線の数が、交換前のネットワーク機器に接続される配線の数と一致する場合には、未接続の配線の本数は0本である。一方、新しいネットワーク機器に接続される配線の数が、交換前のネットワーク機器に接続される配線の数よりも1つ以上少ない場合、未接続の配線の本数は1本以上である。
【0087】
未接続の配線の本数が0本の場合、機器接続情報管理部25は、機器接続情報27に基づいて、接続相手の情報が一致するかどうかを判定する(ステップS33)。接続相手の情報とは、配線の接続先の機器および接続先の機器において配線が接続されるポートの組み合わせ(たとえば「B-p3」等)である。
【0088】
未接続の配線の本数が0本であるとは、交換前のネットワーク機器に接続されていた配線の全てが、新しいネットワーク機器につなぎ替えられたということである。接続相手の情報が一致するとは、新しいネットワーク機器に接続された配線の接続先の機器およびポートの組み合わせが、交換前のネットワーク機器に接続されていた配線の接続先の機器およびポートの組み合わせに一致するということである。ステップS33においてYESの場合、交換前のネットワーク機器に接続されていた配線が新しいネットワーク機器にネットワークに正しくつなぎ替えられたと判断できる。したがって、管理サーバ20は、機器の交換有りを検出する(ステップS34)。
【0089】
この場合、図11に示すように、機器接続情報管理部25から機器登録情報管理部24に機器交換の通知がされる。機器登録情報管理部24は、交換後の機器に対して、設定情報を作成し、その設定情報により交換後の機器の設定を行う(ステップS35)。
【0090】
一方、未接続の配線の本数が1本以上ある場合、機器接続情報管理部25は、接続エラーを検出して、その接続エラーを通知する(ステップS36)。エラーの通知の方法は特に限定されず、たとえば、管理サーバ20に接続されたディスプレイにエラーメッセージを表示するのでもよい。交換前の機器の設定情報を修正する際には、接続ポートの情報が必要である。しかし、未接続の配線の本数が1本以上ある状態とは、交換前の機器の接続ポートの数に対して、交換後の機器の接続ポートの数が1つ以上足りない状態である。このような場合、交換前の機器の接続ポートと交換後の機器の接続ポートとの間の対応づけを決定できない。したがって機器接続情報管理部25は、接続エラーを検出して、そのエラーを通知する。
【0091】
この場合、機器接続情報管理部25から機器登録情報管理部24に機器交換の通知が行われない。したがって、機器登録情報管理部24は、接続エラーが検出されたことに応じて、新しいネットワーク機器に対する設定情報を作成しないと判断する。これにより交換後の機器に誤った設定がされることを回避できる。
【0092】
なお、接続エラーが検出された場合、機器接続情報管理部25は、次の接続情報の取得のタイミングに応じて、ステップS31以降の処理を再度実行する。「未接続の配線の本数が1本以上ある」と判定された回数が所定の回数に達した場合、機器接続情報管理部25は、新しいネットワーク機器の各ポートを閉塞して使用不可の状態に設定する。
【0093】
また、ステップS33において、接続相手の情報が一致しない場合(ステップS33においてNO)にも、機器接続情報管理部25から機器登録情報管理部24に機器交換の通知が行われない。したがって新しいネットワーク機器に対する設定情報が作成されないため、新しいネットワーク機器に誤った設定がされることを回避できる。なお、機器接続情報管理部25は、接続相手の情報が一致しない場合には、処理をステップS36に進めて、接続エラーを通知してもよい。この場合にも新しいネットワーク機器に対する設定情報が作成されないので、新しいネットワーク機器に誤った設定がされることを回避できる。
【0094】
以上のように本開示の実施の形態によれば、ネットワーク機器の交換時に、交換後の機器の設定情報が管理装置に登録されていない場合であっても、接続情報と、交換前の機器の設定情報とに基づいて、管理装置は、新しい機器のための設定情報を作成することができる。本開示の実施の形態によれば、2つの機器の間で、接続先の機器と、その接続先の機器での接続ポートとの組合せが同じであれば、管理サーバは、それら2つの機器の間での交換有りと判定する。したがって、新しい機器と、交換前の機器とで使用されるポートが異なっていても、接続情報に登録された情報および、交換前の機器の設定情報に基づいて、新しい機器のための設定情報を作成することができる。
【0095】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0096】
1 ネットワークシステム
10 ネットワーク
10A~10E,10A1 ネットワーク機器
20 管理サーバ
21 管理部
22 記憶部
23 インターフェース部
24 機器登録情報管理部
25 機器接続情報管理部
26 機器登録情報
27 機器接続情報
p1~p5 ポート
S1~S20,S21,S23~S25,S31~S35 ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15