IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本軽金属株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-熱交換器 図1
  • 特開-熱交換器 図2
  • 特開-熱交換器 図3
  • 特開-熱交換器 図3A
  • 特開-熱交換器 図4
  • 特開-熱交換器 図5
  • 特開-熱交換器 図6
  • 特開-熱交換器 図7
  • 特開-熱交換器 図8
  • 特開-熱交換器 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163330
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074169
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004743
【氏名又は名称】日本軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 菊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】関 和仁
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 正憲
(72)【発明者】
【氏名】平井 友樹
(72)【発明者】
【氏名】錦織 祐介
(72)【発明者】
【氏名】菊池 優一
(72)【発明者】
【氏名】浅沼 聡
(72)【発明者】
【氏名】金子 拓美
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136CB06
5F136FA02
5F136FA51
5F136GA01
5F136JA03
(57)【要約】
【課題】剪断荷重及び高温環境下においても接合部の強度の維持が図れ、水密性及び耐熱性が図れるアルミニウムと合成樹脂とを接合した熱交換器を提供する。
【解決手段】液状冷媒の流路11を有する合成樹脂製の流路ボックス10と、流路ボックス10の開口部10aを閉塞すると共に、熱電素子を含む発熱体30に接触するアルミニウム製の蓋体20とを具備する熱交換器であって、流路ボックス10は、開口部10aに、開口縁から外方に延在する接合面15aと、該接合面15aの周辺に起立する蓋体用位置決め壁16が設けられる。流路ボックス10と蓋体20は、蓋体20における流路ボックス10の接合面15aに対応する接合領域21に施された微細凹凸接合層22と流路ボックス10の接合面15aを熱溶着によって接合されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状冷媒の流路を有する合成樹脂製の流路ボックスと、上記流路ボックスの開口部を閉塞すると共に、熱電素子を含む発熱体に接触するアルミニウム製の蓋体とを具備する熱交換器であって、
上記流路ボックスは、上記開口部に、開口縁から外方に延在する接合面と、該接合面の周辺に起立する蓋体用位置決め壁が設けられ、
上記流路ボックスと上記蓋体は、上記蓋体における上記流路ボックスの上記接合面に対応する接合領域に施された微細凹凸接合層と上記流路ボックスの上記接合面を熱溶着によって接合されている、
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器であって、
上記微細凹凸接合層は、レーザー処理によって、上記蓋体における上記接合領域の対向する一方から他方に向かって連続する互いに平行な凹凸細条にて形成されている、ことを特徴とする熱交換器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の熱交換器であって、
上記流路ボックスは、該流路ボックスの一側に設けられた冷媒流入口と冷媒流出口とを区画して液状冷媒の流路を形成する仕切壁を具備する、ことを特徴とする熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱交換器に関するもので、更に詳細には、アルミニウムと合成樹脂とを接合した熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液状冷媒を流路に流して発熱体を冷却する熱交換器において、上記流路を有する合成樹脂製の有底容器を含む流路本体(以下に流路ボックスという)と、流路ボックスの開口端を閉塞するアルミニウム製の蓋材とをエポキシ樹脂などの接着剤を流路ボックスの開口端に塗布して加熱加圧にて密着接合させるか、又は、その内面に熱溶着樹脂層を有する構成のラミネートシートを流路ボックスの開口端に当接してその熱溶着樹脂層を流路ボックスの開口端に熱溶着させて流路ボックスと蓋材とを密着接合する熱交換器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のものによれば、薄形軽量でき、半導体素子を用いて電力変換を行う機器等の発熱体の表面に装着させて、流路ボックス内に満たされる液状冷媒によって発熱体を冷却することができる。
【0004】
また、液状冷媒の冷却又は加熱によって、熱と電気とを関係づける現象を利用した熱電素子、例えば電流によって熱の吸収又は発生の生ずる現象を利用したペルチェ素子の冷却又は加熱に適用した熱交換器が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
特許文献2に記載のものによれば、流路を有する合成樹脂製のブロック本体に銅製の導熱板を取り付けることにより、流路が外部から離隔される。
【0006】
この種の熱交換器においては、流路ブロック内に液状冷媒が満たされるため、水密性と強度が求められる。また、流路ボックスと蓋材とを密着接合させる際の加熱温度に対する耐熱性や、熱交換器を加熱に利用した場合には、液状冷媒が高温となるため、耐熱性が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6534024号公報
【特許文献2】特開2021-23439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、エポキシ樹脂などの接着剤や熱溶着樹脂層を有する構成のラミネートシートを介して流路ボックスの開口端と蓋材とを熱溶着によって接合する構造であるため、接合時の加熱温度によって接着剤や熱溶着樹脂層が影響を受け、接合部に剪断荷重が加わると、流路ボックスと蓋材の接合部の界面が剥離し、十分な水密性と強度が得られない懸念がある。また、流路ボックスと蓋材とを密着接合させる際の加熱温度や、冷媒が高温の場合においても、冷媒の温度によって接着剤や熱溶着樹脂層が影響を受け、流路ボックスと蓋材の接合部の界面が剥離し、十分な水密性と強度が得られない懸念がある。なお、特許文献2に記載のものにおいては、合成樹脂製のブロック本体と銅製の導熱板との接合については言及されておらず、接合部の強度の維持、水密性及び耐熱性に課題が残る。
【0009】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、剪断荷重及び高温環境下においても接合部の強度の維持が図れ、水密性及び耐熱性が図れるアルミニウムと合成樹脂とを接合した熱交換器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するために、この発明の熱交換器は、液状冷媒の流路を有する合成樹脂製の流路ボックスと、上記流路ボックスの開口部を閉塞すると共に、熱電素子を含む発熱体に接触するアルミニウム製の蓋体とを具備する熱交換器であって、上記流路ボックスは、上記開口部に、開口縁から外方に延在する接合面と、該接合面の周辺に起立する蓋体用位置決め壁が設けられ、上記流路ボックスと上記蓋体は、上記蓋体における上記流路ボックスの上記接合面に対応する接合領域に施された微細凹凸接合層と上記流路ボックスの上記接合面が熱溶着によって接合されている、ことを特徴とする(請求項1)。
【0011】
このように構成することにより、流路ボックスに設けられた蓋体用位置決め壁によって蓋体の周辺が位置決めされた状態で、流路ボックスの接合面に対応する接合領域に施された微細凹凸接合層と流路ボックスの接合面を熱溶着によって接合することができる。
【0012】
この発明において、上記微細凹凸接合層は、レーザー処理によって、上記蓋体における上記接合領域の対向する一方から他方に向かって連続する互いに平行な凹凸細条にて形成されているのが好ましい(請求項2)。
【0013】
このように構成することにより、流路ボックスと蓋体との接合を均一かつ緻密にすることができる。
【0014】
また、この発明において、上記流路ボックスは、該流路ボックスの一側に設けられた冷媒流入口と冷媒流出口とを区画して液状冷媒の流路を形成する仕切壁を具備するのが好ましい(請求項3)。
【0015】
このように構成することにより、熱溶着によって流路ボックスが変形し厚みが減少しても、接合されていない蓋体の内方側を仕切壁によって保持することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、上記のように構成されているので、以下のような効果が得られる。
【0017】
(1)請求項1に記載の発明によれば、蓋体用位置決め壁によって周辺が位置決めされた状態で、流路ボックスの接合領域に施された微細凹凸接合層と流路ボックスの接合面を熱溶着によって接合することで、流路ボックスと蓋体の接合を位置ずれすることなく強固に接合することができるので、剪断荷重及び高温環境下においても接合部の強度の維持が図れ、水密性及び耐熱性が図れる。
【0018】
(2)請求項2に記載の発明によれば、流路ボックスと蓋体との接合を均一かつ緻密にすることができるので、上記(1)に加えて、更に剪断荷重及び高温環境下においても接合部の強度の維持が図れ、水密性及び耐熱性が図れる。
【0019】
(3)請求項3に記載の発明によれば、熱溶着によって流路ボックスが変形し厚みが減少しても、接合されていない蓋体の内方側を仕切壁によって保持することができるので、上記(1),(2)に加えて、更に蓋体の平坦度すなわち蓋体の熱授受面の平坦度の維持が図れ、熱交換効率の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明に係る熱交換器の概略断面図(a)、(a)のI―I線に沿う断面図(b)及び(b)のII部拡大断面図(c)である。
図2】この発明における流路ボックスに蓋体を接合した状態を示す一部断面斜視図である。
図3】この発明における流路ボックスと蓋体を示す分解斜視図である。
図3A】この発明における微細凹凸接合層の異なる形態を示す概略平面図(a)~(e)である。
図4】この発明に係る熱交換器を示す斜視図である。
図5】上記流路ボックスの正面図(a)、右側面図(b)、平面図(c)及び底面図(d)である。
図6図5(c)のIII-III線に沿う断面図である。
図7図5(c)のIV-IV線に沿う断面図である。
図8】この発明に係る熱交換器を作製する際に使用する拘束治具を示す斜視図である。
図9】上記拘束治具に流路ボックスと蓋体をセットした状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、この発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、発熱体の冷却と加熱を兼用する熱交換器について説明する。
【0022】
この発明に係る熱交換器1は、図1図2及び図4に示すように、液状冷媒(例えば純水とエチレングリコール)の混合液の流路11を有する合成樹脂すなわち熱可塑性樹脂製の流路ボックス10と、流路ボックス10の開口部10aを閉塞すると共に、熱電素子を含む発熱体、例えばペルチェ素子30に接触するアルミニウム(アルミニウム合金を含む)製の蓋体20とを具備する。
【0023】
流路ボックス10は、熱可塑性樹脂例えばABS樹脂製部材にて形成されている。流路ボックス10は、図3図5ないし図7に示すように、略矩形箱状に形成され、矩形状の開口部10aに、開口縁から外方に延在する接合面15aと、接合面15aの周辺に起立する蓋体用位置決め壁16が設けられている。具体的には、流路ボックス10の開口部10aの開口縁から外方に延在するフランジ部15の上面に接合面15aが形成され、フランジ部15における接合面15aの周辺に蓋体用位置決め壁16が設けられている。
【0024】
また、流路ボックス10は、流路ボックス10の一側に設けられた冷媒流入口12と冷媒流出口13とを区画して液状冷媒の流路11を形成する仕切壁14が設けられている。この場合、仕切壁14の頂部平坦面は接合面15aと同一の面に形成されている。
【0025】
蓋体20は、流路ボックス10に設けられた蓋体用位置決め壁16によって周囲が保持される矩形板状に形成されている。蓋体20における流路ボックス10の接合面15aに対応する接合領域21に微細凹凸接合層22が施されている。この微細凹凸接合層22は、レーザー処理によって、蓋体20における接合領域21の対向する一方から他方に向かって連続する互いに平行な凹凸細条にて形成されている(図1(c)及び図3参照)。
【0026】
なお、図3では微細凹凸接合層20を形成している凹凸細条(具体的には、レーザー照射を受けて形成される凹凸細条に含まれる凹部と、該凹部を挟んで両側に形成される凸部)は蓋体20の角部において直交部分でクロスした状態を示しているが、必ずしもこのような形態である必要はない。例えば、図3A(a)~(e)に示すような形態とするのがよい。図3Aにおいて、(a)は角部を直角にした凹凸細条に含まれる凹部を有する微細凹凸接合層22a、(b)は角部を直角にした一筆書きの凹凸細条に含まれる凹部を有する微細凹凸接合層22b、(c)は角部を円弧にした凹凸細条に含まれる凹部を有する微細凹凸接合層22c、(d)は角部を円弧にした一筆書きの凹凸細条に含まれる凹部を有する微細凹凸接合層22dを示す。また、凹凸細条に含まれる凹部と、該凹部を挟んで両側に形成される凸部の角部を円弧にした場合は、蓋体20の角部20aを円弧状に形成してもよい(図3A(e)参照)。
【0027】
上記のように、凹凸細条が蓋体20の角部において、直角、円弧状、あるいは一筆書きに形成されることにより、凹凸細条が蓋体20の外周端にまで達していない状態とすることができる。
【0028】
このように形成することによって、レーザー処理によって形成される凹凸細条がクロス状の場合に比べて角部のリークを抑えることができる。すなわち、凹凸細条がクロス状に形成されている箇所では、交差している箇所及びその周辺の内部に空隙を含みやすく疎な状態となるため、当該箇所でのリークが生じ易くなる虞がある。また、凹凸細条が外周端にまで達している場合には、凹凸細条の外周端で解放されている箇所を介してリークが生じ易くなる虞がある。これに対して、凹凸細条が角部を直角、円弧状、あるいは一筆書きに形成されることで、凹凸細条が外周端にまで達しない場合は、凹凸細条の交差箇所、又は凹凸細条の外周端で解放されている箇所からのリークが生じないため、リークを抑えることができる。
【0029】
上記のように形成された流路ボックス10と蓋体20は、蓋体20における流路ボックス10の接合面15aに対応する接合領域21に施された微細凹凸接合層22,22a~22eと流路ボックス10の接合面15aを熱溶着によって接合される。
【0030】
熱可塑性樹脂製の流路ボックス10とアルミニウム製の蓋体20を熱溶着する方法として、例えば、高周波誘電加熱方式を採用することができる。高周波誘電加熱とは、誘電体である熱可塑性樹脂製の流路ボックス10に高周波電磁界を加えると誘電体損失を生じて内部発熱する現象である。換言すると、流路ボックス10に電圧をかけ、電極のプラス/マイナスの入れ替えを高速で行うことにより、原子の向きを高速で変えることで原子の衝突や摩擦が生じて熱を発生させる現象である。
【0031】
上記のようにして流路ボックス10と蓋体20を熱溶着する際には、一定の圧力をかけながら高周波電界を加えて加熱するため、蓋体20の周辺が荷重により膨らみ、流路ボックス10が反ってしまうような現象が生じる。このような蓋体20の膨らみ、流路ボックス10の反りを改善するために、図8に示すような拘束治具40を用いて流路ボックス10と蓋体20を熱溶着する。
【0032】
拘束治具40は、図8に示すように、アルミニウム製のブロック体にて形成されており、流路ボックス10の流路11部を配置する下凹部41と、下凹部41の開口部41aを残して流路ボックス10のフランジ部15を配置する上凹部42と、上凹部42の周囲に肉厚部43が形成され、上凹部42の一側の肉厚部43に、冷媒流入口12を形成する筒状部と冷媒流出口13を形成する筒状部をそれぞれ配置する断面略半円弧状の凹溝部44a,44bが設けられている。
【0033】
図9に示すように、上記のように形成された拘束治具40の下凹部41に流路11を配置すると共に、上凹部42にフランジ部15を配置して流路ボックス10をセットし、流路ボックス10の接合面15aに微細凹凸接合層22が施された蓋体20をセットした状態で、流路ボックス10と蓋体20を熱溶着する。熱溶着する際の加熱温度によって流路ボックス10が半液相状態まで溶けて蓋体20の微細凹凸接合層22に密着し、その後冷却することで、流路ボックス10と蓋体20を接合する(図1(c)参照)。
【0034】
上記のようにして流路ボックス10と蓋体20を接合した熱交換器1は、蓋体20の表面に配置したペルチェ素子30を保持した状態で使用される。この熱交換器1は身体の皮膚を冷却・保温する熱交換器として利用でき、皮膚を冷却する場合にはペルチェ素子に冷却用電圧を印加してペルチェ素子30の吸熱面に接触するプレート31(図1参照)を冷却して皮膚を冷却する。このとき、ペルチェ素子30の放熱面に接触する蓋体20が発熱する。発熱した蓋体20は流路ボックス10の流路11を流れる冷却用冷媒によって冷却される。なお、皮膚を保温する場合は、ペルチェ素子30に加熱用電圧を印加して、上記プレート31を加熱して皮膚を保温する。このとき、ペルチェ素子30の吸熱面に接触する蓋体20が冷却する。冷却した蓋体2は流路ボックス10の流路11を流れる加熱用冷媒によって加熱される。
【0035】
なお、上記実施形態では、発熱体がペルチェ素子30の場合について説明したが、この発明は、ペルチェ素子30以外の例えば半導体素子を用いて電力変換を行う機器等の発熱体を冷却する熱交換器にも適用できる。
【0036】
また、上記実施形態では、流路ボックス10と蓋体20とを熱溶着する方法として高周波誘電加熱方式を採用する場合について説明したが、その他の熱溶着方法、例えば、流路ボックス10と蓋体20の接合部に超音波振動と荷重を与えることにより接合の境界面に発生する熱を利用して溶着する超音波溶接法であってもよい。
【0037】
上記のように構成された実施形態の熱交換器によれば、蓋体用位置決め壁16によって周辺が位置決めされた状態で、流路ボックス10の接合領域21に施された微細凹凸接合層22,22a~22eと流路ボックス10の接合面15aを熱溶着によって接合することで、流路ボックス10と蓋体20の接合を位置ずれすることなく強固に接合することができる。したがって、剪断荷重及び高温環境下においても接合部の強度の維持が図れ、水密性及び耐熱性が図れる。
なお、流路ボックス10と蓋体20とを熱溶着する際、拘束治具40に流路ボックス10と蓋体20をセットした状態で、熱溶着することで、蓋体20の膨らみ、流路ボックス10の反りを改善することができる。
【0038】
また、微細凹凸接合層22,22a~22eは、レーザー処理によって、蓋体20における接合領域21の対向する一方から他方に向かって連続する互いに平行な凹凸細条にて形成されているので、流路ボックス10と蓋体20との接合を均一かつ緻密にすることができる。
【0039】
また、熱溶着によって流路ボックス10が変形し厚みが減少しても、接合されていない蓋体20の内方側を仕切壁14によって保持することができるので、蓋体20の平坦度すなわち蓋体20の熱授受面の平坦度の維持が図れ、熱交換効率の向上が図れる。
【符号の説明】
【0040】
1 熱交換器
10 流路ボックス
10a 開口部
11 流路
12 冷媒流入口
13 冷媒流出口
14 仕切壁
15a 接合面
16 蓋体用位置決め壁
20 蓋体
21 接合領域
22,22a~22e 微細凹凸接合層
30 ペルチェ素子(発熱体)
図1
図2
図3
図3A
図4
図5
図6
図7
図8
図9