(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163365
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】撮像装置及び該撮像装置を用いた検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074222
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】517293100
【氏名又は名称】株式会社アイジュール
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 勝
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕樹
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA01
2G051AB01
2G051AB02
2G051CA04
2G051CC07
2G051DA06
(57)【要約】
【課題】物品の複数の画像を1回の撮像で得ることができる撮像装置および検査装置を提供すること。
【解決手段】所定の照明領域を移動する物品を撮像する撮像装置5において、物品の搬送方向に画素11が複数列状に並んで構成され、受光面が搬送方向に沿って第1受光領域12aと第2受光領域12bとに分割された撮像素子10から出力される撮像データに基づいて受光領域ごとに物品の画像を生成する画像生成装置と、て第1受光領域12aと第2受光領域12bとのうち第1受光領域12aに入射する特定範囲内の波長の光を遮断するフィルタ13と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の照明領域(Za、Zb)を移動する物品(W)を撮像する撮像装置(5)において、
前記物品の移動方向に画素(11)が複数列状に並んで構成され、受光面が前記移動方向に沿って複数の受光領域(12a、12b)に分割された撮像素子(10)から出力される撮像データに基づいて前記受光領域ごとに前記物品の画像を生成する画像生成手段(6)と、
複数の前記受光領域のうち一部の受光領域(12a)に入射する特定範囲内の波長の光を遮断するフィルタ(13)と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮像素子の前記受光領域のそれぞれには、前記移動方向において有効となる画素の列である有効画素列が配置されており、
前記画像生成手段は、各有効画素列から順次出力されるライン状の画像を各有効画素列ごとにそれぞれ結合することによって、前記有効画素列のそれぞれに対応した画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
複数の前記有効画素列は、少なくとも1つの画素列を挟んで前記移動方向に互いに離隔していることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記物品としての検査品(W)を搬送する搬送装置(3)と、
前記検査品に光を照明する照明装置(4)と、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の撮像装置(5)と、を有し、
前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて前記検査品を検査することを特徴とする検査装置。
【請求項5】
前記撮像装置は、搬送中の前記検査品を連続的に撮像し、
前記複数の受光領域のそれぞれには、前記移動方向において有効となる画素の列である有効画素列が配置されており、
前記画像生成手段は、各有効画素列から順次出力されるライン状の画像を各有効画素列ごとにそれぞれ結合することによって、前記有効画素列のそれぞれに対応した検査画像を生成することを特徴とする請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
前記照明装置は、可視光線の波長範囲と近赤外線の波長範囲とを含む波長範囲の光を照明し、
前記複数の受光領域は、第1受光領域(12a)と第2受光領域(12b)とを含み、
前記第1受光領域には、前記フィルタとして、近赤外線の波長範囲の光を遮断する赤外線カットフィルタが設けられていることを特徴とする請求項5に記載の検査装置。
【請求項7】
前記照明装置は、前記第1受光領域を照明する第1の照明装置(4a)と、前記第2受光領域を照明する第2の照明装置(4b)と、を有し、
前記第1の照明装置は、可視光線の波長範囲を含む光を照明可能であり、
前記第2の照明装置は、近赤外線の波長範囲を含む光を照明可能であることを特徴とする請求項6に記載の検査装置。
【請求項8】
前記照明装置は、可視光線の波長範囲と近赤外線の波長範囲とを含む波長範囲の光を照明し、
前記複数の受光領域は、第1受光領域(12a)と第2受光領域(12b)とを含み、
前記第1受光領域には、前記フィルタとして、近赤外線の波長範囲の光を遮断する赤外線カットフィルタが設けられていることを特徴とする請求項4に記載の検査装置。
【請求項9】
前記照明装置は、前記第1受光領域を照明する第1の照明装置(4a)と、前記第2受光領域を照明する第2の照明装置(4b)と、を有し、
前記第1の照明装置は、可視光線の波長範囲を含む光を照明可能であり、
前記第2の照明装置は、近赤外線の波長範囲を含む光を照明可能であることを特徴とする請求項8に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及び該撮像装置を用いた検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置を用いて物品の検査を行う検査装置として、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載の検査装置は、第1波長を含む第1の光を食品に照射する第1照明システムと、第1波長とは異なる第2波長を含む第2の光を食品に照射する第2照明システムと、第1の光が照射されている状態の食品及び第2の光が照射されている状態の食品を撮像する撮像システムと、第1の光が照射されている食品の第1撮像画像と第2の光が照射されている食品の第2撮像画像とにおいて、対応する画素間の画素値の差分絶対値がしきい値以上である領域が存在する場合に、食品に不要物が存在すると判定する処理システムとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の検査装置では、第1の光が照射されている状態の食品と、第2の光が照射されている状態の食品と、を時分割で撮像するため、第1撮像画像と第2撮像画像とを得るために、実質的に2回の撮像を行う必要があった。
【0005】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、物品の複数の画像を1回の撮像で得ることができる撮像装置及び検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る撮像装置は、所定の照明領域を移動する物品を撮像する撮像装置において、前記物品の移動方向に画素が複数列状に並んで構成され、受光面が前記移動方向に沿って複数の受光領域に分割された撮像素子から出力される撮像データに基づいて前記受光領域ごとに前記物品の画像を生成する画像生成手段と、複数の前記受光領域のうち一部の受光領域に入射する特定範囲内の波長の光を遮断するフィルタと、を有する。
【0007】
この構成により、本発明に係る撮像装置は、特定範囲内の波長の光を遮断するフィルタを介して撮像された画像と、特定範囲内の波長の光を遮断するフィルタを介さずに撮像された画像とを1回の撮像で得ることができる。
【0008】
また、本発明に係る撮像装置において、前記撮像素子の前記受光領域のそれぞれには、前記移動方向において有効となる画素の列である有効画素列が配置されており、前記画像生成手段は、各有効画素列から順次出力されるライン状の画像を各有効画素列ごとにそれぞれ結合することによって、前記有効画素列のそれぞれに対応した画像を生成する構成を有する。
【0009】
この構成により、本発明に係る撮像装置は、疑似的なラインカメラとして機能することができる。
【0010】
また、本発明に係る撮像装置において、複数の前記有効画素列は、少なくとも1つの画素列を挟んで前記移動方向に互いに離隔している構成を有する。
【0011】
この構成により、本発明に係る撮像装置は、物品の移動方向に隣り合う有効画素列のうち、フィルタを通して光が入射する有効画素列以外の有効画素列が当該フィルタの影響を受けないようにすることができる。これにより、品質が高い画像を得ることができる。
【0012】
本発明に係る検査装置は、前記物品としての検査品を搬送する搬送装置と、前記検査品に光を照明する照明装置と、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の撮像装置と、を有し、前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて前記検査品を検査する構成を有する。
【0013】
この構成により、本発明に係る検査装置は、検査に用いる検査画像として、特定範囲内の波長の光を遮断するフィルタを介して撮像された画像と、特定範囲内の波長の光を遮断するフィルタを介さずに撮像された画像とを1回の撮像で得ることができる。
【0014】
また、本発明に係る検査装置において、前記撮像装置は、搬送中の前記検査品を連続的に撮像し、前記複数の受光領域のそれぞれには、前記移動方向において有効となる画素の列である有効画素列が配置されており、前記画像生成手段は、各有効画素列から順次出力されるライン状の画像を各有効画素列ごとにそれぞれ結合することによって、前記有効画素列のそれぞれに対応した検査画像を生成する構成を有する。
【0015】
この構成により、本発明に係る検査装置は、撮像装置を疑似的なラインカメラとして機能させることができる。
【0016】
また、本発明に係る検査装置において、前記照明装置は、可視光線の波長範囲と近赤外線の波長範囲とを含む波長範囲の光を照明し、前記複数の受光領域は、第1受光領域と第2受光領域とを含み、前記第1受光領域には、前記フィルタとして、近赤外線の波長範囲の光を遮断する赤外線カットフィルタが設けられている構成を有する。
【0017】
この構成により、本発明に係る検査装置は、検査画像として、近赤外線の波長範囲の光が遮断された画像と、近赤外線の波長範囲の光が遮断されていない画像と、を得ることができる。つまり、本発明に係る検査装置は、可視光線の波長範囲の光が画像化された検査画像と、近赤外線の波長範囲の光が画像化された検査画像とを1回の撮像で得ることができる。
【0018】
また、本発明に係る検査装置において、前記照明装置は、前記第1受光領域を照明する第1の照明装置と、前記第2受光領域を照明する第2の照明装置と、を有し、前記第1の照明装置は、可視光線の波長範囲を含む光を照明可能であり、前記第2の照明装置は、近赤外線の波長範囲を含む光を照明可能である構成を有する。
【0019】
この構成により、本発明に係る検査装置は、第1の照明装置と第2の照明装置とで照明可能な光の波長範囲を異ならせることができ、さらに各波長範囲の光に対応した受光領域にそれぞれ最適な光を照明することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、物品の複数の画像を1回の撮像で得ることができる撮像装置及び検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る撮像装置を備えた検査装置の概略側面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る撮像装置の撮像素子を表す概略図である。
【
図3】
図3(A)および
図3(B)は、それぞれ本発明の一実施形態に係る撮像装置の概要上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る撮像装置を備えた検査装置について説明する。
【0023】
図1に示すように、本実施形態の検査装置1は、検査品としての物品Wの外観を検査するための第1検査画像と、物品Wの内部に混入した異物の有無を検査するための第2検査画像とを生成する。なお、以下の説明において、「第1検査画像」及び「第2検査画像」を総称して、単に「検査画像」と記載することがある。
【0024】
検査装置1は、物品Wを搬送する搬送装置3と、搬送装置3によって搬送される物品Wに光を照明する照明装置4a、4bと、照明装置4a、4bによって照明された物品Wを撮像する撮像装置5と、撮像装置5によって撮像された画像に基づいて物品Wの検査画像を生成する画像生成手段としての画像生成装置6と、を含んで構成され、生成された検査画像を用いて、物品Wの特性や品質を検査する図示しない検査手段により、物品Wの外形形状の良否、包装状態の良否や好ましくない含有物や付着物の有無を判定し、検査結果を出力するようになっている。
【0025】
搬送装置3は、例えば、ベルトコンベアによって構成され、物品Wを、図中左側から右方向の後工程に搬送する。後工程としては、例えば、量目の良否を検査する計量工程、不良品を排除する振分工程や梱包工程などが挙げられ、より多種の項目を検査するX線検査装置による検査工程等を含んでもよい。
【0026】
撮像装置5は、搬送装置3の搬送面から所定の高さだけ離隔した位置から光軸が搬送装置3の搬送面に直交するように図示しないブラケットに保持されていて、撮像領域Zcを移動する物品Wを撮像する。
【0027】
撮像装置5は、撮像素子として、受光面に画素が2次元状に配列された2次元素子を用いたエリアカメラからなる。すなわち、
図2に示すように、撮像装置5は、物品Wの移動方向である搬送方向に画素11が複数列状に並んで構成された撮像素子10を有する。
【0028】
図2は、撮像素子10を受光面側から、つまり撮像装置5の下方側から見た図である。
図2において、搬送方向の上流から下流に向かって順に記された番号は、画素11の列番号を表している。
図2では、説明の便宜上、画素数を減らして表示している。このため、
図2においては、画素列も第12列までに減じて表示している。
【0029】
図2に示すように、撮像素子10は、受光面が搬送方向に沿って複数(本実施形態では2つ)の受光領域に分割されている。本実施形態では、撮像素子10は、複数の受光領域として、第1列から第6列の画素列からなる第1受光領域12aと、第7列から第12列の画素列からなる第2受光領域12bと、を有している。
【0030】
第1受光領域12a及び第2受光領域12bのそれぞれには、撮像素子10の搬送方向において有効となる画素列である有効画素列21、22が設けられている。本実施形態では、第1受光領域12aにおける有効画素列21として第5列、第2受光領域12bにおける有効画素列22として第8列がそれぞれ指定されている。
【0031】
有効画素列とは、撮像素子10において搬送方向に並ぶ画素列のうち、画像生成装置6において検査画像の一データとして使用される画素列のことをいう。換言すれば、画像生成装置6は、検査画像を生成するために有効画素列を指定して、当該指定した有効画素列のデータのみによって検査画像を生成する。有効画素列以外の画素列は、検査画像の生成には用いられない。
【0032】
したがって、本実施形態の撮像装置5は、撮像素子10における有効画素列21、22のデータが使用されることによって、疑似的にラインカメラと同様に幅方向にライン状の画像を各有効画素列ごとに得ることができる。撮像装置5は、搬送中の物品Wを物品Wの移動に応じた周期で連続的に撮像し、撮像したデータを順次出力する。
【0033】
撮像装置5によって撮像された有効画素列21のライン状の画像は、後述する第1の画像入力ボード14aに連続的に取り込まれることにより1枚の画像として構成される。撮像装置5によって撮像された有効画素列22のライン状の画像は、後述する第2の画像入力ボード14bに連続的に取り込まれることにより1枚の画像として構成される。
【0034】
また、有効画素列21と有効画素列22とは、少なくとも1つ(本実施形態では2つ)の画素列を挟んで搬送方向に互いに離隔しているのが好ましい。これは、互いの有効画素列が近づき過ぎると、一方の受光領域に設けられた有効画素列が、他の受光領域に設けられたフィルタの影響を受けてしまうため、当該影響を抑制するために互いに隣接しないようにするのが望ましいからである。
【0035】
第1受光領域12a及び第2受光領域12bのうち、第1受光領域12aには、第1受光領域12aを構成する画素列(第1列から第6列)のうち少なくとも有効画素列21に入射する特定範囲内の波長の光を遮断するフィルタ13が設けられている。
【0036】
フィルタ13は、
図2中、一部が破断した状態で示されているが、第1受光領域12aの全ての画素11を覆うように設けられている。第2受光領域12bには、フィルタ13が設けられていない。
【0037】
フィルタ13は、第1受光領域12aの全ての画素11を覆う構成に限らず、例えば、有効画素列21を含む近傍の画素列のみを覆う構成であってもよい。
【0038】
フィルタ13は、近赤外線の波長範囲の光を遮断する赤外線カットフィルタからなる。本実施形態では、フィルタ13として赤外線カットフィルタを用いたが、例えば、物品Wの種別や検査目的などに応じて、近赤外線以外の波長範囲の光を遮断するフィルタをフィルタ13として用いてもよい。
【0039】
図1に示すように、照明装置4a、4bは、撮像装置5に撮像される物品Wに光を照明するように図示しないブラケットに保持されている。例えば、照明装置4a、4bは、搬送装置3の搬送方向に撮像装置5を挟むように設けられている。
【0040】
照明装置4aは、撮像素子10との位置関係においては第1受光領域12a側、すなわち照明装置4bよりも搬送方向上流側に配置されている。照明装置4bは、撮像素子10との位置関係においては第2受光領域12b側、すなわち照明装置4aよりも搬送方向下流側に配置されている。本実施形態の照明装置4aは、第1の照明装置を構成し、本実施形態の照明装置4bは、第2の照明装置を構成する。
【0041】
照明装置4aは、撮像素子10の第1受光領域12a側を照明するように構成されており、可視光線の波長範囲を含む光を照明可能な、例えばLED等の光源によって構成されている。
【0042】
照明装置4bは、撮像素子10の第2受光領域12b側を照明するように構成されており、近赤外線の波長範囲を含む光を照明可能な、例えば近赤外線LED等の光源によって構成されている。
【0043】
また、照明装置4aは、撮像素子10の撮像範囲となる撮像領域Zcの上流側に照明領域Zaを形成し、照明装置4bは、撮像装置5の撮像範囲となる撮像領域Zcの下流側に照明領域Zbを形成して、搬送装置3により移動される物品Wを照明するようになっている。
【0044】
照明領域Za、Zbは、両領域の境界部分を撮像素子10の第1受光領域12a、第2受光領域12bの境界に対応するように、照明装置4a、4bの位置や光軸の向きが調整されて設定されるのがよい。
【0045】
照明領域Za、Zbが設定されると、第1受光領域12a及び第2受光領域12bのそれぞれにおいて、安定的に照明されている画素列を有効画素列21、22として設定する。そして、実際に撮像する物品Wのサンプルを撮像領域Zcに移動もしくは載置させてテスト撮像を行なう。
【0046】
画像生成装置6は、複数の画像入力ボードが実装されたコンピュータ装置によって構成される。画像生成装置6は、撮像装置5によって連続的に撮像された有効画素列21、22のライン状の各画像を、有効画素列ごとにそれぞれ結合することによって、有効画素列21、22のそれぞれに対応した検査画像を生成する。
【0047】
具体的には、画像生成装置6は、第1の画像入力ボード14aと、第2の画像入力ボード14bと、を有している。
【0048】
第1の画像入力ボード14aは、撮像装置5から出力された有効画素列21の画像信号が入力されるたびに、各画像信号が表す画像を結合していくことにより有効画素列21に対応する検査画像(以下、「第1検査画像」という)、すなわち可視光線の波長範囲の光が画像化された第1検査画像を生成する。
【0049】
第2の画像入力ボード14bは、撮像装置5から出力された有効画素列22の画像信号が入力されるたびに、各画像信号が表す画像を結合していくことにより有効画素列22に対応する検査画像(以下、「第2検査画像」という)、すなわち近赤外線の波長範囲の光が画像化された第2検査画像を生成する。
【0050】
図3は、本発明の一実施形態に係る撮像装置5が物品Wの移動経路に配置される構成の一例を示している。
図3(A)、(B)中、点線で囲んだ各領域は、照明装置4aにより照明される照明領域Za及び照明装置4bにより照明される照明領域Zbのそれぞれを示し、一点鎖線で囲んだ領域は、撮像装置5の撮像領域Zcを示す。
【0051】
図3(A)に示すように、撮像装置5は、物品Wの移動方向を基準に上流側の照明装置4aと下流側の照明装置4bとの間に設けられ、照明装置4aにより照明される照明領域Za及び照明装置4bにより照明される照明領域Zbが、撮像装置5の撮像領域Zc内に形成されている。
【0052】
図3(B)は、
図3(A)における2つの照明装置4a、4bが照明装置4として設けられた構成を示す。すなわち、それぞれ特定の波長範囲の光源により構成される照明装置4a、4bに代えて、2つの波長範囲もしくは広帯域の波長範囲の光源として機能する照明装置4を設けることによって、照明領域Zaと照明領域Zbとを形成する。
【0053】
なお、例えば、
図3(A)では照明装置4a、4bが照明する光が物品Wの表面で反射し、その反射光によって物品Wを撮像するようになっているが、物品Wを透過した光によって撮像するようにしてもよい。
【0054】
[作用効果]
以上のように、本実施形態に係る撮像装置は、撮像素子10における第1受光領域12a及び第2受光領域12bの各受光領域ごとに物品Wの画像を生成するとともに、第1受光領域12aに赤外線カットフィルタからなるフィルタ13が設けられている。
【0055】
この構成により、本実施形態に係る撮像装置は、赤外線カットフィルタを介して撮像された画像と、赤外線カットフィルタを介さずに撮像された画像とを1回の撮像で得ることができる。
【0056】
また、本実施形態に係る撮像装置において、画像生成装置6は、有効画素列21、22のそれぞれから順次出力されるライン状の画像を各有効画素列ごとにそれぞれ結合することによって、有効画素列21、22のそれぞれに対応した検査画像を生成するよう構成されている。
【0057】
この構成により、本実施形態に係る撮像装置は、疑似的なラインカメラとして機能することができる。
【0058】
また、本実施形態に係る撮像装置は、撮像素子10において有効画素列21と有効画素列22とが少なくとも1つ(本実施形態では2つ)の画素列を挟んで搬送方向に互いに離隔している。
【0059】
この構成により、本実施形態に係る撮像装置は、物品Wの移動方向に隣り合う有効画素列21と有効画素列22とにおいて、有効画素列22がフィルタ13の影響を受けないようにすることができる。これにより、品質が高い画像を得ることができる。
【0060】
本実施形態に係る検査装置は、物品Wを搬送する搬送装置3と、物品Wに光を照明する照明装置4と、上述の撮像装置5と、を有し、撮像装置5によって撮像された画像に基づいて物品Wを検査する構成を有する。
【0061】
この構成により、本実施形態に係る検査装置は、検査に用いる検査画像として、赤外線カットフィルタを介して撮像された第1検査画像と、赤外線カットフィルタを介さずに撮像された第2検査画像とを1回の撮像で得ることができる。
【0062】
また、本実施形態に係る検査装置において、画像生成装置6は、有効画素列21、22のそれぞれから順次出力されるライン状の画像を各有効画素列ごとにそれぞれ結合することによって、有効画素列21、22のそれぞれに対応した検査画像を生成するよう構成されている。
【0063】
この構成により、本実施形態に係る検査装置は、撮像装置5を疑似的なラインカメラとして機能させることができる。
【0064】
また、本実施形態に係る検査装置において、照明装置4aは、可視光線の波長範囲を含む光を照明し、照明装置4bは、近赤外線の波長範囲とを含む波長範囲の光を照明し、第1受光領域12aには、フィルタ13として、近赤外線の波長範囲の光を遮断する赤外線カットフィルタが設けられている。
【0065】
この構成により、本実施形態に係る検査装置は、検査画像として、近赤外線の波長範囲の光が遮断された画像と、近赤外線の波長範囲の光が遮断されていない画像と、を得ることができる。つまり、本実施形態に係る検査装置は、可視光線の波長範囲の光が画像化された第1検査画像と、近赤外線の波長範囲の光が画像化された第2検査画像とを1回の撮像で得ることができる。
【0066】
また、本実施形態に係る検査装置は、第1受光領域12aを可視光線の波長範囲を含む光で照明する照明装置4aと、第2受光領域12bを近赤外線の波長範囲を含む光で照明する照明装置4bとを有する。
【0067】
この構成により、本実施形態に係る検査装置は、照明装置4aと照明装置4bとで照明可能な光の波長範囲を異ならせることができ、さらに各波長範囲の光に対応した受光領域にそれぞれ最適な光を照明することができる。
【0068】
(変形例1)
本実施形態においては、撮像素子10に有効画素列21、22を設けることで撮像装置5を疑似的にラインカメラとして機能させる例について説明したが、これに限らず、撮像装置5をエリアカメラとして機能させてもよい。
【0069】
この場合、撮像素子10には、有効画素列を設けない。このため、画像生成装置6は、第1受光領域12a及び第2受光領域12bのそれぞれを構成する画素列からのデータに基づき、第1受光領域12aに対応する検査画像と、第2受光領域12bに対応する検査画像と、を生成する。
【0070】
(変形例2)
本実施形態において、第1受光領域12aにフィルタ13を設け、第2受光領域12bにフィルタを設けない例について説明した。
【0071】
これに対し、第2受光領域12bにも検査目的に応じたフィルタを設けるようにしてもよい。この場合には、第2受光領域12bには、遮断する光の波長範囲がフィルタ13と異なるフィルタが設けられる。例えば、第2受光領域12bに、赤外線を透過する赤外線透過フィルタを設けてもよい。
【0072】
(変形例3)
本実施形態では、第1受光領域12aにフィルタ13を設けた例について説明した。これに対し、撮像装置5のレンズの該当領域にフィルタを設けるようにしてもよい。例えば、撮像装置5のレンズの第1受光領域12aに対応する領域にフィルタを設けるようにしてもよい。
【0073】
(変形例4)
本実施形態において、特定範囲内の波長の光を遮断するフィルタ13を第1受光領域12aに設けた例について説明した。これに対し、第1受光領域12aにフィルタ13としてシンチレータを設けるようにしてもよい。
【0074】
(変形例5)
本実施形態においては、撮像素子10の受光面が2つの受光領域に分割されている例について説明した。これに対し、撮像素子10の受光面が3つ以上の受光領域に分割されるとともに、それら受光領域のそれぞれに有効画素列が設けられていてもよい。
【0075】
この場合、画像生成装置6には、受光領域の数に応じた数の画像入力ボードが設けられる。また、3つ以上の受光領域としては、例えば、フィルタが設けられていない受光領域、近赤外線の波長範囲の光を遮断するフィルタが設けられた受光領域、及び、可視光線に含まれる赤成分、緑成分、青成分の少なくとも1つの波長範囲を除く波長範囲の光を遮断するフィルタが設けられた受光領域などの組み合わせからなる。
【0076】
(変形例6)
本実施形態においては、各受光領域における有効画素列が1列で構成された例について説明したが、これに限らず、例えば、各受光領域における有効画素列が2列以上で構成されてもよい。この場合、各受光領域における有効画素列は、搬送方向に連続する複数列によって構成される。
【0077】
(変形例7)
本実施形態において、照明装置4a、4bの2つの照明装置を設けた例について説明したが、これに限らず、照明装置4a、4bのいずれか1つを設けるようにしてもよいし、3つ以上の照明装置を設けてもよい。照明装置を1つで構成する場合には、照明装置の照射領域が第1受光領域12a及び第2受光領域12bとなるよう拡大するとともに、可視光線の波長範囲と近赤外線の波長範囲とを含む波長範囲の光を照明するハロゲンランプ等の光源を用いることが好ましい。
【0078】
(変形例8)
本実施形態において、照明装置4a、4bは、互いに異なる波長範囲の光を照明する光源によって構成した。これに対し、照明装置4a、4bは、可視光線の波長範囲と近赤外線の波長範囲とを含む波長範囲の光を照明するハロゲンランプ等の光源によってそれぞれ構成してもよい。
【0079】
(変形例9)
本実施形態においては、撮像装置5が、撮像素子10を構成する全ての画素列のデータを画像生成装置6に出力し、画像生成装置6が全画素列のデータのうち、有効画素列のデータのみを用いて検査画像を生成する構成について説明した。
【0080】
これに対し、撮像装置5が、撮像素子10を構成する全ての画素列のうち、有効画素列のデータのみを画像生成装置6に出力し、画像生成装置6が、撮像装置5から入力された有効画素列のデータのみを用いて検査画像を生成する構成であってもよい。
【0081】
(変形例10)
また、撮像装置5は、画像生成装置6から送信される、搬送速度に応じたタイミング信号に基づき、各有効画素列のデータを画像生成装置6に出力するようにしてもよい。
【0082】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0083】
1 検査装置
3 搬送装置
4a 照明装置(第1の照明装置)
4b 照明装置(第2の照明装置)
5 撮像装置
6 画像生成装置(画像生成手段)
10 撮像素子
11 画素
12a 第1受光領域(受光領域)
12b 第2受光領域(受光領域)
13 フィルタ
21、22 有効画素列
W 物品(検査品)
Za 第1照明領域(照明領域)
Zb 第2照明領域(照明領域)
Zc 撮像領域