(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163368
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20231102BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20231102BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
H04N1/00 838
H04N1/00 E
B41J29/42 F
B41J29/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074236
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 瞬
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP04
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS02
2C061CL08
2C061CQ10
5C062AA05
5C062AA35
5C062AA37
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB25
5C062AB41
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC38
5C062AC41
5C062AC42
5C062AE02
5C062AE15
5C062AE16
5C062AF12
5C062AF14
5C062BB02
5C062BC03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】安全性の低下を抑えつつ、操作パネルに触れずに操作パネルを備える画像形成装置を操作する。
【解決手段】MFP(複合機)1は、ネットワークIF(インタフェース)141を介してモバイル端末2からの入力操作を受け付けるモバイル入力機能を有し、モバイル入力機能の提供を開始した場合に、MFP1に対する操作画面をモバイル端末2に表示させるための画面データを、モバイル端末2に送信する。さらにMFP1は、モバイル入力機能の提供が開始されていない状態において、パスワードをタッチパネル131に表示し、ネットワークIF141を介して、モバイル入力機能の提供開始に必要なアクセス情報を用いたアクセスがモバイル端末2からあり、かつ、タッチパネル131に表示させたパスワードの入力がモバイル端末2からあった場合に、モバイル入力機能の提供を開始する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークインタフェースと、
タッチパネルを含む操作パネルと、
コントローラと、
を備える画像形成装置であって、
前記画像形成装置は、
前記ネットワークインタフェースを介して、モバイル端末からの入力操作を受け付けるモバイル入力機能を有し、
前記コントローラは、
前記モバイル入力機能の提供を開始した場合に、
前記画像形成装置に対する操作画面を前記モバイル端末に表示させるための表示データを、前記ネットワークインタフェースを介して、前記モバイル端末に送信する送信処理を実行し、
さらに前記コントローラは、
前記モバイル入力機能の提供中、前記ネットワークインタフェースを介して、前記モバイル端末から前記操作画面の操作内容を示す操作データを受信した場合に、
受信した前記操作データが画像形成に用いるパラメータの設定に関する操作であれば、受信した前記操作データに示される前記パラメータを設定する設定処理を実行し、
受信した前記操作データが画像形成の実行に関する操作であれば、受信した前記操作データに示される画像形成を行う画像形成処理を実行し、
さらに前記コントローラは、
前記モバイル入力機能の提供が開始されていない状態において、パスワードを前記タッチパネルに表示する表示処理を実行するように構成されており、
前記ネットワークインタフェースを介して、前記モバイル入力機能の提供開始に必要なアクセス情報を用いたアクセスが前記モバイル端末からあり、かつ前記タッチパネルに表示させた前記パスワードの入力が前記モバイル端末からあった場合に、前記モバイル入力機能の提供を開始する、
ように構成される画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載する画像形成装置において、
前記送信処理では、
前記画像形成装置に対する前記操作画面であって前記操作パネルを仮想的に示す前記操作画面を前記モバイル端末に表示させるための前記表示データを、前記ネットワークインタフェースを介して、前記モバイル端末に送信し、
さらに前記コントローラは、
前記モバイル入力機能の提供中、前記ネットワークインタフェースを介して、前記表示データを受信した前記モバイル端末から前記操作データを受信した場合に、
受信した前記操作データに示される操作に基づいて更新される前記操作パネルを仮想的に示す前記操作画面を、前記モバイル端末に表示させるための新たな前記表示データを、前記ネットワークインタフェースを介して、前記モバイル端末に送信する、
ように構成される画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載する画像形成装置において、
前記アクセス情報には、前記画像形成装置へのアクセスに用いるURLが含まれ、
前記コントローラは、
前記ネットワークインタフェースを介して、前記アクセス情報に含まれる前記URLを用いたアクセスが、前記モバイル端末に組み込まれたブラウザからあり、かつ前記タッチパネルに表示させた前記パスワードの入力が前記モバイル端末からあった場合に、前記モバイル入力機能の提供を開始し、
前記送信処理では、前記表示データとして、前記画像形成装置に対する前記操作画面を含むウェブページを、前記モバイル端末に組み込まれた前記ブラウザに表示させるためのウェブページデータを、前記ネットワークインタフェースを介して前記モバイル端末に送信する、
ように構成される画像形成装置。
【請求項4】
請求項1に記載する画像形成装置において、
前記コントローラは、
前記ネットワークインタフェースを介して、前記モバイル入力機能の提供開始に必要なアクセス情報を用いたアクセスが前記モバイル端末からあり、かつ前記タッチパネルに表示させた前記パスワードの入力が前記モバイル端末からあった場合に、前記モバイル入力機能を提供中でなければ、前記モバイル入力機能の提供を開始し、前記モバイル入力機能を提供中であれば、前記モバイル入力機能の提供を開始しない、
ように構成される画像形成装置。
【請求項5】
請求項1に記載する画像形成装置において、
前記コントローラは、
所定の実行条件を満たした場合に、前記パスワードを生成する生成処理を実行するように構成されており、生成された前記パスワードをメモリに記憶し、
前記表示処理では、前記メモリに記憶されている前記パスワードを、前記タッチパネルに表示し、
さらに前記コントローラは、
前記メモリに記憶されている前記パスワードの入力が前記モバイル端末からあれば、前記モバイル入力機能の提供を開始し、
前記メモリに記憶されている前記パスワードの入力が前記モバイル端末からなければ、前記モバイル入力機能の提供を開始しない、
ように構成される画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載する画像形成装置において、
前記表示処理では、
前記生成処理にて生成された最も新しい前記パスワードを、前記タッチパネルに表示する、
ように構成される画像形成装置。
【請求項7】
請求項5に記載する画像形成装置において、
前記コントローラは、
前記モバイル端末から入力された前記パスワードが、前記メモリに記憶されている前記パスワードのうち最新の前記パスワードであれば、前記モバイル入力機能の提供を開始し、
前記モバイル端末から入力された前記パスワードが、前記メモリに記憶されている前記パスワードのうち最新の前記パスワードでなければ、前記モバイル入力機能の提供を開始しない、
ように構成される画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載する画像形成装置において、
前記コントローラは、
前記モバイル端末から入力された前記パスワードが、前記メモリに記憶されている前記パスワードのうち最新の前記パスワードでなければ、前記モバイル入力機能の提供を開始せず、前記タッチパネルに表示されている前記パスワードの入力し直しを報知する、
ように構成される画像形成装置。
【請求項9】
請求項5に記載する画像形成装置において、
前記所定の実行条件には、前記モバイル入力機能の提供を終了したことが含まれ、
前記コントローラは、
前記モバイル入力機能の提供を第1のタイミングで終了した後、
前記第1のタイミングの後に実行された前記生成処理にて生成された前記パスワードの入力が前記モバイル端末からあれば、前記モバイル入力機能の提供を開始し、
前記第1のタイミングの前に実行された前記生成処理にて生成された前記パスワードの入力が前記モバイル端末からあれば、前記モバイル入力機能の提供を開始しない、
ように構成される画像形成装置。
【請求項10】
請求項1に記載する画像形成装置において、
前記表示処理では、
前記アクセス情報がエンコードされたコードと、前記パスワードと、を前記タッチパネルに表示し、前記モバイル端末は、前記コードを読み取って前記コードにエンコードされた前記アクセス情報を取得する機能を有し、
前記コントローラは、
前記ネットワークインタフェースを介して、前記コードにエンコードされた前記アクセス情報を用いたアクセスが前記モバイル端末からあり、かつ前記タッチパネルに表示させた前記パスワードの入力が前記モバイル端末からあった場合に、前記モバイル入力機能の提供を開始する、
ように構成される画像形成装置。
【請求項11】
請求項10に記載する画像形成装置において、
前記コントローラは、
所定の実行条件を満たした場合に、前記アクセス情報と前記パスワードとを生成する生成処理を実行するように構成されており、生成された前記アクセス情報および前記パスワードをメモリに記憶し、
前記表示処理では、前記メモリに記憶されている前記アクセス情報および前記パスワードを、前記タッチパネルに表示し、
さらに前記コントローラは、
前記メモリに記憶されている前記アクセス情報を用いたアクセスであり、かつ前記メモリに記憶されている前記パスワードの入力が前記モバイル端末からあれば、前記モバイル入力機能の提供を開始し、
前記メモリに記憶されている前記アクセス情報を用いたアクセスでなければ、前記モバイル入力機能の提供を開始せず、
前記メモリに記憶されている前記アクセス情報を用いたアクセスであっても、前記メモリに記憶されている前記パスワードの入力が前記モバイル端末からなければ、前記モバイル入力機能の提供を開始しない、
ように構成される画像形成装置。
【請求項12】
請求項11に記載する画像形成装置において、
前記表示処理では、
前記生成処理にて生成された最も新しい前記アクセス情報および前記パスワードを、前記タッチパネルに表示する、
ように構成される画像形成装置。
【請求項13】
請求項11に記載する画像形成装置において、
前記コントローラは、
前記メモリに記憶されている前記アクセス情報のうち最新の前記アクセス情報を用いたアクセスであり、かつ前記モバイル端末から入力された前記パスワードが、前記メモリに記憶されている前記パスワードのうち最新の前記パスワードであれば、前記モバイル入力機能の提供を開始し、
前記メモリに記憶されている前記アクセス情報のうち最新の前記アクセス情報を用いたアクセスでなければ、前記モバイル入力機能の提供を開始せず、
前記メモリに記憶されている前記アクセス情報のうち最新の前記アクセス情報を用いたアクセスであっても、前記モバイル端末から入力された前記パスワードが、前記メモリに記憶されている前記パスワードのうち最新の前記パスワードでなければ、前記モバイル入力機能の提供を開始しない、
ように構成される画像形成装置。
【請求項14】
請求項13に記載する画像形成装置において、
前記コントローラは、
前記メモリに記憶されている前記アクセス情報のうち最新の前記アクセス情報を用いたアクセスであっても、前記モバイル端末から入力された前記パスワードが、前記メモリに記憶されている前記パスワードのうち最新の前記パスワードでなければ、前記モバイル入力機能の提供を開始せず、前記タッチパネルに表示されている前記パスワードの入力し直しを報知する、
ように構成される画像形成装置。
【請求項15】
請求項11に記載する画像形成装置において、
前記所定の実行条件には、前記モバイル入力機能の提供を終了したことが含まれ、
前記コントローラは、
前記モバイル入力機能の提供を第1のタイミングで終了した後、
前記第1のタイミングの後に実行された前記生成処理にて生成された前記アクセス情報を用いたアクセスであり、かつ前記第1のタイミングの後に実行された前記生成処理にて生成された前記パスワードの入力が前記モバイル端末からあれば、前記モバイル入力機能の提供を開始し、
前記第1のタイミングの前に実行された前記生成処理にて生成された前記アクセス情報を用いたアクセスであれば、前記モバイル入力機能の提供を開始せず、
前記第1のタイミングの後に実行された前記生成処理にて生成された前記アクセス情報を用いたアクセスであっても、前記第1のタイミングの前に実行された前記生成処理にて生成された前記パスワードの入力が前記モバイル端末からあれば、前記モバイル入力機能の提供を開始しない、
ように構成される画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術分野は、操作パネルを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷やスキャン等の画像形成を行うことが可能な画像形成装置であって、操作パネルを介して各種の入力操作を受け付ける技術が知られている。例えば特許文献1には、印刷部と、画像読み取り部と、操作パネルと、を備える機能実行装置であって、操作パネルは、ハードウェアキーとタッチパネルとを含み、ハードウェアキーへの入力操作やタッチパネルに表示されるアイコンないしボタンへの入力操作を受け付ける構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、不特定多数の人が触れる操作パネルへの入力操作を嫌がるユーザが増える傾向にあり、操作パネルに触れずに画像形成装置への入力操作を可能にする要望が高まっている。そこで、画像形成装置にモバイル端末からの入力操作を受け付ける機能を設けることが考えられるが、画像形成装置から離れた場所からの第三者による入力操作が可能になることから、安全性が低下するおそれがある。特許文献1には、操作パネルに触れずに操作する技術は開示されておらず、改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示される画像形成装置は、ネットワークインタフェースと、タッチパネルを含む操作パネルと、コントローラと、を備える画像形成装置であって、前記画像形成装置は、前記ネットワークインタフェースを介して、モバイル端末からの入力操作を受け付けるモバイル入力機能を有し、前記コントローラは、前記モバイル入力機能の提供を開始した場合に、前記画像形成装置に対する操作画面を前記モバイル端末に表示させるための表示データを、前記ネットワークインタフェースを介して、前記モバイル端末に送信する送信処理を実行し、さらに前記コントローラは、前記モバイル入力機能の提供中、前記ネットワークインタフェースを介して、前記モバイル端末から前記操作画面の操作内容を示す操作データを受信した場合に、受信した前記操作データが画像形成に用いるパラメータの設定に関する操作であれば、受信した前記操作データに示される前記パラメータを設定する設定処理を実行し、受信した前記操作データが画像形成の実行に関する操作であれば、受信した前記操作データに示される画像形成を行う画像形成処理を実行し、さらに前記コントローラは、前記モバイル入力機能の提供が開始されていない状態において、パスワードを前記タッチパネルに表示する表示処理を実行するように構成されており、前記ネットワークインタフェースを介して、前記モバイル入力機能の提供開始に必要なアクセス情報を用いたアクセスが前記モバイル端末からあり、かつ前記タッチパネルに表示させた前記パスワードの入力が前記モバイル端末からあった場合に、前記モバイル入力機能の提供を開始する、ように構成されている。
【0006】
本明細書に開示される画像形成装置は、モバイル入力機能の提供が開始されていない状態において、そのモバイル入力機能の開始に必要なパスワードを操作パネルのタッチパネルに表示する。そして、モバイル端末からそのパスワードの入力があった場合に、モバイル入力機能の提供を開始する。これにより、モバイル入力機能を利用するユーザが画像形成装置の前にいる状態で、モバイル入力機能の提供が開始される可能性を高められる。さらに、その結果として、第三者によって入力操作が行われる可能性を低減しつつ、モバイル入力機能を提供できる。
【0007】
上記装置の機能を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、および当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体も、新規で有用である。
【発明の効果】
【0008】
本明細書に開示される技術によれば、操作パネルを備える画像形成装置であって、安全性の低下を抑えつつ、操作パネルに触れずに画像形成装置を操作できる技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態のMFPの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】機能提供処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】アクセス受信手順の例を示すシーケンス図である。
【
図6】パスワード入力画面の例を示す説明図である。
【
図8】スタート手順の例を示すシーケンス図である。
【
図11】モバイル入力提供処理の手順を示すフローチャートである。
【
図14】第2スタート手順の例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、第1の実施の形態にかかる複合機(以下、「MFP」とする)について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、画像処理機能と通信機能とを備えるMFPを開示するものである。
【0011】
本形態のMFP1は、
図1に示すように、CPU11と、メモリ12と、を含むコントローラ10を備えている。また、MFP1は、操作パネル13と、通信インタフェース(以下、「通信IF」とする)14と、印刷エンジン15と、スキャナ16と、を備え、これらがコントローラ10に電気的に接続されている。MFP1は、画像形成装置の一例である。コントローラ10またはCPU11は、コントローラの一例である。
【0012】
CPU11は、メモリ12から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作に基づいて、各種の処理を実行する。なお、
図1中のコントローラ10は、MFP1の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際にMFP1に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0013】
本形態のMFP1のメモリ12には、オペレーティングシステム(以下「OS」とする)21と、モバイル入力機能プログラム(以下、「モバイル入力P」とする)22と、を含む各種のプログラムや各種のデータが記憶されている。モバイル入力P22は、埋め込みウェブサーバ機能を含み、埋め込みウェブサーバ機能を利用したモバイル入力機能を提供するためのプログラムである。モバイル入力P22は、MFP1をウェブサーバとして機能させるためのプログラムやデータを含む。
【0014】
メモリ12は、各種の処理が実行される際の作業領域としても利用される。CPU11が備えるバッファもメモリの一例である。メモリの一例は、MFP1に内蔵されるROM、RAM、HDD等に限らず、CPU11が読み取り可能かつ書き込み可能なストレージ媒体であってもよい。例えば、MFP1に接続されているUSBメモリ、HDD等の外部メモリや、ネットワークIF14を介してMFP1に接続されている装置に備えられるメモリやHDDも、メモリの一例である。
【0015】
なお、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記憶媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0016】
操作パネル13は、ユーザに情報を報知するための画面を表示するハードウェアと、ユーザによる操作を受け付けるハードウェアと、を含む。本形態のMFP1の操作パネル13は、画面の表示機能と操作の受け付け機能とを有するタッチパネル131と、操作の受付機能のみを有する1以上のハードウェアキー132と、を含む。
【0017】
通信IF14は、MFP1をネットワークに接続するためのネットワークインタフェース(以下、「ネットワークIF」とする)141と、USBインタフェース(以下、「USB-IF」とする)142と、を含む。なお、MFP1は、さらに他の通信規格に対応する通信IFを備えていてもよい。
【0018】
印刷エンジン15は、シート等の印刷媒体に画像を印刷するための構成を含む。印刷エンジン15の画像形成方式は、例えば、電子写真方式、インクジェット方式、である。スキャナ16は、原稿の画像を読み取るための構成を含む。スキャナ16は、自動原稿搬送装置を備えていても良い。
【0019】
続いて、MFP1の動作について説明する。なお、以下の処理は、基本的に、プログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「算出」、「決定」、「特定」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、CPU11の処理を表している。CPU11による処理は、OSのAPIを用いたハードウェア制御も含む。本明細書では、OSの記載を省略して各プログラムの動作を説明する。すなわち、以下の説明において、「プログラムBがハードウェアCを制御する」という趣旨の記載は、「プログラムBがOSのAPIを用いてハードウェアCを制御する」ことを指してもよい。また、プログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を、省略した文言で記載することがある。例えば、「CPU11が行う」のように記載することがある。また、プログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を、「プログラムAが行う」のようにCPUを省略した文言で記載することがある。
【0020】
なお、「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、CPU11が要求することなくデータを受信するという処理も、「CPUがデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。また、「要求する」、「指示する」とは、要求していることを示す情報や、指示していることを示す情報を相手に出力することを示す概念である。また、要求していることを示す情報や指示していることを示す情報のことを、単に、「要求」、「指示」とも記載する。
【0021】
また、CPU11による、情報Aは事柄Bであることを示しているか否かを判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか否かを判断する」のように概念的に記載することがある。CPU11による、情報Aが事柄Bであることを示しているか、事柄Cであることを示しているか、を判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか事柄Cであるかを判断する」のように概念的に記載することがある。
【0022】
モバイル入力P22によるモバイル入力機能等の各種の機能を備えるMFP1にて、ユーザの操作に応じて各種の機能を提供する機能提供処理の手順について、
図2のフローチャートを参照して説明する。この機能提供処理は、MFP1が起動されたことを契機に、MFP1のCPU11によって実行される。
【0023】
CPU11は、メモリ12等の各部の初期化を行い(S101)、モバイル入力機能の有効を示す情報である有効情報25がメモリ12に記憶されているか否かを判断する(S102)。MFP1は、有効情報25の入力を受け付けると、
図1に示したように、有効情報25をメモリ12の不揮発性の記憶領域に記憶する。有効情報25の有無によってモバイル入力機能の有効または無効が設定できるので、ユーザの使い勝手が向上する。
【0024】
なお、MFP1は、有効情報25の設定指示、すなわち、モバイル入力機能を有効にするか、無効にするかの設定指示を、例えば、USB-IF142を介して受け付けるとしても良い。MFP1は、ネットワークIF141を介しての有効情報25の設定指示を受け付けないとしても良い。あるいは、MFP1は、管理者権限を有するユーザによる指示であれば、ネットワークIF141を介して設定指示を受け付け可能であっても良い。有効情報25は、モバイル入力機能を有効にするか否かの重要な情報であり、有効情報25の入力をUSBメモリからの読み出し、管理者権限を有するユーザからの指示等に限定することで、第三者による無暗な変更を制限できる。
【0025】
有効情報25がメモリ12に記憶されていない、すなわち、モバイル入力機能が有効ではないと判断した場合(S102:NO)、CPU11は、例えば、
図3に示すようなホーム画面53をタッチパネル131に表示させる(S105)。ホーム画面53は、本体操作画面の一例である。ホーム画面53は、例えば、MFP1に実行させる機能の選択や各種の設定指示等の入力操作を受け付ける各種のオブジェクトを含む画面である。
【0026】
モバイル入力機能が有効でない場合、MFP1は、モバイル入力機能を提供せず、タッチパネル131への操作を受け付け、受け付けた操作に基づいて、後述するS131~S140と同様に動作する(S106)。具体的には、MFP1は、パラメータの設定指示を受け付けた場合、パラメータの設定を行い、画像形成の実行指示を受け付けた場合、設定されているパラメータを利用して、画像形成を実行する。そして、例えば、操作パネル13への操作がないままで所定の無操作時間が経過した場合や、ホーム画面の表示を指示する操作を受け付けた場合には、CPU11は、S102に戻って、ホーム画面53をタッチパネル131に再度表示させる。
【0027】
一方、有効情報25がメモリ12に記憶されている、すなわち、モバイル入力機能が有効であると判断した場合(S102:YES)、CPU11は、モバイル入力機能の提供を開始するための各処理を実行する。
【0028】
具体的には、CPU11は、ワンタイムパスワードを生成して(S111)、生成したパスワードをメモリ12に記憶する(S112)。S111は、生成処理の一例である。MFP1の起動時は、所定の実行条件を満たす一例である。ワンタイムパスワードは、例えば、複数の文字や数字を含む文字列であり、CPU11は、S111を実行する度に異なるパスワードを生成する。S112により、
図1に示したように、メモリ12に最新のパスワード26が記憶される。なお、MFP1は、S112にて、パスワードを上書きして、最新のパスワードのみを記憶しても良いし、複数のパスワードを記憶して、最新のパスワードには最新であることを示す情報または生成日時を示す情報を付加して記憶しても良い。
【0029】
CPU11は、モバイル入力機能の提供開始に必要なアクセス情報を取得し、取得したアクセス情報をエンコードして、二次元コードを生成する(S113)。アクセス情報は、モバイル入力P22による機能を開始させるための情報を示すパスを含むURLを含む情報であり、二次元コードは、例えば、QRコード(登録商標)である。以下では、モバイル入力機能の提供開始に必要なアクセス情報を、「モバイルアクセス情報」とする。
【0030】
なお、MFP1は、モバイルアクセス情報、または、モバイルアクセス情報をエンコードした二次元コードの情報を、メモリ12に記憶していても良い。その場合、CPU11は、S113にて、記憶されている情報を読み出して、二次元コードの情報を取得しても良い。
【0031】
そして、CPU11は、S113にて生成した二次元コードと、S111にて生成したワンタイムパスワードと、を含む待機画面を操作パネル13のタッチパネル131に表示させる(S116)。S116は、表示処理の一例である。これにより、タッチパネル131には、例えば、
図4に示すような待機画面51が表示される。待機画面51は、モバイルアクセス情報がエンコードされた画像である二次元コード画像511と、「Exit」ボタン512と、最新のワンタイムパスワード513と、を含む画面である。二次元コード画像511は、コードの一例である。
【0032】
この状態で、MFP1は、モバイルアクセス情報を用いたアクセスを受け付け可能である。CPU11は、モバイル端末2等からのアクセスを受け付けたか否かを判断する(S121)。本形態のMFP1にてモバイル入力機能を利用するユーザは、例えば、MFP1と同一のネットワークに接続可能なモバイル端末2を利用する。ネットワークIF141とアクセスポイントとの通信は、Wi-Fi(登録商標)等による無線通信でも良いし、有線LAN等による有線通信でも良い。
【0033】
モバイル端末2は、
図1に示すように、タッチパネル211と、カメラ212と、を備えている。モバイル端末2のメモリには、ブラウザ213を含む各種のプログラムや各種のデータが記憶されている。なお、モバイル端末2は、ネットワークに接続可能な装置であり、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータである。
【0034】
また、同一のネットワークとは、例えば、同じアクセスポイントが提供するネットワークである。モバイル端末2とMFP1とが同じアクセスポイントに接続されていればよい。あるいは、複数のアクセスポイントが1つのネットワークを形成していても良く、その場合、モバイル端末2とMFP1とは、そのネットワークを形成する複数のアクセスポイントのいずれかに接続していればよい。なお、モバイル端末2やMFP1は、アクセスポイントを介して、インターネットに接続可能であっても良い。
【0035】
モバイル端末2によるアクセスは、例えば、以下の手順で行われる。モバイル端末2のユーザは、モバイル端末2のカメラ212を起動して、MFP1のタッチパネル131に表示されている二次元コード画像511を撮影する。モバイル端末2は、撮影された二次元コード画像511を解析することで、エンコードされているモバイルアクセス情報を取得できる。モバイル端末2は、読み取った二次元コード画像511にアクセス情報が含まれていることから、そのアクセス情報を用いたアクセスを実行するか否かを、例えば、タッチパネル211にポップアップ表示することで、ユーザに問い合わせる。ユーザによるアクセス実行の指示を受け付けると、モバイル端末2は、ブラウザ213を起動し、取得したモバイルアクセス情報に基づいてMFP1にアクセスする。
【0036】
ブラウザ213は、取得したモバイルアクセス情報に基づいて、httpプロトコルに従ったHTTPリクエスト、またはhttpsプロトコルに従ったHTTPSリクエストを送信する。なお、以下では、HTTPリクエスト、または、HTTPSリクエストを、単に「リクエスト」とする。モバイル端末2のブラウザ213は、モバイルアクセス情報に含まれるURLによって示される送信先装置のネットワークアドレスを特定し、その送信先装置にリクエストを送信する。リクエストの送信時に、モバイル端末2は、モバイルアクセス情報に含まれる情報を送信しても良い。
【0037】
本形態のMFP1は、モバイル端末2によって読み取り可能な二次元コード画像511を表示するので、ユーザは、モバイルアクセス情報を覚えておく必要が無く、MFP1の前でモバイル端末2のカメラ212を利用することで、簡単に、MFP1にアクセスできる。なお、MFP1は、二次元コード画像511に代えて、例えば、テキストでモバイルアクセス情報を表示しても良い。モバイルアクセス情報を入力する手間がかかるが、その場合でも、モバイルアクセス情報を覚えておく必要は無いので、MFP1へのアクセスは容易である。
【0038】
モバイルアクセス情報を用いたアクセスを受け付けたと判断した場合(S121:YES)、CPU11は、アクセスを受け付けた場合の手順であるアクセス受信手順を実行する(S122)。ただし、有効情報25がメモリ12に記憶されておらず、モバイル入力機能が有効ではない場合には、CPU11は、モバイルアクセス情報を用いたアクセスを受け付けたとしても、S121にてNOと判断する。
【0039】
次に、アクセス受信手順について、
図5のシーケンス図を参照して説明する。モバイルアクセス情報を用いたアクセスを受け付けたことで、MFP1は、モバイル入力P22による処理を実行する。なお、
図5のシーケンス図の手順の開始時には、
図4に示したように、パスワード513を含む待機画面51が、MFP1のタッチパネル131に表示されている。
【0040】
MFP1は、モバイルアクセス情報を用いたアクセスを受け付けると、そのアクセスを行った装置であるモバイル端末2に、パスワード入力画面を示すウェブページデータであるパスワード入力画面データを送信する(A11)。これにより、MFP1は、モバイルアクセス情報を用いたアクセスを行ったユーザに対して、パスワードの入力を求める。
【0041】
モバイル端末2のブラウザ213は、送信したリクエストに対してMFP1からウェブページデータを受信した場合、受信したデータに基づく画面であるウェブページをタッチパネル211に表示させるように構成されている。A11にて送信されるパスワード入力画面データを受信した場合、モバイル端末2のブラウザ213は、タッチパネル211に、例えば、
図6に示すように、パスワード入力画面60を表示する(A12)。パスワード入力画面60は、パスワードの入力欄601と、送信ボタン602と、を含む画面である。
【0042】
モバイル端末2のユーザは、MFP1の待機画面51に表示されているパスワードを、モバイル端末2に表示されているパスワード入力画面60のパスワードの入力欄601に入力する(A13)。さらに、ユーザは、入力が終了したら、送信ボタン602を操作することで、入力したパスワードの送信を指示する(A14)。
【0043】
モバイル端末2のブラウザ213は、MFP1から送信されるウェブページデータに基づく画面を表示している状態でユーザによるタッチパネル211への操作を受け付けた場合、受け付けた操作の操作内容を示す操作データを含むリクエストをMFP1に送信するように構成されている。なお、操作データは、操作を受け付けたオブジェクトを示すオブジェクト情報であっても良いし、タッチパネル211中の操作位置を示す位置情報であっても良い。
【0044】
モバイル端末2は、パスワードの入力欄601に入力されているパスワードの情報を、送信ボタン602が操作されたことを示す操作データとともに、MFP1に送信する(A15)。これにより、MFP1は、モバイル端末2からパスワードの情報を含むリクエストを受け付け、リクエストに含まれるパスワードが、
図2のS112にてメモリ12に記憶した最新のパスワードと一致しているか否かを判断する(A16)。
【0045】
パスワードが一致していると判断した場合(alt:[一致])、MFP1は、スタート画面を示すウェブページデータであるスタート画面データを、リクエストを送信した装置であるモバイル端末2に送信する(A21)。
【0046】
A21にて送信されるスタート画面データを受信した場合、モバイル端末2のブラウザ213はタッチパネル211に、例えば、
図7に示すように、スタート画面61を表示する(A23)。スタート画面61は、スタートボタン611を含む画面である。
【0047】
MFP1は、スタート画面データを送信した後も、タッチパネル131に待機画面51を表示しており、待機画面51中の「Exit」ボタン512への操作を受け付け可能である。MFP1は、スタートボタン611への操作を示す操作データをモバイル端末2から受け付けたか否か、および、タッチパネル131の「Exit」ボタン512への操作を受け付けたか否か、を判断する。
【0048】
まず、スタートボタン611への操作を示す操作データを受け付けたと判断した場合(alt:[スタート])について説明する。モバイル端末2は、ユーザによるスタートボタン611への操作を受け付けると(A24)、スタートボタン611への操作を示す操作データをMFP1に送信する(A25)。スタートボタン611への操作は、MFP1にモバイル入力機能の提供を開始させるための、ユーザによる指示である。これにより、MFP1は、スタートボタン611への操作を示す操作データ(以下、「スタート情報」とする)を受信する。
【0049】
MFP1は、スタートボタン611への操作という、モバイル入力機能を利用するユーザの明確な意思を受けて機能を提供する。すなわち、ユーザの誤操作等によって不用意にモバイル入力機能の提供が開始されることを回避できる。
【0050】
MFP1は、スタート情報を受信したことに応じて、
図8に示すスタート手順を実行する。スタート手順では、MFP1は、まず、モバイル入力機能を提供中であるか否かを判断する(B01)。モバイル入力P22は、例えば、モバイル入力機能の提供中を示す情報がメモリ12に記憶されている場合、提供中であると判断する。モバイル入力機能の提供中を示す情報は、例えは、B11で、メモリ12に記憶される。
【0051】
モバイル入力機能の提供中ではないと判断した場合(alt:[提供中でない])、MFP1は、待機画面51の表示を中止し、例えば、
図9に示すような、提供中画面52をタッチパネル131の全体に表示させる(B10)。提供中画面52は、他の装置と接続中であることを示すメッセージを含み、操作を受け付けるオブジェクトを含まない画面である。
【0052】
MFP1は、モバイル入力機能の提供を開始する場合、タッチパネル131に、
図4に示した待機画面51等のアクセス情報を含む画面も、各種の操作を受け付けるオブジェクトを含む画面も、いずれも表示しない。そして、MFP1は、モバイル端末2にモバイル入力機能を提供している間、タッチパネル131への入力操作を受け付けない。
【0053】
モバイル入力機能の提供中に、タッチパネル131への入力操作を受け付けると、モバイル端末2を操作するユーザの意図しない操作が行われてユーザが困惑する可能性がある。本形態のMFP1は、モバイル入力機能の提供中、タッチパネル131への入力操作を受け付けないため、このような問題は発生しない。また、本形態のMFP1は、モバイル入力機能の提供中、タッチパネル131に提供中画面52を表示するので、タッチパネル131への入力操作を受け付けないことが分かり易い。
【0054】
また、モバイル入力機能の提供中に、他のモバイル端末からのアクセスを受け付け可能にすると、モバイル端末2を操作するユーザの意図しない操作が行われてユーザが困惑する可能性がある。本形態のMFP1は、モバイル入力機能の提供中、タッチパネル131に待機画面51を表示しないので、他のユーザによるアクセスを受け付ける可能性を低減できる。
【0055】
そして、MFP1は、モバイル入力機能の提供中を示す情報を記憶し(B11)、ホーム画面を示すウェブページデータであるホーム画面データを、モバイル端末2に送信する(B12)。B12は、送信処理の一例である。ホーム画面データは、表示データの一例である。また、MFP1は、送信した画面を示す画面IDをメモリ12に記憶する(B13)。この場合の画面IDは、モバイル端末2へ最後に送信した画面データ、すなわち、ホーム画面を示す情報である。
【0056】
B12にてホーム画面データを受信したことで、モバイル端末2のブラウザ213は、例えば、
図10に示すように、タッチパネル211にホーム画面62を表示する(B14)。ホーム画面62は、例えば、
図3に示したホーム画面53、を表示している状態の操作パネル13を、仮想的に示す操作画面である。ホーム画面62は、ホーム画面53を模したパネル画面621と、操作パネル13のハードウェアキー132を模したキー画面622と、クローズボタン623と、を含む。ホーム画面62は、MFP1を操作するための操作画面の一例である。
【0057】
ホーム画面62には、ホーム画面53を模したパネル画面621が含まれているので、ユーザは、モバイル端末2に表示される画面を、タッチパネル131を操作するときと同様に、直感的に操作できる。
【0058】
そして、MFP1は、モバイル入力提供処理を実行する(B15)。B15にて実行されるモバイル入力提供処理について、
図11のフローチャートを参照して説明する。モバイル入力提供処理は、モバイル入力P22に基づいて、MFP1のCPU11にて実行される。このモバイル入力提供処理の実行開始時には、モバイル端末2のタッチパネル211には、
図10に示したホーム画面62が表示されており、MFP1のタッチパネル131には、
図9に示した提供中画面52が表示されている。
【0059】
CPU11は、モバイル端末2に画面データを送信してから、モバイル端末2からのリクエストを受け付けていない状態での経過時間の計測を開始する(S201)。モバイル入力提供処理の開始時には、CPU11は、
図8のB12にてホーム画面データを送信してからの経過時間を計測する。
【0060】
そして、CPU11は、モバイル端末2からリクエストを受信したか否かを判断する(S202)。リクエストを受信したと判断した場合(S202:YES)、CPU11は、経過時間をリセットして、計測を再開する(S211)。この経過時間は、モバイル端末2からのリクエストを受信していない状態が継続した時間である。CPU11は、後述するように、経過時間が所定のタイムアウト時間を超えた場合に、モバイル入力機能の提供を終了する。
【0061】
リクエストを受信した場合、CPU11は、受信したリクエストに含まれる操作データが、クローズボタン623(
図10参照)への操作を示すデータであるか否かを判断する(S212)。クローズボタン623は、モバイル入力機能の提供を終了する場合に、ユーザが操作するボタンである。
【0062】
クローズボタン623への操作以外の操作を示す操作データを受信したと判断した場合(S212:NO)、CPU11は、受け付けた操作データが、表示画面を変更させる操作であるか否かを判断する(S221)。表示画面を変更させる操作であると判断した場合(S221:YES)、CPU11は、変更後の画面を示す画面データをモバイル端末2に送信する(S222)。S222は、送信処理の一例である。S222にてモバイル端末2に送信される画面データは、表示データの一例である。
【0063】
例えば、
図10に示したホーム画面62にて、パネル画面621中の「コピー」ボタンへの操作を受け付けたことを示す操作データを受信した場合、CPU11は、S222にて、コピーに関するパラメータの設定を受け付ける画面であるコピー画面の画面データを、モバイル端末2に送信する。パラメータの設定を受け付けるための操作画面を、パラメータ設定画面とも言う。この結果、モバイル端末2のタッチパネル211に、コピー画面が表示される。タッチパネル211に表示されるコピー画面は、操作画面の一例である。
【0064】
なお、モバイル入力提供処理では、CPU11は、S222および以後の画面データの送信時に、
図8のB12の場合とは異なり、パネル画面621の部分のウェブページデータのみを送信する。つまり、モバイル入力提供処理の実行中、モバイル端末2のタッチパネル211に表示される画面は、パネル画面621の部分のみが変更される。従って、S222等によって画面が変更された場合にも、クローズボタン623は、モバイル端末2のタッチパネル211に表示されている。
【0065】
受け付けた操作データが、表示画面を変更させる操作ではないと判断した場合(S221:NO)、CPU11は、画像形成に用いるパラメータの設定に関する操作であるか否かを判断する(S224)。パラメータの設定に関する操作であると判断した場合(S224:YES)、CPU11は、受け付けた操作データに基づいて、パラメータを設定する(S225)。S225は、設定処理の一例である。
【0066】
さらに、CPU11は、設定後の画面を示す画面データをモバイル端末2に送信する(S226)。例えば、前述したコピー画面にて部数の指定を受け付けた場合、CPU11は、受け付けた部数をコピーのパラメータに設定し、部数の表示を変更したコピー画面のデータを、モバイル端末2に送信する。
【0067】
受け付けた操作データが、パラメータの設定に関する操作ではないと判断した場合(S224:NO)、CPU11は、画像形成の実行に関する操作であるか否かを判断する(S227)。画像形成の実行に関する操作であると判断した場合(S227:YES)、CPU11は、受け付けた操作データに基づいて、画像形成の実行を開始する(S228)。S228は、画像形成処理の一例である。
【0068】
例えば、コピー画面にてコピーの実行指示ボタンが操作されたことを示す操作データを受信した場合、CPU11は、スキャナ16に原稿の読み取りを開始させ、読み取った原稿の画像に基づく印刷を印刷エンジン15に行わせる指示を行うことで、コピーの実行を開始する。実行指示を受け付けるための操作画面を、実行指示画面とも言う。コピー画面は、パラメータ設定画面の一例であり、かつ、実行指示画面の一例である。スキャナ16による画像データの生成や印刷エンジン15による印刷は、画像形成の一例である。
【0069】
そして、CPU11は、実行中であることを示す画面の画面データをモバイル端末2に送信する(S229)。実行中であることを示す画面は、画像形成を実行中であることを示すメッセージを含み、クローズボタン623以外に操作を受け付けるオブジェクトを含まない画面である。CPU11は、例えば、「コピー実行中」のメッセージを含む画面データを、モバイル端末2に送信する。なお、CPU11は、画像形成の実行中、すなわち、実行中を示す画面を表示させている期間中は、操作を受け付けないことから、経過時間の計測を一時停止しても良い。また、実行中を示す画面には、画像形成の実行を中止する操作を受け付けるオブジェクトなどの、操作を受け付けるオブジェクトが含まれていても良い。
【0070】
パネル画面621に表示される各種の画面は、MFP1のタッチパネル131への操作によってMFP1を利用する場合に、タッチパネル131に表示される各種の画面を模したものである。例えば、前述したコピー画面は、モバイル入力機能を提供しない場合に、MFP1のタッチパネル131にてコピーボタンが操作された場合に、タッチパネル131に表示される画面と、同様の画面である。また例えば、前述した「コピー実行中」のメッセージを含む画面は、モバイル入力機能を提供しない場合に、MFP1のタッチパネル131にてコピーの実行指示ボタンが操作された場合にタッチパネル131に表示される画面と、同様の画面である。
【0071】
一方、受け付けた操作データが、画像形成の実行に関する操作ではないと判断した場合(S227:NO)、CPU11は、S202に戻って、モバイル端末2からの操作データを受信したか否かを判断する。例えば、モバイル端末2のタッチパネル211のうち、オブジェクト以外の箇所への操作を示す操作データを受信した場合、CPU11は、S211にて経過時間のリセットのみを行うとしても良く、画面の変更、パラメータの設定、画像形成の実行、のいずれも行わない。
【0072】
S222、S226、S229のいずれかにて画面データを送信した後、CPU11は、送信した画面データを識別する画面IDをメモリ12に記憶し(S231)、S202に戻って、モバイル端末2からのリクエストを受信したか否かを判断する。CPU11は、所定の領域に画面IDを上書きして記憶しても良いし、複数の画面IDを記憶して、そのうち最後に送信したものを示す情報として記憶しても良い。
【0073】
一方、モバイル端末2からのリクエストを受信していないと判断した場合(S202:NO)、CPU11は、S201にて計測を開始した経過時間が、所定のタイムアウト時間を超えたか否かを判断する(S203)。タイムアウト時間は、例えば、1分である。タイムアウト時間は、固定時間であっても良いし、ユーザによる設定を受け付け可能な可変時間であっても良い。
【0074】
タイムアウト時間を超えていないと判断した場合(S203:NO)、CPU11は、戻るキー133(
図4参照)の長押しを受け付けたか否かを判断する(S204)。戻るキー133は、操作パネル13のハードウェアキー132に含まれる。
【0075】
モバイル端末2からクローズボタン623への操作を示す操作データを受信したと判断した場合(S212:YES)、または、経過時間がタイムアウト時間を超えたと判断した場合(S203:YES)、または、戻るキー133の長押しを受け付けたと判断した場合(S204:YES)、CPU11は、モバイル入力提供処理を終了して、
図8のスタート手順に戻る。
【0076】
クローズボタン623は、モバイル入力機能の利用を終了する場合に、モバイル端末2にてユーザが操作するボタンである。クローズボタン623への操作は、モバイル入力機能の利用を終了するユーザの意志を示す操作である。MFP1は、クローズボタン623への操作に基づいて、モバイル入力機能を終了させるので、モバイル端末2を使用するユーザの意図するタイミングでモバイル入力機能を終了させることができる。その結果、別のユーザがMFP1を操作できるようになり、MFP1の稼働率を高めることができる。なお、クローズボタン623は、モバイル端末2のタッチパネル211に表示される画面には含まれるが、MFP1のタッチパネル131に表示される画面には含まれない。
【0077】
また、モバイル端末2からのリクエストが無いまま、S201にて計測を開始した経過時間がタイムアウト時間を超えた場合、モバイル端末2のユーザによるMFP1の利用は終了している可能性が高い。あるいは、MFP1とモバイル端末2との通信接続が切断されている可能性がある。所定のタイムアウト時間を超えてリクエストを受信しなかった場合に、モバイル入力機能を終了させることで、例えば、モバイル端末2のユーザが、MFP1の利用を終えた際にモバイル入力機能を終了させる操作をしなかった場合にも、MFP1は、自動的にモバイル入力機能の提供を終了することができる。その結果、別のユーザがMFP1を利用できるようになるので、モバイル端末2によるMFP1の無駄な占有を回避し、MFP1の稼働率を高めることができる。
【0078】
また、戻るキー133の長押しは、提供中のモバイル入力機能を終了させて、操作パネル13への操作によってMFP1を利用したいユーザが行う操作である。例えば、モバイル端末2のユーザが、MFP1の利用を終えた際にモバイル入力機能を終了させる操作をせずにMFP1から離れた場合に、別のユーザが戻るキー133の長押しによって強制的にモバイル入力機能の提供を終了させることができる。その結果、タイムアウト時間を超えていなくても、その別のユーザがMFP1を操作できるようになり、MFP1の稼働率を高めることができる。
【0079】
なお、MFP1は、モバイル入力機能の提供中、戻るキー133の長押しによるモバイル入力機能の終了指示以外、ハードウェアキー132への操作やタッチパネル131への操作を受け付けない。モバイル入力機能の提供を終了させる指示以外の操作パネル13への入力操作を無効にすることで、モバイル入力機能に対するモバイル端末2からの入力操作と操作パネル13からの入力操作とが混在することを回避できる。例えば、モバイル入力機能の提供が開始されていると知らずに別のユーザが操作パネル13を不用意に操作しただけで、モバイル端末2のユーザの意図しない操作を受け付けてしまう可能性を回避できる。
【0080】
また、モバイル入力P22は、MFP1とモバイル端末2との通信接続が切断されたと判断した場合に、前述した経過時間がタイムアウト時間を超えるのを待つことなく、モバイル入力提供処理を終了するように構成されても良い。例えば、ネットワークIF141がインターネットに接続できなくなった場合や、モバイル端末2がインターネットに接続されなくなったことを検知した場合にも、CPU11は、モバイル入力提供処理を終了して、
図8のスタート手順に戻っても良い。
【0081】
一方、クローズボタン623への操作などのモバイル入力提供処理を終了する条件を満たしていないと判断した場合(S204:NO)、CPU11は、画像形成の実行を終了したか否かを判断する(S205)。画像形成の実行を終了したと判断した場合(S205:YES)、CPU11は、ホーム画面データをモバイル端末2に送信する(S215)。なお、画像形成の実行中は、前述したS229によって、実行中を示す画面がモバイル端末2に表示されている。S215によって、モバイル端末2の表示は、実行中であることを示す画面からホーム画面62に変更される。ホーム画面データを送信した後、CPU11は、送信した画面データを識別する画面IDをメモリ12に記憶し(S231)、S202に戻る。
【0082】
画像形成の実行を開始していない場合、または、画像形成を実行中である場合には、画像形成の実行を終了していないと判断し(S205:NO)、CPU11は、S202に戻ってS202~S205のいずれかを満たしたか否かを判断する。
【0083】
なお、MFP1は、画像形成の実行中であっても各種の指示を受け付け可能な構成であっても良い。その場合には、CPU11は、S229にて、実行中を示す画面データではなく、ホーム画面データを送信しても良い。あるいは、MFP1は、実行中を示す画面データをモバイル端末2に一旦送信し、その後、画像形成の終了前にホーム画面データを送信しても良い。また、その場合、S205の判断は無くても良い。
【0084】
図8のスタート手順の説明に戻る。MFP1は、
図11に示したモバイル入力提供処理のS203、S204、S212のいずれかにてYESと判断した場合、B15のモバイル入力提供処理を終了する。そして、MFP1は、モバイル入力機能の提供を終了したことを示すウェブページデータである終了画面データを、モバイル端末2に送信する(B16)。これにより、モバイル端末2のブラウザ213は、例えば、
図12に示すように、タッチパネル211に終了画面63を表示する(B17)。なお、モバイル端末2との通信が切断されている場合には、MFP1は、B16をスキップしても良い。
【0085】
そして、MFP1は、B11にて記憶した情報、すなわち、モバイル入力機能の提供中を示す情報を削除する(B18)。あるいは、MFP1は、提供中を示す情報を、提供中ではないことを示す情報に変更して記憶しても良い。
【0086】
ここまで、モバイル入力機能の提供開始から終了までの手順を説明した。次に、モバイル入力機能の提供を終了した後のMFP1の動作、例えば、タッチパネル131への表示内容について説明する。
【0087】
モバイル入力機能の提供を終了した後、MFP1は、記憶している画面IDに対応する画面をタッチパネル131に表示し(B19)、タッチパネル131へのユーザの操作を受け付け可能となる。これにより、タッチパネル131には、モバイル入力機能の終了時にモバイル端末2に表示されていた画面と同様の画面が表示される。なお、B19にてタッチパネル131に表示される画面は、モバイル端末2に表示されている画面と全く同一ではなく、同種の情報を含むある程度異なる画面でも良い。
【0088】
画像形成の実行中ではない状態でモバイル入力提供処理を終了した場合、例えば、ホーム画面62を表示中にモバイル入力提供処理を終了した場合、MFP1は、
図3に示したホーム画面53をタッチパネル131に表示する。そして、MFP1は、一旦、タッチパネル131へのユーザの操作を受け付け可能となり、タッチパネル131への操作を受け付けた場合、受け付けた操作に基づいて動作する。
【0089】
モバイル端末2での操作を開始したものの、途中からタッチパネル131での操作を行いたいユーザにとって、クローズボタン623を操作することで、タッチパネル131での操作に切り替えることができるので都合が良い。また、誤ってクローズボタン623を操作してしまったユーザにとっても、タッチパネル131で継続して操作できるので都合が良い。
【0090】
また、例えば、印刷の実行中にクローズボタン623への操作や戻るキー133の長押しを受け付けてモバイル入力提供処理を終了した場合、MFP1は、例えば、
図13に示すように、印刷を実行中であることを示すメッセージを含む実行中画面54を、タッチパネル131に表示する。そして、MFP1は、実行中画面54をタッチパネル131に表示させた後、画像形成の実行を終了した場合、
図3に示したホーム画面53をタッチパネル131に表示し、タッチパネル131へのユーザの操作を受け付け可能となる。
【0091】
モバイル端末2からの指示に基づくジョブの実行中に、ユーザがクローズボタン623への操作を行ってモバイル入力機能を終了させた場合、その直後にタッチパネル131にホーム画面53等が表示されると、ユーザは、ジョブが実行されているのかどうか不安になる可能性がある。ジョブの実行中であれば実行中画面54を表示させることで、ユーザの不安を解消できる。
【0092】
なお、設定画面や実行指示受付画面の表示中に、タイムアウトや戻るキー133の長押しによってモバイル入力提供処理を終了した場合には、MFP1は、例えば、B19にて、モバイル端末2に表示されていた画面に代えて、ホーム画面53を表示するとしても良い。
【0093】
そして、モバイル入力提供処理を終了してタッチパネル131への操作を受け付け可能となった後、所定の表示時間を超えて、タッチパネル131への操作が無かった場合、MFP1は、
図8のスタート手順と
図5のアクセス受信手順とを終了し、
図2の機能提供処理のS102に戻る。表示時間は、例えば、30秒であり、予め決められた固定時間でも良いし、ユーザによって設定可能な可変時間でも良い。そして、MFP1は、モバイル入力機能が有効であれば、新たなパスワードを生成して、新たなパスワードを含む待機画面51をタッチパネル131に自動的に表示する。
【0094】
MFP1は、モバイル入力提供処理を終了したら、新たなパスワードを生成して、古いパスワードでのモバイル入力機能へのアクセスを受け付けない。モバイル入力提供処理を終了したタイミングは、第1のタイミングの一例である。なお、MFP1は、モバイル入力提供処理を終了して提供中を示す情報を削除したら(B18)、B19での画面の表示の終了を待たずに新たなパスワードを生成しても良い。モバイル入力機能の提供を終了する条件、すなわち、モバイル入力提供処理を終了する条件は、所定の実行条件の一例である。また、MFP1は、起動時以外には、有効情報25の判断(S102)を行わないとしても良い。
【0095】
ここまで、モバイル入力機能の提供終了後の手順を説明した。次に、モバイル入力機能を提供しない場合のMFP1の動作について説明する。
【0096】
モバイル端末2からスタート情報を受信した際(
図5のA25)に、既にモバイル入力機能の提供中を示す情報が記憶されている場合、すなわち、他のモバイル端末に対してモバイル入力機能を提供している場合、MFP1は、
図8のB01にて、モバイル入力機能を提供中であると判断する。提供中であると判断した場合、(alt:[提供中])、MFP1は、例えば、他のモバイル端末に機能を提供中であって、今は利用できないことを報知するメッセージを含む画面を示す利用不可画面データを、モバイル端末2に送信する(B21)。
【0097】
モバイル端末2は、受信した利用不可画面データに基づいて、モバイル入力機能の利用ができないことを示す利用不可画面をタッチパネル211に表示する(B22)。B22にて表示される利用不可画面は、ユーザによる操作を受け付けるオブジェクトを含まない画面であり、この画面中への操作を受け付けても、モバイル端末2はMFP1へのリクエストの送信を行わない。従って、この場合には、モバイル端末2のユーザは、スタートボタン611(
図7参照)への操作を行ったものの、モバイル入力機能を利用できない。本形態のMFP1は、2台以上のモバイル端末に同時にモバイル入力機能を提供しない。
【0098】
複数のモバイル端末に並行してモバイル入力機能を提供すると、複数のユーザの操作による操作データを受信してしまい、各ユーザの希望する動作とは異なる動作となる可能性が高い。MFP1は、他のモバイル端末に対してモバイル入力機能を提供中であれば、モバイル端末2にモバイル入力機能の提供を開始しないので、混乱を回避できる。
【0099】
MFP1は、スタート画面データを送信した後も待機画面51を表示していることから、複数の端末からのアクセスを受け付ける可能性がある。例えば、スタート情報の受信(A25)より前に、他のモバイル端末からのアクセスを受け付けた場合、MFP1は、他のモバイル端末に対してもスタート画面データを送信しても良い。その場合、MFP1は、一つの端末からスタート情報を受信したら、モバイル入力機能の提供中を記憶するので(B11)、他の端末からスタート情報を受信しても提供中と判断してB21を実行する。なお、MFP1は、一つの端末からスタート情報を受信したら他の端末に終了画面データを送信しても良い。
【0100】
B19にて所定の表示時間だけタッチパネル131に画面を表示した後、または、B21にて利用不可画面データをモバイル端末2に送信した後、MFP1は、既に提供を開始している他のモバイル端末へのモバイル入力機能の提供を継続する。そのモバイル端末へのモバイル入力機能の提供が終了したら、MFP1は、前述したように、再度、待機状態となる。
【0101】
なお、A21にてスタート画面データを送信した後、所定の待機時間内にスタート情報を受信しなかった場合にも、MFP1は、モバイル入力機能の提供を開始しないとしても良い。
【0102】
次に、モバイルアクセス情報を用いたアクセスを受信した後に受け付けたパスワードが、メモリ12に記憶されている最新のパスワードと一致していない場合について説明する。
図5のA16にて不一致と判断した場合(alt:[不一致])、MFP1は、パスワードの入力し直しを報知する。すなわち、MFP1は、再入力画面データをモバイル端末2に送信する(A31)。これにより、モバイル端末2のブラウザ213は、タッチパネル211に再入力画面を表示する(A32)。
【0103】
再入力画面は、例えば、入力されたパスワードが異なっていることを示すメッセージと、
図6に示したパスワード入力画面60と同様のパスワードの入力欄と送信ボタンとを含む画面である。MFP1は、例えば、3回等の所定回数まで、パスワードの入力し直しを受け付けても良い。所定回数を超えて連続で不一致のパスワードが入力された場合、MFP1は、所定の受付不能時間の間、そのモバイル端末からのモバイル入力機能へのアクセスを受け付けないとしても良い。受付不能時間は、例えば、1時間であり、予め決められた固定時間でも良いし、ユーザによって設定可能な可変時間でも良い。MFP1は、例えば、受け付けたアクセスの送信元を示すIPアドレスに基づいて、受付不能のモバイル端末からのアクセスであるか否かを判断できる。
【0104】
MFP1は、入力されたパスワードが最新ではない場合には、モバイル入力機能を提供しない。その時点でMFP1のタッチパネル131に表示されているパスワードが入力された場合にのみ、モバイル入力機能の提供を許容することで、現時点でMFP1の近くにいるユーザによるアクセスである可能性を高めることができ、より安全性を担保できる。また、最新ではないパスワードが入力された場合に、パスワードの入力し直しを報知するので、ユーザの困惑を回避できる。報知は、音声ガイダンスを併用しても良い。
【0105】
後述するように、
図2の機能提供処理では、MFP1は、例えば、所定のリフレッシュタイムの経過ごとに、新たなパスワードを生成し、新たなパスワードが含まれる待機画面51を表示する。MFP1は、表示中の待機画面51に含まれるパスワード以外のパスワードが入力された場合、スタート画面データや操作画面データを送信せず、パスワードを入力し直すことを報知する。最新のパスワードが入力されなかった場合に、アクセスを無効にすることにより、例えば、MFP1から離れた場所から、悪意のあるユーザによるモバイル入力機能の利用を回避できる可能性が高い。
【0106】
ここまで、パスワードの不一致によりモバイル入力機能を提供しない場合のMFP1の動作について説明した。次に、待機画面51を表示した状態で、モバイル端末2等からのアクセスを受け付けていない場合(S121にてNOの場合)のMFP1の動作について説明する。なお、モバイルアクセス情報を用いたアクセスを受け付けて、A21にてスタート画面データを送信した後に、待機画面51中の「Exit」ボタン512への操作を受け付けた場合の処理については後述する。
【0107】
図2のS116にて待機画面51を表示させた後、モバイルアクセス情報を用いたアクセスを受信していない場合(S121:NO)、CPU11は、待機画面51中の「Exit」ボタン512への操作を受け付けたか否かを判断する(S128)。「Exit」ボタン512への操作を受け付けたと判断した場合(S128:YES)、CPU11は、待機画面51の表示を中止して、ホーム画面53をタッチパネル131に表示させる(S129)。
【0108】
S129によってホーム画面53を表示させた後、MFP1は、表示中の各オブジェクトへの操作を受け付け可能となる。CPU11は、操作パネル13への操作を受け付けたか否かを判断する(S131)。操作を受け付けたと判断した場合(S131:YES)、CPU11は、受け付けた操作に基づく各種の動作を行う。例えば、受け付けた操作が表示画面を変更する操作であれば(S132:YES)、CPU11は、タッチパネル131に、変更後の画面を表示させる(S133)。例えば、コピーボタンが操作された場合は、CPU11は、前述したコピー画面を表示させる。
【0109】
S133にて表示される画面は、パラメータの設定指示を受け付け可能な画面の場合もある。表示中の画面にて受け付けた操作がパラメータの設定指示であれば(S134:YES)、CPU11は、パラメータの設定を行い(S135)、設定後の画面をタッチパネル131に表示させる(S136)。S135は、
図11のS225と同じ処理である。CPU11は、例えば、S133で表示されたコピー画面で受け付けた操作に応じた、コピーの部数などのパラメータ設定を行い、部数表示が設定後の部数に変更されたコピー画面を表示する。
【0110】
また、受け付けた操作が画像形成の実行指示であれば(S137:YES)、CPU11は、印刷エンジン15やスキャナ16に画像形成を実行させ(S138)、実行中画面をタッチパネル131に表示させる(S139)。例えば、S133で表示されたコピー画面でコピーの実行指示ボタンが操作された場合は、CPU11は、「コピー実行中」のメッセージを含む画面をタッチパネル131に表示させる。S138は、
図11のS228と同じ処理である。それ以外の操作であれば(S137:NO)、CPU11は、その他の動作を行い、S131に戻る。
【0111】
つまり、待機画面51に含まれる「Exit」ボタン512への操作を受け付けた場合に、MFP1は、ホーム画面53をタッチパネル131に表示して、操作パネル13からの入力操作を受け付け可能となる。これにより、モバイル端末2からの入力操作を受け付け可能なMFP1であっても、必要に応じて操作パネル13からのMFP1への入力操作を可能にするので、操作性の低下を抑えることができ、操作パネル13からの入力操作を望むユーザにとって利便性が高い。
【0112】
タッチパネル131に表示中の各オブジェクトへの操作を受け付けていないと判断した場合(S131:NO)、CPU11は、操作を受け付けていない連続時間が、所定の無操作時間となったか否かを判断する(S140)。所定の無操作時間は、例えば、1分である。無操作時間が経過していなければ(S140:NO)、CPU11は、操作の受付と無操作時間の経過とのいずれかとなるまで待機する。
【0113】
操作を受け付けることなく無操作時間が経過したと判断した場合(S140:YES)、CPU11は、S122のアクセス受信手順を終了した後と同様に、S102に戻る。その後、CPU11は、再度S111~S116を実行し、新たなパスワードを生成して、新たなパスワードを含む待機画面51をタッチパネル131に自動的に表示させる。「Exit」ボタン512への操作を受け付けた後の無操作時間の経過は、所定の実行条件の一例である。なお、MFP1は、実行中画面をタッチパネル131に表示させている間は、無操作時間の経過を判断せず、実行中画面とは異なる画面、例えば、コピー画面を表示させてからの無操作時間の経過を判断すると良い。
【0114】
また、S133にて表示対象となる画面がホーム画面53であった場合、CPU11は、
図2中に破線で示すように、ホーム画面53を表示する代わりに、S102に進むとしても良い。その場合、CPU11は、モバイル入力機能が有効であれば、S111~S116を実行して待機画面51を表示させ、モバイル入力機能が無効であれば、S105に進んでホーム画面53を表示させる。あるいは、CPU11は、S133にて表示対象となる画面がホーム画面53であっても、ホーム画面53を表示して操作を受け付けても良い。この場合、CPU11は、無操作時間を超えて、ユーザの操作が無かった場合に、S102に進むことになる。
【0115】
また、モバイル入力機能が有効である場合、「Exit」ボタン512への操作に基づいてタッチパネル131に表示させる画面には、タッチパネル131への操作を終了する指示を受け付けるボタンが含まれていても良い。その場合、そのボタンへの操作を受け付けたら、CPU11は、S102に進み、それ以外の指示ではユーザの操作に基づいて、例えば、ホーム画面53を表示する指示を受け付けた場合にはホーム画面53を表示する、としても良い。
【0116】
なお、前述したように、
図5のA21にてスタート画面データを送信した後も、タッチパネル131には待機画面51が表示されている。スタート画面データを送信した後に、スタート情報を受信することなく、「Exit」ボタン512への操作を受け付けたと判断した場合(alt:[Exit]、A27)、MFP1は、スタート画面データの送信先であるモバイル端末2に終了画面データを送信し(A28)、
図2のS129に進む。A28は、
図8のB16と同様の処理であり、これにより、モバイル端末2のタッチパネル211には、
図12に示したような終了画面が表示される(A29)。
【0117】
つまり、スタート画面データを送信した後に「Exit」ボタン512への操作を受け付けたことでアクセス受信手順を終了した場合にも、MFP1は、S128にてYESと判断した場合と同様に、ユーザの操作を受け付ける画面をタッチパネル131に表示させ、ユーザの操作を受け付け可能となる。この場合も、MFP1は、S131およびS140と同様の判断を行う。なお、この場合の無操作時間は、スタート画面データを送信していない場合のS140と同じ時間でなくても良い。
【0118】
スタート画面データを送信した後にも「Exit」ボタン512への操作を受け付け可能とすることで、ユーザは、モバイル端末2からのモバイル入力機能の利用を開始する指示も、操作パネル13からのモバイル入力機能を利用しない指示も、いずれも行うことができる。「Exit」ボタン512への操作によって、操作の切り替えが容易になることで、モバイル端末2からの入力操作を望むユーザにも、操作パネル13からの入力操作を望むユーザにも、使い勝手が良い。
【0119】
一方、S116にて待機画面51を表示させた後、モバイルアクセス情報を用いたアクセスの受信も「Exit」ボタン512への操作も受け付けていないと判断した場合(S128:NO)、CPU11は、所定のリフレッシュタイムが経過したか否かを判断する(S141)。リフレッシュタイムが経過したと判断した場合(S141:YES)、CPU11は、S102に戻り、新たなパスワードを生成して、新たな待機画面51を表示する。待機画面51を表示後のリフレッシュタイムの経過は、所定の実行条件の一例である。
【0120】
リフレッシュタイムは、ユーザのアクセスや操作を受け付けていない状態で、パスワードを再生成するまでの経過時間であり、例えば、5分である。所定のリフレッシュタイムで適宜、パスワードを再生成することで、MFP1は、リフレッシュタイムが経過した古いパスワードによるアクセスを受け付けない。
【0121】
リフレッシュタイムが経過していないと判断した場合(S141:NO)、CPU11は、電源がオフされるまで(S142:NO)、S121、S128、S141の判断を繰り返す。本形態のMFP1は、待機画面51を表示している状態では、ユーザの操作として、モバイル端末2からのアクセスと「Exit」ボタン512への操作とのいずれかのみを受け付け可能であり、戻るキー133(
図4参照)の長押し等の他の操作は受け付けない。従って、モバイル端末2からの入力操作と操作パネル13への入力操作とが混在することを回避でき、MFP1の制御が安定する。そして、電源がオフされると(S142:YES)、CPU11は、機能提供処理を終了する。
【0122】
なお、MFP1は、ユーザのアクセスや操作を受け付けていない状態が所定のスリープタイムを超えた場合、操作パネル13をスリープ状態として、タッチパネル131への表示を停止しても良い。その場合、MFP1は、スリープ状態の操作パネル13への何らかの操作を受け付けると、S102の判断から機能提供処理を実行する。スリープ状態となることで表示を停止してからの再表示は、所定の実行条件の一例である。
【0123】
本形態のMFP1は、モバイル入力機能の提供が終了する度に新たなパスワードを生成し、前のパスワードが入力されてもモバイル入力機能の提供を開始しない。つまり、モバイル入力機能の提供を再度開始したいユーザは、待機画面51を再度確認して、最新のパスワードを入力し直すことになる。これにより、現時点でMFP1の前にいるユーザのモバイル端末2からのアクセスである可能性を高め、より安全性を担保できる。
【0124】
なお、前述したように、MFP1は、モバイル入力機能の提供を開始した後、その提供を終了する指示を受け付けてモバイル入力提供処理(
図8のB15)を終了した場合、記憶している画面IDに対応する画面を、所定の表示時間だけタッチパネル131に表示する(B19)。この所定の表示時間は、「Exit」ボタン512への操作を受け付けた後に操作を受け付ける画面を表示する時間である無操作時間よりも短いとしても良い。「Exit」ボタン512への操作は、待機画面51の表示を停止して、タッチパネル131への操作を行いたいユーザの明確な意志である可能性が高い。MFP1は、「Exit」ボタン512への操作を受け付けた場合には、モバイル入力機能を終了した後の表示時間以上の期間、操作を受け付ける画面を表示するので、ユーザの操作を受け付け易い。
【0125】
続いて、モバイル入力機能を提供中であるか否かの判断を行う別の手順である、第2スタート手順について、
図14のシーケンス図を参照して説明する。この第2スタート手順は、
図8に示したスタート手順に代えて実行される。
【0126】
第2スタート手順を実行するMFP1は、
図5のA21にてモバイル端末2に送信するスタート画面データとして、モバイル端末2のブラウザ213に実行させるプログラムが含まれているデータを送信する。このプログラムは、例えば、JavaScript(登録商標)で記載されたプログラムである。このプログラムが含まれるスタート画面データを受信した場合、モバイル端末2は、受信したプログラムに従って動作する。
【0127】
モバイル端末2は、受信したスタート画面データに基づいて、
図7に示したスタート画面61を表示し、スタートボタン611への操作を受け付けると、
図14に示すように、トークンの発行状態を示す状態情報をMFP1に要求する(C01)。MFP1は、モバイル端末2からの要求に応じて、状態情報を送信する(C02)。状態情報は、トークンを発行済みであるか否かを示す情報であり、「発行済み」または「未発行」のいずれかを示す情報である。なお、トークンを一度も発行していない場合、例えば、起動時には、MFP1は、状態情報を「未発行」とする。
【0128】
モバイル端末2は、MFP1から受信した状態情報が「未発行」を示す情報である場合には(alt:[未発行])、トークン発行要求をMFP1に送信する(C11)。MFP1は、C11の要求に応じてトークンを発行して(C12)、発行したトークンをメモリ12に記憶する(C13)。MFP1は、トークンを上書きしても良いし、最新を示す情報を付加して記憶しても良い。また、MFP1は、トークンを利用可能な期間を示す時間情報を付加してトークンを記憶しても良い。なお、MFP1は、C12の前に、再度、トークンの発行状態を確認しても良い。さらに、MFP1は、トークンの発行状態を示す状態情報を「発行済み」を示す情報に変更する(C14)。
【0129】
そして、MFP1は、発行したトークンをモバイル端末2に送信する(C15)。モバイル端末2は、トークンを受信したら、モバイル入力機能の利用の開始を要求する情報である開始要求と受信したトークンとを、MFP1に送信する(C16)。MFP1は、開始要求とともに受信したトークンを、C13にて記憶した最新のトークンと一致する正しいトークンであるか否かを判断する(C17)。
【0130】
正しいトークンであると判断した場合(alt:〔正しい〕)、MFP1は、
図8に示したスタート手順と同様に、B10、B12~17、B19の各手順を実行する。これにより、モバイル入力機能が提供され、ユーザは、モバイル端末2を利用して、MFP1を操作できる。ただし、第2スタート手順では、モバイル端末2は、モバイル入力提供処理にてユーザの操作に基づく操作データを送信する場合、毎回、トークンを付加して送信する。MFP1は、リクエストとともに受信したトークンをメモリ12に記憶しているトークンと比較することで確認し、正しいと判断した場合、操作データに基づく処理を行って、新たな画面データを送信する。一方、受信したトークンが正しくないと判断した場合、MFP1は、即座にモバイル入力提供処理を終了しても良い。
【0131】
開始要求とともに受信したトークンが正しくないと判断した場合(alt:〔正しくない〕)、MFP1は、モバイル入力機能の提供を開始しないことを示す拒否画面データをモバイル端末2に送信する(C21)。モバイル端末2は、受信した拒否画面データに基づいて、拒否画面をタッチパネル131に表示する(C22)。モバイル入力機能の提供が終了した後、または、C21の後、MFP1は、C13にて記憶したトークンを削除し(C31)、状態情報を「未発行」を示す情報に変更する(C32)。
【0132】
一方、C02にて「発行済み」を示す状態情報を受信した場合には、モバイル端末2は、タッチパネル211にエラー画面を表示する(C41)。また、C11でのトークン発行要求に対して、所定時間内にトークンが発行されなかった場合や発行エラーの情報を受信した場合にも、モバイル端末2は、エラー画面を表示する。
【0133】
このようにしても、MFP1は、トークンの発行状態に基づいて、他の端末にモバイル入力機能を提供中であるか否かを判断できる。なお、モバイル端末2は、C01による状態情報の取得を行わず、C11のトークン発行要求を送信するとしても良い。その場合、MFP1は、トークン発行要求を受けて、トークンを発行済みであるか否かを判断し、発行済みであると判断した場合には、C21と同様の拒否画面データを送信するとしても良い。
【0134】
以上、詳細に説明したように、第1の実施の形態のMFP1は、モバイル入力機能の提供が開始されていない状態において、そのモバイル入力機能の開始に必要なパスワードを操作パネル13のタッチパネル131に表示する。そして、モバイル端末2等からそのパスワードの入力があった場合に、モバイル入力機能の提供を開始する。これにより、モバイル入力機能を利用するユーザがMFP1の前にいる状態で、モバイル入力機能の提供が開始される可能性を高められ、その結果として、第三者によって入力操作が行われる可能性を低減しつつ、モバイル入力機能を提供できる。
【0135】
続いて、第2の実施の形態にかかるMFPについて、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態のMFP1は、第1の実施の形態のMFP1と同様の構成であり、第1の形態とは異なるアクセス情報を用いる点で第1の形態とは異なる。第1の形態のMFP1と同様の構成や手順については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0136】
本形態のMFP1は、パスワードだけでなく、アクセス情報も適宜更新する。本形態でも、CPU11は、起動時に、
図2に示した機能提供処理と同様の処理を実行する。ただし、本形態のCPU11は、例えば、
図2のS111にて新たなパスワードを生成する際に、新たなキーをも生成し、生成したキーをクエリとして含むアクセス情報を生成する。キーは、例えば、複数の文字や数字を含む文字列である。本形態の場合でも、S111は、生成処理の一例である。
【0137】
つまり、本形態では、CPU11は、S111を実行する度に異なるパスワードと異なるキーとを生成する。また、CPU11は、S112にて新たなパスワードを記憶する際に、新たなキーをもメモリ12に記憶する。そして、CPU11は、S113にて、モバイルアクセス情報として、モバイル入力P22による機能を開始させるための情報を示すパスを含むURLに、S111にて生成したキーをクエリとして含むアクセス情報を生成する。
【0138】
さらに、CPU11は、生成したモバイルアクセス情報をエンコードした二次元コードを生成し、S116では、生成した二次元コードと、S111にて生成したパスワードと、を含む待機画面をタッチパネル131に表示させる。表示される待機画面は、二次元コードに含まれる情報が第1の形態とは異なるだけであり、
図4に示した待機画面51と同様の画面である。なお、CPU11は、S112にて、キーを記憶する代わりに、キーを含むアクセス情報、または、生成した二次元コードの情報を記憶しても良い。
【0139】
モバイル端末2は、待機画面に表示されている二次元コードを読み取ってアクセスすることで、キーを含むモバイルアクセス情報を用いてMFP1にアクセスすることになる。そして、本形態のMFP1は、モバイルアクセス情報でのアクセスを受け付けた場合、まず、受け付けたモバイルアクセス情報に含まれるキーの情報を確認する。そして、MFP1は、モバイルアクセス情報に含まれるキーが、メモリ12に記憶されている最新のキーと一致していると判断した場合に、パスワード入力画面データをモバイル端末2に送信する(
図5のA11)。その後の処理は、第1の形態のMFP1と同様である。
【0140】
一方、受け付けたアクセスのモバイルアクセス情報にキーが含まれていない、または、含まれているキーがメモリ12に記憶されている最新のキーと一致しない、と判断した場合、MFP1は、パスワード入力画面データを送信しない。この場合、MFP1は、例えば、待機画面の二次元コードを再度読み取るよう要請するメッセージを含む画面データを、モバイル端末2に送信しても良い。
【0141】
本形態のMFP1は、動的にキーを生成して、動的なキーを含むモバイルアクセス情報を表示する。これにより、古いモバイルアクセス情報を利用したアクセスを受け付けない構成とすることができ、モバイル入力機能の安全性を第1の形態よりもさらに高めることができる。
【0142】
なお、各実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。従って本明細書に開示される技術は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、本発明は、MFP1に代えて、プリンタ、スキャナ、コピー機、FAX装置、にも適用可能である。
【0143】
また、各図に例示した画面はいずれも一例であり、表示の形態は図示の例に限らない。例えば、各画面に表示されるメッセージの文言やボタン等の形状や配置は、図示の例に限らない。例えば、二次元コード画像511は、
図4に示した待機画面51のようにタッチパネル131の全面に表示する代わりに、ホーム画面の一部に表示しても良い。また、待機画面51に含まれるモバイルアクセス情報の表示形態は、二次元コード画像511に限らず、テキスト情報でも良いし、バーコード画像による表示であっても良い。
【0144】
また、モバイル入力機能の提供を開始した場合にモバイル端末2に表示される画面は、
図10に示したホーム画面62に限らず、例えば、ハードウェアキー132の一部が含まれていなくても良いし、クローズボタン623以外にも操作パネル13には含まれないボタンが含まれていても良い。また、パネル画面621やキー画面622の配置やサイズは、操作パネル13を完全に再現したものでなくても良い。また、モバイル入力機能によってモバイル端末2に表示させる画面は、ユーザの操作を受け付ける画面であればよく、MFP1のタッチパネル131に表示される操作画面を模したものに限らず、オリジナルの画面であっても良い。
【0145】
また、モバイル端末2は、受信した画面データに基づく画面をブラウザに表示させるとしたが、画面を表示するプログラムは、ブラウザに限らず、専用のアプリケーションプログラムであっても良い。ただし、ブラウザに表示させることで、専用のアプリケーションプログラムをインストールする必要がなく、より簡単にモバイル入力機能を利用できる。
【0146】
また、モバイル端末2は、カメラを備えるスマートフォンやタブレットコンピュータであるとしたが、これに限らない。例えば、ラップトップコンピュータでも良いし、カメラを備えない端末でも良い。カメラを備えない端末を利用する場合、ユーザは、例えば、別の装置のカメラで二次元コード画像511を撮影して、その撮影データを端末に送信することで、カメラを備えない端末からMFP1にアクセスすることができる。
【0147】
また、MFP1は、有効情報25によるモバイル入力機能の有効または無効の設定を受け付けないとしても良い。つまり、MFP1は、モバイル入力機能を常に有効としても良い。
【0148】
また、各実施の形態では、待機画面として、二次元コード画像とパスワードとを含む画面を表示するとしたが、二次元コード画像のみを含む待機画面を表示して、パスワードは、アクセスを受け付けた後に表示する、としても良い。その場合、MFP1は、アクセスを受け付けたことを契機にパスワードを生成してメモリ12に記憶する、としても良い。また、第1の形態のMFP1は、待機画面としてパスワードのみを表示しても良い。例えば、モバイル入力機能の提供開始に用いるURLは、MFP1の筐体に提示されていても良い。
【0149】
また、各実施の形態では、MFP1は、「Exit」ボタン512を含む待機画面を表示するとしたが、「Exit」ボタン512を含まない待機画面を表示しても良い。その場合、例えば、ハードウェアキー132のいずれかへの操作を受け付け可能として、「Exit」ボタン512への操作の代わりとしても良い。また、各実施の形態では、「Exit」ボタン512への操作を受け付けた場合、1分間等の無操作で自動的に待機画面を再度表示するとしたが、これに限らない。例えば、戻るキー133への操作等の新たな操作を受け付けるまで待機画面を表示しないとしても良い。
【0150】
また、各実施の形態では、待機画面の表示中は、モバイル端末2等からのアクセスと「Exit」ボタン512への操作とのいずれかのみを受け付けるとしたが、その他の操作、例えば、戻るキー133の長押しを受け付け可能であっても良い。その場合、MFP1は、戻るキー133の長押しを受け付けた場合には、「Exit」ボタン512への操作とは違い、操作画面を表示して1分待機する代わりに、直ちに新たなパスワードを生成して待機画面を表示するとしても良い。つまり、MFP1は、待機画面を表示中に戻るキー133の長押しを受け付けた場合には、操作画面を表示しなくても良い。あるいは、MFP1は、待機画面を表示中に戻るキー133の長押しを受け付けた場合には、「Exit」ボタン512への操作の場合よりも短い時間だけ操作画面を表示するとしても良い。
【0151】
また、各実施の形態のスタート手順(
図8)では、MFP1は、モバイル端末2からスタート情報を受信した場合にモバイル入力機能の提供中を示す情報を記憶し(B11)、その情報に基づいて、モバイル入力機能を提供中であるか否かを判断する(B01)としたが、モバイル入力機能の提供中であるか否かを判断するタイミングはこれに限らない。例えば、最新のパスワードの入力を受け付けたら(
図5のA16にて一致と判断)、MFP1は、モバイル入力機能の提供中であることを記憶しても良い。また、例えば、
図5のA21にてスタート画面データを送信した場合に、スタート画面データを送信したことを示す情報を記憶し、当該情報が記憶されている場合、モバイル入力機能へのアクセスがあってもスタート画面データを送信しない、としても良い。
【0152】
また、各実施の形態では、MFP1は、モバイル入力機能の提供中に、操作データを受け付けていない経過時間を計測して、タイムアウトの判断を行う(
図11のS203)としたが、タイムアウトの判断は、モバイル端末2が行っても良い。例えば、モバイル端末2は、画面データを受信した後、操作を受け付けていない時間がタイムアウト時間を超えた場合、モバイル入力機能の終了を示す操作データを送信するとしても良い。
【0153】
また、各実施の形態では、モバイル入力機能の提供中に戻るキー133の長押しを受け付けた場合(
図11のS204にてYES)、強制的にモバイル入力機能の提供を終了させるとしたが、モバイル入力機能の提供を終了させる操作は、戻るキー133の長押しに限らず、他のハードウェアキーの長押しであっても良い。また、モバイル入力機能の提供中でのハードウェアキーへの入力操作の態様を区別しても良い。例えば、入力操作の態様として、長押しの他、通常の入力操作、複数回の連続操作、複数のハードウェアキーの同時押し、を受け付け可能でも良く、MFP1は、入力操作の態様ごとに異なる処理を行っても良い。
【0154】
また、各実施の形態では、モバイル入力機能の提供を終了した後、記憶している画面IDに基づく画面を、操作パネル13のタッチパネル131に表示する(
図8のB19)としたが、表示しなくても良い。つまり、MFP1は、モバイル入力提供処理(
図11)が終了したら、直ちに新たな待機画面を表示するとしても良い。また、MFP1は、モバイル入力提供処理の終了時に画像形成の実行中であっても、実行中画面54(
図13)を表示する代わりに、例えば、ホーム画面53(
図3)を表示しても良い。
【0155】
また、MFP1は、例えば、モバイル入力機能の利用時にユーザのログインを受け付け可能であっても良い。例えば、ホーム画面62中にログインを受け付けるボタンが有っても良く、MFP1は、そのボタンへの操作を示す操作データを受け付けた場合、ログイン画面データを送信するとしても良い。モバイル入力機能の提供中におけるユーザ認証は、例えば、蓄積印刷での印刷対象のファイルの選択に利用可能である。
【0156】
また、実施の形態に開示されている任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。
【0157】
また、実施の形態に開示されている処理は、単一のCPU、複数のCPU、ASICなどのハードウェア、またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記憶した記憶媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。
【符号の説明】
【0158】
1 MFP
2 モバイル端末
10 コントローラ
11 CPU
12 メモリ
13 操作パネル
131 タッチパネル
141 ネットワークIF