(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163372
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】無線通信装置
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20231102BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20231102BHJP
H04B 1/3827 20150101ALI20231102BHJP
【FI】
H04R3/00 310
H04M1/00 S
H04M1/00 H
H04B1/3827 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074250
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高宮 和貴
【テーマコード(参考)】
5D220
5K011
5K127
【Fターム(参考)】
5D220AA01
5D220AB08
5D220DD03
5D220DD05
5K011EA03
5K011GA06
5K011JA01
5K011KA12
5K127AA36
5K127BA03
5K127BB02
5K127GA12
5K127GB47
5K127GB73
5K127GB76
5K127HA03
5K127HA11
5K127JA14
5K127JA27
5K127MA05
(57)【要約】
【課題】受信音声を聞き取り易くすること。
【解決手段】無線通信装置は、自装置の位置情報を検出する位置情報検出部と、位置情報検出部から位置情報および音声出力方法の情報を含む装置情報を他の無線通信装置に送信する装置情報送信部と、他の無線通信装置から、装置情報を受信する装置情報受信部と、所定範囲内にある無線通信装置を特定し、所定範囲内に対して情報の伝達を行う拡声機能を実行可能な無線通信装置を特定する特定部と、同報通信で受信した音声信号の出力を制御する音声出力制御部と、を備える。音声出力制御部は、自装置の音声出力方法がイヤホンであり、所定範囲内で拡声機能を実行する他の無線通信装置が特定でき、かつ同報通信で音声信号を受信した場合、イヤホンから出力される音量レベルを現状の設定値から低減する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置の位置情報を検出する位置情報検出部と、
前記位置情報検出部が検出した位置情報および音声出力方法の情報を含む装置情報を他の無線通信装置に送信する装置情報送信部と、
前記他の無線通信装置から、前記他の無線通信装置の位置情報および前記装置情報を受信する装置情報受信部と、
受信した前記他の無線通信装置の位置情報と、前記自装置の位置情報とに基づいて、所定範囲内にある無線通信装置を特定し、前記所定範囲内の無線通信装置の前記装置情報から、前記所定範囲内に対して情報の伝達を行う拡声機能を実行可能な無線通信装置を特定する特定部と、
前記特定部が特定した無線通信装置が自装置であるか否か、および前記音声出力方法がイヤホンであるかスピーカであるかに応じて、同報通信で受信した音声信号の出力を制御する音声出力制御部と、
を備え、
前記音声出力制御部は、自装置の前記音声出力方法が前記イヤホンであり、前記所定範囲内で前記拡声機能を実行する前記他の無線通信装置が特定でき、かつ前記同報通信で前記音声信号を受信した場合、前記イヤホンから出力される音量レベルを現状の設定値から低減する、
無線通信装置。
【請求項2】
前記音声出力制御部は、自装置の前記音声出力方法が前記イヤホンであり、前記所定範囲内で前記拡声機能を実行する前記他の無線通信装置を特定できない場合であって、前記同報通信の信号を受信した場合、前記イヤホンが出力する前記音量レベルは現状を維持する、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記音声出力制御部は、前記拡声機能を実行する前記他の無線通信装置との距離に基づいて、前記音量レベルを低減する値を設定する、
請求項1または2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記同報通信で前記音声信号を受信し、自装置は前記拡声機能を実行していない場合であって、
前記音声出力制御部は、前記同報通信で前記音声信号の受信中に、自装置の前記音声出力方法が前記イヤホンから前記スピーカに変更された場合には、前記音声信号の出力をミュートする制御を行う、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記特定部が前記所定範囲内で前記拡声機能を実行する他の前記無線通信装置を特定できない場合であって、
自装置の前記音声出力方法が前記イヤホンであり、前記同報通信で前記音声信号を受信中に、自装置の前記音声出力方法が前記イヤホンから前記スピーカに変更されたことで、前記特定部が自装置の前記拡声機能を実行できると判定した場合には、
前記音声出力制御部は、前記拡声機能を実行して音声を出力する、
請求項1に記載の無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音声信号を発信した音声通話装置と同じ小グループに属する他の音声通話装置に対して音声信号を送信しないようにグループ通話を制御することで、円滑なグループ通信を行うことのできる技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
グループ通信を行う複数の無線通信装置は、受信音声をスピーカまたはイヤホンで放音する。受信音声をスピーカで放音する無線通信装置は、所定範囲内に受信音声をスピーカで放音する他の無線通信装置が存在している場合には、所定範囲内のユーザに受信音声が聞こえるようにスピーカから放音する受信音声の音量を大きくする制御を行うことがある。この場合、所定範囲内に受信音声をイヤホンで放音する無線通信装置が存在する場合には、その無線通信装置のユーザは、イヤホンで受信音声を聴いている際に外部からも同じ受信音声が聞こえるため、受信音声を聞き取りづらくなる可能性がある。
【0005】
本発明は、所定範囲内の無線通信装置の音声出力方法がスピーカまたはイヤホンであるかに応じて適切に放音を行い、受信音声を聞き取り易くすることのできる無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る無線通信装置は、自装置の位置情報を検出する位置情報検出部と、前記位置情報検出部が検出した位置情報および音声出力方法の情報を含む装置情報を他の無線通信装置に送信する装置情報送信部と、前記他の無線通信装置から、前記他の無線通信装置の位置情報および前記装置情報を受信する装置情報受信部と、受信した前記他の無線通信装置の位置情報と、前記自装置の位置情報とに基づいて、所定範囲内にある無線通信装置を特定し、前記所定範囲内の無線通信装置の前記装置情報から、前記所定範囲内に対して情報の伝達を行う拡声機能を実行可能な無線通信装置を特定する特定部と、前記特定部が特定した無線通信装置が自装置であるか否か、および前記音声出力方法がイヤホンであるかスピーカであるかに応じて、同報通信で受信した音声信号の出力を制御する音声出力制御部と、を備え、前記音声出力制御部は、自装置の前記音声出力方法が前記イヤホンであり、前記所定範囲内で前記拡声機能を実行する前記他の無線通信装置が特定でき、かつ前記同報通信で前記音声信号を受信した場合、前記イヤホンから出力される音量レベルを現状の設定値から低減する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、所定範囲内の無線通信装置の音声出力方法がスピーカまたはイヤホンであるかに応じて適切に放音を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る無線通信装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る無線通信システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る音声出力判定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、複数の無線通信装置の音声出力制御を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0010】
[実施形態]
(無線通信システム)
図1を用いて、実施形態に係る無線通信システムの構成例について説明する。
図1は、実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
【0011】
図1に示すように、無線通信システム1は、無線通信装置10-1と、無線通信装置10-2と、無線通信装置10-3と、無線通信装置10-4と、を含む。無線通信装置10-1から無線通信装置10-4は、同一のグループに属しており、グループ通信(同報通信)を実行する。
図1に示す例では、無線通信システム1は、無線通信装置10-1から無線通信装置10-4の4台の無線通信装置を含むが、本発明はこれに限定されない。無線通信装置10-1から無線通信装置10-4を区別する必要のない場合には、無線通信装置10と総称することもある。
【0012】
図1に示す例において、無線通信装置10-1から無線通信装置10-3は、所定の範囲2内に位置しているとする。本実施形態では、無線通信装置10の受信音声の音声出力方法として、スピーカまたはイヤホンを任意に選択することができる。例えば、無線通信装置10-1と、無線通信装置10-2との音声出力部がスピーカであり、無線通信装置10-3の音声出力部がイヤホンであるとする。ここで、所定の範囲2は、無線通信装置10の音声出力部がスピーカである場合に、無線通信装置10が放音した受信音声が他の無線通信装置10のユーザに聞こえる範囲であるとする。範囲2は、例えば、1mであるがこれに限定されない。この場合、無線通信装置10-1から無線通信装置10-4でグループ通話を行う際に、無線通信装置10-3のユーザは、イヤホンでグループ通話の音声を聞いているが、無線通信装置10-1または無線通信装置10-2のスピーカからも同じ音声が聞こえてくる。そのため、無線通信装置10-3のユーザは、グループ通話の音声が聞き取りづらくなる可能性があるため、放音を制御することが望まれる。
【0013】
[無線通信装置]
図2を用いて、実施形態に係る無線通信装置の構成例について説明する。
図2は、実施形態に係る無線通信装置の構成例を示すブロック図である。
【0014】
図2に示すように、無線通信装置10は、第1送信部20と、第2送信部22と、第1受信部24と、第2受信部26と、操作部28と、マイク30と、音声出力部32と、表示部34と、記憶部36と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部38と、制御部40と、を備える。
【0015】
第1送信部20は、音声信号を電波で他の無線通信装置10に送信する。第1送信部20は、マイク30に入力された無線通信装置10の音声に関する音声信号を他の無線通信装置10に送信する。
【0016】
第2送信部22は、無線通信装置10の位置情報および音声出力部32の構成に関する情報を含む装置情報を電波で他の無線通信装置10に送信する。第2送信部22は、装置情報送信部とも呼ばれる。
【0017】
第1受信部24は、他の無線通信装置10から他の無線通信装置10のユーザの音声に関する音声信号を電波で受信する。
【0018】
第2受信部26は、他の無線通信装置10から他の無線通信装置10の位置情報および装置情報を電波で受信する。第2受信部26は、装置情報受信部とも呼ばれる。
【0019】
操作部28は、無線通信装置10に対する各種の入力操作を受け付ける入力装置である。操作部28は、例えば、ボタン、スイッチ、レバー、テンキー、タッチパネル、およびPTT(Push to Talk)ボタンなどを含む。
【0020】
マイク30は、無線通信装置10のユーザの音声を取得する。マイク30は、取得した音声に応じた音声信号を生成する。マイク30は、生成した音声信号を制御部40に出力する。
【0021】
音声出力部32は、各種音声を出力する。音声出力部32は、例えば、通信制御部50により復調された、第1受信部24が受信した音声信号に関する音声を出力する。本実施形態では、ユーザは、音声出力部32として、スピーカまたはイヤホンを選択して使用することができる。例えば、無線通信装置10にイヤホンが接続されていない状態では音声出力部32はスピーカとなり、イヤホンが接続されている状態では音声出力部32はイヤホンとなる。
【0022】
表示部34は、各種映像を表示する。表示部34は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどを含むディスプレイを含む。なお、タッチパネル等を用いて、操作部28と、表示部34とを一体に構成してもよい。
【0023】
記憶部36は、各種の情報を記憶するメモリである。記憶部36は、例えば、制御部40の演算内容、およびプログラムなどの情報を記憶する。記憶部36は、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0024】
GNSS受信部38は、図示しないGNSS衛星から、位置情報を特定するための情報を含むGNSS信号を受信する。GNSS受信部38は、受信したGNSS信号を制御部40に出力する。GNSS受信部38は、例えば、GNSS受信回路またはGNSS受信装置で実現することができる。
【0025】
制御部40は、無線通信装置10の各部の動作を制御する。制御部40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部36などに記憶されたプログラムがRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。制御部40は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。制御部40は、ハードウェアと、ソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0026】
制御部40は、通信制御部50と、位置情報検出部52と、特定部54と、音声出力制御部56と、接続検出部58と、表示制御部60と、を備える。
【0027】
通信制御部50は、第1送信部20と、第2送信部22と、第1受信部24と、第2受信部26とを制御する。通信制御部50は、第1送信部20を制御して、他の無線通信装置10に音声信号を送信させる。通信制御部50は、第2送信部22を制御して、無線通信装置10の位置情報と装置情報とを他の無線通信装置10に送信させる。通信制御部50は、第1受信部24を制御して、他の無線通信装置10からの音声信号を受信させる。通信制御部50は、第1受信部24に受信させた音声信号を復調する。通信制御部50は、第2受信部26を制御して、他の無線通信装置10からの位置情報と装置情報とを受信させる。
【0028】
位置情報検出部52は、無線通信装置10の現在位置に関する位置情報を検出する。位置情報検出部52は、GNSS受信部38が受信したGNSS信号に基づいて、無線通信装置10の現在位置に関する位置情報を算出する。
【0029】
特定部54は、無線通信装置10の現在の位置情報と、第2受信部26が他の無線通信装置10から取得した位置情報とに基づいて、所定の範囲内に位置する他の無線通信装置10を特定する。特定部54は、例えば、所定の範囲内に位置する他の無線通信装置10のうち、音声出力部32の構成がスピーカである他の無線通信装置10を特定する。特定部54は、所定の範囲内に位置する他の無線通信装置10のうち、所定の範囲内に対して、スピーカから出力させる音声の音量レベルを大きくさせて(音量を大きくさせて)情報の伝達を行う拡声機能を実行可能な他の無線通信装置10を特定する。
【0030】
音声出力制御部56は、音声出力部32を制御して、音声を出力させる。音声出力制御部56は、音声出力部32に出力させる音声の音量レベルを制御する。音声出力制御部56の詳細は、後述する。
【0031】
接続検出部58は、無線通信装置10に音声出力部32としてのイヤホンが接続されたことを検出する。接続検出部58は、無線通信装置10から音声出力部32としてのイヤホンが外されたことを検出する。
【0032】
表示制御部60は、表示部34を制御して、各種の映像を表示させる。表示制御部60は、例えば、表示部34を制御して、他の無線通信装置10の音声出力部32の構成に関する情報を表示させる。
【0033】
[無線通信システムの処理]
図3を用いて、実施形態に係る無線通信システムの処理内容について説明する。
図3は、実施形態に係る無線通信システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
【0034】
図3に示す例では、無線通信装置10-1が、無線通信装置10-2と、無線通信装置10-3とに対して音声信号を送信する場合の処理を示す。
図3に示す例では、無線通信装置10-2の音声出力部32はスピーカであり、無線通信装置10-3の音声出力部32はイヤホンであるものとする。無線通信装置10-2と、無線通信装置10-3とは、所定の範囲内に存在するものとする。無線通信装置10-1と、無線通信装置10-2と、無線通信装置10-3とは、現在の位置情報と装置情報とを互いに共有しているものとする。
【0035】
無線通信装置10-1の第1送信部20は、通信制御部50の制御に従って、無線通信装置10-1のユーザの音声信号をグループ通信で無線通信装置10-2に送信する(ステップS10)。無線通信装置10-1の第1送信部20は、通信制御部50の制御に従って、無線通信装置10-1のユーザの音声信号をグループ通信で無線通信装置10-3に送信する(ステップS12)。これにより、無線通信装置10-1と、無線通信装置10-2と、無線通信装置10-3との間でグループ通話が開始される。
図3では、無線通信装置10-1のユーザの音声信号をステップS10とステップS12とで別々に送受信する例を示しているが、無線通信装置10-1が送信した同一の音声信号を無線通信装置10-2と無線通信装置10-3とで同時に受信するのであってもよい。
【0036】
無線通信装置10-2の特定部54は、音声信号の出力判定処理を実行する(ステップS14)。音声信号の出力判定処理については後述する。ステップS14では、所定範囲内に無線通信装置10-3が存在し、無線通信装置10-2の音声出力部32の構成がスピーカ、無線通信装置10-3の音声出力部32の構成がイヤホンであると判定されたとする。この場合、無線通信装置10-2の特定部54は、拡声機能を用いて、音声出力部32であるスピーカからの音声を大きくして出力させると判定する。
【0037】
無線通信装置10-3の特定部54は、音声信号の出力判定処理を実行する(ステップS16)。音声信号の出力判定処理については後述する。ステップS16では、所定範囲内に無線通信装置10-2が存在し、無線通信装置10-2の音声出力部32の構成がスピーカ、無線通信装置10-3の音声出力部32の構成がイヤホンであると判定されたとする。この場合、無線通信装置10-3の特定部54は、音声出力部32であるイヤホンから出力される音声の音量レベルを低減させると判定する。
【0038】
無線通信装置10-2の音声出力制御部56は、拡声機能を用いて音声の音量を上げて、音声出力部32であるスピーカから音声を出力させる(ステップS18)。
【0039】
無線通信装置10-3の音声出力制御部56は、音声出力部32であるイヤホンから出力される音声の音量レベルを低減(音量を小さく)させる(ステップS20)。このとき、無線通信装置10-3の音声出力制御部56は、無線通信装置10-2と、無線通信装置10-3との距離に応じて、低減する音量レベルの程度を変更してもよい。無線通信装置10-1から音声信号を受信中に、無線通信装置10-3の接続検出部58が、無線通信装置10-3からイヤホンが外されたことを検出した場合には、音声の出力を継続すると無線通信装置10-2から出力される音声と干渉してしまう。この場合には、無線通信装置10-3の音声出力制御部56は、音声出力部32からの音声の出力を停止してもよい。また、無線通信装置10-1から音声信号を受信中に、無線通信装置10-3の特定部54が無線通信装置10-3にイヤホンが接続されたことを特定した場合には、無線通信装置10-2から出力される音声と干渉するおそれがなくなる。この場合には、無線通信装置10-3の音声出力制御部56は、音声出力部32であるイヤホンから停止していた音声を出力してもよい。
【0040】
無線通信装置10-1の第1送信部20は、通信制御部50の制御に従って、グループ通話の終了を示す通話終了信号を無線通信装置10-2に送信する(ステップS22)。無線通信装置10-2の第1送信部20は、通信制御部50の制御に従って、通話終了信号を無線通信装置10-3に送信する(ステップS24)。
【0041】
無線通信装置10-2の音声出力制御部56は、無線通信装置10-1から通話終了信号を受信すると、音声出力部32からの音声の出力を停止させる(ステップS26)。無線通信装置10-3の音声出力制御部56は、無線通信装置10-1から通話終了信号を受信すると、音声出力部32からの音声の出力を停止させる(ステップS28)。
【0042】
[音声出力判定処理]
図4を用いて、実施形態に係る音声出力判定処理について説明する。
図4は、実施形態に係る音声出力判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0043】
位置情報検出部52は、GNSS受信部38が受信したGNSS信号に基づいて、自装置の現在の位置情報を検出する(ステップS100)。位置情報検出部52は、例えば、音声信号を受信する以前から所定の周期で自装置の現在の位置情報を検出していてもよい。そして、ステップS102に進む。
【0044】
制御部40は、自装置の装置情報を取得する(ステップS102)。具体的には、通信制御部50は、自装置が属しているグループのIDを取得する。自装置の属しているグループに関する情報は、例えば、記憶部36に記憶されている。接続検出部58は、無線通信装置10にイヤホンが接続されていない場合には、音声出力部32がスピーカであることを示す装置情報を取得する。接続検出部58は、無線通信装置10にイヤホンが接続されている場合には、音声出力部32がイヤホンであることを示す装置情報を取得する。接続検出部58は、例えば、音声信号を受信する以前から所定の周期で音声出力部32がスピーカであるかイヤホンであるかを検出していてもよい。そして、ステップS104に進む。
【0045】
第2送信部22は、通信制御部50の制御に従って、他の無線通信装置10に対して、自装置の位置情報と装置情報とを送信する(ステップS104)。そして、ステップS106に進む。
【0046】
第2受信部26は、通信制御部50の制御に従って、他の無線通信装置10から、他の無線通信装置10の位置情報と装置情報とを受信する(ステップS106)。具体的には、第2受信部26は、通信制御部50の制御に従って、グループ通話に参加している他の無線通信装置10のうち、音声信号を送信している無線通信装置10以外の無線通信装置10の位置情報と装置情報とを受信する。そして、ステップS108に進む。
【0047】
特定部54は、所定の範囲内に他の無線通信装置10が存在するか否かを判定する(ステップS108)。具体的には、特定部54は、ステップS100で検出した自装置の位置情報と、ステップS106で受信した他の無線通信装置10の位置情報とに基づいて、所定の範囲内に他の無線通信装置10が存在しているか否かを判定する。所定の範囲内に他の無線通信装置10が存在すると判定された場合(ステップS108;Yes)、ステップS110に進む。所定の範囲内に他の無線通信装置10が存在すると判定されない場合(ステップS108;No)、ステップS116に進む。
【0048】
ステップS108でYesと判定された場合、特定部54は、音声出力部32がスピーカである他の無線通信装置10があるか否かを判定する(ステップS110)。具体的には、特定部54は、ステップS106で受信した他の無線通信装置10の装置情報に基づいて、他の無線通信装置10の音声出力部32の構成がスピーカであるか否かを判定する。音声出力部32がスピーカである他の無線通信装置10があると判定された場合(ステップS110;Yes)、ステップS112に進む。音声出力部32がスピーカである他の無線通信装置10があると判定されない場合(ステップS110;No)、ステップS116に進む。
【0049】
ステップS110でYesと判定された場合、接続検出部58は、自装置の音声出力部32はイヤホンであるか否かを判定する(ステップS112)。具体的には、接続検出部58は、無線通信装置10にイヤホンが接続されていれば音声出力部32がイヤホンであると判定し、イヤホンが接続されていなければ音声出力部32がスピーカであると判定する。自装置の音声出力部32がイヤホンであると判定された場合(ステップS112;Yes)、ステップS114に進む。自装置の音声出力部32がイヤホンであると判定されない場合(ステップS112;No)、ステップS118に進む。
【0050】
ステップS112でYesと判定された場合、音声出力制御部56は、イヤホンから出力される音声の音量レベルを現在の設定値から低減させる(ステップS114)。音声出力制御部56は、ステップS100で検出した自装置の位置情報と、ステップS106で受信した他の無線通信装置10の位置情報とに基づいて、他の無線通信装置10との距離に応じて、低減する音量レベルを変更してもよい。これにより、近傍にスピーカから拡声して音声を出力している無線通信装置10が存在していても、イヤホンから聞こえる音声と、他の無線通信装置10から聞こえる音声とのバランスがとれ、ユーザは音声がより聞き取りやすくなる。また。音声出力制御部56は、音声信号の受信中に、無線通信装置10からイヤホンが外され、音声出力部32がイヤホンからスピーカに変更された場合には、音声の出力をミュートする制御を行ってもよい。そして、
図4の処理を終了する。
【0051】
ステップS108でNoまたはステップS110でNoと判定された場合、音声出力制御部56は、音声出力部32を制御して、音声を出力させる(ステップS116)。具体的には、音声出力制御部56は、所定範囲内で他の無線通信装置10を特定できない場合には、音声出力部32が出力する音量レベルを現状維持する。これは、音声出力部32がスピーカおよびイヤホンのいずれであっても同様である。そして、
図4の処理を終了させる。
【0052】
なお、ステップS116において、自装置の音声出力部32がイヤホンであり、同報通信で音声信号を受信中に、自装置の音声出力部32がイヤホンからスピーカに変更されたことで、特定部54が自装置の拡声機能を実行できると判定したとする。この場合、音声出力制御部56は、拡声機能を実行して音声を出力させてもよい。
【0053】
音声出力制御部56は、音声出力部32を制御して。音声を出力させる(ステップS118)。そして、
図4の処理を終了させる。ステップS118では、音声出力部32がスピーカである複数の他の無線通信装置10から音声を出力させてもよいし、特定の無線通信装置10のみから音声を出力させてもよい。そして、
図4の処理を終了する。
【0054】
(音声出力制御)
図5を用いて、複数の無線通信新装置の音声出力制御について説明する。
図5は、複数の無線通信装置の音声出力制御を説明するための図である。
【0055】
図5は、無線通信装置10-1と、無線通信装置10-2と、無線通信装置10-3との各々の音声出力部32の組み合わせパターンを示す表である。以下では、無線通信装置10-1から無線通信装置10-3とは同一のグループに属しており、かつ所定の範囲内に位置し、同一の音声信号を受信した場合の処理を説明する。
【0056】
組み合わせパターンAは、無線通信装置10-1から無線通信装置10-3の各々の音声出力部32がイヤホンである場合を示す。この場合、無線通信装置10-1から無線通信装置10-3は、各々のイヤホンから音声信号に関する音声を出力する。例えば、組み合わせパターンAでは、無線通信装置10-1のイヤホンのみから音声を出力した場合、無線通信装置10-2および無線通信装置10-3のユーザは、音声を聞くことができない。このような状況をさけるため、組み合わせパターンAでは、無線通信装置10-1から無線通信装置10-3は、各々のイヤホンから音声信号に関する音声を出力する。
【0057】
組み合わせパターンBは、無線通信装置10-1および無線通信装置10-2の音声出力部32がイヤホンであり、無線通信装置10-3の音声出力部32がスピーカである場合を示す。この場合、無線通信装置10-3から所定の範囲内に無線通信装置10-1および無線通信装置10-2のユーザが存在しているので、無線通信装置10-1および無線通信装置10-2のユーザは、無線通信装置10-3のスピーカから出力される音声を認識することができる。そのため、無線通信装置10-1および無線通信装置10-2は、イヤホンから出力させる音声の音量レベルを低減させ、無線通信装置10-3は、スピーカから音声を出力させる。無線通信装置10-1および無線通信装置10-2は、イヤホンから出力させる音声をミュートしてもよい。従来では、無線通信装置10-1から無線通信装置10-3の各々から音声を出力しており、無線通信装置10-1および無線通信装置10-2のユーザは、無線通信装置10-3のスピーカから出力される音声を間接的に聞いていた。そのため、無線通信装置10-1および無線通信装置10-2のユーザは、自装置の無線通信装置10のイヤホンから出力される音声と干渉して、音声が聞き取りにくくなる課題があった。本実施形態のように、無線通信装置10-1および無線通信装置10-2のイヤホンから出力される音声の音量レベルを低減することで、音声が聞き取りにくくなるという課題を解決することができる。
【0058】
組み合わせパターンCは、無線通信装置10-1の音声出力部32がイヤホンであり、無線通信装置10-2および無線通信装置10-3の構成がスピーカである場合を示す。この場合、無線通信装置10-2または無線通信装置10-3から所定の範囲内に無線通信装置10-1のユーザが存在している。そのため、無線通信装置10-1のユーザは、無線通信装置10-2または無線通信装置10-3のスピーカから出力される音声を認識することができる。したがって、組み合わせパターンBと同様に、無線通信装置10-1は、イヤホンから出力させる音声の音量レベルを低減させることで、無線通信装置10-1のユーザは音声が聞き取りやすくなる。
【0059】
組み合わせパターンDは、無線通信装置10-1から無線通信装置10-3の各々の音声出力部32がスピーカである場合を示す。この場合、無線通信装置10-1から無線通信装置10-3は、各々の音声出力部32から音声を出力してもよいし、特定の無線通信装置10から音声を出力するようにしてもよい。
【0060】
上述のとおり、本実施形態は、グループ通話を行う際に音声をイヤホンで出力する無線通信装置10の所定の範囲内にスピーカで音声を出力する無線通信装置10が位置している場合には、イヤホンから出力される音声の音量レベルを低減する。これにより、本実施形態は、イヤホンで音声を聞いているユーザは、外部からスピーカの音声が聞こえてくることにより、音声が聞き取りづらくなってしまうことを、防止することができる。
【0061】
図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。なお、この分散・統合による構成は動的に行われてもよい。
【0062】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0063】
1 無線通信システム
10 無線通信装置
20 第1送信部
22 第2送信部
24 第1受信部
26 第2受信部
28 操作部
30 マイク
32 音声出力部
34 表示部
36 記憶部
38 GNSS受信部
40 制御部
50 通信制御部
52 位置情報検出部
54 特定部
56 音声出力制御部
58 接続検出部
60 表示制御部