(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163381
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】箱体
(51)【国際特許分類】
B65D 5/38 20060101AFI20231102BHJP
B65D 5/02 20060101ALI20231102BHJP
B65D 5/54 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B65D5/38 A
B65D5/02 K
B65D5/54 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074264
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】521242532
【氏名又は名称】株式会社Knowledge share
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 直輝
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060AB12
3E060AB31
3E060BA03
3E060BC02
3E060CC12
3E060CC18
3E060CE05
3E060CE12
3E060CE14
3E060CE18
3E060CE19
3E060CE30
3E060CG03
3E060DA17
3E060EA06
3E060EA13
(57)【要約】
【課題】箱体の開封作業を快適にすることができる箱体の提供を目的とする。
【解決手段】上記課題を解決する本願発明は、箱体本体1の内部に、物品を載置面21において載置可能な載置台2と、箱体本体1から引き出し可能な引き出し体3とを備え、載置台2は、載置面21から立設する立設部22を有し、引き出し体3は、立設部22と干渉して載置台2を外方向へ引き出す干渉部34を有する箱体である。好ましくは、前記引き出し体3は、前記箱体本体の外側へ突出する舌状部31を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体本体の内部に、物品を載置面において載置可能な載置台と、前記箱体本体から引き出し可能な引き出し体とを備え、
前記載置台は、前記載置面から立設する立設部を有し、
前記引き出し体は、前記立設部と干渉して前記載置台を引き出し可能とする干渉部を有する箱体。
【請求項2】
前記引き出し体は、前記箱体本体の外側へ突出する舌状部を有する請求項1に記載の箱体。
【請求項3】
前記舌状部は、折り曲げ可能な舌折り目線を有する請求項2に記載の箱体。
【請求項4】
前記引き出し体は、前記載置面に立設して載置される側面部と、前記側面部同士をかけ渡す架設部を有し、
前記架設部は、前記箱体本体の一面と近接する請求項1~3の何れかに記載の箱体。
【請求項5】
前記引き出し体の一部を支持する支持部を有する副収納体を備える請求項1~3の何れかに記載の箱体。
【請求項6】
前記引き出し体は、内部の物品を被覆する覆蓋体を覆って設けられており、
前記覆蓋体は無色である請求項1~3の何れかに記載の箱体。
【請求項7】
前記引き出し体は、前記引き出し体に隣接して設けられる隣接収納体と、前記引き出し体の移動時に前記隣接収納体と干渉する隣接干渉部を有する請求項1~3の何れかに記載の箱体。
【請求項8】
前記箱体本体の側面には、前記箱体本体の所定位置での破断を誘導する破断誘導部が設けられ、
前記破断誘導部は所定形状の略全周を取り囲む縁辺誘導線と、前記所定形状を分割するように設ける分割誘導線と、を含む請求項1~3の何れかに記載の箱体。
【請求項9】
前記縁辺誘導線は、一部が前記箱体本体の辺上に設けられる重複部となる請求項8に記載の箱体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に物品を格納し、開封作業を容易にできる箱体に関する。
【背景技術】
【0002】
輸送に用いられる箱体の役割は内部の物品を保護することにあり、内部の物品が箱体から飛び出すことや、箱体内部で動いて壊れることのないように、適切に封止、梱包されている。しかしながら、梱包の方法によっては開封作業が非常に煩雑になることや、箱体と物品の間の隙間がなく内部の物品を取り出しにくくなることがある。
このような問題に鑑み、例えば特許文献1には、箱体の開封作業を容易にするために箱体の側面に破断誘導部を設ける構造が記載されており、また、特許文献2には、箱体内部の物品を動くことがないように固定するとともに、箱体外部に物品を引き出しやすくする突出部分を設ける収納構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実登3154972号公報
【特許文献2】特開2020―74696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の図面に記載のような切離可能域を設けた場合では、箱体と内部の物品との間の隙間が小さい場合には破断して押し込んだ後に把持部をつかむ操作が難しく、また、特許文献2に記載のような箱体によっては、収容物の形状が限定され、特定の形状の収容物でなければその機能を十分に生かしきれないという課題があった。
特に到着後早急に開封しなければならず、様々な形状を持つ食品等の輸送にあたってこれらは大きな課題となる。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、様々な形状の物品に対応して固定可能で、かつ開封作業を快適にすることができる箱体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本願発明は、箱体本体の内部に、物品を載置面において載置可能な載置台と、前記箱体本体から引き出し可能な引き出し体とを備え、前記載置台は、前記載置面から立設する立設部を有し、前記引き出し体は、前記立設部と干渉して前記載置台を外方向へ引き出す干渉部を有する箱体である。
このような構成によって、前記引き出し体を操作することによって前記載置台が引き出され、載置面におかれた物品の取り出しを容易にすることができるようになる。
【0007】
本発明の好ましい形態では、前記引き出し体は、前記箱体本体の外側へ突出する舌状部を有する。
このように前記舌状部を設けることによって、使用者は前記引き出し体の引き出し操作を容易にすることができるようになる。
【0008】
本発明の好ましい形態では、前記舌状部は、折り曲げ可能な舌折り目線を有する。
このような構成によって、前記引き出し体が前記箱体本体の内部に格納された状態にあっては、前記舌状部と前記箱体本体と干渉させずに収納することができ、また、使用者は折り目に沿って指をかけることができるため、前記舌状部の把持が容易になる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記引き出し体は、前記載置面に立設して載置される側面部と、前記側面部同士をかけ渡す上面部を有し、前記上面部は、前記箱体本体の一面と近接する。
このような構成によって、前記引き出し体が引き出される際に、前記上面部と前記箱体の一面が干渉するため、前記引き出し体を倒すことなく載置台を引き出すことができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記引き出し体の一部を支持する支持部を有する副収納体を備える。
このような構成によって、箱体内部に新たな収納スペースを形成し、前記引き出し体の把持を容易に行うことができるようになる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記引き出し体は、内部の物品を被覆する覆蓋体を覆って設けられており、前記覆蓋体は無色である。
このような構成によって、使用者は内部の物品に埃を被せることなく、ショーケースのようにして観賞できる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記箱体本体の内周面に隣接して設けられる隣接収納体を備え、前記引き出し体は、前記引き出し体の移動時に前記隣接収納体と干渉する隣接干渉部を有する。
このような構成によって、物品を収納可能な部分を増やし、使用にあたっての利便性を向上させることができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記箱体本体の側面に、前記箱体本体の所定位置での破断を誘導する前記破断誘導部が設けられ、前記破断誘導部は所定形状の略全周を取り囲む縁辺誘導線と、前記所定形状を分割するように設ける分割誘導線と、を含む。
このような構成によって、前記箱体本体の側面に押し込んで破断する部分と、切離して破断する部分を隣接させて設けることができ、押し込んで破断する部分の押し込み幅が狭くとも、切離して破断する部分を掴みやすくし、開封作業を容易にすることができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記縁辺誘導線は、一部が前記箱体本体の辺上に設けられる重複部となる。
このような構成によって、開封作業を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0015】
上記課題を解決する本発明は、箱体の開封作業を快適にすることができる箱体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1-1】本発明の第一の実施形態に係る箱体の、使用の過程を表す斜視図である。
【
図1-2】本発明の第一の実施形態に係る箱体の、使用の過程を表す斜視図である。
【
図1-3】本発明の第一の実施形態に係る箱体の、使用の過程を表す斜視図である。
【
図2】本発明の第一の実施形態に係る破断誘導部の、拡大説明図である。
【
図3】本発明の第一の実施形態に係る箱体内部に収納されている部品の、斜視図である。
【
図4】本発明の第一の実施形態に係る、引き出し体の展開図である。
【
図5】本発明の第一の実施形態に係る、
図1―2のA―A’断面に係る端面図である。
【
図6】本発明の第二の実施形態に係る、箱体の使用の過程を示す斜視図である。
【
図7】本発明の第三の実施形態に係る、箱体の分解斜視図である。
【
図8】本発明の第四の実施形態に係る、箱体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて、本発明の各実施形態に係る箱体について説明する。説明は、実施形態の構成、実施の方法、他の実施例の順に詳述する。また、下記説明において符号Xは本発明である箱体を表し、「物品」とは、輸送の対象となる有体物であって、特に食品が想定される。
なお、以下に示す各実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の各実施形態に限定するものではなく、各実施形態の部分を組み合わせることも可能である。また、以下において長さ、大きさの記載は例示であり、発明の目的の範囲内で適宜変更可能である。
【0018】
≪第一の実施形態≫
本実施形態に係る箱体Xは、
図1―1~
図1―3に記載のように、内部に物品等を収容可能な箱体本体1と、板体Cを介して物品を載置する載置台2と、載置台2を引き出す引き出し体3と、内部に物品を収納可能な副収納体4と、によって構成されている。
このうち、板体Cと、載置台2と、引き出し体3と、副収納体4と、は、すべて箱体本体1の内部に収容されている。
【0019】
箱体本体1は、
図1―1に示すように、段ボール等の紙を用いた箱であり、箱体側面10と、箱体側面10から伸びる複数のフラップによって構成されている。フラップについて詳述すると、上フラップ11と底フラップ12の境界がテープTによって封止されており、側面フラップ13は上フラップ11及び底フラップ12の内側に折りたたまれた状態で保持されている。
また箱体側面10には、フラップの開封を容易にする破断誘導部14が互いに対向する位置に設けられている。
【0020】
箱体側面10は、幅約50cm、高さ約25cmの長方形を形成する紙面が4面において連なって設けられており、縁辺同士が接合されることによって直方体形状を形成する。
【0021】
上フラップ11、底フラップ12及び側面フラップ13は、箱体側面10から一体に接合される部品であって、箱体側面10の端部から10cm程度伸びる略長方形状の部品であって、それぞれ開封した状態において箱体本体1に対して上部、底部、側面に位置する。
【0022】
破断誘導部14は、
図1―1及び
図2に示すように、予め設けられた切り取り線に沿って破断可能な切り取り線あるいは切り取られることによって生じる部分である。ここにおいて、切り取り線は所定の間隔に繋ぎ目Vが設けられることで繋ぎとめられる。
本実施形態において切り取り線は、所定形状を周縁で切り取る縁辺誘導線141と、前記所定形状を分割するように切り取る分割誘導線142によって構成されており、箱体本体1における対向位置に1か所ずつ設けられている。
【0023】
繋ぎ目Vは、切り取り線の間に設けられる部品同士が繋ぎとめられる部分であって、小繋ぎ目V1と、小繋ぎ目V1よりも幅が広い繋ぎ目である大繋ぎ目V2を含む。各繋ぎ目の長さは、小繋ぎ目V1は約2mmとし、大繋ぎ目V2は約3mmとすることが好ましい。また、繋ぎ目Vの間隔は、10~15mm程度とし、大繋ぎ目V2同士の間隔の方が小繋ぎ目V1同士の間隔よりも広く構成されている。
【0024】
縁辺誘導線141は、丸め加工を施された長方形状の縁辺を略全周に渡って取り囲むように設ける切り取り線であって、所定の間隔で小繋ぎ目V1が設けられている。また、縁辺誘導線141の一部には小繋ぎ目V1を設けない保持折り目143と、箱体本体1の辺と重なる位置に設けられる重複部144を有する。
【0025】
分割誘導線142は、縁辺誘導線141の対向する辺同士をかけ渡すように設けられる切り取り線であって、所定の間隔で大繋ぎ目V2が設けられている。
本実施形態において、分割誘導線142は、保持折り目143に近接する位置において、重複部144の方向へ膨らむ曲線となるように設けられている。
ここにおいて、大繋ぎ目V2は、小繋ぎ目V1よりも繋ぎ目同士の間隔が広く破断しやすくなっているため、分割誘導線142は縁辺誘導線141に先駆けて破断される。
【0026】
保持折り目143は、重複部144の対向位置に重複部144と平行にして、高さ方向に向かって設けられる部分であって、
図2に破線で示すようにいかなる切り取り線も設けられない部分である。本実施形態においては両端に丸め加工が施された一辺に形成されているが、形成される位置はこれに限られない。
【0027】
重複部144は、繋ぎ目Vが設けられる辺であって、その全部が箱体側面10と側面フラップ13の共有辺と重複して設けられている。重複部144に繋ぎ目は大繋ぎ目V2によって構成されており、これによって、切離誘導体14bが切離する際にかかる力の向きを調整して取り外しやすくするとともに、切離した個所を美しく保つことができる。
【0028】
破断誘導部14は、上述した複数の切り取りの誘導線及び折り目線によって、箱体本体1の内部方向に押し込み可能な押込誘導体14aと、箱体側面10から取り外し可能な切離誘導体14bとに分かれる。
【0029】
押込誘導体14aは、縁辺誘導線141、分割誘導線142及び保持折り目143に囲まれる紙辺である。指を挿通可能なように、分割誘導線142から保持折り目143までの最大距離は、約15mm~25mmとすることが好ましい。
また、
図1―1(b)に示すように、箱体本体1の内部に押し込まれた際に、保持折り目143を一部に有することによって、箱体本体1から分離せずに、押し込まれた状態を保持できる。これにより、新たなごみの発生を防ぐ。
【0030】
切離誘導体14bは、縁辺誘導線141、分割誘導線142及び重複部144に囲まれる紙辺であって、
図1-1に示すように、封止時にはテープTの端部に位置するように貼りつけられており、また、
図1-2(a)に示すように、取り外された状態においては、テープTに貼りついた状態で切離する。
また、切離誘導体14bの高さは、少なくともテープTの幅よりも大きくなるように構成されている。
【0031】
載置台2は、使用状態においては、箱体本体1の底面(地面と接触する面)の上に設置されており、上面が開放された箱状部材である。載置台2は、物品を載置する載置面21と、載置面21の縁辺部分と接合し、高さ方向に立設する立設部22とによって構成されている。
なお、載置台2の厚みは約5mmであり、他の部材と比べて丈夫に構成されていることが好ましい。
【0032】
載置面21は、略長方形状の部材であって、その上面に物品及び引き出し体を載置する。載置面21の幅は箱体本体1の幅と略同一か若干短く構成されており、これにより箱体本体1内部における側面方向の載置台2の移動を抑制する。なお、物品は
図3に示すように、板体Cを介して載置されていても良い。
【0033】
立設部22は、載置面21の縁辺を全周に渡って取り囲むように立設する。立設部22が立ち上がる高さは箱体本体1の高さの1/5~1/4程度に形成され、約50mm(45mm~55mm)であることが好ましい。
【0034】
板体Cは剛性を有する材で形成されており、側面が立設部22によって略当接する状態で載置台2に篏合する。これによって、載置台2の変形を抑止できるため、箱体Xが丈夫になる。また、物品が食品であった場合には、食品が直接に載置面21に載置されることがなくなるため衛生的にも好ましい。
板体Cの高さは、立設部22の高さの1/10~1/3程度とすることが好ましく、具体的には8mm~15mmとすると良い。なお、本実施形態において板体Cはヒノキや桐などの木材によって形成されている。
【0035】
引き出し体3は、箱体本体1の内部にある部材の一つであって、
図3のように載置面21の上に載置されると同時に立設部22の内周面に篏合されることで、引き出し体3の引き出し動作に従って載置台2を引き出すことができる。なお、
図4は引き出し体3の展開図であり、太線は境界部分、鎖線はその部分で山折りになる旨を表す。そして、図示されるのりしろGで適宜糊付けすることで
図2に示すように立体化できる。
本実施形態における引き出し体3は、箱体外部方向に伸び使用者が把持可能な舌状部31と、対向して設けられ載置面に対して起立する起立部32と、起立部32同士を上面でかけ渡す架設部33と、起立部32の下方において立設部22と干渉する干渉部34と、起立部32と架設部33との位置関係を固定する背面部35と、架設部33に設けられた持ち手として作用する持ち上げ部36と、を一体の部材として構成している。
また、引き出し体3が段ボールによって設けられている場合は、その中芯は起立部32が立設する方向と平行に設けられていることが好ましい。
【0036】
舌状部31は、架設部33から延設して設けられる舌状の部材であって、ここにおいて使用者が把持して引き出すことができるように構成されている。舌状部31には、所定の位置に折り曲げ可能な舌折り目線311が設けられており、舌折り目線311よりも端部側を舌先部312とし、上面部側を舌根部313とする。
箱体本体1の内部においては、舌折り目線311で下方に向けて折られることによって全体を収納している。
【0037】
舌折り目線311が折り曲げられることによって、舌状部31の全体が箱体本体1の内部に収納される。また、舌折り目線311から架設部33の対向する辺までの距離は、載置台2と副収納体4の合計長さ又は箱体本体1上面の長さと略同一となるように構成されている。
【0038】
舌先部312は、箱体本体1の下方に向けて折られる部材であって、長方形部分の先端に半円の部分を取り付けたような形状となっている。指との摩擦が大きくなるように表面に加工が施されていてもよい。
【0039】
舌根部313は、後述する副収納体4の支持部42に載置される長方形の紙部分である。使用者が引き出しの際に舌状部31を上下に運動させることを考慮して、厚み方向に可撓性を持たせるような加工がされていてもよい。
【0040】
起立部32は、箱体本体1の内部において立設する部分であって、
図5に示すように、箱体本体1の高さよりも高さが低くなるように構成されている。詳述すると、起立部32の高さは、少なくとも箱体側面10の高さと立設部22の高さの差よりも高くなるように構成される。このようにすることで、干渉部34を干渉させるよう有効に作用させることができる。
また、好ましくは起立部32の高さは載置面21あるいは板体Cの上面から箱体本体1の対向面までの高さと略同一となるように設けられており、引き出し体3を引き出した際に回転しても架設部33が箱体本体1の上面と干渉することで倒れないようにする。
【0041】
架設部33は、対向して立設される起立部32同士をかけ渡すように設けられる部分であって、その幅は載置台2の内幅と略同一になるように設けられている。
また、引き出し体3の回転を防ぐために、板体Cの下面から架設部33までの距離は箱体側面10内面の高さの89%~99%とすることが好ましく、より好ましくは95~99%とするとよい。換言すると、箱体本体1の上面から架設部33までの距離が、1mm~20mmとなるように近接あるは略当接させることが好ましい。
このようにすることによって、箱体X内における載置台2ないし板体Cの移動を抑制して、内部の物品を保持することができる。
【0042】
干渉部34は、起立部32の下端の部分であって、その一部が引き出し体3の内側方向に折りたたまれ、載置面21あるいは板体Cの上に載置される。また、干渉部34の端部は、
図1―3(b)や
図3に示すように、引き出し方向にある立設部22と干渉する。これによって、引き出し体3の移動動作に伴って載置台2が協働し、載置面21に載置された物品を引き出すことが可能となる。また、干渉部34は
図5に示すように板体Cを押し付けるような干渉作用を同時に行うことで、載置台2および板体Cの上下運動を抑制する。なお、干渉部34は折りたたみ部分でなくともよく、立設部22と干渉すればどのような形状であってもよい。
【0043】
背面部35は、対向する起立部32及び架設部33と接続する面であって、舌状部31と対抗する位置に設けられる。起立部32と架設部33の角度を垂直に保持する。また、引き出し体3が載置台2に篏合された状態において載置面21に置かれた物品を隠すことができる。
【0044】
持ち上げ部36は、架設部33の略中心に設けられる孔部分であって、対向する2つの半円形の孔によって構成されており、指を挿入可能とするように、半円形の半径は20mm~30mmであり、二つの孔の距離は10~30mm程度であることが想定される。
【0045】
副収納体4は、上面が開放された略直方体の紙製の箱であって、箱体本体1の内部に収納される部材である。副収納体4は、内部に物品を収納することができる副収納体本体41と、副収納体本体41の上部において舌状部31を乗せ置くことができる支持部42とを有する。
また、側面に孔43が設けられており、ここにおいて中身の把握や副収納体4の持ち上げを容易に行うことができる。
なお、副収納体4の中には、物品の説明を行う書類が格納されることが想定される。
【0046】
副収納体本体41は、幅を箱体本体1の幅よりも1~2cm程度短くなるようにし、高さを起立部32と略同一となるようにし、さらに奥行きが載置台2よりも短くなる(5~15cm程度)ように設ける上面が開口する箱体である。さらに開口する面と略同一形状の面が挿入する入口を向くように箱体本体1に挿入される。
【0047】
支持部42は、副収納体本体41の幅方向の辺を所定の大きさに切断して舌根部を載置可能とした部分である。支持部42には、底面と平行な直線部分と、直線部分から斜めに上端の辺に向かう傾斜部分を含み、当該直線部分は舌状部31の幅よりも大きくなるように構成される。
このようにすることによって、舌状部31を載置することが可能になるとともに、傾斜部分から指を入れ込むことで、支持部42から舌状部31を把持しやすくできる。
【0048】
以下、
図1―1~
図1―3を用いて、本発明の実施の方法について詳述する。本発明は、
図1―1(a)に示す状態の箱体Xを開封し、内部の物品を引き出す目的を持つ使用者によって実施される。また、以下に示す実施の方法は一例であり、実施の方法はこれに限られず、順番は前後してもよい。
【0049】
まず、使用者は、押込誘導体14aを押し込むことで、分割誘導線142を破断させ、
図1―1(b)に示す状態にする。ここにおいて、押込誘導体14aは保持折り目143によって箱体本体1に保持される。
【0050】
次に使用者は、押込誘導体14aを押し込んでできた箱体本体1の孔部分に指を挿入し、切離誘導体14bに掛け、
図1―2(a)に示すような状態にする。この際、重複部144によって、使用者は大きな力をかけることなく切離誘導体14bを分断することができる。
【0051】
次に使用者は、
図1-2(b)に示すようにテープTを取り外し、
図1-3(a)に示すように各フラップを折り曲げて開口を形成する。そして、支持部42から指を挿入し、舌状部31を把持して引っ張り出すことで
図1-3(b)に示す載置台2、引き出し体3及び副収納体4を箱体本体1から取り出す。
【0052】
最後に、使用者は持ち上げ部36を持ち、引き出し体3を上方に持ち上げることによって載置台2から取り外し、載置面21又は板体Cに載置された物品を表出させる。なお、使用者は副収納体4に入った物品についても別途確認する。
【0053】
このようにすることによって、使用者は容易に内部の物品を取り出すことができるようになる。また、使用者は最後まで内部の物品が見えないため、開封作業を快適に楽しむことができるようになる。
【0054】
また、本発明の構成にあっては、
図2、
図5に示すように箱体本体1の内周と起立部32や副収納体4が密着するように隣接する構造であるので、箱体外部から内部へ押し込み可能な幅が小さくなる。一方、本実施形態のように破断誘導部14を設ける構成であれば、押込誘導体14aの押し込み幅が狭くとも切離誘導体14bの断面が分割誘導線142に沿って露出するため、この部分を把持することで開封作業が容易になる。
【0055】
なお、内部の物品としては、特に冷凍食品が想定される。これは板体Cと共に真空包装されていることが好ましく、引き出し体3によって箱体本体1の底面に保持されることにより、輸送に伴う食品の損傷を防ぐことができる。
【0056】
《第二の実施形態》
以下に、
図6を用いて本発明の第二の実施形態に係る発明について詳述する。第一の実施形態と同様の構成については同じ符号を用いて説明を省略する。なお、
図6(a)は箱体本体1の内部に載置台2と引き出し体3を収納した斜視図を表し、
図6(b)は、載置台2及び引き出し体3が箱体本体1から引き出された状態を表す斜視図である。
【0057】
箱体Xは、
図6(a)に記載されているように、箱体本体1と、載置台2と、引き出し体3と、板体Cによって構成されており、箱体本体1の長さは30cm~50cm、幅は25cm~35cm、高さは10cm~20cm程度の略直方体形状となるように形成されている。
【0058】
箱体本体1は、開閉する部分として複数のフラップ部分が設けられており、箱体本体1の上面から延びる上フラップ11と、箱体本体1の底面から延びる底フラップ12と、箱体本体1の側面から延び、上フラップ11及び底フラップ12の下に折られた状態で対向して設けられる側面フラップ13と、によって構成されている。
【0059】
載置台2は、物品を載置する載置面21と、載置面21の縁辺から立設して設けられる立設部22が設けられている。
また、引き出し体3は、引き出し体3を引き出す際に使用者が把持する舌状部31と、立設部22のうち3つの辺に沿って立ち上がるように設けられる起立部32と、起立部32同士を架設する架設部33と、によって設けられており、起立部32の高さと板体Cの厚みの和は箱体本体1の高さと略同一になるように設けられ、立設部22から内側に折りこまれた部分は干渉部34として機能する。
【0060】
舌状部31は、架設部33のうち上フラップ11と近接する一辺の略中央部から、架設部33と突出するように一体に設けられており、好ましくは舌状部31の基部から端部までの高さは起立部32の高さと略同じ長さか少し短くなるように構成されている。
また、舌状部31の最大幅は、上フラップ11の幅方向の長さと2枚の側面フラップ13の幅方向の長さの差よりも短くなるように構成されており、舌状部31は上フラップ11と底フラップ12を開いた状態で対向する側面フラップ13の間から全部が視認できるように設けられている。
また、本実施形態の舌状部31は外側方向に付勢して設けられていることによって、上フラップ11及び底フラップ12を開いた際に、
図5(a)に示すように、外側方向に飛び出すようにしてある。
【0061】
以下に、本実施形態に係る発明の使用方法について詳述する。本発明は、封止された箱体Xから載置台2(あるいは板体C)に乗せ置かれた物品を取り出す目的を持つ使用者によって実施される。
【0062】
まず、使用者は、破断誘導部14を利用して、箱体本体1の封止を解き、上フラップ11及び底フラップ12を操作して開状態とする。これによって箱体本体1の内部にある舌状部31が外側に飛び出す。
【0063】
次に、使用者は舌状部31を把持して、引き出し体3を外側に向けて引き出す。この際、起立部32、立設部22又は架設部33のうち舌状部31が設けられていない部分のうち、少なくともいずれかが側面フラップ13と当接しながら外側に移動することで、使用者は側面フラップ13に触れることなく開状態とし、載置台2を引き出すことができるため、取り扱いが容易になる。
【0064】
最後に、使用者は載置台2から引き出し体3を取り外すことによって、載置面21に置かれた物品を取り出す。
【0065】
《第三の実施形態》
以下、
図9を用いて本実施形態の第三の実施形態に係る箱体の説明を行う。本実施形態に係る箱体は、第一の実施形態の構成において、載置台2と引き出し体3の間に覆蓋体Dを設けることを特徴としている。
【0066】
覆蓋体Dは、
図9に示す引き出し体の内周面の形状と略同一のプラスチック製の箱材であって、5枚の一体成型された長方形の透明板が組み合わさることによって1面を開放面とする略直方体形状の箱体となるように設けられている。
覆蓋体Dの長さ及び幅は、載置面21の長さ及び幅と略同一か少し短く、覆蓋体Dの高さは、引き出し体3の高さよりも略同一か少し低くなるように設けられている。
【0067】
また、起立部32は、載置面21の縁辺のうち少なくとも対向する2辺から立設部22に沿って伸びる部分であって、干渉部34として作用する部分は、起立部32のうち立設部22と当接する部分、あるいは底フラップ12と近接する覆蓋体Dを構成する面のうち立設部22と当接する面の一部分となる。
【0068】
以下に、本実施形態に係る発明の使用方法について詳述する。本発明は、封止された箱体Xから載置台2に乗せ置かれた物品を取り出す目的を持つ使用者によって実施される。
【0069】
使用者は、箱体本体1のフラップを開口状態とし、舌状部31を把持することによって載置台2を箱体本体1から引き出す。この際、背面部35が覆蓋体Dと当接する部位を押圧することによって、覆蓋体Dの前面の一部または起立部32の一部が立設部22の前面を押圧し、載置台2を引き出す作用をする。
【0070】
次に、使用者は持ち上げ部36を持ち、載置台2から引き出し体3を取り外す。この際、引き出し体3は内側に折られる部分が設けられていないため、スムーズに引き出し体3を取り外すことができる。
【0071】
この操作により、透明な覆蓋体Dに覆われ、載置面21上に置かれた物品が視認可能となり、使用者は物品を観賞することができるようになる。特に、物品が冷凍食品だった場合には、自然解凍を待つ間、埃を被せることなく冷凍食品を観賞することができる。
【0072】
《第四の実施形態》
以下に、
図7を用いて本発明の第四の実施形態に係る箱体Xについて詳述する。ここにおいて第一の実施形態と同様の構成については同じ符号を用いて説明を省略する。なお、
図8(a)は箱体本体1の内部の部品が引き出されたときの斜視図を表し、
図8(b)は
図8(a)の物品を各々取り外した状態を表す斜視図である。
【0073】
箱体Xにおける箱体本体1内部の部品は、載置台2と、引き出し体3と、引き出し体3の上部に載置されている隣接収納体5と、及び板体C(図示せず)によって構成されている。
【0074】
本実施形態における引き出し体3は、載置台2の内周面に沿って設けてある長方形枠状部材であり、載置面21あるいは板体Cの上に、立設部22に沿って起立する起立部32を有する。また、
図7(b)に示すように、引き出し体3の一部には、起立部32の外部に向けて突出し、把持可能に設けられる舌状部31と、引き出し体3の動作に従って他部材を干渉させて引き出す干渉部34が設けられる。
起立部32が起立する高さは、載置面21に載置される板体Cから立設部22の上端までの距離よりも短くすることで、隣接収納体5が載置台2の上面に乗せ置かれるようにしてあるが、好ましくは該距離と略同一とすることによって板体Cの上下運動を防ぐようにするのが好ましい。
【0075】
舌状部31は、起立部32の内周面に貼り付けて設けられる板状の部材であって、その高さは立設部22よりも長くように設けられている。また舌状部31には、引き出し体3が適切に載置台2に取り付けられた際に、立設部22の上縁と対応する位置で折り曲げ可能とする舌折り目線311が設けられている。
【0076】
また、起立部32を構成する枠片のうち、舌状部31に最も近い面は立設部22と干渉する干渉部34となり、引き出し体3の移動に伴い載置台2を押圧して移動させる。
また、本実施形態においては、起立部32から外部上方に向けて突出し、収納状態において隣接収納体5と干渉する隣接干渉部341と、を有する。
【0077】
隣接干渉部341は、舌状部31と対向する位置に、起立部32の内周面に貼り付けて設けられる板状の部材であって、その高さは起立部32よりも長くなるように設けられている。隣接干渉部341は、隣接収納体5を押圧しても変形しない程度の剛性を有する素材・厚みで設けることが好ましい。
【0078】
隣接収納体5は、底面と側面を有する箱状部材であって、内部に物品を収納できるように設けられている。その底面は載置台2の外周端部と対応するように設けられており、載置台2と隣接収納体5の高さの和は箱体本体1の内周の高さと略一致するように設けられており、これによって箱体内部における物品の移動を抑制している。また、これに対応して立設部22は、隣接収納体5が載置されても変形しない程度の剛性を有するように設けられている。
【0079】
以下に、本実施形態に係る発明の使用方法について詳述する。本発明は、封止された箱体Xから載置面21(あるいは板体C)に乗せ置かれた物品及び隣接収納体5に入った物品を取り出す目的を持つ使用者によって実施される。
【0080】
まず、使用者は、封止が解かれた箱体本体1のフラップ部分を開口状態とし、舌状部31を把持することによって載置台2及び隣接収納体5を箱体本体1から引き出す。この際、載置台2は干渉部34と干渉することによって、また、隣接収納体5は隣接干渉部341と干渉することによって引き出し体3と共に箱体本体1の外部に簡便に引き出すことができるようになる。
【0081】
次に、使用者は、隣接収納体5を載置台2から取り外す。これにより、隣接収納体5の内部に収納されていた物品を取り出しやすくするとともに、載置台2の載置面21に載置されている物品を露出させる。これによって使用者は簡便に開封作業を楽しむことができるようになる。
【符号の説明】
【0082】
1 箱体本体
10 箱体側面
11 上フラップ
12 底フラップ
13 側面フラップ
14 破断誘導部
141 縁辺誘導線
142 分割誘導線
143 保持折り目
144 重複部
14a 押込誘導体
14b 切離誘導体
2 載置台
21 載置面
22 立設部
3 引き出し体
31 舌状部
311 舌折り目線
312 舌先部
313 舌根部
32 起立部
33 架設部
34 干渉部
341 隣接干渉部
35 背面部
36 持ち上げ部
4 副収納体
41 副収納体本体
42 支持部
5 隣接収納体
T テープ
X 箱体
V 繋ぎ目
V1 小繋ぎ目
V2 大繋ぎ目
G のりしろ
C 板体
D 覆蓋体