IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マツダ株式会社の特許一覧

特開2023-163389ブローバイガス還流装置およびヘッドカバー
<>
  • 特開-ブローバイガス還流装置およびヘッドカバー 図1
  • 特開-ブローバイガス還流装置およびヘッドカバー 図2
  • 特開-ブローバイガス還流装置およびヘッドカバー 図3
  • 特開-ブローバイガス還流装置およびヘッドカバー 図4
  • 特開-ブローバイガス還流装置およびヘッドカバー 図5
  • 特開-ブローバイガス還流装置およびヘッドカバー 図6
  • 特開-ブローバイガス還流装置およびヘッドカバー 図7
  • 特開-ブローバイガス還流装置およびヘッドカバー 図8
  • 特開-ブローバイガス還流装置およびヘッドカバー 図9
  • 特開-ブローバイガス還流装置およびヘッドカバー 図10
  • 特開-ブローバイガス還流装置およびヘッドカバー 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163389
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】ブローバイガス還流装置およびヘッドカバー
(51)【国際特許分類】
   F01M 13/00 20060101AFI20231102BHJP
   F02F 7/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
F01M13/00 C
F01M13/00 H
F01M13/00 E
F01M13/00 L
F02F7/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074274
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】柏原 尚志
(72)【発明者】
【氏名】塚越 友貴
【テーマコード(参考)】
3G015
3G024
【Fターム(参考)】
3G015AA05
3G015AA07
3G015AA13
3G015BD02
3G015BD10
3G015BD16
3G015BD23
3G015BD24
3G015BD28
3G015BE02
3G015BE03
3G015BE11
3G015BE15
3G015CA05
3G015CA15
3G015CA16
3G015DA02
3G015DA05
3G015EA37
3G015FA03
3G015FB06
3G024AA72
3G024DA10
3G024DA18
(57)【要約】
【課題】分岐した還流通路におけるブローバイガス中水蒸気の凝縮の抑制を達成することが可能なブローバイガス還流装置の提供を目的とする。
【解決手段】ブローバイガス還流装置20は、複数の気筒を有するエンジン1で発生するブローバイガスを当該エンジン1の吸気系へ還流するブローバイガス還流装置20において、エンジン1のヘッドカバー3内に設けられ、ブローバイガスを各気筒の吸気経路へ分配する分配部13を備える。分配部13は、ブローバイガスが導入される導入部13aと、導入部13aに連通するとともに当該導入部13aから分岐されて各吸気経路へ連通する複数の分岐路13cとを備えている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の気筒を有するエンジンで発生するブローバイガスを当該エンジンの吸気系へ還流するブローバイガス還流装置において、
前記エンジンのヘッドカバー内に設けられ、前記ブローバイガスを各気筒の吸気経路へ分配する分配部を備え、
前記分配部は、前記ブローバイガスが導入される導入部と、前記導入部に連通するとともに当該導入部から分岐されて各吸気経路へ連通する複数の分岐路とを備えている、
ことを特徴とするブローバイガス還流装置。
【請求項2】
請求項1に記載のブローバイガス還流装置において、
前記エンジンのシリンダヘッドの内部において前記気筒の前記吸気経路を構成する吸気ポートと前記分岐路の出口とを連通する連通路をさらに備えている、
ことを特徴とするブローバイガス還流装置。
【請求項3】
請求項1に記載のブローバイガス還流装置において、
前記複数の分岐路は、前記導入部から複数の段階で分岐するトーナメント構造を有する 、ことを特徴とするブローバイガス還流装置。
【請求項4】
請求項3に記載のブローバイガス還流装置において、
前記トーナメント構造の前記複数の分岐路は、前記複数の気筒の配列方向における中間位置を中心として配置されている、
ことを特徴とするブローバイガス還流装置。
【請求項5】
請求項3または4記載のブローバイガス還流装置において、
前記分配部は、前記トーナメント構造において2つの前記分岐路が分岐する分岐部分において、前記2つの分岐路のうちのいずれか一方の流路を狭くする狭小部を備えている、
ことを特徴とするブローバイガス還流装置。
【請求項6】
請求項5記載のブローバイガス還流装置において、
前記狭小部は、前記分岐路の内部を部分的に仕切る隔壁によって構成されている、
ことを特徴とするブローバイガス還流装置。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか1項に記載のブローバイガス還流装置において、
前記分配部に隣接して配置され、前記エンジンの動弁系に供給される潤滑油が流れる潤滑油路をさらに備えている、
ことを特徴とするブローバイガス還流装置。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか1項に記載のブローバイガス還流装置において、
前記ヘッドカバー内に設けられ、前記導入部に連通し、前記ブローバイガスに含まれるオイルを分離する分離部をさらに備えている、
ことを特徴とするブローバイガス還流装置。
【請求項9】
請求項8に記載のブローバイガス還流装置において、
前記分離部は、前記ヘッドカバー内にて、前記複数の気筒の配列方向に延びるとともに前記複数の気筒の排気経路側に配置され、
前記分配部は、前記ヘッドカバー内にて、前記配列方向に延びるとともに前記複数の吸気経路側に配置され、
前記分離部の出口および前記分配部の前記導入部は、前記ヘッドカバー内の前記配列方向において同じ側の端部に配置され、
前記配列方向と直交する方向に延び、前記分離部の出口と前記分配部の前記導入部とを連通する還流管をさらに備えている、
ことを特徴とするブローバイガス還流装置。
【請求項10】
請求項9に記載のブローバイガス還流装置において、
前記還流管は、前記ブローバイガスの前記分離部から前記分配部への流れを許容し、かつ、前記分配部から前記分離部への流れを規制する規制部を備える、
ことを特徴とするブローバイガス還流装置。
【請求項11】
請求項1に記載の前記分配部を備えたことを特徴とするヘッドカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブローバイガス還流装置およびヘッドカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの燃焼室からクランクケース内へ漏れるブローバイガスにより、大気が汚染されたり潤滑オイルが劣化したりすることを防止するために、ブローバイガスをクランクケースからインテークマニホールドを介してエンジンの吸気ポートへ還流する構造を有するブローバイガス還流装置が知られている。
【0003】
このような還流装置では、ブローバイガスをインテークマニホールドへ還流するため、寒冷地では、エンジン始動時にまだ冷えた状態のインテークマニホールド内へブローバイガスが導入されるので、ブローバイガスに含まれる水蒸気が急速に冷やされて凝縮して氷塊が生じるおそれがある。この氷塊がエンジン燃焼室に吸い込まれると失火の原因になる。
【0004】
そこで、ブローバイガス中の水蒸気の凝縮を抑制するために、冷めにくく早期に暖気しやすい燃焼室近くの各気筒にブローバイガスを還流させて水蒸気の凝縮を抑制することが要求される。また、その一方で、ブローバイガスを各気筒間に均一に還流して気筒間の吸気のバラつきを抑制することも要求される。
【0005】
これらの要求に基づいて創作された技術として、本件出願人が以前出願した特許文献1には、ブローバイガスの通路として、クランクケースからヘッドカバーへブローバイガスを還流する還流管と、ヘッドカバーからインテークマニホールドとシリンダヘッドの合わせ面に連通する導入部と、当該合わせ面に形成され、導入部の下流端に連通してインテークマニホールドの複数の吸気分岐管の間に延びる第1ガス通路と、当該第1ガス通路から分岐して各吸気分岐管に連通する複数の第2ガス通路とを備えた構造が開示されている。この構造では、インテークマニホールドとシリンダヘッドの合わせ面に形成された分岐した還流通路(すなわち、複数の第2ガス通路)を介して、ブローバイガスをシリンダヘッドの各吸気ポートへ還流することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第2592095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の構造では、インテークマニホールドとシリンダヘッドの合わせ面で還流通路を分岐することにより、ブローバイガス中の水蒸気の凝縮の抑制を図っているが、ブローバイガスが上記の合わせ面に形成された分岐した還流通路を通る間にインテークマニホールドへ熱が逃げることを避けることができず、水蒸気の凝縮を抑制する上で、いまだ改善の余地がある。
【0008】
本発明は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、分岐した還流通路におけるブローバイガス中水蒸気の凝縮の抑制を達成することが可能なブローバイガス還流装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために本発明のブローバイガス還流装置は、複数の気筒を有するエンジンで発生するブローバイガスを当該エンジンの吸気系へ還流するブローバイガス還流装置において、前記エンジンのヘッドカバー内に設けられ、前記ブローバイガスを各気筒の吸気経路へ分配する分配部を備え、前記分配部は、前記ブローバイガスが導入される導入部と、前記導入部に連通するとともに当該導入部から分岐されて各吸気経路へ連通する複数の分岐路とを備えていることを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、複数の気筒を有するエンジンのヘッドカバー内には、ブローバイガスが導入される導入部と、導入部に連通するとともに当該導入部から分岐された複数の分岐路とを備えた分配部が備わっている。したがって、寒冷地においても、エンジン始動時にはヘッドカバーはすぐに暖まり、ヘッドカバー内の分配部の導入部および複数の分岐路内を通るブローバイガスも迅速に暖められ、各気筒の吸気経路へ分配して還流することが可能である。これにより、分岐した還流通路においてブローバイガスに含まれる水蒸気が凝縮することを抑制することが可能である。
【0011】
上記のブローバイガス還流装置において、前記エンジンのシリンダヘッドの内部において前記気筒の前記吸気経路を構成する吸気ポートと前記分岐路の出口とを連通する連通路をさらに備えているのが好ましい。
【0012】
かかる構成によれば、温度上昇が高いシリンダヘッドの内部の連通路を通して、ヘッドカバー内で分配部によって分配されたブローバイガスを吸気ポートへ直接導入することが可能になるので、ブローバイガス中の水蒸気の凝縮および凍結を確実に防止しながら気筒に供給することが可能である。
【0013】
上記のブローバイガス還流装置において、前記複数の分岐路は、前記導入部から複数の段階で分岐するトーナメント構造を有するのが好ましい。
【0014】
かかる構成では、ヘッドカバー内の限られたスペースで1つの導入部から多数の分岐路へ分岐させることが可能になる。また、この構造では、分岐路の幅を変更しなくても多数の分岐路を設けることが可能になるので、ブローバイガスを効率よく分配することが可能になる。
【0015】
上記のブローバイガス還流装置において、前記トーナメント構造の前記複数の分岐路は、前記複数の気筒の配列方向における中間位置を中心として配置されているのが好ましい。
【0016】
かかる構成では、簡単な構成で複数の気筒の吸気経路へブローバイガスを均等に送ることが可能になる。また、このようなトーナメント構造にすることにより、分配部の設計が容易になる。
【0017】
上記のブローバイガス還流装置において、前記分配部は、前記トーナメント構造において2つの前記分岐路が分岐する分岐部分において、前記2つの分岐路のうちのいずれか一方の流路を狭くする狭小部を備えているのが好ましい。
【0018】
かかる構成では、分配部におけるトーナメント構造の2つの分岐路が分岐する分岐部分において、2つの分岐路のうちのいずれか一方の流路を狭小部によって狭くして、ブローバイガスの流量を減らすことが可能になる。このため、トーナメント構造の複数段階で分岐する分岐路のそれぞれにおけるブローバイガスの流量を個別に調整することが可能になる。その結果、複数の気筒の吸気経路へブローバイガスを高い均一性を維持しながら均等に送ることが可能になり、気筒間の空燃比のばらつきを抑制することが可能になる。
【0019】
上記のブローバイガス還流装置において、前記狭小部は、前記分岐路の内部を部分的に仕切る隔壁によって構成されているのが好ましい。
【0020】
かかる構成では、狭小部として、分岐路の内部を部分的に仕切る隔壁を設けることにより、各分岐路を流れるブローバイガスの流量をより正確に設定することが可能になる。
【0021】
上記のブローバイガス還流装置において、前記分配部に隣接して配置され、前記エンジンの動弁系に供給される潤滑油が流れる潤滑油路をさらに備えているのが好ましい。
【0022】
かかる構成によれば、エンジン始動直後からエンジンの動弁系に供給される潤滑油が分配部に隣接する潤滑油路を通って流れることにより、潤滑油の熱で分配部を温めることで分岐路内での氷結を直ちに解凍できる。さらに、その後にエンジンが一時停止した後(すなわちソーク後)でも分配部の内部に残るブローバイガスが潤滑油の熱で温められているので、ブローバイガスに含まれる水蒸気の凝縮を抑制することが可能である。
【0023】
上記のブローバイガス還流装置において、前記ヘッドカバー内に設けられ、前記導入部に連通し、前記ブローバイガスに含まれるオイルを分離する分離部をさらに備えているのが好ましい。
【0024】
かかる構成によれば、分離部でブローバイガスからオイルを分離してブローバイガスを浄化した後に、分配部では、浄化後のブローバイガスを導入部の通過後に複数の分岐路で分配することが可能になるので、分岐路内のオイルの付着を防止することが可能になる。また、分離部がヘッドカバー内に設けられているので、寒冷地でもヘッドカバー内で暖気されたブローバイガス中のオイルを分離部で分離することが可能になり、分離効率が向上する。
【0025】
上記のブローバイガス還流装置において、前記分離部は、前記ヘッドカバー内にて、前記複数の気筒の配列方向に延びるとともに前記複数の気筒の排気経路側に配置され、前記分配部は、前記ヘッドカバー内にて、前記配列方向に延びるとともに前記複数の吸気経路側に配置され、前記分離部の出口および前記分配部の前記導入部は、前記ヘッドカバー内の前記配列方向において同じ側の端部に配置され、前記配列方向と直交する方向に延び、前記分離部の出口と前記分配部の前記導入部とを連通する還流管をさらに備えているのが好ましい。
【0026】
かかる構成によれば、還流管が複数の気筒の配列方向と直交する方向に延びて、分離部の出口と分配部の導入部とを連通するので、還流管の長さを短くすることが可能になり、分離部から分配部への移動中のブローバイガスの温度低下を抑制することが可能になり、ブローバイガスに含まれる水蒸気の凝縮をさらに抑制することが可能になる。
【0027】
上記のブローバイガス還流装置において、前記還流管は、前記ブローバイガスの前記分離部から前記分配部への流れを許容し、かつ、前記分配部から前記分離部への流れを規制する規制部を備えるのが好ましい。
【0028】
かかる構成によれば、エンジンが過給領域で動作している時には分配部が分離部よりも圧力が高い状態になるが、還流管の規制部により、ブローバイガスの分配部から分離部への逆流を規制することが可能である。
【0029】
本発明のヘッドカバーは、上記の分配部を備えたことを特徴とする。
【0030】
かかるヘッドカバーの構成によれば、上記の分配部、すなわち、複数の気筒を有するエンジンのヘッドカバー内に設けられ、ブローバイガスが導入される導入部と、導入部に連通するとともに当該導入部から分岐された複数の分岐路とを備えた分配部が備わっている。したがって、寒冷地においても、エンジン始動時にはヘッドカバーはすぐに暖まり、ヘッドカバー内の分配部の導入部および複数の分岐路内を通るブローバイガスも迅速に暖められ、各気筒の吸気経路へ分配して還流することが可能である。これにより、分岐した還流通路においてブローバイガスに含まれる水蒸気が凝縮することを抑制することが可能である。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、本発明のブローバイガス還流装置およびヘッドカバーによれば、分岐した還流通路におけるブローバイガス中水蒸気の凝縮の抑制を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施形態に係るブローバイガス還流装置がヘッドカバーに設けられた構造を有するエンジンの全体構成を示す斜視図である。
図2図1のヘッドカバーおよびその周辺の平面図である。
図3図1のヘッドカバー内の油分離部および分配部と、その周辺の部品との位置関係を示す斜視説明図である。
図4図1のヘッドカバー内の油分離部および分配部と、その周辺の部品との位置関係を示す平面説明図である。
図5図4のV-V線断面図である。
図6図3のシリンダヘッドの複数の吸気ポートとヘッドカバー内の分配部の複数の排出口とをそれぞれ接続する複数の連通路を示す斜視説明図である。
図7図1のヘッドカバーの底面側から見た場合におけるヘッドカバー内の油分離部および分配部の具体的構成を示す図である。
図8図3の油分離部および分配部のシリンダヘッド側(下側)に隣接する潤滑油路を示す断面説明図である。
図9図3の油分離部および分配部に隣接する潤滑油路を底面側から見た図である。
図10図1のエンジンおよびその吸気系の構造を示すブロック図であって、自然吸気領域におけるエンジン動作時の還流管(PCVホース)、ベンチレーションホース、ブリーザホースの中のガスの流れを示す説明図である。
図11図1のエンジンおよびその吸気系の構造を示すブロック図であって、過給領域におけるエンジン動作時の還流管、ベンチレーションホース、ブリーザホースの中のガスの流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態に係るブローバイガス還流装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0034】
図1および図10に示されるように、複数の気筒を有するエンジン1(図1では直列6気筒用のエンジンが示されている)およびその吸気系に関連するシステムは、シリンダヘッド2、当該シリンダヘッド2の上部を覆うヘッドカバー3、および当該シリンダヘッド2の下部に連結されたシリンダブロック4を有するエンジン1と、シリンダヘッド2の複数の吸気ポート2a(図3参照)にそれぞれ接続される複数の吸気路を有するインテークマニホールド5と、エンジン1のエアクリーナボックス(未図示)に接続された導入管6と、下流端がインテークマニホールド5に接続された吸気管7と、吸気管7の上流端に接続されるとともに導入管6内の吸気を過給するターボチャージャー8とを備える。
【0035】
さらに、このシステムは、図1に示されるように、ヘッドカバー3(具体的には、ヘッドカバー3内の後述の油分離部12)とターボチャージャー8上流側の吸気経路とを接続するベンチレーションホース9と、シリンダブロック4とターボチャージャー8上流側の吸気経路とを接続するブリーザホース10と、ターボチャージャー8の上流側の吸気経路に接続されたエアクリーナ21と、ターボチャージャー8とインテークマニホールド5との間に配置されたスロットルバルブ22とを備える。
【0036】
エンジン1は、当該エンジン1で発生するブローバイガスをエンジン1の吸気系である各吸気ポート2aに還流するためのブローバイガス還流装置20(図3~5参照)を備える。
【0037】
ブローバイガス還流装置20は、具体的には、図3~5に示されるように、ブローバイガスに含まれる油を分離する油分離部12と、ブローバイガスを各気筒に分配する分配部13と、分配部13と各吸気ポート2aとを連通する複数の連通路14(図6参照)と、油分離部12と分配部13とを連通する還流管11と、油分離部12および分配部13にそれぞれ隣接して配置された潤滑油路15、16とを備えている。油分離部12、分配部13、および潤滑油路15、16は、ヘッドカバー3内に収容されている。連通路14は、シリンダヘッド2を上下に貫通して形成されている。
【0038】
本実施形態の還流管11は、ヘッドカバー3の上面に取り付けられ、当該ヘッドカバー3の外部を通るように配設されている。
【0039】
上記のブローバイガス還流装置20では、エンジン1のクランクケース(図示せず)で発生したブローバイガスは、図示しないオイルセパレータ導入口によりヘッドカバー3内に還流される。ヘッドカバー3内では、ブローバイガスは、油分離部12に送られてブローバイガス中のオイルが分離され、その後、還流管11を通して分配部13へ送られ、分配部13で分配された後に連通路14を通して各吸気ポート2aに還流される。このようなブローバイガス還流装置20は、PCVシステム(Positive Crankcase Ventilation System)と呼ばれ、ブローバイガス中のオイルの分離とともに、ブローバイガスの各吸気ポート2aへの均一な分配を可能にする。
【0040】
以下、ブローバイガス還流装置20の各構成部分の具体的な構成についてさらに詳しく説明する。
【0041】
分配部13は、図2~5、図7~9に示されるように、ヘッドカバー3内に設けられ、ブローバイガスを各気筒の吸気経路へ分配する構成を備える。
【0042】
分配部13は、図7に示されるように、ブローバイガスが導入される導入口を有する導入部13aと、導入部13aから複数の段階で分岐するトーナメント構造を有する複数の分岐路13cと、最終段の複数の分岐路13cのそれぞれの下流端(すなわち複数の分岐路13cの出口)に連通する排出部13bと、複数の分岐路13cのうちの一部の分岐路13cを部分的狭くする狭小部としての隔壁13eとを備える。
【0043】
複数の分岐路13cは、導入部13aに連通するとともに当該導入部13aから分岐されて各吸気経路へ連通する構成を有しており、そのような構成の中でも本実施形態ではとくに上記のような導入部13aから複数の段階で分岐するトーナメント構造を有する。
【0044】
ここで、トーナメント構造とは、1つの導入部13aから複数の排出部13bへ分岐する構造であって、閉ループを有さずに導入部13aから排出部13bへ向かうにつれて分岐路13cおよび分岐部分13dの数が段階的に増えていく構造であり、樹形図またはツリー図で示される構造である。
【0045】
本実施形態では、図7に示されるように、トーナメント構造の複数の分岐路13cは、複数の気筒の配列方向Xにおける中間位置を中心として配置されている。
【0046】
隔壁13eは、図7に示されるように、トーナメント構造において2つの分岐路13cが分岐する分岐部分13dにおいて、2つの分岐路13cのうちのいずれか一方の流路を狭くする狭小部として、分岐路13cの内部を部分的に仕切る。具体的には、隔壁13eは、当該分岐路13cの内部に横断面方向に突出している。
【0047】
隔壁13eは、例えば、2つの分岐路13cのうちのブローバイガスの流量を減らしたい方に設けられる。具体的には、直進する分岐路13cと分岐部分13dで曲がる分岐路13cであれば、直進する分岐路13cの方に隔壁13eが設けられる。
【0048】
また、2つの分岐路13cのうち最終段の排出部13bの数が多い方向へブローバイガスを多く送ることが要求される部分では、反対側の分岐路13cに複数の小さい隔壁13e1、13e2を組み合わせたラビリンス構造の隔壁13eを設けることにより、当該反対側の分岐路13cのブローバイガスの流量を大きく減らして、所望の分岐路13cへのブローバイガスを多く送ることが可能である。
【0049】
分配部13は、図5図8~9に示されるように、ヘッドカバー3の外壁を構成する天板131とヘッドカバー3内の中板132とが重ね合わされ、これら天板131と中板132との間に上記のトーナメント構造を有する複数の分岐路13cを含む空間であるトーナメント室133が形成されるようにして作製される。本実施形態のヘッドカバー3は上記の分配部13を備えているので、言い換えれば、分配部13を備えるヘッドカバー3がブローバイガス還流装置20の一部を構成しているといえる。
【0050】
図5~6に示されるように、複数の連通路14は、シリンダヘッド2を上下方向に貫通して形成されている。各連通路14は、エンジン1のシリンダヘッド2の内部において各気筒の吸気経路を構成する吸気ポート2aと分配部13の複数の分岐路13cの出口にあるそれぞれの排出部13b(図5および図7参照)とを連通する。
【0051】
油分離部12は、図2~5、図7~9に示されるように、ヘッドカバー3内に設けられ、還流管11を通して分配部13の導入部13aに連通しており、ブローバイガスの流れ方向において分配部13の上流側に配置されている。油分離部12は、ブローバイガスに含まれるオイルを分離するための構成を有し、例えば、図7に示されるように、ブローバイガスが導入される導入部12aと、ブローバイガスが排出される出口12bと、当該導入部12aおよび出口12bの間に設けられた、流路を急拡大する空間部やオイルを吸着するフィルタなどのオイル捕集部とを備える。
【0052】
油分離部12は、図5図8~9に示されるように、ヘッドカバー3の外壁を構成する天板121と中板122とが重ね合わされ、これら天板121と中板122との間に上記のオイルを分離するための空間部やフィルタなど有するセパレータ室123が形成されるようにして作製される。
【0053】
本実施形態では、油分離部12は、ヘッドカバー3内において、複数の気筒の配列方向Xに延びるとともに複数の気筒の排気経路側(図2~4における上側、すなわち、図3および図5の吸気ポート2aが設けられた側の反対側)に配置されている。
【0054】
分配部13は、ヘッドカバー3内にて、配列方向Xに延びるとともに複数の吸気経路側(図2~4における下側、すなわち、図3および図5の吸気ポート2aが設けられた側)に配置されている。
【0055】
図7に示されるように、油分離部12の出口12bおよび分配部13の導入部13aは、ヘッドカバー3内の配列方向Xにおいて同じ側の端部(図7では右側の端部)に配置されている。
【0056】
還流管11は、図2~4に示されるように、配列方向Xと直交する方向Yに延び、上記の図7に示される油分離部12の出口12bと分配部13の導入部13aとを連通する。還流管11は、上記のPCVシステムのブローバイガス還流装置を構成するホースとして、PCVホースと呼ばれる。
【0057】
本実施形態では、還流管11は、図11に示されるように、ブローバイガスの流れを一方向に規制する規制部としての一方向弁11b(いわゆるPCVバルブ)を備えている。一方向弁11bは、ブローバイガスの油分離部12から分配部13への流れを許容し、かつ、分配部13から油分離部12への流れを規制する規制部として機能するように構成されている。
【0058】
この一方向弁11bでは、ヘッドカバー3内の圧力が高くなると一方向弁11bが閉じてブローバイガスが還流管11の流れを規制することが可能である。
【0059】
潤滑油路15、16は、油分離部12および分配部13にそれぞれ隣接して配置され、エンジンの動弁系(すなわち、吸気弁および排気弁の開閉機構)に供給される潤滑油が流れる構成を有する。本実施形態では、図5図8~9に示されるように、潤滑油路15は、油分離部12を構成する中板122と底板151とが重ね合わされることによって矩形断面の流路状に作製されている。これにより、潤滑油路15は、油分離部12に対して中板122を挟んで下側に隣接して配置される。
【0060】
また、潤滑油路16は、分配部13を構成する中板132と底板161とが重ね合わされることによって矩形断面の流路状に作製されている。これにより、潤滑油路16は、分配部13に対して中板132を挟んで下側に隣接して配置される。
【0061】
上記のように構成されたブローバイガス還流装置20を備えたエンジン1および吸気系システムでは、図10に示されるように、エンジン1が自然吸気領域内で動作する時では、ターボチャージャー8は作動せず、エンジン1の吸気ポート2aは自然吸気で吸気する。これにより、吸気ポート2aは負圧になるので、空気は、エアクリーナ21、ターボチャージャー8、スロットルバルブ22、インテークマニホールド5、吸気ポート2aの経路で流れる。このとき、ヘッドカバー3内の分配部13は連通路14を通して吸気ポート2aとともに負圧になるので、還流管11の規制部である一方向弁11bにより、ブローバイガスの油分離部12から分配部13への流れが許容される。このため、ヘッドカバー3内のブローバイガスは、油分離部12、還流管11、分配部13、および連通路14を通して、吸気ポート2aに還流することが可能である。
【0062】
また、図10に示される自然吸気領域の動作時では、シリンダブロック4内が負圧になり、ブリーザホース10に設けられた一方向弁24は空気の流通を許容するので、外気に通じて大気圧の状態のエアクリーナ21からブリーザホース10を介してエンジン1のシリンダブロック4へ新鮮な空気を送ることが可能である。一方、ベンチレーションホース9に設けられた一方向弁23は、ターボチャージャー8の上流側の吸気経路が所定の負圧状態になっていないのでガスの流通を規制するので、ベンチレーションホース9を介してヘッドカバー3の油分離部12からターボチャージャー8の上流側へのブローバイガスの還流を規制することが可能である。
【0063】
一方、エンジン1が過給領域内で動作する時では、ターボチャージャー8が吸気ポート2aへ吸気を過給することにより、吸気ポート2aは正圧になる。このとき、ヘッドカバー3内の分配部13は連通路14を通して吸気ポート2aとともに正圧になるので、還流管11の一方向弁11bにより、ブローバイガスの分配部13から油分離部12への逆流を規制することが可能である。
【0064】
また、図11に示される過給領域の動作時では、ブリーザホース10に設けられた一方向弁24はガスの流通を規制するので、ブリーザホース10を介してエンジン1のシリンダブロック4からターボチャージャーへのオイル分離前のブローバイガスの流れを規制することが可能である。一方、ベンチレーションホース9に設けられた一方向弁23は、ターボチャージャー8の上流側の吸気経路が所定の負圧以上になっているのでガスの流通を許容するので、ベンチレーションホース9を介してヘッドカバー3の油分離部12からターボチャージャー8へのブローバイガスの還流をすることが可能である。
【0065】
(本実施形態の特徴)
(1)
本実施形態のブローバイガス還流装置20では、図7に示されるように、複数の気筒を有するエンジンのヘッドカバー3内には、ブローバイガスが導入される導入部13aと、導入部13aに連通するとともに当該導入部13aから分岐された複数の分岐路13cとを備えた分配部13が備わっている。したがって、寒冷地においても、エンジン始動時にはヘッドカバー3はすぐに暖まり、ヘッドカバー3内の分配部13の導入部13aおよび複数の分岐路13c内を通るブローバイガスも迅速に暖められ、各気筒の吸気経路へ分配して還流することが可能である。これにより、分岐した還流通路においてブローバイガスに含まれる水蒸気が凝縮することを抑制することが可能である。
【0066】
(2)
本実施形態のブローバイガス還流装置20では、図5に示されるように、エンジンのシリンダヘッド2の内部において気筒の吸気経路を構成する吸気ポート2aと分岐路13cの出口にある排出部13bとを連通する連通路14をさらに備えている。この構成によれば、温度上昇が高いシリンダヘッド2の内部の連通路14を通して、ヘッドカバー3内で分配部13によって分配されたブローバイガスを吸気ポート2aへ直接導入することが可能になるので、ブローバイガス中の水蒸気の凝縮および凍結を確実に防止しながら気筒に供給することが可能である。
【0067】
(3)
本実施形態のブローバイガス還流装置20では、図7に示されるように、複数の分岐路13cは、導入部13aから複数の段階で分岐するトーナメント構造を有する。この構成では、ヘッドカバー3内の限られたスペースで1つの導入部13aから多数の分岐路13cへ分岐させることが可能になる。また、この構造では、分岐路13cの幅を変更しなくても多数の分岐路13cを設けることが可能になるので、ブローバイガスを効率よく分配することが可能になる。しかも、複数の分岐路13cがトーナメント構造を有することにより、ブローバイガス通路のレイアウトの自由度が向上する。
【0068】
(4)
本実施形態のブローバイガス還流装置20では、図7に示されるように、トーナメント構造の複数の分岐路13cは、複数の気筒の配列方向Xにおける中間位置を中心として配置されている。この構成では、簡単な構成で複数の気筒の吸気経路へブローバイガスを均等に送ることが可能になる。また、このようなトーナメント構造にすることにより、分配部13の設計が容易になる。
【0069】
(5)
本実施形態のブローバイガス還流装置20では、図7に示されるように、分配部13は、トーナメント構造において2つの分岐路13cが分岐する分岐部分13dにおいて、2つの分岐路13cのうちのいずれか一方の流路を狭くする狭小部として隔壁13eを備えている。この構成では、分配部13におけるトーナメント構造の2つの分岐路13cが分岐する分岐部分13dにおいて、2つの分岐路13cのうちのいずれか一方の流路を狭小部である隔壁13eによって狭くして、ブローバイガスの流量を減らすことが可能になる。このため、トーナメント構造の複数段階で分岐する分岐路13cのそれぞれにおけるブローバイガスの流量を個別に調整することが可能になる。その結果、複数の気筒の吸気経路へブローバイガスを高い均一性を維持しながら均等に送ることが可能になり、気筒間の空燃比のばらつきを抑制することが可能になる。
【0070】
(6)
本実施形態のブローバイガス還流装置20では、狭小部は、分岐路13cの内部を部分的に仕切る隔壁13eによって構成されている。かかる構成では、狭小部として、分岐路13cの内部を部分的に仕切る隔壁13eを設けることにより、各分岐路13cを流れるブローバイガスの流量をより正確に設定することが可能になる。
【0071】
なお、狭小部は、上記の隔壁3e以外にも、分岐路13cの流路面積を狭くする構成であれば他の構成でもよく、分岐路13cの幅を狭くしたり、分岐路13c内に穴あきの板を挿入するなどの狭小部の構成であってもよい。
【0072】
(7)
本実施形態のブローバイガス還流装置20は、図5図8~9に示されるように、分配部13に隣接して配置され、エンジンの動弁系に供給される潤滑油が流れる潤滑油路15を備えている。この構成によれば、エンジン始動直後からエンジンの動弁系に供給される潤滑油が分配部13に隣接する潤滑油路15を通って流れることにより、潤滑油の熱で分配部13を温めることで分岐路13c内での氷結を直ちに解凍できる。したがって、その後にエンジンが一時停止した後(すなわちソーク後)でも分配部13の内部に残るブローバイガスが潤滑油の熱で温められているので、ブローバイガスに含まれる水蒸気の凝縮を抑制することが可能である。
【0073】
また、本実施形態では、さらに、潤滑油路16が油分離部12に隣接して配置されているので、さらに、ブローバイガスを潤滑油の熱で温めることが可能になるので、ブローバイガスに含まれるオイルの分離効率の向上とともにブローバイガスに含まれる水蒸気の凝縮をさらに抑制することが可能になる。
【0074】
(8)
本実施形態のブローバイガス還流装置20は、図2~5、図7~9に示されるように、ヘッドカバー3内に設けられ、分配部13の導入部13aに連通し、ブローバイガスに含まれるオイルを分離する油分離部12を備えている。この構成によれば、油分離部12でブローバイガスからオイルを分離してブローバイガスを浄化した後に、分配部13では、浄化後のブローバイガスを導入部13aの通過後に複数の分岐路13cで分配することが可能になるので、分岐路13c内のオイルの付着を防止することが可能になる。また、油分離部12がヘッドカバー3内に設けられているので、寒冷地でもヘッドカバー3内で暖気されたブローバイガス中のオイルを油分離部12で分離することが可能になり、分離効率が向上する。
【0075】
(9)
本実施形態のブローバイガス還流装置20では、図2~5に示されるように、油分離部12は、ヘッドカバー3内にて、複数の気筒の配列方向Xに延びるとともに複数の気筒の排気経路側に配置されている。分配部13は、ヘッドカバー3内にて、配列方向Xに延びるとともに複数の吸気経路側に配置されている。油分離部12の出口12bおよび分配部13の導入部13aは、ヘッドカバー3内の配列方向Xにおいて同じ側の端部に配置されている。還流管11は、配列方向Xと直交する方向Yに延び、油分離部12の出口12bと分配部13の導入部13aとを連通する。
【0076】
この構成によれば、還流管11が複数の気筒の配列方向Xと直交する方向Yに延びて、油分離部12の出口12bと分配部13の導入部13aとを連通するので、還流管11の長さを短くすることが可能になり、油分離部12から分配部13への移動中のブローバイガスの温度低下を抑制することが可能になり、ブローバイガスに含まれる水蒸気の凝縮をさらに抑制することが可能になる。
【0077】
なお、本実施形態では、還流管11は、ヘッドカバー3の外に設けられているが、ヘッドカバー3内に設けられていてもよい。
【0078】
(10)
本実施形態のブローバイガス還流装置20では、図10に示されるように、還流管11は、ブローバイガスの油分離部12から分配部13への流れを許容し、かつ、分配部13から油分離部12への流れを規制する規制部として一方向弁11b(PCVバルブ)を備える。この構成によれば、エンジンが過給領域で動作している時には分配部13が油分離部12よりも圧力が高い状態になるが、還流管11の規制部である一方向弁11bにより、ブローバイガスの分配部13から油分離部12への逆流を規制することが可能である。
【0079】
(11)
本実施形態のヘッドカバー3の構成によれば、上記の分配部13、すなわち、複数の気筒を有するエンジンのヘッドカバー3内に設けられ、ブローバイガスが導入される導入部13aと、導入部13aに連通するとともに当該導入部13aから分岐された複数の分岐路13cとを備えた分配部13が備わっている。したがって、寒冷地においても、エンジン始動時にはヘッドカバー3はすぐに暖まり、ヘッドカバー3内の分配部13の導入部13aおよび複数の分岐路13c内を通るブローバイガスも迅速に暖められ、各気筒の吸気経路へ分配して還流することが可能である。これにより、分岐した還流通路においてブローバイガスに含まれる水蒸気が凝縮することを抑制することが可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 エンジン
2 シリンダヘッド
2a 吸気ポート
3 ヘッドカバー
4 シリンダブロック
5 インテークマニホールド
6 導入排気管
7 吸気管
8 ターボチャージャー
9 ベンチレーションホース
10 ブリーザホース
11 還流管
12 分離部
12a 導入部
12b 排出口
13 分配部
13a 導入部
13b 排出部
13c 分岐路
13d 分岐部分
13e 隔壁(狭小部)
14 連通路
15、16 潤滑油路
20 ブローバイガス還流装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11