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特開2023-163399樹脂成形品の製造方法、樹脂成形品の製造装置、自動車用樹脂成形品の製造装置、樹脂成形品及び自動車用樹脂成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163399
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】樹脂成形品の製造方法、樹脂成形品の製造装置、自動車用樹脂成形品の製造装置、樹脂成形品及び自動車用樹脂成形品
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/16 20060101AFI20231102BHJP
   B29C 45/13 20060101ALI20231102BHJP
   B29C 45/44 20060101ALI20231102BHJP
   B29C 33/42 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B29C45/16
B29C45/13
B29C45/44
B29C33/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074296
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】杉江 信二
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AH17
4F202AR13
4F202CA11
4F202CB01
4F202CB22
4F202CB28
4F202CK32
4F206AH17
4F206AR13
4F206JA07
4F206JB22
4F206JB28
4F206JL02
4F206JN12
4F206JQ81
(57)【要約】
【課題】樹脂成形品の形状や機能に対応しつつ高剛性を維持する、樹脂成形品の製造方法、樹脂成形品の製造装置、自動車用樹脂成形品の製造装置、樹脂成形品及び自動車用樹脂成形品を提供する。
【解決手段】樹脂成形品10の製造方法は、第1樹脂材料にて第1成形部11を形成し、その後、第1樹脂材料より高融点である第2樹脂材料を供給して第1成形部11と結合された第2成形部12を形成することにより、樹脂成形品10を形成する樹脂成形品10の製造方法であって、第1成形部11は、第2成形部12と結合する凸部13または凹部113を有する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1樹脂材料にて第1成形部を形成し、その後、前記第1樹脂材料より高融点である第2樹脂材料を供給して前記第1成形部と結合された第2成形部を形成することにより、樹脂成形品を形成する樹脂成形品の製造方法であって、
前記第1成形部は、前記第2成形部と結合する凸部または凹部を有することを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
【請求項2】
前記第1成形部は、アンダーカット部を有することを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形品の製造方法。
【請求項3】
前記第2成形部は、前記樹脂成形品の意匠面を有し、前記第2成形部の意匠面の裏面側にて前記第1成形部の前記凸部または凹部を前記第2成形部に結合することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の樹脂成形品の製造方法。
【請求項4】
第1樹脂材料にて第1成形部を形成し、
その後、前記第1樹脂材料より高融点である第2樹脂材料を供給して前記第1成形部と結合された第2成形部を形成することにより、樹脂成形品を形成することを特徴とする自動車用樹脂成形品の製造方法。
【請求項5】
射出された第1樹脂材料にて第1成形部を形成する第1金型部と、
前記第1成形部が残存した前記第1金型部と協働し、前記第1樹脂材料より高融点である第2樹脂材料が射出されて前記第1成形部と結合された第2成形部を形成することにより、樹脂成形品を形成する第2金型部と、
前記第2成形部と結合する凸部または凹部を、前記第1成形部に形成する凸部・凹部形成部と、
を備えたことを特徴とする樹脂成形品の製造装置。
【請求項6】
前記第1成形部にアンダーカット部を形成するためのアンダーカット形成部をさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載の樹脂成形品の製造装置。
【請求項7】
前記凸部・凹部形成部は、前記第1金型部に設けられたことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の樹脂成形品の製造装置。
【請求項8】
前記アンダーカット形成部は、前記第1金型部に設けられたことを特徴とする請求項6に記載の樹脂成形品の製造装置。
【請求項9】
射出された第1樹脂材料にて第1成形部を形成する第1金型部と、
前記第1成形部が残存した前記第1金型部と協働し、前記第1樹脂材料より高融点である第2樹脂材料が射出されて前記第1成形部と結合された第2成形部を形成することにより、樹脂成形品を形成する第2金型部と、
を備えたことを特徴とする自動車用樹脂成形品の製造装置。
【請求項10】
第1樹脂材料にて形成された第1成形部と、
前記第1樹脂材料より高融点である第2樹脂材料にて形成され、前記第1成形部と結合された第2成形部と、
前記第1成形部に形成され、前記第2成形部と結合された凸部または凹部と、
を有することを特徴とする樹脂成形品。
【請求項11】
第1樹脂材料にて形成された第1成形部と、
前記第1樹脂材料より高融点である第2樹脂材料にて形成された第2成形部と、
を有することを特徴とする自動車用樹脂成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形品の製造方法、樹脂成形品の製造装置、自動車用樹脂成形品の製造装置、樹脂成形品及び自動車用樹脂成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂成形品の製造方法として、特許文献1には、組成あるいは色調の異なる2種類以上の樹脂材料を金型内に射出し、2種類以上の樹脂材料1,2が結合された成形品を成形するための射出成形方法であって、2種類以上の樹脂材料の結合部3に凹凸形状を形成する、射出成形方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-001424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に開示されている射出成形方法において、組成あるいは色調の異なる2種類以上の樹脂材料を金型内で一体化させて多色、多材質成形品を成形する場合に、樹脂同士の結合面強度を向上させるものの、樹脂成形品の形状や機能に対応しつつ高剛性を維持することが要請されている。
【0005】
本発明は、上述した問題を解消するためになされたもので、樹脂成形品の形状や機能に対応しつつ高剛性を維持する、樹脂成形品の製造方法、樹脂成形品の製造装置、自動車用樹脂成形品の製造装置、樹脂成形品及び自動車用樹脂成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る樹脂成形品の製造方法は、第1樹脂材料にて第1成形部を形成し、その後、前記第1樹脂材料より高融点である第2樹脂材料を供給して前記第1成形部と結合された第2成形部を形成することにより、樹脂成形品を形成する樹脂成形品の製造方法であって、前記第1成形部は、前記第2成形部と結合する凸部または凹部を有することを特徴とする。
【0007】
この発明に係る樹脂成形品の製造方法によれば、第1成形部の凸部または凹部を、樹脂成形品の形状や機能に対応した所定箇所に設けることが可能となる。よって、樹脂成形品の形状や機能に対応しつつ高剛性を維持する樹脂成形品の製造方法を提供することが可能となる。
【0008】
また、本発明に係る樹脂成形品の製造方法においては、前記第1成形部は、アンダーカット部を有することが好ましい。これによれば、第1成形部の凸部または凹部を、アンダーカット部を有する第1成形部の形状に対応した所定箇所に設けることが可能となる。よって、アンダーカット部を有する第1成形部の形状に対応しつつ高剛性を維持する樹脂成形品の製造方法を提供することが可能となる。
【0009】
また、本発明に係る樹脂成形品の製造方法においては、前記第2成形部は、前記樹脂成形品の意匠面を有し、前記第2成形部の意匠面の裏面側にて前記第1成形部の前記凸部または凹部を前記第2成形部に結合することが好ましい。これによれば、第2成形部の意匠面の裏面側にて第1成形部の凸部または凹部を第2成形部に結合することが可能となり、樹脂成形品の機能である第2成形部の意匠性を維持しつつ高剛性を維持する樹脂成形品の製造方法を提供することが可能となる。
【0010】
また、本発明に係る自動車用樹脂成形品の製造方法は、第1樹脂材料にて第1成形部を形成し、その後、前記第1樹脂材料より高融点である第2樹脂材料を供給して前記第1成形部と結合された第2成形部を形成することにより、樹脂成形品を形成することを特徴とする。これによれば、樹脂成形品の形状や機能に対応しつつ高剛性を維持する自動車用樹脂成形品の製造方法を提供することが可能となる。
【0011】
また、本発明に係る樹脂成形品の製造装置は、射出された第1樹脂材料にて第1成形部を形成する第1金型部と、前記第1成形部が残存した前記第1金型部と協働し、前記第1樹脂材料より高融点である第2樹脂材料が射出されて前記第1成形部と結合された第2成形部を形成することにより、樹脂成形品を形成する第2金型部と、前記第2成形部と結合する凸部または凹部を、前記第1成形部に形成する凸部・凹部形成部と、を備えたことを特徴とする。これによれば、第1成形部の凸部または凹部を、樹脂成形品の形状や機能に対応した所定箇所に設けることが可能となる。よって、樹脂成形品の形状や機能に対応しつつ高剛性を維持する樹脂成形品の製造装置を提供することが可能となる。
【0012】
また、本発明に係る樹脂成形品の製造装置においては、前記第1成形部にアンダーカット部を形成するためのアンダーカット形成部をさらに備えることが好ましい。これによれば、前記第1成形部にアンダーカット部を確実に形成することが可能となり、ひいては第1成形部の凸部または凹部を、アンダーカット部を有する第1成形部の形状に対応した所定箇所に設けることが可能となる。よって、アンダーカット部を有する第1成形部の形状に対応しつつ高剛性を維持する樹脂成形品の製造装置を提供することが可能となる。
【0013】
また、本発明に係る樹脂成形品の製造装置においては、前記凸部・凹部形成部は、前記第1金型部に設けられることが好ましい。これによれば、簡単な構造にて、凸部または凹部を第1成形部に形成することが可能となる。
【0014】
また、本発明に係る樹脂成形品の製造装置においては、前記アンダーカット形成部は、前記第1金型部に設けられることが好ましい。これによれば、簡単な構造にて、アンダーカット部を第1成形部に形成することが可能となる。
【0015】
また、本発明に係る自動車用樹脂成形品の製造装置は、射出された第1樹脂材料にて第1成形部を形成する第1金型部と、前記第1成形部が残存した前記第1金型部と協働し、前記第1樹脂材料より高融点である第2樹脂材料が射出されて前記第1成形部と結合された第2成形部を形成することにより、樹脂成形品を形成する第2金型部と、を備えたことを特徴とする。これによれば、樹脂成形品の形状や機能に対応しつつ高剛性を維持する自動車用樹脂成形品の製造装置を提供することが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る樹脂成形品は、第1樹脂材料にて形成された第1成形部と、前記第1樹脂材料より高融点である第2樹脂材料にて形成され、前記第1成形部と結合された第2成形部と、前記第1成形部に形成され、前記第2成形部と結合された凸部または凹部と、を有することを特徴とする。これによれば、第1成形部の凸部または凹部を、樹脂成形品の形状や機能に対応した所定箇所に設けることが可能となる。よって、樹脂成形品の形状や機能に対応しつつ高剛性を維持する樹脂成形品を提供することが可能となる。
【0017】
また、本発明に係る自動車用樹脂成形品は、第1樹脂材料にて形成された第1成形部と、前記第1樹脂材料より高融点である第2樹脂材料にて形成された第2成形部と、を有することを特徴とする。これによれば、樹脂成形品の形状や機能に対応しつつ高剛性を維持する自動車用樹脂成形品を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、樹脂成形品の形状や機能に対応しつつ高剛性を維持する、樹脂成形品の製造方法、樹脂成形品の製造装置、自動車用樹脂成形品の製造装置、樹脂成形品及び自動車用樹脂成形品を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による樹脂成形品10であるリアスポイラ20が適用された車体50の一実施形態を示す後方斜視図である。
図2図1に示すリアスポイラ20の一部分を示す2-2線に沿った部分拡大断面図である。
図3図2に示すアッパ部材21を示す下面図である。
図4】変形例に係るアッパ部材121を示す部分拡大断面図である。
図5A】本発明による樹脂成形品10の製造装置40の第1金型部41を示す断面図である。
図5B】本発明による樹脂成形品10の製造装置40の第2金型部42を示す断面図である。
図6】本発明による樹脂成形品10の製造方法を示す工程図である。
図7】変形例に係るアッパ部材221を示す部分拡大断面図である。
図8】変形例に係るアッパ部材321を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明による樹脂成形品、樹脂成形品の製造方法、樹脂成形品の製造装置、自動車用樹脂成形品、及び自動車用樹脂成形品の製造装置(自動車用樹脂成形品の製造方法)の一実施形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0021】
樹脂成形品10は、図2に示すように、第1樹脂材料にて形成された第1成形部11と、第1樹脂材料より高融点である第2樹脂材料にて形成され第1成形部11と結合された第2成形部12と、を有している。樹脂成形品10は、本実施形態では、自動車用樹脂成形品であるリアスポイラ20のアッパ部材21に採用されている。
【0022】
図1に示すように、リアスポイラ20は、車体50のルーフ部51に連なるバックドア52の上部に取り付けられ、ルーフ部51の後方に位置するとともにバックドア52から後方へ延びるように設けられている。リアスポイラ20は、バックドア52の上部の左右幅と略同サイズの横長形状に形成され、車両前後方向の幅が左右幅と比べて短い細長い形状に形成されている。
【0023】
尚、樹脂成形品10は、リアスポイラ20に限定されず、フロントスポイラなど自動車用外装部材や、自動車用内装部材などの自動車用樹脂成形品であることが好ましい。また、樹脂成形品10は、自動車用樹脂成形品に限定されず、プリンタ、パソコン、テレビなどの電化製品用樹脂成形品に採用されてもよい。
【0024】
リアスポイラ20は、図2に示すように、合成樹脂製のアッパ部材21と合成樹脂製のロア部材22とを備えている。アッパ部材21とロア部材22とは、例えば振動溶着により固定されている。尚、アッパ部材21とロア部材22とは、振動溶着以外の固定方法、例えば接着剤やねじ止めにより固定されるようにしてもよい。
【0025】
アッパ部材21は、上述した第1成形部11、第2成形部12、及び凸部13を有している。第1成形部11は、アッパ部材21の本体部21aに一体的に設けられている取付用台座30である。第2成形部12は、アッパ部材21の本体部21aである。凸部13は、取付用台座30に一体的に突出して設けられた凸部である。
【0026】
第1成形部11である取付用台座30は、図2及び図3に示すように、平坦な頂上部を有する方形ドーム状に第1樹脂材料にて形成されている。取付用台座30は、一方が開口された方形ドーム状に形成されている。
【0027】
具体的には、取付用台座30は、基部31、左壁部32、右壁部33及び前壁部34を有している。基部31は、平坦な頂上部を形成するものであり、方形板状に形成されている。基部31の左端部は、左壁部32の下端部が一体的に接続されており、基部31の右端部は、右壁部33の下端部が一体的に接続されており、基部31の前端部は、前壁部34の下端部が一体的に接続されており、基部31の後端部は、何も接続されていない開放端部である。また、基部31は、後述する締結部材であるネジ38などを貫通する貫通孔31aを有している。
【0028】
左壁部32は、略方形板状に形成されており、左壁部32の上端部は、アッパ部材21の本体部21a(第2成形部12)の裏面に結合されている。左壁部32の前端部は、前壁部34の左端部に一体的に接続されており、左壁部32の後端部は、何も接続されていない開放端部である。右壁部33は、略方形板状に形成されており、右壁部33の上端部は、アッパ部材21の本体部21aの裏面に結合されている。右壁部33の前端部は、前壁部34の右端部に一体的に接続されており、右壁部33の後端部は、何も接続されていない開放端部である。
【0029】
前壁部34は、略方形板状に形成されており、前壁部34の上端部は、アッパ部材21の本体部21aの裏面に結合されている。また、取付用台座30は、後方向に向けて開口する開口部35を有している。尚、左壁部32、右壁部33及び前壁部34は、厚みが一定となるように形成されている。左壁部32、右壁部33及び前壁部34の厚みは、一定に限定されず、根本に行くにしたがって厚くなるように設定されるようにしてもよい。また、左壁部32、右壁部33及び前壁部34は、基部31から離れるにしたがって拡開するように傾斜して形成されている。左壁部32、右壁部33及び前壁部34の傾斜は、拡開(開く)に限定されず、基部31に対して鉛直に、または閉じるように設定されるようにしてもよい。
【0030】
左壁部32、右壁部33及び前壁部34の上端面には、凸部13が突出してそれぞれ一体的に形成されている。左壁部32の上端面には、凸部13である凸条部32aが設けられており、左壁部32の上端面及び凸条部32aが第2成形部12である本体部21aの裏面に結合されている。このとき、凸条部32aは本体部21aの裏面に形成された凹部21a1に結合されている。前壁部34の上端面には、凸部13である凸条部34aが設けられており、前壁部34の上端面及び凸条部34aが本体部21aの裏面に結合されている。尚、右壁部33の上端面も、左壁部32及び前壁部34と同様に、凸条部(不図示)が設けられている。
【0031】
また、凸条部32a,34aは、左壁部32及び前壁部34の上端面の長手方向に沿って全長に亘って設けるようにしたが、これに限定されず、長手方向に沿って部分的に設けるようにしてもよい。また、凸条部32aの厚み方向幅は、各壁部32~34の厚み方向幅より狭く設定されており、例えば、各壁部32~34の厚み方向幅の1/5~4/5の範囲に設定されるのが好ましく、1/3~1/2の範囲に設定されるのがより好ましい。尚、凸条部32aの厚み方向幅は、各壁部32~34の厚み方向幅と同一に設定するようにしてもよい。また、凸部13は、各壁部の上面にて厚み方向略中央に設けるようにしたが、これに限定されず、各壁部の上面にて厚み方向端部など他の部分に設けるようにしてもよい。
【0032】
このように、左壁部32、右壁部33及び前壁部34の上端面及び各上端面に突出して形成された各凸部13が、本体部21aの意匠面の裏側である裏面に結合される。すなわち、第1成形部11に形成された凸部13が、第2成形部12と結合されている。
【0033】
また、上述した取付用台座30すなわち第1成形部11は、成形加工において、金型から成形品を取り出す(離型)際に、型を開く方向のみでは離型できない形状すなわちアンダーカット形状である。第1成形部11を成形するためのアンダーカット形成部41a2(図5A図5B参照)によって形成される部分(本実施形態では、取付用台座30と本体部21aとの間に形成された空間である。)をアンダーカット部36と称しており、第1成形部11は、アンダーカット部36を有している。
【0034】
尚、第1成形部11は、本体部21a(第2成形部12)から延ばして設けた延設部を有しているのが好ましい。本実施形態では、延設部は、取付用台座30の左壁部32、右壁部33及び前壁部34である。延設部は、本体部21aから垂直に設けられるのに限定されず、所定の傾き(本体部21aの裏面に対するなす角度が45度以上90度未満の範囲)にて設けられるようにしてもよい。延設部の付け根部分は本体部21aの表面のうち意匠面の裏側位置であることが好ましい。意匠面とは、樹脂成形品10の外表面であって需要者が視認可能な表面のことである。
【0035】
第2成形部12である本体部21aは、比較的広い板状に第2樹脂材料にて形成されている。本体部21aの表面は、樹脂成形品10の意匠面であり、第2成形部12は、樹脂成形品10の意匠面を有する。
【0036】
第1樹脂材料及び第2樹脂材料は、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマ、熱硬化性樹脂であることが好ましく、特に熱可塑性樹脂であることが好ましい。第1樹脂材料及び第2樹脂材料は、異なる樹脂材料であることが好ましい。
【0037】
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリウレタン(PUR)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)、エチレン・ビニルアルコール樹脂(EVOH)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE、変性PPE、PPO)、ポリエステル(PEs)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸(PLA)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、非晶ポリアリレート(PAR)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)などを採用するのが好ましい。
【0038】
熱可塑性エラストマとしては、ポリスチレン系(TPS)、オレフィン/アルケン系(TPO)、ポリ塩化ビニル系(TPVC)、ポリウレタン系(TPU)、ポリエステル系(TPEE)、ポリアミド系(略称:TPAE)などを採用するのが好ましい。
【0039】
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂(PF)、メラミン樹脂(MF)、尿素樹脂(UF)、エポキシ樹脂(EP)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、ポリウレタン(PUR)などを採用するのが好ましい。
【0040】
また、熱可塑性樹脂には、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエチレンやポリプロピレンなどの結晶性樹脂や、ABS樹脂、アクリル樹脂やポリカーボネートなどの非結晶性樹脂などに分類することができる。熱可塑性樹脂における2色成形による樹脂融着性において、基本的に結晶性樹脂は結晶性樹脂同士や非結晶性樹脂とは密着性が低く、例外としてポリプロピレン同士(またはポリプロピレンとフィラー入りポリプロピレン)は密着性が高い。一方、非結晶性樹脂は非結晶樹脂同士とは密着する。
【0041】
また、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマにおける2色成形による樹脂融着性において、同じ熱可塑性エラストマ同士(例えば、ポリエステル系同士、ポリスチレン系同士、ポリウレタン系同士)は密着性が高い。さらに、結晶性樹脂と熱可塑性エラストマとは基本的に密着性が低く、例外として組み合わせによっては密着性の高いもの(例えば、ポリプロピレンとポリスチレン系)もある。さらに、非結晶性樹脂と熱可塑性エラストマとは組み合わせによっては密着性の高いものと低いものがあり、高いものの組み合わせとして、例えば、ABS樹脂、ポリカーボネート及びアクリル樹脂とポリエステル系との組み合わせ、ABS樹脂、ポリカーボネート及びアクリル樹脂とポリウレタン系との組み合わせなどが挙げられる。一方、密着性の低いものの組み合わせとして、例えば、ABS樹脂、ポリカーボネート及びアクリル樹脂とポリスチレン系との組み合わせが挙げられる。
【0042】
本実施形態では、第1樹脂材料及び第2樹脂材料の組み合わせは、例えば、ポリプロピレン(PP)とフィラー入りポリプロピレン(PPF)との組み合わせ、ABSとポリカーボネートとの組み合わせなどが挙げられる。尚、フィラー入りポリプロピレンは、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレン)に無機質充填材(タルク等)を多量に混ぜ合わせた複合材料である。
【0043】
また、第2樹脂材料は、第1樹脂材料より高融点であることが好ましい。第1樹脂材料にて第1成形部を成形(一次成形)した後に、第1樹脂材料より高融点である第2樹脂材料にて第2成形部を成形(二次成形)する際に、先に形成された第1成形部が溶融した第2樹脂材料によって再溶融し、その溶融部分にて第2樹脂材料と第1樹脂材料が混ざりその後固化するので、第1成形部と第2成形部との密着性を高く維持することが可能となる。尚、第2樹脂材料は、第1樹脂材料より同一融点または低融点であってもよい。
【0044】
尚、第1成形部11に凸部13を形成するようにしたが、図4に示すように、凸部13の代わりに凹部113を設けるようにしてもよい。この場合、第1成形部111に形成された凹部113は第2成形部112と結合される。例えば、上述した取付用台座30と同様に形成された取付用台座130の左壁部(不図示)、右壁部(不図示)及び前壁部134の上端面に、凹ませて溝部(図4にて溝部134aのみ図示)を凹部113としてそれぞれ形成すればよい。このとき、右壁部(不図示)の上端面及び溝部(不図示)が第2成形部112であるアッパ部材121の本体部121aの裏面及び裏面に形成された凸部(不図示)にそれぞれ結合されている。前壁部134の上端面及び溝部134aが本体部121aの裏面及び裏面に形成された凸部121a1に結合されている。左壁部(不図示)の上端面及び溝部(不図示)が本体部121aの裏面及び裏面に形成された凸部(不図示)に結合されている。
【0045】
このように、左壁部(不図示)、右壁部(不図示)及び前壁部134の上端面及び各上端面に形成された各溝部が、本体部121aの意匠面の裏側である裏面に結合される。すなわち、第1成形部111に形成された凹部113が、第2成形部112と結合されている。
【0046】
尚、上述した取付用台座30は、アッパ部材21に取付対象物を取り付けるための台座である。取付対象物としては、ロア部材22が挙げられるが、ロア部材22に限定されず、アッパ部材21に取付可能である他の部材を採用してもよい。図2に示すように、取付用台座30には、クリップ37などの締結部材が取付可能である。例えば、クリップ37は、断面U字状に形成され、基部31を挟むように取り付けられている。クリップ37には、ロア部材22の貫通孔22aを貫通するネジ38が螺合される雌ねじ孔37aが形成されている。ネジ38がクリップ37に螺合されることにより、ロア部材22がアッパ部材21に取り付けられている。
【0047】
(樹脂成形品・自動車用樹脂成形品の製造装置)
さらに、上述した樹脂成形品(自動車用樹脂成形品)10の製造装置40について図5A及び図5Bを参照して説明する。製造装置40は、第1金型部41、第2金型部42、及びアンダーカット形成部41a2を備えている。
【0048】
第1金型部41は、射出された第1樹脂材料にて上述した第1成形部11を形成する。第1金型部41は、第1凸型金型部(コア金型部)41a、及び第1凹部金型部(キャビティ金型部)41bを備えている。第1凸型金型部(コア金型部)41aは、第1凸型金型基部41a1、及びアンダーカット形成部41a2を有している。
【0049】
第1金型部41が閉型されると、第1凸型金型基部41a1、アンダーカット形成部41a2、及び第1凹部金型部41bによって第1キャビティ43が形成されており、この第1キャビティ43に射出される溶融した第1樹脂材料が固化されて第1成形部11が形成される。尚、第1凸型金型基部41a1は、第1凹部金型部41bに対して第1方向(図5A図5Bにて上下方向)に沿って相対移動することにより、第1金型部41が開閉される。閉型時には、アンダーカット形成部41a2が第1凹部金型部41bの凹部41b1内に収容されている。
【0050】
第1凸型金型基部41a1には、凸部・凹部形成部41a3が設けられている。凸部・凹部形成部41a3は、上述した第2成形部12と結合する凸部13(凸条部34a)(または上述した凹部113(溝部134a))を第1成形部11(前壁部34)に形成する。凸部・凹部形成部41a3は、第1凸型金型基部41a1の下面に穿って設けられた凹部であり、凸部13(凸条部34a)に対応した形状に形成されている。尚、凸部・凹部形成部41a3には、ランナ(またはゲート)44が接続されており、ランナ44を介して溶融した第1樹脂材料が第1キャビティ43内に供給される。また、本実施形態では、ランナ44を凸部・凹部形成部41a3に接続して設けたが、これに限定されず、取付用台座30に接続して第1凹部金型部41bに設けるようにしてもよい。
【0051】
尚、凸部13の代わりに、凹部113が第1成形部11に形成される場合には、凸部・凹部形成部41a3は、第1凸型金型基部41a1の下面に突出して設けられた凸部(不図示)であり、凹部113に対応した形状に形成されている。
【0052】
第1凹部金型部41bには、第1金型部41が閉型された際に、アンダーカット形成部41a2を収容可能である凹部41b1が設けられている。凹部41b1は、第1凹部金型部41bの上面に穿って形成されている。凹部41b1の底壁面の一部は、取付用台座30の外壁面を形成するように形成され、凹部41b1の底壁面には、基部31の貫通孔31aを形成するための凸部41b2が突出して形成されている。
【0053】
アンダーカット形成部41a2は、第1金型部41に設けられており、第1成形部11に上述したアンダーカット部36を形成するためのものである。アンダーカット形成部41a2の底壁面の一部は、取付用台座30の内壁面を形成するように形成されている。尚、アンダーカット形成部41a2は、第1金型部41または第2金型部42の開閉方向である第1方向でなく、第1方向とは異なる方向(例えば直交する方向)である第2方向に沿ってスライド可能である。第2金型部42が開型する際に、アンダーカット形成部41a2は、第2方向に沿って図5Bにて右方向にスライドされて、取付用台座30の内側から引き出される。この観点から、アンダーカット形成部41a2は、スライドコア型と称されることがある。
【0054】
第2金型部42は、第1成形部11が残存した第1金型部41(アンダーカット形成部41a2及び第1凹部金型部41b)と協働し、第1樹脂材料より高融点である第2樹脂材料が射出されて第1成形部11と結合された第2成形部12を形成することにより、樹脂成形品10を形成する。第2金型部42は、第2凸型金型部(コア金型部)42a、及び第2凹部金型部(キャビティ金型部)42bを備えている。第2凸型金型部42aは、第2凸型金型基部42a1、及びアンダーカット形成部41a2を有している。
【0055】
第2金型部42が閉型されると、第2凸型金型基部42a1、アンダーカット形成部41a2、及び第2凹部金型部42b(第1凹部金型部41b)によって第2キャビティ45が形成されており、この第2キャビティ45に射出される溶融した第2樹脂材料が固化されて第2成形部12が形成される。尚、第2凸型金型基部42a1は、第2凹部金型部42bに対して第1方向(図5Bにて上下方向)に沿って相対移動することにより、第2金型部42が開閉される。閉型時には、アンダーカット形成部41a2が第2凹部金型部42b(第1凹部金型部41b)の凹部41b1内に収容されている。
【0056】
第2凸型金型基部42a1には、第2成形部12を形成するための凹部42a3が設けられている。凹部42a3は、第2凸型金型基部42a1の下面に穿って設けられた凹部であり、アッパ部材21の本体部21aに対応した形状に形成されている。凹部42a3の内周壁面は、本体部21aの外壁面、特に意匠面を形成するように形成され、アンダーカット形成部41a2及び第2凹部金型部42b(第1凹部金型部41b)の上面は、本体部21aの内壁面(裏面)を形成するように形成されている。尚、凹部42a3には、ランナ(またはゲート)46が接続されており、ランナ46を介して溶融した第2樹脂材料が第2キャビティ45内に供給される。
【0057】
尚、第2凹部金型部42bは、第1金型部41の第1凹部金型部41bと同一の金型であり、換言すると、第1凹部金型部41bを第2凹部金型部42bとして兼用(流用)している。また、アンダーカット形成部41a2も第2金型部42に兼用(流用)している。
【0058】
(樹脂成形品・自動車用樹脂成形品の製造方法)
さらに、上述した樹脂成形品(自動車用樹脂成形品)10の製造方法について図6を参照して説明する。
【0059】
最初に、第1樹脂材料にて第1成形部11を形成する(ステップS102)。具体的には、第1金型部41を使用して第1成形部11を形成する。第1金型部41を閉型し、第1凸型金型基部41a1、アンダーカット形成部41a2、及び第1凹部金型部41bによって形成された第1キャビティ43に、溶融した第1樹脂材料を射出(注入)する。その後、溶融した第1樹脂材料が固化して第1成形部11が形成される。このとき、第2成形部12と結合する凸部13(凸条部34a)(または上述した凹部113(溝部134a))が第1成形部11(前壁部34)に形成される。
【0060】
その後、第1樹脂材料より高融点である第2樹脂材料を供給して第1成形部11と結合された第2成形部12を形成することにより、樹脂成形品10を形成する(ステップS104)。具体的には、第2金型部42を使用して第2成形部12が形成され、その結果、樹脂成形品10が形成される。
【0061】
最初に、第1凸型金型基部41a1を移動させて第1金型部41を開型し、アンダーカット形成部41a2を第1凹部金型部41b内に残す。このとき、第1成形部11は第1凹部金型部41b内に残したままである。次に、第2金型部42を閉型する。このとき、第1成形部11が残存する第1凹部金型部41b及びアンダーカット形成部41a2の上部を覆うように第2凸型金型基部42a1を移動させる。そして、第2凸型金型基部42a1、アンダーカット形成部41a2、及び第2凹部金型部42b(第1凹部金型部41b)によって形成された第2キャビティ45に、溶融した第2樹脂材料を射出(注入)する。その後、溶融した第2樹脂材料が固化して第2成形部12が形成されるとともに、第1成形部11に形成された凸部13(凸条部34a)(または上述した凹部113(溝部134a))が第2成形部12に結合される。すなわち、第1成形部11と結合された第2成形部12が形成されることにより、樹脂成形品10が形成される。
【0062】
そして、第2金型部42を開型し、形成された樹脂成形品10を第2金型部42から取り出す(ステップS106)。最初に、第2凸型金型基部42a1を第1方向に沿って上方に移動させ、次に、アンダーカット形成部41a2を第2方向(水平方向)に沿って移動させ、その後、樹脂成形品10を第2凹部金型部42b(第1凹部金型部41b)から取り出す。
【0063】
(変形例1)
尚、上述した第1成形部11においては、第2成形部12と結合する部分として凸部13を形成するようにしたが、図7に示すように、第2成形部212と結合する部分としてフランジ部213を第1成形部211に形成するようにしてもよい。この場合、第1成形部211に形成されたフランジ部213は第2成形部212と結合される。例えば、上述した取付用台座30と同様に形成された取付用台座230の左壁部(不図示)、右壁部(不図示)及び前壁部234の上端部両側からそれぞれ突出する突出部234a(図7にて突出部234aのみ図示)をフランジ部213として形成すればよい。
【0064】
このとき、前壁部234の上端面及び突出部234aが第2成形部212であるアッパ部材221の本体部221aの裏面及び裏面に形成された凹部221a1に結合されている。右壁部(不図示)の上端面及び突出部(不図示)が本体部221aの裏面及び裏面に形成された凹部(不図示)にそれぞれ結合されている。左壁部(不図示)の上端面及び突出部(不図示)が本体部221aの裏面及び裏面に形成された凹部(不図示)に結合されている。このように、左壁部(不図示)、右壁部(不図示)及び前壁部234の上端面及び各上端部両側に形成された各突出部が、本体部221aの意匠面の裏側である裏面に結合される。すなわち、第1成形部211に形成されたフランジ部213が、第2成形部212と結合されている。尚、突出部は、上端部両側に設けるようにしたが、これに限定されず、上端部の何れか一方に設けるようにしてもよい。
【0065】
(変形例2)
さらに、平面視U字状のフランジ部213に代えて、方形状の板状部313を形成するようにしてもよい。前述した第1成形部211においては、第2成形部212と結合する部分として突出部234aを形成するようにしたが、図8に示すように、第2成形部312と結合する部分として板状部313を第1成形部311に形成するようにしてもよい。この場合、第1成形部311に形成された板状部313は第2成形部312と結合される。例えば、板状部313は、上述した取付用台座30と同様に形成された取付用台座330の左壁部332、右壁部(不図示)及び前壁部334の上端部に接続して形成されている。板状部313は、左壁部332、右壁部(不図示)及び前壁部334の上端部から形成されるU字状の上端面を覆うように形成されるのが好ましい。尚、前述した第1成形部211において形成された内側の突出部234aを延ばして接続することにより、板状部313を形成するようにしてもよい。
【0066】
このとき、板状部313が第2成形部312であるアッパ部材321の本体部321aの裏面に形成された凹部321a1に結合されており、板状部313が本体部321aの意匠面の裏側である裏面に結合される。すなわち、第1成形部311に形成された板状部313が、第2成形部312と結合されている。
【0067】
(実施形態の作用・効果)
上述した実施形態に係る樹脂成形品10の製造方法は、第1樹脂材料にて第1成形部11を形成し、その後、第1樹脂材料より高融点である第2樹脂材料を供給して第1成形部11と結合された第2成形部12を形成することにより、樹脂成形品10を形成する樹脂成形品10の製造方法であって、第1成形部11は、第2成形部12と結合する凸部13または凹部113を有する。
【0068】
本実施形態に係る樹脂成形品10の製造方法によれば、第1成形部11の凸部13または凹部113を、樹脂成形品10の形状や機能に対応した所定箇所に設けることが可能となる。よって、樹脂成形品10の形状や機能に対応しつつ高剛性を維持する樹脂成形品10の製造方法を提供することが可能となる。
【0069】
一般的に、射出成形において、裏面にリブなどを設けた成形品の表面(特に意匠面)が凹んでしまう現象であるヒケが発生する場合があり、ヒケ抑制対策が必要となる。ヒケは、熱溶融した樹脂を金型内に流し、樹脂が冷えて固まる際に発生する収縮によりプラスチック成形品表面が凹んでしまう現象である。特に、リブなどの付け根付近でヒケが発生しやすいのは、リブ部分とリブを設けない一般面との板厚に差があり、その差がそのまま収縮率の差を生みやすいからである。よって、従来のヒケ抑制対策では、リブなどの付け根の厚みを、リブを設けない一般面の厚みより薄く(例えば1/2以下)設定したり、リブの付け根の一部を完全に切り欠いて形成した切欠き部を形成したりしていた。これに対して、第1成形部11は、第2成形部12と結合する凸部13または凹部113を有し、第1成形部11の凸部13または凹部113が第2成形部12と結合することにより、第1成形部11との結合場所の表面が凹むのを抑制することが可能となり、すなわち、ヒケ発生を確実に抑制することが可能となる。また、従来の対策と比較して、第1成形部11の付け根の厚みを厚くしたり付け根の接続面積を増大させたりすることにより、第1成形部11と第2成形部12との接続(結合)剛性を高めることが可能となる。
【0070】
また、アンダーカット形成部41a2においては、第1成形部11の付け根に切欠き部を設ける必要がないため、従来と比較してスライド方向の全長を第1成形部11の付け根の厚み分だけ短く抑制することが可能となる。その結果、アンダーカット形成部41a2のスライド量を小さく抑制し成形サイクルを短く抑制することが可能となる。
【0071】
さらに、上述した実施形態においては、一次成形直後に、すなわち第1成形部11の冷却をすることなしに、二次成形の射出を行うことが可能であるので、第1成形部11の付け根部分の融着強度を高くすることが可能となる。
【0072】
また、本実施形態に係る樹脂成形品10の製造方法においては、第1成形部11は、アンダーカット部36を有することが好ましい。これによれば、第1成形部11の凸部13または凹部113を、アンダーカット部36を有する第1成形部11の形状に対応した所定箇所に設けることが可能となる。よって、アンダーカット部36を有する第1成形部11の形状に対応しつつ高剛性を維持する樹脂成形品10の製造方法を提供することが可能となる。
【0073】
また、本実施形態に係る樹脂成形品10の製造方法においては、第2成形部12は、樹脂成形品10の意匠面を有し、第2成形部12の意匠面の裏面側にて第1成形部11の凸部13または凹部113を第2成形部12に結合することが好ましい。これによれば、第2成形部12の意匠面の裏面側にて第1成形部11の凸部13または凹部113を第2成形部12に結合することが可能となり、樹脂成形品10の機能である第2成形部12の意匠性を維持しつつ高剛性を維持する樹脂成形品10の製造方法を提供することが可能となる。
【0074】
また、本実施形態に係る自動車用樹脂成形品10の製造方法は、第1樹脂材料にて第1成形部11を形成し、その後、第1樹脂材料より高融点である第2樹脂材料を供給して第1成形部11と結合された第2成形部12を形成することにより、樹脂成形品10を形成する。これによれば、樹脂成形品10の形状や機能に対応しつつ高剛性を維持する自動車用樹脂成形品10の製造方法を提供することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態に係る樹脂成形品10の製造装置40は、射出された第1樹脂材料にて第1成形部11を形成する第1金型部41と、第1成形部11が残存した第1金型部41と協働し、第1樹脂材料より高融点である第2樹脂材料が射出されて第1成形部11と結合された第2成形部12を形成することにより、樹脂成形品10を形成する第2金型部42と、第2成形部12と結合する凸部13または凹部113を、第1成形部11に形成する凸部・凹部形成部41a3と、を備えている。これによれば、第1成形部11の凸部13または凹部113を、樹脂成形品10の形状や機能に対応した所定箇所に設けることが可能となる。よって、樹脂成形品10の形状や機能に対応しつつ高剛性を維持する樹脂成形品10の製造装置40を提供することが可能となる。
【0076】
また、本実施形態に係る樹脂成形品10の製造装置40においては、第1成形部11にアンダーカット部36を形成するためのアンダーカット形成部41a2をさらに備えることが好ましい。これによれば、第1成形部11にアンダーカット部36を確実に形成することが可能となり、ひいては第1成形部11の凸部13または凹部113を、アンダーカット部36を有する第1成形部11の形状に対応した所定箇所に設けることが可能となる。よって、アンダーカット部36を有する第1成形部11の形状に対応しつつ高剛性を維持する樹脂成形品10の製造装置40を提供することが可能となる。
【0077】
また、本実施形態に係る樹脂成形品10の製造装置40においては、凸部・凹部形成部41a3は、第1金型部41に設けられることが好ましい。これによれば、簡単な構造にて、凸部13または凹部113を第1成形部11に形成することが可能となる。
【0078】
また、本実施形態に係る樹脂成形品10の製造装置40においては、アンダーカット形成部41a2は、第1金型部41に設けられることが好ましい。これによれば、簡単な構造にて、アンダーカット部36を第1成形部11に形成することが可能となる。
【0079】
また、本実施形態に係る自動車用樹脂成形品10の製造装置40は、射出された第1樹脂材料にて第1成形部11を形成する第1金型部41と、第1成形部11が残存した第1金型部41と協働し、第1樹脂材料より高融点である第2樹脂材料が射出されて第1成形部11と結合された第2成形部12を形成することにより、樹脂成形品10を形成する第2金型部42と、を備えている。これによれば、樹脂成形品10の形状や機能に対応しつつ高剛性を維持する自動車用樹脂成形品10の製造装置40を提供することが可能となる。
【0080】
また、本実施形態に係る樹脂成形品10は、第1樹脂材料にて形成された第1成形部11と、第1樹脂材料より高融点である第2樹脂材料にて形成され、第1成形部11と結合された第2成形部12と、第1成形部11に形成され、第2成形部12と結合された凸部13または凹部113と、を有する。これによれば、第1成形部11の凸部13または凹部113を、樹脂成形品10の形状や機能に対応した所定箇所に設けることが可能となる。よって、樹脂成形品10の形状や機能に対応しつつ高剛性を維持する樹脂成形品10を提供することが可能となる。
【0081】
また、本実施形態に係る自動車用樹脂成形品10は、第1樹脂材料にて形成された第1成形部11と、第1樹脂材料より高融点である第2樹脂材料にて形成された第2成形部12と、を有する。これによれば、樹脂成形品10の形状や機能に対応しつつ高剛性を維持する自動車用樹脂成形品10を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0082】
10…樹脂成形品、11…第1成形部、12…第2成形部、13…凸部、113…凹部、36…アンダーカット部、40…製造装置、41…第1金型部、41a2…アンダーカット形成部、41a3…凸部・凹部形成部、42…第2金型部。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8