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特開2023-163407缶体製造システムおよび缶体製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163407
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】缶体製造システムおよび缶体製造方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 51/26 20060101AFI20231102BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20231102BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20231102BHJP
   B21D 22/28 20060101ALI20231102BHJP
   B21D 22/26 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B21D51/26 J
B21D51/26 P
B65D25/20 Q
G05B19/418 Z
B21D51/26 Z
B21D22/28 L
B21D22/26 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074314
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】須藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】信井 宏之
【テーマコード(参考)】
3C100
3E062
4E137
【Fターム(参考)】
3C100AA42
3C100AA43
3C100BB04
3C100BB12
3C100BB13
3C100BB21
3C100EE20
3E062AA04
3E062AB02
3E062AC03
3E062DA01
3E062DA09
4E137AA11
4E137BA05
4E137BB01
4E137CA07
4E137CA09
4E137CA26
4E137DA11
4E137GA02
4E137GB17
(57)【要約】
【課題】製造システムの生産性を向上させること。
【解決手段】本発明は、缶胴成形装置と印刷装置と分岐コンベアを備え、前記缶胴成形装置は缶胴を成形する装置であり、前記印刷装置は、缶胴外面に印刷をするものであり、印刷装置入口コンベアを有しており、前記分岐コンベアは、前記缶胴成形装置の後工程に配置されており、流路切換部を有するものであり、前記分岐コンベアの一方の分岐は、前記印刷装置に繋がる前記印刷装置入口コンベアに接続され、印刷缶製造部に繋がっており、前記分岐コンベアの他方の分岐は、前記印刷装置を経由しないバイパス入口コンベアに接続され、無地缶製造部に繋がっており、前記印刷缶製造部で製造された印刷缶と前記無地缶製造部で製造された印刷なしの無地缶を、前記流路切換部を切り換えて生産可能であることを特徴とする缶体製造システムとすることで課題を解決した。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶胴成形装置と印刷装置と分岐コンベアを備え、
前記缶胴成形装置は缶胴を成形する装置であり、
前記印刷装置は、缶胴外面に印刷をするものであり、印刷装置入口コンベアを有しており、
前記分岐コンベアは、前記缶胴成形装置の後工程に配置されており、流路切換部を有するものであり、
前記分岐コンベアの一方の分岐は、前記印刷装置に繋がる前記印刷装置入口コンベアに接続され、印刷缶製造部に繋がっており、
前記分岐コンベアの他方の分岐は、前記印刷装置を経由しないバイパス入口コンベアに接続され、無地缶製造部に繋がっており、
前記印刷缶製造部で製造された印刷缶と前記無地缶製造部で製造された印刷なしの無地缶を、前記流路切換部を切り換えて生産可能であることを特徴とする缶体製造システム。
【請求項2】
前記流路切換部は、切換装置であり、
前記切換装置は、可動ガイドを備え、
前記可動ガイドは、前記分岐コンベアの前記一方の分岐と前記他方の分岐に流路を切り換えるものである、請求項1記載の缶体製造システム。
【請求項3】
さらに、制御部を備え、
前記流路切換部の流路切換は、前記制御部による前記印刷装置入口コンベアの搬送速度制御と前記バイパス入口コンベアの搬送速度制御によって行う、請求項1記載の缶体製造システム。
【請求項4】
前記缶胴成形装置は、DI缶または樹脂被覆缶の成形装置である請求項1記載の缶体製造システム。
【請求項5】
前記印刷装置入口コンベアは、成形された缶胴を滞留させることができる請求項1記載の缶体製造システム。
【請求項6】
前記印刷装置入口コンベアには、さらに、缶胴検出センサと制御部を備え、
前記缶胴検出センサは、前記印刷装置入口コンベア上の缶胴の量を検出するものであり、
前記制御部は、無地缶製造中に前記印刷装置入口コンベア上の缶胴の量が減少した場合に、前記分岐コンベアの前記流路切換部を前記印刷装置入口コンベア側に切り換える請求項1記載の缶体製造システム。
【請求項7】
さらに、制御部とネッキング装置を備え、
前記ネッキング装置内又は、前記ネッキング装置の手前にルブリケータを有し、
前記制御部は、DI缶または樹脂被覆缶の無地缶に対しては潤滑剤を塗布し、樹脂被覆缶の印刷缶に対しては前記潤滑剤を塗布しないように、前記ルブリケータを制御する請求項1記載の缶体製造システム。
【請求項8】
さらに、ネッキング装置とネッキング部架台とパレタイザー部と接続コンベア架台を備え、
前記ネッキング部架台は、少なくともネッキング出口コンベアを有しており、架台ごと移動可能なモジュールとなっており、
前記接続コンベア架台は、接続コンベア及び/又はパレタイザー入口コンベアを有しており、架台ごと移動可能なモジュールとなっており、
前記接続コンベア架台は、前記ネッキング出口コンベアと前記パレタイザー部を接続するものである請求項1記載の缶体製造システム。
【請求項9】
缶胴成形装置と印刷装置と分岐コンベアを備え、
前記缶胴成形装置は缶胴を成形する装置であり、
前記缶胴成形装置により缶胴を成形する工程と、
前記印刷装置は、缶胴外面に印刷をするものであり、印刷装置入口コンベアを有しており、
前記分岐コンベアは、前記缶胴成形装置の後工程に配置されており、流路切換部を有するものであり、
前記分岐コンベアの一方の分岐は、前記印刷装置に繋がる前記印刷装置入口コンベアに接続され、印刷缶製造部に繋がっており、
前記分岐コンベアの他方の分岐は、前記印刷装置を経由しないバイパス入口コンベアに接続され、無地缶製造部に繋がっており、
前記流路切換部を、前記一方の分岐または前記他方の分岐に切り換える工程を含み、
前記一方の分岐の選択により前記印刷缶製造部を通る印刷された印刷缶の製造と前記他方の分岐の選択により前記無地缶製造部を通る印刷なしの無地缶の製造を、前記流路切換部を切り換えることで製造する缶体製造方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料缶などの缶体製造システムおよび缶体製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
缶体は、飲料水などの液体収容物の容器として一般に用いられており、無地缶、印刷缶、樹脂被覆缶、DI(Draw & Ironing)缶、2ピース缶、3ピース缶、スチール缶、アルミ缶、溶接缶や半田缶など製造工程や材質などによって色々と分類されている。この他、缶胴に直接印刷を施した印刷缶と印刷を施さない無地缶という分類がある。無地缶は、後にラベルなどが取付けられることもある(特許文献1及び特許文献2)。印刷缶は、缶胴に直接印刷した缶(特許文献3)である。
【0003】
無地缶と印刷缶の違いは、単に印刷の有無だけの違いのようにみえるが、実際には、無地缶は印刷缶とは異なる製造上の処理が必要となることがある。例えば、印刷缶は、印刷機が必要であり、また印刷機で印刷した後、仕上げニスが塗布され印刷面を保護する工程が入る。これに対して、無地缶は、印刷機が必要なく、仕上げニスを塗布する工程のみが行われる。印刷缶は、印刷機の設定を変える(別の商品用の印刷に変える)などの場合、作業者は、ラインを止める必要があり、その間、缶の製造が滞るなど製造ラインの生産性が悪かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-145370号公報
【特許文献2】特開平3-111241号公報
【特許文献3】特開平4-7059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、製造ラインの生産性を向上させること課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために、本発明による製造システムは、以下の構成を具備するものである。
缶胴成形装置と印刷装置と分岐コンベアを備え、前記缶胴成形装置は缶胴を成形する装置であり、前記印刷装置は、缶胴外面に印刷をするものであり、印刷装置入口コンベアを有しており、前記分岐コンベアは、前記缶胴成形装置の後工程に配置されており、流路切換部を有するものであり、前記分岐コンベアの一方の分岐は、前記印刷装置に繋がる前記印刷装置入口コンベアに接続され、印刷缶製造部に繋がっており、前記分岐コンベアの他方の分岐は、前記印刷装置を経由しないバイパス入口コンベアに接続され、無地缶製造部に繋がっており、前記印刷缶製造部で製造された印刷缶と前記無地缶製造部で製造された印刷なしの無地缶を、前記流路切換部を切り換えて生産可能であることを特徴とする缶体製造システム。
【0007】
また、このような課題を解決するために、本発明による缶体製造方法は、以下の構成を具備するものである。
缶胴成形装置と印刷装置と分岐コンベアを備え、前記缶胴成形装置は缶胴を成形する装置であり、前記缶胴成形装置により缶胴を成形する工程と、前記印刷装置は、缶胴外面に印刷をするものであり、印刷装置入口コンベアを有しており、前記分岐コンベアは、前記缶胴成形装置の後工程に配置されており、流路切換部を有するものであり、前記分岐コンベアの一方の分岐は、前記印刷装置に繋がる前記印刷装置入口コンベアに接続され、印刷缶製造部に繋がっており、前記分岐コンベアの他方の分岐は、前記印刷装置を経由しないバイパス入口コンベアに接続され、無地缶製造部に繋がっており、前記流路切換部を、前記一方の分岐または前記他方の分岐に切り換える工程を含み、前記一方の分岐の選択により前記印刷缶製造部を通る印刷された印刷缶の製造と前記他方の分岐の選択により前記無地缶製造部を通る印刷なしの無地缶の製造を、前記流路切換部を切り換えることで製造する缶体製造方法。
【発明の効果】
【0008】
製造システムの生産性を向上させることができた。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1のDI缶の缶体製造システムの説明図。
図2】印刷装置とバーニッシャーの説明図。
図3】実施例2の樹脂被覆缶の缶体製造システムの説明図。
図4】実施例3の缶体製造システムの説明図。
図5-1】分岐コンベアの可動ガイドによる切換の説明図。
図5-2】分岐コンベアの可動ガイドによる切換の説明図。(A)~(E)は、時系列順を表す。
図6】分岐コンベアの搬送速度制御による分岐切換の説明図。(A)、(B)は、時系列順を表す。
図7-1】缶体製造システムの組み立ての説明図。(A)缶体製造システムの組立前の状態を示す説明図。(B)並列配置の説明図。
図7-2】(C)直列配置の説明図。
図8】缶体製造システムのネッキング部とパレタイザー部の並列立体配置の説明図。
図9】缶体製造システムのネッキング部とパレタイザー部の直列立体配置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
本発明は、印刷缶と無地缶の製造システムに注目する発明であり、缶の構造や材質などに依らず適用できる発明である。
本発明は、たとえば、アルミを主材としたDI(Draw & Ironing)缶や樹脂被覆缶のようにハイブリッド材料から成形された缶などに適用できる。本発明は、缶の種類によって、本発明の基本的な部材や配置は共通するが、特許請求の範囲に含まれない構成が異なることがある。そのため、実施例1はアルミを主材としたDI(Draw & Ironing)缶に関する実施例とし、実施例2は樹脂被覆缶に関する実施例として説明する。実施例1や実施例2は、本発明が、多様な態様を含むことを説明するものである。
【0011】
(実施例1)
実施例1は、本発明に包含されるDI(Draw & Ironing)缶の缶体製造システム1の例である。
【0012】
(DI缶の缶体製造システム)
図1は、DI缶の缶体製造システム1の説明図である。
DI缶の缶体製造システム1は、少なくとも缶胴を成形する缶胴成形装置D0(DI缶)を備えた缶胴成形部D(DI缶)を有している。
【0013】
(缶胴成形部(DI缶))
DI缶の製造は、缶胴成形工程から始まる。缶胴成形装置D0(DI缶)は、缶胴成形部D(DI缶)に配置されており、缶胴を成形する。缶胴成形部D(DI缶)は、その流路上に少なくとも缶胴成形装置D0(DI缶)を有したコンベアである。
【0014】
缶胴成形装置D0(DI缶)は、カッピングプレス機D1を備えている。カッピングプレス機D1は、ルブリカント(潤滑剤)を塗布されたアルミ板材から、カップ状の缶材料を打ち抜く装置である。次いで、カップ状の缶材料は、ボディーメーカD2に送られ、絞りしごき加工により缶胴が薄く伸ばされ、底部の成形がなされる。絞りしごき加工された缶胴は、トリマーD3で上部の不要部分がカットされ、高さが揃えられる。
【0015】
缶胴成形部D(DI缶)は、その流路上に缶胴成形装置D0(DI缶)以外の装置が設けられていてもよい。例えば、缶胴成形装置D0(DI缶)以外の装置の例は、ウオッシャD4やオーブンD5である。例えば、トリマーD3でカットされた缶胴は、ウオッシャD4に送られ、成形時に生じたアルミ粉やクーラントなどの不要成分が洗浄により除去される。洗浄された缶胴は、オーブンD5に送られ乾燥される。このように、缶胴成形部D(DI缶)で搬送中、缶胴は、洗浄・乾燥工程で適用される装置群による処理がなされてもよい。
【0016】
従来の缶体製造システムでは、無地缶を製造する場合でも印刷缶と同様に缶胴成形部(DI缶)にて缶胴を成形した後、印刷装置では印刷を行わずに通過させ、バーニッシャーで缶胴外面にニスを塗布している。このため、印刷装置が図柄の変更作業で停止中は無地缶も生産できない状態であった。そこで、実施例1の缶体製造システム1は、缶胴成形部D(DI缶)の後工程に分岐コンベア2を組み込み、印刷缶製造部P(DI缶)と無地缶製造部B(DI缶)に分岐可能に接続し、印刷缶と無地缶を製造できるようにした。これにより印刷装置が停止中であっても無地缶を製造できるようになる。
【0017】
分岐コンベア2は、缶胴成形装置D0(DI缶)による処理の後工程に配置されている。分岐コンベア2の基部コンベア22は、缶胴成形部D(DI缶)に接続されている。分岐コンベア2の二つに分岐される一方の分岐23は、印刷装置P1に繋がる印刷装置入口コンベアP0に接続されている。印刷装置P1に繋がるルートは缶胴外面に印刷を行う印刷缶製造部P(DI缶)となる。
【0018】
そして、分岐コンベア2の二つに分岐される他方の分岐24は、印刷装置P1を経由しないバイパス入口コンベアB0に接続され、無地缶製造部B(DI缶)に繋がっている。バイパス入口コンベアB0に接続されるルートは、印刷装置P1を経由せずにネッキング装置N2に向かう無地缶を製造する無地缶製造部B(DI缶)になっている。
【0019】
缶胴成形装置D0(DI缶)で成形された缶胴は、分岐コンベア2の流路切換部21を通過する際に印刷装置入口コンベアP0またはバイパス入口コンベアB0のいずれかに送られることとなる。流路切換部21の一方の分岐23は印刷装置入口コンベアP0に接続されており、他方の分岐24はバイパス入口コンベアB0に接続されている。
【0020】
分岐コンベア2は、以上のように印刷装置入口コンベアP0を通る印刷缶製造部P(DI缶)とバイパス入口コンベアB0を通る無地缶製造部B(DI缶)のいずれかのルートに、成形された缶胴を送る。
印刷装置入口コンベアP0(印刷缶製造部P)に送られた缶胴は、缶胴外面に印刷が施された印刷缶となる。
バイパス入口コンベアB0(無地缶製造部B)に送られた缶胴は、缶胴外面に印刷がなされていない無地缶となる。
なお、前記2つのルートは、主ルートや副ルートという概念を持たない。実施例1の缶体製造システム1において、分岐のいずれのルートが主に使われるルートとなるかは、使用形態により決まるものだけであり、缶体製造システム1の構造などと直接関係しない。
【0021】
(印刷缶製造部(DI缶))
図1の印刷缶製造部P(DI缶)では、分岐コンベア2を介して印刷装置入口コンベアP0に送られた成形された缶胴が、印刷装置P1、バーニッシャーP2、第1キュアリングオーブンP3、内面コータP4および第2キュアリングオーブンP5の順に通過し、印刷が施される。
印刷装置P1は、缶胴の外面に印刷を施す装置である。バーニッシャーP2は、印刷された缶胴外面を保護するニスを缶胴外面全体にわたって塗布する装置である。第1キュアリングオーブンP3は、印刷のインキ及び塗布されたニスを乾燥させる装置である。内面コータP4は、缶胴内面を塗料でコーティングする装置である。第2キュアリングオーブンP5は、缶胴内面にコートされた塗料を乾燥させる装置である。
実施例1の印刷缶製造部P(DI缶)の流路上に備えられた装置は、印刷装置P1は不可欠な装置であるが、他の装置が追加で組み込まれたり、一部装置が取り除かれたりすることがある。
【0022】
(ルブリケータ)
印刷缶製造部P(DI缶)は、最後にルブリケータP6が設けられることがある。ルブリケータP6は、缶胴の上端にネッキング装置N2によりネッキングされる際に必要となる潤滑剤を塗布する装置である。潤滑剤は、ネッキング部Nで行われる缶胴上端のネッキングを助ける助剤である。ルブリケータP6はネッキング部N又はネッキング装置N2内に設けられてもよい。
【0023】
(印刷装置およびバーニッシャー)
図2は、印刷装置P1とバーニッシャーP2の説明図である。実施例1の印刷装置P1とバーニッシャーP2が共に組み込まれて一つの装置となっている。本発明は、このような態様も含む。
当該印刷装置P1は、インキングユニット41と、ブランケットホイール45と、搬送ユニット46と、マンドレルホイール47を備える。そして、当該装置は、マンドレルホイール47の下流側に、バーニッシャーP2を備え、トランスファーユニット51を介して印刷された缶胴を、第1キュアリングオーブンP3に向けて送り出す。
【0024】
印刷装置P1の細部を説明すると、印刷装置P1のインキングユニット41は、印刷版44へインキを供給する装置である。インキングユニット41は、インキの色毎に異なる複数のインキングユニット41がある。これらの複数のインキングユニット41は、それぞれブランケットホイール45の外周面に沿って配置される。インキングユニット41は、所定のインキを収容するインキ供給部42と、各インキ供給部42のインキに応じた印刷版44が装着された版胴43とを含む。
【0025】
(ネッキング装置)
ネッキング装置N2は、缶胴の上端をネッキングする装置である。缶の種類やニスの塗布の有無などにより、ネッキングに際し、潤滑剤が必要な場合と必要ない場合がある。この点は、上述の(ルブリケータ)の欄で説明したとおりである。
分岐コンベア2で印刷装置入口コンベアP0側に送られた缶胴は、印刷缶製造部P(DI缶)に送られ印刷された後、印刷装置出口コンベアP8から排出され、ネッキング装置N2があるネッキング部Nへと向かう。印刷済の缶胴は、印刷装置出口コンベアP8から排出され、ネッキング装置N2に送られ、ネッキングされる。このとき使われるネッキング装置N2は、印刷缶専用のものである。無地缶製造部B(DI缶)側へ送られた缶胴は、これとは別のネッキング装置N2でネッキングされる。図1図3ではネッキング装置N2は印刷缶ルートと無地缶ルートに各1台配置されているが、それぞれのルートに複数台設置されていても良い。
なお、ネッキング部Nの詳細については、後述する。
【0026】
(無地缶製造部(DI缶))
分岐コンベア2で無地缶製造部B(DI缶)側に送られた缶胴は、印刷装置P1を経由しないため、無地缶となって無地缶製造部B(DI缶)を出る。無地缶の缶胴は、印刷は施されないが、缶胴外面保護のためニスを塗布するなどの処理が行われる。
無地缶には、外面にニスが塗布されるため、無地缶製造部B(DI缶)上にはバーニッシャーB2と第1キュアリングオーブンB3が設けられている。また、印刷缶製造部P(DI缶)と同様に内面コータB4や第2キュアリングオーブンB5、ルブリケータB6が設けられている。ルブリケータB6についてはネッキング部N又はネッキング装置N2内に設けられていてもよい。
無地缶製造部B(DI缶)から排出された缶胴(無地缶)は、ネッキング部Nに送られネッキングされる。
【0027】
(分岐コンベア)
分岐コンベア2は、缶胴成形装置D0(DI缶)で成形された缶胴を、印刷装置入口コンベアP0(印刷缶製造部P(DI缶))とバイパス入口コンベアB0(無地缶製造部B(DI缶))に分けて送るものである。
分岐コンベア2の基部にある基部コンベア22は、缶胴成形部D(DI缶)に接続されている。分岐コンベア2の一方の分岐23は、印刷装置P1に繋がる印刷装置入口コンベアP0に接続されており、分岐コンベア2の他方の分岐24は、印刷装置P1を経由しないバイパス入口コンベアB0に接続され、無地缶製造部B(DI缶)に繋がっている。いずれの分岐(23・24)に缶胴を流すかの選択は、流路切換部21で行われる。流路切換部21の詳細は後述する。
【0028】
(実施例2)
実施例2は、本発明に包含される樹脂被覆缶の缶体製造システム1の例である。
(缶胴成形部D(樹脂被覆缶))
図3は、樹脂被覆缶の缶体製造システム1の説明図である。樹脂被覆缶の材料は、樹脂被覆されたアルミ板である。樹脂被覆缶の缶胴は缶胴成形部D(樹脂被覆缶)の缶胴成形工程において、缶胴成形装置D0(樹脂被覆缶)で成形される。樹脂被覆されたアルミ板は、缶胴成形装置D0(樹脂被覆缶)に設置されたカッピングプレス機D1でカップ状に打ち抜かれる。次いで、カップ状の缶材料は、ボディーメーカD2に送られ、クーラントを用いずに絞りしごき加工により缶胴が薄く伸ばされ、底部の成形がなされる。絞りしごき加工された缶胴は、トリマーD3で上部の不要部分がカットされ、高さが揃えられる。樹脂被覆缶の缶胴は、樹脂被覆されたアルミ板から成形されるため、DI缶と異なりクーラントやアルミ粉などの雑物が製造工程で生じることがなく、外面と内面共に樹脂で被覆された缶胴となる。そのため、DI缶の製造で行われた洗浄・乾燥工程はない。代わりに、絞りしごき加工された樹脂被覆缶の缶胴は、樹脂の歪を有しており、この歪を除去するためにヒートセットオーブンD7で加熱(加熱工程)がなされる。
【0029】
(分岐コンベア)
分岐コンベア2は、缶胴成形装置D0(樹脂被覆缶)で成形された缶胴を、印刷装置入口コンベアP0側とバイパス入口コンベアB0側に分けて送るものである。
分岐コンベア2の基部にある基部コンベア22は、缶胴成形部D(樹脂被覆缶)に接続されている。分岐コンベア2の一方の分岐23は印刷装置P1に繋がる印刷装置入口コンベアP0に接続されており、分岐コンベア2の他方の分岐24は印刷装置P1を経由しないバイパス入口コンベアB0に接続され、無地缶製造部B(樹脂被覆缶)に繋がっている。
【0030】
(印刷缶製造部(樹脂被覆缶))
樹脂被覆缶の印刷缶製造部P(樹脂被覆缶)は、DI缶のそれと比較してシンプルであり、印刷装置P1、印刷面にニスを塗布するバーニッシャーP2、塗料を乾燥させる第1キュアリングオーブンP3で構成されている。DI缶で必要であった、ルブリケータP6は必要ない。樹脂被覆缶の印刷缶は樹脂およびニスで被覆されているため、潤滑剤が無くともネッキングできるからである。印刷缶製造部P(樹脂被覆缶)から排出された缶胴は、印刷缶であり、印刷缶製造部P(樹脂被覆缶)を通るルートは印刷缶ルートとなる。
【0031】
(無地缶製造部(樹脂被覆缶))
印刷装置P1を経由せずにネッキング部Nに向かう無地缶製造部B(樹脂被覆缶)は、DI缶のそれと比較してさらにシンプルである。
樹脂被覆缶は、樹脂で被覆されているため、缶胴外面保護のためのニスの塗布が不要である。図3に示されているように、無地缶製造部B(樹脂被覆缶)は、成形された缶胴に対してルブリケータB6の処理を行い、ネッキング装置N2に向かって缶胴を排出する。ルブリケータB6はネッキング部N又はネッキング装置N2内に設置してもよい。無地缶製造部B(樹脂被覆缶)から排出された缶胴は、無地缶であり、無地缶製造部B(樹脂被覆缶)を通るルートは、無地缶ルートとなる。
なお、本発明は、必要に応じて他の何らかの装置を、無地缶製造部B(樹脂被覆缶)の流路に面して設置することを妨げないが、印刷装置P1が設置されることはない。
【0032】
(実施例1と実施例2まとめ)
本発明の缶体製造システム1は、流路切換部21により印刷装置入口コンベアP0から印刷缶製造部Pに繋がる印刷缶ルートとバイパス入口コンベアB0から無地缶製造部Bに繋がる無地缶ルートに成形された缶胴を分けて流すことができる。
従来の印刷缶製造部Pは、図柄変更のため印刷版44を交換する間、製造ラインを止めざるを得なかった。
本発明の缶体製造システム1は、流路切換部21により印刷缶ルートと無地缶ルートを選ぶことができ、印刷版44を交換するために印刷缶製造部Pを休止せざるを得ない状況でも、その間に無地缶を製造することが可能となる。実施例1および2の缶体製造システム1は、従来に比べて稼働率が向上する。
【0033】
(実施例3)
図4は実施例3の缶体製造システム1の説明図である。実施例1や実施例2は、缶胴成形装置D0を共通化し、印刷缶製造部Pと無地缶製造部Bのそれぞれ終端にネッキング部Nを備える態様であった。実施例3は、缶胴成形装置D0のみならずネッキング部Nについても共通化を図った例である。
よって、実施例3の缶体製造システム1では、缶胴成形部D、印刷缶製造部P、無地缶製造部Bに設置される各装置は、DI缶を製造する場合は実施例1(図1)と同様であり、また、樹脂被覆缶を製造する場合は実施例2(図3)と同様である。しかし、実施例3の缶体製造システム1は、内面コータ(P4・B4)、第2キュアリングオーブン(P5・B5)は合流コンベア6とネッキング装置N2の間に設置されてもよい。具体的には、これらの装置は、ネッキング部Nに設置されていてもよい。このように、印刷缶製造部Pは印刷装置P1が必須であり、そして、無地缶製造部Bは印刷装置P1が設けられていないことを除けば、他の装置は製造しようとする缶の種類に応じその位置を変更することができる。
【0034】
分岐コンベア2は、制御部3によって制御されており、制御部3は流路切換部21の可動ガイド(切換装置)211を動かすことで、一方の分岐23と他方の分岐24に缶胴を振り分ける。
一方の分岐23は、印刷装置入口コンベアP0、すなわち、印刷缶製造部Pに繋がるものであり、この印刷缶ルートを通る缶胴は印刷された後、印刷装置出口コンベアP8から合流コンベア6に向かって送り出される。他方の分岐24は、バイパス入口コンベアB0、すなわち、無地缶製造部Bに繋がるものであり、この無地缶ルートを通る缶胴は印刷されずに外面にニスを塗られ、合流コンベア6に向かって送り出される。
【0035】
合流コンベア6は、印刷缶製造部Pと無地缶製造部Bをその出口において、一つにまとめるコンベアである。合流コンベア6を出た缶胴はネッキング入口コンベアN0へと送られる。通常稼働時には、可動ガイド(切換装置)211による分岐の選択により印刷缶と無地缶のいずれかの製造のみが行われるから、合流コンベア6により印刷缶と無地缶が混合されることはない。
また、実施例1では、印刷缶製造部P上または無地缶製造部B上にルブリケータP6、B6を設けていた。実施例3では、印刷缶製造部Pと無地缶製造部BのいずれにもルブリケータP6、B6は設けられていない。
【0036】
代わりにルブリケータN1は、ネッキング部Nに設けられており、制御部3はネッキングに際して潤滑剤の塗布の必要のある缶胴(例えば、DI缶や樹脂被覆缶の無地缶)のみルブリケータN1が稼働するように制御する。ルブリケータN1はネッキング装置N2内に設置してもよいし、缶体製造システム1が樹脂被覆缶専用の場合は無地缶製造部B内(B6)に設置してもよい。
次いで、缶胴は、ネッキング装置N2によりネッキングされ、ネッキング出口コンベアN5から排出され、パレタイザー入口コンベアPT0に向かって送られる。
パレタイザー部PTは、製造された缶胴をパレット上に並べて積み上げる装置である。積み上げられた缶胴は、フォークリフト等により保管場所に移動される。
【0037】
実施例3は以上の構成により、缶胴成形装置D0、ネッキング部N及びパレタイザー部PTを共通化したものであり、印刷缶と無地缶のいずれの缶胴も製造することができる。図4はネッキング装置N2が1台の場合の例であるが、複数台のネッキング装置N2を有していてもよい。
実施例3は、製造工程の一部に使う装置の共通化を図ることで、一つの缶体製造システム1で印刷缶と無地缶を作ることができる。缶体製造システム1は、コンパクトになり、本発明はコストダウンに寄与できる。
【0038】
(実施例4)
【0039】
(缶胴検出センサ)
図5-1および図5-2に示されるように、実施例4の印刷装置入口コンベアP0は、上流側缶胴検出センサ25と下流側缶胴検出センサ26が取り付けられている。両缶胴検出センサ(25・26)は、缶胴の通過を検出するセンサであり、缶胴が当該センサ(25・26)位置にあるとき信号を出し、缶胴がないときには信号を出さないセンサである。缶胴が隙間なく送られてくる場合、両缶胴検出センサ(25・26)は信号を出し続ける。缶胴がまばらに送られてくる場合、両缶胴検出センサ(25・26)は信号のオンオフを繰り返す。缶胴が送られなくなった場合、両缶胴検出センサ(25・26)は、信号を出さない。
【0040】
(印刷缶製造から無地缶製造への切換・試し刷り)
図5-1および図5-2は、分岐コンベア2の可動ガイド(切換装置)211による切換の説明図である。図5-1および図5-2は、印刷缶製造から無地缶製造へ切り換えるときの可動ガイド(切換装置)211の動きと、コンベア類の動きを説明している。
【0041】
図5-1(A)は、印刷缶を製造している状態を示しており、可動ガイド(切換装置)211は、一方の分岐23へ成形された缶胴を流す位置に置かれている。分岐コンベア2の基部コンベア22は稼働しており同じく稼働中の印刷装置入口コンベアP0へと缶胴を送っている。
切換工程の第1段階は、分岐コンベア2の基部コンベア22を停止することから始まる。このとき、印刷缶製造部Pのコンベア類は稼働しており、印刷缶の製造を続けている。しばらくすると、印刷装置入口コンベアP0上の缶胴は、次第に減り、印刷装置入口コンベアP0の始端部にある上流側缶胴検出センサ25は缶胴を検出しなくなる。(なお、このとき、下流側缶胴検出センサ26は缶胴を検出し続けている。)
制御部3は、このタイミングを判断し、可動ガイド(切換装置)211を一方の分岐23を閉塞するように駆動する。図5-1(B)は、この時の状態を示している。
【0042】
可動ガイド(切換装置)211が一方の分岐23を閉塞すると、制御部3は、印刷缶製造部P上、特に、印刷装置P1に印刷途中の缶胴が残っていないように、印刷缶製造部Pにあるコンベア類をしばらく稼働させた後、当該コンベア類を停止させる。
制御部3は、その後、基部コンベア22とバイパス入口コンベアB0を駆動させ、無地缶の製造を開始する。
印刷装置入口コンベアP0は、多数の缶胴が滞留できるように構成されており、無地缶の製造が開始されてもかなりの量の缶胴が滞留されている。この滞留した缶胴は、印刷を開始する時の試し刷りに使用される。
この状態が、図5-1(C)に示されている。
【0043】
作業員が缶胴の外面に印刷される図柄を変更するために印刷缶製造を止めることはよくある。そのようなとき作業員は、印刷缶製造部Pがある印刷缶ルートから無地缶製造部Bがある無地缶ルートに切り換えることで、缶体製造システム1を止めず効率よく使用することができる。
【0044】
作業員は、印刷装置P1の停止中に、印刷版44の交換を行い、そして、試し刷りをおこなう。印刷装置入口コンベアP0に滞留した缶胴は、試し刷りに使用される。試し刷りされた印刷缶は印刷缶製造部P上で取り除かれる。これにより、無地缶と試し刷りされた印刷缶が混ざることを防ぐ。
【0045】
試し刷りは、何回か行われることがある。そのとき、印刷装置入口コンベアP0に滞留した缶胴が無くなることがあり得るため、印刷装置入口コンベアP0に試し刷り用缶胴を補充する。
制御部3は、上流側缶胴検出センサ25と下流側缶胴検出センサ26が共に缶胴を検出しなくなると、印刷装置入口コンベアP0上に試し刷りに十分な量の缶胴が無いと判断する。図5-2(D)は、この状態を示している。
そして、制御部3は、一時的に可動ガイド(切換装置)211を開き、一方の分岐23から印刷装置入口コンベアP0側に缶胴を流すよう制御する。図5-2(E)は、この状態を示している。これにより印刷装置入口コンベアP0に試し刷り用缶胴を補充する。
【0046】
制御部3は、上流側缶胴検出センサ25と下流側缶胴検出センサ26が共に缶胴を検出すると、十分量の缶胴が印刷装置入口コンベアP0に貯留されたと判断し、可動ガイド(切換装置)211を動かし、無地缶製造部B側に缶胴を送る。再び、缶胴の流れは、図5-1(C)に戻り、無地缶ルートで無地缶製造が継続する。
【0047】
試し刷りが終了すると、作業員は印刷缶の製造を開始すべく、可動ガイド(切換装置)211を動かすことができる。缶胴の流れは、図5-1(A)になり、印刷装置入口コンベアP0側へ向かう。無地缶製造部B上のコンベアや装置は停止し、印刷缶の製造が再開する。
【0048】
実施例4は、缶胴の生産を無地缶製造に切り換えることで、缶体製造システム1を停止させずに、印刷装置P1のメンテナンスや印刷版44の交換を行うことができる。このように、実施例4の缶体製造システム1は、高い生産性のシステムとして使うことができる。
【0049】
(実施例5)
実施例5は、分岐コンベア2の流路切換部21において、実施例4の可動ガイド(切換装置)211を用いない例である。
図6は、分岐コンベア2の搬送速度制御による分岐切換の説明図である。図6(A)は、分岐コンベア2の一方の分岐23から印刷装置入口コンベアP0に向かって缶胴を流している状態を表している。印刷缶製造時は、分岐コンベア2の基部コンベア22と印刷装置入口コンベアP0が駆動されており、バイパス入口コンベアB0は停止している。
【0050】
図6(B)は、印刷缶製造から無地缶製造に切り換えた状態を示している。制御部3は、印刷装置入口コンベアP0の搬送速度制御を行い、印刷装置入口コンベアP0を停止させる。同時に制御部3は、印刷缶製造部Pの他のコンベアを動かすように搬送速度制御を行う。これにより、印刷缶製造部Pに缶胴が残ることが無くなる。その後、制御部3はバイパス入口コンベアB0を駆動し、他方の分岐24から無地缶製造部Bに向かって缶胴を流す。
以上のように、可動ガイド(切換装置)211を設けなくとも、作業員はコンベアの搬送速度やオンオフにより、一方の分岐23あるいは他方の分岐24に向かって缶胴を流すことができる。
なお、以上の例は、制御部3により切換工程を行うものであった。本発明は、作業員が流路切換部21を操作することも含む。
【0051】
(試し刷りの際の搬送速度制御)
試し刷りは、何回か行われ、印刷装置入口コンベアP0に滞留した缶胴が無くなることがあり得ることは、前述したとおりである。
印刷装置入口コンベアP0に試し刷り用缶胴を補充するため、実施例4では可動ガイド(切換装置)211を動かしたが、実施例5は搬送速度制御により補充を行うことができる。
【0052】
図6に記載のように、実施例5の分岐コンベア2は可動ガイド(切換装置)211を有していない。印刷装置入口コンベアP0に試し刷り用缶胴を補充するときは図6(B)の状態から図6(A)の状態に一時的に戻してもよいが、他の例として、制御部3は、バイパス入口コンベアB0の搬送を通常時よりゆっくりと搬送するように搬送速度制御を行う。このとき分岐コンベア2は、通常の速度が保たれる。それと同時またはそれと前後して、制御部3は、印刷装置入口コンベアP0の搬送速度を制御し、流路切換部21に溜まった缶胴の一部を印刷装置入口コンベアP0に向かって流れるように制御する。バイパス入口コンベアB0の搬送速度が速すぎれば、印刷装置入口コンベアP0側に缶胴が流れにくくなるし、バイパス入口コンベアB0の搬送速度が遅すぎれば、無地缶製造部Bを通って生産される無地缶製造が途切れてしまう。このときのバイパス入口コンベアB0と印刷装置入口コンベアP0は、制御部3により、無地缶の製造に影響を及ぼさないように搬送速度制御が行われる。
【0053】
(実施例6)
実施例6は、ネッキング部Nとパレタイザー部PTの組み立てと配置に関する実施例である。図7-1は缶体製造システム組み立ての説明図であり、図7-1(A)は缶体製造システム1の組立前の状態を示す説明図である。
缶胴成形部D、印刷缶製造部P、無地缶製造部Bについては、それぞれの装置がユニット化されている。例えばカッピングプレス機ユニット、ボディーメーカユニット、印刷装置ユニットなどである。
【0054】
また、ネッキング部Nはネッキング部架台71とネッキング装置N2がユニットになっている。さらに、ネッキング部架台71はネッキング出口コンベアN5を有している。ネッキング部架台71はネッキング出口コンベアN5ごと移動できるモジュールとなっており、缶体製造システム1の組み立てを容易にしている。
さらに、接続コンベア架台72は、接続コンベアSおよびパレタイザー入口コンベアPT0を有しており、接続コンベアSおよびパレタイザー入口コンベアPT0ごと移動できるモジュールとなっている。接続コンベアS又はパレタイザー入口コンベアPT0のどちらか一方が、接続コンベア架台72に備えられていてもよい。
パレタイザー部PTは、パレタイザー部PTを備えたユニットになっている。パレタイザー部PTはさらにパレタイザー入口コンベアPT0が備えられていてもよい。
【0055】
図7-1(B)はパレタイザー部PTとネッキング部Nを並列に配置した説明図である。当初図7-1(A)のようにバラバラになって置かれたユニットやモジュールは、矢印の方向に動かすことで組み立てられて、並列配置の缶体製造システム1となる。
ネッキング部架台71は、ネッキング入口コンベアN0と合流コンベア6が接続するように動かされる。そして、接続コンベア架台72は、接続コンベアSとネッキング出口コンベアN5が繋がるように動かされる。そして、ネッキング部Nからパレタイザー部PTに缶胴を送るルートは接続コンベア架台72に設けられたパレタイザー入口コンベアPT0がパレタイザー部PTに接続されることで完成する。
【0056】
図7-2(C)は、直列配置の缶体製造システム1の説明図である。各ユニットは直列に配置される。ネッキング部架台71と接続コンベア架台72が、ネッキング出口コンベアN5や接続コンベアS、パレタイザー入口コンベアPT0ごと移動できるため、組立が容易となる。また設置場所のスペースに合わせて並列配置と直列配置を選べるため、レイアウト変更が簡単に行える。
【0057】
(実施例7)
実施例7は、図1図3に記したように、無地缶製造部Bと印刷缶製造部Pの各々にネッキング装置N2を配置する態様である。ネッキング装置N2の入口と出口は、それぞれネッキング入口コンベアN0とネッキング出口コンベアN5が接続されている。ネッキング入口コンベアN0は、ネッキング装置N2を移動させることで印刷装置出口コンベアP8と接続することができる。また、ネッキング入口コンベアN0は、ネッキング装置N2を移動させることで無地缶製造部Bと接続することができる。図1図3のネッキング部架台71はネッキング出口コンベアN5ごと動かせるモジュールとなっているため、接続・組立作業は簡単である。
【0058】
(実施例8)
図8は、缶体製造システム1のネッキング部Nとパレタイザー部PTの立体並列配置の説明図である。
図8(A)は、缶体製造システム1組立前の説明図であり、図8(B)は接続コンベア架台72にハッチングを付した説明図である。
ネッキング部Nは、ネッキング部架台71の下にある。ネッキング部架台71は、ネッキング出口コンベアN5を有している。接続コンベア架台72とネッキング部架台71のそれぞれの架台の上には、接続コンベアSが設けられている。接続コンベア架台72やネッキング部架台71は、ネッキング出口コンベアN5や接続コンベアS、パレタイザー入口コンベアPT0ごと移動できるモジュールとなっている。
接続コンベアSは接続コンベア架台72またはネッキング部架台71のどちらか一方に設けられ、他方に片持ちで伸ばしても良い。またパレタイザー入口コンベアPT0はパレタイザー部PTに取付けられてもよい。
図8(A)と図8(B)のパレタイザー部PTは、説明のため既にパレタイザー入口コンベアPT0と、接続コンベア架台72の接続コンベアSが接続され組み立てられた状態になっている。
【0059】
図8(C)は、ネッキング部Nとパレタイザー部PTを立体並列配置した状態を示している。パレタイザー入口コンベアPT0は、接続コンベア架台72の上に設けられた接続コンベアSと連結される。当該接続コンベアSは、さらに、ネッキング部架台71の接続コンベアSと接続される。組み立てられた缶体製造システム1は、パレタイザー部PTが2階にあると共に、他の装置と左右方向にずれて配置、すなわち、立体並列配置されている。具体的に説明すれば、パレタイザー部PTとネッキング出口コンベアN5の一部は、2階部分に設けられている。また、パレタイザー部PTは、1階部分に設置されたパレタイザー部PTを除く他の装置群と平面視で右と左にずれている。パレタイザー部PTの直下の1階部分は、空いた空間となっている。当該空間は、必要に応じ何らかの装置を配置し、有効利用することができる。また、当該空間は、パレタイザー部PTで積層された缶胴を集積地へ搬送するコンベア類を配置するなどに利用してもよい。
【0060】
このように、実施例8の缶体製造システム1は、立体配置が可能であり、しかも、接続コンベア架台72やネッキング部架台71が、各架台に設けられたネッキング出口コンベアN5や接続コンベアSやパレタイザー入口コンベアPT0ごと移動できるモジュールとなっているため、缶体製造システム1の構成要素の組立や位置を変更することが容易である。また、実施例8の缶体製造システム1は、立体配置することで設置面積を減らすことができ、省スペース化に寄与できる。
【0061】
(実施例9)
図9は、缶体製造システム1のネッキング部Nとパレタイザー部PTの立体直列配置の説明図である。図9(A)は、缶体製造システム1組立前の説明図であり、図9(B)は接続コンベア架台72にハッチングを付した説明図である。図9(C)は組立後の説明図である。
【0062】
実施例9は実施例8と同じ接続コンベア架台72を備えており、また、ネッキング部架台71は、実施例8と同じである。実施例8が、立体並列配置であるのに対して、実施例9の缶体製造システム1は、缶体製造システム1を構成する各装置が直列かつパレタイザー部PTの部分で立体的に配置されている態様である。
実施例9は、1階にある他の装置の直上にパレタイザー部PTが配置されるため、非常にコンパクトに缶体製造システム1を納めることが可能である。
図8の並列配置と図9の直列配置は設置場所のスペースに合わせて選択でき、レイアウト変更が簡単に行える。接続コンベア架台72やネッキング部架台71が、各架台に設けられたネッキング出口コンベアN5や接続コンベアSやパレタイザー入口コンベアPT0ごと移動できるモジュールとなっているため、缶体製造システム1は容易に組み立てることが可能である。
【0063】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0064】
B 無地缶製造部
B0 バイパス入口コンベア
B2 バーニッシャー
B3 第1キュアリングオーブン
B4 内面コータ
B5 第2キュアリングオーブン
B6 ルブリケータ
D 缶胴成形部
D0 缶胴成形装置
D1 カッピングプレス機
D2 ボディーメーカ
D3 トリマー
D4 ウオッシャ
D5 オーブン
D7 ヒートセットオーブン
N0 ネッキング入口コンベア
N ネッキング部
N1 ルブリケータ
N2 ネッキング装置
N5 ネッキング出口コンベア
P0 印刷装置入口コンベア
P 印刷缶製造部
P1 印刷装置
P2 バーニッシャー
P3 第1キュアリングオーブン
P4 内面コータ
P5 第2キュアリングオーブン
P6 ルブリケータ
P8 印刷装置出口コンベア
PT0 パレタイザー入口コンベア
PT パレタイザー部
S 接続コンベア
1 缶体製造システム
2 分岐コンベア(分岐部)
21 流路切換部
211 可動ガイド(切換装置)
22 基部コンベア
23 一方の分岐(印刷缶側)
24 他方の分岐(無地缶側)
25 上流側缶胴検出センサ
26 下流側缶胴検出センサ
3 制御部
41 インキングユニット
42 インキ供給部
43 版胴
44 印刷版
45 ブランケットホイール
46 搬送ユニット
47 マンドレルホイール
51 トランスファーユニット
6 合流コンベア
71 ネッキング部架台
72 接続コンベア架台
図1
図2
図3
図4
図5-1】
図5-2】
図6
図7-1】
図7-2】
図8
図9