(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163423
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】処理装置、および、廃棄物処理装置
(51)【国際特許分類】
B09B 3/60 20220101AFI20231102BHJP
B01D 53/86 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B09B3/60 ZAB
B01D53/86 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074338
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小堀 稔文
(72)【発明者】
【氏名】新井 克美
(72)【発明者】
【氏名】小野坂 純一
【テーマコード(参考)】
4D004
4D148
【Fターム(参考)】
4D004AA03
4D004BA04
4D004CA19
4D004CA48
4D004CB04
4D004CB06
4D004CB28
4D148AA22
4D148AB01
4D148CA01
4D148CC38
4D148CC52
(57)【要約】
【課題】
装置内のエネルギー利用効率を高めた処理装置を提供すること。
【解決手段】
上記課題を解決するために、本発明の処理装置は、装置本体の枠体Dと、枠体D内に設けられ、処理対象物を処理する処理槽10、11と、枠体D内に設けられ、処理槽10、11内の空気を加熱して触媒により脱臭する加熱脱臭手段32と、枠体D内に設けられ、加熱脱臭手段32により温められた空気の熱を電力に変換する熱電変換部材80と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の枠体と、
前記枠体内に設けられ、処理対象物を処理する処理槽と、
前記枠体内に設けられ、前記処理槽内の空気を加熱して触媒により脱臭する加熱脱臭手段と、
前記枠体内に設けられ、前記加熱脱臭手段により温められた空気の熱を電力に変換する熱電変換部材と、を備えたことを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記加熱脱臭手段により脱臭された空気を前記処理槽外へと導く排気通路を備え、
前記熱電変換部材は、前記加熱脱臭手段により脱臭された空気を前記処理槽外へと導く排気通路に、隣接して配置されることを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記加熱脱臭手段により温められた空気を、前記処理槽内に戻す還流通路を備え、
前記熱電変換部は、前記還流通路に、隣接して配置されることを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記処理槽内に外気を導入する外気導入口を備え、前記外気導入口を通過した空気と前記加熱脱臭手段により脱臭された空気との熱交換部に前記熱電変換部を配置することを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の処理装置であって、
前記処理対象物は、生ゴミ等の廃棄物であることを特徴とする廃棄物処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ごみ等の廃棄物を処理する処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生ごみ等の廃棄物を処理する技術として、微生物の力を利用して廃棄物の分解処理を効率良く行なう廃棄物処理装置が知られている。処理対象物の臭気を脱臭するために、加熱脱臭器が用いられる。
【0003】
このような処理装置において、加熱脱臭器通過後の排気が持つ熱エネルギーを有効利用するために、特許文献1には、酸化触媒を内蔵する脱臭器から排気する際、高温に加熱された排気を利用して、処理槽を保温する技術が開示されている。この特許文献1 には、生ごみ処理槽の下面部側に形成した加熱室を高温の排気で加熱することで、生ごみの分解処理に際して微生物の活動が活発に行われる温度に処理槽を保温することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1の処理装置は、加熱脱臭した空気の利用効率が低かった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、装置内のエネルギー利用効率を高めた処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の処理装置は、
装置本体の枠体と、
前記枠体内に設けられ、処理対象物を処理する処理槽と、
前記枠体内に設けられ、前記処理槽内の空気を加熱して触媒により脱臭する加熱脱臭手段と、
前記枠体内に設けられ、前記加熱脱臭手段により温められた空気の熱を電力に変換する熱電変換部材と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、加熱脱臭手段での加熱脱臭の際に排出される熱エネルギーを、装置内に備えた熱電変換部により電気エネルギーに変換して有効利用することができ、装置内のエネルギー利用効率を高めた処理装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る処理装置を示す外観図
【
図2】本発明の第1実施形態に係る処理装置の内部構成を示す説明図
【
図3】本発明の第1実施形態に係る処理装置の制御部を示す説明図
【
図4】本発明の第2実施形態に係る処理装置の内部構成を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
図1は、本発明の一実施形態に係る処理装置A本体の外観図、
図2は処理装置Aの内部構造の説明図である。図中、矢印Zは鉛直方向(処理装置Aの高さ方向)を示し、矢印X及びYは互いに直交する水平方向(X方向は処理装置Aの幅方向、Y方向は処理装置Aの奥行き方向)を示す。処理装置Aは生ごみ等の廃棄物を減量処理する廃棄物処理装置である。
【0011】
<装置の概要>
図1に示すように、処理装置Aの上面には、生ごみを投入する投入口1aを開閉するドア1が回動自在に設けられている。処理装置Aの上面にはまた、操作部3が設けられている。操作部3には処理装置Aの処理開始、停止等をユーザが指示するためのスイッチ等が設けられる。処理装置Aの正面には、減量処理済の廃棄物を排出するための排出口2、及び、この排出口2を開閉するためのドア2aが回動自在に設けられている。ドア1、ドア2aを閉鎖した状態では、処理装置A内の処理槽乃至回収室(10~12)の気密性が保たれるようにドア1やドア2aの周囲には不図示のシール部材が設けられる。
【0012】
図2を参照して、処理装置Aは底板4を備え、その下面にはキャスタ5が取り付けられており、処理装置Aの移動を容易なものとしている。底板4上にはX方向に互いに離間した仕切壁6乃至8が立設されている。仕切壁6乃至8は底板4に固定された隔壁であり、処理槽乃至回収室(10~12)内の空間を仕切る。処理装置Aの枠体Dとしては、底板4の上に立設された壁を含み、枠体内に各種構成が配置される。
【0013】
処理槽10内では、処理対象物として、各種の有機物を対象とできるが、例えば、生ごみ等の廃棄物を加温処理する。詳細には、廃棄物の前処理となる醗酵処理と、後処理となる乾燥処理とによる廃棄物の減量処理である。仕切壁6と仕切壁7との間の空間は、主として醗酵処理を行う処理槽10を形成している。仕切壁7と仕切壁8との間の空間は、主として乾燥処理を行う処理槽11を形成している。処理槽11のX方向の側方には、仕切壁8で仕切られた回収室12が形成されている。回収室12には減量処理された廃棄物が処理槽11から導入される。回収室12は、主として、廃棄物の乾燥状態を維持する。回収室12は排出口2と連通しており、ドア2aを開放することで回収室12から減量処理済の廃棄物を取り出すことができる。本実施形態では、処理室を3つに区分けした構成としているが、区分けしない構成や、2つ以下に区分けした構成、或いは、4つ以上に区分けした構成でもよい。
【0014】
処理装置Aは、駆動ユニット20を備える。駆動ユニット20は、処理槽10及び11を横断する駆動軸21を備える。駆動軸21はX方向に延設され、仕切壁6乃至8にそれぞれ設けた軸受け22により回転自在に支持されている。駆動ユニット20は、また、駆動軸21の一方端部に固定されたスプロケット23と、モータ24と、を備える。スプロケット23と、モータ24の出力軸に固定したスプロケットとにはベルトが巻きまわされてベルト伝動機構が構成されている。そして、モータ24の駆動により駆動軸21が回転するようにしている。
【0015】
駆動軸21にはその径方向に延びる攪拌棒25が複数取り付けられている。駆動軸21の回転により、攪拌棒25によって処理槽10及び11内の廃棄物が攪拌される。本実施形態では棒状の攪拌棒25を採用したが、槽内を攪拌可能な形状であればよい。仕切壁7の下部には、処理槽10と処理槽11とを連通させる連通孔71が形成されており、攪拌棒25による攪拌により、処理槽10から処理槽11へ廃棄物が移動可能となっている。
【0016】
なお、本実施形態では、仕切壁7の下部に連通孔71を設けて処理槽10から処理槽11へ廃棄物を移動可能としたが、仕切壁7の上部に開口部を設けて、仕切壁7を超えて処理槽10から処理槽11へ廃棄物がオーバーフローすることにより、廃棄物を移動可能としてもよい。
【0017】
処理槽11内の廃棄物は、その堆積量の増加により、仕切壁8の上部に設けた開口部74から仕切壁8を超えて回収室12へ落下し、回収室12内に堆積する。なお、本実施形態では、仕切壁8を超えて処理槽11から回収室12へ廃棄物が移動可能としたが、仕切壁8の下部に連通孔を設けて処理槽11から回収室12へ廃棄物がアンダーフローすることにより、廃棄物を移動可能としてもよい。
【0018】
<減量処理>
処理装置Aによる生ごみ等の廃棄物の減量処理について説明する。生ごみの減量処理としては、生ごみを単に脱水させる方式、生ごみを乾燥させる方式、微生物による分解処理(醗酵処理)が知られている。本実施形態では、分解処理と乾燥とを組み合わせた減量処理であるが、他の方式でもよい。
【0019】
投入口1aから投入された生ごみは、始めに処理槽10に入る。処理槽10内の、水分を多量に含む生ごみRD1は、生ごみRD1に存する微生物或いは予め投入された大鋸屑等の菌床となる基材の働きにより分解される。その際、攪拌棒25による攪拌により、生ごみRD1の均一な分解が促進される。
【0020】
分解処理が進行して減量された処理槽10内の生ごみRD1は、仕切壁7の下部の連通孔71を介して処理槽10から処理槽11へ移動する。処理槽11内の生ごみRD2は、後述するように還流通路31cから排気される加熱された空気の吹き付けにより乾燥される。処理槽11内に堆積した、乾燥の進んだ生ごみRD2は、処理槽11からオーバーフローして回収室12に排出される。回収室12には、こうした減量処理によって生じた、生ごみの残渣RD3が堆積されることになる。
【0021】
<脱臭と加温>
廃棄物の乾燥はその水分(水蒸気)が処理槽10外へ排出されることで促進される。一方、廃棄物の醗酵により、処理槽10内の空気は異臭を伴うため、そのまま排出すると望ましくない。そこで、加熱脱臭装置32で加熱脱臭して排出する。
【0022】
回収室12及び処理槽11の上方空間には、ケース部材30に収容された加熱脱臭装置32が配設されている。加熱脱臭装置32の内部には、ヒータ部32aと、脱臭部32bと、が収容されている。
【0023】
送風機31により、処理槽10内の臭気を伴う空気は、連通孔73及びダクト31aを経由して、ケース部材30内に導入される。ヒータ部32aは脱臭部32bよりも
図2の矢印で図示した空気の流れの経路上、先に配設されており、ケース部材30内に導入された処理槽10内の臭気を伴う空気は、まず、ヒータ部32aを通過する。ヒータ部32aを通過して加熱された臭気を伴う空気は、脱臭部32bを通過して脱臭される。脱臭部32bは、例えば、酸化触媒であり、ヒータ部32は酸化触媒の活性化温度に適した温度となるように空気を加熱する。
【0024】
加熱脱臭装置32により加熱脱臭された空気は、排気通路31b又は還流通路31cへと分流される。排気通路31bへと分流された空気は、送風機33により吸引され、排気通路33a及び外気導入口34を介して処理装置Aの外部へ排出される。処理槽10及び処理槽11並びに回収室12は外気導入口34を除いて気密性が維持されるよう構成され、排気通路33aから排気された空気量に相当する外気が外気導入口34から処理装置A内に自然吸気される。
【0025】
本実施形態では、排気通路31bに熱電変換部材80を備えていて、加熱脱臭装置32により加熱脱臭された空気の熱エネルギーを吸収することで、そのエネルギーの再利用により処理装置Aのエネルギー効率を高めると共に、加熱脱臭された空気が送風機33により吸引され、排気通路33a及び外気導入口34を介して処理装置Aの外部へ排出されるに際して温度を低下させることができる。
【0026】
ここで、上述した本実施形態に係る熱電変換部材80は、熱エネルギーを直接ないし間接的に電気エネルギーへと変換可能な部材であり、主に物質の両端に温度差を生じさせることで電圧が生じる「ゼーベック効果」を発現できる部材に代表される。さらに詳しくは、異なる2種類の金属または半導体、特にp型半導体とn型半導体を接合し、それら2種類の材料間の温度差により発生した起電力を、備えた電極を通じて取り出す部材である。このように熱電変換部材80によって、熱エネルギーは、装置外に排出される前に、電気エネルギーに変換され、装置を稼働するために用いられるため、排出される熱エネルギーを少なくすることもできる。
【0027】
上述した本実施形態に係る熱電変換部材80に用いられる具体的な材料としては、例えば、Bi2Te3,PbTe,AgSbTe2/GeTe,Bi2Te3/Sb2Te3などのテルル化合物系、ZnSb,Zn4Sb3,CeFe3CoSb12,LaFe3CoSb12などのアンチモン化合物系、SiGe,β-FeSi2,Ba8Si46,MgSi,MnSi1.73などのシリコン化合物系、NaCo2O4,CaCoO3SrTiO3:Nbなどの金属酸化物系、その他、Mg3(Sb,Bi)2,Zr3Ni3Sb4,カーボンナノチューブ-高分子複合材料,部分的にMgTeのナノ構造を有するPbTeなどの材料が挙げられるが、この限りではない。
【0028】
さらに、本実施形態に係る熱電変換部材80は、上述したゼーベック効果を発現できる部材に限らず、直接ないし間接的に熱エネルギーを電気エネルギーへと変換する部材であれば、特に制限なく適用される。例えば、温度差によって電子のスピン角運動量の流れを発生する「スピンゼーベック効果」や、温度差による自発的な磁場変化に起因する熱起電力を発生する「異常ネルンスト効果」などを発現できる部材でも良い。これらの熱電変換材料は、その熱電変換機構から、上述のゼーベック効果を発現できる材料と比較して、シンプルかつ薄い構成を適用可能で、装置の低コスト化や後述する曲面配置への適用性の向上などが可能になる。
【0029】
上述した本実施形態に係る熱電変換部材80は、排気通路31bを通過する加熱脱臭装置32により加熱脱臭された空気及び外気導入口34から処理装置A内に自然吸気された空気との間で効率的な熱伝導が行われるように配置されれば良く、排気通路31bを構成する部材に密着して配置されても良いし、排気通路31bを構成する部材との間に熱伝導効率を改善する伝熱部材を介して配置されても良いし、熱電変換部材80が排気通路31bを構成する部材を兼ねる形で配置されても良い。本実施例においては、熱電変換部材80は、外気から導入された空気と加熱脱臭された空気が熱交換を行う熱交換部に配置されているため、温度差が発生しやすい。
【0030】
特に、熱電変換部材80が排気通路31bを構成する部材を兼ねる形で配置された場合は、熱電変換部材80に加熱脱臭装置32により加熱脱臭された空気及び外気導入口34から処理装置A内に自然吸気された空気と熱電変換部材80が直接接することができるため、効率良い熱伝導が可能となる。加えて、構成部材を減らすことができ、処理装置Aの作製及びメンテナンスに係るコストを抑えるメリットもある。
【0031】
さらに、上述した本実施形態に係る熱電変換部材80が曲面を有する場所に配置される場合は、熱電変換部材80がフレキシブル性を有する熱電材料により構成されることが望ましい。そのような材料としては、TiS2HAxDMSOy(HA:hexyl ammonium,DMSO:dimethyl sulfoxide),PEDOT:PSS(poly(3,4-ethylenedioxythio phene):poly(styrene sulfonate)),カーボンナノチューブやポリスチレン,これらを含む無機有機複合材料などが挙げられるが、PETやPEN,ポリイミドフィルムなどのフレキシブル基板上に、BiTe系などの上述した熱電変換部材80に用いられる具体的な材料の一例のいずれかを形成して用いても何ら問題はない。
【0032】
上述したフレキシブル性を有する熱電材料により構成された熱電変換部材80を用いることで、例えば、排気通路31bが
図2に図示されるように曲面を有するような構造においても、または、排気通路31bが円筒状のパイプのようなもので構成される場合においても、熱電変換部材80は排気通路31bに密着して配置することができ、効率的な熱回収を行うことができる。加えて、上述したフレキシブル性を有する熱電材料により構成された熱電変換部材80は薄膜・軽量のため、設置する場所の部材や形状などの選択肢が広がるという利点も供することができる。
【0033】
上述したフレキシブル性を有する熱電材料により構成された熱電変換部材80を用いる場合、その使用温度は熱電変換部材80が効率的な熱電変換を行うのに支障のない範囲で、用いた材料に応じて適宜選択される。例えば、基板も含めて有機材料を用いた場合は、一般的に、室温付近~250℃程度の範囲が好ましく、室温付近~150℃程度の範囲が特に好ましい。
【0034】
上述したフレキシブル性を有する熱電材料により構成された熱電変換部材80を用いることで、例えば、排気通路31bが
図2に図示されるように曲面を有するような構造においても、または、排気通路31bが円筒状のパイプのようなもので構成される場合においても、熱電変換部材80は排気通路31bに密着して配置することができ、効率的な熱回収を行うことができる。加えて、上述したフレキシブル性を有する熱電材料により構成された熱電変換部材80は薄膜・軽量のため、設置する場所の部材や形状などの選択肢が広がるという利点も供することができる。
【0035】
また、上述した本実施形態に係る熱電変換部材80が配置される範囲については、その範囲が広いほど、加熱脱臭装置32により加熱脱臭された空気の熱エネルギーをより多く電気エネルギーに変換することが出来、かつ該加熱脱臭された空気の温度をより低く下げることが出来る。従って、該範囲については、必要なエネルギー変換量と該加熱脱臭された空気が排気通路33aから排気される際の所望の温度に応じて適宜選択される。該範囲は、該加熱脱臭された空気が処理装置Aの外部へ排出される経路上であれば、排気通路31b及びその隣接部に限らず、例えば、排気通路33a及びその隣接部でも良い。
【0036】
本実施形態に係る熱電変換部材80は、例えば
図2に図示されるように配置された場合、排気通路31bの筒状構造の内側を高温側として、外側を低温側として接続される。このように配置されることにより、熱電変換部材80の一方の側(排気通路31bの筒状構造の内側、高温側)が排気通路31bを通過する加熱脱臭装置32により加熱脱臭された空気(高温)に、熱電変換部材80の他方の側(排気通路31bの筒状構造の外側、低温側)が外気導入口34から処理装置A内に自然吸気された空気(低温)に、それぞれ接するため、処理装置Aにおいて最も大きい温度差が得られ、それにより高い熱起電力が発生可能となる。かつ該加熱脱臭された空気の温度をより低く下げた上での処理装置A外への排出も可能となる。
【0037】
一方、廃棄物の醗酵は微生物の活性化により促進されるため、微生物の活性化に適した温湿度を維持すべく、処理槽10内を加温する必要がある。また、廃棄物を乾燥させるためには、より高温で処理槽11内加温する必要がある。本実施形態では、加熱脱臭装置32が備えるヒータ部32aの熱エネルギーを、上述した本実施形態に係る熱電変換部材80によるエネルギーの再利用だけでなく、処理槽10乃至11内の加温にも利用することで、更なる省エネルギー化が図れる。
【0038】
加熱脱臭装置32により加熱脱臭された空気は、排気通路31b又は31cへと分流される。還流通路31cの他方端部は処理槽11内で開放されており、加熱脱臭装置32により加熱脱臭された空気の一部を処理槽11に戻す還流通路を形成している。このように本実施形態では、加熱脱臭装置32により加熱脱臭された空気の一部を処理槽11内に戻しており、該加熱された空気が還流通路31cから処理槽11内の生ごみRD2に吹き付けられてその乾燥を促進する。
【0039】
処理槽10と処理槽11とは、仕切壁7の上部に設けた連通孔72で連通している。したがって、還流通路31cから処理槽11内に排出された該加熱された空気は、連通孔72を介して処理槽10に流入し、処理槽10内を加温する。この結果、生ごみRD1の醗酵乃至乾燥が促進される。
【0040】
さらに、処理槽10には、送風機35が設けられている。送風機35は処理槽10内の空気を
図2において矢印で示す方向に吸引・送風し、処理槽10内の空気を循環させる。これにより、処理槽10内の生ごみRD1がより均一に加温され、均一な醗酵、乾燥が促進される。
【0041】
また、加熱脱臭装置32は処理槽11外に配置することも可能であるが、本実施形態の場合、加熱脱臭装置32は処理槽11内に配設されている。このため、ヒータ部32aが発する熱は、処理槽11内の加温にも役立つ。更に、本実施形態の場合、加熱脱臭装置32は処理槽10外に配設しており、処理槽11から回収室12にかけて配設している。この配置は、還流通路31cからの処理槽11への該加熱された空気の吹き付けとあいまって、処理槽10を相対的に低温に、処理槽11を相対的に高温とすることに役立つ。廃棄物の乾燥を促進するためにはより高温であればよいが、廃棄物の醗酵は温度が高すぎると微生物の活動が低下る、或いは、死滅する。よって、処理槽10は処理槽11よりも低温であることが望ましいのである。
【0042】
<制御部>
図3は処理装置Aの制御部40のブロック図である。制御部40は、CPU41、ROM42、RAM43、I/F(インタフェース)44及び時計回路45を備える。CPU41は、I/F44を介して、操作部3の操作状態やセンサ60の検出結果を取得し、送風機31、33、35、ヒータ部32a、駆動ユニット20(モータ24)、熱電変換部材80の駆動を制御する。
【0043】
熱電変換部材80での熱電変換により得られた電力は、制御部40に接続される各部分の駆動に適宜供給、使用されることで処理装置Aの省電力化に寄与する。該電力の使用箇所・用途に特段の制限はないが、熱電変換素子は1素子当たりの電圧が一般的に低いため、低電圧用途に適する場合がある。具体的には、比較的高出力であるヒータ部32aよりも比較的低出力な送風機31、33、35あるいは駆動ユニット20(モータ24)での使用が適する。また、熱電変換により得られた電力をバッテリやキャパシタなどの蓄電装置に一旦蓄電してから種々の用途に使用しても良く、その場合は熱電変換部材80及び隣接部の温度変化による電力の変化の平坦化、安定化を図ることもできる。
【0044】
ROM42にはCPU41が実行する制御プログラムやデータが記憶される。RAM43には一時的なデータが記憶される。ROM42、RAM43は他の種類の記憶手段を採用してもよい。
【0045】
I/F44には通信インタフェースを含むことができる。この場合、外部装置Cから直接情報を受信したり、或いは、LANやインターネット等のネットワークを介して情報を受信したりすることができる。時計回路45は現在時刻を計時する。その計時結果から現在時刻のみならず日付も把握できる。
【0046】
センサ60の検出結果に基づく制御例(湿度対応制御)としては、処理対象物の湿度が相対的に高い場合は、送風機31、33、35の風量、ヒータ部32aの発熱量、モータ24の回転量(撹拌度合い)を相対的に強くし、処理対象物の湿度が相対的に低い場合は、送風機31、33、35の風量、ヒータ部32aの発熱量、モータ24の回転量(撹拌度合い)を相対的に弱くする。これにより、処理対象物の乾燥度合いが低い場合は乾燥が促進され、乾燥度合いが高い場合は省電力化が図れる。
【0047】
駆動ユニット20による処理対象物の撹拌態様としては、モータ24を連続的に駆動する連続撹拌と、モータ24を間欠的に駆動する間欠撹拌と、を挙げることができる。また、これらの撹拌態様においてはモータ24の回転方向を切り替えることで攪拌棒25の回転方向を変更してもよい。
【0048】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、加熱脱臭装置32により加熱脱臭された空気の分流経路のうち、排気通路31b側の経路上に熱電変換部材81を配置したものとしたが、還流通路31c側の経路上に熱電変換部材81を配置したものとしてもよい。
図4は本発明の別実施形態に係る処理装置Bの内部構造の説明図である。
【0049】
処理装置Bは、上記の処理装置Aと比較して、熱電変換部材の位置が異なるが、他の構成は同じである。したがって、処理装置Bの構成のうち、処理装置Aと同じ構成については同じ符号を付して説明を割愛する。
【0050】
本実施形態では、還流通路31cに熱電変換部材81を備えていて、加熱脱臭装置32により加熱脱臭された空気の熱エネルギーを吸収することで、そのエネルギーの再利用により処理装置Bのエネルギー効率を高めると共に、該加熱脱臭された空気の温度を、処理槽11内の生ごみRD2の乾燥乃至処理槽10内の生ごみRD1の醗酵乃至乾燥を促進させるに際して適切な温度まで低下させることができる。このため、このような熱電変換部材の配置であっても、上記第1実施形態と同様、ヒータ部32aの熱エネルギーをより効率的に利用することができる。
【0051】
<他の実施形態>
以上、本発明を第1、2実施形態に基づいて詳細に説明したが、本発明は上述した第1、2実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態においては、処理対象物として生ごみ等の廃棄物を処理する廃棄物処理装置を例示して説明したが、本発明の処理装置はこれに限定されず、例えば、加熱処理装置、攪拌処理装置、混合処理装置、減溶処理装置等に適用可能である。
【0052】
また、上述した第1、2実施形態では、熱電変換部材80乃至81を排気通路31bまたは還流通路31cのいずれかに隣接して配置した場合について説明したが、本発明は勿論これに限定されず、例えば、排気通路31b及び還流通路31cの両方に熱電変換部材80乃至81が配置されても良い。
【符号の説明】
【0053】
1a 投入口
2 排出口
10、11 処理槽
20 駆動ユニット
24 モータ
25 撹拌棒
30 ケース部材
31a ダクト
31b 排気通路
31c 還流通路
32 加熱脱臭装置
32a ヒータ部
32b 脱臭部
33a 排気通路
34 外気導入口
45 時計回路
80、81 熱電変換部材