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  • 特開-染毛方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163429
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】染毛方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20231102BHJP
   A61K 8/20 20060101ALI20231102BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/20
A61Q5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074346
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】521378956
【氏名又は名称】有限会社カットインギャル美容室
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】梅津 啓一
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB331
4C083AB332
(57)【要約】
【課題】毛髪への色素の定着が不十分となる。
【解決手段】本発明の染毛方法は、ヘナを含む色素材料に対して、塩化マグネシウムを混合した染毛剤を生成する生成工程(ステップS1)と、毛髪に染毛剤を塗布して所定時間維持する塗布工程(ステップS2)と、毛髪に塗布した染毛剤を洗い流す洗髪工程(ステップS3)と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘナを含む色素材料に対して、塩化マグネシウムを混合した染毛剤を生成する生成工程と、
毛髪に前記染毛剤を塗布して所定時間維持する塗布工程と、
毛髪に塗布した前記染毛剤を洗い流す洗髪工程と、
を有する染毛方法。
【請求項2】
請求項1に記載の染毛方法であって、
前記生成工程は、前記色素材料の粉末に水を添加して練り上げると共に、練り上げた前記色素材料に前記塩化マグネシウムを混合して前記染毛剤を生成する、
染毛方法。
【請求項3】
請求項1に記載の染毛方法であって、
前記生成工程は、前記色素材料に、前記塩化マグネシウムの粉末と純水とを所定の割合で混合した塩化マグネシウム水溶液を混合して前記染毛剤を生成する、
染毛方法。
【請求項4】
請求項3に記載の染毛方法であって、
前記生成工程は、前記色素材料に、前記塩化マグネシウムの粉末と純水とを1:1の割合で混合した前記塩化マグネシウム水溶液を混合して前記染毛剤を生成する、
染毛方法。
【請求項5】
請求項1に記載の染毛方法であって、
前記生成工程は、前記色素材料に、前記塩化マグネシウムとしてにがりを混合して前記染毛剤を生成する、
染毛方法。
【請求項6】
請求項1に記載の染毛方法であって、
前記生成工程は、前記色素材料及び前記塩化マグネシウムに、さらに香料を混合して前記染毛剤を生成する、
染毛方法。
【請求項7】
ヘナを含む色素材料に対して、塩化マグネシウムを混合した染毛剤。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛方法、染毛剤に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のように、毛髪を所定の色に染める染毛方法は、一般的に、毛髪に染毛液を塗布し、所定時間維持し、その後、染毛液を洗い流す、という手順で行われる。そして、染毛液に含まれる色素として、例えば、ヘナが使用されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-31466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したようにヘナを色素として使用した場合であっても、毛髪への色素の定着が不十分であることも生じうる。
【0005】
このため、本発明の目的は、上述した課題である、毛髪への色素の定着が不十分となる、ということを解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態である染毛方法は、
ヘナを含む色素材料に対して、塩化マグネシウムを混合した染毛剤を生成する生成工程と、
毛髪に前記染毛剤を塗布して所定時間維持する塗布工程と、
毛髪に塗布した前記染毛剤を洗い流す洗髪工程と、
を有する、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以上のように構成されることにより、ヘナを用いた染毛において、毛髪への色素の定着の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明における染毛方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を、図1のフローチャートを参照して説明する。本発明における染毛方法は、例えば、美容室などによって美容師である処置者が、顧客である被処置者の毛髪を染毛する際に実施される方法である。そして、染毛方法は、主に、図1に示すように、染毛剤を生成する生成工程(ステップS1)と、毛髪に染毛剤を塗布して所定時間維持する塗布工程(ステップS2)と、毛髪に塗布した染毛剤を洗い流す洗髪工程(ステップS3)と、を有する。以下、各工程について詳述する。
【0010】
まず、生成工程(ステップS1)では、処置者がヘナを含む色素材料を用いた染毛剤を生成する。なお、ヘナは、ミソハギ科シコウカという植物であり、その葉にローソニア色素成分が含まれている。そして、本発明の染毛方法は、ローソニア色素成分がタンパク質と結合するという性質を利用して染毛を行うこととしている。
【0011】
具体的に、生成工程では、まず、ヘナの粉末に所定温度の水(お湯が望ましい)を添加して練り上げる。このとき、ヘナの粉末の練り上げは、例えば、所定の容器内で行う。なお、ヘナの粉末に添加する水の量は、かかるヘナの粉末を練り上げることに適した量であり、例えば、ヘナの粉末の量に応じて設定される。また、ここで練り上げる色素材料は、ヘナの粉末だけに限らず、ヘナの粉末にインディゴなどの他の色素の粉末が混合されたものであってもよい。但し、生成工程では、色素材料の練り上げは必ずしも必要ではなく、事前に練り上げられた色素材料を使用してもよい。
【0012】
続いて、生成工程では、練り上げた色素材料に対して、塩化マグネシウムを混合する。このとき、混合する塩化マグネシウムは、例えば、塩化マグネシウム(MgCl)の粉末と純水とを所定の割合で混合したものである。一例として、塩化マグネシウムの粉末と純水とを体積比1:1の割合で混合して塩化マグネシウム水溶液を生成するが、必ずしも塩化マグネシウムと純水とを上述した割合で混合することに限定されず、他の割合で混合してもよい。なお、塩化マグネシウム水溶液は、練り上げた色素材料に混合する直前に、塩化マグネシウムと純水とを混合して生成してもよく、事前に水溶液として生成されたものを用いてもよい。このとき、塩化マグネシウム水溶液として、にがりを使用してもよい。さらには、生成工程では、塩化マグネシウムに純水は混合せず、塩化マグネシウム水溶液ではなく、塩化マグネシウムそのものを色素材料に混合してもよい。
【0013】
以上のようにして、生成工程では、ヘナを含む色素材料に、塩化マグネシウム水溶液を混合した染毛剤を生成する。このとき、染色材料への塩化マグネシウム水溶液への混合は、例えば、所定の容器内で行われ、これにより、所定の容器内に染毛剤が蓄積される。なお、染毛剤は、処置者に対して染毛を行う直前に生成されてもよく、事前に生成されて所定の容器内に蓄積されていてもよい。なお、生成工程では、さらに、染毛剤に香料を添加して混合してもよい。
【0014】
続いて、塗布工程(ステップS2)では、処置者が、上述したように生成した染毛剤を、被処置者の毛髪に塗布する。このとき、処置者は、被処置者の毛髪量に応じた量の染毛剤を手に取り、被処置者の染毛に塗布する。一例として、10mgから20mgほどの染毛剤を手に取り、順次、被処置者の毛髪に塗布する。そして、塗布工程では、被処置者の毛髪に染毛剤を塗布した状態で、所定時間維持する。一例として、塗布時間も含めて30分ほど毛髪に染毛剤を塗布した状態で維持する。
【0015】
続いて、洗髪工程(ステップS3)では、毛髪に染毛剤を塗布して所定時間が経過した後に、処置者が、被処置者の毛髪から染毛剤を洗い流す。例えば、処置者は、シャワー台において被処置者の毛髪に塗布された染毛剤を洗い流す。
【0016】
以上のように、本発明における染毛方法では、ヘナを含む色素材料に、塩化マグネシウムを混合した染毛剤を使用することで、毛髪に対する色素成分の定着の向上を図ることができる。具体的には、塩化マグネシウムのタンパク質を固める作用により、毛髪に染色された色素が洗髪中などにおいて毛髪から流出することを抑制することができ、染毛による色素成分がより定着することとなる。一方で、染毛剤は、処置者の手や被処置者の頭皮、容器、シャンプー台などに付着しにくくなり、染毛作業の効率の向上も図ることができる。
【0017】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明における染毛方法、染毛剤の構成の概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
【0018】
(付記1)
ヘナを含む色素材料に対して、塩化マグネシウムを混合した染毛剤を生成する生成工程と、
毛髪に前記染毛剤を塗布して所定時間維持する塗布工程と、
毛髪に塗布した前記染毛剤を洗い流す洗髪工程と、
を有する染毛方法。
(付記2)
付記1に記載の染毛方法であって、
前記生成工程は、前記色素材料の粉末に水を添加して練り上げると共に、練り上げた前記色素材料に前記塩化マグネシウムを混合して前記染毛剤を生成する、
染毛方法。
(付記3)
付記1に記載の染毛方法であって、
前記生成工程は、前記色素材料に、前記塩化マグネシウムの粉末と純水とを所定の割合で混合した塩化マグネシウム水溶液を混合して前記染毛剤を生成する、
染毛方法。
(付記4)
付記3に記載の染毛方法であって、
前記生成工程は、前記色素材料に、前記塩化マグネシウムの粉末と純水とを1:1の割合で混合した前記塩化マグネシウム水溶液を混合して前記染毛剤を生成する、
染毛方法。
(付記5)
付記1に記載の染毛方法であって、
前記生成工程は、前記色素材料に、前記塩化マグネシウムとしてにがりを混合して前記染毛剤を生成する、
染毛方法。
(付記6)
付記1に記載の染毛方法であって、
前記生成工程は、前記色素材料及び前記塩化マグネシウムに、さらに香料を混合して前記染毛剤を生成する、
染毛方法。
(付記7)
ヘナを含む色素材料に対して、塩化マグネシウムを混合した染毛剤。
【0019】
以上、上記実施形態等を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。

図1