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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163438
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】建物用庇
(51)【国際特許分類】
   E04F 10/08 20060101AFI20231102BHJP
   E04B 7/02 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
E04F10/08
E04B7/02 501B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074359
(22)【出願日】2022-04-28
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000250432
【氏名又は名称】理研軽金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 健
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】高柳 岳
【テーマコード(参考)】
2E105
【Fターム(参考)】
2E105AA08
2E105FF02
2E105FF32
2E105GG03
(57)【要約】
【課題】雨水が毛細管現象により逆流してしまった場合でも、意図しない雨漏りや水溜まりによって起こる汚れを抑制することができる建物用庇を提供する。
【解決手段】建物躯体に取り付けられたベースフレーム20と、前記ベースフレーム20に支持された庇板11と、を備え、前記庇板11は、複数の庇材12を幅方向Wに接合して形成され、前記庇材12の少なくとも一部は、隣り合う前記庇材12との接合部に切り欠き部35を備えるようにした。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体に取り付けられたベースフレームと、
前記ベースフレームに支持された庇板と、
を備え、
前記庇板は、複数の庇材を幅方向に接合して形成され、
前記庇材の少なくとも一部は、隣り合う前記庇材との接合部に切り欠き部を備える、
建物用庇。
【請求項2】
前記庇板は、先端側が下方へ傾斜するように前記ベースフレームに支持されている、
請求項1に記載の建物用庇。
【請求項3】
前記庇材は、中空部と、この中空部よりも側方に突出する突出部と、を備え、
前記突出部は、隣り合う前記庇材と係合するように形成されており、
前記切り欠き部は、前記中空部を切り欠かずに前記突出部のみを切り欠くように形成されている、
請求項1に記載の建物用庇。
【請求項4】
前記切り欠き部は、前記庇板の上面側に形成されており、
前記ベースフレームと前記庇板との接合箇所を覆うベースカバーを備え、
前記ベースカバーによって前記切り欠き部が覆われている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の建物用庇。
【請求項5】
前記切り欠き部の上方には、空隙が形成されている、
請求項4に記載の建物用庇。
【請求項6】
前記ベースフレームに取り付けられて前記庇板の上面を支持するベースアングルを備え、
前記ベースアングルは、前記庇板の上面に当接する取付部を備え、
前記取付部の先端には、前記ベースカバーを係合させるためのカバー係合部が形成され、
前記切り欠き部は、前記カバー係合部と対向する位置に形成されている、
請求項4に記載の建物用庇。
【請求項7】
前記切り欠き部は、前記庇板の下面側に形成されており、
前記庇板の先端に取り付けられる先端カバーを備え、
前記切り欠き部は、前記先端カバーに覆われている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の建物用庇。
【請求項8】
前記先端カバーの内部には、前記庇板の先端へ流れた雨水を受けることができる樋部が形成されており、
前記樋部は、先端側の前樋部と建物躯体側の後樋部とに区画されており、
前記切り欠き部は、前記後樋部の上方に形成されている、
請求項7に記載の建物用庇。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物の軒先などに取り付けられる建物用庇に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の庇構成材が互いに幅方向に連結されてなる庇本体と、複数の庇構成材の前端部に跨って庇本体の前端部に取り付けられる先端見切り材と、を備え、前側ほど下方となるように傾斜されて配置されている建物用庇であって、先端見切り材または先端見切り材の前方に、庇本体の上面部に沿って流れ落ちてきた雨水と、庇構成材同士の間の隙間を通って流れ落ちてきた雨水と、を合流させる合流部が設けられ、合流部で合わされた雨水を先端見切り材の前縁または前縁前方箇所から排水するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-218747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来の建物用庇では、庇構成材の間(接合部)に入り込んだ雨水が毛細管現象により逆流してしまい、雨水が壁面側まで浸入して壁を伝って流れたり、庇構成材の裏面から滴り落ちたりするなど、意図した排水経路以外から雨漏りしてしまったり、溝に水が溜まりその水が乾いたときに汚れになってしまったりする場合があった。
そこで、本発明は、雨水が毛細管現象により逆流してしまった場合でも、意図しない雨漏りを抑制することができる建物用庇を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するため、本発明は、建物躯体に取り付けられたベースフレームと、前記ベースフレームに支持された庇板と、を備え、前記庇板は、複数の庇材を幅方向に接合して形成され、前記庇材の少なくとも一部は、隣り合う前記庇材との接合部に切り欠き部を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明は上記の通りであり、庇材の少なくとも一部は、隣り合う庇材との接合部に切り欠き部を備える。このような構成によれば、庇材の間(接合部)に入り込んだ雨水が毛細管現象により逆流してしまった場合でも、切り欠き部で水を切ることができ、切り欠き部よりも先に雨水が逆流することを防止できる。これにより、意図しない雨漏りや水溜まりによって起こる汚れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】建物用庇の外観図である。
図2】建物用庇の側面断面図である。
図3】(a)中間庇材の正面図、(b)左庇材の正面図、(c)右庇材の正面図である。
図4】回動受部に回動軸部を載置して庇材を接合する場合の手順を示す図である。
図5】案内溝に回動受部を挿入して庇材を接合する場合の手順を示す図である。
図6】建物用庇を裏面側から見た図である。
図7】(a)庇材の切り欠き部を示す斜視図、(b)庇材の切り欠き部を示す平面図である。
図8】庇板の支持構造を説明する図である。
図9】(a)ベースフレームの側面図、(b)下ベースカバーの側面図である。
図10】下ベースカバーの取り付け方を示す図であって、(a)下ベースカバーの前端を引っ掛けた状態の図、(b)下ベースカバーの後端を回動させている状態の図である。
図11】下ベースカバーの延長方法を示す図であって、(a)ジョイント部材を配置した状態の図、(b)2つの下ベースカバーを接合した状態の図である。
図12】庇材の斜視図である。
図13】(a)中間庇材の切り欠き部の位置を示す図、(b)右庇材の切り欠き部の位置を示す図である。
図14】切り欠き部の上部に空隙を示す図である。
図15】変形例1に係る、(a)庇材の斜視図、(b)庇材の切り欠き部の位置を示す図である。
図16】変形例1に係る、切り欠き部と先端カバーとの位置を示す説明図である。
図17】変形例2に係る、(a)庇材の斜視図、(b)庇材の切り欠き部の位置を示す図である。
図18】変形例2に係る、切り欠き部と先端カバーとの位置を示す説明図である。
図19】(a)変形例3に係る建物用庇の側面断面図、(b)変形例4に係る建物用庇の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、庇板11が突出する水平方向を前方、庇板11から見て建物躯体側(前方の反対方向)を後方とする。また、この前後方向を建物用庇10の奥行き方向Dとし、奥行き方向Dに直交する水平方向を幅方向Wとする。また、鉛直方向を高さ方向H(上下方向)とする。
【0009】
本実施形態に係る建物用庇10は、直射日光や雨水などを遮るために建物の軒先などに取り付けられるものであり、図1および図2に示すように、庇板11と、ベースフレーム20と、ベースアングル21と、ベースカバー23と、ベースフタ25と、先端フレーム28と、先端カバー29と、先端フタ30と、下ベースカバー31と、を備える。
【0010】
庇板11は、複数の庇材12を幅方向Wに接合して形成されており、上面および下面が面一となっている。本実施形態においては、庇板11の左端部に使用される左庇材14と、庇板11の右端部に使用される右庇材15と、左庇材14および右庇材15の間に配置される中間庇材13と、を組み合わせて庇板11が構成されている。庇板11の横幅は、中間庇材13の数を増減させることで調節可能である。これらの3種類の庇材12は、図3に示すような中空の長尺材であり、例えばアルミニウム製の押出形材である。これらの庇材12は、すべて同じ尺で形成され、上下の高さ寸法(厚み)もほぼ同じに設定されている。この庇板11は、後述するベースフレーム20によって、先端側が下方へ傾斜するように支持されている。
【0011】
ベースフレーム20は、庇板11やその他の部材を支持するための部材であり、図2に示すように、建物躯体の壁面70に取り付けられる。このベースフレーム20は、庇板11の幅とほぼ同じ幅を有する長尺の部材である。本実施形態に係るベースフレーム20は、図2に示すように、予め壁面70に取り付けられた取付ボルト20aと取付ナット20bによって、建物の壁面70に固定される。このベースフレーム20の前面には庇板11が取り付けられる。
【0012】
ベースアングル21は、ベースフレーム20と協働して庇材12を支持する部材である。具体的には、図2に示すように、ベースフレーム20によって下面を支持された庇材12を、ベースアングル21によって上方から押さえ込むようになっており、ベースフレーム20とベースアングル21とで庇材12を上下両側から挟み込んで支持している。このベースアングル21は、図7に示すように、幅方向Wに見てベースフレーム20よりも短尺であり、所定間隔を設けて複数のベースアングル21が使用される。本実施形態に係るベースアングル21は、庇板11の接合部を跨ぐように配置されているため、庇板11より少ない枚数(例えば、庇板11の2枚に1枚)ですべての庇板11を保持することができる。なお、ベースアングル21は庇板11と同数を使用してもよい。
【0013】
ベースカバー23は、ベースフレーム20およびベースアングル21の上面を覆うように取り付けられるカバー部材である。このベースカバー23は、ベースフレーム20と庇板11との接合箇所(両者が接して合わさっている部分すべて)を露出しないように覆っている。本実施形態においては、ベースアングル21がすっぽりとベースカバー23に覆われた状態となっている。このベースカバー23によって、ベースフレーム20およびベースアングル21に直接雨水が降り注がないようになっている。このベースカバー23は、雨水を前方の庇材12へ流すように傾斜している。このベースカバー23の前端には、鉤状に折り返し形成された前係止部23aが設けられている。この前係止部23aは、図14に示すように、ベースアングル21の先端と庇板11の上面との間に引っ掛けられる。また、このベースカバー23の後端は、図2に示すように、ベースカバー用ビス24によって、ベースフレーム20に固定される。
【0014】
ベースフタ25は、ベースフレーム20の側端部(小口)に取り付けられるカバー部材である。このベースフタ25は、ビス等によって、ベースフレーム20の両端部に固定されている。
【0015】
先端フレーム28は、後述する先端カバー29を庇板11に取り付けるための部材である。本実施形態に係る先端フレーム28は、断面略L字形の長尺部材である。この先端フレーム28は、庇板11の先端に先端フレーム用ビス28aによって取り付けられている。
【0016】
先端カバー29は、庇板11の先端を覆う長尺のカバー材である。この先端カバー29は、先端カバー用ビス29aによって、先端フレーム28に取り付けられている。
【0017】
先端フタ30は、先端カバー29の側端部(小口)に取り付けられるカバー部材である。この先端フタ30は、ビス等によって、先端カバー29の両端部に固定されている。
【0018】
下ベースカバー31は、ベースフレーム20の下面を覆うように取り付けられるカバー部材である。この下ベースカバー31は、前後の端部がそれぞれベースフレーム20に引っ掛けられることで、留具などの他の部材を使用せずに、ベースフレーム20に取り付けることができる。
【0019】
次に、上記した庇材12の具体的な形状について、詳しく説明する。
本実施形態に係る庇材12は、図3に示すように、互いに平行な上板部40および下板部41を備え、この上板部40と下板部41との間に中空部17を備える。上板部40と下板部41の間には、上下方向に延びる複数の縦壁が設けられている。本実施形態においては、この縦壁として、左右両側に側壁部42が設けられ、側壁部42の間に中間壁部43が設けられている。これらの縦壁によって中空部17が区画されている。
【0020】
また、これらの庇材12は、側部に第1接合部50または第2接合部60を備えている。本実施形態においては、中間庇材13は、右側部に第1接合部50を備え、左側部に第2接合部60を備える。左庇材14は、右側部に第1接合部50を備える。右庇材15は、左側部に第2接合部60を備える。隣り合う庇材12は、一方の庇材12に設けられた第1接合部50と他方の庇材12に設けられた第2接合部60との係合によって互いに接合される。
【0021】
第1接合部50は、図3に示すように、側方に向けて開口する変形略コ字形の部位である。この第1接合部50は、第1接合部50を区画する側壁部42である第1側壁部52と、上板部40を延長することで第1側壁部52よりも側方に突出する第1上突出部51と、下板部41を延長することで第1側壁部52よりも側方に突出する第1下突出部53と、を備える。これらの突出部は、隣り合う庇材12と係合するように形成されている。
第1上突出部51の先端には、回動軸部51aが形成されている。回動軸部51aは、少なくとも下面が曲面(望ましくは半円柱状の曲面)で形成されている。
【0022】
また、第1側壁部52の上端には、上板部40の下面に連続するように、弧状部52aが設けられている。弧状部52aは、回動軸部51aの周面に沿った円弧状で形成されている。このような構成により、回動軸部51aと弧状部52aとの間に円弧状の案内溝52bが形成され、この案内溝52bの上方に回動軸部51aが配置されている。
【0023】
また、第1側壁部52は、上記した案内溝52b(弧状部52a)の下方に、ほぼ垂直下方に延びる直線部52dが接続されている。また、この直線部52dの下方には、傾斜部52cが接続されている。この傾斜部52cは、下方に行くに従って内側(第1接合部50の開口方向とは反対側)に傾斜している。
【0024】
第1下突出部53は、下板部41に連続する平板部53aと、平板部53aの端部から上方に延設された立ち上がり部53bと、立ち上がり部53bの上端から斜め上方に延設された円弧状の湾曲片53cと、を備える。湾曲片53cは、回動軸部51aよりも下方において、回動軸部51aを中心とした円弧状に形成されている。なお、湾曲片53cは、完全に回動軸部51aを中心とした円弧状でなくてもよく、回動軸部51aの外周に沿った形状であればよい。
【0025】
なお、上記した第1側壁部52と第1下突出部53で囲まれた空間は、上向きに開口した溝状となっており、接合した目地から浸入する水を受けるための中間樋部54を形成している。この中間樋部54によって、庇材12の長手方向に水を流すことができる。本実施形態においては、第1側壁部52の一部が斜めに形成されている(傾斜部52cを備える)ため、中間樋部54の容積(樋で受けられる水の最大容積)が大きく確保されている。また、湾曲片53cが、側方に弧を描きながら突出しているため、更に中間樋部54の容積が大きく確保されている。
【0026】
次に、この第1接合部50に接合される第2接合部60について説明する。第2接合部60も、図3に示すように、側方に向けて開口する変形略コ字形の部位である。この第2接合部60は、第2接合部60を区画する側壁部42である第2側壁部62と、上板部40を延長することで第2側壁部62よりも側方に(すなわち中空部17よりも側方に)突出する第2上突出部61と、下板部41を延長することで第2側壁部62よりも側方に(すなわち中空部17よりも側方に)突出する第2下突出部63と、を備える。これらの突出部は、隣り合う庇材12と係合するように形成されている。
【0027】
第2上突出部61の先端には、回動受部61aが形成されている。回動受部61aは、上方に向けて開口する円弧状の内周面を有する。この回動受部61aは、第1接合部50の回動軸部51aを下から支持可能である。この回動受部61aは、載置された回動軸部51aを回動可能に支持することができる。また、この回動受部61aは、第1接合部50の案内溝52bに挿入可能である。案内溝52bは、回動受部61aと同様の円弧状であるため、挿入された回動受部61aを回動可能に支持することができる。このような構成により、第1接合部50と第2接合部60とを互いに回動させて容易に庇材12を接合することができる。この接合方法は後ほど詳述する。
【0028】
また、第2側壁部62は、第1接合部50の湾曲片53cの先端が挿入される支持溝62aを備える。第1接合部50と第2接合部60とを接合したときに湾曲片53cが支持溝62aの内部に挿入されることで、上下左右方向の負荷を受けることができるので、接合部の強度を高めることができる。言い換えると、案内溝52bに挿入された回動受部61aと、支持溝62aに挿入された湾曲片53cとの2点で支持しているため、上下左右方向の負荷に対して補強することができる。また、図4(d)および図5(d)に示すように、中間樋部54の先端にラビリンス形状が形成されるため、水が庇材12の下面に漏れにくくなっている。なお、この支持溝62aは、湾曲片53cの厚みよりもやや幅広に形成されており、湾曲片53cが支持溝62aの内部に緩嵌されるようになっている。言い換えると、湾曲片53cは、周囲に隙間が生じるように支持溝62aに挿入される。この支持溝62aと湾曲片53cとは、第1接合部50と第2接合部60とを回動させて接合するときに、互いに接触しないように形成されていることが望ましい。このように湾曲片53cと支持溝62aとを緩嵌することで、庇材12を接合したり外したりするときに力が要らず、作業を容易に行うことができる。
【0029】
また、第2下突出部63の先端には、上方に屈折した立設部63aが形成されている。この立設部63aは、第1接合部50と第2接合部60とを接合したときに、立ち上がり部53bに当接する。この立設部63aが立ち上がり部53bに当接することで、隣り合う庇材12が互いにフラットな状態で支持される。また、この立設部63aが形成されることで、第2側壁部62と第2下突出部63で囲まれた空間が溝形状となっており、二次樋部64を形成している。この二次樋部64は、図4(d)および図5(d)に示すように、中間樋部54の下方に重なるように配置され、中間樋部54の外側に漏れた水を受けることができる。この二次樋部64を設けることで、仮に湾曲片53cの裏側に水が浸入してきた場合でも、この水を受けることができる。
【0030】
上記した第1接合部50と第2接合部60とは、図4に示すように第1接合部50を回動させて接合することができる。また、図5に示すように第2接合部60を回動させて接合することもできる。
【0031】
第1接合部50を回動させて接合する場合、まず図4(b)に示すように、第1接合部50を斜めに傾けて、上方から第2接合部60へと差し込む。そして、図4(c)に示すように、回動軸部51aを回動受部61aの上に載置する。その後、図4(d)に示すように、回動軸部51aを中心に第1接合部50を回動させ、立設部63aに立ち上がり部53bを当接させる。このような作業により、2つの隣り合う庇材12が互いにフラットに接合される。このとき、自動的に湾曲片53cが支持溝62aの内部に挿入される。
【0032】
また、第2接合部60を回動させて接合する場合、まず図5(a)に示すように、第2接合部60を斜めに傾けて、上方から第1接合部50へと差し込む。そして、図5(b)に示すように、傾斜部52cに沿って回動受部61aを上方に滑らせる。すると、図5(c)に示すように、回動受部61aが案内溝52bに嵌って引っかかる。その後、図5(d)に示すように、案内溝52bに沿って回動受部61aを挿入していくことで第2接合部60を回動させ、立ち上がり部53bに立設部63aを当接させる。このような作業により、2つの隣り合う庇材12が互いにフラットに接合される。このとき、自動的に湾曲片53cが支持溝62aの内部に挿入される。
【0033】
上記した第1接合部50および第2接合部60は、庇材12の長手方向の全長に渡って形成されている。このため、図6に示すように、第1接合部50と第2接合部60とを接合した後で、建物用庇10の奥行き方向Dに庇材12を摺動させることができる。よって、庇材12を接合した後で、取付位置(ベースフレーム20の方向)に摺動させてベースフレーム20に固定することができ、作業性が良い。
【0034】
なお、これらの庇材12の下面には、図6に示すように、不規則な木目模様12aが形成されている。この木目模様12aは、庇材12の長手方向に沿って形成されており、間隔や高さを不規則にすることで、自然な木目を表現することができる。木目を形成することで、木目のデザイン性を生かすことができ、また、庇材12同士の接合部が目立たなくなるため、意匠性が良い。また、押出成形時に木目を形成することができるため、製造も容易である。なお、本実施形態においては、押出成形の方向に沿って木目を形成しているが、これに限らず、押出成形の方向と直交する方向に木目を形成してもよい。
【0035】
次に、ベースアングル21およびベースフレーム20の具体的な形状について、詳しく説明する。
ベースアングル21は、ベースフレーム20に取り付けられて庇板11の上面を支持する部材であり、図8に示すように、階段状に屈折した板状に形成されている。このベースアングル21は、上端の引掛け部21aと、引掛け部21aから前方斜め下方へと延びるアーム部21bと、アーム部21bの先端から前方に突出形成された取付部21cと、を備える。引掛け部21aは、ベースフレーム20の係止片26a(後述)の内側に引っ掛けられる部位である。この引掛け部21aは、ベースフレーム20の係止片26aの内部に下方から挿入され、係止片26aによって上から押さえられた状態となる。取付部21cは、庇材12の上面に当接して、庇材12の上面を上から押さえ込む部位である。この取付部21cは、後述する庇固定具22によって、庇材12に固定される。また、取付部21cの先端には、ベースカバー23の前係止部23aを係合させるためのカバー係合部21dが形成されている。このカバー係合部21dは、取付部21cの先端の下面を切り欠いた形状とすることで、段差(凹部)を設けたものである。なお、アーム部21bは、後方が高く前方が低くなるように形成されており、上面で受けた雨水などを前方へ誘導するようになっている。
【0036】
ベースフレーム20は、図8および図9(a)に示すように、略L字形の部材であり、略垂直な縦片26と、縦片26の下端付近から前方に突出する横片27と、を備える。
【0037】
縦片26は、建物躯体の表面(壁面70)に当接した状態で固定される板状の部位である。縦片26には、取付ボルト20aを貫通させる取り付け用の穴が予め穿たれており、この穴に取付ボルト20aを挿入して、前から取付ナット20bを締結することで、壁面70に固定される。このとき、縦片26の後面が建物躯体の表面にぴったりとくっついた状態で固定される。縦片26と建物躯体の表面との間に隙間がないため、雨水等が隙間に浸入することを防止できる。この縦片26の前面には、カバー取付片26d、係止片26a、支持片26b、が前方に突出形成されている。
【0038】
カバー取付片26dは、ベースカバー23の上端部を取り付けるためのものであり、縦片26の上端付近に設けられている。このカバー取付片26dの上面は、前方に行くにしたがって下方へ傾斜している。
【0039】
係止片26aは、上記したベースアングル21の引掛け部21aを係止するために前方に突出する部位である。この係止片26aは、横向きの略J字形に突出形成されて下方に向けて開口している。この係止片26aには、引掛け部21aを引っ掛けることができる。具体的には、ベースアングル21を傾けた状態で、引掛け部21aを下方から係止片26aの内側に挿入し、係止片26aの内側に引掛け部21aを引っ掛けることができる。その後、引っ掛けた先端を軸にベースアングル21を回動させると、係止片26aが引掛け部21aを抱え込んで保持できるようになっている。なお、この係止片26aは、引掛け部21aを引っ掛けて保持しているだけなので、ベースアングル21を傾けることで容易に係合を外すことができる。この係止片26aの上面は、前方に行くにしたがって下方へ傾斜しており、雨水などを前方へ誘導するようになっている。
【0040】
支持片26bは、庇板11の後端11aを突き当て可能に突出する部位である。この支持片26bの先端には、庇板11の後端11aを突き当て可能な位置決め突起26cが形成されている。庇材12をベースフレーム20に取り付けるときに、庇板11の後端11aを位置決め突起26cに突き当てることで、庇材12の位置を揃えることができる。この支持片26bの上面は、前方に行くにしたがって下方へ傾斜しており、雨水などを前方へ誘導するようになっている。
【0041】
横片27は、縦片26から前方に突出して庇板11の下面を支持する部位である。本実施形態に係る横片27は、前方に行くにしたがって下方へ傾斜するように庇板11の下面を支持する支持面27aを備える。この支持面27aは、縦片26の後面(壁面70に接触する面)と鈍角を形成する平坦面であり、この支持面27aに庇板11が載置されることで庇が前下がりに勾配している。このような前下がりの建物用庇10においては、建物用庇10で受けた雨水は前方に流れることになる。
【0042】
この横片27の下面には、下ベースカバー31が取り付けられる。横片27の前端には、下ベースカバー31の前端を引っ掛けるための下カバー係合部20cが設けられ、横片27の後端付近には、下ベースカバー31の後端を取り付けるための支持突起20dが設けられている。支持突起20dは、横片27の下面から下方に突出する略L字形の部位であり、先端が前方に延びている。この支持突起20dの後面からは、斜め下方に向けて被係合爪20eが突出形成されている。
【0043】
下ベースカバー31は、図9(b)に示すような板状の部材である。この下ベースカバー31の前端には前係止部31aが設けられている。前係止部31aは、鉤状に折り返した形状となっており、ベースフレーム20の下カバー係合部20cに前方から引っ掛けられるようになっている。また、下ベースカバー31の後端付近には、上方斜め後方へと突出するリブ31bが設けられている。このリブ31bの先端付近の前面には、係止爪31cが形成されている。
【0044】
この下ベースカバー31をベースフレーム20に取り付ける際には、まず図10(a)に示すように、前係止部31aを、ベースフレーム20の下カバー係合部20cに前方から引っ掛ける。その後、図10(b)に示すように、下ベースカバー31を上方に回動させ、係止爪31cを、ベースフレーム20の被係合爪20eに係合させる。このとき、係止爪31cが被係合爪20eに押し付けられるが、圧入することでリブ31bが弾性変形し、係止爪31cが被係合爪20eに嵌合する。これにより、図2に示すように、下ベースカバー31をベースフレーム20に固定することができる。
【0045】
なお、下ベースカバー31は、ベースフレーム20とほぼ同じ幅が必要であるが、必ずしも1部材である必要はなく、図11に示すようなジョイント部材32で複数の下ベースカバー31を連結してもよい。ジョイント部材32で下ベースカバー31を連結する場合には、まず図11(a)に示すように、一方の下ベースカバー31をベースフレーム20に取り付けた状態で、この下ベースカバー31の内側に板状のジョイント部材32を配置する。その後、図11(b)に示すように、もう一方の下ベースカバー31をベースフレーム20に取り付け、2つの下ベースカバー31の端部を突き合わせる。そして、ビス33などの留め具で下ベースカバー31とベースフレーム20を固定して、下ベースカバー31の脱落を防止してもよい。
【0046】
上記した建物用庇10は、例えば以下のような手順で壁面70に取り付けることができる。なお、下記手順においては特に説明しないが、水密性を確保するために適宜シーリング加工が施される。
【0047】
(1)取付ボルト20aを壁面70に取り付ける。例えば、壁面70の裏側に下地材を取り付け、裏側から差し込んだ取付ボルト20aを下地材に固定する。これにより、取付ボルト20aが壁面70から突出した状態とする。なお、取付ボルト20aは、事前に取り付いていなくてもよく、ベースフレーム20を取り付ける側からベースフレーム20を挟んで壁面70に挿通し、壁面70の屋内側で取付ナット20bによって固定してもよい。
【0048】
(2)ベースフレーム20を取り付ける。具体的には、ベースフレーム20に予め形成された穴に取付ボルト20aを差し込み、前方から取付ナット20bを締結する。
【0049】
(3)端部の庇材12(左庇材14または右庇材15のいずれか)を取り付ける。具体的には、庇材12をベースフレーム20の横片27に載置して、上からベースアングル21で挟み込み、ベースアングル21と庇材12とベースフレーム20とを庇固定具22で一体的に固定する。本実施形態に係る庇固定具22は、図8に示すように、ベースアングル21の取付部21cと、庇材12と、ベースフレーム20の横片27と、をすべて貫通するボルトとナットであり、この庇固定具22でこれら3つの部材を一体的に固定することができる。
【0050】
(4)残りの庇材12を順番に取り付けていく。すなわち、図4または図5で説明した手順により隣り合う庇材12を接合する。その後、図6に示すように、接合した庇材12をベースフレーム20の奥まで摺動させる。その後、上からベースアングル21で挟み込み、庇固定具22で固定する。
【0051】
(5)すべての庇材12の取り付けが完了したら、庇板11の先端に先端フレーム28をビス止めし、更に、先端フレーム28に先端カバー29をビス止めする。
【0052】
(6)ベースフレーム20の上部にベースカバー23を取り付ける。具体的には、まずベースカバー23の前端(前係止部23a)を、ベースアングル21の前端に設けられたカバー係合部21dに引っ掛ける。その後、ベースカバー23の後端を、ベースフレーム20のカバー取付片26dの上に重ねて、ベースカバー用ビス24で固定する。
(7)ベースフレーム20の下部に下ベースカバー31を取り付ける。取り付け方は図10で説明した通りである。
(8)ベースフレーム20の両側部にベースフタ25をビス止めする。また、先端カバー29の両側部に先端フタ30をビス止めする。以上で取付が完了する。
【0053】
ところで、本実施形態に係る庇材12の少なくとも一部は、図12に示すような切り欠き部35を備えている。この切り欠き部35は、隣り合う庇材12との接合部に設けられている。本実施形態においては、第2接合部60に切り欠き部35が形成されており、第1接合部50には切り欠き部35は形成されていない。このため、図13に示すように、第2接合部60を備える中間庇材13および右庇材15が切り欠き部35を備えている。
【0054】
この切り欠き部35は、図13に示すように、中空部17を切り欠かずに突出部(第2上突出部61)のみを切り欠くように形成されている。これにより、図7に示すように、第1接合部50と第2接合部60との間に穴が形成され、第1接合部50と第2接合部60との間を毛細管現象によって伝った雨水が切られるようになっている。なお、第1接合部50ではなく第2接合部60に切り欠き部35を形成しているのは、第1接合部50と第2接合部60との間にできるだけ大きく穴を形成し、水切りの効果を高めるためである。第1接合部50と第2接合部60とのうち、より突出量が大きい方の突出部に切り欠き部35を形成することで、中空部17を切り欠かずに大きく穴を形成することができる。また、第2接合部60の回動受部61aを切り欠くことで、上方に向けて開口する円弧上の内周面上に毛細管現象によって庇材12の後方へ上がっていこうとする水滴を中断することができる。なお、切り欠き部35は、第2接合部60だけでなくてもよく、第1接合部50にも形成してもよい。
【0055】
この切り欠き部35の形状は本実施形態に開示したものに限られないが、少なくとも庇材12の接合部に重なるように切り欠き部35を形成すべきである。すなわち、この切り欠き部35がなかったとすれば庇材12同士が接触している箇所に、切り欠き部35が形成されているべきである。これにより、長手方向に連続する庇材12の接触部が、切り欠き部35によって中断されるようにすることができる。
【0056】
なお、本実施形態に係る切り欠き部35は、図12に示すように、正方形だが、水滴を遮断できればよいため、形状は自由に設定することができる。例えば、切り欠き部35は、長方形、丸形、三角形、多角形でもよい。
【0057】
なお、本実施形態に係る切り欠き部35は、図7および図14に示すように、庇板11の上面側に形成されており、カバー係合部21dと対向する位置に形成されている。カバー係合部21dは、ベースカバー23の前係止部23aを係合させるための段差(凹部)であり、このカバー係合部21dの内側(下側)には、庇板11の上面との間に空間が形成されてる。この空間は、ベースアングル21の全長にわたって形成されており、カバー係合部21dに前係止部23aを係合させた場合でも埋められず、カバー係合部21dと庇板11の上面との間に空隙21eが生じるようになっている。切り欠き部35は、この空隙21eに臨むように配置されているため、空隙21eで水の縁を切ることができる。言い換えると、この空隙21eがないとベースアングル21を伝って壁面70側に雨水が浸入するおそれがあるが、このような水滴の移動を空隙21eによって防止することができる。
【0058】
このように、切り欠き部35の上方に空隙21eが形成されているため、空隙21eで水の縁を切ることができる。なお、空隙21eは、ベースアングル21の先端になくてもよく、ベースアングル21の中途部に空隙21eを形成してもよい。すなわち、庇板11の上面とベースアングル21の下面との間に幅方向全長に渡って空隙21eが形成されており、この空隙21eに対して切り欠き部35の一部または全部が対向していればよい。
【0059】
また、この切り欠き部35は、図14に示すように、ベースカバー23によって覆われている。このため、切り欠き部35が外観から視認できず、意匠性がよい。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に係る建物用庇10によれば、庇材12の少なくとも一部は、隣り合う庇材12との接合部に切り欠き部35を備える。このような構成によれば、庇材12の間(接合部)に入り込んだ雨水が毛細管現象により逆流してしまった場合でも、切り欠き部35で水を切ることができ、切り欠き部35よりも先に雨水が逆流することを防止できる。これにより、意図しない箇所からの雨漏りや水溜まりによって起きる汚れを抑制できる。
【0061】
また、庇板11は、先端側が下方へ傾斜するようにベースフレーム20に支持されている。本実施形態に係る切り欠き部35を使用すれば、このような前下がりの建物用庇10において、雨水が壁面70側(排水方向とは逆方向)に伝うことを防止できる。
【0062】
また、庇材12は、中空部17と、この中空部17よりも側方に突出する突出部(第2上突出部61)と、を備え、突出部は、隣り合う庇材12と係合するように形成されており、切り欠き部35は、中空部17を切り欠かずに突出部のみを切り欠くように形成されている。このような構成によれば、中空部17の内部に水が流れ込まないので、中空部17に水が溜まりよって起きる汚れを防止できる。また、突出部を切り欠くので、金型による加工が行え、作業性が良い。
【0063】
また、切り欠き部35は、庇板11の上面側に形成されており、ベースフレーム20と庇板11との接合箇所を覆うベースカバー23を備え、ベースカバー23によって切り欠き部35が覆われている。このような構成によれば、切り欠き部35が露出しないので、意匠性が良い。また、切り欠き部35よりも後方(壁面70側)に雨水が降り注がないので、切り欠き部35よりも後方に付着した雨水が逆流することを防止できる。
また、切り欠き部35の上方には、空隙21eが形成されている。このような構成によれば、空隙21eを利用して水の縁を切ることができる。
【0064】
また、ベースフレーム20に取り付けられて庇板11の上面を支持するベースアングル21を備え、ベースアングル21は、庇板11の上面に当接する取付部21cを備え、取付部21cの先端には、ベースカバー23を係合させるためのカバー係合部21dが形成され、切り欠き部35は、カバー係合部21dと対向する位置に形成されている。このような構成によれば、カバー係合部21dの空隙21eを利用して水の縁を切ることができる。
【0065】
(変形例1)
上記した実施形態においては、切り欠き部35を庇板11の上面側に形成したが、これに限らず、図15および図16に示すように、切り欠き部36を庇板11の下面側に形成してもよい。
【0066】
この変形例1に係る切り欠き部36は、図15に示すように、庇板11の前端において、第2下突出部63を切り欠くことで形成されている。この切り欠き部36は、図16に示すように、先端カバー29で覆われる位置に形成されている。
【0067】
先端カバー29の内部には、樋溝29dが形成されている。切り欠き部36は、先端カバー29の内部において、樋溝29dの上方に形成されている。このため、切り欠き部36によって縁を切られた雨水は、樋溝29dに落下し、樋溝29dから所定の経路で排水される。
【0068】
このような変形例1によれば、樋溝29dに流れ落ちる雨水が滴下した時の勢いで、庇板11の裏面に付着したしずくが毛細管現象によって庇板11を上昇するのを、切り欠き部36によって遮断することができる。また、先端カバー29の内部に切り欠き部36があるため、外観から視認できず、意匠性がよい。
【0069】
(変形例2)
変形例2は、上記した変形例1と同様に切り欠き部37を庇板11の下面側に形成したものである。
【0070】
この変形例2に係る切り欠き部37は、図17に示すように、庇板11の前端付近(前端よりも後方)において、第2下突出部63を切り欠くことで形成されている。この切り欠き部37は、図18に示すように、先端カバー29で覆われる位置に形成されている。
【0071】
先端カバー29の内部には、庇板11の先端へ流れた雨水を受けることができる樋部が形成されている。この樋部は、先端側の前樋部29bと建物躯体側の後樋部29cとに区画されている。切り欠き部37は、先端カバー29の内部において、後樋部29cの上方に形成されている。このため、切り欠き部37によって縁を切られた雨水は、後樋部29cに落下し、後樋部29cから所定の経路で排水される。
【0072】
このような変形例2によれば、樋部に流れ落ちる雨水が滴下した時の勢いで、庇板11の裏面に付着したしずくが毛細管現象によって庇板11を上昇するのを、切り欠き部37によって遮断することができる。また、先端カバー29の内部に切り欠き部37があるため、外観から視認できず、意匠性がよい。
【0073】
なお、本変形例では、庇板11の前端付近(前端よりも後方)に切り欠き部37を形成したが、これに限らず、変形例1と同様に庇板11の前端に切り欠き部37を形成してもよい。
【0074】
(変形例3)
変形例3は、ベースアングル21を使用しない施工例である。図19(a)に示すように、ベースアングル21を使用せずに施工することも可能である。この構成による切り欠き部35の上方にも空隙21eが存在しているため、上述と同様の効果を奏する。
【0075】
(変形例4)
変形例4は、ベースフレーム20の縦片26の上下幅を大きくした例である。図19(b)に示すように、ベースフレーム20の縦片26の上下幅を大きくすれば、庇板11の支持力を高くできるため、庇板11の長手方向(D方向)を長くすることができる。
【符号の説明】
【0076】
10 建物用庇
11 庇板
11a 後端
12 庇材
12a 木目模様
13 中間庇材
14 左庇材
15 右庇材
17 中空部
20 ベースフレーム
20a 取付ボルト
20b 取付ナット
20c 下カバー係合部
20d 支持突起
20e 被係合爪
21 ベースアングル
21a 引掛け部
21b アーム部
21c 取付部
21d カバー係合部
21e 空隙
22 庇固定具
23 ベースカバー
23a 前係止部
24 ベースカバー用ビス
25 ベースフタ
26 縦片
26a 係止片
26b 支持片
26c 位置決め突起
26d カバー取付片
27 横片
27a 支持面
28 先端フレーム
28a 先端フレーム用ビス
29 先端カバー
29a 先端カバー用ビス
29b 前樋部
29c 後樋部
29d 樋溝
30 先端フタ
31 下ベースカバー
31a 前係止部
31b リブ
31c 係止爪
32 ジョイント部材
33 ビス
35~37 切り欠き部
40 上板部
41 下板部
42 側壁部
43 中間壁部
50 第1接合部
51 第1上突出部
51a 回動軸部
52 第1側壁部
52a 弧状部
52b 案内溝
52c 傾斜部
52d 直線部
53 第1下突出部
53a 平板部
53b 立ち上がり部
53c 湾曲片
54 中間樋部
60 第2接合部
61 第2上突出部
61a 回動受部
62 第2側壁部
62a 支持溝
63 第2下突出部
63a 立設部
64 二次樋部
70 壁面
W 幅方向
D 奥行き方向
H 高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19