(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163449
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】害虫除去装置を備えた収穫機
(51)【国際特許分類】
A01D 45/00 20180101AFI20231102BHJP
【FI】
A01D45/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074379
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】316007595
【氏名又は名称】三島食品株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000145116
【氏名又は名称】株式会社寺田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】石川 武
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】加藤 義啓
(72)【発明者】
【氏名】雪丸 誠一
【テーマコード(参考)】
2B075
【Fターム(参考)】
2B075AB07
2B075AB08
2B075AB10
2B075GA01
2B075GA05
(57)【要約】
【目的】既存の収穫機に装着することができ、収穫作業にて害虫等を除去しつつ収穫作業を行うことができる害虫除去装置を備えた収穫機を提供すること。
【構成】複数の除去用軸11と除去用軸11の軸方向両端に配置される回転支持枠13と両回転支持枠13の両回転中心間に配置される回転中心軸12とを有する回転部1と、回転部1の長手方向両側を回転するように支持する腕状部2と、回転部1を回転させる回転駆動伝達部14とを備えた害虫除去装置Aと、上下の刈刃41を備えた切断部4が設けられ且つ可動することによって切断部4の高さ位置が変化する収穫装置B1を有する収穫走行体Bとを備えること。害虫除去装置Aは回転部1が切断部4よりも前方側に位置するようにして、腕状部2を介して収穫装置B1に連結固定され、切断部4の高さ方向調整に伴なって回転部1も高さ調整されること。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円周方向に沿って配列された複数の除去用軸と該除去用軸の軸方向両端に配置される回転支持枠と両該回転支持枠の両回転中心間に配置される回転中心軸とを有する回転部と、該回転部の長手方向両側を回転するように支持する腕状部と、前記回転部を回転させる回転駆動伝達部とを備えた害虫除去装置と、上下の刈刃を備えた切断部が設けられ且つ可動することによって該切断部の高さ位置が変化する収穫装置を有する収穫走行体とを備え、前記害虫除去装置は前記回転部が前記切断部よりも前方側に位置するようにして、前記腕状部を介して前記収穫装置に連結固定され、前記切断部の高さ方向調整に伴なって前記回転部も高さ調整されてなることを特徴とする害虫除去装置を備えた収穫機。
【請求項2】
請求項1に記載の害虫除去装置を備えた収穫機において、前記害虫除去装置の両前記回転支持枠は回転中心部から軸支持片が放射状に形成されてなることを特徴とする害虫除去装置を備えた収穫機。
【請求項3】
請求項1又2に記載の害虫除去装置を備えた収穫機において、前記収穫走行体は、前記収穫装置の前記切断部の後方に荷台部が設けられ、該荷台部に並列するようにハンドル走行自在とした動力車が設けられ、前記収穫装置は前記収穫走行体に設けられてなることを特徴とする害虫除去装置を備えた収穫機。
【請求項4】
請求項3に記載の害虫除去装置を備えた収穫機において、前記収穫装置は、前記荷台部に対して垂直面上を所望の傾斜角度にて固定する構成としてなることを特徴とする害虫除去装置を備えた収穫機。
【請求項5】
請求項1又2に記載の害虫除去装置を備えた収穫機において、前記収穫走行体は、前記切断部の後方に荷台部が設けられ、該荷台部には、収穫畝の畝幅方向両側の地面に設置する2つの履帯を備えて自走してなる構成とし、前記収穫装置は、前記収穫走行体に対して平行状態で昇降することによって高さ調整できることを特徴とする害虫除去装置を備えた収穫機。
【請求項6】
請求項5に記載の害虫除去装置を備えた収穫機において、前記収穫装置の昇降は、前記収穫走行体の本体フレームに装着された前後に具備された縦方向の縦方向チェーン機構と、両該縦方向チェーン機構を同一方向に回転伝達させる横方向チェーン機構とを具備し、前記収穫装置は、前後の両前記縦方向チェーン機構に連結されて平行状態に昇降してなることを特徴とする害虫除去装置を備えた収穫機。
【請求項7】
請求項1又2に記載の害虫除去装置を備えた収穫機において、前記害虫除去装置の腕状部は、垂直面上を所望の傾斜角度にて固定する構成としてなることを特徴とする害虫除去装置を備えた収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡単な構成で、既存の収穫機に簡単に装着することができ、種々の作物の収穫作業にて害虫等を除去しつつ収穫作業を行うことができる害虫除去装置を備えた収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
収穫作業においては、略水平のバリカン式往復刃を用いた収穫機によって新葉部を切断、回収し収穫を行っているが、その使用される収穫機は各産地毎の畑の特性や栽培されている環境により様々なものが使用されている。作物には、種々の害虫の発生があり、一定期間ごとに薬剤による防除作業を行っているが、梅雨などの長期の降雨がある場合、適期での防除作業がその降雨期間中に実施できず、害虫の発生を抑制することはできない。
【0003】
例えば、赤しそは、特有の香味を有し、ふりかけの原料ほか、飲料の原料、梅干し等の発色、漢方薬などにも用いられ、日本でも各地で栽培されている。ふりかけの原料として栽培される赤しそは、植え付け後の育成状況に応じ樹高をそろえるとともに十分な分枝数を確保するため、せん枝作業を行い、機械による収穫作業に適した樹形となるように管理育成されている。
【0004】
赤しそについても他の作物同様に、青虫、コガネムシ、ゾウムシなどの害虫の発生があり、収穫時期を考慮の上で、一定期間ごとに薬剤による防除作業を行っている。しかし、前述したように、梅雨などの長期の降雨がある場合、害虫の発生を抑制することはできない。長期降雨期間中もしくは降雨後に摘採を行った場合、薬剤防除可能な時期に比べ、収穫物に害虫等の害虫が混入する割合が増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上述べたように、害虫に対し、赤しそ加工施設では、篩や金網による形状選別、風力による重量選別、水槽による比重選別、人による目視選別等の複数の手段を組み合わせて用い害虫の除去作業を行っている。前記赤しそ加工施設による害虫の除去作業については、害虫の割合が増えるにつれ、各除去作業に時間がかかり、工場全体の加工能力の低下を招いている。収穫物の害虫等の混入に対し、収穫物を加工施設に持ってくる前の畑での収穫装置による収穫作業の段階で、できる限り、害虫などを除去し、加工施設内での除去作業に対する負担を減らすことが望まれている。
【0007】
また、産地によっては、害虫の多発生時に本来収穫可能な時期であるにも関わらず、収穫作業をあきらめざるを得ない状態となっている。このようなことから、収穫作業の直前に、作業者が歩行により、ほうき,棒等の道具を持って収穫物を揺らして、害虫,泥等を払い落としてから、収穫機にて収穫作業が行われることがある。
【0008】
また、一部の生産者の間では、害虫を払い落とす装置を独自に製作し運用を行っているが、収穫用刃物と高さが連動されておらず、別の畑への移動時、収穫用刃物の高さ調節のたびに払落し装置の高さを変更し対応している。また、特許文献1では、農園用異物除去作業機が開示されている。しかし、特許文献1の異物除去に係る構造は極めて複雑であり、また、収穫走行体に対して極めて手のかかる大きな改造が必要となり、極めて高価なものとなってしまう。
【0009】
本発明の目的(解決しようとする技術的課題)は、種々の作物畑内で容易に害虫除去高さを設定するとともに、害虫を払落し、作物の加工施設での選別作業を軽減させる装置を簡単な構造にできる害虫除去装置を備えた収穫機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、円周方向に沿って配列された複数の除去用軸と該除去用軸の軸方向両端に配置される回転支持枠と両該回転支持枠の両回転中心間に配置される回転中心軸とを有する回転部と、該回転部の長手方向両側を回転するように支持する腕状部と、前記回転部を回転させる回転駆動伝達部とを備えた害虫除去装置と、上下の刈刃を備えた切断部が設けられ且つ可動することによって該切断部の高さ位置が変化する収穫装置を有する収穫走行体とを備え、前記害虫除去装置は前記回転部が前記切断部よりも前方側に位置するようにして、前記腕状部を介して前記収穫装置に連結固定され、前記切断部の高さ方向調整に伴なって前記回転部も高さ調整されてなることを特徴とする害虫除去装置を備えた収穫機としたことにより、上記課題を解決した。
【0011】
請求項2の発明を、請求項1に記載の害虫除去装置を備えた収穫機において、前記害虫除去装置の両前記回転支持枠は回転中心部から軸支持片が放射状に形成されてなることを特徴とする害虫除去装置を備えた収穫機としたことにより、上記課題を解決した。
【0012】
請求項3の発明を、請求項1又2に記載の害虫除去装置を備えた収穫機において、前記収穫走行体は、前記収穫装置の前記切断部の後方に荷台部が設けられ、該荷台部に並列するようにハンドル走行自在とした動力車が設けられ、前記収穫装置は前記収穫走行体に設けられてなることを特徴とする害虫除去装置を備えた収穫機としたことにより、上記課題を解決した。
【0013】
請求項4の発明を、請求項3に記載の害虫除去装置を備えた収穫機において、前記収穫装置は、前記荷台部に対して垂直面上を所望の傾斜角度にて固定する構成としてなることを特徴とする害虫除去装置を備えた収穫機としたことにより、上記課題を解決した
【0014】
請求項5の発明を、請求項1又2に記載の害虫除去装置を備えた収穫機において、前記収穫走行体は、前記切断部の後方に荷台部が設けられ、該荷台部には、収穫畝の畝幅方向両側の地面に設置する2つの履帯を備えて自走してなる構成とし、前記収穫装置は、前記収穫走行体に対して平行状態で昇降することによって高さ調整できることを特徴とする害虫除去装置を備えた収穫機としたことにより、上記課題を解決した。
【0015】
請求項6の発明を、請求項5に記載の害虫除去装置を備えた収穫機において、前記収穫装置の昇降は、前記収穫走行体の本体フレームに装着された前後に具備された縦方向の縦方向チェーン機構と、両該縦方向チェーン機構を同一方向に回転伝達させる横方向チェーン機構とを具備し、前記収穫装置は、前後の両前記縦方向チェーン機構に連結されて平行状態に昇降してなることを特徴とする害虫除去装置を備えた収穫機としたことにより、上記課題を解決した。
【0016】
請求項7の発明を、請求項1又2に記載の害虫除去装置を備えた収穫機において、前記害虫除去装置の腕状部は、垂直面上を所望の傾斜角度にて固定する構成としてなることを特徴とする害虫除去装置を備えた収穫機としたことにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明では、害虫除去装置は、複数の除去用軸を円周方向に沿って配列した回転部の長手方向両側を回転するように支持する腕状部を設け、前記回転部を回転させる回転駆動伝達部を設けた構成としたものである。そして、害虫除去装置の腕状部を介して、収穫走行体の収穫装置に極めて簡単に装着することができる。
【0018】
また、害虫除去装置は回転駆動伝達部を具備しているので、収穫走行体に装着されたモータ又は走行駆動源等を利用して害虫除去を行う回転部を回転駆動させることができ、極めて簡易な構造で、収穫走行体自体には、殆ど改造することなく低価格に提供できる。
【0019】
そして、害虫除去装置の害虫除去を行う回転部は、前記刈刃よりも前方側に位置するようにして、前記腕状部を介して連結固定され、前記刈刃の高さ方向調整に伴なって前記回転部も共に高さ調整されてなる構成としたことにより、刈刃の高さ位置に適正に対応する位置に害虫除去装置の害虫除去を行う回転部を設定することができる。
【0020】
つまり、刈刃の高さ方向を収穫物の高さに合わせるのみで、害虫除去装置の回転部の位置も適正位置に設定される。このように、収穫装置の刈刃の高さ位置と、害虫除去装置の回転部の高さを別々に行うのではなく、同時に行うことができ、収穫作業の段取りを簡易且つ迅速に行うことができる。
【0021】
また、請求項1の発明では、収穫時に、回転部によって赤しそ等の収穫物に付着している青虫、コガネムシ、ゾウムシなどの害虫が収穫物より脱落し収穫物への混入が軽減され、赤しそ等の収穫物の加工施設側の負担軽減に貢献することができる。また、刈刃と一緒に回転部が上下に位置調整することにより、収穫用の刈刃の刈取高さ変更時に、その都度、害虫除去装置の回転部の高さ調節を行う必要がなく、調整忘れによる除去効果の低下も抑制される。
【0022】
さらに、請求項1の発明では、前記害虫除去装置の両前記回転支持枠の両回転中心間には回転中心軸が設けられたことにより、回転部自体の強度を向上させることができる。回転部は、これから収穫しようとする収穫物に近寄る害虫や付着した泥を回転しつつ払い除ける役目をなすものであり、回転部は常時、収穫しようとする収穫物に接触しながら回転動作が行われる。収穫しようとする収穫物は、枝などの硬い部位も存在し、そのために回転部には収穫物からの抵抗荷重がかかるものであり、そのため回転中心軸を具備した回転部は力学的強度が向上され、耐久性に優れたものにできる。なお、本発明における害虫除去装置は、既存の収穫機に、簡易に装着することができるし、また、収穫機に対して僅かの加工にて装着することができる。
【0023】
請求項2の発明では、害虫除去装置の回転支持枠は回転中心部から軸支持片が放射状に形成されたことにより、回転部の部品を無駄の無い構造とすることができ、軽量化を実現でき、害虫除去装置を交換するときには作業員の負担を減少させることができる。
【0024】
請求項3の発明では、前記収穫機は、前記刈刃の後方に荷台部が設けられ、ハンドル走行自在とした動力車が設けられる構成としたことにより、収穫作業を極めて効率的且つ簡易にできる。なお、前記荷台部に害虫除去装置の駆動源とする原動機を具備することにより、該原動機の設置スペースを十分に確保でき、動力車の運転の妨げとはならず、安全且つ安定した運転ができる。請求項4の発明では、収穫装置の切断部及び害虫除去装置の回転部の高さ位置の調整作業を極めて簡単にできる。
【0025】
請求項5の発明では、従来使用されている履帯で自走するタイプの収穫機を使用することで、ほとんど車体事態を改造することなく、害虫除去装置を収穫装置に簡易に装着することが行いやすいものにできる。請求項6の発明では、収穫装置の切断部及び害虫除去装置の回転部の高さ位置の調整作業を極めて簡単にできる。請求項7の発明では、害虫除去装置の腕状部は、前記害虫除去装置の腕状部は、垂直面上を所望の傾斜角度にて固定する構成としたことにより、回転部の高さ位置の微調整を行うことができ、収穫装置の刈刃との高さ位置関係をより一層、最適にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】(A)は本発明の第1実施形態における収穫機の斜視図、(B)は側面図、(C)は(B)の(α)部拡大図である。
【
図2】(A)は本発明の第1実施形態における害虫除去装置及び収穫装置の側面図、(B)は(A)の一部省略した拡大図、(C)は本発明の第1実施形態における害虫除去装置の斜視図である。
【
図3】(A)は害虫除去装置の回転部の斜視図、(B)は(A)の(β)部拡大図、(C)は害虫除去装置の腕状部の動作を示す要部拡大側面図、(D)は(C)の(γ)部拡大図である。
【
図4】(A)及び(B)は本発明の第1実施形態における害虫除去装置及び収穫装置の動作を示す一部断面にした要部側面図である。
【
図5】(A),(B)は本発明の第1実施形態における収穫機の収穫作業を示す図、(C)は収穫機の収穫作業完了直後の状態を示す図である。
【
図6】(A)は本発明の第2実施形態における収穫機の斜視図、(B)は本発明の第2実施形態における収穫機の側面図である。
【
図7】(A)は本発明の第2実施形態の収穫機における害虫除去装置及び収穫装置の昇降動作を示す略示側面図、(B)は第2実施形態の収穫機に使用した害虫除去装置及び収穫装置の斜視図、(C)は害虫除去装置の斜視図である。
【
図8】(A)及び(B)は第2実施形態の収穫機における害虫除去装置と収穫装置との昇降動作を示す要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明における害虫除去装置を備えた収穫機は、収穫作業において、収穫しようとする収穫物に付着した害虫等を回転しつつ払い除けるものである。本発明は、主に害虫除去装置Aと収穫装置B1を具備した収穫走行体Bとから構成される。本発明は、収穫走行体Bの構成によって第1実施形態(
図1乃至
図5参照)及び第2実施形態(
図6乃至
図8参照)が存在する。
【0028】
本発明における第1実施形態及び第2実施形態において、害虫除去装置A及び収穫装置B1の構成は略同等である。まず、第1実施形態について説明する。害虫除去装置Aは、回転部1と、腕状部2と、回転駆動伝達部14とを備えている〔
図2(B),
図3(A),(B)参照〕。回転部1は、複数の除去用軸11,11,…と、回転中心軸12と、回転支持枠13とを有している。複数の除去用軸11,11,…は円周方向に沿って配列され、さらに具体的には、複数の除去用軸11,11,…は、相互に平行となるようにされ、且つ円周方向に等間隔に配置される。除去用軸11,回転中心軸12及び回転支持枠13は、金属製であるが、強度を有する合成樹脂を使用しても構わない。
【0029】
円周状に配列された除去用軸11,11,…の周方向によって構成される軌跡円の直径中心位置に回転中心軸12が配置される。該回転中心軸12は、全除去用軸11,11,…に対して平行となる。除去用軸11,11,…と回転中心軸12の長手方向両側には回転支持枠13が配置され、各除去用軸11,11,…及び回転中心軸12の軸端部にそれぞれ固着されている。
【0030】
回転支持枠13は、中心にボス部13aが位置し,該ボス部13aの周囲から放射状に突出する複数の軸支持片13b,13b,…が形成されたものである。そして、前記ボス部13aには、回転中心軸12の軸取付部13cが形成され、それぞれの軸支持片13bの先端部分に除去用軸11,11,…の軸取付部13cが形成されている。
【0031】
回転支持枠13が上述した構成によりボス部13aを中心として複数の軸支持片13b,13b,…が放射状に形成されたY形状又は星形状とされることで、回転支持枠13は、軽量且つ強固なものとなる。回転支持枠13は、前述したY形状又は星型の形状としたもの以外で、円板状に形成されたものでも構わない。除去用軸11は、回転支持枠13の軸支持片13bの先端にU字状クリップ等の固着具にて固着されている〔
図3(B)参照〕。
【0032】
その他の例として、回転支持枠13には、除去用軸11及び回転中心軸12の軸端が挿入固着される取付孔又は円筒状に膨出形成された膨出凹部等が形成され、これらの軸取付部13cに除去用軸11及び回転中心軸12の軸端が圧入状態で挿入固着されたり、或いは挿入後にビス等の固着具にて固着される。回転支持枠13は、複数の除去用軸11,11,…を円周状に沿って配列され、その円周方向の直径中心位置に回転中心軸12が存在するようにして固定する役目をなすものである。
【0033】
また、回転部1の複数の除去用軸11,11,…は2本以上とする。また、除去用軸11,11,…は、3本以上が好ましく、3本にすることがバランス上又は払い除け作業において好適である(
図3参照)。具体的には、3本の除去用軸11,11,…が角度120度として回転中心軸12より除去用軸11まで回転半径約10センチ程度となるように構成されている。また、除去用軸11,11,…の本数及び回転中心軸12から回転半径の長さは適時変更してもよい。
【0034】
腕状部2は、回転部1の長手方向両側の両回転支持枠13,13に、回転部1が周方向に回転自在に連結されている。両腕状部2,2は、前述した収穫走行体Bの高さ調整ができる収穫装置B1に連結されている。そして、害虫除去装置Aの回転部1は、収穫装置B1に備わっている上下方向に2つの刈刃41,41からなる切断部4よりも前方に位置するように設定されている(
図1乃至
図3等参照)。ここで、収穫走行体Bにおける前方とは、収穫走行体Bが前進する側とする。つまり、害虫除去装置Aの回転部1が収穫装置B1の切断部4の上下両刈刃41,41よりも常に前方に位置するものである。
【0035】
腕状部2は、ベース腕片21と調整腕片22とを備えており、ベース腕片21と調整腕片22は枢支連結され、該調整腕片22は、ベース腕片21に対して垂直面上を回動且つ所定位置にて固定自在の構成としている(
図2乃至
図4参照)。そして、ベース腕片21が収穫装置B1側に連結固着され、調整腕片22の回動自由端側に回転部1が装着されて
いる。つまり、害虫除去装置Aにおいて回転部1の高さ位置は、害虫除去装置Aの単独で調整できるようにしている〔
図3(C)参照〕。
【0036】
調整腕片22には、ベース腕片21との枢支連結側に回動角度調整板22aが設けられている。該回動角度調整板22aには、円弧状のガイド溝孔22bが形成されている〔
図3(C)参照〕。またベース腕片21の調整腕片22との枢支連結側には回動角度調整突起板21aが形成され、該回動角度調整突起板21aには締付け部21bが設けられている〔
図3(C)参照〕。
【0037】
該締付け部21bは、ネジ軸であり、該ネジ軸とした締付け部21bに締付けレバー21cが設けられている。該締付けレバー21cは、前記締付け部21bとしたネジ軸と螺合する内ネジが形成され、締付けレバー21cのロックにより調整腕片22はベース腕片21に所定角度で固定され、締付けレバー21cのロック解除で調整腕片22の角度調整ができ、これによって、回転部1の高さ位置を微調整することができる。
【0038】
また、調整腕片22に前記回動角度調整板22aを設け、ベース腕片21に回動角度調整突起板21aを設けたが、このような構成に限定されるものではなく、調整腕片22に回動角度調整突起板21aが設けられ、ベース腕片21に回動角度調整板22aが設けられる構成としてもかまわない。
【0039】
そして、前記害虫除去装置Aの両腕状部2,2は、収穫装置B1にボルト・ナット等の固着具にて連結される。収穫装置B1と害虫除去装置Aとの連結により、収穫装置B1と害虫除去装置Aとは一体化され、一体化された収穫装置B1と害虫除去装置Aが収穫走行体Bに対して垂直面上を回動させ、所望の傾斜角度で固定される構成となっている。
【0040】
第1実施形態における収穫走行体Bは、刈刃41からなる切断部4の後方に荷台部61が設けられ、該荷台部61には、原動機64が具備され、ハンドル走行自在とした動力車62が並列状態で装着されている〔
図1(A)参照〕。該動力車62は、3輪スクータ状をなしている。実際には、3輪スクータ状の動力車62の内の一輪は荷台部61側に設けられている。
【0041】
また、第2実施形態における収穫走行体Bは、前記刈刃41の後方に荷台部61が設けられ、収穫走行体Bには、収穫畝を跨ぐ履帯63が備えられたタイプのものである。また、前記原動機64は、害虫除去装置Aを駆動させる動力源であり、具体的には内燃機関等のエンジン又は電動モータ等である。荷台部61に害虫除去装置Aの駆動源とする原動機64を具備することにより、該原動機64の設置スペースが十分に確保され、動力車62の運転の妨げとはならず、安全且つ安定した運転ができる。
【0042】
次に、収穫走行体Bの収穫装置B1は、刈刃41を有する切断部4と、収穫物誘導収納部5とを備えている。切断部4において、上下2つの刈刃41,41は略バリカン状の動作をする構造であり、そのバリカン状の動作は、図示されない原動機,電動モータ等の動力源にて作動するものである。切断部4の刈刃41,41は、畝幅方向に往復運動し、収穫しようとする収穫物を切断する。
【0043】
収穫物誘導収納部5は、ダクト又は管状の収納通路筐状部51及び収納袋52及び送風ダクト53及び該送風ダクト53に装着される送風機によって構成され、前記切断部4の刈刃41の後方に収納通路筐状部51が位置し、該収納通路筐状部51の後方に収納袋52が連結されている。そして、切断部4の刈刃41,41によって切断された収穫物は、送風ダクト53からの送風を受けて、収納通路筐状部51内に送り込まれ、次いで収納袋52に収納される。
【0044】
収穫走行体Bの収穫装置B1は、切断部4が収穫物誘導収納部5に装着され、収穫物誘導収納部5に対して取付位置が固定され、収穫物誘導収納部5と切断部4とは一体的に組み合わせられる構成となっている。したがって、収穫物誘導収納部5が垂直面上を回動したり、或いは収穫物誘導収納部5が上下方向に移動する場合には、該収穫物誘導収納部5と共に切断部4も上下移動し、切断部4の高さ位置が調整されることになる。
【0045】
収穫装置B1が上下方向に可動する構造には2つのタイプが存在する。その第1は、回動タイプであり、その第2は昇降タイプである。まず、第1の回動タイプについて説明する。ここで、回動とは、一端側を任意の一点を回動中心として、その他端側を自由端とし、所定の平坦面上にて振り子状に移動する構成のことを言う。そして、前記収穫装置B1は、収穫走行体Bに対して、任意の一点を回動中心として、所望の位置で固定させる設定するものである。上下2つの刈刃41,41を有する切断部4は、収穫物誘導収納部5の収納通路筐状部51と略一体的状に組み付けられており、収納通路筐状部51と切断部4とは常時、略一体的となって回動動作するものである。
【0046】
収穫装置B1が、収穫走行体Bに対して、収納通路筐状部51が垂直面上を回動する構造では、収穫走行体Bの本体フレーム71の前後方向の後方側の適所に、荷台部61の前後方向の後方側の適所がヒンジ,蝶番又は軸受による軸支構造等の枢支連結手段とした回動連結部材72を介して連結されている。そして、荷台部61は、本体フレーム71に対して前記回動連結部材72を回動中心として上下面(又は垂直面)上を回動し、所定の傾斜角度に設定且つ固定する構成となっている。荷台部61上面には、収穫装置B1が設置されており、荷台部61の回動動作と共に収穫装置B1が回動動作する。これによって、収穫装置B1を構成する収納通路筐状部51及び切断部4等が垂直面上を回動する。
【0047】
本体フレーム71と荷台部61との間には回動操作部73が設けられている。該回動操作部73は、本体フレーム71に対して、収穫装置B1及び荷台部61を回動動作させて、荷台部61及び収穫装置B1に所定の傾斜角度を与えるものである〔
図2,
図3(D)参照〕。ここで、前記回動操作とは、荷台部61と該荷台部61に設置されている収穫装置B1に所定の傾斜角度を付けるように回動させることである。
【0048】
前記回動操作部73は、ネジ機構を主体とした軸方向に伸縮する機構部材である。該回動操作部73は、筒状部73aと、ネジ軸部73bと、回動支持部73cと、回動基部73dとから構成されている。ネジ軸部73bは、本体フレーム71に回動支持部73cによって回動自在に連結されたものである。回動支持部73cは軸受状の部材であり、ネジ軸部73bの軸方向上方箇所を回動自在に軸支され、ネジ軸部73bは、回動支持部73cを回動中心として垂直面上を所定範囲(又は角度)内で回動する構成となっている。
【0049】
筒状部73aは、断面円形状の管状部材であり、その軸方向の上端にはナット等の内ネジ部が形成された部材が固着又は形成されている。或いは、筒状部73aの内周側面に内ネジが形成されることもあり、この場合は、前記ナットは不要である。筒状部73aの軸方向の下端箇所は、荷台部61の前後方向の前方側の略端部箇所に回動基部73dを介して回動自在に連結されている。回動基部73dは、軸受状の部材であり、筒状部73aは荷台部61に対して垂直面状を回動自在となるように軸支されている。
【0050】
前記ネジ軸部73bの外ネジと、前記筒状部73aの内ネジとが螺合されて両者が接続される構成となる。この接続された状態によって、筒状部73aとネジ軸部73bとからなる回動操作部73は、ネジ軸部73bの軸周方向の回転によって軸方向に伸縮する構造となる。
【0051】
そして、ネジ軸部73bの回転操作によって、荷台部61は前記回動連結部材72を回動中心として、回動することにより垂直面上を回動するものであり、この荷台部61の回動による前後方向前方側の上下動と共に収穫装置B1が上下動する構成となる。回動操作部73は、荷台部61の幅方向両側に設けられる。また、両回動操作部73は、歯車機構を介して両方が同時に同一伸縮を行い、本体フレーム71に対して荷台部61が略同時且つ同期的に回動することができる構成となっている。
【0052】
前述したように、上下二つの刈刃41,41からなる切断部4は、収穫装置B1の収納通路筐状部51に略一体化するように連結されており、収納通路筐状部51の回動連結部材72を回動中心として回動動作が行われるにしたがって、切断部4が上下方向に昇降移動することになる(
図4参照)。
【0053】
そして、収納通路筐状部51に、切断部4よりも前方側に回転部1が位置するようにして連結された害虫除去装置Aが収納通路筐状部51の垂直面上における回動動作と共に、回動動作が行われ、切断部4の高さ調整と同時に害虫除去装置Aの回転部1の高さ調整が行われる〔
図2,
図3(C),
図4等参照〕。
【0054】
次に、収穫装置B1の昇降タイプについて説明する。このタイプは、前述した本発明の第2実施形態において履帯63を備えた収穫走行体Bの収穫装置B1に適用されるものであり、これを前提として説明する〔
図7(A),
図8参照〕。収穫走行体Bにおける収納通路筐状部51と切断部4とが平行状態を維持しつつ垂直面上を上下方向に移動できる構成を説明する(
図8参照)。
【0055】
このタイプは、収穫走行体Bが後述する履帯63を備えたものに対して好適な構造である。収穫走行体Bは、並列に配置された2つの履帯63、63を有している〔
図6(A)参照〕。そして、履帯63の上方に本体フレーム71が設けられ、該本体フレーム75には前後両側に設けた縦方向の前縦チェーン機構81,後縦チェーン機構82と、両前縦チェーン機構81,後縦チェーン機構82を同一方向に回転伝達させる横方向チェーン機構83とを具備している〔
図7(A),
図8参照〕。
【0056】
前後の前縦チェーン機構81,後縦チェーン機構82及び横方向チェーン機構83は、収穫走行体Bの幅方向両側に配置されている。前後2つの前縦チェーン機構81,後縦チェーン機構82又は横方向チェーン機構83の何れかの1つの機構を構成するスプロケットがモータ又はエンジン等の動力を利用した駆動スプロケットとなっており、その他のスプロケットは従動スプロケットとなっている。本発明においては、前記前縦チェーン機構81のスプロケットにチェーン駆動モータ84を設け、該チェーン駆動モータ84を前縦チェーン機構81の駆動用のチェーンとしての役目を与える。
【0057】
そして、チェーン駆動モータ84を駆動して、前縦チェーン機構81を回転させ、この回転によって後縦チェーン機構82及び横方向チェーン機構83が従動して回転する構成とした〔
図7(A),
図8参照〕。そして、収穫装置B1の収納通路筐状部51及び荷台部61が前記前縦チェーン機構81,後縦チェーン機構82に収穫装置B1に設けられた連結部材54によって連結されており、前縦チェーン機構81,後縦チェーン機構82の回動により、前記連結部材54が昇降することにより、収穫装置B1が上下方向に昇降することになる(
図8参照)。そして、該収穫装置B1の上下方向の昇降と共に、害虫除去装置Aも同一の分量だけ上下方向に昇降する。
図8(A)では、通常の位置にある収穫装置B1及び害虫除去装置A(共に二点鎖線で図示)が上方に移動した状態(共に実線で図示)を示す。
【0058】
図8(B)では、通常の位置にある収穫装置B1及び害虫除去装置A(共に二点鎖線で図示)が下方に移動した状態(共に実線で図示)を示す。そして、切断部4の上方及び下方における調整寸法Heと害虫除去装置Aの回転部1の上方及び下方における調整寸法Hfは常時同一となる(
図8参照)。つまり、調整寸法においてHe=Hfである。収穫装置B1と共に切断部4が調整寸法Heだけ上方に移動すると、害虫除去装置Aの回転部1も調整寸法Hfだけ上方に移動する〔
図8(A)参照〕。そして、収穫装置B1と共に切断部4が調整寸法Heだけ下方に移動すると、害虫除去装置Aの回転部1も調整寸法Hfだけ下方に移動する〔
図8(B)参照〕。
【0059】
収穫走行体Bは、シソ,茶等の畝を跨いで走行することができるものである。そして収穫走行体Bに対し、進行方向の中間位置より前方に略水平の収穫装置B1の切断部4が配置されている。そして、該切断部4により、切断された収穫物を収穫物誘導収納部5の送風ダクト53による風送搬送により収納袋52に回収される。また、収穫装置B1の構成はこの限りではなく切断部4については、特に図示しないが、ロータリー式、鋏式、回転式刃物等も考えられる。
【0060】
害虫除去装置Aと収穫装置B1との具体的な構成は、収穫装置B1に対し、害虫の除去を行う害虫除去装置Aの回転部1が切断部4の刈刃41より前方方向に約70センチ程度の位置で且つ切断部4の高さより上下各約20センチ程度の高さを調節ができるとともに、回転部1の回転中心軸12を中心に回転動作し且つ刈刃41の高さ調節時に一緒に上下動されるように取り付けられている。当実施例では前方方向に約70センチ程度としているが、この距離は収穫時の走行速度により必要な距離が変わり、走行速度が速いほど、距離が長く必要となる。
【0061】
害虫除去装置Aの回転部1は、回転駆動伝達部14を介して回転動作するものである。回転部1は、収穫作業時に回転部1により進行方向前方へすくい上げる方向で回転する。回転駆動伝達部14の動力源として収穫走行体Bに搭載されたガソリンエンジン等の内燃機関と減速装置から構成される動力ユニットが図示されない公知の等速フレキシブルワイヤーによって接続されたものである。また、回転駆動伝達部14の動力源として、専用として電動モータや油圧ユニット等を収穫走行体Bに装着する実施形態も存在する。なお、本発明における害虫除去装置Aは、既存の収穫機の収穫走行体又は装着されている収穫装置に、簡易に装着することができるし、また、収穫機に対して僅かの加工を施すことで、簡単に装着することができるものである。
【0062】
以下に、収穫物の収穫作業を、実際の現場として、赤しそ畑での運用として説明する。赤しそは、等間隔の畝状に仕立てられており、畝始端部(収穫作業開始位置)まで収穫機を移動し、収穫走行体Bにおける収穫装置B1の刈刃41の高さ位置を図示しない調整ハンドルにより収穫高さに合わせる〔
図4,
図5(A)参照〕。例えば、収穫装置B1の刈刃41の地面からの高さ位置をHaから収穫高さHbに下げると、害虫除去装置Aの回転部1の最下位置の高さもHcから払い除け高さHdとなる。これについては、本発明の第1実施形態では
図4を参照のこと。また、本発明の第2実施形態では
図8を参照のこと。
【0063】
また、
図5(A)は、収穫物の高さが比較的高い場合の高さ寸法Htに、切断部4及び対応する害虫除去装置Aの高さを合わせたものであり、
図5(B)は、収穫物の高さが比較的低い場合の高さ寸法Hsに、切断部4及び対応する害虫除去装置Aの高さを合わせたものである。また、
図5(C)は、収穫作業を行わないとき又は作業前、作業後の状態であり、荷台部61は水平上となっている。また、収穫物の高さが比較的高い場合の高さ寸法Htに、切断部4及び対応する害虫除去装置Aの高さを合わせた構成、及び収穫物の高さが比較的低い場合の高さ寸法Hsに、切断部4及び対応する害虫除去装置Aの高さを合わせた構成は、本発明の第2実施形態にも略同様に適応される〔
図7(A)参照〕。
【0064】
ここで、回転部1は収穫装置B1の刈刃41の調整とともに、上下に移動して調整され、ほとんどこの状態で調整は完了する。ただし、回転部1の高さのみを僅かに移動させる微調整が必要な場合は、害虫除去装置Aの回転部1のみを腕状部2の調整腕片22を調整して高さを設定することもある。害虫除去装置Aの回転部1を収穫高さと同等もしくは、害虫の発生状況に応じ、やや低くなるように調整を行う。具体的には、
図4に示すように、収穫装置B1の刈刃41の高さ位置よりも回転部1の回転軌跡円の下端を低く設定することが多い。
【0065】
また、当初設定した刈刃41の高さが収穫目的位置とずれていた場合、回転部1は、刈刃41と一緒に上下動するため、収穫用刈刃の高さのみ再調整を行えばよい。収穫高さ及び回転部1の高さの調整が終わると、収納袋52を収穫機に取付け収穫作業の準備が終了する。収穫機のエンジン及び害虫除去装置Aの回転部1を回転駆動させる動力ユニットのエンジンを始動し、収穫装置B1の送風ダクト53、切断部4の刈刃41、害虫除去装置Aの回転部1を作動させる。収穫機は、赤しその畝へ、走行進入を行い、収穫作業を開始する。この際、害虫除去装置Aの回転部1は、進行方向にすくい上げるように回転し、収穫前の赤しそを前後方向へ回動させ、害虫等を払い除けたり、或いは払い落とす。
【0066】
また、切断部4との距離が十分でない場合、切断部4の刈刃41にて収穫されるまでに赤しその回動が収まらず、収穫高さにばらつきが発生する。害虫を払い落とされた赤しそは、収穫装置B1の刈刃41によって切断され、収穫物誘導収納部5の送風ダクト53により吹出される風により、進行方向後方へ風送され、収納袋52に収穫される。
【0067】
収納袋52が一杯になった時点で収穫機をその場で停車させ、送風機、収穫用刃物、害虫除去装置Aの回転部1を停止したのち収納袋52を取り外す。一杯になった収納袋52は、機体後方にある荷台部61へ乗せる。空の収納袋52を収穫機へ取付け、送風ダクト53、刈刃41、回転部1を作動させた後、収穫機の走行を再開し収穫作業を継続する。
【0068】
収穫容器交換作業を繰り返し赤しそ畝の終端まで収穫を終えると、送風ダクト53、刈刃41、回転部1を停止させ、収穫機を畝外に移動する。このときに、次の収穫準備作業として、荷台部61に乗せられた一杯の収納袋52を収穫機から降し、新たに空の付け替え用の収穫容器を準備、搭載する。収穫機をターンさせ、次の畝開始端まで移動し前記までと同様の手順を赤しそ畑全体の収穫作業が終了するまで繰り返す。収穫物の収穫作業において具体的には、除去率調査では、コガネムシを対象とした試験において8割程度除去できたことが確認された。
【0069】
下記の表は、本発明の害虫除去装置Aと同等の試作機を使用した収穫機と、この試作機を使用しない収穫機によって、しそ畑において、しそ葉収穫機虫払落の調査を行った結果を一つにまとめたものである。この調査は、JA遠州中央農業協同組合様の協力のもとで行われた。この調査において、本願発明の害虫除去装置Aを装着した場合と、装着しない場合において、害虫の混入がどの程度軽減されているかを調査する為、収穫されたしそ葉内に混入している害虫のカウント作業を行った。
【符号の説明】
【0070】
A…害虫除去装置、1…回転部、11…除去用軸、12…回転中心軸、
13…回転支持枠、13b…軸支持片、14…回転駆動伝達部、2…腕状部、
4…切断部、41…刈刃、B…収穫走行体、B1…収穫装置、61…荷台部、
62…動力車、63…履帯、71…本体フレーム、81…前縦方向チェーン機構、
82…後縦方向チェーン機構、83…横方向チェーン機構。