IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アシックスの特許一覧

<>
  • 特開-靴のソール及び靴 図1
  • 特開-靴のソール及び靴 図2
  • 特開-靴のソール及び靴 図3
  • 特開-靴のソール及び靴 図4
  • 特開-靴のソール及び靴 図5
  • 特開-靴のソール及び靴 図6
  • 特開-靴のソール及び靴 図7
  • 特開-靴のソール及び靴 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023163457
(43)【公開日】2023-11-10
(54)【発明の名称】靴のソール及び靴
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/14 20060101AFI20231102BHJP
   A43B 13/42 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
A43B13/14 A
A43B13/42 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074392
(22)【出願日】2022-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高増 翔
(72)【発明者】
【氏名】矢野 晴嗣
(72)【発明者】
【氏名】中村 浩基
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BA04
4F050BA40
4F050BF09
4F050JA09
(57)【要約】
【課題】走行に伴って疲労が増した状態においてもオーバープロネーションを抑制することができる靴のソールを得ること。
【解決手段】靴1のソール3は、前方から後方に向かって順に、着用者の足の前足部を支持する前足支持部R1と、着用者の足の中足部を支持する中足支持部R2と、着用者の足の後足部を支持する後足支持部R3とが連なった靴1のソール3である。中足支持部R2の底面のうち内足側の領域には、側面視において前足支持部R1の最下点と後足支持部R3の最下点とを結んだ最下線上に位置する部分を有する接地部33aが形成されている。中足支持部R2の内足側側面には、内足側に向かって突出する凸部33bが形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方から後方に向かって順に、着用者の足の前足部を支持する前足支持部と、着用者の足の中足部を支持する中足支持部と、着用者の足の後足部を支持する後足支持部とが連なった靴のソールであって、
前記中足支持部の底面のうち内足側の領域には、側面視において前記前足支持部の最下点と前記後足支持部の最下点とを結んだ最下線上に位置する部分を有する接地部が形成され、
前記中足支持部の内足側側面には、内足側に向かって突出する凸部が形成されている、靴のソール。
【請求項2】
前記前足支持部と前記中足支持部と前記後足支持部とに亘って配置されるミッドソールを備え、
前記凸部は、前記ミッドソールの内足側側面に形成され、
前記ミッドソールの上面の内足側の縁と前記ミッドソールの底面の内足側の縁とを結んだ直線を仮想直線としたときに、前記凸部の頂点は、前記仮想直線よりも内足側かつ前記仮想直線の上下方向の中心よりも下方に位置している、請求項1に記載の靴のソール。
【請求項3】
前記凸部は、内足側を向く突端面を含んでおり、
前記突端面は、前記ミッドソールの底面の内足側の縁から上方に向かって内足側に位置するように延びている第1突端面及び前記第1突端面に連なり且つ上方に向かって外足側に位置するように延びている第2突端面を有する、請求項2に記載の靴のソール。
【請求項4】
前記ソールを底面視した状態において、前記ソールのうち最も外に位置する部分を結んだ線をソール外形線とし、前記ソールと前記ソールの上方に位置するアッパーとが固定される部分を結んだ線を固定線としたときに、前記ソール外形線は、前記固定線の周囲を囲むように延び、
前記ソールの後端から前記ソールの前後方向の寸法の30%から60%に亘る領域において、前記ソール外形線のうち内足側部分と前記固定線のうち内足側部分との間の足幅方向の距離は、前記ソール外形線のうち外足側部分と前記固定線のうち外足側部分との間の足幅方向の距離よりも長い、請求項2に記載の靴のソール。
【請求項5】
少なくとも前記前足支持部と前記後足支持部とに配置されるとともに、前記ミッドソールの下方に配置されるアウトソールを備え、
前記接地部と前記アウトソールとは、互いに独立して設けられる、請求項2に記載の靴のソール。
【請求項6】
少なくとも前記前足支持部と前記後足支持部とに配置されるとともに、前記ミッドソールの下方に配置されるアウトソールを備え、
前記ミッドソールの底面には、上方に向かって凹んだ凹部が形成され、
前記接地部の少なくとも一部と前記アウトソールの少なくとも一部とは、互いに繋がっており、
前記接地部と前記アウトソールとが互いに繋がる部分は、前記凹部内に配置されている、請求項2に記載の靴のソール。
【請求項7】
前記ミッドソールは、前記前足支持部と前記中足支持部と前記後足支持部とに亘って配置される第1ミッドソール部と、少なくとも前記中足支持部の内足側の領域に配置されるとともに前記第1ミッドソール部の下方に配置され、前記接地部を含む第2ミッドソール部と、を有し、
前記第2ミッドソール部の硬度は、前記第1ミッドソール部の硬度よりも低い、請求項2に記載の靴のソール。
【請求項8】
前記第2ミッドソール部の上面は、内足側から外足側に向かって下り傾斜している、請求項7に記載の靴のソール。
【請求項9】
前記第1ミッドソール部と前記第2ミッドソール部との間には、前記第1ミッドソール部の硬度及び前記第2ミッドソール部の硬度よりも高い硬度を有するプレートが配置されている、請求項7に記載の靴のソール。
【請求項10】
前記第2ミッドソール部は、前記中足支持部の内足側の領域から前記後足支持部の外足側の領域に亘って配置され、
前記接地部は、前記第2ミッドソール部の底面のうち前記中足支持部の内足側の領域と前記第2ミッドソール部の底面のうち前記後足支持部の外足側の領域とに配置されている、請求項7に記載の靴のソール。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の靴のソールと、前記靴のソールの上方に位置するアッパーと、を備える、靴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴のソール及び靴に関する。
【背景技術】
【0002】
人間が走行する際には、着地と同時に足が内側に倒れ込み、足の内側縦アーチの落ち込みが発生する。この一連の足の動きはプロネーションとも呼ばれ、着地時の衝撃を分散するための足の自然な動きとして知られている。しかし、足が内側に大きく倒れ込み過ぎた状態、すなわちオーバープロネーションになると着地が不安定になり、脚の筋肉や関節、膝にかかる負担が大きくなる傾向がある。
【0003】
そのため、過度のプロネーションを抑制するための技術が従来から知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-242692号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2019/0142103号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に開示された靴は、走行に伴って疲労が増した状態におけるオーバープロネーションについての考察はされていない。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、走行に伴って疲労が増した状態においてもオーバープロネーションを抑制することができる靴のソールを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る靴のソールは、前方から後方に向かって順に、着用者の足の前足部を支持する前足支持部と、着用者の足の中足部を支持する中足支持部と、着用者の足の後足部を支持する後足支持部とが連なった靴のソールである。中足支持部の底面のうち内足側の領域には、側面視において前足支持部の最下点と後足支持部の最下点とを結んだ最下線上に位置する部分を有する接地部が形成されている。中足支持部の内足側側面には、内足側に向かって突出する凸部が形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る靴のソールは、走行に伴って疲労が増した状態においてもオーバープロネーションを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る靴を示した底面図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1に係る靴の内足側側面図である。
図3図3は、図1に示されたIII-III線に沿った断面図である。
図4図4は、本発明の実施の形態1に係る靴のソール外形線と固定線とを模式的に示した底面図である。
図5図5は、本発明の実施の形態2に係る靴を示した底面図である。
図6図6は、本発明の実施の形態3に係る靴を示した断面図であって、図1に示されたIII-III線断面図に相当する図である。
図7図7は、本発明の実施の形態4に係る靴を示した底面図である。
図8図8は、図7に示されたVIII-VIII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る靴のソール及び靴の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。以下の説明において、同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る靴1を示した底面図である。図1を含む各図には、左足用の靴1のみを図示している。靴1は、左足用と右足用とで左右対称構造であるため、本実施の形態では左足用の靴1のみを説明し、右足用の靴1の説明を省略する。以下の説明においては、靴1を底面視した状態において靴1の中心を通る垂線であるシューズセンター軸Cが延在する方向を前後方向と称し、靴1を底面視した状態において前後方向と直交する方向を足幅方向と称する。
【0012】
以下の説明においては、前後方向のうち、靴1において踵から爪先に向かう方向を前方と称し、前後方向のうち、靴1において爪先から踵に向かう方向を後方と称する。
【0013】
以下の説明においては、足のうちの解剖学的正位における正中側を内足側と称し、足のうちの解剖学的正位における正中側とは反対側を外足側と称する。すなわち、解剖学的正位における正中に近い側を内足側と称し、解剖学的正位における正中に遠い側を外足側と称する。
【0014】
以下の説明においては、上下方向とは、他に特段の記載がない限り、前後方向及び足幅方向の両方向に直交する方向を意味する。
【0015】
ソール3は、標準的な体型の着用者の足の前足部を支持する前足支持部R1と、標準的な体型の着用者の足の中足部を支持する中足支持部R2と、標準的な体型の着用者の足の後足部を支持する後足支持部R3とを含んでいる。ソール3の前方から後方に向かって順に、前足支持部R1と中足支持部R2と後足支持部R3とが連なっている。
【0016】
ソール3の前端からソール3の前後方向の寸法の概ね37%に相当する位置を通る足幅方向に沿った線を第1境界線S1とし、ソール3の前端からソール3の前後方向の寸法の概ね71%に相当する位置を通る足幅方向に沿った線を第2境界線S2とする。第1境界線S1は、標準的な体型の着用者のMP関節に概ね沿った線である。第2境界線S2は、標準的な体型の着用者のショパール関節に概ね沿った線である。前足支持部R1は、第1境界線S1よりも前方に位置する部分である。中足支持部R2は、第1境界線S1と第2境界線S2との間に位置する部分である。後足支持部R3は、第2境界線S2よりも後方に位置する部分である。
【0017】
図2は、本発明の実施の形態1に係る靴1の内足側側面図である。靴1は、ランニング用の靴であることが好ましいが、他のスポーツ用の靴、ウォーキング用の靴、登山用の靴などでもよい。靴1は、アッパー2と、ソール3とを備えている。
【0018】
アッパー2は、ソール3の上方に位置する。アッパー2は、アッパー本体20と、シュータン21と、シューレース22とを備えている。
【0019】
アッパー本体20は、着用者の足の甲側の部分を覆う。アッパー本体20の上部には、履き口20aと、スロート部20bとが形成されている。履き口20aは、着用者の足をアッパー本体20の内部に入れるための開口である。スロート部20bは、履き口20aに連通して履き口20aから前方に延びる開口である。スロート部20bの足幅方向の両側の側縁には、前後方向に互いに離隔する複数の紐通し部20cが設けられている。図2では、スロート部20bの内足側の側縁に設けられた紐通し部20cのみを図示している。紐通し部20cは、シューレース22を通すことが可能であればよい。紐通し部20cは、例えば、アッパー本体20を上下方向に貫通する貫通孔である。
【0020】
シュータン21は、着用者の足の甲を保護するための部材である。シュータン21は、アッパー本体20の内部においてスロート部20bを覆う。シュータン21は、縫合、溶着、接着又はこれらの組み合わせによってアッパー本体20に固定されている。アッパー本体20及びシュータン21の材料は、例えば、織地、編地、合成皮革、樹脂である。通気性及び軽量性が求められる靴1においては、アッパー本体20及びシュータン21の材料は、ポリエステル糸を編み込んだダブルラッセル経編地であることが好ましい。なお、アッパー本体20及びシュータン21の材料は、例示した材料に限定されない。
【0021】
シューレース22は、スロート部20bの足幅方向の一方の側縁に設けられた紐通し部20cと足幅方向の他方の側縁に設けられた紐通し部20cとに交互に通される紐状の部材である。シューレース22は、アッパー本体20に着脱可能に取り付けられている。
【0022】
なお、本実施の形態ではシュータン21及びシューレース22を含むアッパー2を例に説明するが、アッパー2は、シュータン21に相当する部分がアッパー本体20の足首部分と一体となったモノソック構造であってもよい。また、アッパー本体20を足に密着させる手段は、シューレース22ではなく、例えば、面ファスナーであってもよい。アッパー本体20を足に密着させる手段が面ファスナーである場合には、紐通し部20cがアッパー本体20に形成されない。
【0023】
ソール3は、アッパー2の下方に位置する。ソール3は、着用者の足裏を覆う。ソール3は、縫合、溶着、接着又はこれらの組み合わせによってアッパー2に固定される。ソール3は、アウトソール30と、ミッドソール31とを備えている。ソール3は、アッパー本体20の下側開口を覆う不図示の中底を備えている。中底は、接着又は溶着によってミッドソール31の上面に固定される。中底は、縫合によってアッパー本体20の下縁に固定される。図示は省略するが、靴1は、中敷きを備えてもよい。靴1が中敷きを備える場合、中敷きは、アッパー2の内部でソール3の上に設置される。なお、ソール3は、中底を省略した構造であってもよい。
【0024】
ミッドソール31は、アウトソール30の上面に位置している。ミッドソール31は、アッパー2とアウトソール30との間に位置している。ミッドソール31は、アウトソール30よりもヤング率が小さい且つ軟質な部材である。ミッドソール31は、クッション性を有している。ミッドソール31は、前足支持部R1と中足支持部R2と後足支持部R3との全域に亘って配置されている。ミッドソール31は、第1ミッドソール部32と、第2ミッドソール部33とを有している。なお、図2では、理解の容易化のために、第1ミッドソール部32に菱形ハッチングを付し、第2ミッドソール部33にドットハッチングを付している。
【0025】
第2ミッドソール部33は、第1ミッドソール部32とは別体に形成されている。第2ミッドソール部33は、溶着、接着又はこれらの組み合わせによって第1ミッドソール部32に固定される。第2ミッドソール部33の硬度は、第1ミッドソール部32の硬度よりも低い。第1ミッドソール部32の材料と第2ミッドソール部33の材料とを変えることで、第1ミッドソール部32の硬度と第2ミッドソール部33の硬度とを異ならせることができる。第1ミッドソール部32の材料及び第2ミッドソール部33の材料は、例えば、樹脂製のフォーム材、ゴム製のフォーム材である。
【0026】
第1ミッドソール部32は、前足支持部R1と中足支持部R2と後足支持部R3との全域に亘って配置されている。第2ミッドソール部33は、第1ミッドソール部32のうち中足支持部R2に位置する部分の下方に配置されている。詳しくは、第1ミッドソール部32のうち中足支持部R2に位置する部分の下面には、上方に向かって窪んだ切り欠き32aが形成され、第2ミッドソール部33は、切り欠き32a内に配置されている。切り欠き32aは、下方および内足側に開口している。第2ミッドソール部33の上面33gの側面視形状は、上向きに凸となる曲線状である。第2ミッドソール部33の上面33gの側面視形状は、足の内側縦アーチに沿った形状、又は、足の内側縦アーチに近似した形状となる。
【0027】
図1では、理解の容易化のために、第2ミッドソール部33の外形を破線で示すとともに第2ミッドソール部33にドットハッチングを付し、アウトソール30に斜線ハッチングを付している。図1に示すように、第2ミッドソール部33は、本実施の形態では中足支持部R2の内足側の領域のみに配置されている。第2ミッドソール部33は、少なくとも中足支持部R2の内足側の領域に配置されていればよい。第2ミッドソール部33は、少なくとも足の内側縦アーチの一部又は全部の下方に配置されていればよい。第2ミッドソール部33の底面は、中足支持部R2の底面のうち内足側の領域となる。第2ミッドソール部33は、靴1の接地時に荷重を受けて変形することにより、靴1の接地時の衝撃を吸収する役割を果たす。第2ミッドソール部33の底面視形状は、本実施の形態では前後方向の幅が内足側から外足側に向かうにつれて狭くなる三角形状である。
【0028】
第2ミッドソール部33は、地面に接地する接地部33aを含んでいる。接地部33aは、第2ミッドソール部33の底面に形成されている。接地部33aは、本実施の形態では第2ミッドソール部33の底面に取り付けられたアウトソール30である。接地部33aは、足の内側縦アーチの下方に位置する。前後方向における接地部33aの位置は、ソール3の後端からソール3の前後方向の寸法の30%から60%の領域内にあることが好ましい。足幅方向における接地部33aの位置は、シューズセンター軸Cよりも内足側にあることが好ましい。図2に示すように、接地部33aは、側面視において前足支持部R1の最下点P1と後足支持部R3の最下点P2とを結んだ前後方向に沿う最下線Z上に位置する部分を有する。
【0029】
図3は、図1に示されたIII-III線に沿った断面図である。第2ミッドソール部33の内足側側面は、中足支持部R2の内足側側面となる。第2ミッドソール部33の内足側側面には、内足側に向かって突出する凸部33bが形成されている。凸部33bは、第2ミッドソール部33の内足側側面の全長に亘って形成されている。凸部33bは、ソール3の後端からソール3の前後方向の寸法の30%から60%に亘る領域にあることが好ましい。凸部33bは、内足側を向く突端面33cを含んでいる。突端面33cは、第1突端面33d及び第2突端面33eを有している。第1突端面33dは、ミッドソール31の底面31b(第2ミッドソール部33の底面)の内足側の縁から上方に向かって内足側に位置するように延びている。第2突端面33eは、第1突端面33dに連なり且つ上方に向かって外足側に位置するように延びている。
【0030】
第1突端面33dと第2突端面33eとの境界部分は、凸部33bのうち最も内足側に位置する頂点33fとなる。頂点33fは、突端面33cのうち傾斜方向が切り替わる部分である。頂点33fは、前後方向に延びている。ミッドソール31の上面31a(第1ミッドソール部32の上面)の内足側の縁とミッドソール31の底面31b(第2ミッドソール部33の底面)の内足側の縁とを結んだ直線を仮想直線Lとしたときに、凸部33bの頂点33fは、仮想直線Lよりも内足側かつ仮想直線Lの上下方向の中心よりも下方に位置していることが好ましい。第2ミッドソール部33の上面33gは、内足側から外足側に向かって下り傾斜している。換言すると、第2ミッドソール部33の上面33gの足幅方向に沿った断面形状は、内足側から外足側に向かって下り傾斜する傾斜状である。
【0031】
図2に示すように、アウトソール30は、ミッドソール31の下方に配置されている。アウトソール30は、ミッドソール31よりもヤング率が大きい且つ硬質な部材である。アウトソール30の材料は、例えば、主成分であるゴムと副成分とを含む材料である。副成分は、例えば、可塑剤、補強剤、架橋剤である。図1に示すように、アウトソール30は、前足支持部R1と中足支持部R2と後足支持部R3とに部分的に配置されている。アウトソール30は、ミッドソール31の底面31bに部分的に取り付けられている。本実施の形態では、中足支持部R2に配置されるアウトソール30の一部が接地部33aとなる。接地部33aとなるアウトソール30とその他のアウトソール30とは、互いに独立して設けられている。換言すると、接地部33aとなるアウトソール30とその他のアウトソール30とは、互いに分離している。
【0032】
図4は、本発明の実施の形態1に係る靴1のソール外形線Mと固定線Nとを模式的に示した底面図である。図4には、理解の容易化のために、目盛線Gを図示している。ソール3の後端に相当する位置にある目盛線Gを0%とし、ソール3の前端に相当する位置にある目盛線Gを100%としている。ソール3の前後方向の寸法の10%ごとに目盛線Gを付けている。ソール3を底面視した状態において、ソール3のうち最も外に位置する部分を結んだ線をソール外形線Mとし、ソール3とソール3の上方に位置するアッパー2とが固定される部分を結んだ線を固定線Nとしたときに、ソール外形線Mは、固定線Nの周囲を囲むように延びている。ソール外形線Mのうち内足側部分M1と固定線Nのうち内足側部分N1との間の足幅方向の距離をD1、ソール外形線Mのうち外足側部分M2と固定線Nのうち外足側部分N2との間の足幅方向の距離D2としたときに、ソール3の後端からソール3の前後方向の寸法の30%から60%に亘る領域において、ソール3の前後方向の同一位置における距離D1と距離D2が、D1>D2の関係を満たしていることが好ましい。ソール3の後端からソール3の前後方向の寸法の20%から80%に亘る領域において、D1>D2の関係を満たしていることがより好ましい。
【0033】
次に、本実施の形態に係るソール3及び靴1の効果について説明する。
【0034】
まず、本発明者は、人が所定距離を走行した後の疲れた状態における足の倒れ込み角度や体の姿勢などに着目し実験を行った。具体的には、被験者に20km以上の距離を走行してもらい、疲れが見えない走行初期の時点と20km近く走って疲れが見えた時点における体の傾斜角度、足の接地状態などを観察し比較した。この実験から、被験者の疲労度が増すほど足の踵部が地面に接地すると同時に足の中足部も地面に接地しやすくなり、内側縦アーチの落ち込みが発生しやすくなること、および、接地から離地までの間に足の内側への倒れ込みが最も大きくなるときに、足の中足部から前足部の圧力が足の踵部の圧力よりも高くなることがわかった。したがって、走行に伴い疲れてきた状態においても足の内側への倒れ込みを抑制できれば走行期間中、長時間にわたって走行者の接地時における足の安定性を維持できる効果が期待できる。
【0035】
本実施の形態に係るソール3では、図2に示すように、中足支持部R2の底面のうち内足側の領域には、側面視において前足支持部R1の最下点P1と後足支持部R3の最下点P2とを結んだ最下線Z上に位置する部分を有する接地部33aが形成されている。接地部33aによって、足の内側縦アーチが下方から支持されるため、足の内側縦アーチの落ち込みを抑制することができる。本実施の形態では、図3に示すように、中足支持部R2の内足側側面には、内足側に向かって突出する凸部33bが形成されている。凸部33bによって、足の内側縦アーチが内足側から支持されるため、足の内足側への倒れ込みを抑制することができる。つまり、本実施の形態では、内側縦アーチの落ち込みと足の内足側への倒れ込みとを抑制できるように、着用者の足裏の中足部を安定的に支持することができる。本実施の形態のように内側縦アーチの落ち込みと足の内足側への倒れ込みとを抑制することは、走行する人間の疲労が増した状態において特に有用である。すなわち、走行に伴って疲労が増した状態においてもオーバープロネーションを抑制することができる。
【0036】
本実施の形態では、図3に示すように、凸部33bは、ミッドソール31の内足側側面に形成され、ミッドソール31の上面31aの内足側の縁とミッドソール31の底面31bの内足側の縁とを結んだ直線を仮想直線Lとしたときに、凸部33bの頂点33fは、仮想直線Lよりも内足側かつ仮想直線Lの上下方向の中心よりも下方に位置している。この構成により、足の内側縦アーチが内足側へ倒れ込もうとしたときに、凸部33bが局所的に曲がることを防げる。すなわち、足の内側縦アーチが内足側へ倒れ込もうとしたときに、凸部33bの圧縮変形を促すことができる。そのため、足の内足側への倒れ込みをより一層抑制することができる。
【0037】
本実施の形態では、図3に示すように、凸部33bは、内足側を向く突端面33cを含んでおり、突端面33cは、ミッドソール31の底面31bの内足側の縁から上方に向かって内足側に位置するように延びている第1突端面33d及び第1突端面33dに連なり且つ上方に向かって外足側に位置するように延びている第2突端面33eを有する。この構成により、第1突端面33dと第2突端面33eとの境界部分に位置する頂点33fが地面から上方に離れた位置にあるため、足の内側縦アーチが内足側へ倒れ込もうとしたときに、凸部33bが局所的に曲がることを防げる。すなわち、足の内側縦アーチが内足側へ倒れ込もうとしたときに、凸部33bの圧縮変形を促すことができる。そのため、足の内足側への倒れ込みをより一層抑制することができる。
【0038】
本実施の形態では、図4に示すように、ソール3の後端からソール3の前後方向の寸法の30%から60%に亘る領域において、ソール外形線Mのうち内足側部分M1と固定線Nのうち内足側部分N1との間の足幅方向の距離D1は、ソール外形線Mのうち外足側部分M2と固定線Nのうち外足側部分N2との間の足幅方向の距離D2よりも長い。この構成により、ソール3によって、足の内側縦アーチが内足側から支持されるため、足の内足側への倒れ込みを抑制することができる。
【0039】
本実施の形態では、図1に示すように、接地部33aとなるアウトソール30とその他のアウトソール30とは、互いに独立して設けられている。この構成により、接地部33aが地面に接地したときに発生する荷重を、接地部33aが形成された第2ミッドソール部33のみに伝えやすくして、第2ミッドソール部33をより確実に圧縮変形させることができる。そのため、ソール3のうち足の内側縦アーチの下方に位置する第2ミッドソール部33のクッション性を高めることができる。換言すると、ソール3のうち足の内側縦アーチの下方に位置する第2ミッドソール部33で、接地部33aの接地時の衝撃を吸収しやすくできる。
【0040】
本実施の形態では、図3に示すように、着用者が突き上げを感じやすい内側縦アーチの下方に位置する第2ミッドソール部33が第1ミッドソール部32とは別体に形成されて、第2ミッドソール部33の硬度が第1ミッドソール部32の硬度よりも低い。この構成により、靴1の接地時に発生する突き上げが足の内側縦アーチに伝わりにくくなるため、着用者が走行する際の快適性を向上させる効果が期待できる。
【0041】
本実施の形態では、図3に示すように、第2ミッドソール部33の上面33gは、内足側から外足側に向かって下り傾斜している。この構成により、着用者が内側縦アーチに突き上げを感じにくくなるため、着用者が走行する際の快適性を向上させる効果が期待できる。
【0042】
なお、図3に示すように、ソール3が中足支持部R2の内足側側面から内足側に向かって突出する凸部33bを備えていれば、足の内足側への倒れ込みを抑制することができる。そのため、凸部33bの構成は、図示した例に限定されない。例えば、凸部33bの頂点33fは、仮想直線Lの上下方向の中心よりも下方に位置していることが好ましいが、仮想直線Lの上下方向の中心と同じ高さ位置、又は、仮想直線Lの上下方向の中心よりも上方に位置していてもよい。例えば、凸部33bの突端面33cの形状は、図示した形状であることが好ましいが、上下方向に沿った直線状であってもよいし、上方から下方に向かって内足側に位置するように傾斜する形状であってもよい。
【0043】
前記した実施の形態では、図2に示すように、中足支持部R2に配置される接地部33aがアウトソール30であったが、接地部33aはミッドソール31の一部であってもよい。例えば、第2ミッドソール部33の底面の一部又は全部が接地部33aとなってもよい。中足支持部R2に配置される接地部33aがミッドソール31の一部である場合には、アウトソール30は、少なくとも前足支持部R1と後足支持部R3とに配置されていればよい。
【0044】
図1に示される第2ミッドソール部33の底面視形状、図2に示される第2ミッドソール部33の上面33gの側面視形状及び図3に示される第2ミッドソール部33の上面33gの足幅方向に沿った断面形状は、図示した例に限定されず、適宜変更してもよい。例えば、第2ミッドソール部33の上面33gの足幅方向に沿った断面形状は、足幅方向に沿った平坦状であってもよい。
【0045】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係る靴1Aを示した底面図である。実施の形態2に係る靴1Aは、第2ミッドソール部33の範囲が、実施の形態1に係る靴1と相違する。図5では、第2ミッドソール部33の範囲を破線で図示している。
【0046】
第2ミッドソール部33は、中足支持部R2のうち内足側の領域から後足支持部R3のうち外足側の領域に亘って配置されている。第2ミッドソール部33は、第1部分33hと、第2部分33iと、第3部分33jとを含んでいる。第1部分33hは、中足支持部R2のうち内足側の領域に配置されている。第3部分33jは、第1部分33hから外足側に向かって斜め後方に延びている。第3部分33jは、中足支持部R2のうち足幅方向の中央側の領域の一部と、後足支持部R3のうち足幅方向の中央側の領域の一部とに亘って配置されている。第2部分33iは、第3部分33jから後方および外足側に向かって延びている。第2部分33iは、中足支持部R2のうち外足側の領域の一部と、後足支持部R3のうち外足側の領域と、後足支持部R3のうち踵側の領域とに亘って配置されている。第2部分33iは、後足支持部R3の後端まで達している。第2ミッドソール部33は、後足支持部R3のうち内足側の領域を避けて配置されている。
【0047】
第1部分33hの底面と第2部分33iの底面とには、接地部33aが配置されている。接地部33aは、第2ミッドソール部33の底面のうち中足支持部R2の内足側の領域と、第2ミッドソール部33の底面のうち後足支持部R3の外足側および踵側の領域とに配置されている。なお、第3部分33jは、省略してもよい。第2ミッドソール部33は、中足支持部R2のうち内足側の領域と、後足支持部R3のうち外足側の領域とに配置されていればよい。本実施の形態では、前記した実施の形態1と同一の効果を奏することができる。
【0048】
ヒールストライク走法では、後足支持部R3のうち外足側の領域が最初に地面に接地して、後足支持部R3のうち外足側の領域から中足支持部R2のうち内足側の領域に向かって順次地面に接地する。本実施の形態では、第2ミッドソール部33は、中足支持部R2のうち内足側の領域から後足支持部R3のうち外足側の領域に亘って配置されている。この構成により、中足支持部R2のうち内足側の領域のクッション性だけでなく、後足支持部R3のうち外足側の領域のクッション性も高めることができる。そのため、足の内足側への倒れ込みのスピードを遅らせることができる。
【0049】
本実施の形態では、第2ミッドソール部33が中足支持部R2のうち足幅方向の中央側の領域と後足支持部R3のうち足幅方向の中央側の領域とにも配置されている。この構成により、後足支持部R3のうち外足側の領域から中足支持部R2のうち内足側の領域に向かって順次接地するときに、着用者が局所的な突き上げを感じにくくなるため、着用者が走行する際の快適性を向上させる効果が期待できる。
【0050】
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3に係る靴1Bを示した断面図であって、図1に示されたIII-III線断面図に相当する図である。実施の形態3に係る靴1Bは、第1ミッドソール部32と第2ミッドソール部33との間にプレート4を配置した点が、実施の形態1に係る靴1と相違する。
【0051】
第1ミッドソール部32と第2ミッドソール部33との間には、プレート4が配置されている。プレート4は、第1ミッドソール部32のうち底面に形成された溝34内に配置されている。溝34は、第1ミッドソール部32と第2ミッドソール部33とのうち一方に形成されていればよい。プレート4の硬度は、第1ミッドソール部32の硬度及び第2ミッドソール部33の硬度よりも高い。
【0052】
プレート4の材料は、例えば、カーボン短繊維強化材、繊維強化樹脂、非繊維強化樹脂、繊維生地材である。繊維強化樹脂は、例えば、カーボン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ダイニーマ繊維、ザイロン繊維、ボロン繊維である。非繊維強化樹脂は、例えば、ポリマー樹脂である。ポリマー樹脂は、例えば、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU:Thermoplastic Polyurethane)、アミド系熱可塑性エラストマー(TPA:Thermoplastic elastomer)である。繊維生地材は、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維等の編地又は織地である。本実施の形態では、前記した実施の形態1と同一の効果を奏することができる。
【0053】
本実施の形態では、第1ミッドソール部32と第2ミッドソール部33との間には、プレート4が配置されていて、プレート4の硬度は、第1ミッドソール部32の硬度及び第2ミッドソール部33の硬度よりも高い。この構成により、接地部33aが地面に接地したときに発生する荷重を、第2ミッドソール部33の広範囲に伝えやすくして、第2ミッドソール部33を広範囲に亘って圧縮変形させることができる。そのため、ソール3のうち足の内側縦アーチの下方に位置する第2ミッドソール部33で、接地部33aの接地時の衝撃を吸収しやすくできる。
【0054】
(実施の形態4)
図7は、本発明の実施の形態4に係る靴1Cを示した底面図である。図8は、図7に示されたVIII-VIII線に沿った断面図である。実施の形態4に係る靴1Cは、接地部33aとなるアウトソール30の少なくとも一部とその他のアウトソール30の少なくとも一部とが互いに繋がっている点、及び、接地部33aとなるアウトソール30とその他のアウトソール30とが互いに繋がる部分が凹部35内に配置される点が、実施の形態1から実施の形態3と相違する。以下の説明において、接地部33aとなるアウトソール30とその他のアウトソール30とが互いに繋がる部分を接続部36と称する場合もある。接続部36もアウトソール30であるが、接続部36の範囲を明確にするために、図7及び図8では接続部36に斜線ハッチングを付していない。
【0055】
図8に示すように、ミッドソール31の底面31bには、上方に向かって凹んだ凹部35が形成されている。凹部35は、本実施の形態では第1ミッドソール部32の底面に形成されている。図7に示すように、凹部35は、第2ミッドソール部33の周囲のうち内足側の縁に沿った領域を除いた領域に配置されている。図8に示すように、接続部36は、凹部35内に配置されている。図8には、接地部33aとなるアウトソール30と接続部36との境界、その他のアウトソール30と接続部36との境界をそれぞれ破線で示している。なお、接地部33aとなるアウトソール30の少なくとも一部とその他のアウトソール30の少なくとも一部とが互いに繋がっていればよい。本実施の形態では、前記した実施の形態1と同一の効果を奏することができる。
【0056】
本実施の形態では、接地部33aとなるアウトソール30とその他のアウトソール30とが互いに繋がる部分は、凹部35内に配置されている。この構成により、接地部33aが地面に接地したときに発生する荷重を、接地部33aが形成された第2ミッドソール部33のみに伝えやすくして、第2ミッドソール部33を確実に圧縮変形させることができる。そのため、ソール3のうち足の内側縦アーチの下方に位置する第2ミッドソール部33で、接地部33aの接地時の衝撃を吸収しやすくできる。
【0057】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0058】
第1の観点に係る靴のソールは、前方から後方に向かって順に、着用者の足の前足部を支持する前足支持部と、着用者の足の中足部を支持する中足支持部と、着用者の足の後足部を支持する後足支持部とが連なった靴のソールであって、
前記中足支持部の底面のうち内足側の領域には、側面視において前記前足支持部の最下点と前記後足支持部の最下点とを結んだ最下線上に位置する部分を有する接地部が形成され、
前記中足支持部の内足側側面には、内足側に向かって突出する凸部が形成されている。
【0059】
第2の観点に係る靴のソールは、前記第1の観点に係る靴のソールにおいて、前記前足支持部と前記中足支持部と前記後足支持部とに亘って配置されるミッドソールを備え、
前記凸部は、前記ミッドソールの内足側側面に形成され、
前記ミッドソールの上面の内足側の縁と前記ミッドソールの底面の内足側の縁とを結んだ直線を仮想直線としたときに、前記凸部の頂点は、前記仮想直線よりも内足側かつ前記仮想直線の上下方向の中心よりも下方に位置している。
【0060】
第3の観点に係る靴のソールは、前記第2の観点に係る靴のソールにおいて、前記凸部は、内足側を向く突端面を含んでおり、
前記突端面は、前記ミッドソールの底面の内足側の縁から上方に向かって内足側に位置するように延びている第1突端面及び前記第1突端面に連なり且つ上方に向かって外足側に位置するように延びている第2突端面を有する。
【0061】
第4の観点に係る靴のソールは、前記第1又は第2の観点に係る靴のソールにおいて、前記ソールを底面視した状態において、前記ソールのうち最も外に位置する部分を結んだ線をソール外形線とし、前記ソールと前記ソールの上方に位置するアッパーとが固定される部分を結んだ線を固定線としたときに、前記ソール外形線は、前記固定線の周囲を囲むように延び、
前記ソールの後端から前記ソールの前後方向の寸法の30%から60%に亘る領域において、前記ソール外形線のうち内足側部分と前記固定線のうち内足側部分との間の足幅方向の距離は、前記ソール外形線のうち外足側部分と前記固定線のうち外足側部分との間の足幅方向の距離よりも長い。
【0062】
第5の観点に係る靴のソールは、前記第2から第4のいずれかの観点に係る靴のソールにおいて、少なくとも前記前足支持部と前記後足支持部とに配置されるとともに、前記ミッドソールの下方に配置されるアウトソールを備え、
前記接地部と前記アウトソールとは、互いに独立して設けられる。
【0063】
第6の観点に係る靴のソールは、前記第2から第4のいずれかの観点に係る靴のソールにおいて、少なくとも前記前足支持部と前記後足支持部とに配置されるとともに、前記ミッドソールの下方に配置されるアウトソールを備え、
前記ミッドソールの底面には、上方に向かって凹んだ凹部が形成され、
前記接地部の少なくとも一部と前記アウトソールの少なくとも一部とは、互いに繋がっており、
前記接地部と前記アウトソールとが互いに繋がる部分は、前記凹部内に配置されている。
【0064】
第7の観点に係る靴のソールは、前記第2から第6のいずれかの観点に係る靴のソールにおいて、前記ミッドソールは、前記前足支持部と前記中足支持部と前記後足支持部とに亘って配置される第1ミッドソール部と、少なくとも前記中足支持部の内足側の領域に配置されるとともに前記第1ミッドソール部の下方に配置され、前記接地部を含む第2ミッドソール部と、を有し、
前記第2ミッドソール部の硬度は、前記第1ミッドソール部の硬度よりも低い。
【0065】
第8の観点に係る靴のソールは、前記第7の観点に係る靴のソールにおいて、前記第2ミッドソール部の上面は、内足側から外足側に向かって下り傾斜している。
【0066】
第9の観点に係る靴のソールは、前記第7又は第8の観点に係る靴のソールにおいて、前記第1ミッドソール部と前記第2ミッドソール部との間には、前記第1ミッドソール部の硬度及び前記第2ミッドソール部の硬度よりも高い硬度を有するプレートが配置されている。
【0067】
第10の観点に係る靴のソールは、前記第7から第9のいずれかの観点に係る靴のソールにおいて、前記第2ミッドソール部は、前記中足支持部の内足側の領域から前記後足支持部の外足側の領域に亘って配置され、
前記接地部は、前記第2ミッドソール部の底面のうち前記中足支持部の内足側の領域と前記第2ミッドソール部の底面のうち前記後足支持部の外足側の領域とに配置されている。
【0068】
第11の観点に係る靴は、前記第1から第10のいずれかの観点に係る靴のソールと、前記靴のソールの上方に位置するアッパーと、を備える。
【符号の説明】
【0069】
1,1A,1B,1C 靴、2 アッパー、3 ソール、4 プレート、20 アッパー本体、20a 履き口、20b スロート部、20c 紐通し部、21 シュータン、22 シューレース、30 アウトソール、31 ミッドソール、31a,33g 上面、31b 底面、32 第1ミッドソール部、32a 切り欠き、33 第2ミッドソール部、33a 接地部、33b 凸部、33c 突端面、33d 第1突端面、33e 第2突端面、33f 頂点、33h 第1部分、33i 第2部分、33j 第3部分、34 溝、35 凹部、36 接続部、C シューズセンター軸、G 目盛線、L 仮想直線、M ソール外形線、M1,N1 内足側部分、M2,N2 外足側部分、N 固定線、P1,P2 最下点、R1 前足支持部、R2 中足支持部、R3 後足支持部、S1 第1境界線、S2 第2境界線、Z 最下線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8